地盤改良工法及び地盤改良装置
【課題】小型の機械で広範囲の改良を行いながらも、薬材の分布が均一な地盤改良体を形成することが可能な地盤改良工法及び地盤改良装置を提供する。
【解決手段】地盤改良装置1は、薬材を噴射するための第1の噴射口4aを有するロッド4と、その噴射口4aよりも先端側に取り付けられた噴射装置2と、噴射装置2よりも更に先端側に取り付けられた撹拌装置3とを備える。噴射装置2及び撹拌装置3は地中で突出できる機構となっており、噴射装置2は突端部に第2の噴射口2bを備えている。
【解決手段】地盤改良装置1は、薬材を噴射するための第1の噴射口4aを有するロッド4と、その噴射口4aよりも先端側に取り付けられた噴射装置2と、噴射装置2よりも更に先端側に取り付けられた撹拌装置3とを備える。噴射装置2及び撹拌装置3は地中で突出できる機構となっており、噴射装置2は突端部に第2の噴射口2bを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に薬材を注入して地盤を改良する地盤改良工法及び地盤改良装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、掘削された孔内にロッドを挿入し、このロッドに設けられた噴射口から地盤を改良するための薬材を噴射しつつ、ロッド側面に設けられた撹拌翼を回転させて円柱状の地盤改良体を形成することにより、地盤を改良していた。
例えば、特許文献1には、撹拌翼を備えた地盤改良装置を用い、この撹拌翼の先端から薬材を噴射して地盤を改良する地盤改良工法が開示されている。この工法は、まず、撹拌翼を略水平にした状態でその先端から水を噴射しつつ、ロッドを所定の距離だけ引き上げて地盤内を掘削するとともに撹拌し、次に、引き上げた距離と同じ距離だけロッドを下降させた後、撹拌翼の先端から薬材を噴射しつつ、再び、ロッドを所定の距離だけ引き上げることにより、排泥量を低減しつつ、大口径の地盤改良体を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−33334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている地盤改良工法では、撹拌翼の先端から薬材を噴射することにより、大口径の地盤改良体を形成できるが、撹拌翼の内側については、噴射混合後に強制撹拌することで均一な改良体が造成されているのに対し、撹拌翼よりも外側の部分については、撹拌翼による強制撹拌がなされないので、薬材の分布が不均一な地盤改良体が形成される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、小型の機械で大口径の改良が可能で、なおかつ、薬材の分布が均一な地盤改良体を形成することが可能な地盤改良工法及び地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地盤改良工法は、地盤を改良する薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出し、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出した撹拌装置と、を備えた地盤改良装置の前記噴射装置及び前記撹拌装置を
前記ロッドの長手方向に沿った状態にして、地上から前記ロッドを地盤内の所定の深度まで挿入する工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しながら、前記ロッドを第1の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記噴射装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置により地盤を撹拌しながら、前記ロッドを第2の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口及び前記第2の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記撹拌装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置及び前記撹拌装置で地盤を撹拌ながら、前記ロッドを所定の距離引き上げる工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の地盤改良工法によれば、地盤改良装置を地盤内に挿入する際は、噴射装置及び撹拌装置をロッドの外周面に沿うように近接させることにより、ロッドの外周面からの噴射装置及び撹拌装置の突出量をごくわずかにすることができる。したがって、地表面から地盤に削孔された孔に、ロッドを挿入する際に、噴射装置及び撹拌装置が支障とならない。
【0008】
また、噴射装置の第2の噴射口から薬材を噴射することにより、第1の噴射口からの噴射よりも遠くまで噴射混合をすることができる。さらに、撹拌装置により、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤に加えて第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。
【0009】
また、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を噴射装置で撹拌し、第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌装置で撹拌することにより、噴射装置及び撹拌装置の回転時の回転抵抗が低減されるため、噴射装置及び撹拌装置を回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置本体を小型化することができる。
【0010】
また、ロッド径方向での位置が異なる第1の噴射口及び第2の噴射口を備えていることにより、一つの噴射口からの薬材の噴射により地盤を切削する径が小さくてよいため、地盤への薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0011】
本発明の地盤改良装置は、地盤に薬材を噴射して撹拌することにより地盤を改良する地盤改良装置であって、
前記薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、
前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出するように設けられ、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、
前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出するように設けられ、地盤を撹拌するための撹拌装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ロッドの径方向に突出し、かつ、第2の噴射口を有する噴射装置を備えているので、第1の噴射口からの噴射よりも遠くまで薬材による噴射混合をすることができる。また、噴射装置よりもロッドの径方向に更に長く突出する撹拌装置により、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤に加えて第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。
【0013】
さらに、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を噴射装置で撹拌し、第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌装置で撹拌することにより、噴射装置及び撹拌装置の回転時の回転抵抗が低減されるため、噴射装置及び撹拌装置を回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置本体を小型化することができる。
【0014】
また、ロッド径方向での位置が異なる第1の噴射口及び第2の噴射口を備えていることにより、一つの噴射口からの薬材の噴射により地盤を切削する径が小さくてよいため、地盤への薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0015】
また、本発明において、前記噴射装置及び前記撹拌装置のうち、少なくとも何れか一方は、前記ロッドの径方向に突出した状態と前記ロッドの長手方向に沿った状態との間で回動可能な機構を備えることとすれば、地盤改良装置を地盤内に挿入する際は、噴射装置及び撹拌装置をロッドの外周面に沿うように近接させることができるので、地表面から地盤に削孔された孔に、ロッドを挿入する際に、噴射装置及び撹拌装置が支障とならない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型の機械で広範囲の改良を行いながらも、薬材の分布が均一な地盤改良体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一実施形態に係る地盤改良装置の噴射装置及び撹拌装置を開いた状態を示す側面図である。
【図2】噴射装置及び撹拌装置を閉じた状態を示す側面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図3のR矢視図で、閉じた状態の噴射装置を示す図である。
【図5】図3のL矢視図で、閉じた状態の噴射装置を示す図である。
【図6】図3のR矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図7】図3のL矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図8】図4のB−B矢視図である。
【図9】図4のB’−B’矢視図である。
【図10】開いた状態の噴射装置を示す図である。
【図11】図10のC−C矢視図である。
【図12】ストッパーの拡大図である。
【図13】図3のR矢視図で、閉じた状態の撹拌装置を示す図である。
【図14】図3のL矢視図で、閉じた状態の撹拌装置を示す図である。
【図15】図3のR矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図16】図3のL矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図17】図13のD−D矢視図である。
【図18】図13のD’−D’矢視図である。
【図19】開いた状態の撹拌装置を示す図である。
【図20】図19のE−E矢視図である。
【図21】ストッパーの拡大図である。
【図22】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図23】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図24】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図25】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図26】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図27】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図28】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図29】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る地盤改良装置の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
まず、全体の構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第一実施形態に係る地盤改良装置1の噴射装置2及び撹拌装置3を開いた状態を示す側面図である。また、図2は、噴射装置2及び撹拌装置3を閉じた状態を示す側面図であり、図3は、図2のA−A矢視図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、地盤改良装置1は、グラウト材である薬材を噴射するための第1の噴射口4aを外周に有するロッド4と、第1の噴射口4aよりも先端側の位置においてロッド4に取り付けられた噴射装置2と、噴射装置2よりも更に先端側の位置においてロッド4に取り付けられた撹拌装置3とを備える。
【0022】
次に、ロッド4の構造について説明する。
【0023】
ロッド4の先端にはビットが取り付けられている。地盤E内にロッド4を挿入する際は、ロッド4を回転させるとともに、先端から水を噴射し、ビットで地盤Eを掘削する。
【0024】
第1の噴射口4aには、第1のチェック弁4bが取り付けられており、ロッド4内に供給される薬材の圧力が所定の値以上になると第1のチェック弁4bが開いて、薬材が第1の噴射口4aから噴射される。
【0025】
噴射装置2は、以下に示す構造となっている。
【0026】
図4及び図5は、それぞれ図3のR、L矢視図で、閉じた状態の噴射装置2を示す図であり、図6及び図7は、それぞれ図3のR、L矢視図で、撹拌翼2aの基端部付近の拡大図である。また、図8及び図9は、それぞれ図4のB−B矢視図、B’−B’矢視図であり、図10は、開いた状態の噴射装置2を示す図である。そして、図11は、図10のC−C矢視図であり、図12は、ストッパー5bの拡大図である。
【0027】
図4〜図11に示すように、噴射装置2は、ロッド4を挟むように設けられた撹拌翼2aを備えている。撹拌翼2aは、ロッド4を挟むように翼2pと翼2qを連結材2cで結合して形成される。本実施形態においては、翼2p及び翼2qとして、板状の鋼材を用いた。
【0028】
翼2p及び翼2qは、その基端部に設けられた表裏一対の円弧状の溝2eがガイドとなり、ロッド4の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド4の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である(回動するための機構については後述する)。翼2p及び翼2qが回動する際に、連結材2cが移動する範囲は、ロッド4が支障しないように、ロッド4の側面に切り欠き部2iが設けられている。
【0029】
噴射装置2の開閉は、開いた状態から、翼2pがその基端部を中心に下方に回動すると、連結材2cにて連結された翼2qが、同時にその基端部を中心に上方に回動することにより、それぞれが閉じた状態となる。翼2pは翼2qよりも重量が重いため、外力がかからない状態において、撹拌翼2aは、自重により閉じた状態となる。
【0030】
噴射装置2は、翼2p及び翼2qの基端部に円弧状の溝2eを有し、撹拌翼2aを開閉するための噴射装置用回動機構5を備えている。
【0031】
噴射装置用回動機構5は、ロッド4の外周に固定され、溝2eに遊嵌された突起部5aと、ロッド4内と溝2e内とを連通する開閉孔4dに設置された第3のチェック弁2kと、ロッド4の外周に設けられ、翼2qをロッド4に仮固定するためのストッパー5bとから構成される。
【0032】
第3のチェック弁2kは、ロッド4内の薬材の圧力が所定の値以上になると開き、薬材が開閉孔4dを通じて溝2e内に供給される。
【0033】
ロッド4内の薬材が開閉孔4dを通過して溝2e内に供給されると、薬材の圧力が溝2eの一方の端面2fに作用することにより、翼2p及び翼2qが開く向きに回動する。
【0034】
翼2p及び翼2qが基端部を中心に回動して、突起部5aが溝2eの他方の端面2gに当接すると、翼2p及び翼2qは回動を停止し、その状態を維持する。このとき、翼2p及び翼2qは略水平状態である。本実施形態においては、翼2p及び翼2qの回動する角度範囲が90°になるように溝2eの周方向の長さを形成した。
【0035】
図12に示すように、ストッパー5bは、閉じた状態の翼2qが接するロッド4の外周部に形成された穴5c内に設置され、凸状でその先端部がロッド4の外周から外方に突出可能な突起体5dと、穴5cの底面と突起体5dとの間に設置されたばね5eとから構成されている。また、ロッド4内の圧力を穴5cに伝達するためのパイロット孔5gが設けられている。
【0036】
ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値よりも小さい場合は、ロッド4の外周面より外方に突出して翼2qの凹部2mに嵌合し、翼2qの回動を抑制する。一方、ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値以上になると、パイロット孔5g内を伝わった圧力により、ばね5eが縮んで突起体5dがロッド4の外周面より内方に引込んで、翼2qを回動可能な状態にする。
【0037】
翼2p及び翼2qの先端には、それぞれ薬材を噴射するための第2の噴射口2bが設けられている。また、翼2p及び翼2qには、それぞれロッド4の外周に設けられた供給孔4cを介して供給される薬材を第2の噴射口2bへ送給するための送給路2dが設けられている。
【0038】
供給孔4cには、第2のチェック弁2jが取り付けられていて、ロッド4内に供給される薬材の圧力が所定の値以上になると第2のチェック弁2jが開き、薬材が送給路2dに供給される。
【0039】
ロッド4の回転に伴って翼2p及び翼2qを開いた状態で回転させながら、第2の噴射口2bから薬材を噴射することで、第1の噴射口4aからの薬材で噴射混合されたロッド4の周囲の地盤Eを強制撹拌するとともに、さらに外周部分を噴射混合することができる。
【0040】
撹拌装置3は、以下に示す構造となっている。
【0041】
図13及び図14は、それぞれ図3のR、L矢視図で、閉じた状態の撹拌装置3を示す図であり、図15及び図16は、それぞれ図3のR、L矢視図で、撹拌翼3aの基端部付近の拡大図である。また、図17及び図18は、図13のD−D矢視図、D’−D’矢視図であり、図19は、開いた状態の撹拌装置3を示す図である。そして、図20は、図19のE−E矢視図であり、図21は、ストッパー6bの拡大図である。
【0042】
図13〜図20に示すように、撹拌装置3は、ロッド4を挟むように設けられた撹拌翼3aを備えている。撹拌翼3aは、ロッド4を挟むように翼3pと翼3qを連結材3bで結合して形成される。本実施形態においては、翼3p及び翼3qとして、板状の鋼材を用いた。翼3p及び翼3qの長手方向の長さは、噴射装置2の翼2p及び翼2qのそれよりも長い。
【0043】
翼3p及び翼3qは、その基端部に設けられた表裏一対の円弧状の溝3cがガイドとなり、ロッド4の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド4の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である(回動するための機構については後述する)。翼3p及び翼3qが回動する際に、連結材3bが移動する範囲は、ロッド4が支障しないように、ロッド4の側面に切り欠き部3iが設けられている。
【0044】
撹拌装置3の開閉は、開いた状態から、翼3pがその基端部を中心に下方に回動すると、連結材3bにて連結された翼3qが、同時にその基端部を中心に上方に回動することにより、それぞれが閉じた状態となる。翼3pは翼3qよりも重量が重いため、外力がかからない状態において、撹拌翼3aは、自重により閉じた状態となる。
【0045】
撹拌装置3は、翼3p及び翼3qの基端部に円弧状の溝3cを有し、撹拌翼3aを開閉するための撹拌装置用回動機構6を備えている。
【0046】
撹拌装置用回動機構6は、ロッド4の外周に固定され、溝3cに遊嵌された突起部6aと、ロッド4内と溝3c内とを連通する開閉孔4eに設置された第4のチェック弁3jと、ロッド4の外周に設けられ、翼3qをロッド4に仮固定するためのストッパー6bとから構成される。
【0047】
第4のチェック弁3jは、ロッド4内の薬材の圧力が所定の値以上になると開き、薬材が開閉孔4eを通じて溝3c内に供給される。
【0048】
ロッド4内の薬材が開閉孔4eを通過して溝3c内に供給されると、薬材の圧力が溝3cの一方の端面3fに作用することにより、翼3p及び翼3qが開く向きに回動する。
【0049】
翼3p及び翼3qが基端部を中心に回動して、突起部6aが溝3cの他方の端面3gに当接すると、翼3p及び翼3qの回動が停止し、その状態を維持する。このとき、翼3p及び翼3qは略水平状態である。本実施形態においては、翼3p及び翼3qの回動する角度範囲が90°になるように溝3cの周方向の長さを形成した。
【0050】
図21に示すように、ストッパー6bは、閉じた状態の翼3qが接するロッド4の外周部に形成された穴6c内に設置され、凸状でその先端部がロッド4の外周から外方に突出可能な突起体6dと、穴6cの底面と突起体6dとの間に設置されたばね6eとから構成されている。また、ロッド4内の圧力を穴6cに伝達するためのパイロット孔6gが設けられている。
【0051】
ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値よりも小さい場合は、ロッド4の外周面より外方に突出して翼3qの凹部3mに嵌合し、翼3qの回動を抑制する。一方、ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値以上になると、パイロット孔6g内を伝わった圧力により、ばね6eが縮んで突起体6dがロッド4の外周面より内方に引込んで、翼3qを回動可能な状態にする。
【0052】
ロッド4の回転に伴って翼3p及び翼3qを開いた状態で回転させることにより、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから噴射された薬材の存在する地盤を強制撹拌することができる。
【0053】
次に、地盤改良装置1を用いた地盤改良を説明する。
【0054】
図22〜図29は、地盤改良装置1を用いた施工手順を示す図である。これらの図において、左下り傾斜線のハッチング部分は、薬材にて噴射混合した範囲を示し、また、クロス状のハッチング部分は、噴射混合された範囲を撹拌翼にて撹拌混合した範囲を示す。
【0055】
まず、図22に示すように、ロッド4の先端部から削孔水を噴射しながら、所定の深さまで地盤Eを削孔する。このときの削孔水の噴射圧は、例えば、5MPaとしたが、この値に限定されるものではなく、第1のチェック弁4bが開く値よりも小さければよい。
【0056】
そして、図23に示すように、所定の深さまで削孔したら、鋼玉7をロッド4内に落とし込んでロッド4の先端を閉塞する。
【0057】
次に、図24に示すように、ロッド4内に薬材を供給し、ロッド4内の圧力を10MPaに維持すると、第1のチェック弁4bが開き、第1の噴射口4aから薬材が噴射される。このように、第1の噴射口4aから薬材を噴射しつつ、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、ロッド4の周囲の地盤E内に薬材を噴射混合する。
【0058】
次に、図25に示すように、閉じている撹拌翼2aの下側に位置する翼2pの先端が、噴射混合された領域(図中の左下がり傾斜線のハッチング部分)の下端深度に到達するまでの距離(請求項1の第1の所定の距離に対応)だけロッド4を引き上げたら、回転及び引き上げを停止し、その後、ロッド4内の圧力を上昇させる。そして、ロッド4内の圧力が15MPaに至った時点で、ストッパー5bが解除される。
【0059】
その後も引き続き圧を上昇させ、ロッド4内の圧力が20MPaに達すると、図26に示すように、まず、第4のチェック弁3jが開いて噴射装置2の撹拌翼2aが開き始め、さらに、ロッド4内の圧力が22MPaに達すると、第2のチェック弁2jも開いて第2の噴射口2bから薬材が噴射される。
【0060】
翼2p及び翼2qの長さは、第1の噴射口4aからの噴射撹拌の半径に概略等しく設定されている。
【0061】
噴射装置2の撹拌翼2aを開いた状態で、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから薬材を噴射するとともに、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、図27に示すように、地盤E内を撹拌翼2aよりも外側の大口径の範囲まで噴射混合するとともに、撹拌翼2aの範囲内の地盤を機械撹拌することができる。
【0062】
そして、閉じている撹拌翼3aの下側の翼3pの先端が、機械撹拌された領域(図中のクロス状のハッチング部分)の下端深度に到達するまでの距離(請求項1の第2の所定の距離に対応)だけロッド4を引き上げたら、回転及び引き上げを停止し、その後、ロッド4内の圧力を上昇させる。そして、ロッド4内の圧力が24MPaに至った時点で、ストッパー6bが解除される。
【0063】
その後も引き続き圧を上昇させ、ロッド4内の圧力が25MPa以上に達すると、図28に示すように、第4のチェック弁3jが開いて撹拌装置3の撹拌翼3aが開く。翼3p及び翼3qの長さは、第2の噴射口2bからの噴射撹拌の半径に概略等しく設定されている。噴射装置2の撹拌翼2a及び撹拌装置3の撹拌翼3aを開いた状態で、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから薬材を噴射するとともに、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、地盤E内を撹拌翼2aよりも外側の大口径の範囲まで噴射混合するとともに、対象となる地盤を機械撹拌して均一な地盤改良体を形成することがすることができる。
【0064】
そして、ロッド4を引き上げながら、所定の範囲を地盤改良したら、ロッド4の回転を停止するとともに、ロッド4内への薬材の供給を停止する。ロッド4内への薬材の供給の停止により、ロッド4内の圧力が低下すると、図29に示すように、重量の重い翼2p、3pが開いた状態から自重により自然に下方に回動すると同時に、連結材2c、3bで連結された翼2q、3qが上方に回動することにより、噴射装置2及び撹拌装置3はそれぞれ閉じた状態となる。噴射装置2及び撹拌装置3を閉じた状態にして、ロッド4を地上に引き上げる。
【0065】
上述した本実施形態によれば、噴射装置2の撹拌翼2aがその突端部に第2の噴射口2bを備えているので、同じ噴射圧力でもより大口径の範囲まで薬材による噴射混合をすることができる。また、翼2p及び翼2qの先端からの噴射混合範囲まで突出する撹拌装置3の翼3p及び翼3qを備えているので、第1の噴射口4aからの噴射により噴射撹拌された地盤に加えて第2の噴射口2bからの噴射により噴射撹拌された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤E内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。さらに、第1の噴射口4aからの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌翼2aで撹拌し、第2の噴射口2bからの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌翼3aで撹拌することにより、両撹拌翼2a、3aの回転時の回転抵抗が低減されるため、両撹拌翼2a、3aを回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置1本体を小型化することができる。
【0066】
また、ロッド径方向で異なる位置にある第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bを備えていることにより、それぞれの噴射口からの薬材の噴射により地盤Eを切削する径が小さくてよいため、地盤Eへの薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0067】
そして、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは回動可能なので、これらを回動させて閉じた状態にすることにより、ロッド4の外周面からの撹拌翼2a及び撹拌翼3aの突出量をごくわずかにすることができる。したがって、地表面から地盤Eに削孔された孔に、ロッド4を挿入する際に、撹拌翼2a及び撹拌翼3aが支障とならない。
【0068】
なお、第1〜第4のチェック弁2j、2k、3j、4bや撹拌翼2a、3aやストッパー5b、6bの各作動圧は、上述したそれぞれの値に限定されるものではなく、現場条件に応じて設計等により適宜決定される。
【0069】
なお、本実施形態においては、噴射装置2を1段のみ設けた場合について説明したが、複数段設けてもよい。そして、噴射装置2を複数段設けた場合においては、薬材の噴射圧を小さくするとともに、それぞれの噴射装置2から噴射する量を少なくすることができるので、余剰の排泥量が少なくなり、排泥処理費用を削減することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、翼2p及び翼2qを、翼3p及び翼3qをそれぞれ異なる方向に回動させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、同じ方向に回動させてもよい。
【0071】
なお、本実施形態においては、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは、回動により突出する機構を使用しているが、これに限定されるものではなく、中空のホース状の構造とすることも考えられる。この場合においては、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは、ホース内に薬材を供給していないときは、ロッド4の長手方向に沿った状態であるが、内部に薬材を注入すると薬材の注入圧力によってホースが起立し、ロッド4の径方向に突出した状態となる。
【符号の説明】
【0072】
1 地盤改良装置
2 噴射装置
2a 撹拌翼
2b 第2の噴射口
2c 連結材
2d 送給路
2e 溝
2f 一方の端面
2g 他方の端面
2i 切り欠き部
2j 第2のチェック弁
2k 第3のチェック弁
2m 凹部
2p 翼
2q 翼
3 撹拌装置
3a 撹拌翼
3b 連結材
3c 溝
3f 一方の端面
3g 他方の端面
3i 切り欠き部
3j 第4のチェック弁
3m 凹部
3p 翼
3q 翼
4 ロッド
4a 第1の噴射口
4b 第1のチェック弁
4c 供給孔
4d 開閉孔
4e 開閉孔
5 噴射装置用回動機構
5a 突起部
5b ストッパー
5c 穴
5d 突起体
5e ばね
5g パイロット孔
6 撹拌装置用回動機構
6a 突起部
6b ストッパー
6c 穴
6d 突起体
6e ばね
6g パイロット孔
7 鋼玉
E 地盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に薬材を注入して地盤を改良する地盤改良工法及び地盤改良装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、掘削された孔内にロッドを挿入し、このロッドに設けられた噴射口から地盤を改良するための薬材を噴射しつつ、ロッド側面に設けられた撹拌翼を回転させて円柱状の地盤改良体を形成することにより、地盤を改良していた。
例えば、特許文献1には、撹拌翼を備えた地盤改良装置を用い、この撹拌翼の先端から薬材を噴射して地盤を改良する地盤改良工法が開示されている。この工法は、まず、撹拌翼を略水平にした状態でその先端から水を噴射しつつ、ロッドを所定の距離だけ引き上げて地盤内を掘削するとともに撹拌し、次に、引き上げた距離と同じ距離だけロッドを下降させた後、撹拌翼の先端から薬材を噴射しつつ、再び、ロッドを所定の距離だけ引き上げることにより、排泥量を低減しつつ、大口径の地盤改良体を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−33334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている地盤改良工法では、撹拌翼の先端から薬材を噴射することにより、大口径の地盤改良体を形成できるが、撹拌翼の内側については、噴射混合後に強制撹拌することで均一な改良体が造成されているのに対し、撹拌翼よりも外側の部分については、撹拌翼による強制撹拌がなされないので、薬材の分布が不均一な地盤改良体が形成される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、小型の機械で大口径の改良が可能で、なおかつ、薬材の分布が均一な地盤改良体を形成することが可能な地盤改良工法及び地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地盤改良工法は、地盤を改良する薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出し、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出した撹拌装置と、を備えた地盤改良装置の前記噴射装置及び前記撹拌装置を
前記ロッドの長手方向に沿った状態にして、地上から前記ロッドを地盤内の所定の深度まで挿入する工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しながら、前記ロッドを第1の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記噴射装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置により地盤を撹拌しながら、前記ロッドを第2の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口及び前記第2の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記撹拌装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置及び前記撹拌装置で地盤を撹拌ながら、前記ロッドを所定の距離引き上げる工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の地盤改良工法によれば、地盤改良装置を地盤内に挿入する際は、噴射装置及び撹拌装置をロッドの外周面に沿うように近接させることにより、ロッドの外周面からの噴射装置及び撹拌装置の突出量をごくわずかにすることができる。したがって、地表面から地盤に削孔された孔に、ロッドを挿入する際に、噴射装置及び撹拌装置が支障とならない。
【0008】
また、噴射装置の第2の噴射口から薬材を噴射することにより、第1の噴射口からの噴射よりも遠くまで噴射混合をすることができる。さらに、撹拌装置により、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤に加えて第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。
【0009】
また、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を噴射装置で撹拌し、第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌装置で撹拌することにより、噴射装置及び撹拌装置の回転時の回転抵抗が低減されるため、噴射装置及び撹拌装置を回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置本体を小型化することができる。
【0010】
また、ロッド径方向での位置が異なる第1の噴射口及び第2の噴射口を備えていることにより、一つの噴射口からの薬材の噴射により地盤を切削する径が小さくてよいため、地盤への薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0011】
本発明の地盤改良装置は、地盤に薬材を噴射して撹拌することにより地盤を改良する地盤改良装置であって、
前記薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、
前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出するように設けられ、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、
前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出するように設けられ、地盤を撹拌するための撹拌装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ロッドの径方向に突出し、かつ、第2の噴射口を有する噴射装置を備えているので、第1の噴射口からの噴射よりも遠くまで薬材による噴射混合をすることができる。また、噴射装置よりもロッドの径方向に更に長く突出する撹拌装置により、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤に加えて第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。
【0013】
さらに、第1の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を噴射装置で撹拌し、第2の噴射口からの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌装置で撹拌することにより、噴射装置及び撹拌装置の回転時の回転抵抗が低減されるため、噴射装置及び撹拌装置を回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置本体を小型化することができる。
【0014】
また、ロッド径方向での位置が異なる第1の噴射口及び第2の噴射口を備えていることにより、一つの噴射口からの薬材の噴射により地盤を切削する径が小さくてよいため、地盤への薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0015】
また、本発明において、前記噴射装置及び前記撹拌装置のうち、少なくとも何れか一方は、前記ロッドの径方向に突出した状態と前記ロッドの長手方向に沿った状態との間で回動可能な機構を備えることとすれば、地盤改良装置を地盤内に挿入する際は、噴射装置及び撹拌装置をロッドの外周面に沿うように近接させることができるので、地表面から地盤に削孔された孔に、ロッドを挿入する際に、噴射装置及び撹拌装置が支障とならない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型の機械で広範囲の改良を行いながらも、薬材の分布が均一な地盤改良体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一実施形態に係る地盤改良装置の噴射装置及び撹拌装置を開いた状態を示す側面図である。
【図2】噴射装置及び撹拌装置を閉じた状態を示す側面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図3のR矢視図で、閉じた状態の噴射装置を示す図である。
【図5】図3のL矢視図で、閉じた状態の噴射装置を示す図である。
【図6】図3のR矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図7】図3のL矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図8】図4のB−B矢視図である。
【図9】図4のB’−B’矢視図である。
【図10】開いた状態の噴射装置を示す図である。
【図11】図10のC−C矢視図である。
【図12】ストッパーの拡大図である。
【図13】図3のR矢視図で、閉じた状態の撹拌装置を示す図である。
【図14】図3のL矢視図で、閉じた状態の撹拌装置を示す図である。
【図15】図3のR矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図16】図3のL矢視図で、撹拌翼の基端部付近の拡大図である。
【図17】図13のD−D矢視図である。
【図18】図13のD’−D’矢視図である。
【図19】開いた状態の撹拌装置を示す図である。
【図20】図19のE−E矢視図である。
【図21】ストッパーの拡大図である。
【図22】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図23】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図24】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図25】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図26】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図27】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図28】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【図29】地盤改良装置を用いた施工手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る地盤改良装置の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
まず、全体の構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第一実施形態に係る地盤改良装置1の噴射装置2及び撹拌装置3を開いた状態を示す側面図である。また、図2は、噴射装置2及び撹拌装置3を閉じた状態を示す側面図であり、図3は、図2のA−A矢視図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、地盤改良装置1は、グラウト材である薬材を噴射するための第1の噴射口4aを外周に有するロッド4と、第1の噴射口4aよりも先端側の位置においてロッド4に取り付けられた噴射装置2と、噴射装置2よりも更に先端側の位置においてロッド4に取り付けられた撹拌装置3とを備える。
【0022】
次に、ロッド4の構造について説明する。
【0023】
ロッド4の先端にはビットが取り付けられている。地盤E内にロッド4を挿入する際は、ロッド4を回転させるとともに、先端から水を噴射し、ビットで地盤Eを掘削する。
【0024】
第1の噴射口4aには、第1のチェック弁4bが取り付けられており、ロッド4内に供給される薬材の圧力が所定の値以上になると第1のチェック弁4bが開いて、薬材が第1の噴射口4aから噴射される。
【0025】
噴射装置2は、以下に示す構造となっている。
【0026】
図4及び図5は、それぞれ図3のR、L矢視図で、閉じた状態の噴射装置2を示す図であり、図6及び図7は、それぞれ図3のR、L矢視図で、撹拌翼2aの基端部付近の拡大図である。また、図8及び図9は、それぞれ図4のB−B矢視図、B’−B’矢視図であり、図10は、開いた状態の噴射装置2を示す図である。そして、図11は、図10のC−C矢視図であり、図12は、ストッパー5bの拡大図である。
【0027】
図4〜図11に示すように、噴射装置2は、ロッド4を挟むように設けられた撹拌翼2aを備えている。撹拌翼2aは、ロッド4を挟むように翼2pと翼2qを連結材2cで結合して形成される。本実施形態においては、翼2p及び翼2qとして、板状の鋼材を用いた。
【0028】
翼2p及び翼2qは、その基端部に設けられた表裏一対の円弧状の溝2eがガイドとなり、ロッド4の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド4の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である(回動するための機構については後述する)。翼2p及び翼2qが回動する際に、連結材2cが移動する範囲は、ロッド4が支障しないように、ロッド4の側面に切り欠き部2iが設けられている。
【0029】
噴射装置2の開閉は、開いた状態から、翼2pがその基端部を中心に下方に回動すると、連結材2cにて連結された翼2qが、同時にその基端部を中心に上方に回動することにより、それぞれが閉じた状態となる。翼2pは翼2qよりも重量が重いため、外力がかからない状態において、撹拌翼2aは、自重により閉じた状態となる。
【0030】
噴射装置2は、翼2p及び翼2qの基端部に円弧状の溝2eを有し、撹拌翼2aを開閉するための噴射装置用回動機構5を備えている。
【0031】
噴射装置用回動機構5は、ロッド4の外周に固定され、溝2eに遊嵌された突起部5aと、ロッド4内と溝2e内とを連通する開閉孔4dに設置された第3のチェック弁2kと、ロッド4の外周に設けられ、翼2qをロッド4に仮固定するためのストッパー5bとから構成される。
【0032】
第3のチェック弁2kは、ロッド4内の薬材の圧力が所定の値以上になると開き、薬材が開閉孔4dを通じて溝2e内に供給される。
【0033】
ロッド4内の薬材が開閉孔4dを通過して溝2e内に供給されると、薬材の圧力が溝2eの一方の端面2fに作用することにより、翼2p及び翼2qが開く向きに回動する。
【0034】
翼2p及び翼2qが基端部を中心に回動して、突起部5aが溝2eの他方の端面2gに当接すると、翼2p及び翼2qは回動を停止し、その状態を維持する。このとき、翼2p及び翼2qは略水平状態である。本実施形態においては、翼2p及び翼2qの回動する角度範囲が90°になるように溝2eの周方向の長さを形成した。
【0035】
図12に示すように、ストッパー5bは、閉じた状態の翼2qが接するロッド4の外周部に形成された穴5c内に設置され、凸状でその先端部がロッド4の外周から外方に突出可能な突起体5dと、穴5cの底面と突起体5dとの間に設置されたばね5eとから構成されている。また、ロッド4内の圧力を穴5cに伝達するためのパイロット孔5gが設けられている。
【0036】
ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値よりも小さい場合は、ロッド4の外周面より外方に突出して翼2qの凹部2mに嵌合し、翼2qの回動を抑制する。一方、ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値以上になると、パイロット孔5g内を伝わった圧力により、ばね5eが縮んで突起体5dがロッド4の外周面より内方に引込んで、翼2qを回動可能な状態にする。
【0037】
翼2p及び翼2qの先端には、それぞれ薬材を噴射するための第2の噴射口2bが設けられている。また、翼2p及び翼2qには、それぞれロッド4の外周に設けられた供給孔4cを介して供給される薬材を第2の噴射口2bへ送給するための送給路2dが設けられている。
【0038】
供給孔4cには、第2のチェック弁2jが取り付けられていて、ロッド4内に供給される薬材の圧力が所定の値以上になると第2のチェック弁2jが開き、薬材が送給路2dに供給される。
【0039】
ロッド4の回転に伴って翼2p及び翼2qを開いた状態で回転させながら、第2の噴射口2bから薬材を噴射することで、第1の噴射口4aからの薬材で噴射混合されたロッド4の周囲の地盤Eを強制撹拌するとともに、さらに外周部分を噴射混合することができる。
【0040】
撹拌装置3は、以下に示す構造となっている。
【0041】
図13及び図14は、それぞれ図3のR、L矢視図で、閉じた状態の撹拌装置3を示す図であり、図15及び図16は、それぞれ図3のR、L矢視図で、撹拌翼3aの基端部付近の拡大図である。また、図17及び図18は、図13のD−D矢視図、D’−D’矢視図であり、図19は、開いた状態の撹拌装置3を示す図である。そして、図20は、図19のE−E矢視図であり、図21は、ストッパー6bの拡大図である。
【0042】
図13〜図20に示すように、撹拌装置3は、ロッド4を挟むように設けられた撹拌翼3aを備えている。撹拌翼3aは、ロッド4を挟むように翼3pと翼3qを連結材3bで結合して形成される。本実施形態においては、翼3p及び翼3qとして、板状の鋼材を用いた。翼3p及び翼3qの長手方向の長さは、噴射装置2の翼2p及び翼2qのそれよりも長い。
【0043】
翼3p及び翼3qは、その基端部に設けられた表裏一対の円弧状の溝3cがガイドとなり、ロッド4の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド4の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である(回動するための機構については後述する)。翼3p及び翼3qが回動する際に、連結材3bが移動する範囲は、ロッド4が支障しないように、ロッド4の側面に切り欠き部3iが設けられている。
【0044】
撹拌装置3の開閉は、開いた状態から、翼3pがその基端部を中心に下方に回動すると、連結材3bにて連結された翼3qが、同時にその基端部を中心に上方に回動することにより、それぞれが閉じた状態となる。翼3pは翼3qよりも重量が重いため、外力がかからない状態において、撹拌翼3aは、自重により閉じた状態となる。
【0045】
撹拌装置3は、翼3p及び翼3qの基端部に円弧状の溝3cを有し、撹拌翼3aを開閉するための撹拌装置用回動機構6を備えている。
【0046】
撹拌装置用回動機構6は、ロッド4の外周に固定され、溝3cに遊嵌された突起部6aと、ロッド4内と溝3c内とを連通する開閉孔4eに設置された第4のチェック弁3jと、ロッド4の外周に設けられ、翼3qをロッド4に仮固定するためのストッパー6bとから構成される。
【0047】
第4のチェック弁3jは、ロッド4内の薬材の圧力が所定の値以上になると開き、薬材が開閉孔4eを通じて溝3c内に供給される。
【0048】
ロッド4内の薬材が開閉孔4eを通過して溝3c内に供給されると、薬材の圧力が溝3cの一方の端面3fに作用することにより、翼3p及び翼3qが開く向きに回動する。
【0049】
翼3p及び翼3qが基端部を中心に回動して、突起部6aが溝3cの他方の端面3gに当接すると、翼3p及び翼3qの回動が停止し、その状態を維持する。このとき、翼3p及び翼3qは略水平状態である。本実施形態においては、翼3p及び翼3qの回動する角度範囲が90°になるように溝3cの周方向の長さを形成した。
【0050】
図21に示すように、ストッパー6bは、閉じた状態の翼3qが接するロッド4の外周部に形成された穴6c内に設置され、凸状でその先端部がロッド4の外周から外方に突出可能な突起体6dと、穴6cの底面と突起体6dとの間に設置されたばね6eとから構成されている。また、ロッド4内の圧力を穴6cに伝達するためのパイロット孔6gが設けられている。
【0051】
ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値よりも小さい場合は、ロッド4の外周面より外方に突出して翼3qの凹部3mに嵌合し、翼3qの回動を抑制する。一方、ロッド4内を通過する薬材の圧力が、所定の値以上になると、パイロット孔6g内を伝わった圧力により、ばね6eが縮んで突起体6dがロッド4の外周面より内方に引込んで、翼3qを回動可能な状態にする。
【0052】
ロッド4の回転に伴って翼3p及び翼3qを開いた状態で回転させることにより、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから噴射された薬材の存在する地盤を強制撹拌することができる。
【0053】
次に、地盤改良装置1を用いた地盤改良を説明する。
【0054】
図22〜図29は、地盤改良装置1を用いた施工手順を示す図である。これらの図において、左下り傾斜線のハッチング部分は、薬材にて噴射混合した範囲を示し、また、クロス状のハッチング部分は、噴射混合された範囲を撹拌翼にて撹拌混合した範囲を示す。
【0055】
まず、図22に示すように、ロッド4の先端部から削孔水を噴射しながら、所定の深さまで地盤Eを削孔する。このときの削孔水の噴射圧は、例えば、5MPaとしたが、この値に限定されるものではなく、第1のチェック弁4bが開く値よりも小さければよい。
【0056】
そして、図23に示すように、所定の深さまで削孔したら、鋼玉7をロッド4内に落とし込んでロッド4の先端を閉塞する。
【0057】
次に、図24に示すように、ロッド4内に薬材を供給し、ロッド4内の圧力を10MPaに維持すると、第1のチェック弁4bが開き、第1の噴射口4aから薬材が噴射される。このように、第1の噴射口4aから薬材を噴射しつつ、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、ロッド4の周囲の地盤E内に薬材を噴射混合する。
【0058】
次に、図25に示すように、閉じている撹拌翼2aの下側に位置する翼2pの先端が、噴射混合された領域(図中の左下がり傾斜線のハッチング部分)の下端深度に到達するまでの距離(請求項1の第1の所定の距離に対応)だけロッド4を引き上げたら、回転及び引き上げを停止し、その後、ロッド4内の圧力を上昇させる。そして、ロッド4内の圧力が15MPaに至った時点で、ストッパー5bが解除される。
【0059】
その後も引き続き圧を上昇させ、ロッド4内の圧力が20MPaに達すると、図26に示すように、まず、第4のチェック弁3jが開いて噴射装置2の撹拌翼2aが開き始め、さらに、ロッド4内の圧力が22MPaに達すると、第2のチェック弁2jも開いて第2の噴射口2bから薬材が噴射される。
【0060】
翼2p及び翼2qの長さは、第1の噴射口4aからの噴射撹拌の半径に概略等しく設定されている。
【0061】
噴射装置2の撹拌翼2aを開いた状態で、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから薬材を噴射するとともに、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、図27に示すように、地盤E内を撹拌翼2aよりも外側の大口径の範囲まで噴射混合するとともに、撹拌翼2aの範囲内の地盤を機械撹拌することができる。
【0062】
そして、閉じている撹拌翼3aの下側の翼3pの先端が、機械撹拌された領域(図中のクロス状のハッチング部分)の下端深度に到達するまでの距離(請求項1の第2の所定の距離に対応)だけロッド4を引き上げたら、回転及び引き上げを停止し、その後、ロッド4内の圧力を上昇させる。そして、ロッド4内の圧力が24MPaに至った時点で、ストッパー6bが解除される。
【0063】
その後も引き続き圧を上昇させ、ロッド4内の圧力が25MPa以上に達すると、図28に示すように、第4のチェック弁3jが開いて撹拌装置3の撹拌翼3aが開く。翼3p及び翼3qの長さは、第2の噴射口2bからの噴射撹拌の半径に概略等しく設定されている。噴射装置2の撹拌翼2a及び撹拌装置3の撹拌翼3aを開いた状態で、第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bから薬材を噴射するとともに、ロッド4を回転させながら引き上げることにより、地盤E内を撹拌翼2aよりも外側の大口径の範囲まで噴射混合するとともに、対象となる地盤を機械撹拌して均一な地盤改良体を形成することがすることができる。
【0064】
そして、ロッド4を引き上げながら、所定の範囲を地盤改良したら、ロッド4の回転を停止するとともに、ロッド4内への薬材の供給を停止する。ロッド4内への薬材の供給の停止により、ロッド4内の圧力が低下すると、図29に示すように、重量の重い翼2p、3pが開いた状態から自重により自然に下方に回動すると同時に、連結材2c、3bで連結された翼2q、3qが上方に回動することにより、噴射装置2及び撹拌装置3はそれぞれ閉じた状態となる。噴射装置2及び撹拌装置3を閉じた状態にして、ロッド4を地上に引き上げる。
【0065】
上述した本実施形態によれば、噴射装置2の撹拌翼2aがその突端部に第2の噴射口2bを備えているので、同じ噴射圧力でもより大口径の範囲まで薬材による噴射混合をすることができる。また、翼2p及び翼2qの先端からの噴射混合範囲まで突出する撹拌装置3の翼3p及び翼3qを備えているので、第1の噴射口4aからの噴射により噴射撹拌された地盤に加えて第2の噴射口2bからの噴射により噴射撹拌された地盤も撹拌することができる。したがって、地盤E内に薬材と土壌の均一な混合体を大口径で造成することができるので、信頼性の高い地盤改良体を広い範囲に形成することができる。さらに、第1の噴射口4aからの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌翼2aで撹拌し、第2の噴射口2bからの噴射により噴射混合された地盤内を撹拌翼3aで撹拌することにより、両撹拌翼2a、3aの回転時の回転抵抗が低減されるため、両撹拌翼2a、3aを回転させるために必要な回転トルクは小さくてよい。これにより、地盤改良装置1本体を小型化することができる。
【0066】
また、ロッド径方向で異なる位置にある第1の噴射口4a及び第2の噴射口2bを備えていることにより、それぞれの噴射口からの薬材の噴射により地盤Eを切削する径が小さくてよいため、地盤Eへの薬材の注入量を少なくできる。これにより、排泥量も少なくなり、排泥処理に要する費用を低減できる。
【0067】
そして、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは回動可能なので、これらを回動させて閉じた状態にすることにより、ロッド4の外周面からの撹拌翼2a及び撹拌翼3aの突出量をごくわずかにすることができる。したがって、地表面から地盤Eに削孔された孔に、ロッド4を挿入する際に、撹拌翼2a及び撹拌翼3aが支障とならない。
【0068】
なお、第1〜第4のチェック弁2j、2k、3j、4bや撹拌翼2a、3aやストッパー5b、6bの各作動圧は、上述したそれぞれの値に限定されるものではなく、現場条件に応じて設計等により適宜決定される。
【0069】
なお、本実施形態においては、噴射装置2を1段のみ設けた場合について説明したが、複数段設けてもよい。そして、噴射装置2を複数段設けた場合においては、薬材の噴射圧を小さくするとともに、それぞれの噴射装置2から噴射する量を少なくすることができるので、余剰の排泥量が少なくなり、排泥処理費用を削減することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、翼2p及び翼2qを、翼3p及び翼3qをそれぞれ異なる方向に回動させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、同じ方向に回動させてもよい。
【0071】
なお、本実施形態においては、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは、回動により突出する機構を使用しているが、これに限定されるものではなく、中空のホース状の構造とすることも考えられる。この場合においては、撹拌翼2a及び撹拌翼3aは、ホース内に薬材を供給していないときは、ロッド4の長手方向に沿った状態であるが、内部に薬材を注入すると薬材の注入圧力によってホースが起立し、ロッド4の径方向に突出した状態となる。
【符号の説明】
【0072】
1 地盤改良装置
2 噴射装置
2a 撹拌翼
2b 第2の噴射口
2c 連結材
2d 送給路
2e 溝
2f 一方の端面
2g 他方の端面
2i 切り欠き部
2j 第2のチェック弁
2k 第3のチェック弁
2m 凹部
2p 翼
2q 翼
3 撹拌装置
3a 撹拌翼
3b 連結材
3c 溝
3f 一方の端面
3g 他方の端面
3i 切り欠き部
3j 第4のチェック弁
3m 凹部
3p 翼
3q 翼
4 ロッド
4a 第1の噴射口
4b 第1のチェック弁
4c 供給孔
4d 開閉孔
4e 開閉孔
5 噴射装置用回動機構
5a 突起部
5b ストッパー
5c 穴
5d 突起体
5e ばね
5g パイロット孔
6 撹拌装置用回動機構
6a 突起部
6b ストッパー
6c 穴
6d 突起体
6e ばね
6g パイロット孔
7 鋼玉
E 地盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を改良する薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出し、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出した撹拌装置と、を備えた地盤改良装置の前記噴射装置及び前記撹拌装置を
前記ロッドの長手方向に沿った状態にして、地上から前記ロッドを地盤内の所定の深度まで挿入する工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しながら、前記ロッドを第1の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記噴射装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置により地盤を撹拌しながら、前記ロッドを第2の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口及び前記第2の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記撹拌装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置及び前記撹拌装置で地盤を撹拌ながら、前記ロッドを所定の距離引き上げる工程と、を備えることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
地盤に薬材を噴射して撹拌することにより地盤を改良する地盤改良装置であって、
前記薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、
前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出するように設けられ、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、
前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出するように設けられ、地盤を撹拌するための撹拌装置と、を備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項3】
前記噴射装置及び前記撹拌装置のうち、少なくとも何れか一方は、前記ロッドの径方向に突出した状態と前記ロッドの長手方向に沿った状態との間で回動可能な機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の地盤改良装置。
【請求項1】
地盤を改良する薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出し、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出した撹拌装置と、を備えた地盤改良装置の前記噴射装置及び前記撹拌装置を
前記ロッドの長手方向に沿った状態にして、地上から前記ロッドを地盤内の所定の深度まで挿入する工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しながら、前記ロッドを第1の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記噴射装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置により地盤を撹拌しながら、前記ロッドを第2の所定の距離引き上げる工程と、
前記第1の噴射口及び前記第2の噴射口から薬材を噴射しつつ、前記撹拌装置を前記ロッドの径方向に突出させる工程と、
前記噴射装置及び前記撹拌装置で地盤を撹拌ながら、前記ロッドを所定の距離引き上げる工程と、を備えることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
地盤に薬材を噴射して撹拌することにより地盤を改良する地盤改良装置であって、
前記薬材を噴射するための第1の噴射口を外周に有するロッドと、
前記ロッドの前記第1の噴射口よりも先端側の位置に、前記ロッドの径方向に所定の長さだけ突出するように設けられ、前記薬材を噴射するための第2の噴射口を突端部に有する噴射装置と、
前記ロッドの前記噴射装置よりも先端側の位置に、前記噴射装置よりも更に長く前記ロッドの径方向に突出するように設けられ、地盤を撹拌するための撹拌装置と、を備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項3】
前記噴射装置及び前記撹拌装置のうち、少なくとも何れか一方は、前記ロッドの径方向に突出した状態と前記ロッドの長手方向に沿った状態との間で回動可能な機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の地盤改良装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−275712(P2010−275712A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126925(P2009−126925)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]