説明

地上デジタル放送用フィールド測定装置

【課題】測定された誤り率(BER)が有効か無効かを簡単に識別可能とする。
【解決手段】 地上デジタル放送信号を復調部7でデータ信号に復調し復調された各データ信号の誤り率を測定する地上デジタル放送用フィールド測定装置において、復調部の復調動作に必要な4つの復調状況を検出する復調状況検出手段24と、測定される誤り率の誤り率特性49a、49bとして表示器に表示する誤り率特性表示手段42と、検出された4つ復調状況のうち1つでも復調状況が異常の場合に、測定された誤り率は無効と判定する測定データ有効無効判定手段45と、判定された有効又は無効の経時変化を有効範囲又は無効範囲40として表示器にグラフィック表示する有効無効範囲表示制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送信号の各種の特性を測定する地上デジタル放送用フィールド測定装置に係わり、特に地上デジタル放送信号の誤り率を測定する地上デジタル放送用フィールド測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されているISDB―T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の地上デジタル放送システムにおける各放送局の共同のアンテナから出力される地上デジタル放送信号は、BST−OFDM(Band Segmented Transmission −Orthogonal Frequency Division Multiplexing)の伝送方式が採用されている。
【0003】
図3は、このBST−OFDM(直交周波数分割多重)伝送方式が採用された地上デジタル放送信号aにおける各放送局に割当てられた1チャネル分の信号の周波数分布図である。5.7MHzの周波数帯域幅を有する1チャネルは13個のセグメント1で構成されている。そして、1個又は複数のセグメント1で階層2が形成されている。具体的には、13個のセグメント1でA階層、B階層、C階層の3個の階層2が形成されている。さらに、各セグメント1は複数のサブキャリア3で構成されている。この複数のサブキャリア3のうちの、モード毎に指定された特定位置のサブキャリアには、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control 制御情報)4が組込まれている。
【0004】
同一階層2に所属する各サブキャリア3は局が指定した同一の変調方式(QPSK、16QAM、64QAMのなかの1つ)で変調されているが、TMCC(制御情報)4だけは固定のBPSKの変調方式で変調されている。TMCC(制御情報)4は、該当チャネルの地上デジタル放送信号aにおけるA階層、B階層、C階層の3個の階層2の各位置、各階層2のセグメント1数、各セグメント1に含まれる各サブキャリア3の変調方式を含む。
【0005】
このようなフレーム構成を有する地上デジタル放送信号aが上述した規格を満たす信号品質を有するか否かを測定する必要がある。この信号品質の1つとして、地上デジタル放送信号aに含まれるビットデータの誤り率(BER Bit Error Rate)がある。
【0006】
特に、電波に対する影響が大きい野外で地上デジタル放送信号aの誤り率(BER)を電界強度と共に測定することは非常に重要なことである。
【0007】
次に、地上デジタル放送信号aの誤り率(BER)を測定する手順を説明する。最初に、周波数変換部で、地上デジタル放送信号aの周波数を中間周波数に変換して、中間周波数に変換された1チャネル分の地上デジタル放送信号aを直交復調部でI、Q信号からなる地上デジタル放送信号aに直交復調する。さらに、直交復調されたI、Q信号からなる1チャネル分の地上デジタル放送信号aをOFDM復調部で、それぞれ周波数が異なる複数のサブキャリア3に復調する。この各サブキャリア3をサブキャリア復調部でサブキャリア3の変調方式に対応した復調方式で復調して、各サブキャリア3毎のTS(Transport Stream)としてのデータ信号を得る。そして、このデータ信号のビットデータの誤り率(BER)を誤り率測定部で測定する。
【0008】
なお、特許文献1に移動体通信システムにおける基地局と移動局との間で送受信されるCDMA方式の変調信号の誤り率(BER)を測定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004―096263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上述した手順で、地上デジタル放送信号の誤り率(BER)を測定する手法においてもまだ改良すべき次のような課題があった。
【0010】
すなわち、誤り率測定部で測定された誤り率(BER)は、当然、誤り率測定部に入力される復調済みのデータ信号の誤り率(BER)である。このデータ信号は、入力された地上デジタル放送信号を、直交復調部、OFDM復調部、サブキャリア復調部で順次復調して得られたデータ信号である。このことは、地上デジタル放送信号が、直交復調部、OFDM復調部、サブキャリア復調部で正常に復調されていることが前提条件である。
【0011】
しかし、OFDM復調部は、
(a)直交復調されたI、Q信号の周波数が復調に使用する周波数に同期が取れていること、
(b)入力されるI、Q信号がシンボル単位で同期が取れていること、
(c)入力されるI、Q信号がフレーム単位で同期が取れていること
等の条件が常時満たされているとは限らない。
【0012】
また、サブキャリア復調部においても、TMCC(制御情報)にて常時正しい変調方式(復調方式)が提供されるとは限らない。
【0013】
このように、復調部が正常に動作しない場合は、誤り率測定部に入力される復調済みのデータ信号に復調異常に起因する異常値が大量に含まれるので、誤り率測定部で測定された誤り率(BER)が大きく変化する。この誤り率(BER)の変化が、地上デジタル放送信号が有する本来の誤り率(BER)の変化か、復調部の復調異常に起因する誤り率(BER)の変化であるのか、測定者にとっては判断できない。
【0014】
特に、野外における地上デジタル放送信号の信号レベル(電界強度)が低い条件下においては、復調部の同期が取りにくく、復調異常になる確率が高い。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、誤り率測定部で測定された地上デジタル放送信号の誤り率の経時変化を表示画面上で誤り率特性とし確認できるとともに、この表示された誤り率特性における誤り率の時間的な有効範囲又は無効範囲を一瞥して把握でき、より正確に地上デジタル放送信号の誤り率(BER)を測定できる地上デジタル放送用フィールド測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、入力された、各チャネルの周波数帯域に各データ信号を変調した複数のサブキャリアからなる階層を複数個配置しこれらの階層をOFDM変調した地上デジタル放送信号を、復調部でサブキャリア毎のデータ信号に復調し、誤り率測定部でこの復調された各データ信号の誤り率を測定する地上デジタル放送用フィールド測定装置において、
復調部の復調動作に必要な周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つの復調状況を検出する復調状況検出手段と、誤り率測定部で測定される誤り率の経時変化を誤り率特性として表示器にグラフィック表示する誤り率特性表示手段と、復調状況検出手段で検出された4つ全部の復調状況が正常の場合に、誤り率測定部で測定された誤り率は有効と判定し、復調状況検出手段で検出された4つの復調状況のうち1つ以上の復調状況が異常の場合に、誤り率測定部で測定された誤り率は無効と判定する測定データ有効無効判定手段と、この測定データ有効無効判定手段で判定された有効又は無効の経時変化を有効範囲又は無効範囲として表示器にグラフィック表示する有効無効範囲表示制御手段とを備えている。
【0017】
このように構成された地上デジタル放送用フィールド測定装置においては、地上デジタル放送信号をサブキャリア毎のデータ信号に復調する復調部の復調動作に必要な周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つの復調状況が検出され、この4つの復調状況のうち1つの復調状況でも異常の場合に、誤り率測定部で測定された誤り率は無効と判定され、無効範囲が表示器にグラフィック表示される。
【0018】
したがって、同じ表示器にグラフィック表示された誤り率特性における誤り率の時間的な無効範囲を一瞥して把握できる。
【0019】
また、別の発明は、上述した発明の地上デジタル放送用フィールド測定装置において、さらに、復調部で復調された各データ信号を誤り訂正する誤り訂正部を備えている。また、誤り率測定部は、誤り訂正部で誤り訂正される前の各データ信号の誤り率を復調誤り率として測定すると共に、誤り訂正部で誤り訂正された後の各データ信号の誤り率を誤り訂正後誤り率として測定する。誤り率特性表示手段は、誤り率測定部で測定される復調誤り率及び誤り訂正後誤り率の各経時変化を復調誤り率特性及び誤り訂正後誤り率特性として前記表示器にグラフィック表示する。そして、誤り率特性表示手段で表示器に表示する復調誤り率特性及び誤り訂正後誤り率特性を選択する表示特性選択手段を備えている。
【0020】
このように構成された地上デジタル放送用フィールド測定装置においては、復調されたデータ信号のうち誤り訂正部で誤り訂正される前の復調誤り率特性と、復調されたデータ信号のうち誤り訂正部で誤り訂正された後の誤り訂正後誤り率特性との2種類の誤り率特性が得られるので、地上デジタル放送信号の誤り率(BER)をより詳細に検証できる。
【0021】
また、別の発明は、上述した各発明の地上デジタル放送用フィールド測定装置に対して、表示器にグラフィック表示された誤り率特性における時間位置を表示画面上で指定する時間位置指定手段と、この時間位置指定手段にて指定された時間位置における4つの復調状況における各復調状況の正常異常を表示器に表示する復調状況表示手段と、表示器にグラフィック表示された誤り率特性における時間位置指定手段にて指定された時間位置の誤り率の値を前記表示器に表示する誤り率値表示手段とを付加している。
【0022】
このように構成された地上デジタル放送用フィールド測定装置においては、表示器にグラフィック表示された誤り率特性における時間位置を表示画面上でマウス又はカーソルで指定すると、指定された時間位置における誤り率の値、及び4つの復調状況における各復調状況の正常異常が表示器上に表示される。
【0023】
したがって、この地上デジタル放送用フィールド測定装置の測定者にとって、より簡単な操作で、誤り率(BER)に関するより詳細な情報を得ることが可能である。
【0024】
また、別の発明は、上述した各発明の地上デジタル放送用フィールド測定装置に対して、入力された地上デジタル放送信号の電界強度を測定する電界強度測定部と、この電界強度測定部で測定された電界強度の経時変化を電界強度特性として表示器に、誤り率特性と共に、グラフィック表示する電界強度特性表示手段とを付加している。
【0025】
このように構成された地上デジタル放送用フィールド測定装置においては、表示器に誤り率特性と共に電界強度特性が表示される。一般的に電波放出される信号の誤り率(BER)は電界強度に対応しているが、誤り率(BER)が変化したときの電界強度を検証することによって、誤り率(BER)の変化要因の究明が容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明においては、復調部の地上デジタル放送信号に対する復調動作に必要な4つの復調状況を検出し、この4つの復調状況から得られる有効範囲又は無効範囲を表示器にグラフィック表示している。
【0027】
したがって、誤り率測定部で測定された地上デジタル放送信号の誤り率の経時変化を表示画面上で誤り率特性とし確認できるとともに、この表示された誤り率特性における誤り率の時間的な有効範囲又は無効範囲を一瞥して把握でき、より正確に地上デジタル放送信号の誤り率(BER)を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係わる地上デジタル放送用フィールド測定装置の概略構成の一例を示すブロック図である。この地上デジタル放送用フィールド測定装置へ入力される地上デジタル放送信号aは図3を用いて説明した周波数構成を有する。
【0030】
図1において、地上デジタル放送信号aは周波数変換部5へ入力される。周波数変換部5は、入力された地上デジタル放送信号aの周波数を、測定制御部6から指定された1チャンネル分の信号を中間周波数に変換する。周波数変換された地上デジタル放送信号aは、復調部7、電界強度測定部8、遅延プロファイル測定部9、変調誤差比(MER Modulation Error Ratio)測定部10へ送出される。
【0031】
電界強度測定部8は入力された1チャネル分の地上デジタル放送信号aの電界強度を測定して測定データ入力部11へ送出する。
【0032】
遅延プロファイル測定部9は地上デジタル放送信号の遅延プロファイルを測定して測定データ入力部11へ送出する。ここで、遅延プロファイル15を図9を用いて説明する。図9(a)に示すように、放送局のアンテナ12から電波放出された地上デジタル放送信号aは当該フィールド測定装置13に直接入力される直接波(信号a)とビル等の反射物14に反射された後に入力される複数の反射波(信号a1、信号a2)とがある。したがって、フィールド測定装置13には、図9(b)に示すように、各信号a、a1、a2が経路差に応じた時間差を有して入力されることになる。遅延プロファイル15とは、図9(c)に示すように、横軸に時間をとり、縦軸に反射波(信号a1、信号a2)のレベル(直接波(信号a)を0dBとした相対値)をグラフ化したものである。
【0033】
変調誤差比(MER)測定部10は、入力された1チャネル分の地上デジタル放送信号aの各階層2毎の変調誤差比(MER)を測定して測定データ入力部11へ送出する。変調誤差比(MER)とは、図8に示すように、地上デジタル放送信号aを各サブキャリア3のI(同相成分)信号、Q(直交成分)信号に復調して、IQ座標に測定点Pmとして表示した場合における、理想(正しい)点Psの座標原点までの基準距離と、測定点Pmと理想(正しい)点Psとの誤差距離との比の統計値(dB)である。したがって、変調誤差比(MER)が大きいと変調が正確に実施されていることを示す。
【0034】
復調部7へ入力された1チャネル分の地上デジタル放送信号aは、A/D変換部61でデジタル信号に変換され、直交復調部16にて、I(同相成分)信号、Q(直交成分)信号に直交復調され、OFDM復調部17、周波数検出部18及びシンボル検出部19へ入力される。
【0035】
周波数検出部18は、I、Q信号に直交復調された地上デジタル放送信号aの周波数を検出して同期再生部20へ送出する。シンボル検出部19は、地上デジタル放送信号aのシンボルタイミングを検出して同期再生部20へ送出する。フレーム検出部21は、OFDM復調部17で復調された各サブキャリア3からフレームの開始タイミングを検出して、同期再生部20へ送出するとともにTMCC読取部22へ送出する。
【0036】
同期再生部20は、周波数検出部18で検出された地上デジタル放送信号aの周波数がOFDM復調部17の復調に使用する周波数に一致するように、OFDM復調部17に入力される地上デジタル放送信号aの周波数を補正する。すなわち、周波数同期をとる。同期再生部20は周波数同期が取れたか否かの情報(周波数同期)を周波数検出部18を介して復調状況検出部24へ送出する。
【0037】
さらに、同期再生部20は、OFDM復調部17に入力される地上デジタル放送信号aのシンボルタイミングを、シンボル検出部19で検出されたシンボルタイミングに補正する。すなわち、シンボル同期をとる。同期再生部20はシンボル同期が取れたか否かの情報(シンボル同期)をシンボル検出部19を介して復調状況検出部24へ送出する。
【0038】
さらに、同期再生部20は、OFDM復調部17に入力される地上デジタル放送信号aのフレームの開始タイミングを、フレーム検出部20で検出されたフレームの開始タイミングに補正する。すなわち、フレーム同期をとる。同期再生部20はフレーム同期が取れたか否かの情報(フレーム同期)をフレーム検出部20を介して復調状況検出部24へ送出する。
【0039】
OFDM復調部17は、同期再生部20で同期が取れた状態で入力されたI、Q信号からなる地上デジタル放送信号aに対して高速フーリエ変換(FFT)処理を実施することによって、1チャネル分の地上デジタル放送信号aに含まれる各セグメント1の全てのサブキャリア3を抽出して、サブキャリア復調部23、フレーム検出部21及びTMCC読取部22へ送出する。
【0040】
TMCC読取部22は、フレーム検出部21で検出された周波数領域内のフレームの開始点を用いて、入力されたサブキャリア3のなかからTMCC(制御情報)4を抽出して、このTMCC(制御情報)4をBPSKの復調方式で復調して、このTMCC(制御情報)4で示される、該当チャネルの地上デジタル放送信号aにおけるA階層、B階層、C階層の3個の階層2の各位置、各階層2のセグメント1数、各セグメント1に含まれる各サブキャリア3の変調方式を解読して、サブキャリア復調部23へ送出する。
【0041】
サブキャリア復調部23は、入力された各サブキャリア3を、TMCC読取部22から指定された該当サブキャリア3の変調方式に対応する復調方式で復調して、サブキャリア3毎のTS(Transport Stream)としてのデータ信号を得て、次の誤り訂正部25へ送出する。サブキャリア復調部23は、各サブキャリア3を正しく復調できたか否かの情報(TMCC情報)をTMCC読取部22を介して復調状況検出部24へ送出する。
【0042】
誤り訂正部25へ入力されたサブキャリア3毎の各データ信号は、ビタビ訂正部26で内符号(畳み込み符号)を用いて1回目の誤り訂正が行われ、RS訂正部27で外符号(Reed Solomon符号)を用いて2回目の誤り訂正が行われる。
【0043】
復調BER測定部29は、サブキャリア復調部23から出力された各データ信号と、ビタビ訂正部26で誤り訂正が行われて畳み込み部28を経由した各データ信号とを比較して、サブキャリア復調部23から出力された各データ信号のビットデータの誤り率(BER)を測定して、復調誤り率(BER)として、測定データ入力部11へ送出する。
【0044】
ビタビBER測定部30は、ビタビ訂正部26から出力された各データ信号と、RS訂正部27で2回目の誤り訂正が行われた各データ信号とを比較して、ビタビ訂正部26から出力された各データ信号のビットデータの誤り率(BER)を測定して、誤り訂正後誤り率(BER)として、測定データ入力部11へ送出する。
【0045】
したがって、復調BER測定部29及びビタビBER測定部30はBER測定部31を構成する。
【0046】
測定制御部6は、必要に応じて、測定データ入力部11へ入力された、復調誤り率(BER)、誤り訂正後誤り率(BER)、電界強度、遅延プロファイル、変調誤差比(MER)を表示器34に表示する。さらに、測定制御部6は、電界強度測定部8、遅延プロファイル測定部9、変調誤差比(MER)測定部10へ測定指示を出力するとともに、操作部33からの指示に基づいて、周波数変換部5へ測定チャネルの指示を送出する。
【0047】
測定データ入力部11は、入力された上述した各測定データを入出力I/F32を介して例えばパーソナルコンピュータ(PC)からなる外部データ処理制御装置35へ送出する。
【0048】
復調状況検出部24は、入力された復調部7の復調動作に必要な周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つの復調状況を入出力I/F32を介して外部データ処理制御装置35へ送出する。
【0049】
図2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)からなる外部データ処理制御装置35の概略構成を示すブロック図である。
【0050】
復調状況入力部37は、入出力I/F36を介して入力された周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つの復調状況39の各正常/異常を、図5に示す表示器38にそれぞれ個別に色分け表示する。例えば正常のとき緑色マークを表示し、異常のとき赤色マークを表示する。
【0051】
また、測定データ有効無効判定部(有効無効範囲表示制御部)45は、入出力I/F36を介して入力された周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つ全部の復調状況が正常の場合に、BER測定部31で測定された復調誤り率(BER)、誤り訂正後誤り率(BER)は有効と判定し、4つの復調状況のうち1つ以上の復調状況が異常の場合に、BER測定部31で測定された復調誤り率(BER)、誤り訂正後誤り率(BER)は無効と判定する。そして、無効と判定した時間範囲を図6に示す表示器38に測定データ無効範囲40としてグラフィック表示する。
【0052】
なお、有効無効範囲表示制御部は、有効又は無効の経時変化を有効範囲又は無効範囲として、測定データ無効範囲40をグラフィック表示したが、逆に有効範囲をグラフィック表示してもよい。また、有効範囲と無効範囲を色分け表示してもよい。さらに、有効範囲にある特性線と、無効範囲にある特性線とを識別可能なように、色分け、線種分けして表示してもよい。
【0053】
GUI操作部55が図4に示す表示器38に表示された測定項目51に表示された各測定項目をキーボード53又はマウス54で選択すると、測定項目選択部52が選択された測定項目に対する測定指示を、入出力I/F36,32を介して測定制御部6へ送出する。
【0054】
さらに、GUI操作部55が図4に示す表示器38に表示された測定項目51に表示された各測定項目をキーボード53又はマウス54で選択すると、表示項目選択部56が選択された測定項目に対する表示指示を測定データ編集部42へ送出する。
【0055】
測定データ編集部42は、入出力I/F36及び測定データ入力部41を介して入力された選択済みの各測定データ(復調誤り率(BER)、誤り訂正後誤り率(BER)、電界強度、遅延プロファイル、変調誤差比(MER))を編集して表示器38に表示するとともに、測定データメモリ43に各測定データの経時変化を一時記憶する。
【0056】
(基本となる実施例)
図5、図6は、表示器38に表示された各測定データを示す図である。図5において、表示器38に、前述した、4つの復調状況39の各正常/異常の他に、電界強度44、変調誤差比(MER)46、A〜C階層の階層2毎の誤り訂正後誤り率(BER)47、復調誤り率(BER)48、TMCC情報57が表示される。
【0057】
さらに、同一表示器38に、図6に示すように、電界強度の経時変化を示す電界強度特性50、復調誤り率(BER)の経時変化を示す復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)の経時変化を示す誤り訂正後誤り率(BER)特性49b、及び前述した測定データ無効範囲40が表示される。
【0058】
このように、表示器38に復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)特性49bと共に電界強度特性50が同時に表示される。一般的に電波放出される信号の誤り率(BER)は電界強度に対応しているので、誤り率(BER)が大きく変化したときの電界強度を検証することによって、誤り率(BER)の変化要因の究明が容易となる。
【0059】
さらに、表示器38に復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)特性49bと共に測定データ無効範囲40が同時に表示される。したがって、同じ表示器38にグラフィック表示された誤り率特性49a、49bにおける誤り率の時間的な無効範囲を一瞥して把握できる。よって、誤り率特性49a、49bにおける誤り率が大きく変化したときに、この変化が地上デジタル放送信号a自体に起因するのか、復調誤りに起因するのかを簡単に把握できる。
【0060】
(第1の実施例)
さらに、同一表示器38に、図4に示すように、前述した測定項目51、測定時刻情報58、測定チャネルが表示される。なお、測定項目51で遅延プロファイルが選択されていた場合は、図9(c)に示す遅延プロファイル15が表示器38に表示出力される。さらに、表示器38に表示された電界強度特性50、復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)特性49bの時間範囲(測定時間)を測定データメモリ43の記憶容量の範囲内において任意に設定可能である。なお、実際の測定は、図5に示す「測定開始」ボタンをマウス54でクリックすることで開始される。
【0061】
このような表示器38に表示された電界強度特性50、復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)特性49bの時間軸の右端位置が現在時刻であり、図5に示した各値、各正常/異常は現在時刻における各値、各正常/異常である。
【0062】
(第2の実施例)
しかし、表示器38における図5に示すカーソル表示選択60でカーソル表示を選択すると、図7に示すように、電界強度特性50、復調誤り率(BER)特性49a、誤り訂正後誤り率(BER)特性49bの時間位置を示すカーソル59が表示される。このカーソル59の位置は、GUI操作部55にて測定者が任意に変更できる。そして、図5に示した周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つ復調状況39の各正常/異常、電界強度44、変調誤差比(MER)46、A〜C階層の階層2毎の誤り訂正後誤り率(BER)47、復調誤り率(BER)48、TMCC情報57は、カーソル59が指定する時刻(時間)における各値に変更される。
【0063】
さらに、図5に示す各A〜C階層の階層2毎の誤り訂正後誤り率(BER)47、復調誤り率(BER)48を例えばマウス54で指定することにより、指定した階層2の指定した誤り訂正後誤り率(BER)47、復調誤り率(BER)48の誤り訂正後誤り率特49a、復調誤り率特性49bをグラフィック表示させることが可能である。
【0064】
したがって、この地上デジタル放送用フィールド測定装置の測定者にとって、より簡単な操作で、誤り率(BER)に関するより詳細な情報を得ることが可能である。
【0065】
また、復調誤り率特性49aの他に誤り訂正後誤り率特49bも測定して表示させている。したがって、復調されたデータ信号のうちビタビ訂正部26で誤り訂正される前の復調誤り率特性49aと、復調されたデータ信号のうちビタビ訂正部26で誤り訂正された後の誤り訂正後誤り率特性49bとの2種類の誤り率特性が得られるので、地上デジタル放送信号の誤り率(BER)をより詳細に検証できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係わる地上デジタル放送用フィールド測定装置の概略構成を示すブロック図
【図2】同実施形態に係わる地上デジタル放送用フィールド測定装置に組み込まれた外部データ処理装置の概略構成を示すブロック図
【図3】地上デジタル放送信号の1チャネル分の周波数分布図
【図4】同実施形態の地上デジタル放送用フィールド測定装置における表示器の表示内容を示す図
【図5】同じく同実施形態の地上デジタル放送用フィールド測定装置における表示器の表示内容を示す図
【図6】同じく同実施形態の地上デジタル放送用フィールド測定装置における表示器の表示内容を示す図
【図7】同じく同実施形態の地上デジタル放送用フィールド測定装置における表示器の表示内容を示す図
【図8】変調誤差比(MER)の算出方法を示す図
【図9】遅延プロファイルの定義を示す図
【符号の説明】
【0067】
1…セグメント、2…階層、3…サブキャリア、4…TMCC、5…周波数変換部、6…測定制御部、7…復調部、8…電界強度測定部、9…遅延プロファイル測定部、10…変調誤差比(MER)測定部、11…測定データ入力部、15…遅延プロファイル、16…直交復調部、17…OFDM復調部、18…周波数検出部、19…びシンボル検出部、20…同期再生部、21…フレーム検出部、22…TMCC読取部、23…サブキャリア復調部、24…復調状況検出部、25…誤り訂正部、31…BER測定部、35…外部データ処理制御装置、38…表示器、39…復調状況、40…測定データ無効範囲、42…測定データ編集部、44…電界強度、45…測定データ有効無効判定部、46…変調誤差比(MER)、47…誤り訂正後誤り率(BER)、48…復調誤り率(BER)、49a…復調誤り率(BER)特性、49b…誤り訂正後誤り率(BER)特性、50…電界強度特性、59…カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された、各チャネルの周波数帯域に各データ信号を変調した複数のサブキャリアからなる階層を複数個配置しこれらの階層をOFDM変調した地上デジタル放送信号(a)を、復調部(7)でサブキャリア毎のデータ信号に復調し、誤り率測定部(31)でこの復調された各データ信号の誤り率を測定する地上デジタル放送用フィールド測定装置において、
前記復調部の復調動作に必要な周波数同期、シンボル同期、フレーム同期、及びTMCC情報の4つの復調状況を検出する復調状況検出手段(24)と、
前記誤り率測定部で測定される誤り率の経時変化を誤り率特性として表示器(38)にグラフィック表示する誤り率特性表示手段(42)と、
前記復調状況検出手段で検出された4つ全部の復調状況が正常の場合に、前記誤り率測定部で測定された誤り率は有効と判定し、前記復調状況検出手段で検出された4つの復調状況のうち1つ以上の復調状況が異常の場合に、前記誤り率測定部で測定された誤り率は無効と判定する測定データ有効無効判定手段(45)と、
この測定データ有効無効判定手段で判定された有効又は無効の経時変化を有効範囲又は無効範囲として前記表示器にグラフィック表示する有効無効範囲表示制御手段(45)と
を備えたことを特徴とする地上デジタル放送用フィールド測定装置。
【請求項2】
前記復調部で復調された各データ信号を誤り訂正する誤り訂正部(26)を備え、
前記誤り率測定部は、前記誤り訂正部で誤り訂正される前の各データ信号の誤り率を復調誤り率として測定すると共に、前記誤り訂正部で誤り訂正された後の各データ信号の誤り率を誤り訂正後誤り率として測定し
前記誤り率特性表示手段は、前記誤り率測定部で測定される復調誤り率及び誤り訂正後誤り率の各経時変化を復調誤り率特性(49a)及び誤り訂正後誤り率特性(49b)として前記表示器にグラフィック表示し、
前記誤り率特性表示手段で前記表示器に表示する復調誤り率特性及び誤り訂正後誤り率特性を選択する表示特性選択手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の地上デジタル放送用フィールド測定装置。
【請求項3】
前記表示器にグラフィック表示された誤り率特性における時間位置を表示画面上で指定する時間位置指定手段(59)と、
この時間位置指定手段にて指定された時間位置における前記4つの復調状況における各復調状況の正常異常を前記表示器に表示する復調状況表示手段と、
前記表示器にグラフィック表示された誤り率特性における前記時間位置指定手段にて指定された時間位置の誤り率の値を前記表示器に表示する誤り率値表示手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の地上デジタル放送用フィールド測定装置。
【請求項4】
前記入力された地上デジタル放送信号の電界強度を測定する電界強度測定部(8)と、
この電界強度測定部で測定された電界強度の経時変化を電界強度特性(50)として前記表示器に、前記誤り率特性と共に、グラフィック表示する電界強度特性表示手段(42)と
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の地上デジタル放送用フィールド測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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