説明

地熱流体を使用する発電装置

【課題】地熱流体に存在する比較的高温の蒸気と塩水の効率的使用により全体的な効率が比較的高くなる、同じ利用可能な熱を使用するための新しい改良された装置を提供することを目的とする。
【解決手段】高圧蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用する発電装置であって、地熱流体を塩水の流れと蒸気の流れとに分離する分離器と、熱のなくなった蒸気を生成させる蒸気タービンと、気化した有機流体の流れ及び蒸気凝縮物の流れを生成させる蒸気凝縮器と、過熱された有機蒸気の流れ及び冷却された塩水の流れを生成させ過熱器と、熱のなくなった有機流体を生成させる有機蒸気タービンと、有機凝縮物を生成させる有機蒸気凝縮器と、予熱された有機流体の流れ及び冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させる予熱器と、予熱された有機流体を供給する手段と、集合した流れを生成させる手段とを含む装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地熱流体を使用する発電装置、特に、かなりの量の熱が地熱流体に存在する塩水から分離された地熱蒸気の地熱流体を使用する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている多くの地熱源では、生産ウェルを出る地熱流体中の蒸気は塩水から分離され、発電のために蒸気タービンで膨張させられる。その塩水は比較的熱量が少ないので、単に捨てられることが多い。しかしながら、特定の地域で生産される蒸気と塩水の相対的な量は、分離を行う温度によって決まる。
【0003】
最近、塩水中に存在する熱が、バイナリー・サイクルを用いることによって発電に利用されてきている。そのバイナリー・サイクルでは、例えば、地熱流体中の蒸気は蒸気タービンで使われ、地熱流体中の排気蒸気と塩水は、発電用蒸気タービンで膨張させられる有機流体を蒸発させるための熱を供給するのに使われる。また、塩水中の熱は、単に、そのバイナリー動力サイクルを動かす作動流体を予熱するために使用されていることが多い。
【0004】
バイナリー・サイクル・システムについては、1969年出版のTimarit VFIで、V.K.Jonnson他が「フレオン蒸気サイクルの使用による地熱発電プラントの最適化」という表題の下で再検討している。その中には、塩水と蒸気の混合物から成る地熱流体を使用するための多くの手順が記載されている。この論文で提案されている案4は、塩水から蒸気を分離し、その蒸気を蒸気タービンに直接通すことを明らかにしている。このタービンから排出された蒸気は、フレオンで冷却した蒸気凝縮器中で少し減圧状態で凝縮する。その熱せられたフレオンをフレオン・タービンに通す前に、蒸気凝縮器からのそのフレオンを加熱する最初の熱交換器に、塩水を直接通す。このタービンから排出されるフレオンは周囲の冷却水を使って凝縮される。最初の熱交換器からの廃塩水を、蒸気凝縮器からの蒸気凝縮物と一緒にして混合物とし、その混合物を第二の熱交換機に通して、凝縮したフレオンを前記蒸気凝縮器に供給して再循環させる前に予熱する。そして、その第二の熱交換器からの冷却された前記混合物は廃棄される。
【0005】
案4の蒸気凝縮器は少し減圧状態で作動し、そして熱交換器の配列によって利用できる熱の比較的効率的な使用が可能になるが、塩水が効率的に使われていないので、この案の実際の全体的効率は高くはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、地熱流体に存在する比較的高温の蒸気と塩水の効率的使用により全体的な効率が比較的高くなる、同じ利用可能な熱を使用するための新しい改良された装置を提供することが本発明の一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、高圧蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用する発電装置であって、地熱流体を、塩水の流れと蒸気の流れとに分離する分離器と、高圧蒸気流を膨張させることによって、発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった蒸気を生成させるための発電機に取り付けられた蒸気タービンと、気化した有機流体の流れ及び蒸気凝縮物の流れを生成させるために、有機流体の供給の流れ及び熱のなくなった蒸気に応答する蒸気凝縮器と、過熱された有機蒸気の流れ及び冷却された塩水の流れを生成させるために、塩水の流れ及び前記気化した有機流体の流れに応答する過熱器と、過熱させられた有機蒸気を膨張させることによって発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった有機流体を生成させるための、発電機に取り付けられた有機蒸気タービンと、熱のなくなった有機流体を凝縮させて有機凝縮物を生成させるための有機蒸気凝縮器と、予熱された有機流体の流れ及び冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させるための、蒸気凝縮物及び前記有機凝縮物に応答する予熱器と、予熱された有機流体を前記蒸気凝縮器へ供給するための手段と、冷却された塩水の流れを、冷却された蒸気凝縮物の流れと組み合わせて、集合した流れを生成させる手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、他の熱のなくなった有機流体と加熱された有機流体とを生成させるために、熱のなくなった有機流体及び前記有機凝縮物に応答する蓄熱器、加熱された有機流体を前記予熱器に供給する手段及び、他の熱のなくなった有機流体を凝縮器に供給する手段を含むことを特徴とする。
【0009】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、集合した流れを地中に注入するための手段を含む装置を特徴とする。
【0010】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、蒸気タービン及び前記有機蒸気タービンが同一の発電機に取り付けられている装置を特徴とする。
【0011】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、蒸気タービンが大気圧を超える圧力で低圧蒸気を生成させる背圧タービンであることを特徴とする。
【0012】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電方法は、高圧の蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用する発電方法であって、地熱流体を塩水の流れと蒸気の流れに分離し、発電及び低圧蒸気を生成させるために、高圧蒸気の流れを膨張させ、気化した有機流体の流れ及び蒸気凝縮物の流れを生成させるために、低圧蒸気を、供給された有機流体の流れを用いて凝縮させ、過熱された有機蒸気の流れ及び冷却された塩水の流れを生成させるために、気化した有機流体の流れを、塩水の流れに含まれている熱を使って過熱させ、発電し及び低圧有機蒸気を生成させるために、過熱された有機蒸気を膨張させ、加熱された有機流体凝縮物の流れ及び冷却された低圧有機蒸気の流れを生成させるために、低圧有機蒸気の中の熱を有機凝縮物に移し、冷却された低圧有機蒸気の流れを凝縮させて、有機凝縮物を生成し、供給された有機流体の流れ及び冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させるために、加熱された有機流体凝縮物の流れを予熱することからなることを特徴とする。
【0013】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電方法は、冷却された塩水の流れを前記冷却された蒸気凝縮物の流れと一緒にして、集合した流れを形成することを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電方法は、集合した流れを地中に注入することを含むことを特徴とする。
【0015】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電方法は、蒸気流を蒸気タービン中で膨張させ、そして過熱された有機蒸気を有機蒸気タービン中で膨張させ、しかも両方のタービンがの発電機に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電方法は、低圧蒸気の圧力が大気圧を超えることを特徴とする。
【0017】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、高圧の蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用する発電装置であって、地熱流体を塩水の流れと蒸気の流れに分離する分離器と、高圧蒸気の流れを膨張させることによって前記発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった蒸気を生成させるために、発電機に取り付けられた蒸気タービンと、有機流体を気化させて、気化した有機流体の流れ及び蒸気凝縮物の流れを生成させるために、有機流体を供給され、しかも熱のなくなった蒸気に応答する蒸気凝縮器と、気化した有機流体の流れを過熱させて、過熱した有機蒸気の流れ及び熱のなくなった塩水の流れを生成させるために、塩水の流れに応答する第一の過熱器と、過熱した有機蒸気を膨張させることによって最後に述べた発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった有機流体の流れを生成させるために、発電機に取り付けられた第一の有機蒸気タービンと、熱のなくなった有機流体の流れを過熱させて、再過熱された有機蒸気の流れ及び他の熱のなくなった塩水の流れを生成させるために、前記熱のなくなった塩水の流れに応答する第二の過熱器と、再過熱された有機蒸気の流れを膨張させることによって最後に述べた発電機を動かして発電し、そして他の熱のなくなった有機流体の流れを生成させるために、発電機に取り付けられた第二の有機蒸気タービンと、加熱された有機流体の凝縮物及びもう一つ別の熱のなくなった有機流体を生成させるために、他の熱のなくなった有機流体及び有機流体の凝縮物に応答する蓄熱器と、もう一つ別の熱を失った有機流体を凝縮させて、前記有機流体凝縮物を生じさせるための有機蒸気凝縮器と、予熱された有機流体の流れ及び他の冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させるために、前記蒸気凝縮物及び前記加熱された有機流体凝縮物に応答する予熱器と、予熱された有機流体の流れを前記蒸気凝縮器に供給するための手段と、他の熱のなくなった塩水の流れを前記他の冷却された蒸気凝縮物の流れと一緒にして、集合した流れを形成させるための手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
さらに本願発明による地熱流体を使用する発電装置は、唯一の発電機が、第一及び第二の有機蒸気タービンに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従って有機作動流体を過熱することにより、伝えられた熱の一部を、有機蒸気タービンにおける蒸気の膨張によって、より多くの電力を発生させるのに使うことができる。
【0020】
さらに本願発明では、蓄熱器を使用することにより、比較的高温度で塩水から過熱器中の有機蒸気に実際に伝えられた熱の残りのかなりの量を、比較的低温度で有機流体凝縮器を出る有機流体凝縮物を加熱することができる。
【0021】
さらに本願発明では、二段階の高圧モジュール及び低圧モジュール有機ランキン・サイクル・タービンが使用することにより、低圧モジュール・タービンの前のみならず、高圧モジュール・タービンの前でも過熱を便利に実施できる。
【0022】
さらに本願発明では、冷却した塩水と冷却した蒸気凝縮物の集合した流れを再注入ウェルに供給し、地中に注入するため、予熱機で生成した冷却された蒸気凝縮物は、蓄熱器が存在するために、蓄熱器なしで生成した凝縮物よりも温かくなり、その結果、希釈された冷却塩水の集合した流れもまた温かくなり、したがって、その希釈された冷却塩水を運ぶ配管中で無機物の析出を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一つの実施例による装置のブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例による装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
高圧の蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用して発電するための本発明による装置は、地熱流体を蒸気の流れと塩水の流れに分離する分離器を含んでいる。発電機に取り付けられている蒸気タービンが蒸気を膨張させ、発電機を動かして発電し、同時に熱のなくなった蒸気を生成させる。有機流体を供給された蒸気凝縮器は、その熱のなくなった蒸気を凝縮させて、気化した有機流体の流れと蒸気凝縮物の流れを生成させる。その気化した有機流体は、その塩水の流れに応答する過熱器に供給され、そこでその気化した有機流体は過熱され、過熱した有機蒸気の流れと冷却した塩水の流れが生成される。発電機に取り付けられている有機蒸気タービンはその過熱した有機蒸気を膨張させ、発電機を動かして発電し、同時に熱のなくなった有機流体を生成させる。有機蒸気凝縮器は、その熱のなくなった有機流体を凝縮させて有機凝縮物を生成させる。その有機凝縮物は、蒸気凝縮物に応答する予熱器に供給される。その予熱器で、その有機凝縮物は予熱され、その蒸気凝縮器に供給される予熱された有機流体の流れと冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させる。
【0025】
本発明は、有機蒸気凝縮器によって生成した有機凝縮物を加熱するために、有機蒸気タービンによって生成した熱のなくなった有機流体に応答する蓄熱器を提供する。その蓄熱器は、凝縮器に供給される他の熱のなくなった有機流体、及び予熱器に供給される加熱された有機流体凝縮物を生成させる。有機蒸気タービンから排出される熱のなくなった有機蒸気(そのタービンに供給される蒸気よりも温度及び圧力が低いけれども)は、高く過熱されるだろうから、蓄熱器は、この熱が有機蒸気凝縮器用の冷却剤へ向かうのを阻止する代わりに、この過熱度をいくらか回収するのに役立つ。冷却された塩水の流れは、冷却された蒸気凝縮物の流れと一緒にされて、無機物を析出させにくい希釈された冷却塩水の集合した流れを生成する。
【0026】
また、本発明に従って有機作動流体を過熱することにより、伝えられた熱の一部を、有機蒸気タービンにおける蒸気の膨張によって、より多くの電力を発生させるのに使うことができる。さらに、蓄熱器を使用すると、比較的高温度で塩水から過熱器中の有機蒸気に実際に伝えられた熱の残りのかなりの量を、比較的低温度で有機流体凝縮器を出る有機流体凝縮物を加熱するのに利用することができる。
【0027】
本発明の他の実施例において、二段階の、高圧モジュール及び低圧モジュール有機ランキン・サイクル・タービンが使用できる。この実施例においては、低圧モジュール・タービンの前のみならず高圧モジュール・タービンの前でも、過熱を便利に実施できる。
【0028】
そのうえに、冷却した塩水と冷却した蒸気凝縮物の集合した流れを再注入ウェルに供給し、地中に注入することができる。予熱機で生成した冷却された蒸気凝縮物は、蓄熱器が存在するために、蓄熱器なしで生成した凝縮物よりも温かくなり、その結果、希釈された冷却塩水の集合した流れもまた温かくなり、したがって、その希釈された冷却塩水を運ぶ配管中で無機物の析出を抑制するのに役立つ。
【0029】
さて、その図面によれば、図1の参照数字10は、生産ウェル14によって生産される導管12中の地熱流体を使って発電するための、本発明の一つの実施例による装置を示す。導管12中の地熱流体は、かなりの量の熱が蒸気中で得られる高圧の蒸気と塩水の混合物から成っている。
【0030】
装置10は、導管12中の地熱流体を、塩水の流れ18と高圧蒸気の流れ20に分離するためのセパレーター、すなわち、分離器16を含んでいる。発電機24に取り付けられている蒸気タービン22は、流れ20を受け入れ、その高圧蒸気を膨張させることによって、発電機を動かして発電し、そしてタービンの排気管26の中に熱のなくなった蒸気を生成させる。好ましくは蒸気側で大気圧を超える圧力で運転している蒸気凝縮器28は、導管30に有機流体を供給し、熱のなくなった蒸気に応答して、その有機流体を蒸発させ、気化した有機流体の流れ32と蒸気凝縮物の流れ34を生成させる。
【0031】
過熱器36は、塩水の流れ18に応答して、気化した有機流体の流れ32を過熱し、過熱された有機蒸気の流れ38と冷却された塩水の流れ40を生成させる。流れ38は、発電機、好ましくは発電機24に取り付けられた有機蒸気タービン42(タービン42は別の発電機につなぐこともできるが)に使われる。それは、過熱された有機蒸気を膨張させることによって、発電機を動かして発電し、そしてタービン42の排気管44に熱のなくなった有機流体を生成させるためである。
【0032】
排気管44の流体は、有機蒸気の凝縮器46に用いられ、前記熱のなくなった有機流体を凝縮させ、導管48に有機凝縮物を生成させる。循環ポンプ49は導管48の中の有機凝縮物を予熱器50に送る。その予熱器は蒸気凝縮物の流れ34に応答して、前記有機凝縮物を予熱し、蒸気凝縮器28に供給される予熱された有機流体の流れ30と冷却された蒸気の凝縮物の流れ52を生成させる。手段54は冷却された塩水の流れ52を冷却された蒸気凝縮物の流れ40と一緒にして、集合した流れ56を形成する役をする。好ましくは、集合した流れ56を、再注入ウェル58を通して地中に注入する。
【0033】
大部分の有機流体、特に、好ましい有機流体であるペンタン用のT−S線図が傾斜したベル形の性状をしているので、タービン42でのその有機流体の膨張は加熱領域で起こることになる。そして、タービン42の排気管44が相当過熱されることになり、凝縮器46用の冷却剤の中に入るのが阻止され、それ故に利用されないという結果になる。こうした理由から、排気管44におけるその過熱度の一部を回収するために、蓄熱器60をタービン42の排気管と凝縮器46の間に挿入する。
【0034】
蓄熱器60は、排気管44の中の熱のなくなった有機流体中の相当量の過熱度を、導管48中の有機凝縮物へ、その凝縮物が導管64の予熱器50に供給される前に移す。導管62中の他の熱のなくなった有機流体は凝縮器46に供給される。
【0035】
ここで、図2によれば、参照数字10Aは、図1を参照して説明した前記実施例と似ている本発明の他の実施例を示す。実施例10Aにおいては、高圧タービン・モジュール42A及び低圧タービン・モジュール42Bが、米国特許第5,531,073号(その開示は、ここに引用して取り込まれている)に示されているのと類似の方法で、気化した有機流体を膨張させるのに使用される。これらのタービンは普通は低速度、例えば、1500或いは1800RPMで動く。
【0036】
好ましくは、過熱器36Aと36Bは、気化した有機流体を過熱して高圧タービン・モジュール42Aと低圧タービン・モジュール42Bにそれぞれ入るように装備されている。過熱器36Aは、塩水の入力の流れ18と気化した有機流体の入力の流れ32に応答して、高圧タービン・モジュール42Aに供給される過熱された有機流体の出力の流れ38Aと、熱のなくなった塩水の出力の流れ39を生成させる。過熱器36Bは、熱のなくなった塩水の入力の流れ39と高圧タービン42Aから排出された熱のなくなった有機蒸気の入力の流れ44に応答して、低圧タービン・モジュール42Bに供給される過熱された有機蒸気の出力の流れ38Bとさらに熱のなくなった塩水の出力の流れ40を生成させる。
【0037】
好ましくは、普通の発電機43はタービン42Aと42Bの間に挿入して取り付けられ、別の発電機24Aが蒸気タービン22にのみ取り付けられる。さらに、ある条件下では、過熱器36Bだけが使用される。
【0038】
2流体発電装置システムにおいて、蒸気凝縮器28の蒸気側を、大気圧を超える圧力で運転することによって、同システムの全ての構成部分が大気圧を超える圧力で動く。このことが、高真空条件で運転する必要がなく、低温地域の長所を利用することを可能にするだけでなく、例えば、凝縮器28の蒸気側から不凝縮性ガスの抜き取りを容易にするだろう。
【0039】
本発明の方法及び装置によって与えられる長所と改善された成果は、本発明の好ましい実施例の前述の説明で明らかである。本明細書の特許請求の範囲に記述されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正がなされる可能性がある。
【符号の説明】
【0040】
10,10A 地熱流体を使用する発電装置
14 生産ウェル
16 分離器
22 蒸気タービン
24,24A 発電機
28 蒸気凝縮器
36,36A,36B 過熱器
42,42A,42B タービン
46 凝縮器
49 循環ポンプ
50 予熱器
58 再注入ウェル
60 蓄熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧の蒸気と塩水の混合物である地熱流体を使用する発電装置であって、
a)前記地熱流体を塩水の流れと蒸気の流れに分離する分離器と、
b)前記高圧蒸気の流れを膨張させることによって発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった蒸気を生成させるために、前記発電機に取り付けられた蒸気タービンと、
c)有機流体を気化させて、気化した有機流体の流れ及び蒸気凝縮物の流れを生成させるために、有機流体が供給され、しかも前記熱のなくなった蒸気に応答する蒸気凝縮器と、
d)前記有機蒸気を膨張させることによって発電機を動かして発電し、そして熱のなくなった有機流体の流れを生成させるために、前記最後に述べた発電機に取り付けられた第一の有機蒸気タービンと、
e)前記熱のなくなった有機流体の流れを過熱させるため、さらに再過熱された有機蒸気の流れ及び熱のなくなった塩水の流れを生成させるために、前記塩水の流れに応答する単一の過熱器と、
f)前記再過熱された有機蒸気の流れを膨張させることによって発電機を動かして発電し、そして他の熱のなくなった有機流体の流れを生成させるために、前記最後に述べた発電機に取り付けられた第二の有機蒸気タービンと、
g)加熱された有機流体の凝縮物及びもう一つ別の熱のなくなった有機流体を生成させるために、前記他の熱のなくなった有機流体及び有機流体の凝縮物に応答する蓄熱器と、
h)前記もう一つ別の熱を失った有機流体を凝縮させて、前記有機流体凝縮物を生じさせるための有機蒸気凝縮器と、
i)予熱された有機流体の流れ及び他の冷却された蒸気凝縮物の流れを生成させるために、前記蒸気凝縮物及び前記加熱された有機流体凝縮物に応答する予熱器と、
j)前記予熱された有機流体の流れを前記蒸気凝縮器に供給するための手段と、
k)前記熱のなくなった塩水の流れを前記他の冷却された蒸気凝縮物の流れと一緒にして、集合した流れを形成させるための手段とを含む装置。

【図1】
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【図2】
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