説明

地盤調査装置

【課題】地盤中に水みちの働きによる土砂流動が発生し得る状況が存在するか否かを判別することにより水みちの働きによる土砂の流動に伴う空洞の形成に起因して地盤が陥没するというメカニズムによる地盤陥没の発生を未然に防ぐことを可能とする。
【解決手段】正弦波電流を送信する手段と、正弦波電流を供給する電極を切り替える電流用スイッチ回路と、電位信号を受信する電極を切り替える電位用スイッチ回路と、電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、電位信号の実効値を検出する電位用積分回路と、地盤中に液体を浸透させながら二極法によって地盤の三次元電気探査を行って地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定する手段とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤調査装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、地盤陥没の発生可能性の評価に用いて好適な地盤調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の陥没は、一般には、炭鉱等の採掘後地中に残地された空洞やトンネル掘削時に残地された空洞など人工的な空洞が崩落することによって発生すると考えられている。特に、図11(A)に示すように、道路や鉄道あるいは導水路などのトンネル101を建設する場合は、実際のトンネル101の断面よりも大きい断面で地盤102が掘削される場合もあり、さらに、建設されたトンネル101の外周面と掘削された地盤空洞の内周面との間のすき間が埋め戻されずにトンネル101の外側近傍に空隙103が残地されていることがある。そして、図11(B)に示すように、トンネル101の背面に残された空隙103即ち人工的な空洞が崩落することによって地盤102の陥没が発生すると考えられている。なお、地盤中の空洞を原因としては、地表面が一気に落ちることによって地盤陥没が発生する場合と、崩落を繰り返しながら空洞が徐々に上昇して地盤陥没が発生する場合とがあると考えられている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】川本:地盤陥没災害と地下空洞調査について,物理探査,Vol.58,No.6,pp.589-597,2005年.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者等は、地盤陥没発生のメカニズムの検討を行う中で、地盤の陥没は、人工的に形成された空洞が地盤中に予め存在することに起因して発生する場合に限られるものではなく、地盤中にパイプ状の孔(水みちとも呼ばれる)が存在若しくは形成されてこのパイプ状の孔における水の流動に土砂が引き込まれることによって即ち水みちが土砂を運搬する経路となることによって地表面に近い箇所で空洞が新たに形成されることに起因して発生する場合もあることを発見した。
【0005】
具体的には、図12に示すように、せん断や引張りを受けている地盤102の弱点部を地表面104に降った雨水105が選択的に流れながら地盤102中に浸透し(図12(A))、この地盤102の弱点部であって雨水の浸透経路106にやがてパイプ状の孔の水みち107が形成され、この水みち107における水の流動に地盤102の土砂が引き込まれ運搬されて地表面104に近い箇所に空洞108が形成される(図12(B))。そして、このようにして新たに形成された空洞108が原因となって地盤102の陥没が発生するというメカニズムがあることを発見した。
【0006】
そして、上述のように、従来は、人工的に形成されて地盤中に予め存在する空洞が崩落することによって地盤の陥没が発生すると考えられてきたため、地盤陥没に対しては地盤陥没の原因となる地表面下の空洞を発見してこれを充填するという対策がとられてきた。このため、従来の地盤陥没の発生可能性の評価のための地盤調査においては、地盤中に既に形成された空洞そのものを発見することを目的としており、地盤の電気探査を一回だけ行い、得られた結果に現れる異常領域を空洞と推定するようにしている。したがって、従来の地盤調査では、土砂が運搬され得る状況が存在して空洞を形成し得る状態が地盤中で生じていることを検知するようにはしていない。よって、従来の地盤陥没発生メカニズムの考え方及びそれに基づく地盤調査では、地盤中の土砂が水みちにおける水の流動により運搬されることによって空洞が新たに形成されて地盤が陥没するというメカニズムによる地盤陥没を空洞が形成される前に検知して未然に防ぐことはできない。
【0007】
以上より、従来のように、地盤陥没発生メカニズムとして地盤中に空洞が予め存在する場合のみを前提とすると共に、このメカニズムに従って発生する地盤陥没を防ぐべく空洞を充填等するために地盤中に既に形成された空洞の発見のみを地盤調査の目的とすることは地盤陥没発生の防止策として充分であるとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は、地盤中の水みちの働きによる土砂の流動に伴う空洞の形成に起因して地盤が陥没するというメカニズムによる地盤陥没の発生を未然に防ぐために地盤中に水みちの働きによる土砂流動が発生し得る状況が存在するか否かを判別することができる地盤調査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の地盤調査装置は、正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電極のそれぞれに接続されて択一的に導通状態にされる電流用リレーを備え正弦波電流を供給する電極を切り替える電流用スイッチ回路と、電流用リレーのそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する電極を切り替える電位用スイッチ回路と、電位用リレーのそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路とを有し、二極法によって地盤の三次元電気探査を行うようにしている。
【0010】
したがって、この地盤調査装置によると、地表面に展開される電極と同じ数の電流用リレーと電位用リレーと増幅及びフィルタ回路と電位用実効値積分回路とを有して二極法によって地盤の三次元電気探査を行うようにしているので、地盤の三次元電気探査を短時間で行うことができる。
【0011】
そして、請求項3記載の地盤調査装置は、正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電流用電極毎に配置され該電流用電極に接続されて択一的に導通状態になって正弦波電流を供給する電流用電極を切り替える電流用リレーと、各電流用電極と組み合わされてに配置される電位用電極のそれぞれに接続されて各電位用電極での接地インピーダンスを低減する演算増幅器と、演算増幅器のそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続する各電流用電極と組み合わされている電位用電極に接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する電位用電極を切り替える電位用スイッチ回路と、電位用リレーのそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路とを有し、二極法によって地盤の三次元電気探査を行うようにしている。
【0012】
この地盤調査装置によると、地表面に展開される電流用電極と同じ数の電流用リレーと演算増幅器と地表面に展開される電位用電極と同じ数の電位用リレーと増幅及びフィルタ回路と電位用実効値積分回路とを有して二極法によって地盤の三次元電気探査を行うようにしているので、地盤の三次元電気探査を短時間で行うことができる。
【0013】
また、この地盤調査装置によると、正弦波電流を供給する電流用電極を切り替えるための電流用リレーを電流用電極毎に配置するようにしているので、択一的に選択された電流用電極に正弦波電流を供給するためのケーブルからリークが発生して選択された電流用電極以外の電極に接続するケーブルが影響を受けても選択された電流用電極以外の電極から電流が流れることがないので当該リークによる電位信号のノイズの発生を抑制することができる。
【0014】
また、請求項2記載の地盤調査装置は、正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電極のそれぞれに接続されて択一的に導通状態にされる電流用リレーを備え正弦波電流を供給する電極を切り替える電流用スイッチ回路と、電流用リレーのそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する電極を切り替える電位用スイッチ回路と、電位用リレーのそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路と、地盤中に液体を浸透させながら二極法によって地盤の三次元電気探査を行って地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定する手段とを有するようにしている。
【0015】
したがって、この地盤調査装置によると、地表面に展開される電極と同じ数の電流用リレーと電位用リレーと増幅及びフィルタ回路と電位用実効値積分回路とを有することによって地盤の三次元電気探査を短時間で行うことを可能にすると共に地盤中に液体を浸透させながら地盤の三次元電気探査を行うようにしているので、例えば水みちのように液体の浸透性が高く液体の流動によって土砂が運搬され得る状況が、地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所として検知される。
【0016】
そして、請求項4記載の地盤調査装置は、正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電流用電極毎に配置され該電流用電極に接続されて択一的に導通状態になって正弦波電流を供給する電流用電極を切り替える電流用リレーと、各電流用電極と組み合わされて配置される電位用電極のそれぞれに接続されて各電位用電極での接地インピーダンスを低減する演算増幅器と、演算増幅器のそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続する各電流用電極と組み合わされている電位用電極に接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する電位用電極を切り替える電位用スイッチ回路と、電位用リレーのそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路と、地盤中に液体を浸透させながら二極法によって地盤の三次元電気探査を行って地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定する手段とを有するようにしている。
【0017】
この地盤調査装置によると、地表面に展開される電流用電極と同じ数の電流用リレーと演算増幅器と地表面に展開される電位用電極と同じ数の電位用リレーと増幅及びフィルタ回路と電位用実効値積分回路とを有することによって地盤の三次元電気探査を短時間で行うことを可能にすると共に地盤中に液体を浸透させながら地盤の三次元電気探査を行うようにしているので、例えば水みちのように液体の浸透性が高く液体の流動によって土砂が運搬され得る状況が、地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所として検知される。
【0018】
また、この地盤調査装置によると、正弦波電流を供給する電流用電極を切り替えるための電流用リレーを電流用電極毎に配置するようにしているので、択一的に選択された電流用電極に正弦波電流を供給するためのケーブルからリークが発生して選択された電流用電極以外の電極に接続するケーブルが影響を受けても選択された電流用電極以外の電極から電流が流れることがないので当該リークによる電位信号のノイズの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の地盤調査装置によれば、地盤の三次元電気探査を短時間で行うことができる。さらに、本発明の地盤調査装置によれば、例えば水みちのように液体の浸透性が高く液体の流動によって土砂が運搬され得る状況が、地盤中への液体の浸透分布と比べて突出して液体が浸透している箇所として検知することが可能であり、地盤中の土砂が水みちにおける水の流動により運搬されることによって空洞が新たに形成されて地盤が陥没するというメカニズムによる地盤陥没を空洞が形成される前に検知して未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から図9に、本発明の地盤調査装置の実施形態の一例を示す。この地盤調査装置は、正弦波電流を送信する送信装置11と、地表面7に展開される電極1のそれぞれに接続されて択一的に導通状態にされる電流用リレー26を備え正弦波電流を供給する電極1を切り替える電流用スイッチ回路25と、電流用リレー26のそれぞれに接続されて導通状態にされた電流用リレー26に接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレー35を備え電位信号を受信する電極1を切り替える電位用スイッチ回路34と、電位用リレー35のそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路29と、増幅及びフィルタ回路29のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路31とを有し、地盤6中に液体9を浸透させながら二極法によって地盤6の三次元電気探査を行い、地盤6中への液体9の浸透分布と比べて突出して液体9が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定するようにしている。
【0022】
図1に、上記本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法の実施形態の一例のフローチャートを示す。本実施形態ではこの図1に示すフローチャートに従って説明する。本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法の実行にあたっては、まず、S3の処理における三次元電気探査を行うための電極を調査対象地域の地表面に展開する(S1)。
【0023】
本発明では、複数の電極1-1,1-2,1-3,…(以下、適宜、単に電極1と表記する)が地表面7に面的に展開される。なお、電極1が設置される点を測点と呼ぶ。したがって、電極1は即ち測点でもあるので、適宜、電極1又は測点1と表記する。
【0024】
本発明において地盤の三次元電気探査を行うために地表面7に展開される測点1の数や配置の仕方や相互の間隔に制限はなく、調査対象地域13の面積や形状、必要とされる調査結果の精度等を考慮して適宜設定される。具体的には例えば、60箇所から300箇所程度の測点を、相互に等間隔に縦横の並びを揃えて配置し、相互の間隔を10cmから2m程度にすることなどが考えられる。本実施形態では、図2に示すように、合計60点の測点1を縦横の並びを揃えて5列×12列に1m間隔で配置する。
【0025】
電極1は、例えばステンレス製の電極であり、地表面7から例えば30〜40cmの深さまで差し込まれる。電極1の太さは例えば15mm程度である。
【0026】
なお、本発明は、少なくとも地表面7から地盤中への液体の浸透性がある地盤であれば適用可能である。
【0027】
次に、調査対象地域13の地表面7から地盤中に液体を浸透させる(S2)。
【0028】
地盤中に浸透させる液体は、地盤中に浸透させた場合に地盤の比抵抗を変化させることができる液体であれば良く、具体的には例えば雨水、河川水、水道水等、あるいは、これらの液体に電解質の物質を混入させて電気伝導性を高めたものが用いられる。なお、三次元電気探査を実施した場合に地盤の比抵抗の変化の度合いが大きくなって地盤状態の判断をし易くするために電気伝導性がより高い若しくは電気伝導性をより高めた液体を用いることが望ましい。
【0029】
地盤中に液体を浸透させる方法としては、例えば、降雨による雨水の地盤への浸透を利用する方法と、図3に示すように、散水車8等を用いて人工的に液体9を調査対象地域13の地表面7全体に亘って散布して地盤中に浸透させる方法とが考えられる。なお、これら二つの方法を組み合わせて用いても良い。
【0030】
地盤中に浸透させる液体9の総量並びに液体9を地盤中に浸透させる速度は、地盤中に水みちが存在する場合であって当該水みちにおいて水の流動が生じる場合に、S3の処理における三次元電気探査によって周辺地盤と比べて液体9の浸透速度が速い箇所として水みちの存在が検知可能な量に適宜調整される。
【0031】
例えば、液体9の総量が少ない若しくは液体9を浸透させる速度が遅いために水みちが存在していたとしても当該水みちに供給される液体9の量が僅かにしかならない若しくは当該水みちおける液体9の浸透速度と周辺地盤における液体9の浸透速度との間に差が生じないので液体9の浸透の進行が周辺と比べて突出する箇所として水みちの存在を検知することができないと考えられる場合には液体9の量を増やしたり液体9を浸透させる速度を速くしたりする。一方、液体9を浸透させる速度が速いために水みちが存在するか否かに拘わらず地盤全体に亘って急速に一斉に液体9が浸透して水みちにおける液体9の浸透速度と周辺地盤における液体9の浸透速度との間に差が生じないので液体9の浸透の進行が周辺と比べて突出する箇所として水みちの存在を検知することができないと考えられる場合には液体9を浸透させる速度を遅くする。
【0032】
なお、調査対象地域13における液体9の地盤中への平均的な浸透速度は地盤の例えば透水係数や液体9の粘性率等により異なるので、実際に三次元電気探査を行いながら適宜調整するようにしても良い。
【0033】
また、降雨による雨水を利用する場合には地盤中に浸透させる液体9の量や浸透させる速度を人工的に調整することはできないので、条件に合致する降水量の降雨が見込める場合に本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法を適用したり、降雨による雨水だけでは液体9の量が足りない場合には散水車8等を用いた液体9の散布を合わせて行って本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法を適用したりする。
【0034】
次に、三次元電気探査法を用いて地盤中への液体の浸透状況の計測を行う(S3)。
【0035】
本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法は、調査対象地域13の地盤中に水みちが存在する場合にこの水みちを当該地盤における液体9の浸透分布と比べて突出して液体9が浸透している箇所として検知することを目的としている。
【0036】
ここで、水みちにおいて短時間のうちに周辺地盤と比べて突出して液体9が浸透したとしても、時間の経過と共に周辺地盤においても液体9の浸透が進行して水みちにおける液体9の浸透に追いつくと考えられる。すなわち、水みちにおいて周辺地盤と比べて一時的に液体9の浸透の進行が突出したとしても時間の経過と共に周辺地盤の液体9の浸透に埋もれてしまうと考えられる。
【0037】
したがって、液体9が周辺地盤と比べて突出して浸透する箇所を検知するためには、三次元電気探査法を用いた液体9の地盤中への浸透状況の計測を短い時間間隔で継続的に行う必要がある。例えば、予測される水みちの流体浸透速度が10−2cm/秒程度即ち0.6cm/分の場合は数分間隔の計測で充分である。また、浸透速度が10−0cm/秒程度即ち60cm/分の場合は1分より短い間隔で計測を行うことが好ましい。
【0038】
ここで、三次元電気探査法による地盤の電気探査を行う従来の装置は一回の計測に多大な時間を必要とし、数分間隔で計測することはできない。そこで、上述の地盤調査方法を適用するために三次元電気探査法を用いた地盤の電気探査を短時間で行うことができる本発明の地盤調査装置を用いて地盤中への液体9の浸透状況の計測を行う。
【0039】
上述の地盤調査方法に従った地盤の三次元電気探査を行うための地盤調査装置の機能ブロック図を図4に示す。この地盤調査装置は、制御装置10と送信装置11と受信装置20とから構成される。
【0040】
制御装置10は、中央演算処理装置33を有する例えばコンピュータであり、送信装置11及び受信装置20の動作を制御するものである。
【0041】
送信装置11は、測点1の中から選択された一箇所に対して当該測点1を電流電極1aとして電流を供給すると共に電流用遠電極2に対して電流を供給するものである。
【0042】
送信装置11は、端子11a及び端子11bを有し、これらの端子間に一定周期で電流を供給し、電流値及び電流の送信周波数を調節することができる。なお、送信装置11には発電機5が接続され、送信装置11はこの発電機5から電力の供給を受けて作動する。
【0043】
送信装置11から任意の周波数のリファレンス信号(cos波である)に同期した電流が、パワーアンプ(電力増幅器)及び絶縁トランス11cで増幅され、端子11a及び端子11bの間に送信されて地盤に送信される。このリファレンス信号は制御装置10の中央演算処理装置33によって制御される。端子11aは受信装置20を介して測点1の中から選択された一箇所の電流電極1aと導通され、端子11bは電流用遠電極2と接続される。電流値は、例えば1mA〜400mAの範囲で調節可能とされ、計測条件等に応じて適宜選択される。ただし、調整できる範囲はこれに限られるものではなく、1mA未満や400mAを超える電流を供給できるようにしても良い。
【0044】
また、液体9が周辺地盤と比べて突出して浸透する箇所を検知するためには、前述のとおり、地盤の三次元電気探査を短時間のうちに行う必要がある。そのため、送信装置11は、高い送信周波数で電流電極1aと電流用遠電極2との間に正弦波電流を供給する。具体的には例えば、送信装置11は128Hz〜5120Hzの範囲の送信周波数で正弦波電流を供給する。なお、予測される流体の浸透速度に基づき最適な送信周波数を選定するが、浸透速度が大きいほどそれに伴う地盤の比抵抗が変化する速度も大きくなるため、より高い周波数で送信して極力短時間で計測することが好ましい。
【0045】
受信装置20は、送信装置11の正弦波電流を供給する測点1の電流電極1aの切り替えを行うと共に、測点1の電位電極1bと電位用遠電極3との間の電位信号(具体的には電位差)を同時に受信するものである。ここで、電位電極1bは、電流電極1aとして働く測点を除く全ての測点に設置された電極1である。
【0046】
例えば、全測点数が60点の場合、60点の中から選択された一箇所の測点1を電流電極1aとして切り替え、当該電流電極1aから流した電流によって地盤に生じた電位信号を、電流電極1aを除く全ての測点1(59点である)を電位電極1bとして切り替えて同時に受信する。なお、電位信号は各電位電極1bと電位用遠電極3との間の電位差として計測する。
【0047】
受信装置20は電極切替部21と複素位相検波部22とサンプリング部23とを有する。なお、受信装置20にはバッテリー4が接続され、受信装置20はこのバッテリー4から電力の供給を受けて作動する。
【0048】
受信装置20の電極切替部21は、複数の測点1の中から選択された一箇所の電流電極1aに通じる導線を送信装置11の端子11aに接続するものである。通常は、全ての測点1が送信装置11の端子11aと切断状態になっていると共に複素位相検波部22の複数の電位用実効値積分回路31とそれぞれ導通状態になっているが、電流電極1aとして選択された一箇所の測点1は電位用実効値積分回路31とは切断状態になると共に送信装置11の端子11aと導通状態になる。
【0049】
受信装置20の電極切替部21は、電流検出回路24、電流用スイッチ回路25、電位用スイッチ回路34、増幅及びフィルタ回路29を備える。
【0050】
電流検出回路24は、アイソレーションアンプ24aによって電流電極1aから地盤に流れた電流を抵抗24bで生じた電圧値として検出するものである。電流検出回路24は、送信装置11の端子11aと電流用スイッチ回路25との間に接続される。
【0051】
電流用スイッチ回路25は、測点1の電流電極1aに通じる導線の接続と切断とを制御するものである。
【0052】
電流用スイッチ回路25は、図5に示すように、電極1に接続された本線27と、送信装置11の端子11aと各本線27とを接続する分岐線28と、各分岐線28の途中に設けられた電流用リレー26-1,26-2,26-3,…(以下、適宜、単に電流用リレー26と表記する)とを備える。本実施形態では、測点1の数に対応して60本の本線27を有すると共に60個の電流用リレー26を有する。
【0053】
電位用スイッチ回路34は、全ての測点1の電極に通じる導線の接続と切断とを制御するものである。
【0054】
電位用スイッチ回路34は、図4に示すように、測点1のそれぞれの電極に接続された本線27と、各本線27の途中に設けられた電位用リレー35-1,35-2,35-3,…(以下、適宜、単に電位用リレー35と表記する)とを備える。本実施形態では、測点1の数に対応して60本の本線27を有すると共に60個の電位用リレー35を有する。
【0055】
通常、1番目の測点1の電極に通じる本線27は1番目の電位用リレー35-1に、2番目の測点1の電極に通じる本線27は2番目の電位用リレー35-2に、同様に、3番目の測点1の電極に通じる本線27は3番目の電位用リレー35-3に、さらに 、60番目の測点1の電極に通じる本線27は60番目の電位用リレー35-60にそれぞれ接続される。
【0056】
ここで、各電流用リレー26は通常は切断状態にあり、択一的に導通操作される。また、各電位用リレー35は通常は導通状態にあり、択一的に切断操作される。例えば、全ての電流用リレー26が切断状態にあると共に全ての電位用リレー35が導通状態にあり、1番目の測点1-1を電流電極1aとして送信装置11の端子11aに導通させる場合には、測点1-1に接続する本線27に接続された分岐線28に設けられている電流用リレー26-1を導通状態にする。同時に、測点1-1に接続する本線27に接続された電位用リレー35-1を切断状態にする(図4に示す状態)。次に、2番目の測点1-2を電流電極1aとして送信装置11の端子11aに接続させる場合には、1番目の測点1-1に接続する本線27に接続された分岐線28に設けられている電流用リレー26-1を切断状態にし且つ測点1-1に接続する本線27に接続された電位用リレー35-1を導通状態にすると共に、2番目の測点1-2に接続する本線27に接続された分岐線28に設けられている電流用リレー26-2を導通状態にし且つ測点1-2に接続する本線27に接続された電位用リレー35-2を切断状態にする。3番目〜60番目の測点1-3〜1-60を電流電極1aとして端子11aに接続する場合も同様である。すなわち、同一の測点1に接続する本線27に接続された電流用リレー26と電位用リレー35とはどちらか一方が導通状態になった場合、それに連動してもう一方は必ず切断状態になる。
【0057】
各電流用リレー26及び各電位用リレー35の切断と接続との切替操作は制御装置10の中央演算処理装置33によって制御される。
【0058】
増幅及びフィルタ回路29は、測点1に設置されている各電極で受信した電位信号に対し、増幅度0,20,40dB(0,10,100倍)のうち一つを選択して増幅すると共に、フィルタ回路(ハイパスフィルタ)においてノイズとなる商用周波数帯(50〜60Hz)のレベルを−6dB(1/2倍)に低下させるものである。なお、本フィルタ回路による位相のずれはほとんど生じない。
【0059】
また、複素位相検波部22は、電流検出回路24と接続された1組の電流用実効値積分回路30と、増幅及びフィルタ回路29のそれぞれに接続された60組の電位用実効値積分回路31とを備える。
【0060】
電流用実効値積分回路30は、デジタル化した波形データに対して通常は計算機で行われていたフーリエ変換と同種の処理を本アナログ系において実行し、電流検出回路24により電圧値に変換された電流信号の実効値を検出するものである。
【0061】
60組の電位用実効値積分回路31は、上述と同様の方式によって測点1のそれぞれの電極と電位用遠電極3との間の電位差として受信した電位信号の実効値を検出するものである。
【0062】
電位用実効値積分回路31の構成図を図6に示す。なお、電流用実効値積分回路30の構成も同様である。入力信号(電流信号あるいは電位信号)は、設定周波数に対応して制御装置10の中央演算処理装置33より発信するリファレンス信号即ちcos波及びsin波によるゲイン制御が施される。すなわち、入力信号はcos波ゲイン制御回路41a及びsin波ゲイン制御回路41bに分岐して入力される。なお、これら二つのリファレンス信号のうちcos波は送信電流に同期している。次に、各制御回路41a及び41bでゲイン制御された出力信号はそれぞれcos積分回路42a及びsin積分回路42bに入力され、T秒間の積分値(cos変換成分及びsin変換成分)として蓄えられる。これらの積分値では、送信周波数と同一の信号波のみが時間と共に増加し、他の周波数の信号波あるいはノイズは数学的な直交性によりその積分値はゼロとなる。
【0063】
また、サンプリング部23は、A/D変換器32を備える。
【0064】
A/D変換器32は、1組の電流用実効値積分回路30及び60組の電位用実効値積分回路31からの信号が入力されると共に、それぞれのcos積分回路42a及びsin積分回路42bに蓄えられた積分値(即ちcos変換成分及びsin変換成分)を順次スキャニングしてデジタルデータに変換して出力する。
【0065】
A/D変換器32より出力されたデジタルデータは制御装置10の中央演算処理装置33に入力される。
【0066】
制御装置10に転送されたcos変換成分及びsin変換成分は積分時間Tによって正規化され、以下に示すステップによって計算機処理により振幅及び位相差が算出される。まず、信号は数式1で表される。
【0067】
【数1】

ここに、A:信号,R:振幅,φ:位相,ω:角周波数,t:時間。
【0068】
cos波ゲイン制御として数式2の変換を行うと共に、sin波ゲイン制御として数式3の変換を行う。
【0069】
【数2】

【数3】

【0070】
数式2及び数式3を積分時間Tで除すことにより、cos変換成分は数式4に示す通りになり、sin変換成分は数式5に示す通りになる。
【0071】
【数4】

【数5】

【0072】
したがって、振幅Rは数式6に示す通りになり、位相差φは数式7に示す通りになる。
【0073】
【数6】

【数7】

【0074】
また、中央演算処理装置33は送信装置11及び受信装置20にリファレンス信号を送る。すなわち、送信装置11では本信号に同期した電流が地盤に送信される。受信装置20の電流用及び電位用実効値積分回路30及び31では、入力信号に対し本信号に同期したcos変換及び位相が90度ずれたsin変換処理が行われる。さらに、中央演算処理装置33は電極切替部21の送信用リレーである電流用リレー26及び受信用リレーである電位用リレー35の動作を制御する。
【0075】
続いて、この地盤調査装置による地盤の電気探査の方法について説明する。
【0076】
本装置は、二極法を前提とした探査専用に対応している。探査対象物のスケール及び深度に対応した測点間隔、調査領域の測点位置に電極を設置し、各電極と受信装置の接続用端子と結線する。例えば、1mスケールの探査対象物が深度5m程度にあることが予測される場合、測点間隔は1m以内、測線長は25m以上にする必要がある。また、調査領域より互いに反対方向に離れた2地点(長方形の場合は長辺の5倍以上)に、電流用遠電極2、電位用遠電極3をそれぞれ設置し、装置の遠電極接続用端子と結線する。例えば、図2に示すように調査領域が24m×4mの場合は、その中心位置より100m以上離れた地点に遠電極を設置する必要がある。
【0077】
次に、二極法による測定では、全測点の中から選択された一つの電流電極1aから電流を地盤に流すと共に電流電極1aを除く全ての電極(本実施形態では59点)を電位電極1bとして電位を計測することになる。よって、全測点数が60の場合、全測定データの組み合わせ数は60×59=3540通りになる。ここで、地盤における流体の移動に伴う比抵抗変化の測定を目的とした場合は、得られた振幅に電極配置により決まる係数を乗算した見掛比抵抗が必要な情報となる。なお、測点に非分極電極を使用すれば、本装置により地盤の充電効果を計測する電気探査IP法を行うことも可能となり、その場合は位相差の情報も必要となる。
【0078】
したがって、以上のように構成された地盤調査装置によれば、電極配置を二極法に限定すると共に全測点数分の受信回路を組み込むことによって電極切替操作は電流電極のみに絞られるので電子回路を大幅に簡素化することができる。これにより、短時間のうちに地盤の電気探査を行うことができるようになる。
【0079】
すなわち、全測点電極から選択された一測点のみ導通状態とする切替操作を行うだけで済むと共に各受信チャンネルのcos積分回路42a及びsin積分回路42bでの積分値だけを制御装置10に転送するだけで済むので、波形データのデジタル化は行わないので広いダイナミックレンジは必要ない。よって、電極の切替操作及び増幅度の切換操作が不要となり、計測時間を大幅に短縮することができる。
【0080】
具体例として、以下の条件に従って従来の地盤の電気探査装置を用いて電気探査を実施した場合の計測時間と比較する。なお、従来装置としては例えば特願2004−372116に記載された電気探査装置が挙げられる。本装置はデジタル化した受信波形そのものを転送し、制御装置でフーリエ変換処理などを行い振幅や位相差を求める仕様となっている。
i )探査方法 :四極法
ii )受信チャンネル数 :4
iii)測点数 :60極
iv )送信周波数 :2.5Hz(即ち送信周期は0.4秒)
v )送信時間 :4秒(ただし、波数10個分)
vi )制御装置への転送時間:20秒
【0081】
上記条件を前提とし、スタッキング数4回で1200通りの電極組み合わせによる電位を計測すると、{4秒(送信時間)×4(スタッキング数)+20秒(転送時間)}×1200(組み合わせ数)÷4(チャンネル数)=10800秒=3時間かかる。
【0082】
一方、本発明の地盤調査装置の条件は以下のとおりとなる。
【0083】
i )探査方法 :二極法
ii )測点数 :60極
iii)送信周波数 :1000Hz(即ち送信周期は0.001秒)
iv )送信時間 :0.01秒(ただし、波数10個分)
v )制御装置への転送時間:1秒
【0084】
なお、制御装置への転送時間については、従来装置の場合は1つの送信波形及び4つの受信波形のデジタルデータにおける1波形あたりのデータ数を512個とすると、転送するデータ数は512×5=2560個となるのに対し、本発明の地盤調査装置の場合は60組の電位積分値及び1組の電流積分値、転送するデータ数は61×2=122個となるので、転送データ数の比20:1に基づいて設定している。
【0085】
上記条件を前提とし、スタッキング数4回で二極法による全組み合わせ数60×59=3540通りの組み合わせによる電位を計測すると、{0.01秒(送信時間)×4(スタッキング数)+1秒(転送時間)}×60(送信箇所)≒60秒=1分の計測時間となる。すなわち、実質的には制御装置への転送時間だけで済む。そして、計算上は本装置の方が3倍のデータ取得数なので、理論上は従来装置の180×3=540倍の高速性能が達成される。
【0086】
次に、S3の処理で得られた三次元電気探査の結果を用いて地盤状態の評価を行うと共に(S4)、地盤への液体の浸透状況に基づいて計測を終了するか否かを判断する(S5)。
【0087】
S2の処理において、調査対象地域13の地表面7に液体9が散布されて地盤中に浸透する。そして、地盤中に水みちが存在する場合には当該水みちにおいて液体9の浸透速度が周辺の地盤中よりも速くなるので、S3の処理の三次元電気探査の結果から地盤中の土砂の運搬経路となる水みちの有無が判断される。
【0088】
すなわち、図7に示すように、地盤6中に水みち14が存在する場合には、地表面7に散布された液体9は周辺の地盤6における浸透速度よりも速い速度で水みち14の中を流動する。したがって、水みち14の中の液体9や、水みち14の中を流動して水みち14の壁を濡らしている液体9や、水みち14の壁から徐々に地盤6中に浸透する液体9(図7(B)の符号16で示す破線)として周辺の地盤6中を浸透する液体9よりも突出して浸透するので、S3の処理の三次元電気探査の結果から地盤中の土砂の運搬経路となる水みちの有無が判断される。
【0089】
具体的には、図8に示すように、地盤6深部に水みち14が存在している場合には、地表面7に液体9が散布されると、地表面7近くでは水みち14の影響を受けることなく調査対象地域13全体に亘って概ね一様に徐々に液体9が地盤6中に浸透する。そして、液体9の散布が繰り返されたり雨が降り続けたりするに従って地盤6の深部に向かって液体9の浸透が進行する。
【0090】
例えば、図8(B)に示すように、液体9の一回目の散布の後若しくは降雨開始から僅かな時間が経過した段階での一回目の計測では散布液体若しくは雨水9の浸透分布は地表面7から浅い範囲に限られ(図8(B)の浸透前線17a)、地盤6の電気探査によって得られる結果も地表面7から浅い範囲に液体9が浸透している様相を示す。そして、液体9の散布の回数を重ねるに従って、若しくは降雨が続くに従って、順次実施される地盤6の電気探査の結果は液体9が地盤6の深部に向かって徐々に浸透していく様相を示す(図8(B)の浸透前線17b,17c)。
【0091】
そして、地盤6中への液体9の浸透前線17dが地盤6中に存在する水みち14の端部に到達すると、水みち14においては周辺の地盤6中と比べて液体9の浸透性が高いので、周辺地盤6の平均的な液体9の浸透分布よりも速く水みち14中を液体9が浸透する。そのため、地盤6の電気探査によって得られる結果も液体9の浸透前線17dから突出して液体9が浸透している様相を示す。
【0092】
すなわち、図9に示すように、地表面7から浸透した液体9が水みち14を中心に且つ周辺の地盤6における液体9の浸透よりも速く即ち周辺の浸透分布から突出して地盤6中に浸透する様相が電気探査によって明らかになる。この電気探査の結果によって地盤6中に水みち14が存在していることが検知され、当該地盤6の状態の評価として地盤陥没の危険性があると判断される。
【0093】
そして、液体9を地盤6に浸透させながら地盤6の電気探査を行うと共にその結果に基づいて地盤状態の評価を繰り返して行う間に、S5の処理として、当初予定の深度まで液体9が地盤6中に浸透して液体9の浸透状況の計測を終了すると判断された場合には(S5;Yes)、地盤調査を終了する(S6)。
【0094】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態の地盤調査装置は、測点数が60点まで対応可能な装置として構成されているが、60チャンネルの拡張装置を順次追加することによって原理的には無限の測点数に対応することが可能である。例えば、拡張装置を3台追加した場合には測点数が240点まで計測が可能となる。この場合、計測時間は、本実施形態の60チャンネルの場合の4倍、すなわち1分×240/60=4分で計測が可能である。
【0095】
また、本実施形態では、液体9を地盤6に浸透させながらの地盤6の電気探査とその結果に基づく地盤状態の評価とを繰り返して行うことを前提とした例について説明したが、これに限られるものではなく、一回目の地盤6の電気探査によって当初予定していた探査深度まで液体9が浸透されていることが確認されたり水みちの存在が確認されたりして地盤調査として充分であると判断された場合には地盤6の電気探査と地盤状態の評価とを繰り返して行わなくても構わない。
【0096】
さらに、本発明の地盤調査装置を図10に示すように構成しても良い。なお、以下の説明においては、本発明の地盤調査装置に係る上述の実施形態のことを第一の実施形態と呼び、以下に説明する他の実施形態のことを第二の実施形態と呼ぶ。なお、以下に説明する第二の実施形態において上述の第一の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0097】
第二の実施形態では、一つの測点1に一つの電流用電極1aと一つの電位用電極1bとが組み合わされて配置される。具体的には、一つの測点1において組み合わされている電流用電極1aと電位用電極1bとは測線に対して直交方向に互いに例えば20〜30cm程度離して配置されて接地させられる。
【0098】
第二の実施形態としての地盤調査装置は、正弦波電流を送信する送信装置11と、地表面7に展開される電流用電極1a毎に配置され該電流用電極1aに接続されて択一的に導通状態になって正弦波電流を供給する電流用電極1aを切り替える電流用リレー26と、各電流用電極1aと組み合わされて配置される電位用電極1bのそれぞれに接続されて各電位用電極1bでの接地インピーダンスを低減する演算増幅器39と、演算増幅器39のそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレー26に接続する各電流用電極1aと組み合わされている電位用電極1bに接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレー35を備え電位信号を受信する電位用電極1bを切り替える電位用スイッチ回路34と、電位用リレー35のそれぞれに接続され電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路29と、増幅及びフィルタ回路29のそれぞれに接続され電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路31とを有し、地盤6中に液体9を浸透させながら二極法によって地盤6の三次元電気探査を行って地盤6中への液体9の浸透分布と比べて突出して液体9が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定するようにしている。
【0099】
第二の実施形態の地盤調査装置は、制御装置10と電流送信・検出装置36と受信装置20とから構成される。
【0100】
制御装置10は、中央演算処理装置33を有する例えばコンピュータであり、電流送信・検出装置36及び受信装置20の動作を制御するものである。
【0101】
電流送信・検出装置36は、送信装置11と電流検出回路24とを有する。なお、電流送信・検出装置36には発電機5が接続され、電流送信・検出装置36はこの発電機5から電力の供給を受けて作動する。
【0102】
送信装置11は、測点1の中から選択された一箇所の電流用電極1a及び電流用遠電極2に対して電流を供給するものである。なお、本実施形態においても合計60点の測点1が配置されているものとする。
【0103】
送信装置11は、端子11a及び端子11bを有し、これらの端子間に一定周期で電流を供給し、電流値及び電流の送信周波数を調節することができる。
【0104】
送信装置11から任意の周波数のリファレンス信号(cos波である)に同期した電流が、パワーアンプ(電力増幅器)及び絶縁トランス11cで増幅され、端子11a及び端子11bの間に送信されて地盤に送信される。このリファレンス信号は制御装置10の中央演算処理装置33によって制御され、中央演算処理装置33から発せられた周波数及び送信電圧の情報は受信装置20に備えられたD/A変換器37によってリファレンス信号(cos波である)に変換されてパワーアンプ及び絶縁トランス11cに入力される。なお、流体を浸透させる仮定で地盤の比抵抗が低く変化し、送信用電極から流れる電流値が送信装置11の仕様(本実施形態では最大400mA)を超えた場合は、それ以上流れないように自動制御される。
【0105】
端子11aは電流検出回路24及び電流用リレー26を介して測点1の中から選択された一箇所の電流用電極1aと導通される。また、端子11bは電流用遠電極2と接続される。
【0106】
電流用電極1aと電流用遠電極2との間に供給される正弦波電流の電流値や送信周波数は第一の実施形態と同様である。
【0107】
電流検出回路24は、アイソレーションアンプ24aによって電流用電極1aから地盤に流れた電流を抵抗24bで生じた電圧値として検出するものである。電流検出回路24は、送信装置11の端子11aと電流用リレー26との間に接続される。
【0108】
電流用リレー26は、測点1の電流用電極1aに通じる導線の接続と切断とを制御するものである。ここで、第二の実施形態では、電流用リレー26が測点1毎に電流用電極1aと一緒に分散して配置される。
【0109】
具体的には、本実施形態では、電流検出回路24に3芯ケーブル40が接続されると共に、3芯ケーブル40から分岐する分岐線43-1,43-2,43-3,…(以下、適宜、単に分岐線43と表記する)のそれぞれに電流用リレー26-1,26-2,26-3,…が接続され、各電流用リレー26-1,26-2,26-3,…に測点1-1,1-2,1-3,…が接続される。なお、測点1の数は60であるので、3芯ケーブル40は60本の分岐線43を有し、60個の電流用リレー26が電流用電極1aと一緒に配置される。なお、3芯ケーブル40のうち1芯は電流用であり、2芯は電流用リレー26の制御用である。
【0110】
電流用リレー26は複数の測点1の中から選択された一箇所の電流用電極1aに通じる分岐線43を送信装置11の端子11aに接続するものである。すなわち、通常は全ての測点1が送信装置11の端子11aと切断状態になっているが、電流用電極1aとして選択された一箇所の測点1は送信装置11の端子11aと導通状態になる。
【0111】
送信装置11からの正弦波電流を供給する測点1の電流用電極1aの切り替えは、制御装置10の中央演算処理装置33によって制御される。具体的には、3芯ケーブル40を介して中央演算処理装置33からの制御信号が電流用リレー26に入力され電流用リレー26の切断状態と導通状態とが切り替えられる。
【0112】
また、本実施形態における受信装置20は、測点1の電位用電極1bと電位用遠電極3との間の電位信号(具体的には電位差)を同時に受信するものである。
【0113】
例えば、全測点数が60点の場合、60点の中から選択された一箇所の測点1の電流用電極1aから流した電流によって地盤に生じた電位信号を、前記選択された一箇所の測点1を除く全ての測点1(59点である)の電位用電極1bで同時に受信する。なお、電位信号は各電位用電極1bと電位用遠電極3との間の電位差として計測する。
【0114】
受信装置20は電位電極切替部44と複素位相検波部22とサンプリング部23とを有する。なお、受信装置20にはバッテリー4が接続され、受信装置20はこのバッテリー4から電力の供給を受けて作動する。
【0115】
受信装置20の電位電極切替部44は、電位用スイッチ回路34、増幅及びフィルタ回路29を備える。
【0116】
電位用スイッチ回路34は、全ての測点1の電位用電極1bに通じる導線の接続と切断とを制御するものである。
【0117】
電位用スイッチ回路34は、電位用リレー35-1,35-2,35-3,…(以下、適宜、単に電位用リレー35と表記する)を備える。本実施形態では、測点1の数に対応して60個の電位用リレー35を有する。
【0118】
電位用リレー35は例えば30芯ケーブル38を介して各測点1の電位用電極1bと接続される。具体的には、30芯ケーブル38の一方の分岐線のそれぞれに電位用リレー35が接続され、他方の分岐線のそれぞれに演算増幅器39を介して電位用電極1bが接続される。なお、本実施形態では、測点1は60点であるので二本の30芯ケーブル38を用いる。
【0119】
演算増幅器(インピーダンス変換器とも呼ばれる)39は、各電位用電極1bでの接地インピーダンスを低減するためのものである。演算増幅器39を設けることにより、接地抵抗が高い場合に混入し易くなる電線と地面との間に発生するキャパシタンス成分による電磁的な誘導ノイズや多芯ケーブルの絶縁性能の劣化によるリーク(高周波数を使用するほど顕著に発生する)が低減される。
【0120】
ここで、各電流用リレー26は通常は切断状態にあり、択一的に導通操作される。また、各電位用リレー35は通常は導通状態にあり、択一的に切断操作される。例えば、全ての電流用リレー26が切断状態にあると共に全ての電位用リレー35が導通状態にあり、1番目の測点1-1の電流用電極1aを送信装置11の端子11aに導通させる場合には、1番目の測点1-1の電流用電極1aに接続する電流用リレー26-1を導通状態にする。同時に、1番目の測点1-1の電位用電極1bに接続する電位用リレー35-1を切断状態にする(図10に示す状態)。次に、2番目の測点1-2の電流用電極1aを送信装置11の端子11aに接続させる場合には、1番目の測点1-1の電流用電極1aに接続する電流用リレー26-1を切断状態にし且つ測点1-1の電位用電極1bに接続する電位用リレー35-1を導通状態にすると共に、2番目の測点1-2の電流用電極1aに接続する電流用リレー26-2を導通状態にし且つ測点1-2の電位用電極1bに接続する電位用リレー35-2を切断状態にする。3番目〜60番目の測点1-3〜1-60の電流用電極1aを端子11aに接続する場合も同様である。すなわち、或る測点1において組み合わされている電流用電極1aと電位用電極1bとのそれぞれに接続する電流用リレー26と電位用リレー35とはどちらか一方が導通状態になった場合にそれに連動してもう一方は必ず切断状態になる。
【0121】
各電位用リレー35の切断と接続との切替操作は制御装置10の中央演算処理装置33によって制御される。
【0122】
増幅及びフィルタ回路29,複素位相検波部22(これに含まれる電流用実効値積分回路30,電位用実効値積分回路31),サンプリング部23(これに含まれるA/D変換器32)は第一の実施形態におけるものと同様の構成を有して同様の働きをするものであるので、詳細な説明は省略する。
【0123】
また、A/D変換器32より出力されたデジタルデータに係る制御装置10での処理も第一の実施形態におけるものと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0124】
また、中央演算処理装置33は、電流送信・検出装置36並びに受信装置20にリファレンス信号を送る。すなわち、電流送信・検出装置36の送信装置11では本信号に同期した電流が地盤に送信される。受信装置20の電流用実効値積分回路30及び電位用実効値積分回路31では、入力信号に対し本信号に同期したcos変換及び位相が90度ずれたsin変換処理が行われる。さらに、中央演算処理装置33は送信用リレーである電流用リレー26及び受信用リレーである電位用リレー35の動作を制御する。
【0125】
以上の構成を有する第二の実施形態の地盤調査装置によれば、電極(符号1a,1b)とケーブル(符号38,40)と各種装置ユニット(符号26,35等)との全てについて電流用と電位用とで完全に別系統に分離するようにしているので、多芯ケーブルの絶縁性能の劣化によるリークを低減することができる。
【0126】
また、第二の実施形態の地盤調査装置によれば、電流用リレー26を電流用電極1aと一緒に一個ずつ分散して配置すると共に3芯ケーブル40によって制御するようにしているので、多芯ケーブルの絶縁性能の劣化によるリークを低減することができる。
【0127】
さらに、第二の実施形態の地盤調査装置によれば、電位用電極1bに対して演算増幅器39を設けて接地抵抗を約10000万分の1以下に低減するようにしているので、多芯ケーブルの絶縁性能の劣化によるリークを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の地盤調査装置を用いた地盤調査方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
【図2】実施形態の電極の展開を説明する図である。
【図3】実施形態の散水車による液体の散布を説明する図である。
【図4】実施形態の地盤調査装置の機能ブロック図である。
【図5】実施形態の地盤調査装置のスイッチ回路の機能ブロック図である。
【図6】実施形態の地盤調査装置の実効値積分回路の機能ブロック図である。
【図7】地盤中の水みちにおける液体の浸透を説明する図である。(A)は地盤中に存在する水みちを示す図である。(B)は地盤中の水みちを中心とした液体の浸透を説明する図である。
【図8】地盤中に水みちが存在する場合の液体の浸透を説明する図である。(A)は地盤中に存在する水みち並びに地盤中への液体の浸透を示す図である。(B)は地盤中への液体の浸透並びに水みち内への液体の浸透を説明する図である。
【図9】地盤中の水みちに沿って液体が浸透する様相を説明する図である。
【図10】本発明の地盤調査装置の他の実施形態を説明する機能ブロック図である。
【図11】従来から考えられてきた地盤陥没発生メカニズムを説明する図である。(A)は実際のトンネル断面よりも大きい断面で地盤が掘削されている状態を説明する図である。(B)はトンネル背面に残された空隙が崩落することによって地盤陥没が発生することを説明する図である。
【図12】地盤中の液体の浸透並びに水みち及び空洞の形成を説明する図である。(A)は液体が地盤の弱点部を選択的に流れながら地盤中に浸透する状況を説明する図である。(B)は、地盤中に水みち及び空洞が形成される状況を説明する図である。
【符号の説明】
【0129】
1 電極(測点)
11 送信装置
25 電流用スイッチ回路
26 電流用リレー
29 増幅及びフィルタ回路
31 電位用実効値積分回路
34 電位用スイッチ回路
35 電位用リレー
36 電流送信・検出装置
37 D/A変換器
38 30芯ケーブル
39 演算増幅器
40 3芯ケーブル
43 分岐線
44 電位電極切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電極のそれぞれに接続されて択一的に導通状態にされる電流用リレーを備え前記正弦波電流を供給する前記電極を切り替える電流用スイッチ回路と、前記電流用リレーのそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する前記電極を切り替える電位用スイッチ回路と、前記電位用リレーのそれぞれに接続され前記電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、前記増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され前記電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路とを有し、二極法によって地盤の三次元電気探査を行うことを特徴とする地盤調査装置。
【請求項2】
正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電極のそれぞれに接続されて択一的に導通状態にされる電流用リレーを備え前記正弦波電流を供給する前記電極を切り替える電流用スイッチ回路と、前記電流用リレーのそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する前記電極を切り替える電位用スイッチ回路と、前記電位用リレーのそれぞれに接続され前記電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、前記増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され前記電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路と、地盤中に液体を浸透させながら二極法によって前記地盤の三次元電気探査を行って前記地盤中への前記液体の浸透分布と比べて突出して前記液体が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定する手段とを有することを特徴とする地盤調査装置。
【請求項3】
正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電流用電極毎に配置され該電流用電極に接続されて択一的に導通状態になって前記正弦波電流を供給する前記電流用電極を切り替える電流用リレーと、各前記電流用電極と組み合わされて配置される電位用電極のそれぞれに接続されて各前記電位用電極での接地インピーダンスを低減する演算増幅器と、前記演算増幅器のそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続する各電流用電極と組み合わされている電位用電極に接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する前記電位用電極を切り替える電位用スイッチ回路と、前記電位用リレーのそれぞれに接続され前記電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、前記増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され前記電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路とを有し、二極法によって地盤の三次元電気探査を行うことを特徴とする地盤調査装置。
【請求項4】
正弦波電流を送信する手段と、地表面に展開される電流用電極毎に配置され該電流用電極に接続されて択一的に導通状態になって前記正弦波電流を供給する前記電流用電極を切り替える電流用リレーと、各前記電流用電極と組み合わされて配置される電位用電極のそれぞれに接続されて各前記電位用電極での接地インピーダンスを低減する演算増幅器と、前記演算増幅器のそれぞれに接続されて前記導通状態にされた電流用リレーに接続する各電流用電極と組み合わされている電位用電極に接続するものは切断状態にされると共にその他は導通状態にされる電位用リレーを備え電位信号を受信する前記電位用電極を切り替える電位用スイッチ回路と、前記電位用リレーのそれぞれに接続され前記電位信号に対して増幅度を選択して増幅すると共にノイズのレベルを低下させる増幅及びフィルタ回路と、前記増幅及びフィルタ回路のそれぞれに接続され前記電位信号の実効値を検出する電位用実効値積分回路と、地盤中に液体を浸透させながら二極法によって前記地盤の三次元電気探査を行って前記地盤中への前記液体の浸透分布と比べて突出して前記液体が浸透している箇所を検知することによって地盤陥没の危険箇所を特定する手段とを有することを特徴とする地盤調査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−304457(P2008−304457A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123532(P2008−123532)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年12月 社団法人 物理探査学会発行の「物理探査 第60巻 第6号」に発表
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】