説明

地価算出システム

【課題】 地価の算出結果の信頼性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 ユーザの指示に従って、地図上の土地の位置である対象位置を特定する。さらに、価格と地図上の地点とを関連付ける価格地図データを参照して、対象位置の土地の価格の算出に利用可能な参照価格を特定する。次に、地図上における世帯の地理的な分布を表す世帯地図データを参照することによって、対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数と、参照価格に関連付けられた地点である参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数と、を算出する。こうして得られた、参照価格と、対象世帯数と、参照世帯数と、を用いて参照世帯数に対する対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように、対象位置の土地の価格を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地価を算出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子地図データを利用する技術として土地の価格(以下「地価」とも呼ぶ)の鑑定を行う技術がある。例えば、公示価格を地図上の位置座標と関連付けて格納するデータを参照し、鑑定対象地点の最寄りの公示価格を特定することによって、鑑定対象地点の価格を算出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−73239号公報
【特許文献2】特開2001−249989号公報
【特許文献3】特開2000−76349号公報
【0004】
ところで、地価の鑑定には高い信頼性が要求される。そこで、公示価格等の公的に定められた価格や、実際に取引された価格等の基準となる価格に基づいて地価の鑑定が行われる。ところが、土地の価値は、その土地の状況によって大きく異なる場合がある。その結果、鑑定結果の信頼性を向上させることは、必ずしも容易ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、地価の算出結果の信頼性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明による地価算出装置は、地価を算出する地価算出装置であって、ユーザの指示に従って、地図上の土地の位置である対象位置を特定する対象位置特定部と、前記地図上の地点である価格地点を表す価格地点情報と、前記価格地点における土地の価格を表す価格情報と、を関連付ける価格地図データと、前記地図上における世帯の地理的な分布を表す世帯地図データと、を格納するデータ格納部と、前記価格地図データで定められた複数の価格の中から、前記対象位置の土地の価格の算出に利用可能な参照価格を特定する参照価格特定部と、前記世帯地図データを参照することによって、前記対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数と、前記参照価格に関連付けられた地点である参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数と、を算出する世帯数算出部と、前記参照価格と、前記対象世帯数と、前記参照世帯数と、を用いて前記対象位置の土地の価格を算出する価格算出部と、を備え、前記価格算出部は、前記対象位置の土地の価格を、前記参照世帯数に対する前記対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように決定する。
【0007】
この地価算出装置によれば、対象位置の地価は、参照地点の地価に基づいて算出されるともに、参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数に対する、対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように算出されるので、地価の算出結果の信頼性を向上させることができる。
【0008】
上記地価算出装置において、前記データ格納部は、さらに、前記地図上の路線の区間を表す路線区間情報と、前記路線区間の路線価を表す路線価情報と、を関連付ける路線価地図データを格納し、前記地価算出装置は、さらに、前記路線価地図データを参照することによって、前記対象位置と前記参照地点とのそれぞれに対して路線価を取得する路線価取得部を備え、前記価格算出部は、前記対象位置の土地の価格を、前記参照地点の路線価に対する前記対象位置の路線価の割合が小さいほど低くなるように決定することとしてもよい。
【0009】
この構成によれば、対象位置の地価は、参照地点の路線価に対する対象位置の路線価の割合が小さいほど低くなるように算出されるので、地価の算出結果の信頼性を向上させることができる。
【0010】
なお、本発明は種々の形態で実現することが可能であり、例えば、地価算出方法および地価算出装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
B.変形例:
【0012】
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としての地価算出システム300の構成を示す説明図である。この地価算出システム300は、インターネットINETを介して接続された、クライアントコンピュータ100と、Webサーバ200と、を有している。
【0013】
クライアントコンピュータ100では、Webブラウザ(以下、単に「ブラウザ」とも呼ぶ)が動作している。Webブラウザは、Webサーバ200からWebページを取得し、モニタMにWebページを表示する。ユーザは、Webブラウザを操作することによって、Webサーバ200に対して、地価を算出させるための種々の指示を行うことができる。なお、クライアントコンピュータ100はCPUとメモリとを有しており、コンピュータプログラムを実行することによって、Webブラウザとしての機能を実現する。
【0014】
Webサーバ200は、データ処理部210と、通信部250と、データ格納部270と、を備えている。データ処理部210は、クライアントコンピュータ100からの要求に応じて地価の算出を行い、さらに、算出結果を表示するWebページを送信する。通信部250は、インターネットINETとデータ処理部210とのデータのやり取りを仲介する。データ格納部270は、Webページを表すWebページデータと、地価の算出に用いる種々のデータとを格納する。図1の例では、地図データ400と、種別テーブル500と、独自価格テーブル510と、標準化補正係数テーブル530と、を格納している。地図データ400は、地図レイヤ410と、用途レイヤ420と、公的価格レイヤ430と、路線価レイヤ440とを含んでいる。各データの詳細については、後述する。なお、データ格納部270としては、HDDやRAM等の種々のメモリを用いることができる。また、本実施例では、Webページデータは、HTML(Hyper Text Markup Language)で記述されている。ただし、Webページデータの形式としては、他の任意の形式(例えば、Java(Sun Microsystems社の商標))を採用してもよい。
【0015】
図1には、データ処理部210の内部構成が示されている。本実施例のデータ処理部210は、Webデータ処理部212と、対象位置特定部214と、種別特定部216と、参照価格特定部218と、世帯数算出部220と、路線価取得部222と、地価算出部224と、を備えている。データ処理部210はCPUとメモリとを有しており、コンピュータプログラムを実行することによって各構成要素の機能を実現する。各構成要素の機能の詳細については後述する。
【0016】
データ処理部210が実行するコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給され得る。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。なお、データ処理部210の機能の一部、または、全部をハードウェアによって実現してもよい。
【0017】
図2は、地価算出システム300が地価の算出を行う処理の手順を示すフローチャートである。ステップS100では、クライアントコンピュータ100が、地価を算出するためのWebページの閲覧要求を、Webサーバ200へ送信する。このような閲覧要求は、例えば、ブラウザにおいて、ユーザが所定のURL(Uniform Resource Locator)を入力した場合や、ユーザがWebページへのリンク(HTMLでは「ハイパーリンク」とも呼ばれる)を操作した場合に、送信される。
【0018】
次のステップS110では、Webサーバ200において、Webデータ処理部212が、閲覧要求を受信するとともに、閲覧要求で指定されたWebページデータをクライアントコンピュータ100に送信する。具体的には、Webデータ処理部212は、地価算出の対象となる物件(以下「対象物件」と呼ぶ)に関する情報を入力するための入力画面を表すWebページデータを送信する。すると、クライアントコンピュータ100では、ブラウザがWebページデータを受信し、その内容を表示する(ステップS120)。
【0019】
図3は、入力画面の一例を示す説明図である。この入力画面ISは、住所領域AAと、土地面積フィールドSFと、OKボタンOBと、を有している。住所領域AAは、ユーザが、対象物件の住所を指定するための複数の入力フィールドを有している。具体的には、都道府県フィールドF1と、市区町村フィールドF2と、大字フィールドF3と、字丁目フィールドF4と、街区フィールドF5と、番地フィールドF6とを有している。このように、図3の例では、ユーザは、対象物件の住所を、行政区画に基づく複数の階層に分けて指定することが可能である(以下、各階層のことを「住所区分」と呼ぶ)。
【0020】
ステップS130では、ユーザが、対象物件の住所を入力する。図4は、ユーザが住所を入力する様子を示す説明図である。ユーザは、住所領域AAの各フィールドF1〜F6を操作することによって、各階層の住所区分を上位から順番に指定することができる。
【0021】
ユーザは、まず、最上位である都道府県フィールドF1を操作することができる。都道府県フィールドF1を操作すると、選択可能な都道府県名の一覧が表示される(図4(A))。ユーザは、これらの選択肢の中の1つを指定することができる。図4(A)では、指定された選択肢(この例では「A県」)が2重線枠で囲まれて表示されている。
【0022】
次に、ユーザは、1つ下位の市区町村フィールドF2を操作することができる。市区町村フィールドF2を操作すると、選択可能な市区町村名の一覧が表示される(図4(B))。これらの選択肢は、都道府県フィールドF1で指定された「A県」内に含まれているものである。ユーザは、「都道府県」と同様に、これらの選択肢の中の1つを指定することができる。図4(B)では、「B5市」が指定されている。
【0023】
以後、ユーザは、残りのフィールドF3〜F6を上位から順番に操作することによって、対象物件の住所を指定することができる。この際、各フィールドF3〜F6を操作すると、市区町村フィールドF2と同様に、1つ上位の選択肢が表す住所区分に含まれている選択肢の一覧が表示される。このような選択肢の一覧は、Webページデータに予め組み込んでおいてもよく、また、適宜、Webサーバ200(図1)がクライアントコンピュータ100へ送信することとしてもよい。本実施例では、ユーザが1つの階層の住所区分を指定するたびに、ブラウザが、指定された選択肢を表す指定選択肢情報をWebサーバ200へ送信することとしている。さらに、Webサーバ200の対象位置特定部214は、1つ下位の階層の住所区分の選択肢一覧を表す選択肢一覧情報を送信する(図2:ステップS140)。選択肢を表す情報としては、例えば、選択肢を表す所定のコード番号や、選択肢を表すテキストデータ等を用いることができる。
【0024】
対象位置特定部214は、地図データ400の地図レイヤ410を参照することによって、住所区分の選択肢一覧を取得する。図4(C)には、地図レイヤ410の一例が示されている。この地図レイヤ410は、地図情報(道路や住宅等の地物の位置と形状)を所定の地理的な座標系(例えば、緯度bと経度a)で表すデータである。また、この地図レイヤ410は、地図上における種々の行政区画の名称と領域(位置と形状)とを関連付けて格納している。図4(C)には、地図レイヤ410に格納された複数の都道府県の領域が示されている。対象位置特定部214は、この地図レイヤ410を参照することによって、選択可能な都道府県の一覧を取得することができる。入力画面ISを表すWebページデータには、対象位置特定部214が取得した都道府県の一覧を表すデータが組み込まれている。なお、地図レイヤ410において、領域は多角形(「ポリゴン」とも呼ばれる)を用いて定められている。ただし、他の形式で領域を定めてもよい。
【0025】
また、図4(D)には、地図レイヤ410におけるA県の拡大図が示されている。このA県の内部には、A県内における市区町村の領域が示されている。地図レイヤ410は、各市区町村の名称と領域とを関連付けて格納している。対象位置特定部214は、地図レイヤ410を参照することによって、ユーザが指定した都道府県内の市区町村名の一覧を取得することができる。
【0026】
地図レイヤ410は、全ての階層における全ての住所区分の名称と領域とを関連付けて格納している。従って、対象位置特定部214は、地図レイヤ410を参照することによって、指定選択肢に応じた適切な選択肢を取得することができる。
【0027】
なお、住所区分と領域とを関連付けるデータ(以下「住所地図データ」とも呼ぶ)を、住所区分の階層毎に別のサブレイヤとしてデータ格納部270に格納することとしてもよい。例えば、都道府県に関するデータを格納する都道府県レイヤを用いることとしてもよい。これは、他の階層の住所区分に関しても同様である。いずれの場合も、各レイヤの領域は、共通の座標系で定められていることが好ましい。
【0028】
住所領域AAにおける全てのフィールドの選択肢が指定されたら、次のステップS150(図2)では、ユーザが対象物件の面積を、土地面積フィールドSFに入力する。
【0029】
ユーザが、対象物件の住所(以下「対象住所」と呼ぶ)と面積とを入力し、さらに、OKボタンOBを操作すると、対象住所を表す住所データと、面積を表す面積データとが、Webサーバ200へ送信される(ステップS160)。住所データとしては、例えば、各階層の指定選択肢を表す所定のコード番号の組み合わせを用いることができる。
【0030】
Webサーバ200(図1)では、住所データと面積データとに基づく地価の算出処理が実行される(ステップS170)。図5は、地価算出処理の手順を示すフローチャートである。この処理手順では、まず、対象物件の土地の種別が特定され、次に、土地の種別に応じて参照価格が特定され、最後に、参照価格に基づいて地価の算出が行われる。
【0031】
ステップS300では、対象位置特定部214(図1)は、対象物件の地理的な位置に関する対象地点を特定する。対象地点は、対象物件に対する土地の種別と参照価格とを特定するために用いられる地図上の地点である(詳細は後述)。本実施例では、地図レイヤ410には、各住所毎(最下位の住所区分である「番地」毎)に地理的な位置を代表する代表地点が1つ定められている。そこで、対象位置特定部214は、住所に関連付けられた代表地点を対象地点として採用する。なお、各代表地点は、各住所の領域内に設定される。
【0032】
次に、種別特定部216(図1)が、対象物件の土地の利用に関する種別を特定する。図6は、土地の種別を表す表である。本実施例では、都市計画法に基づいて定められた土地の区分に従って、土地の種別を分類している。図6に示すように、地図上の全ての土地は、「都市計画区域内」と「都市計画区域外」とに分けられる。「都市計画区域」には、「線引き区域」と「未線引き区域」との2種類がある。「線引き区域」には、「市街化区域」と「市街化調整区域」との2種類がある。市街化区域は、土地の用途に応じて複数の領域に分割され、各領域には、12種類の用途のうちのいずれかが設定される。一方、「未線引き区域」には、「用途区域」と「用途区域無し」との2種類がある。「用途区域」は、上述の「市街化区域」と同様に、土地の用途に応じて複数の領域に分割され、各領域には、12種類の用途のうちのいずれかが設定される。なお、12種類の用途は、大別して「住居系」「商業系」「工業系」の3種類に分類される。
【0033】
図6の表の最も右の列は、本実施例で種別特定部216(図1)が識別する土地の種別を表している。本実施例では、3種類の用途区域(「住居系」「商業系」「工業系」)と、「市街化調整区域」と、「未線引き区域の用途区域なし」と、「都市計画区域外」と、の6種類の種別を識別する。土地の種別としては、これ以外の定義も可能であるが、一般に、都市計画法で定められた土地の区分をより少数の種別にグループ分けしたものを用いることが好ましい。
【0034】
図7は、種別特定部216が対象物件の土地の種別を特定する様子を示す説明図である。図7(A)には地図画像が示されている。この地図画像は、地図レイヤ410に格納されている地図情報(道路や住宅等の地物)を示したものである。また、図7(A)には、対象地点の一例(2つの対象地点S1、S2)が示されている。各対象地点は、地図レイヤ410における座標で定められている。図7(A)の例では、対象地点S1の座標が(a1、b1)であり、対象地点S2の座標が(a2、b2)である。以下、対象地点S1が表す対象物件のことを対象物件S1とも呼ぶ。同様に、対象地点S2が表す対象物件のことを対象物件S2とも呼ぶ。
【0035】
図7(B)には、用途レイヤ420が示されている。用途レイヤ420は、都市計画法で定められた用途区域を表す領域とその用途とを関連付けて格納するデータである。具体的には、12種類の用途区域に関するデータを格納している。図7(B)の例では、4つの用途区域U1〜U4が示されている。なお、用途レイヤ420では、各領域は、地図レイヤ410と同じ座標系で表されたポリゴンを用いて定められている。
【0036】
図5のステップS310では、種別特定部216は、対象地点が用途レイヤ420で定められた用途区域内にあるか否かを判定する。用途区域内にある場合には、対象地点を含む用途区域に関連付けられた種別を、対象物件の土地の種別として採用する(ステップS320)。例えば、図7において、対象地点S1は、第一種住居地域U1内にある。従って、この対象地点(対象物件)S1に対しては、種別が「住居系」であると特定される。
【0037】
対象地点が用途区域内にない場合には、種別特定部216は、種別テーブル500を参照して種別を特定する(ステップS330)。図7(C)には、種別テーブル500の一例が示されている。この種別テーブル500は、「住所」と、「都市計画区域内か否か」と、「線引き区域か否か」と、「用途区域の指定の有無」と、を関連付けて格納するデータである。種別特定部216は、この種別テーブル500と、ユーザが指定した対象住所と、を用いて、対象物件の土地の種別を特定する。例えば、図7の例では、対象地点S2が用途区域の外にある。また、対象物件S2の住所が「A県B5市C7町D3丁目」である。そこで、種別特定部216は、種別テーブル500を参照し、この対象物件の種別を「都市計画区域外」であると特定する。なお、図7(C)の例では、「都市計画区域外」の住所に対しては、「線引き区域か否か」と、「用途区域の指定の有無」と、のデータを用いずに種別を特定することとしている。
【0038】
なお、本実施例では、種別テーブル500では、「字丁目」単位で種別が設定されている。また、種別特定部216は、種別テーブル500を参照して、用途区域の指定の無い3種類の種別「市街化調整区域」「未線引き区域の用途区域無し」「都市計画区域外」を識別する。例えば、「都市計画区域内」で「線引き区域内」で「用途区域指定無し」の場合には、「市街化調整区域」であると特定することができる。なお、種別テーブル500において、住所と種別とを直接に関連つけてもよい。
【0039】
ここで、仮に、用途レイヤ420において、用途区域の指定のない部分(領域)を、さらに、種別と関連つけられた領域(ポリゴン)を用いて区分し、種別テーブル500を用いずに種別を特定することとする。すると、この拡張された仮の用途レイヤでは、仮の用途レイヤが表す土地の全範囲が種別に関連する領域(ポリゴン)で埋め尽くされることとなるので、そのデータ量は膨大となる。
【0040】
逆に、仮に、用途レイヤ420を用いずに、用途区域に関しても種別テーブルを用いて種別を特定することとする。ところが、都市計画法に基づいて定められる用途区域の指定は、地図上の領域を指定することによって行われている。例えば、道路の中心から一定の距離(例えば、200m)だけ離れた線を、用途区域の境界線として定める場合がある。従って、用途区域の修正や変更を行う際のオペレータの負担軽減を考慮すると、用途区域に関しては、地図上の領域を定めるデータ(用途レイヤ420)を用いて種別を特定することが好ましい。また、用途区域の境界線と、住所(例えば、最下位の住所区分である「番地」)の境界線とは、一致しない場合がある。従って、用途区域を表すデータの忠実性の担保という観点からも、用途区域の種別を、用途レイヤ420を用いて特定することが好ましい。
【0041】
そこで、本実施例では、種別特定部216は、用途区域に関しては、種別(用途)と地図上の領域(位置と形状)とを関連付けて格納する用途レイヤ420を参照して種別を特定する。また、用途区域の指定が無い地域に関しては、住所と種別とを関連付けて格納する種別テーブル500を参照して種別を特定する。その結果、種別を特定可能な地理的範囲を容易に拡張することができる。さらに、データ量が過剰に多くなることを防止し、また、地価算出システム300を管理するオペレータの負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0042】
対象物件の種別が特定されたら、次に、参照価格特定部218が、地価の算出に利用可能な価格である参照価格を特定する。図8は、参照価格を特定する様子を示す説明図である。図8(A)には、公的価格レイヤ430が示されている。公的価格レイヤ430は、地図上の地点と、その地点における公的に定められた土地の価格(以下「公的価格」と呼ぶ)と、を関連付けて格納するデータである。本実施例では、地価公示法に基づいて定められた公示価格と、国土利用計画法に基づいて定められた標準価格と、が用いられる。公示価格は標準地(「公示地」とも呼ばれる)を表す地図上の地点に関連つけられ、標準価格は基準地を表す地図上の地点に関連つけられている。以下、公的価格レイヤ430において価格が定められている地点を「公的価格地点」と呼ぶ。また、公的価格レイヤ430では、価格の単位は「千円/m2(1平方メートル当たりの千円単位の価格)」で表されている。なお、「公的に定められている」とは、公的機関(国または地方公共団体)によって定められていることを意味する。
【0043】
ステップS340(図5)では、参照価格特定部218は、対象地点との距離が所定のしきい値(例えば、3km)以下であり、かつ、土地の種別が対象物件の種別と同じであるという条件(以下「参照価格条件」と呼ぶ)を満たす公的価格地点が存在するか否かを判定する。参照価格条件を満たす公的価格地点が存在する場合には、参照価格特定部218は、参照価格条件を満たす公的価格地点の中の対象地点との距離が最も小さい地点の価格を参照価格として採用する(ステップS350)。例えば、図8では、対象地点S1との距離がしきい値内である領域C1内に2つの公的価格地点O1、O2が存在する。さらに、これらの公的価格地点O1、O2の種別は、対象物件S1と同じ「住居系」であり、いずれの地点O1、O2も、参照価格条件を満たしている。そこで、参照価格特定部218は、2つの公的価格地点O1、O2の中の、対象地点S1に最も近い地点O1を選択する。以下、公的価格地点O1は、「公示価格」を表すこととして説明を行う。
【0044】
なお、公的価格地点を検索する地理的な範囲(以下「価格地点検索範囲」と呼ぶ)としては、対象地点を中心とする円に限らず、対象地点に近い任意の範囲を採用することができる。例えば、対象地点を中心とし、一辺の長さが所定の長さ(例えば、4km)である四角の範囲内を検索することとしてもよい。なお、価格地点検索範囲内における対象地点との距離は、10km以下が好ましく、6km以下が特に好ましく、3km以下が最も好ましい。
【0045】
また、参照価格特定部218は、公的価格地点の種別を、対象地点と同様に、用途レイヤ420と種別テーブル500とを参照することによって特定することができる。また、公的価格地点の住所については、地図レイヤ410に格納された住所区分を参照することによって特定することができる。すなわち、地図レイヤ410と、用途レイヤ420と、種別テーブル500との全体が、「公的価格と土地の種別とを関連付けるデータ(価格種別データ)」に相当することとなる。ただし、公的価格と種別とを直接に関連付けるデータを用いることとしてもよい。
【0046】
参照価格条件を満たす範囲において公的価格地点が存在しない場合には、参照価格特定部218は、独自価格テーブル510を参照して参照価格を特定する(図5:ステップS360)。図8の例では、対象地点S2との距離がしきい値内である領域C2内に、種別が「都市計画区域外」である公的価格地点が存在しない。そこで、参照価格特定部218は、対象物件S2に対して、独自価格テーブル510を参照して参照価格を特定する。
【0047】
図8(B)には、独自価格テーブル510の一例が示されている。この独自価格テーブル510は、「住所」と「価格」と「代表地点」と「面積」とを関連付けて格納するデータである。参照価格特定部218は、この独自価格テーブル510と、ユーザが指定した対象住所と、を用いて、対象物件の参照価格を特定することができる。例えば、図8の例では、対象物件S2の住所が「A県B5市C7町D3丁目」であるので、参照価格が78.2千円/m2であると特定される。
【0048】
なお、この独自価格テーブル510で定められている価格は、公的に定められた価格とは独立に、独自の調査に基づいて定められた価格である。「公示価格」と「標準価格」とは、地図上に均等に分布しているわけではない。そこで、「公示価格」と「標準価格」とのいずれもが設定されていない地域については、予め、独自に価格調査を実施しておく。独自価格テーブル510には、このような調査結果に基づく価格と、その価格を適用する住所とを関連付けて格納しておく。なお、独自価格テーブル510では、価格が住所に関連付けられているので、Webサーバ200を管理するオペレータは、独自価格テーブル510の更新を容易に行うことができる。また、独自価格テーブル510の代表地点は、その価格を代表する地図上の地点を表しており、土地の利用状況や土地の形状等の属性が、その周辺地域における標準的なものである地点が採用される。また、面積としては、その周辺地域において取引される土地の標準的な面積が採用される。これらの代表地点と面積との利用方法については後述する。なお、図8(B)に示すように、複数の住所に対して、価格と代表地点と面積とを同じ値に設定してもよい。
【0049】
このように、参照価格特定部218は、公的な価格と地図上の地点とを関連付けて格納する公的価格レイヤ430を参照して参照価格を特定する。また、参照価格条件を満足する範囲内に公的価格地点が存在しない場合には、住所と価格とを関連付けて格納する独自価格テーブル510を参照して参照価格を特定する。その結果、参照価格を特定可能な地理的範囲を容易に拡張することができる。
【0050】
また、本実施例では、参照価格は、地図上の地点と関連付けられている。従って、参照価格特定部218は、価格に加えて、地図上の地点を特定することとなる。以下、参照価格に関連付けられた地図上の地点を「参照地点」と呼ぶ。
【0051】
参照価格が特定されたら、次に、地価算出部224が、対象物件の地価の算出を行う。図9は、地価算出の概要を示す説明図である。図9(A)には、地価の算出式E1が示されている。また、図10には、対象物件S1に対する地価の算出結果を表すWebページの一例が示されている。
【0052】
算出式E1中の「水準価格」は、公的価格と路線価とから算出される価格である。図9(B)には、水準価格の算出式E2が示されている。算出式E2中の「公的価格」は、参照価格として採用された公的価格を意味する。例えば、対象物件S1に対しては、参照地点(公的価格地点)O1の価格である「78.2千円/m2」となる(図8(A))。
【0053】
また、「対象地点路線価」と「参照地点路線価」とは、路線価取得部222(図1)によって取得される。図11は、路線価取得部222がこれらの路線価を取得する様子を示す説明図である。図11(A)には、参照地点O1周辺の路線価レイヤ440の一例が示され、図11(B)には、対象地点S1周辺の路線価レイヤ440の一例が示されている。
【0054】
路線価レイヤ440は、地図上における路線価が設定された路線(道路)と、その路線価と、を関連付けて格納するデータである。「路線価」とは、国税庁が、相続税の算出基準とするために、地図上の線路(道路)に沿って設定した価格である。図11に示す路線価レイヤ440では、路線価が設定された路線(以下「価格設定路線」と呼ぶ)が、地図レイヤ410と同じ座標系で定められている。図11では、価格設定路線には、その路線価を表す数字(単位は「千円/m2」)と、その路線価の適用区間を表す矢印線とが示されている。
【0055】
なお、価格設定路線を定める形式としては、路線の区間を定める任意の形式を採用することができる。例えば、区間を表す線を用いて定めてもよい。この場合には、路線価が地図上の線に関連付けられることとなる。また、路線(道路)の形状を表すポリゴンを用いて定めてもよい。この場合には、路線価が地図上の領域に関連付けられることとなる。
【0056】
路線価取得部222は、この路線価レイヤ440を参照し、参照地点に面している路線の路線価を、参照地点路線価として採用する。図11(A)の例では、参照地点O1に面している路線O1rの路線価(「65千円/m2」)が、参照地点路線価として採用される。同様に、対象地点に対しても、対象地点に面している路線の路線価を、対象地点路線価として採用する。図11(B)の例では、対象地点S1に面している路線S1rの路線価(「115千円/m2」)が、対象地点路線価として採用される。なお、各地点と路線とが面しているか否かの判定は、各地点を表す住所(最下位の住所区分「番地」)の領域に路線が接しているか否かを判定することによって行われる。
【0057】
ところで、参照地点が、価格設定路線に面していない場合がある。このような場合には、その参照地点に最も近い価格設定路線の路線価を参照地点路線価として採用すればよい。ただし、参照地点に近い所定の範囲内から価格設定路線を検索することが好ましい。例えば、参照地点を中心とする一辺の長さが50mの正方形の範囲内から検索してもよく、また、参照地点を中心とする半径25mの円の範囲内から検索してもよい。なお、参照地点と参照地点路線価との最短距離は、100m以下が好ましく、50m以下が特に好ましく、30m以下が最も好ましい。
【0058】
また、路線価取得部222が、ユーザの指示に従って参照地点の路線価を取得することとしてもよい。例えば、ブラウザが、図11(A)に示すような参照地点O1とその周辺の路線価を示す地図画像を表示し、ユーザが、地図画像上の路線を指定することとすればよい。具体的には、路線価取得部222が、参照地点O1とその周辺における路線価とを示す地図画像を生成し、Webデータ処理部212が、地図画像をクライアントコンピュータ100に送信する。さらに、ブラウザが、受信した地図画像を表示するとともに、ユーザによって指定された路線の位置(地図上の座標)を表す路線位置情報をWebサーバ200に送信すればよい。路線価取得部222は、路線位置情報に基づいて参照地点O1の路線価を取得することができる。こうすれば、ユーザは、適切な路線価を指定することができる。
【0059】
また、対象地点についても、路線価取得部222は、参照地点と同様に路線価を取得することとすればよい。
【0060】
路線価取得部222が、参照地点と対象地点との路線価を取得したら、地価算出部224は水準価格を算出する。算出式E2(図9(B))に示すように、水準価格は、公的価格に、路線価の比率を乗じたものである。路線価は、その路線の周辺の土地の標準的な価格を意味している。従って、路線価が高ければ、その周辺の土地の価格も高く、路線価が低ければ、その周辺の土地の価格も低いと推定することができる。そこで、算出式E2に従って水準価格を算出することによって、地価評価の信頼性を向上させることができる。
【0061】
なお、参照地点と、対象地点との、少なくとも一方に関して路線価を取得することができない場合には、地価算出部224は、水準価格の代わりに公的価格をそのまま用いて、価格の算出を行う。
【0062】
次に、地価算出部224は、参照地点の路線価に関する「時点補正係数」を算出する(図9(A):算出式E1)。図9(C)には、「時点補正係数」の算出式E3が示されている。「当年価格」は、価格を算出する時点における最新の価格を意味し、「前年価格」は、最新価格よりも1年前に設定された価格を意味する。また、「経過月数」は、「当年価格」の価格時点から、価格を算出する時点までの経過月数を意味する。この時点補正係数は、当年における価格の変動が、前年における変動と同様であると仮定して、価格を補正するものである。なお、「価格時点」とは、いつの時点での価格かを意味している。
【0063】
図10には、時点補正係数(「変動率」とも呼ぶ)の算出例が示されている。「当年価格」は、参照地点O1の最新の路線価である「65千円/m2」となっている(図11(A))。「前年価格」は、その前年における参照地点O1の路線価である「68千円/m2」となっている。データ格納部270には、最新の路線価を格納する路線価レイヤ440とともに、前年の路線価を格納する前年路線価レイヤが格納されている(図示省略)。路線価に関する「当年価格」と「前年価格」とは、路線価取得部222が、路線価レイヤ440と前年路線価レイヤとを参照することによって取得される。また、図10の例では、価格を算出する時点が「6月」であることとしている。従って、「経過月数」は「5ヶ月」となっている(路線価の価格時点は1月1日である)。その結果、時点補正係数は、「98%」となっている。
【0064】
参照地点の路線価に関する時点補正係数を算出することができない場合(例えば、前年路線価が格納されていない場合)には、地価算出部224は、路線価に関する時点補正係数の代わりに、公的価格に関する時点補正係数を用いる。公的価格の時点補正係数も、路線価の時点補正係数と同様に算出式E3に従って算出される。この場合、「当年価格」は、参照地点の最新の公的価格であり、「前年価格」は、前年における公的価格である。データ格納部270には、最新の公的価格を格納する公的価格レイヤ430に加えて、前年の公的価格を格納する前年公的価格レイヤが格納されている(図示省略)。公的価格に関する「当年価格」と「前年価格」とは、参照価格特定部218が、公的価格レイヤ430と前年公的価格レイヤとを参照することによって取得される。
【0065】
次に、地価算出部224は、「標準化補正係数」を算出する(図9(A):算出式E1)。図9(D)には、「標準化補正係数」を定める標準化補正係数テーブル530の一例が示されている。この標準化補正係数テーブル530は、水準面積と対象物件面積との組み合わせと、標準化補正係数(「標準化補正率」とも呼ぶ)と、の関係を定めるテーブルである。図9(D)の例では、水準面積が値を取り得る範囲が複数の範囲に区分され、各区分毎に、対象物件面積と標準化補正係数との対応関係を定めるテーブルが設けられている。
【0066】
この標準化補正係数は、対象物件面積に応じて地価の補正を行うための係数である。例えば、山間部では、比較的広い土地の方が、利用価値が高く売買されやすい。一方、都市部では、広い土地は価格が高いので、比較的狭い土地の方が売買されやすい。従って、同じ地域の土地であっても、土地の面積によって土地の単価(単位面積当たりの地価)の相場が異なる場合がある。標準化補正係数は、このような土地の面積に応じた相場の違いを補正するための係数である。
【0067】
まず、地価算出部224は、水準面積を取得する。ここで「水準面積」とは、対象物件の周辺地域において売買される土地の面積の標準的な値を意味している。参照価格として公的価格が用いられる場合には、その公的価格が設定された土地の面積を、水準面積として採用する。公的価格の設定は、その公的価格地点の近隣地域における、面積が標準的である土地に対して行われる。従って、公的価格が設定された土地の面積を水準面積として用いることができる。このような土地の面積は、公的価格と共に、公的価格レイヤ430に格納されている(図示省略)。地価算出部224は、公的価格レイヤ430を参照し、公的価格と同じ公的価格地点に関連付けられた面積を取得する。なお、このような土地の面積は、公的価格と共に公的機関によって発表される。
【0068】
地価算出部224は、水準面積を取得すると、図9(D)の標準化補正係数テーブル530と、ユーザが指定した対象物件面積(図3)と、に従って、標準化補正係数を取得する。標準化補正係数テーブル530の標準化補正係数は、土地取引の実情を考慮して予め設定されたものである。おおまかには、対象物件面積が水準面積から離れるほど、標準化補正係数が小さくなる傾向がある。ただし、土地取引の実情によっては、水準面積とは異なる面積での標準化補正係数を、水準面積での標準化補正係数よりも大きな値に設定してもよい。図10の例では、水準面積が「100m2」であり、対象物件面積が「150m2」であり、補正率が「95%」となっている(図9(D))。
【0069】
なお、本実施例では、標準化補正係数テーブル530は、都市計画区域内用のテーブルと、都市計画区域外用のテーブルと、の2種類のテーブルを有している(図示省略)。地価算出部224は、対象物件の種別に応じて、これらのテーブルを使い分ける。その結果、地価評価の信頼性を向上させることができる。なお、標準化補正係数テーブル530を使い分けるための土地の区分としては、これ以外の区分を採用してもよい。例えば、「住居系用」と「商業系用」と「工業系用」とのテーブルを設けて使い分けることとしてもよい。
【0070】
また、「標準化補正係数」を定める形式としては、対象物件面積と水準面積とから標準化補正係数を定める任意の形式を採用することができる。例えば、「標準化補正係数」が、対象物件面積の変化に対して連続的に変化してもよい。
【0071】
次に、地価算出部224は、「地域格差補正係数」を算出する(図9(A):算出式E1)。図9(E)は、「地域格差補正係数」を示すグラフである。縦軸は、地域格差補正係数(「地域格差補正率」とも呼ぶ)を示し、横軸は、「対象地点戸数/参照地点戸数」を示している。「対象地点戸数」は、対象地点の周辺における世帯数を意味し、「参照地点戸数」は、参照地点の周辺における世帯数を意味している。「対象地点戸数」と「参照地点戸数」とは、世帯数算出部220によって算出される。
【0072】
図12は、世帯数算出部220が、対象地点戸数と参照地点戸数とを算出する様子を示す説明図である。図12には、対象地点S1と参照地点O1とを含む地図画像が示されている。この地図画像には、住宅を表す黒印Hが示されている。1つの黒印Hは、地図レイヤ410で定められている1つの住宅を表している。また、図12には、対象地点S1を中心とする四角R1と、参照地点O1を中心とする四角R2とが示されている。これらの四角R1、R2は、一辺が所定の長さ(例えば、1km)の正方形である。世帯数算出部220は、四角R1内の住宅数を「対象地点戸数」として採用する。また、四角R2内の住宅数を「参照地点戸数」として採用する。
【0073】
「対象地点戸数」と「参照地点戸数」とが算出されたら、地価算出部224は、図9(E)のグラフに従って、地域格差補正係数を算出する。図9(E)の例では、参照地点戸数に対する対象地点戸数の割合に応じて「地域格差補正係数」が定められている。「対象地点戸数」が「参照地点戸数」よりも小さい場合には、「地域格差補正係数」は「対象地点戸数」の減少に伴って、より小さくなるように定められている。「対象地点戸数」が「参照地点戸数」よりも大きい場合には、1.0に設定されている。
【0074】
このように定められる「地域格差補正係数」は、以下のように説明することができる。世帯数の比較的少ない地域は、それだけ人気の低い地域であるので、地価の相場も比較的低くなる傾向がある。そこで、「地域格差補正係数」を「対象地点戸数」が小さいほど小さくなるように定めれば、算出される地価の信頼性を高めることができる。なお、「対象地点戸数」が「参照地点戸数」よりも大きい場合には、対象地点周辺の地価の相場が参照地点周辺と比べて高くなる可能性がある。ところが、地価を過剰に高く評価することは実情にそぐわないので、「地域格差補正係数」を1.0に設定している。ただし、「地域格差補正係数」を「対象地点戸数」の増大に伴って、より大きくなるように定めてもよい。
【0075】
なお、「対象地点戸数」を算出するための地理的な範囲(以下「対象戸数算出範囲」と呼ぶ)としては、対象地点を中心とする四角の範囲に限らず、対象地点に近い任意の範囲を採用することができる。例えば、対象地点を中心とする所定の大きさの円(例えば、半径500m)の範囲内の世帯数を数えることとしてもよい。なお、対象戸数算出範囲内における対象地点との距離は、5km以下が好ましく、2km以下が特に好ましく、1km以下が最も好ましい。また「参照地点戸数」については、「対象地点戸数」と同じ形状の範囲を採用することが好ましい。なお、本実施例では、地図レイヤ410は「世帯の地理的な分布を表す世帯地図データ」に相当する。
【0076】
また、「地域格差補正係数」の形式としては、「対象地点戸数」が小さいほど小さい値を定める任意の形式を採用することができる。例えば、「地域格差補正係数」が、「対象地点戸数」の一部の範囲において一定値であってもよく、また、「対象地点戸数」の変化に対して不連続に変化してもよい。また、戸数の比率と地域格差補正係数との関係が、土地の区分毎に異なることとしてもよい。例えば、都市計画区域内と都市計画区域外とで異なることとしてもよく、さらに、市街化区域と市街化調整区域とで異なることとしてもよい。この際、種別特定部216が対象物件の土地の区分を特定し、地価算出部224が、特定された土地の区分に従って地域格差補正係数を算出すればよい。
【0077】
「地域格差補正係数」を算出したら、地価算出部224は、算出式E1(図9(A))に従って、対象物件の地価の単価を算出する。さらに、地価単価に対象物件面積を乗じることによって、対象物件の価格を算出する。図10に示す例では、地価単価が「92000円/m2」となっており(百の位で四捨五入している)、地価が「13800000円」となっている。
【0078】
以上、公的価格を用いて地価を算出する場合について説明したが、公的価格の代わりに独自価格を用いる場合には、水準価格の代わりに独自価格をそのまま用い、時点補正を行わずに地価の算出を行う。また、標準化補正係数を取得する際には、独自価格に関連付けられた面積(図8(B))が水準面積として採用される。さらに、参照地点戸数を算出する際には(図12)、独自価格に関連付けられた「代表地点(図8(B))」が、参照地点として用いられる。
【0079】
地価の算出が終了すると、Webサーバ200(図1)のWebデータ処理部212は、地価の算出結果を表すWebページデータを生成し、クライアントコンピュータ100に送信する(図2:ステップS180)。すると、クライアントコンピュータ100では、ブラウザがWebページデータを受信し、その内容を表示する(ステップS190、図10)。なお、算出結果を表すWebページデータでは、地価の算出に用いたパラメータの具体的な値を表示することが好ましい。例えば、路線価の時点補正の代わりに公的価格の時点補正を行う場合には、当年と前年との公的価格を表示することが好ましく、公的価格の代わりに独自価格を用いる場合には、独自価格を表示することが好ましい。
【0080】
このように、本実施例では、用途レイヤ420と種別テーブル500とを用いて対象物件の種別を特定しているので、種別を特定可能な地理的範囲を容易に拡張することができる。また、公的価格レイヤ430と独自価格テーブル510とを用いて参照価格を特定しているので、参照価格を特定可能な地理的範囲を容易に拡張することができる。その結果、地価を算出可能な地理的な範囲を容易に拡張することができる。また、対象物件と同じ種別の土地の公的価格を参照価格として用いるので、算出される価格の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、本実施例では、参照地点の周辺の世帯数と、対象地点の周辺の世帯数とに基づいて地価の補正を行っているので、算出された地価の信頼性を高めることができる。また、参照地点の路線価と、対象地点の路線価との比率を用いて地価の補正を行っているので、算出された地価の信頼性をさらに高めることができる。
【0082】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0083】
変形例1:
地価の算出式(図9:E1)において、参照価格(公的価格、または、独自価格)に対する補正の内容としては、図9(A)に示したものに限らず、種々の内容の補正を採用することができる。例えば、対象物件の土地の形状に応じて補正を行うこととしてもよい。この場合には、対象物件面積と同様に、ユーザが土地の形状を指定することとすればよい。また、上述の実施例では、時点補正係数として、参照地点の公的価格と、参照地点の路線価と、の2種類に関するものを用いているが、さらに、対象地点の路線価に関する時点補正係数を用いることとしてもよい。
【0084】
また、地価の算出式(E1)の内容を、土地の種別毎に変更することとしてもよい。例えば、土地の種別が「商業系」と「工業系」とのいずれかである場合には、地域格差補正を行わないこととしてもよい。また、地域格差補正を省略する場合には、独自価格テーブル510(図8(B))の代表地点を省略することができる。
【0085】
変形例2:
ユーザが対象物件の位置を指定する形式としては、住所を指定する形式に限らず、種々の形式を採用することができる。例えば、ユーザが地図上の地点を指定することによって、対象物件の位置を指定することとしてもよい。この場合には、対象位置特定部214は、地図レイヤ410を参照し、指定された地点を含む住所区分を特定することによって、住所を特定することができる。また、対象地点としては、ユーザが指定した地点をそのまま採用してもよく、また、住所に関連付けられた代表地点を採用してもよい。なお、この場合には、対象位置特定部214がクライアントコンピュータ100に地図画像を表示させ、ユーザが地図画像上の地点を指定することとすればよい。
【0086】
このように、住所と地図上の領域との関係を定める地図レイヤ410(住所地図データ)を用いることによって、対象位置特定部214は、対象物件の住所と地理的な位置とを適切に特定することができる。これは、ユーザが住所を指定する場合も同じである。この際、上述の実施例のように、対象位置特定部214が、住所地図データを参照することによって、選択可能な選択肢の一覧をユーザに提供することが好ましい。また、1つの住所を複数の階層の住所区分に分割し、上位の住所区分から順番に指定することが好ましい。
【0087】
変形例3:
上述の実施例において、公的価格を選択する際に(図8)、「公示価格」と「標準価格」とのうちの、新しい方を優先的に用いることとしてもよい。「公示価格」と「標準価格」とは、毎年1回更新される。ただし、「公示価格」と「標準価格」とでは、設定(公表)される時期が異なる。「公示価格」は、価格時点が1月1日であり3月に公表される。「標準価格」は、価格時点が7月1日であり9月に公表される。そこで、新しい方を優先的に用いることとすれば、地価評価の信頼性を向上させることができる。例えば、地価を算出する時点が6月である場合には、まず、比較的新しい「公示価格」の中から参照価格を検索し、参照価格条件を満たす「公示価格」が存在しない場合には、「標準価格」の中から参照価格を検索することとすればよい。
【0088】
変形例4:
上述の実施例では、参照価格特定部218は、参照価格として公的価格と独自価格との2種類の価格を利用可能であるが、さらに、他の種類の価格を利用可能であることとしてもよい。例えば、実際に取引のあった価格(以下「事例価格」と呼ぶ)を利用可能としてもよい。このような事例価格を、地図上の地点と関連付けておけば、公的価格と同様に利用することができる。
【0089】
変形例5:
上述の実施例では、種別特定部216は、土地の種別を、用途レイヤ420(「属性地図データ」に相当する)と種別テーブル500(「属性住所データ」に相当する)とを用いて特定しているが、他の方法に従って特定することとしてもよい。例えば、用途区域の指定のない地域の種別を用途レイヤに格納し、種別テーブル500を用いずに用途レイヤを用いて特定することとしてもよい。また、用途区域の種別を種別テーブルに格納し、用途レイヤ420を用いずに種別テーブルを用いて特定することとしてもよい。
【0090】
また、参照価格特定部218は、参照価格を、公的価格レイヤ430(「属性地図データ」に相当する)と独自価格テーブル510(「属性住所テーブル」に相当する)とを用いて特定しているが、他の方法に従って特定することとしてもよい。例えば、公的価格に関する情報を独自価格テーブル510に格納し、公的価格レイヤ430を用いずに独自価格テーブル510を用いて特定することとしてもよい。
【0091】
ただし、土地の種別と、参照価格と、の少なくとも一方は、「属性地図データ」と「属性住所データ」とを用いて特定することが好ましい。また、「属性地図データ」と「属性住所データ」とを用いて特定する属性としては、土地の種別と参照価格とに限らず、「学校区」や「最寄りの駅までの距離」等の種々の属性を採用することができる。
【0092】
変形例6:
上述の実施例において、対象地点戸数と参照地点戸数とを算出する際には(図12)、集合住宅に関しては、集合住宅に含まれる複数の部屋の1つ1つを独立した世帯として数えることが好ましい。この場合には、地図レイヤ410が、集合住宅と部屋数とを関連付けて格納することとすればよい。また、世帯数を数える際には、入居者のいる住宅のみを数えることが好ましい。この場合には、地図レイヤ410が、各住宅の入居者の有無に関する情報を格納することとすればよい。こうすれば、算出される地価の信頼性を高めることができる。
【0093】
また、地理的な範囲内の戸数を算出する方法としては、住宅の位置を代表する代表地点(本実施例では、住所に関連付けられた代表地点)が範囲内にあるものを数える方法を用いることができる。また、住宅を地図上の領域として定め、その領域が範囲内に含まれているものを数えてもよい。
【0094】
変形例7:
上述の実施例では、地理的な位置や領域を定めるために地図レイヤ410上の座標系を用いている。ただし、この座標系は、現実の地図情報(道路や住宅等の地物の位置と形状)との関連が予め定められていればよく、地図情報を格納する地図レイヤ410を用いて定められていなくてもよい。このように、「地図上」とは、現実の地理的なものであることを意味している。例えば、「地図上の位置」は、現実の地理的な位置を意味している。
【0095】
また、対象物件の位置を表す形式としては、地点(対象地点)を用いる形式に限らず、種々の形式を採用することができる。例えば、領域(以下「対象領域」と呼ぶ)を用いる形式を採用してもよい。このような対象領域としては、例えば、住所(最下位の住所区分(番地))に関連付けられた領域を用いることができる。ここで、用途(種別)を特定する際には(図7(B))、種別特定部216は、対象領域を含む用途区域の種別を採用すればよい。1つの対象領域が複数の用途区域にまたがる場合には、各用途区域に含まれる対象領域の面積に応じて種別を特定すればよい。例えば、対象領域と重なる面積が最も広い用途区域の種別を採用すればよい。また、公的価格を特定する際には(図8(A))、参照価格特定部218は、対象領域との最短距離が最も短い地点の価格を採用すればよい。また、世帯数を算出する際には(図12)、世帯数算出部220は、世帯を数える地理的範囲を、対象領域に基づいて決定すればよい。例えば、対象領域の重心地点を基準として範囲を定めればよい。
【0096】
変形例8:
上述の実施例では、Webサーバ200は地価を算出することとしているが、この代わりに、対象物件の属性(例えば、土地の種別や参照価格)をクライアントコンピュータ100に表示させることとしてもよい。この場合には、地価算出システム300は、属性特定システムとして機能することとなる。
【0097】
変形例9:
上述の実施例において、Webサーバ200が有する複数の機能は、別々のコンピュータハードウェア上に分散させて実現されていてもよい。また、クライアントコンピュータ100とWebサーバ200との機能を、1つのコンピュータハードウェア上で実現することとしてもよい。
【0098】
変形例10:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】地価算出システム300の構成を示す説明図。
【図2】地価の算出を行う処理の手順を示すフローチャート。
【図3】入力画面の一例を示す説明図。
【図4】ユーザが住所を指定する様子を示す説明図。
【図5】地価算出処理の手順を示すフローチャート。
【図6】土地の種別を表す表。
【図7】種別特定部216が対象物件の土地の種別を特定する様子を示す説明図。
【図8】参照価格を特定する様子を示す説明図。
【図9】地価算出の概要を示す説明図。
【図10】地価の算出結果を表すWebページの一例を示す説明図。
【図11】路線価取得部222が路線価を取得する様子を示す説明図。
【図12】対象地点戸数と参照地点戸数とを算出する様子を示す説明図。
【符号の説明】
【0100】
100...クライアントコンピュータ
200...Webサーバ
210...データ処理部
212...Webデータ処理部
214...対象位置特定部
216...種別特定部
218...参照価格特定部
220...世帯数算出部
222...路線価取得部
224...地価算出部
250...通信部
270...データ格納部
300...地価算出システム
400...地図データ
410...地図レイヤ
420...用途レイヤ
430...公的価格レイヤ
440...路線価レイヤ
500...種別テーブル
510...独自価格テーブル
530...標準化補正係数テーブル
INET...インターネット
M...モニタ
F1...都道府県フィールド
F2...市区町村フィールド
F3...大字フィールド
F4...字丁目フィールド
F5...街区フィールド
F6...番地フィールド
AA...住所領域
OB...OKボタン
SF...土地面積フィールド
IS...入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地価を算出する地価算出装置であって、
ユーザの指示に従って、地図上の土地の位置である対象位置を特定する対象位置特定部と、
前記地図上の地点である価格地点を表す価格地点情報と、前記価格地点における土地の価格を表す価格情報と、を関連付ける価格地図データと、前記地図上における世帯の地理的な分布を表す世帯地図データと、を格納するデータ格納部と、
前記価格地図データで定められた複数の価格の中から、前記対象位置の土地の価格の算出に利用可能な参照価格を特定する参照価格特定部と、
前記世帯地図データを参照することによって、前記対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数と、前記参照価格に関連付けられた地点である参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数と、を算出する世帯数算出部と、
前記参照価格と、前記対象世帯数と、前記参照世帯数と、を用いて前記対象位置の土地の価格を算出する価格算出部と、を備え、
前記価格算出部は、前記対象位置の土地の価格を、前記参照世帯数に対する前記対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように決定する、
地価算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地価算出装置であって、
前記データ格納部は、さらに、前記地図上の路線の区間を表す路線区間情報と、前記路線区間の路線価を表す路線価情報と、を関連付ける路線価地図データを格納し、
前記地価算出装置は、さらに、前記路線価地図データを参照することによって、前記対象位置と前記参照地点とのそれぞれに対して路線価を取得する路線価取得部を備え、
前記価格算出部は、前記対象位置の土地の価格を、前記参照地点の路線価に対する前記対象位置の路線価の割合が小さいほど低くなるように決定する、
地価算出装置。
【請求項3】
コンピュータを用いて地価を算出する方法であって、
(a)前記コンピュータが、ユーザの指示に従って、地図上の土地の位置である対象位置を特定する工程と、
(b)前記コンピュータが、前記地図上の地点である価格地点を表す価格地点情報と、前記価格地点における土地の価格を表す価格情報と、を関連付ける価格地図データで定められた複数の価格の中から、前記対象位置の土地の価格の算出に利用可能な参照価格を特定する工程と、
(c)前記コンピュータが、前記地図上における世帯の地理的な分布を表す世帯地図データを参照することによって、前記対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数と、前記参照価格に関連付けられた地点である参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数と、を算出する工程と、
(d)前記コンピュータが、前記参照価格と、前記対象世帯数と、前記参照世帯数と、を用いて前記対象位置の土地の価格を算出する工程と、
を有しており、
前記工程(d)では、前記コンピュータは、前記対象位置の土地の価格を、前記参照世帯数に対する前記対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように決定する、
地価の算出方法。
【請求項4】
コンピュータに地価を算出させるコンピュータプログラムであって、
(a)ユーザの指示に従って、地図上の土地の位置である対象位置を特定する機能と、
(b)前記地図上の地点である価格地点を表す価格地点情報と、前記価格地点における土地の価格を表す価格情報と、を関連付ける価格地図データで定められた複数の価格の中から、前記対象位置の土地の価格の算出に利用可能な参照価格を特定する機能と、
(c)前記地図上における世帯の地理的な分布を表す世帯地図データを参照することによって、前記対象位置に近い所定の周辺地域内の世帯数である対象世帯数と、前記参照価格に関連付けられた地点である参照地点に近い所定の周辺地域内の世帯数である参照世帯数と、を算出する機能と、
(d)前記参照価格と、前記対象世帯数と、前記参照世帯数と、を用いて前記対象位置の土地の価格を算出する機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムであり、
前記機能(d)は、前記対象位置の土地の価格を、前記参照世帯数に対する前記対象世帯数の割合が小さいほど低くなるように決定する機能を含む、
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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