説明

地上式と地下式の混合型駐車装置とその入出庫方法

【課題】地上式駐車装置と地下式駐車装置からなり、かつ車両が入出庫する入出庫口を共通にできる地上式と地下式の混合型駐車装置とその入出庫方法を提供する。
【解決手段】車両1が水平に走行して入出庫する入出庫高さFLから鉛直に上昇する第1エレベータ12により車両用の複数の第1パレット14を入出庫高さFLより上方に収容する地上式駐車装置10と、入出庫高さFLから下方に鉛直に下降する第2エレベータ22により車両用の複数の第2パレット24を入出庫高さFLより下方に収容する地下式駐車装置20とを備える。入出庫高さFLにおいて、地上式駐車装置の入出庫部11と地下式駐車装置の入出庫部21を連続して配置し、車両1が外部より地下式駐車装置の入出庫部21に入退場する第1開口32aが、地下式駐車装置の入出庫部の外壁32に設けられ、車両1が地上式駐車装置の入出庫部11に入退場する第2開口32bが、地下式駐車装置の入出庫部11との中間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に係り、さらに詳しくは、地上式駐車装置と地下式駐車装置からなる混合型駐車装置とその入出庫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置は、地上式駐車装置と地下式駐車装置に大別される。
この明細書において、「地上式駐車装置」とは、車両が格納される位置が主として地上である機械式駐車装置を意味し、例えば、垂直循環方式、エレベータ方式、等が含まれる。また、「地下式駐車装置」とは、車両が格納される位置が主として地下である機械式駐車装置を意味し、例えば、多層循環方式、水平循環方式、等が含まれる。さらに多層循環方式と水平循環方式は、それぞれ円形循環式と箱型循環式とがある。
【0003】
従来、車両の収容能力を拡大し、かつ用地の有効利用を図るために、2台以上の機械式駐車装置を連結又は近接させて設置することがある。
このように2台以上の機械式駐車装置からなる駐車装置を、以下、「混合型駐車装置」と呼ぶ。かかる混合型駐車装置は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0004】
特許文献1の複合型駐車装置は、エレベータ方式駐車装置と垂直循環方式駐車装置とを並列に連続して組み立てられたものである。
特許文献2の混合型駐車装置は、垂直循環方式駐車装置とエレベータ方式駐車装置のそれぞれの1階部分に自動車が通過する連結口を備え、1階部分に設けた入出庫口からそれぞれの駐車装置に入出庫できるようにしたものである。
特許文献3の横列型バース付きエレベータ式駐車装置は、2基のエレベータ式駐車装置の間に共通バースを備え、該バース内に入出庫した車両を横送り機構により、2基のエレベータ式駐車装置に入出庫できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−293028号公報、「複合型駐車装置」
【特許文献2】特開2001−207669号公報、「垂直循環式と昇降式の混合型駐車装置」
【特許文献3】特許第4030049号公報、「横列型バース付きエレベータ式駐車装置の入出庫方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、車両の収容能力を拡大し、かつ設置スペースの有効利用を図るために、地上式駐車装置と地下式駐車装置からなる混合型駐車装置が要望されている。
しかし、従来の混合型駐車装置は、すべて地上式駐車装置のみ(例えばエレベータ方式駐車装置と垂直循環方式駐車装置)で構成されており、地上式駐車装置と地下式駐車装置からなる混合型駐車装置は存在しなかった。
【0007】
また、利用者の利便性から、車両を入出庫する入出庫口は、混合型駐車装置であっても同一箇所であるのが望ましい。
さらに、車両を入庫又は出庫させる際に、利用者が緊張することなく気軽かつ迅速に車両に乗り降りすることができることが望ましい。
【0008】
本発明は、このような要望に応えるために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、地上式駐車装置と地下式駐車装置からなり、かつ車両が入出庫する入出庫口を共通にできる地上式と地下式の混合型駐車装置とその入出庫方法を提供することにある。
また本発明の第2の目的は、入出庫口において閉鎖された機械装置内に直接乗り入れる必要がなく、利用者が圧迫感のない開放的な空間において、緊張することなく気軽かつ迅速に車両に乗り降りすることができる地上式と地下式の混合型駐車装置とその入出庫方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、車両が水平に走行して入出庫する入出庫高さから鉛直に上昇する第1エレベータを有し、該第1エレベータにより車両用の複数の第1パレットを入出庫高さより上方に収容する地上式駐車装置と、
前記入出庫高さから下方に鉛直に下降する第2エレベータを有し、該第2エレベータにより車両用の複数の第2パレットを入出庫高さより下方に収容する地下式駐車装置と、を備え、
前記入出庫高さにおいて、前記地上式駐車装置の入出庫部と前記地下式駐車装置の入出庫部を連続して配置し、
車両が外部より前記地下式駐車装置の入出庫部に入退場する第1開口が、前記地下式駐車装置の入出庫部の外壁に設けられ、
車両が前記地上式駐車装置の入出庫部に入退場する第2開口が、前記地下式駐車装置の入出庫部との中間に設けられた、ことを特徴とする地上式と地下式の混合型駐車装置が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記の地上式と地下式の混合型駐車装置を備え、
車両が前記地下式駐車装置の第2エレベータ上の第2パレットを通過し、前記第2開口を通り抜けて、前記地上式駐車装置の第1エレベータ上の第1パレットに入出庫する、ことを特徴とする地上式と地下式の混合型駐車装置の入出庫方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の装置と方法によれば、車両は第1開口から地下式駐車装置の入出庫部に入出庫し、地下式駐車装置の第2エレベータ上の第2パレット上を通過し、第2開口を通り抜けて、地上式駐車装置の第1エレベータ上の第1パレット上に入出庫することができる。
【0012】
従って、地上式駐車装置と地下式駐車装置からなる混合型駐車装置において、車両が入出庫する入出庫口を共通にできる。

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による混合型駐車装置の第1実施形態図である。
【図2】図1の装置の入出庫高さにおける平面図である。
【図3】図1の装置の入出庫方法を示す説明図である。
【図4】本発明による混合型駐車装置の第2実施形態図である。
【図5】図4の装置の入出庫高さにおける平面図である。
【図6】図4の装置の入出庫方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明による混合型駐車装置の第1実施形態図である。
この図において、本発明の混合型駐車装置は、地上式駐車装置10及び地下式駐車装置20を備える。
また、本発明の混合型駐車装置は、地上式駐車装置10及び地下式駐車装置20を制御する制御装置(図示せず)を備えている。
なおこの例において、車両1の入出庫方向は、紙面に平行である。
【0016】
地上式駐車装置10は、車両1が水平に走行して入出庫する入出庫高さFLから鉛直に上昇する第1エレベータ12を有し、第1エレベータ12により車両用の複数の第1パレット14を入出庫高さFLより上方に収容する。
【0017】
入出庫高さFLは、この例では地上1階フロアであるが、その他のフロアであってもよい。
図1の実施形態において、地上式駐車装置10は、エレベータ方式の機械式駐車装置であるが、第1エレベータ12を有する限りで、その他の方式であってもよい。
車両1は、好ましく普通乗用車であるが、その他の車両であってもよい。
【0018】
地下式駐車装置20は、入出庫高さFLから下方に鉛直に下降する第2エレベータ22を有し、第2エレベータ22により車両用の複数の第2パレット24を入出庫高さFLより下方に収容する。
図1の実施形態において、地下式駐車装置20は、水平循環方式箱型循環式の機械式駐車装置であるが、第2エレベータ22を有する限りで、その他の方式であってもよい。
【0019】
地上式駐車装置10で用いる第1パレット14と、地下式駐車装置20で用いる第2パレット24は、車両1を載せることができる限りで相違してもよい。以下、第1パレット12と第2パレット24の両方又はいずれか一方を意味する場合は、単に「パレット」と呼ぶ。
【0020】
図1において、入出庫高さFLにおいて、地上式駐車装置10の入出庫部11と地下式駐車装置20の入出庫部21は連続して配置されている。
また、車両1が外部より地下式駐車装置20の入出庫部21に入退場する第1開口32aが、地下式駐車装置20の入出庫部21の外壁32に設けられている。
さらに、車両1が地上式駐車装置10の入出庫部11に入退場する第2開口32bが、地下式駐車装置20の入出庫部21との中間に設けられている。
【0021】
この例において、第1開口32aと第2開口32bは、車両1の入出庫方向に直線的に並んでいる。しかし、本発明はこれに限定されず、第2開口32bが車両1の入出庫方向に対し直交してもよい。
【0022】
また、図1において、第2開口32bには中間扉38が設けられ、第1開口32aには入出庫扉36が設けられている。中間扉38と入出庫扉36は、自動開閉扉であり、上述した制御装置(図示せず)により制御される。
【0023】
さらに、入出庫部11の第1パレット14と入出庫部21の第2パレット24の間には、入出庫高さFLに固定床15が設けられ、車両1が地下式駐車装置20の第2エレベータ22上の第2パレット24上を通過し、第2開口32bを通り抜けて、地上式駐車装置10の第1エレベータ12上の第1パレット14上に直接入出庫できるようになっている。
【0024】
図2(A)は、図1の装置の入出庫高さにおける平面図である。
図2(A)において、第2エレベータ22は、第2パレット24を載せたまま車両1の乗り入れ方向の角度を変更させるために、入出庫部21で第2エレベータ22上の第2パレット24を水平に旋回する旋回機構28を備える。この旋回機構28は、従来周知の機構、例えば歯車による旋回機構を用いることができる。
【0025】
旋回機構28は、第2エレベータ22上の第2パレット24を床板34と干渉しないように上昇した後に旋回し、旋回後に下降するようになっている。
この例において、下降位置は、車両1の入出庫方向とこれに直交する方向である。従って、第2パレット24の長手方向は、車両1の入出庫方向に向く位置と、これに直交する方向に向く位置の2箇所に位置することができる。
【0026】
第2パレット24が入出庫方向に位置する場合、これに直交する方向の一部に、床板34がないスペースが生じる。また、第2パレット24が入出庫方向に直交する方向に位置する場合、入出庫方向の一部に、床板34がないスペースが生じる。
これらのスペースは、図示しない可動床により、床板34と同一高さに閉鎖するようになっているのが好ましい。
なお、装置が動作中であり、人は立ち入らない場合に生じるスペースには、可動床を省略してもよい。
【0027】
図2(B)は、図2(A)に対応する別の実施形態を示す平面図である。
この例では、地上式駐車装置10と地下式駐車装置20における収納時の車両1の向き(前後方向)が同一であり、第2パレット24を旋回させずに、地下式駐車装置20に収納できるようになっている。
この場合、第2パレット24は常に入出庫方向に位置するので、床板34がないスペースは生じず、上述した可動床を省略することができる。
その他の構成は、図2(A)と同様である。
【0028】
図3は、図1の装置の入出庫方法を示す説明図である。
(地上式駐車装置10への入出庫)
図3(A)(B)は地上式駐車装置10への車両1の入出庫状態を示している。
図3(A)において、入出庫部21内の第2エレベータ22上の第2パレット24は、その長手方向が入出庫方向に位置して待機している。
この状態において、車両1は地下式駐車装置20の第2エレベータ22上の第2パレット24上を通過し、第2開口32bを通り抜けて、地上式駐車装置10の第1エレベータ12上の第1パレット14上に直接入出庫することができる。
この際、入出庫扉36は開放され、車両1の運転者等が入出庫部21の外に出た後、入出庫扉36が全閉する。中間扉38は、入出庫扉36と別個に適宜開閉するのがよい。
【0029】
また第1エレベータ12は、好ましくは第1エレベータ12上の第1パレット14を水平に旋回する旋回機構(図示せず)を備え、図3(B)のように旋回させて、車両1の前輪側を出口側に向けて収納するようになっている。
【0030】
(地下式駐車装置20への入出庫)
図3(A)(C)は地下式駐車装置20への車両1の入出庫状態を示している。
図3(A)において、入出庫部21内の第2エレベータ22上の第2パレット24は、その長手方向が入出庫方向に位置して待機している。
【0031】
(入庫時)
入出庫高さFLにおいて、入出庫部21内の第2エレベータ22上の第2パレット24に車両1が走行して入庫する。この際、入出庫扉36は開放され、中間扉38は全閉されている。車両1の運転者等が入出庫部21の外に出た後、入出庫扉36が全閉する。
次に、旋回機構28により、第2エレベータ22上の第2パレット24を水平に90度旋回させ、第2パレット24の長手方向を入出庫方向に対して90度の向きにする。
次いで、第2エレベータ22が下降し、地下式駐車装置20に車両1を載せた第2パレット24を収容する。
【0032】
(出庫時)
第2エレベータ22により地下式駐車装置20から車両1を載せた第2パレット24を入出庫高さFLまで上昇させる。この際、入出庫扉36と中間扉38は全閉されている。
次に、旋回機構28により、第2エレベータ22上の第2パレット24を水平に90度旋回させ、第2パレット24の長手方向を入出庫方向の向きにする。この際、車両1の前輪側を入出庫扉36側に向けるのが好ましい。
次いで、入出庫扉36が全開し、車両1の運転者等が入出庫部21に入り、第2エレベータ22上の第2パレット24から車両1を走行して出庫する。
【0033】
上述した第1実施形態の装置によれば、車両1は第1開口32aから地下式駐車装置20の入出庫部21に入出庫し、地下式駐車装置20の第2エレベータ22上の第2パレット24上を通過し、第2開口32bを通り抜けて、地上式駐車装置10の第1エレベータ12上の第1パレット14上に入出庫することができる。
【0034】
従って、地上式駐車装置10と地下式駐車装置20からなる混合型駐車装置において、車両1が入出庫する入出庫口を共通にできる。
【0035】
図4は、本発明による混合型駐車装置の第2実施形態図である。
この図において、本発明の混合型駐車装置は、地上式駐車装置10、地下式駐車装置20、共通バース30、及び水平移載装置40を備える。
また、本発明の混合型駐車装置は、地上式駐車装置10、地下式駐車装置20、共通バース30、及び水平移載装置40を制御する制御装置(図示せず)を備えている。
なおこの例において、車両1の入出庫方向は、紙面に垂直である。
【0036】
地上式駐車装置10は、上述した第1実施形態と同様である。
【0037】
入出庫高さFLは、この例では地上1階フロアであるが、その他のフロアであってもよい。またこの例で、第1エレベータ12の入出庫高さFL1は、後述する理由により、入出庫高さFLよりも高くなっているが、この場合を含めて以下入出庫高さFLと呼ぶ。
【0038】
地下式駐車装置20は、上述した第1実施形態と同様である。
【0039】
共通バース30は、入出庫高さFLにおいて、地下式駐車装置20の第2エレベータ22を内側に収容し、第2エレベータ22上のパレット(第1パレット12又は第2パレット24)に車両1が直接入出庫可能に構成されている。
【0040】
水平移載装置40は、入出庫高さFLにおいて、第2エレベータ22の上と第1エレベータ12の上との間で第1パレット12を水平に移載可能に構成されている。
すなわちこの例では、入出庫高さFLの第2エレベータ22の上と、入出庫高さFL1の第1エレベータ12の上との間で第1パレット12を水平に移載可能に構成されている。
【0041】
図5は、図4の装置の入出庫高さにおける平面図である。この図において、(A)は図4に対応する平面図、(B)は別の実施形態を示す平面図である。
【0042】
図5(A)(B)において、第1エレベータ12は、入出庫高さFLにおいて、その上とこれに幅方向に隣接する第1隣接位置aとの間で、第1パレット14を幅方向に横送りする第1横送り機構16を有する。第1横送り機構16は、従来周知の機構、例えばいわゆるトンボ機構又はチェーン駆動を用いることができる。
【0043】
また、第2エレベータ22は、入出庫高さFL1において、その上とこれに幅方向に隣接する第2隣接位置bとの間で、第1パレット14を幅方向に横送りする第2横送り機構26を有する。第2横送り機構26は、従来周知の機構、例えばいわゆるトンボ機構又はチェーン駆動を用いることができる。
【0044】
さらに、水平移載装置40は、第1隣接位置aと第2隣接位置bとの間で、水平移動可能な水平移動台車42を有する。
【0045】
図5(A)において、第1隣接位置aと第2隣接位置bとの間に図示しない水平レールが設けられ、水平移動台車42を第1パレット14の幅方向に水平移動させるようになっている。
また図5(B)において、第1隣接位置aと第2隣接位置bとの間に図示しない水平レールが設けられ、水平移動台車42を第1パレット14の長手方向に水平移動させるようになっている。
水平移動台車42を移動させる駆動機構は、従来周知の機構、例えばいわゆるトンボ機構、車輪のモータ駆動又はチェーン駆動を用いることができる。
【0046】
なお、本発明は上述した構成に限定されず、上述した第1横送り機構16と第2横送り機構26の代わりに、水平移動台車42に第1パレット14を幅方向に横送りする横送り機構(図示せず)を設けてもよい。
【0047】
図5(A)(B)において、共通バース30は、第2エレベータ22を囲む外壁32、外壁32と第2エレベータ22の間の床板34、入出庫扉36及び中間扉38を備える。
【0048】
床板34の上面は、入出庫高さFLに位置し、第2エレベータ22上のパレット(第1パレット12又は第2パレット24)の車両1の載る面も入出庫高さFLに位置する。
外壁32の内面と第2エレベータ22との間隔は、利用者が圧迫感のない開放的な空間において、緊張することなく気軽かつ迅速に車両1に乗り降りすることができるように設定されている。
【0049】
外壁32は、第2エレベータ22上のパレット12,24の長手方向に車両1が入出庫可能な第1開口32aを有する。入出庫扉36はこの第1開口32aを開閉するようになっている。
また、外壁32は、第1隣接位置aと第2隣接位置bとの間で車両1が通過可能な第2開口32bを有する。中間扉38はこの第2開口32bを開閉するようになっている。
なお図5(A)において、第1開口32aと入出庫扉36は、パレット12,24の長手方向の両側に設けているが、一方のみでもよい。
【0050】
図6は、図4の装置の入出庫方法を示す説明図である。この図において、図6(A)は車両1の入出庫状態を示している。この図に示すように、入出庫高さFLにおいて、共通バース30内の第2エレベータ22上のパレット(第1パレット12又は第2パレット24)に車両1が直接入出庫する。
この際、床板34の上面は、入出庫高さFLと同じ高さであり、第2エレベータ22上のパレット(第1パレット12又は第2パレット24)の車両1の載る面も入出庫高さFLに位置する。
【0051】
従って、共通バース30内の入出庫口において利用者(例えば車両1の運転者)は、地上式駐車装置10又は地下式駐車装置20のように閉鎖された機械装置内に直接乗り入れる必要がなく、利用者が圧迫感のない開放的な空間(共通バース30内)において、緊張することなく気軽かつ迅速に車両1から降り、或いは車両1に乗ることができる。
【0052】
先ず、図6(A)を用いて、地下式駐車装置20への車両1の入出庫方法を説明する。
なお地下式駐車装置20(この例では水平循環方式箱型循環式の機械式駐車装置)における装置の作動は、従来と同様である。
【0053】
(入庫時)
入出庫高さFLにおいて、共通バース30内の第2エレベータ22上の第2パレット24に車両1が走行して入庫する。この際、入出庫扉36は開放され、中間扉38は全閉されている。車両1の運転者等が共通バース30の外に出た後、入出庫扉36が全閉する。
次いで、第2エレベータ22が下降し、地下式駐車装置20に車両1を載せた第2パレット24を収容する。
【0054】
(出庫時)
第2エレベータ22により地下式駐車装置20から車両1を載せた第2パレット24を入出庫高さFLまで上昇させる。この際、入出庫扉36と中間扉38は全閉されている。
次に、入出庫扉36が全開し、車両1の運転者等が共通バース30に入り、第2エレベータ22上の第2パレット24から車両1を走行して出庫する。
【0055】
図6(B)は水平移載装置40による第2エレベータ22の上から第1エレベータ12の上へ第1パレット14を移載する状態、(C)は第1エレベータ12により地上式駐車装置10に車両1を載せた第1パレット14を収容する状態を示す図である。
【0056】
以下、図6(A)(B)(C)を用いて、地上式駐車装置10への車両1の入出庫方法を説明する。
なお地上式駐車装置10(この例ではエレベータ方式の機械式駐車装置)における装置の作動は、従来と同様である。
【0057】
(入庫時)
図6(A)に示すように、入出庫高さFLにおいて、共通バース30内の第2エレベータ22上の第1パレット14に車両1が走行して入庫する。この際、入出庫扉36は開放され、中間扉38は全閉されている。車両1の運転者等が共通バース30の外に出た後、入出庫扉36が全閉し、中間扉38が全開する。
次に、図6(B)に示すように、水平移載装置40により第2エレベータ22上から第1エレベータ12上へ第1パレット14を水平に移載する。なおこの際、水平移載装置40に合わせて第2エレベータ22を上昇させることが好ましい。
次いで、図6(C)に示すように、第1エレベータ12により地上式駐車装置10に車両1を載せた第1パレット14を収容する。
【0058】
(出庫時)
図6(C)に示すように、第1エレベータ12により地上式駐車装置10から車両1を載せた第1パレット14を入出庫高さFL1まで下降させる。
次に、図6(B)に示すように、中間扉38が全開し、水平移載装置40により第1エレベータ12上から第2エレベータ22上へ第1パレット14を水平に移載する。なおこの際、水平移載装置40に合わせて第2エレベータ22を上昇させることが好ましい。
次いで、図6(A)に示すように、第2エレベータ22を入出庫高さFLまで下降させ、中間扉38を全閉する。
次に、入出庫扉36が全開し、車両1の運転者等が共通バース30に入り、第2エレベータ22上の第1パレット14から車両1を走行して出庫する。
【0059】
上述した第2実施形態の装置と方法によれば、入出庫高さFLにおいて、共通バース30内の第2エレベータ22上のパレット(第1パレット14又は第2パレット24)に車両1を入出庫するので、車両1を入出庫する入出庫口が共通であり、入出庫口において閉鎖された機械装置内に直接乗り入れる必要がなく、利用者が圧迫感のない開放的な空間において、緊張することなく気軽かつ迅速に車両1に乗り降りすることができる。
【0060】
なお、上述の例では、共通バース30内の床板34に開口を設けないように、第1エレベータ12の入出庫高さFL1は入出庫高さFLよりも高くなっている。
しかし、この構成は必須ではなく、第1エレベータ12の入出庫高さFL1を入出庫高さFLと同一とし、床板34の一部を可動式にしてもよい。
【0061】
上述した第2実施形態の装置と方法によれば、入出庫高さFLにおいて、共通バース30内の第2エレベータ22上のパレット(第1パレット14又は第2パレット24)に車両1を入出庫するので、車両1を入出庫する入出庫口が共通であり、入出庫口において閉鎖された機械装置内に直接乗り入れる必要がなく、利用者が圧迫感のない開放的な空間において、緊張することなく気軽かつ迅速に車両1に乗り降りすることができる。
【0062】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 車両、10 地上式駐車装置、11 入出庫部、
12 第1エレベータ、14 第1パレット、15 固定床、
16 第1横送り機構、17 第1縦送り機構、
20 地下式駐車装置、21 入出庫部、22 第2エレベータ、
24 第2パレット、26 第2横送り機構、
27 第2縦送り機構、28 旋回機構、
30 共通バース、32 外壁、
32a 第1開口、32b 第2開口、
34 床板、36 入出庫扉、38 中間扉、
40 水平移載装置、42 水平移動台車、
44 水平フリーローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が水平に走行して入出庫する入出庫高さから鉛直に上昇する第1エレベータを有し、該第1エレベータにより車両用の複数の第1パレットを入出庫高さより上方に収容する地上式駐車装置と、
前記入出庫高さから下方に鉛直に下降する第2エレベータを有し、該第2エレベータにより車両用の複数の第2パレットを入出庫高さより下方に収容する地下式駐車装置と、を備え、
前記入出庫高さにおいて、前記地上式駐車装置の入出庫部と前記地下式駐車装置の入出庫部を連続して配置し、
車両が外部より前記地下式駐車装置の入出庫部に入退場する第1開口が、前記地下式駐車装置の入出庫部の外壁に設けられ、
車両が前記地上式駐車装置の入出庫部に入退場する第2開口が、前記地下式駐車装置の入出庫部との中間に設けられた、ことを特徴とする地上式と地下式の混合型駐車装置。
【請求項2】
前記第2開口には中間扉を、前記第1開口には入出庫扉を、備えたことを特徴とする請求項1に記載の混合型駐車装置。
【請求項3】
前記第2エレベータは、第2パレットを載せたまま車両の乗り入れ方向の角度を変更させるために旋回する旋回機構を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の混合型駐車装置。
【請求項4】
前記入出庫高さにおいて、前記地下式駐車装置の第2エレベータを内側に収容し、該第2エレベータ上の第1パレット又は第2パレットに車両が直接入出庫可能な共通バースと、
前記入出庫高さにおいて、前記第2エレベータ上と第1エレベータ上との間で前記第1パレットを水平に移載可能な水平移載装置と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の混合型駐車装置。
【請求項5】
前記第1エレベータは、前記入出庫高さにおいて、その上とこれに幅方向に隣接する第1隣接位置との間で、前記第1パレットを幅方向に横送りする第1横送り機構を有し、
前記第2エレベータは、前記入出庫高さにおいて、その上とこれに幅方向に隣接する第2隣接位置との間で、前記第1パレットを幅方向に横送りする第2横送り機構を有し、
前記水平移載装置は、前記第1隣接位置と第2隣接位置との間で、水平移動可能な水平移動台車を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の混合型駐車装置。
【請求項6】
前記第1エレベータは、前記入出庫高さにおいて、その上の前記第1パレットを長手方向に縦送りする第1縦送り機構を有し、
前記第2エレベータは、前記入出庫高さにおいて、その上の前記第1パレットを長手方向に縦送りする第2縦送り機構を有し、
前記水平移載装置は、前記入出庫高さにおいて、前記第1エレベータと前記第2エレベータの間で、前記第1パレットを長手方向に縦送り可能に支持する水平フリーローラを有する、ことを特徴とする請求項4に記載の混合型駐車装置。
【請求項7】
請求項1に記載の地上式と地下式の混合型駐車装置を備え、
車両が前記地下式駐車装置の第2エレベータ上の第2パレットを通過し、前記第2開口を通り抜けて、前記地上式駐車装置の第1エレベータ上の第1パレットに入出庫する、ことを特徴とする地上式と地下式の混合型駐車装置の入出庫方法。
【請求項8】
請求項4に記載の地上式と地下式の混合型駐車装置を備え、
(A)前記入出庫高さにおいて、共通バース内の第2エレベータ上の第2パレットに車両が走行して入庫し、該第2エレベータにより地下式駐車装置に車両を載せた第2パレットを収容し、
(B)前記第2エレベータにより地下式駐車装置から車両を載せた第2パレットを前記入出庫高さまで上昇させ、第2エレベータ上の第2パレットから車両が走行して出庫し、
(C)前記入出庫高さにおいて、共通バース内の第2エレベータ上の第1パレットに車両が走行して入庫し、前記水平移載装置により前記第2エレベータ上から第1エレベータ上へ前記第1パレットを水平に移載し、次いで第1エレベータにより地上式駐車装置に車両を載せた第1パレットを収容し、
(D)前記第1エレベータにより地上式駐車装置から車両を載せた第1パレットを前記入出庫高さまで下降させ、前記水平移載装置により前記第1エレベータ上から第2エレベータ上へ前記第1パレットを水平に移載し、次いで第2エレベータ上の第1パレットから車両が走行して出庫する、ことを特徴とする地上式と地下式の混合型駐車装置の入出庫方法。
【請求項9】
前記(C)(D)において、第1パレットの水平移載の前に、水平移載装置に合わせて第2エレベータを上昇させる、ことを特徴とする請求項8に記載の混合型駐車装置の入出庫方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−122211(P2012−122211A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272173(P2010−272173)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)