説明

地図情報管理システム及び地図情報配信システム

【課題】地図情報の配信に際して、地図情報を常に高い鮮度に保つことが可能な地図情報提供技術を提供する。
【解決手段】更新整備のために用いる更新用地図データを記憶する更新用地図DBと、配信するための提供用地図データを記憶する提供用地図DBと、提供用地図データを更新する更新分データを記憶する更新分DBと、更新用地図DBの地図データを更新するための更新分データが入力されると、更新用地図データの更新を行う地図DB更新手段と、更新データにより更新される前後の差分データを作成し、当該差分データを更新分データとして更新分DBに格納する更新分データ作成手段と、提供先システムから地図データ又は更新分データの配信要求を受信すると、提供用地図DBに記憶された提供用地図データ又は更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するデータ配信手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル地図情報の配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報システム(GIS)などにおいて使用される地図情報は、メッシュ及びレイヤで管理されたフォーマット形式により提供される。一般に、地図情報は、地物(建物,道路,鉄道など)の新設,取り壊し,変更等が行われたり、工事や自然現象により地形が変化したりすることに伴って、時間と共に古くなる。そのため、定期的に地図情報の更新を行う必要がある。このような地図情報の更新は、多くの場合、地図情報配信システムを用いて行われる。
【0003】
従来の地図情報配信システムとしては、特許文献1に記載のものが公知である。図10は、特許文献1に記載の地図情報配信システムの全体構成を表す図である。この地図情報配信システムは、地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システム100と地図情報の提供先にある提供先サーバ装置105や提供先情報通信端末106とがネットワーク104を介して接続された構成からなる。
【0004】
地図情報管理システム100は、通信回線103を介して互いに接続された送信側システム101と受信側システム102とから構成されている。また、送信側システム101には、ネットワーク104を介して、提供先サーバ装置105や提供先情報通信端末106が接続されている。
【0005】
送信側システム101は、地図情報のベンダ側に設置され、受信側システム102に対して地図情報を送信するシステムである。送信側システム101は、通信装置110,ホストコンピュータ111,及びデータベース112を備えている。
【0006】
データベース112には、バイヤに配信する地図情報が格納されている。データベース112は、空間データベースとキャッシュ情報データベースから構成されている。空間データベースには、形状データと属性データがテーブルとして記憶されている。形状データとは、地図を構成するオブジェクト(道路,構造物等の地物)の形状を表すデータである。属性データとは、オブジェクトの属性(地物の名称等)を表すデータである。キャッシュ情報データベースには、複数の領域に分割されたデジタル地図情報の描画データが、分割単位である領域を図葉(タイル)として、図葉単位で更新可能に記憶されている。
【0007】
一方、受信側システム102は、地図情報のバイヤ側に設置され、送信側システム101から配信される地図情報データを受信し、保有する地図情報の更新を行う。受信側システム102は、通信装置120,ホストコンピュータ121,及びデータベース122を備えている。
【0008】
データベース122は、受信側システム102において保持する地図情報が格納されたデータベースである。データベース122も、データベース112と同様、空間データベースとキャッシュ情報データベースから構成されている。
【0009】
この地図情報配信システムでは、地図情報の配信は次のようにして行われる。
【0010】
まず、提供先サーバ装置105や提供先情報通信端末106からネットワーク104を介して、属性データや形状データの差分更新情報がオブジェクトに関連づけられて送信側システム101に送られてきたとする。送信側システム101は、受け取った差分更新情報に基づき、データベース112内の空間データベースの対応するオブジェクトの属性データ及び空間データを更新する。そして、更新後の形状データに基づきデジタル地図の描画データを生成する。
【0011】
次に、送信側システム101は、前記差分更新情報によって変化が生じる描画データの図葉(以下「更新対象図葉」という。)を抽出する。そして、抽出された更新対象図葉の描画データに基づき、データベース112内のキャッシュ情報データベースの更新対象図葉の描画データを更新する。
【0012】
そして、抽出した更新対象図葉の描画データ、及び変化したオブジェクト(以下「更新対象オブジェクト」という。)の属性データを差分データとして、定期的に通信回線103を介して受信側システム102に配信する。
【0013】
受信側システム102において、送信側システム101から上記差分データが配信されてきた場合、受信側システム102は、当該差分データに含まれる更新対象図葉の描画データに基づいて、データベース122内のキャッシュ情報データベースの更新対象図葉の描画データを更新する。また、当該差分データに含まれる更新対象オブジェクトの属性データに基づいて、データベース122内の空間データベースの更新対象オブジェクトの属性データを更新する。
【0014】
ここで、ベンダからバイヤに対して配信される地図情報の更新情報は、差分データとされる。これは、一般的に、地図情報全体のデータ量に占める更新情報のデータ量の割合は低いため、地図情報の更新を行うたびに地図情報全体を置き換えることは効率的ではなく、配信に要する時間やコストの浪費につながるからである。差分データの生成方法に関しては、例えば、特許文献2に記載されている。
【0015】
特許文献2に記載された差分データの生成方法では、まず送信側(送信側システム101)において、更新前の地図(以下「更新前地図」という。)を基準図として、最も新しい地図(以下「更新後地図」という。)との差分をとる。これにより、更新された道路やランドマークのデータのみで構成される差分情報が作成される。
【0016】
図11に差分情報の例を示す。図11(b)が更新前地図、図11(c)が更新後地図である。この2つの地図の差分をとることにより、図11(a)に示すような差分情報が作成される。この差分情報を配信することによってデータの転送量を減らし、更新処理を必要最小限に抑えることができる。
【0017】
また、一般に、地図情報のフォーマットはバイヤにより異なる。従って、送信側システムにおいて、更新された地図情報の配信を行うにあたり、バイヤごとにフォーマット変換を行った上で配信する必要がある。また、フォーマット変換に関する技術としては、特許文献3に記載の方法を適用することも可能である。特許文献3に記載の方法では、更新された地図情報の配信を行うにあたり、共通フォーマットによる地図情報と併せて、バイヤごとに異なる変換プログラムを配信する。そして、受信側システムにおいて、変換プログラムを用いて共通フォーマットのデータを独自フォーマットのデータに変換するようにしている。
【0018】
また、更新前地図の一部分を更新する場合、更新された箇所と更新されていない箇所との間で整合処理を行う必要がある。ここで、「整合処理」とは、更新が行われた部分の地図情報(以下「更新情報」という。)に対して、それ以外の部分の地図情報のうち更新情報と矛盾が生じる部分(以下「関連情報」という。)を抽出し、抽出された関連情報に対して更新情報と矛盾を生じないように追加更新する処理をいう。整合処理を自動的に行う方法に関しては、特許文献2に記載されている。
【0019】
例えば、あるリンクの属性を変更した場合において、その更新リンクが複数の図葉にまたがっている場合がある。例えば、更新リンクが図葉Aと図葉Bとにまたがっていたとしよう。その場合、図葉Aのリンクのみを更新すると、図葉Bのリンクとの間で属性の不整合が生じる。従って、整合処理においては、図葉A内の更新リンクに対応する図葉B内のリンクの更新も行う。
【0020】
送信側システムにおいては、地図情報が更新された場合、更新された地図情報の配信を行う前に、上記のような整合処理を行う必要がある。かかる配信前の整合処理を自動的に実行する装置は、特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2005−258340号公報
【特許文献2】特許3391171号明細書
【特許文献3】特開平11−258981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、上述のような従来の地図情報配信システムにおいて、送信側システムに対して受信側システムが複数接続されており、地図情報のベンダが複数のバイヤに対して地図情報を提供する場合、地図情報の配信に当たり、地図情報の更新作業を一時的に停止し、全データの表示や、データ間の関連性などの整合処理、差分データの作成を行い、その後、ベンダごとにデータフォーマットの変換を行って、各ベンダに配信する必要がある。従って、その間、地図情報の更新作業が行われず、その分、ベンダ側において最新の地図情報への更新が遅れることになる。
【0022】
また、一般に、各バイヤは、ベンダの提供する地図情報のすべてを必要とせず、バイヤにより必要とする地図情報が個別に異なる場合が多い。例えば、あるバイヤは道路属性として一方通行の情報を必要とし、他のバイヤは一方通行の情報を必要としない場合がある。また、あるバイヤは地物形状に加えて地物属性として地物の名称まで必要とするが、他のバイヤは地物の形状情報のみを必要とする場合がある。
【0023】
このように、一般に、ベンダとバイヤ間の契約により、ベンダが各バイヤに提供する地図情報の種別が個別に異なる。従って、地図情報の更新がされるたびに、送信側システムにおいて地図情報の更新作業をすべて停止すると、一部のバイヤのみに必要な地図情報の配信のために、すべてのバイヤに対して地図情報の更新が遅れてしまい、その結果、データの鮮度が一律に低下してしまう。
【0024】
また、バイヤごとに提供する地図情報の種別が個別に異なる場合、すべての地図データの整合がとれた状態は必ずしも必要はなく、各バイヤに提供する地図情報の種別の範囲内で整合がとれていればよい。しかしながら、従来の地図情報提供システムにおいては、すべてのデータの表示やデータ間の関連性について整合をとった上で、バイヤ毎にフォーマット変換を行い、地図情報を提供する仕組みとなっているため、地図情報の更新後、迅速に各バイヤに地図情報を提供することが難しいという問題がある。
【0025】
そこで、本発明の目的は、地図情報の配信に際して、地図情報の更新作業を停止する必要がなく、更新後迅速に各バイヤに地図情報を提供することが可能であり、提供する地図情報を常に高い鮮度に保つことが可能な地図情報提供技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係る地図情報管理システムの第1の構成は、地図情報の提供先にある提供先システムと通信回線を介して接続され、地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムであって、地図情報の更新整備のために用いる更新用地図データを記憶する更新用地図データベースと、前記地図情報を更新するための更新分データを記憶する更新分データベースと、前記更新用地図データベースの地図データを更新するための更新分データが入力されると、前記更新用地図データベース内の更新用地図データの更新を行う地図DB更新手段と、前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成し、当該差分データを更新分データとして前記更新分データベースに格納する更新分データ作成手段と、前記提供先システムから更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するデータ配信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、提供先システムに配信する提供用地図データと地図データの更新作業を行う更新用地図データとを分離し、更新用地図データの更新があったときにはその更新分のみのデータ(更新分データ)を作成してこれを配信するようにしたことで、更新用地図データの更新を行っているときにも、地図情報の配信を止める必要がないため、提供先システム側のベンダは常時最新の地図データを取得することができる。
【0028】
本発明に係る地図情報管理システムの第2の構成は、前記第1の構成において、前記更新分データ作成手段は、前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成する差分データ作成手段と、前記差分データに基づき、更新前の前記更新用地図データを更新するためのトランザクションを規定するトランザクションデータを生成し、更新分データとして前記更新分データベースに格納するトランザクションデータ作成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
更新分データをトランザクションデータとすることにより、更新分データのデータ量を少なくすることができ、データの配信に要する時間を短縮させることができる。また、トランザクションデータは、JAVA(登録商標)言語等のプラットフォームやデータフォーマットに依存しないプログラム言語で記述することができるため、提供先システム毎に異なるプラットフォーム,データフォーマットに容易に対応することができる。
【0030】
本発明に係る地図情報管理システムの第3の構成は、前記第1又は2の構成において、前記提供先システムに配信するための提供用地図データを記憶する提供用地図データベースと、前記提供用地図データベースに記憶された提供用地図データと前記更新分データベースに記憶された更新分データとを読み出して、前記提供用地図データに対して前記更新分データに基づく変更を行い、仮改訂提供用地図データを生成する更新実行手段と、前記仮改訂提供用地図データに対して、当該地図データ内のデータの整合を行い、改訂された提供用地図データを生成し、前記提供用地図データベースに格納するデータ整合手段と、前記更新用地図データベースに記憶された更新用地図データを、前記改訂された提供用地図データにより更新する更新用地図データ改訂手段と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
この構成により、提供用地図データの整合を行う場合、もとの提供用地図データを残して整合処理後の提供用地図データを新訂版の提供用地図データとして提供用地図データベースに保存することで、提供先システムは、常時、地図データの提供を受けることが可能となる。
【0032】
また、更新用地図データ、更新分データ、提供用地図データをそれぞれ独立させたことによって、更新分データと提供用地図データとを用いて、更新用地図データとは独立して地図データの整合作業を行うことができる。即ち、地図データの整合作業を行っている間であっても、更新用地図データの更新を続けて行うことができる。そして、整合作業が終わった段階で更新用地図データの入れ替えを行えば、地図データの更新作業を中断する必要がない。故に、更新用地図データの更新が中断されないため、常により鮮度の高い地図情報を提供することが可能となる。
【0033】
また、更新分データ、提供用地図データをそれぞれ独立させたことによって、提供先システムからは、一度提供用地図データの配信を受ければ、その後は、その提供先システムで使用する更新分データが更新分データベースに追加された場合にのみ、その更新分データを選択して配信を受ければよい。従って、無駄なデータ配信が行われず、地図情報管理システムの情報処理負荷は軽減される。また、地図データ全体を更新するよりも、更新する部分のみを更新分データとして提供するほうが、地図データの整備をする作業者の作業負担が軽く、迅速にデータの更新を行うことができる。その結果、早いサイクルで地図データの更新がされることとなり、高い鮮度の地図データを提供することが可能となる。
【0034】
本発明に係る地図情報管理システムの第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成において、前記データ配信手段は、提供用地図データ又は更新分データを暗号化して提供先システムへ配信することを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、地図情報管理システムにおいて各提供先システム毎に必要な地図情報を抽出することなく、地図情報管理システムは一律にすべての提供用地図データ又は更新分データを暗号化して提供先システムへ配信する。そして、ベンダ側が提供するプログラムにより、提供されたデータの復号と抽出を同時に行うようにすることができる。そうすることで、地図情報管理システムの情報処理の負荷が軽減され、より高速で配信を行うことが可能となる。
【0036】
本発明に係る地図情報管理システムの第5の構成は、前記第1乃至4の何れか一の構成において、前記更新分データベースに記憶された更新分データのリストを作成するリスト作成手段と、
前記提供先システムからの要求に応じて、前記更新分データのリストを当該提供先システムに配信するリスト配信手段と、
を備え、
前記データ配信手段は、前記提供先システムから前記更新分データのリスト内の特定の更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信することを特徴とする。
【0037】
この構成により、提供先システムで更新分データのリストを見て必要な更新分データのみを選択し、配信を要求することができる。従って、無駄な配信を行う必要がなくなるため、地図情報管理システムの情報処理の負荷が軽減され、より高速で配信を行うことが可能となる。
【0038】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに読み込んで実行することにより、コンピュータを前記第1乃至5の何れか一の構成の地図情報管理システムとして機能させることを特徴とする。
【0039】
本発明に係る地図情報配信システムの第1の構成は、地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムが、ネットワークを介して地図情報の提供先にある提供先システムと接続された地図情報配信システムであって、
前記地図情報管理システムは、
地図情報の更新整備のために用いる更新用地図データを記憶する更新用地図データベースと、
前記地図情報を更新するための更新分データを記憶する更新分データベースと、
前記更新用地図データベースの地図データを更新するための更新分データが入力されると、前記更新用地図データベース内の更新用地図データの更新を行う地図DB更新手段と、
前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成し、当該差分データを更新分データとして前記更新分データベースに格納する更新分データ作成手段と、
前記提供先システムから更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するデータ配信手段と、
を備え、
前記提供先システムは、
当該提供先システムにおいて使用する提供先地図データを記憶する提供先地図データベースと、
前記地図情報管理システムに対して更新分データの配信要求を送信する配信要求手段と、
前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、前記更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、前記フォーマット変換手段によりフォーマット変換されたオブジェクト・データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0040】
本発明に係る地図情報配信システムの第2の構成は、前記第1の構成において、前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、そのデータから当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出するデータ抽出手段と、前記データ抽出手段により抽出される必要更新分データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、を備え、前記フォーマット変換手段は、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換することを特徴とする。
【0041】
本発明に係る地図情報配信システムの第3の構成は、前記第1又は2の構成において、前記地図情報管理システムの前記更新分データ作成手段は、前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成する差分データ作成手段と、前記差分データに基づき、前記地図情報を更新するためのトランザクションを規定するトランザクションデータを生成し、更新分データとして前記更新分データベースに格納するトランザクションデータ作成手段と、を備え、前記提供先システムの前記データ更新手段は、前記提供先地図データベースの提供先地図データを参照し、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データであるトランザクションデータにより規定されるトランザクション処理を実行し、提供先地図データを更新するためのオブジェクト・データを生成するトランザクション処理手段を備えていることを特徴とする。
【0042】
本発明に係る地図情報配信システムの第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成において、前記地図情報管理システムの前記データ配信手段は、更新分データを暗号化して提供先システムへ配信するものであり、前記提供先システムのデータ抽出手段は、前記地図情報管理システムから暗号化された前記更新分データを受信した場合、それら各データを復号するとともに当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出することを特徴とする。
【0043】
本発明に係る地図情報配信システムの第5の構成は、前記第1乃至4の何れか一の構成において、前記地図情報管理システムは、前記更新分データベースに記憶された更新分データのリストを作成するリスト作成手段と、前記提供先システムからのリスト配信要求に応じて、前記更新分データのリストを当該提供先システムに配信するリスト配信手段と、を備えるとともに、前記データ配信手段は、前記提供先システムから前記更新分データのリスト内の特定の更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するものであり、前記提供先システムは、前記地図情報管理システムに対してリスト配信要求を送信するリスト配信要求手段と、前記地図情報管理システムから前記更新分データのリストを受信すると、そのリストを表示装置に表示し、ユーザに対してリスト内にある更新分データの選択を促すリスト提示手段と、を備え、前記配信要求手段は、ユーザがリスト内にある特定の更新分データを選択した場合、その特定の更新分データの配信要求を前記地図情報管理システムに対して送信することを特徴とする。
【0044】
本発明に係る提供先システムの第1の構成は、地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムと、ネットワークを介して接続された提供先システムであって、当該提供先システムにおいて使用する提供先地図データを記憶する提供先地図データベースと、前記地図情報管理システムに対して、前記提供先地図データを更新するための更新分データの配信要求を送信する配信要求手段と、前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、前記更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、前記フォーマット変換手段によりフォーマット変換されたオブジェクト・データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、を備えていることを特徴とする。
【0045】
本発明に係る提供先システムの第2の構成は、前記第1の構成において、前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、そのデータから当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出するデータ抽出手段と、前記データ抽出手段により抽出される必要更新分データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、を備え、前記フォーマット変換手段は、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明によれば、更新用地図データ、更新分データ、提供用地図データをそれぞれ独立させたことによって、地図情報の配信に際して、地図情報の更新作業を停止する必要がなく、更新後迅速に各バイヤに地図情報を提供することが可能となる。また、地図情報の更新作業が停止されないため、提供する地図情報を常に高い鮮度に保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0048】
図1は、本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の全体構成を表す図である。地図情報配信システム1は、地図情報管理システム2、地図情報更新システム3、及び複数の提供先システム4から構成されている。各提供先システム4は、電話回線やインターネット等の通信回線5を介して地図情報管理システム2に接続されている。地図情報管理システム2と地図情報更新システム3とは、LAN,WAN等のネットワークを介して接続されている。地図情報管理システム2及び地図情報更新システム3は、地図情報を提供するベンダ側に設置される。各提供先システム4は、その地図情報の提供を受けるバイヤ側に設置される。
【0049】
地図情報管理システム2は、地図情報の更新、管理、及び配信を行うシステムである。この地図情報管理システム2は、ハードウェア的にはコンピュータと外部記憶装置とで構成されている。
【0050】
また、地図情報管理システム2は、その内部に更新用地図データベース10(以下「更新用地図DB10」という。),提供用地図データベース11(以下「提供用地図DB11」という。),及び更新分データベース12(以下「更新分DB12」という。)を備えている。更新用地図DB10は、地図情報の更新整備のために用いる更新用地図データが記憶されたデータベースである。提供用地図DB11は、提供先システム4に配信するための提供用地図データが記憶されたデータベースである。更新分DB12は、提供用地図データを更新するための更新分データが記憶されたデータベースである。
【0051】
地図情報更新システム3は、地図情報管理システム2が管理する地図データを修正し、更新するための修正作業を行うシステムである。地図情報更新システム3は、ハードウェア的にはコンピュータと外部記憶装置とで構成され、CAD等のソフトウェアがインストールされている。
【0052】
提供先システム4は、地図情報管理システム2から提供されたデータに基づいて、各バイヤで必要な地図データを作成し管理するためのシステムである。提供先システム4は、各バイヤが管理する提供先地図データが記憶された提供先地図データベース13(以下「提供先地図DB13」という。)を備えている。
【0053】
図2は、図1の地図情報管理システム2の構成を表す図である。地図情報管理システム2は、更新用地図DB10、提供用地図DB11、更新分DB12、配信履歴データベース14(以下「配信履歴DB14」という。)、地図DB更新手段20、更新分データ作成手段21、データ配信手段22、リスト作成手段23、リスト配信手段24、及び地図データ改訂手段25を備えている。
【0054】
更新用地図DB10、提供用地図DB11、及び更新分DB12については、図1で説明したとおりである。また、配信履歴DB14は、ベンダが各バイヤに対してどのデータを配信したのかを記憶するデータベースである。
【0055】
地図DB更新手段20は、地図情報更新システム3から更新用地図DB10の地図データを更新するための更新分データが入力されると、更新用地図DB10内の更新用地図データの更新を行う。
【0056】
更新分データ作成手段21は、提供用地図データを更新するためのデータを作成し更新分データとして更新分DB12に格納する。この更新分データ作成手段21は、差分データ作成手段30及びトランザクションデータ作成手段31から構成されている。差分データ作成手段30は、更新データにより更新される前後の更新用地図データの差分データを作成する。トランザクションデータ作成手段31は、差分データに基づき、提供用地図データを更新するためのトランザクションを規定するトランザクションデータを生成し、更新分データとして更新分DB12に格納する。トランザクションデータに関しては、後ほど詳細に説明する。
【0057】
データ配信手段22は、提供先システム4から地図データ又は更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて提供用地図データ又は更新分データを各データベースから抽出し、当該提供先システム4へ配信する。このデータ配信手段22は、地図データ配信手段32、更新分データ抽出手段33、及び更新分データ配信手段34から構成されている。
【0058】
地図データ配信手段32は、提供先システム4から地図データ要求を受信した場合に、提供用地図DB11から最新の版の提供用地図データを読み出して、当該提供先システム4に配信する。この際、配信履歴を配信履歴DB14に記録する。ここで、「地図データ要求」とは、提供先システム4から地図情報管理システム2に対して送信される要求信号であって、提供用地図データの配信を求めるものをいう。
【0059】
更新分データ抽出手段33は、提供先システム4から更新分データ要求を受信した場合に、その配信要求で指定される更新分データを更新分DB12から抽出する。更新分データ配信手段34は、抽出された更新分データを当該提供先システム4に配信する。ここで、「更新分データ要求」とは、提供先システム4から地図情報管理システム2に対して送信される要求信号であって、更新分データの配信を求めるものをいう。
【0060】
リスト作成手段23は、提供先システム4から更新分リスト要求を受信した場合に、更新分DB12に格納されている更新分データのリスト(以下「更新分リスト」という。)を作成する。また、リスト配信手段24は、リスト作成手段23が作成した更新分リストを当該提供先システム4へ配信する。ここで、「更新分リスト要求」とは、提供先システム4から地図情報管理システム2に対して送信される要求信号であって、更新分DB12に格納された更新分リストの送信を求めるものをいう。
【0061】
地図データ改訂手段25は、提供用地図DB11内の提供用地図データ、及び更新用地図DB10内の更新用地図データの改訂を行う。地図データ改訂手段25は、地図情報管理システム2内の他の構成部分とは独立したコンピュータによって構成されている。この地図データ改訂手段25は、更新実行手段35、データ整合手段36、及び更新用地図データ改訂手段37から構成される。
【0062】
更新実行手段35は、ベンダ側の管理者により改訂処理実行指示が入力されると、提供用地図DB11から提供用地図データを読み出すとともに、更新分地図DB12から更新分データを読み出して、トランザクション処理を実行し、仮改訂版の提供用地図データを生成する。データ整合手段36は、仮改訂版の提供用地図データについて、更新分データにより変更されたオブジェクトに関連するオブジェクトの整合処理を行い、最終的な改訂版の提供用地図データを作成する。作成された改訂版の提供用地図データは、提供用地図DB11に新しい改訂番号(Revision)の提供用地図データとして保存される。また、更新用地図データ改訂手段37は、更新用地図DB10の更新用地図データを、この改訂版の提供用地図データに更新する。
【0063】
尚、上述した地図DB更新手段20,更新分データ作成手段21,データ配信手段22,リスト作成手段23,リスト配信手段24,及び地図データ改訂手段25は、プログラム・モジュールとして実現され、地図情報管理システム2内の各コンピュータでこれらのプログラム・モジュールを実行させることによりこれらの各機能が実現される。
【0064】
図3は、図1の提供先システム4の構成を表す図である。
提供先システム4は、提供先地図DB13、入力装置40、表示装置41、リスト配信要求手段42、リスト提示手段43、配信要求手段44、データ抽出手段45、及びデータ更新手段46を備えている。
【0065】
提供先地図DB13は、当該提供先システム4を有するバイヤが管理する提供先地図データが記憶されている。入力装置40は、キーボード、マウス等のコンピュータへ指示を入力するための装置である。表示装置41はディスプレイ等の画像や文字のデータ表示のための装置である。
【0066】
リスト配信要求手段42は、バイヤ側の使用者により入力装置40から入力される指示に基づいて、地図情報管理システム2に対して更新分リスト要求を送信する。リスト提示手段43は、更新分リスト要求に対して地図情報管理システム2から更新分リストデータが送信されてきた場合、その更新分リストデータに基づき更新分リストを作成し表示装置41に表示する。
【0067】
配信要求手段44は、バイヤ側の使用者により入力装置40から地図データの配信を求める指示又は特定の更新分データの配信を求める指示が入力された場合、地図情報管理システム2に対して地図データ要求又は更新分データ要求を送信する。
【0068】
データ抽出手段45は、地図データ要求又は更新分データ要求に対して地図情報管理システム2から提供用地図データ又は特定の更新分データが送信されてきた場合、当該データの中から、当該提供先システム4において必要とされるデータのみを抽出する。この抽出されたデータを「必要地図データ」又は「必要更新分データ」と呼ぶ。
【0069】
データ更新手段46は、データ抽出手段45が抽出した必要地図データ又は必要更新分データに基づき、提供先地図DB13に記憶された提供先地図データの更新を行う。この、データ更新手段46は、トランザクション処理手段50、フォーマット変換手段51、及び地図更新手段52を備えている。
【0070】
トランザクション処理手段50は、データ抽出手段45が抽出したデータが必要更新分データである場合、必要に応じて提供先地図DB13に記憶された提供先地図データから当該必要更新分データにより更新される部分データを抽出し、当該必要更新分データに基づいてトランザクション処理を実行し、更新用のデータを生成する。フォーマット変換手段51は、この更新用データのフォーマットを、当該提供先システム4のバイヤが使用しているフォーマットにフォーマット変換する。地図更新手段52は、フォーマット変換された更新用データに基づいて、提供先地図DB13内の提供先地図データの更新を行う。
【0071】
尚、リスト配信要求手段42,リスト提示手段43,配信要求手段44,及びデータ抽出手段45は、ベンダ側が提供するプログラム・モジュールを、提供先システム4のコンピュータに読み込ませて実行することによって実現される。また、トランザクション処理手段50,フォーマット変換手段51,及び地図更新手段52は、バイヤ側が作成したカスタマイズされたプログラム・モジュールを提供先システム4のコンピュータに読み込ませて実行することによって実現される。
【0072】
以上のように構成された本実施例1の地図情報配信システム1について、以下その動作を説明する。
【0073】
図4は、本発明の実施例1に係る地図情報管理システム2における地図情報の更新処理を表すフローチャートである。
【0074】
まず、ステップS1において、ベンダ側で地図情報の更新作業を行う場合、作業者は地図情報更新システム3のコンピュータにおいて更新用地図データを要求する指示を入力する。地図情報更新システム3は、更新用地図データ要求を地図情報管理システム2に対して送信する。ここで、更新用地図データは図葉単位で特定されるものとする。即ち、作業者は、更新作業を行おうとする図葉を特定して要求する。
【0075】
ステップS10において、地図情報管理システム2は更新用地図データ要求を受信する。
【0076】
ステップS11において、地図情報管理システム2の地図DB更新手段20は、更新用地図データ要求により指定される図葉の更新用地図データを、更新用地図DB10から抽出する。
【0077】
ステップS12において、地図DB更新手段20は、抽出した更新用地図データの図葉を、地図情報更新システム3に対して送信する。
【0078】
次に、ステップS2において、地図情報更新システム3は、地図情報管理システム2から送信された更新用地図データの図葉を受信する。
【0079】
ステップS4において、作業者により、当該図葉内に含まれるオブジェクトの修正又は追加若しくは削除が行われる。ここで、オブジェクトとは、地図データを構成する単位である。通常、電子地図の地図データは、道路や鉄道を表すリンク及びノード、並びに地物、河川、等高線等を表すポリゴンや画像から構成されるが、これらのリンク,ノード,ポリゴン,画像等はすべて1つ1つのオブジェクトとして管理されている。地図情報の更新を行う場合には、これらのオブジェクトを追加・削除したり、オブジェクトの座標や属性情報を変更する。
【0080】
図葉内に含まれるオブジェクトの修正又は追加若しくは削除の作業が終わると、作業者は地図情報更新システム3のコンピュータに対して、更新データの送信指示を入力する。
【0081】
更新データの送信指示が入力されると、地図情報更新システム3は、修正又は追加若しくは削除が行われた図葉のデータ(以下「更新データ」という。)を地図情報管理システム2に送信する。
【0082】
ステップS13において、地図情報管理システム2は、地図情報更新システム3から更新データを受信する。
【0083】
ステップS14において、差分データ作成手段30は、更新データとそれに対応する更新前の更新用地図データの図葉とを比較して、その差分である差分データを生成する。ここで、差分データは、1オブジェクトを最小単位として、変更・追加・削除がされたオブジェクトを抜き出したものである。
【0084】
例えば、更新前の更新用地図データの図葉が図5(a)のようなものであったとする。地図情報更新システム3において、作業者により図葉が図5(b)のように修正されたとする。図5(b)において、リンクL1,L2,L3,L4,L5及びノードN1,N2,N3に対応するオブジェクトの属性に「歩道」が追加されている。また、リンクL10,L11及びノードN5,N6が追加されている。リンクL11の追加に伴って、ノードN4の形状が変更されている。また、リンクL11及びノードN5,N6の追加に伴って、リンクL6,L7は、それぞれ、リンクL6,L8及びリンクL7,L9に分割されている。更に、地物を表すポリゴンP1,P2,P4,P5,P6が追加されている。この場合、差分データは、図5(c)に示したようなものとなる。
【0085】
ステップS15において、トランザクションデータ作成手段31は、差分データに基づいてトランザクションデータを作成する。
【0086】
ここで、「トランザクション」とは、オブジェクトを変更、追加、又は削除する一連の変更処理を関連する複数の処理を一つの処理単位としてまとめたものをいう。例えば、図5の例において、リンクL10の追加を行うトランザクションは、以下のようになる。
【0087】
(1)リンクL6の形状を図5(a)の形状から図5(b)の形状に変更する。
(2)リンクL6の右側端点に図5(b)の形状のノードN5を追加する。
(3)リンクL7の形状を図5(a)の形状から図5(b)の形状に変更する。
(4)リンクL7の右側端点に図5(b)の形状のノードN6を追加する。
(5)ノードN5とノードN7とを結ぶ図5(b)の形状のリンクL8を追加する。
(6)ノードN6とノードN8とを結ぶ図5(b)の形状のリンクL9を追加する。
(7)ノードN5とノードN6とを結ぶ図5(b)の形状のリンクL10を追加する。
【0088】
トランザクションデータは、このような一連の処理からなるトランザクションを、JAVA(登録商標)言語等のプラットフォームに依存しないプログラミング言語により表現したデータである。
【0089】
ステップS16において、地図DB更新手段20は、更新用地図DB10内の更新用地図データを、上記修正がされた新たな更新用地図データに更新する。
【0090】
最後に、ステップS17において、トランザクションデータ作成手段31は、上記のように作成したトランザクションデータを、更新分データとして、更新分DB12に保存し終了する。
【0091】
以上の処理により、地図情報更新システム3により、更新用地図DB10内の更新用地図データは逐次更新される。また、更新用地図データが更新される毎に、更新により変更された地図データは、更新分データとして更新分DB12に保存される。
【0092】
次に、提供用地図DB11内の提供用地図データと、更新用地図DB10内の更新用地図データの改訂処理について説明する。上述の地図情報の更新処理により、更新用地図データは逐次更新され更新分DB12内に更新分データが蓄積されていくが、一定のタイミングで地図データ全体の整合をとった上で提供用地図データ及び更新用地図データの改訂を行う必要がある。地図データの改訂処理においては、この整合と改訂の処理を行う。
【0093】
図6は、本発明の実施例1に係る地図情報管理システム2における地図データの改訂処理を表すフローチャートである。この地図データの改訂処理は、地図情報管理システム2内の地図データ改訂手段25において行われる。
【0094】
まず、ステップS21において、更新実行手段35は、更新分DB12に蓄積された各更新分データを読み出す。
【0095】
次に、ステップS22において、提供用地図DB11から、各更新分データにより更新が行われるオブジェクトのデータを読み出して、ステップS23において、それらのオブジェクトに対して更新分データに基づくトランザクション処理を実行し、地図データの更新を行う。変更、追加又は削除がされたオブジェクト(以下「変更オブジェクト」という。)を更新した提供用地図データは、仮改訂提供用地図データとされ、提供用地図DB11に一時的に保存される。
【0096】
次に、ステップS24において、データ整合手段36は、仮改訂提供用地図データから、各変更オブジェクトに関連するオブジェクトを読み出す。ここで、「変更オブジェクトに関連するオブジェクト」とは、変更オブジェクトが更新されたことに伴って更新を行う必要が生じるオブジェクトをいう。
【0097】
例えば、図7(a)の図葉A内のある道路リンクL1(A)の道路属性が対面通行から一方通行に変更されたとし、その道路リンクL1(A)が2つの図葉A,Bに跨って存在していたとする(図7(b)参照)。この場合、図葉A内の当該道路リンクL1(A)が変更オブジェクトであるが、この変更に伴って図葉B内の同じ道路を表す道路リンクL1(B)の道路属性も対面通行から一方通行に変更する必要が生じるので、道路リンクL1(B)は変更オブジェクトに関連するオブジェクトである。
【0098】
次に、ステップS25において、データ整合手段36は、抽出された関連オブジェクトの整合を行う。
【0099】
ここで、もし関連オブジェクトが変更された場合、再びステップS24に戻り、ステップS24〜S25を繰り返す。これにより、仮改訂提供用地図データ内のすべてのオブジェクトの整合がなされる。
【0100】
例えば、図7(a)の図葉A内のある道路リンクL1(A)の道路属性が対面通行から一方通行に変更された場合においては、まず、関連オブジェクトとして図葉B内の同じ道路を表す道路リンクL1(B)が抽出され、道路リンクL1(B)の道路属性が対面通行から一方通行に変更される(図7(b)参照)。次に、道路リンクL1(B)の道路属性が変更されたことに伴い、関連オブジェクトとして図葉B内の道路リンクL4が抽出され、道路リンクL4の道路属性が対面通行から一方通行に変更される(図7(c)参照)。さらに、道路リンクL4の道路属性が変更されたことに伴い、関連オブジェクトとして図葉B内の道路リンクL5が抽出され、道路リンクL5の道路属性が対面通行から一方通行に変更される(図7(d)参照)。道路リンクL5の道路属性が変更されたことによる関連オブジェクトは存在しないので、ステップS24〜S25の処理は終了する。これにより、仮改訂提供用地図データ内のオブジェクトの整合がなされたことになる。
【0101】
次に、ステップS27において、データ整合手段36は、オブジェクト間の整合がされた仮改訂提供用地図データを、改訂提供用地図データとして提供用地図DB11に保存する。提供用地図データは順次改訂されていくので、提供用地図DB11内では提供用地図データに改訂番号(Revision番号)を付して管理する。
【0102】
最後に、更新用地図データ改訂手段37は、更新用地図DB10内の更新用地図データを、この改訂提供用地図データに更新する。この場合、一旦、改訂提供用地図データをもとの更新用地図データとは別に更新用地図DB10内に保存した後に、あるタイミングで一斉に更新用地図データをこの保存された改訂提供用地図データに切り替える。これにより、更新用地図DB10内には、整合処理がされた地図データのみが存在することになる。
【0103】
以上のようにして整合処理を行うことにより、整合処理を実行している期間中においても、提供用地図DB11内の改訂前の提供用地図データのダウンロードは常にダウンロード可能な状態が確保される。また、地図データ改訂手段25は、地図情報管理システム2内の他の構成部分とは独立したコンピュータによって構成されているので、地図データの改訂処理の期間中も、更新用地図DN10内の更新用地図データは常に使用可能な状態にある。従って、ベンダ側で地図情報の更新作業を常に行うことが可能な状態が維持される。
【0104】
次に、バイヤ側の提供先システム4に対して提供用地図データの配信を行う処理(地図情報配信処理)と、バイヤ側の提供先システム4に対して更新分データの配信を行う処理(更新分情報配信処理)について説明する。
【0105】
図8は、本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の地図情報配信処理を表すフローチャートである。
【0106】
まず、ステップS41において、バイヤ側の使用者により提供先システム4の入力装置40から地図データの配信を求める指示が入力されると、配信要求手段44は、地図情報管理システム2に対して地図データ要求を送信する。
【0107】
ステップS31において、地図情報管理システム2内の地図データ配信手段22は、この地図データ要求を受信する。
【0108】
ステップS32において、地図データ配信手段22は、提供用地図DB11内に保存された提供用地図データを読み出す。そして、読み出された地図データを暗号化する。この際、ベンダごとに必要とする地図情報の種類は異なるが、ここでは必要な地図情報の抽出は行わない。これにより、地図情報管理システム2におけるコンピュータ(サーバ)の処理負担を軽減し、処理時間を短縮することができる。
【0109】
ステップS33において、地図データ配信手段32は、暗号化された地図データを、配信要求があった提供先システム4に対して送信する。また、配信履歴DB14に、地図データの配信を行った提供先システム4のID,配信日時,配信した地図データの改訂番号等を記録する。
【0110】
ステップS42において、提供先システム4は、上記暗号化された地図データを受信する。
【0111】
ステップS43において、提供先システム4のデータ抽出手段45は、暗号化された地図データを復号する。そして、地図データから、この提供先システム4を管理するバイヤに必要なデータ(必要地図データ)を抽出する。
【0112】
必要地図データは、バイヤが購入したライセンスにより規定される。すなわち、地図データは道路の位置情報、道路形状、交差点の位置情報等の基本的な地図情報の他に、一方通行,道路のコスト情報等の属性情報や地図上に表示するランドマーク情報、地物の種類や画像の情報のような付加的な情報も含まれる。バイヤによって必要とする付加的な情報は異なり、バイヤがどのような付加的情報を購入するかは、バイヤがベンダから購入するライセンスにより規定される。従って、データ抽出手段45は、設定されたライセンスに応じて必要地図データを抽出する。
【0113】
次に、ステップS44において、フォーマット変換手段51は、必要地図データのフォーマットを、バイヤが使用している独自フォーマットに変換する。
【0114】
最後に、ステップS45において、地図更新手段52は、フォーマット変換された必要地図データを提供先地図DB13に保存して提供先地図データの更新を行い、地図情報配信処理は終了する。
【0115】
次に、更新分情報配信処理について説明する。図9は、本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の更新分情報配信処理を表すフローチャートである。
【0116】
まず、ステップS61において、提供先システム4を管理するバイヤ側の使用者により入力装置40から更新分リストの配信を要求するように指示が入力される。提供先システム4のリスト配信要求手段42は、この指示により、地図情報管理システム2に対して更新分リスト要求を送信する。
【0117】
ステップS51において、地図情報管理システム2はこの更新分リスト要求を受信する。
【0118】
ステップS52において、リスト作成手段23は、更新分DB12を参照して更新分データのリスト(更新分リスト)を生成する。この際、リスト作成手段23は、配信履歴DB14を参照して、その提供先システム4が現在有している地図データの改訂番号を取得し、その改訂番号の地図データに対する更新分データを抽出する。さらに、配信履歴DB14を参照し、すでに配信済みの更新分データを削除して、残った更新分データのリストを作成する。
【0119】
ステップS53において、リスト配信手段24は、提供先システム4に対して更新分リストを送信する。この更新分リストは、例えばHTML言語のようなマークアップ言語により記述され送信される。
【0120】
ステップS62において、提供先システム4は、更新分リストを受信する。
【0121】
ステップS63において、リスト提示手段43は表示装置41に受信した更新分リストを表示して、バイヤ側の使用者に対してリスト内の更新分データの選択を促す。バイヤ側の使用者は、入力装置40を用いて、リスト内にある特定の又はすべての更新分データを選択する。配信要求手段44は、選択された更新分データのIDを含む更新分データ要求を地図情報管理システム2に対して送信する。
【0122】
ステップS54において、地図情報管理システム2は、この更新分データ要求を受信する。
【0123】
ステップS55において、地図情報管理システム2の更新分データ抽出手段33は、更新分データ要求により指定された更新分データを更新分DB12から読み出す。
【0124】
ステップS56において、更新分データ配信手段34は、読み出された更新分データを暗号化して、要求があった提供先システム4に対して送信する。また、配信履歴DB14に、更新分データの配信を行った提供先システム4のID,配信日時,配信した更新分データのID等を記録する。
【0125】
ステップS64において、提供先システム4は、上記更新分データを受信する。
【0126】
ステップS65において、データ抽出手段45は、暗号化された更新分データの復号を行う。そして、更新分データから、この提供先システム4を管理するバイヤに必要なデータ(必要更新分データ)を抽出する。必要更新分データもまた、上述した必要地図データの場合と同様、バイヤが購入したライセンスにより規定される。データ抽出手段45は、設定されたライセンスに応じて必要更新分データを抽出する。
【0127】
ステップS66において、トランザクション処理手段50は、必要に応じて必要更新分データに関連する地図データ(又はオブジェクトのデータ)を提供先地図DB13から読み出す。
【0128】
そして、ステップS67において、必要更新分データが規定するトランザクションにより、トランザクション処理を実行し、オブジェクトの更新を行う。
【0129】
ステップS68において、フォーマット変換手段51は、更新された地図データのフォーマットを、バイヤが使用している独自フォーマットに変換する。
【0130】
最後に、ステップS69において、地図更新手段52は、フォーマット変換された地図データを提供先地図DB13に保存して提供先地図データの更新を行い、更新分情報配信処理は終了する。
【0131】
尚、先に述べた通り、リスト配信要求手段42,リスト提示手段43,配信要求手段44,及びデータ抽出手段45は、ベンダ側が提供するプログラムを、提供先システム4のコンピュータに読み込ませて実行することによって実現され、トランザクション処理手段50,フォーマット変換手段51,及び地図更新手段52は、バイヤ側が作成したカスタマイズされたプログラムを提供先システム4のコンピュータに読み込ませて実行することによって実現される。
【0132】
これにより、必要な地図データの抽出機能に関しては、ベンダ側が管理し、配信される地図データや更新分データから、各ベンダが購入しているライセンスに応じて、必要な情報を提供先システム4のコンピュータにおいて抽出させて提供することができる。この際、地図データや更新分データは暗号化されて配信されるため、バイヤ側ではライセンスの購入をしなければ必要な機能を勝手に抽出することができない。従って、ベンダ側の利益が不当に損なわれることはない。
【0133】
一方、トランザクション処理とフォーマット変換処理はバイヤ側が作成するプログラムで行うことで、各バイヤに独自のフォーマットの変更を迅速かつ容易に行うことができる。同時に、トランザクション処理とフォーマット変換処理の分だけ地図情報管理システム2側の情報処理負担が軽減されるため、複数の提供先システム4から同時に配信要求がされた場合にも、配信処理全体の速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の全体構成を表す図である。
【図2】図1の地図情報管理システム2の構成を表す図である。
【図3】図1の提供先システム4の構成を表す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る地図情報管理システム2における地図情報の更新処理を表すフローチャートである。
【図5】(a)更新前の更新用地図データ,(b)更新後の更新用地図データ,(c)差分データの一例を表す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る地図情報管理システム2における地図データの改訂処理を表すフローチャートである。
【図7】関連オブジェクトの整合処理を説明する図である。
【図8】本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の地図情報配信処理を表すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例1に係る地図情報配信システム1の更新分情報配信処理を表すフローチャートである。
【図10】特許文献1に記載の地図情報配信システムの全体構成を表す図である。
【図11】差分情報の例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 地図情報配信システム
2 地図情報管理システム
3 地図情報更新システム
4 提供先システム
5 通信回線
10 更新用地図データベース
11 提供用地図データベース
12 更新分データベース
13 提供先地図データベース
14 配信履歴データベース
20 地図DB更新手段
21 更新分データ作成手段
22 データ配信手段
23 リスト作成手段
24 リスト配信手段
25 地図データ改訂手段
30 差分データ作成手段
31 トランザクションデータ作成手段
32 地図データ配信手段
33 更新分データ抽出手段
34 更新分データ配信手段
35 更新実行手段
36 データ整合手段
37 更新用地図データ改訂手段
40 入力装置
41 表示装置
42 リスト配信要求手段
43 リスト提示手段
44 配信要求手段
45 データ抽出手段
46 データ更新手段
50 トランザクション処理手段
51 フォーマット変換手段
52 地図更新手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報の提供先にある提供先システムと通信回線を介して接続され、地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムであって、
地図情報の更新整備のために用いる更新用地図データを記憶する更新用地図データベースと、
前記地図情報を更新するための更新分データを記憶する更新分データベースと、
前記更新用地図データベースの地図データを更新するための更新分データが入力されると、前記更新用地図データベース内の更新用地図データの更新を行う地図DB更新手段と、
前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成し、当該差分データを更新分データとして前記更新分データベースに格納する更新分データ作成手段と、
前記提供先システムから更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するデータ配信手段と、
を備えたことを特徴とする地図情報管理システム。
【請求項2】
前記更新分データ作成手段は、
前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成する差分データ作成手段と、
前記差分データに基づき、更新前の前記更新用地図データを更新するためのトランザクションを規定するトランザクションデータを生成し、更新分データとして前記更新分データベースに格納するトランザクションデータ作成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図情報管理システム。
【請求項3】
前記提供先システムに配信するための提供用地図データを記憶する提供用地図データベースと、
前記提供用地図データベースに記憶された提供用地図データと、前記更新分データベースに記憶された更新分データとを読み出して、前記提供用地図データに対して前記更新分データに基づく変更を行い、仮改訂提供用地図データを生成する更新実行手段と、
前記仮改訂提供用地図データに対して、当該地図データ内のデータの整合を行い、改訂された提供用地図データを生成し、前記提供用地図データベースに格納するデータ整合手段と、
前記更新用地図データベースに記憶された更新用地図データを、前記改訂された提供用地図データにより更新する更新用地図データ改訂手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の地図情報管理システム。
【請求項4】
前記データ配信手段は、提供用地図データ又は更新分データを暗号化して提供先システムへ配信することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一記載の地図情報管理システム。
【請求項5】
前記更新分データベースに記憶された更新分データのリストを作成するリスト作成手段と、
前記提供先システムからの要求に応じて、前記更新分データのリストを当該提供先システムに配信するリスト配信手段と、
を備え、
前記データ配信手段は、前記提供先システムから前記更新分データのリスト内の特定の更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一記載の地図情報管理システム。
【請求項6】
コンピュータに読み込んで実行することにより、コンピュータを請求項1乃至5の何れか一記載の地図情報管理システムとして機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムが、ネットワークを介して地図情報の提供先にある提供先システムと接続された地図情報配信システムであって、
前記地図情報管理システムは、
地図情報の更新整備のために用いる更新用地図データを記憶する更新用地図データベースと、
前記地図情報を更新するための更新分データを記憶する更新分データベースと、
前記更新用地図データベースの地図データを更新するための更新分データが入力されると、前記更新用地図データベース内の更新用地図データの更新を行う地図DB更新手段と、
前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成し、当該差分データを更新分データとして前記更新分データベースに格納する更新分データ作成手段と、
前記提供先システムから更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するデータ配信手段と、
を備え、
前記提供先システムは、
当該提供先システムにおいて使用する提供先地図データを記憶する提供先地図データベースと、
前記地図情報管理システムに対して更新分データの配信要求を送信する配信要求手段と、
前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、前記更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、
前記フォーマット変換手段によりフォーマット変換されたオブジェクト・データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、
を備えていることを特徴とする地図情報配信システム。
【請求項8】
前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、そのデータから当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出するデータ抽出手段と、
前記データ抽出手段により抽出される必要更新分データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、を備え、
前記フォーマット変換手段は、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換すること
を特徴とする請求項7記載の地図情報配信システム。
【請求項9】
前記地図情報管理システムの前記更新分データ作成手段は、
前記更新データにより更新される前後の前記更新用地図データの差分データを作成する差分データ作成手段と、
前記差分データに基づき、前記地図情報を更新するためのトランザクションを規定するトランザクションデータを生成し、更新分データとして前記更新分データベースに格納するトランザクションデータ作成手段と、を備え、
前記提供先システムの前記データ更新手段は、
前記提供先地図データベースの提供先地図データを参照し、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データであるトランザクションデータにより規定されるトランザクション処理を実行し、提供先地図データを更新するためのオブジェクト・データを生成するトランザクション処理手段を備えていることを特徴とする請求項7又は8記載の地図情報配信システム。
【請求項10】
前記地図情報管理システムの前記データ配信手段は、更新分データを暗号化して提供先システムへ配信するものであり、
前記提供先システムのデータ抽出手段は、前記地図情報管理システムから暗号化された前記前記更新分データを受信した場合、それら各データを復号するとともに当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出することを特徴とする請求項7乃至9の何れか一記載の地図情報配信システム。
【請求項11】
前記地図情報管理システムは、
前記更新分データベースに記憶された更新分データのリストを作成するリスト作成手段と、
前記提供先システムからのリスト配信要求に応じて、前記更新分データのリストを当該提供先システムに配信するリスト配信手段と、を備えるとともに、
前記データ配信手段は、前記提供先システムから前記更新分データのリスト内の特定の更新分データの配信要求を受信すると、当該配信要求に応じて前記更新分データベースに記憶された更新分データを抽出し、当該提供先システムへ配信するものであり、
前記提供先システムは、
前記地図情報管理システムに対してリスト配信要求を送信するリスト配信要求手段と、
前記地図情報管理システムから前記更新分データのリストを受信すると、そのリストを表示装置に表示し、ユーザに対してリスト内にある更新分データの選択を促すリスト提示手段と、を備え、
前記配信要求手段は、ユーザがリスト内にある特定の更新分データを選択した場合、その特定の更新分データの配信要求を前記地図情報管理システムに対して送信することを特徴とする請求項7乃至10の何れか一記載の地図情報配信システム。
【請求項12】
地図情報の更新、管理、及び配信を行う地図情報管理システムと、ネットワークを介して接続された提供先システムであって、
当該提供先システムにおいて使用する提供先地図データを記憶する提供先地図データベースと、
前記地図情報管理システムに対して、前記提供先地図データを更新するための更新分データの配信要求を送信する配信要求手段と、
前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、前記更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換するフォーマット変換手段と、
前記フォーマット変換手段によりフォーマット変換されたオブジェクト・データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、
を備えていることを特徴とする提供先システム。
【請求項13】
前記地図情報管理システムから前記更新分データを受信した場合、そのデータから当該提供先システムにおいて必要な必要更新分データを抽出するデータ抽出手段と、
前記データ抽出手段により抽出される必要更新分データに基づき、前記提供先地図データベースの提供先地図データを更新する地図更新手段と、を備え、
前記フォーマット変換手段は、前記データ抽出手段が抽出する必要更新分データに基づき作成されるオブジェクト・データを、提供先システムにおいて使用されるフォーマットに変換することを特徴とする請求項12記載の提供先システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−96706(P2008−96706A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278579(P2006−278579)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】