説明

地絡事故地点検出方法、装置及びプログラム

【課題】送配電系統において発生した地絡事故の地点を容易且つ速やかに検出することができるようにする。
【解決手段】電源線に流れる電流と架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度の値のデータが連続して入力されるステップ(S1)と、地絡事故の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出するステップ(S2)と、磁束密度の値の変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点毎に判別するステップ(S3)と、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点と逆極性である測定点との間において地絡事故が発生していると判断するステップ(S4)と、過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点寄りの位置において地絡事故が発生していると判断するステップ(S5)とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、送配電系統において発生した地絡事故の地点を検出する方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配電線における漏電箇所を探査する従来の漏電箇所探査方法としては、例えば、図5に示すように、配電線100の電源側に探査信号注入手段101によって探査信号を注入すると共に注入された探査信号を配電線100の負荷側において検出手段102によって検出し、探査信号が複数の配電線100で所定値以上検出された場合には信号レベルを低く変化させて探査信号を再度注入し、探査信号が全く検出されなかった場合には信号レベルを高く変化させて探査信号を再度注入し、探査信号が一箇所のみで検出されるまで探査信号を再度注入する操作を繰り返し、さらに、検出手段102の受信部103を配電線100における電源側から負荷側へと順次移動させて注入操作と検出操作とを繰り返し実行することによって配電線100の漏電箇所を特定するものがある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−74979号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の漏電箇所探査方法では、信号レベルを変化させながら探査信号を注入する操作と当該探査信号を検出する操作とを繰り返し実行する必要があり、さらに、調査対象区間全体に亘って探査信号の受信部を順次移動させながら注入操作と検出操作とを繰り返し実行する必要があるので、事故地点を特定するまでに多大な手間と時間とがかかり、不具合の復旧に迅速性が要求される送配電系統において発生した地絡事故の地点の検出方法として最適であるとは言い難い。
【0005】
そこで、本発明は、送配電系統において発生した地絡事故の地点を容易且つ速やかに検出することができる地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の地絡事故地点検出方法は、電源線に流れる電流と電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線の軸方向に展開された電源線周囲の複数の測定点において連続して測定し、磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点と逆極性である測定点との間において地絡事故が発生していると判断するようにしている。
【0007】
また、請求項3記載の地絡事故地点検出装置は、電源線に流れる電流と電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線の軸方向に展開された電源線周囲の複数の測定点において連続して測定する各手段から磁束密度の値のデータが連続して入力される手段と、地絡事故の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出する手段と、磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点毎に判別する手段と、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点と逆極性である測定点との間において地絡事故が発生していると判断する手段とを有するようにしている。
【0008】
さらに、請求項5記載の地絡事故地点検出プログラムは、送配電系統において発生した地絡事故の地点の検出を行う際に、少なくとも、電源線に流れる電流と電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線の軸方向に展開された電源線周囲の複数の測定点において連続して測定する各手段から磁束密度の値のデータが連続して入力される手段、地絡事故の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出する手段、磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点毎に判別する手段、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点と逆極性である測定点との間において地絡事故が発生していると判断する手段としてコンピュータを機能させるようにしている。
【0009】
この地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムによると、以下に説明する原理によって送配電系統において発生した地絡事故の地点を検出することができる。
【0010】
本発明における地絡事故地点の検出の原理を説明するための送配電系統の回路図を図3に示す。具体的には、電源4と、当該電源4に接続された電源線1と、当該電源線1と並んで配設された架空地線2と、碍子等を介して電気的に絶縁された状態で電源線1を支持すると共に電気的に接続された状態で架空地線2を支持する鉄塔・配電柱3a,3b,3cとを有する。なお、図3に示す送配電系統において、電源4が連系されている側を電源側(電源4側)と呼び、これと反対側であって需要家等の負荷(図示せず)が連系されている側を負荷側と呼ぶ。また、鉄塔・配電柱は電源4側から順に3a,3b,3cとする。
【0011】
鉄塔・配電柱3a,3b,3cは架空地線2と電気的に接続しており自身が導体となって架空地線2を大地9に接地する役割も果たす。以降では、具体的な設備としては鉄塔若しくは配電柱を回路上の役割として接地線3a,3b,3cと表記する(以下においては、接地線3a,3b,3cをまとめて接地線3とも適宜表記する)。なお、鉄塔・配電柱等を介しての接地の抵抗を回路上では各接地線3上の接地抵抗5として考慮する。
【0012】
また、接地線3aと接地線3bとの間を区間a−bと呼び、接地線3bと接地線3cとの間を区間b−cと呼ぶ。
【0013】
そして、ここでは、区間b−cの電源線1の接地線3b寄りの位置において地絡事故6が発生した場合を考える。そして、電源線1における地絡事故6が発生した地点を地絡事故地点6aとする。
【0014】
なお、本発明において想定する地絡事故は、具体的には例えば、樹木やクレーンのアーム等の導体が電源線1に接触することによって電源線1が接地してしまう事態や、鉄塔・配電柱(即ち接地線3)の碍子が故障して電源線1と接地線3とが電気的に接続することによって電源線1が接地してしまう事態などである。ここでは、接地線3bの近くの樹木が地絡事故地点6aにおいて電源線1に接触することによって電源線1が接地している場合を想定する。
【0015】
ここで、接地線3b寄りの地絡事故地点6aにおいて樹木が電源線1に接触することによって地絡事故6が発生すると、電流は電源線1から樹木を通過して大地9に流れると共に大地9に流れ込んだ電流の一部は近くの接地線3bに流れる。このとき、電源線1は、樹木の抵抗成分を含む地絡事故地点6aから接地線3bまでの抵抗(インピーダンス)が接地線3bの接地抵抗に対して直列に加わった接地抵抗5’を介して大地9と接地する。
【0016】
地絡事故地点6aにおいて電源線1を大地9に接地させる導体である樹木を流れる地絡電流Iは、大地9に流れ込む電流Igと、接地線3bを架空地線2へと流れる電流Iwとに分かれる。すなわち、I=Ig+Iwである。
【0017】
そして、接地線3bを架空地線2へと流れる電流Iwは、架空地線2を電源4側に向かって流れる電流Iwpと、架空地線2を負荷側に向かって流れる電流Iwlとに分かれる。すなわち、Iw=Iwp+Iwlである。なお、架空地線2を負荷側に向かって流れる電流Iwlは接地線3cとの接続点において接地線3cへと流れる電流Iwl1と架空地線2を更に負荷側に向かって流れる電流Iwl2とに分かれる。すなわち、Iwl=Iwl1+Iwl2である。
【0018】
ここで、地絡事故6発生直後には、地絡事故発生時に電源線1に充電されている電荷が地面に流れる急峻な電流として電源線1に流れるインパルス状の高周波電流になる。具体的には、地絡事故地点6aよりも電源4側の電源線1には電源4から地絡事故地点6aに向かって高周波電流ispが流れると共に地絡事故地点6aよりも負荷側の電源線1には負荷側から地絡事故地点6aに向かって高周波電流islが流れる。
【0019】
そして、地絡電流Iには、地絡事故6発生直後に電源線1を流れる高周波電流isp及び高周波電流islと、電源4から供給されて負荷側に向かって電源線1を流れる商用周波電流Ipとが含まれる。すなわち、I=Ip+isp+islである。また、電源線1を流れる商用周波電流Ipと架空地線2を流れる電流Iwpとの間にはIp>Iwpの関係が成り立つ。
【0020】
なお、高周波電流isp,islは事故発生時に電源線1に充電されている電荷の分だけ急激に流れて電荷がなくなると流れなくなるという過渡的なものである。そして、高周波電流isp,islが流れなくなった後は電源4からの供給分だけ商用周波電流Ipが電源線1を流れる。
【0021】
このように、地絡事故6が発生した場合には電源線1と架空地線2とに電流が流れる。そして、電流が流れることによって電源線1及び架空地線2の周囲には磁束が発生する。
【0022】
そして、電源線1に流れる電流と架空地線2に流れる電流とは地絡事故地点6a及び接地線3との位置関係によって流れる向きが一意に定まるので、電源線1を流れる電流と架空地線2を流れる電流とに起因する、地絡事故地点6aよりも電源4側の電源線1の周囲の磁束の磁束密度と地絡事故地点6aよりも負荷側の電源線1の周囲の磁束の磁束密度とでは異なる特性を示す。
【0023】
具体的には、地絡事故地点6aよりも電源4側の電源線1の周囲においては、図4(A)に示すように、地絡事故6発生直後(符号II’)に電源線1を流れる高周波電流ispに起因する磁束Mspの磁束密度(変化直後の最初の立ち上がり部分)と、磁束密度の値の増減振動の後の期間(符号III)に電源線1を流れる商用周波電流Ipと架空地線2を流れる電流Iwpとに起因する磁束Mpの磁束密度とは、同極性を示す。
【0024】
なお、図4においては、電源線1の周囲における磁束密度の値に変化がない若しくは小さい期間については磁束密度の値をゼロとして表示している。ここで、電源線1の周囲における磁束密度の値の変化の幅が一定の範囲内にあるときは、電源線1に流れている負荷電流が安定しているということであるので、送配電系統において地絡事故6が発生していないと考えられる。すなわち、図4において、磁束密度の値がほぼゼロである期間(符号I)は送配電系統において地絡事故6が発生していない期間である。
【0025】
そして、磁束密度の値に大きな変化が生起した時点(符号II’)が送配電系統における地絡事故6の発生に伴って電源線1に高周波電流が流れ始めた時点であり、磁束密度の値が増減振動するその後の期間(符号II)は地絡事故6の影響によって減衰振動波が観測される期間である。以降ではこの期間を過渡期と呼ぶ。さらに、過渡期後の期間(符号III)は地絡事故6が継続している期間である。
【0026】
一方、地絡事故地点6aよりも負荷側の電源線1の周囲においては、図4(B)に示すように、地絡事故6発生直後(符号II’)に電源線1を流れる高周波電流islに起因する磁束Mslの磁束密度(変化直後の最初の立ち下がり部分)と、過渡期後の期間(符号III)に架空地線2を流れる電流Iwlに起因する磁束Mwlの磁束密度とは、逆極性を示す。なお、図4においては、過渡期後の期間(符号III)については常時流れる負荷電流に起因する磁束の磁束密度を除いて表示している。
【0027】
以上より、磁束密度を測定する手段7a,7b,7c(以下においては、磁束密度を測定する手段7a,7b,7cをまとめて磁束密度を測定する手段7とも適宜表記する)を電源線1の周囲に設置して磁束密度を連続的に測定し、磁束密度の値に所定の変化が生起した場合に当該変化の生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とを対比し、これら二時点の磁束密度が同極性を示す測定点7と逆極性を示す測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断することができる。
【0028】
なお、図3に回路図を示す配電系統において、区間a−bでは、電源線1を流れる商用周波電流Ipと架空地線2を流れる電流Iwpとの間にはIp>Iwpの関係が成り立ち、電源線1の周囲において測定される磁束密度は電源線1に流れる商用周波電流Ipに起因する磁束Mpの磁束密度が支配的になる。このことも考慮して、本発明において磁束密度を測定する手段7は、架空地線2よりも電源線1の近くの位置に、接地線3に流れる電流に起因する磁束を感知しない方向に設置される。なお、磁束密度を測定する手段7をこのように設置しても、区間b−cの架空地線2を流れる電流Iwlに起因する磁束Mwlを検出することはできる。
【0029】
さらに、上記では、図3に示す例について、磁束密度を測定する手段7bが接地線3bの電源4側に設置されていた場合を前提として説明したが、磁束密度を測定する手段7bが接地線3bの負荷側に設置されていた場合も同様にして地絡事故地点6aを検出することができる。すなわち、磁束密度を測定する手段7bが接地線3bの負荷側に設置されていた場合は、区間b−cのうち地絡事故地点6aよりも電源4側の電源線1を流れる高周波電流isp及び商用周波電流Ipと架空地線2を流れる電流Iwlとに起因する磁束の磁束密度が測定され、これらの電流の流れる向きは同じであって磁束密度は同極性を示すからである。
【0030】
また、各測定点7において観測される過渡期後の磁束密度の値の地絡事故6発生前からの変化の幅は地絡事故地点6aに近いほど大きくなる。言い換えると、地絡事故6発生前の磁束密度の値と過渡期後の磁束密度の値との差が大きい測定点7ほど地絡事故地点6aにより近い。すなわち、二時点の磁束密度が同極性を示す測定点と逆極性を示す測定点との間において地絡事故が発生しており、さらに、両測定点のうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点寄りの位置において地絡事故が発生している。そして、磁束密度の値の変化の度合いに差があればあるほど磁束密度の値の変化が大きい方の測定点により近い位置において地絡事故が発生している。
【0031】
上述の説明では、区間b−cの電源線1の接地線3b寄りの位置(符号6a)において地絡事故6が発生しているので、過渡期後の磁束密度の値の地絡事故6発生前からの変化は測定点7bで観測される変化の方が測定点7cで観測される変化よりも大きい。
【0032】
したがって、請求項1,2,3記載の地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムによると、送配電系統の電源線に流れる電流と架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線の軸方向に展開された電源線周囲の複数の測定点において連続して測定すると共に磁束密度の値に所定の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とを対比して極性を判別するようにしているので、電源線周囲の磁束密度を連続的に測定することのみによって地絡事故が発生している測定点区間を検出することができる。
【0033】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の地絡事故地点検出方法において、同極性である測定点と逆極性である測定点とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点寄りの位置において地絡事故が発生していると判断するようにしている。
【0034】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の地絡事故地点検出装置において、同極性である測定点と逆極性である測定点とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点寄りの位置において地絡事故が発生していると判断する手段を更に有するようにしている。
【0035】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の地絡事故地点検出プログラムにおいて、さらに、同極性である測定点と逆極性である測定点とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点寄りの位置において地絡事故が発生していると判断する手段としてコンピュータを機能させるようにしている。
【0036】
請求項2,4,6記載の地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムの場合には、地絡事故地点の位置を更に絞り込むことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムによれば、電源線周囲の磁束密度を単に連続的に測定することのみによって地絡事故が発生している測定点区間を検出することができるので、送配電系統において発生した地絡事故の地点を容易且つ速やかに検出して不具合を迅速に復旧することが可能になる。
【0038】
さらに、本発明によれば、地絡事故地点の位置を更に絞り込むことができるので、送配電系統において発生した地絡事故の地点を容易且つ更に速やかに検出して不具合を迅速に復旧することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1から図4に、本発明の地絡事故地点検出方法、装置並びにプログラムの実施形態の一例を示す。本実施形態では、前述の本発明の地絡事故地点検出の原理の説明でも用いた図3に示す送配電系統の区間b−cの電源線1の接地線3b寄りの位置において発生した地絡事故6を検出する場合を例に挙げて説明する。
【0041】
本実施形態では、前述の原理の説明における磁束密度を測定する手段7の設置位置を測定点として電源線1周囲において磁束の磁束密度を測定する。このため、以下においては、磁束密度を測定する手段7a,7b,7c(並びに、磁束密度を測定する手段7)の設置位置をそれぞれ測定点7a,7b,7c(並びに、測定点7)と表記する。これ以外の送配電系統の構成等は前述の原理の説明と同じとする。
【0042】
本実施形態の地絡事故地点検出方法は、電源線1に流れる電流と電源線1と並んで設置されると共に接地線3と電気的に接続されている架空地線2に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線1の軸方向に展開された電源線1周囲の複数の測定点7において連続して測定し、磁束密度の値に地絡事故6の発生に伴う変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点7と逆極性である測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断するようにしている。さらに、本実施形態の地絡事故地点検出方法は、同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断するようにしている。
【0043】
上記地絡事故地点検出方法は、本発明の地絡事故地点検出装置として実現される。本実施形態の地絡事故地点検出装置10は、電源線1に流れる電流と電源線1と並んで設置されると共に接地線3と電気的に接続されている架空地線2に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線1の軸方向に展開された電源線1周囲の複数の測定点7において連続して測定する各磁束密度を測定する手段7から磁束密度の値のデータが連続して入力される手段と、地絡事故6の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出する手段と、磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点7毎に判別する手段と、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点7と逆極性である測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断する手段と、さらに、同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断する手段とを備える。
【0044】
電源線1の周囲において磁束密度を測定する手段7としては磁界センサが用いられる。本実施形態では、接地線3aの電源4側に磁界センサ7a、接地線3bの電源4側に磁界センサ7b、接地線3cの電源4側に磁界センサ7cがそれぞれ設けられる(以下においては、磁界センサ7a,7b,7cをまとめて磁界センサ7とも適宜表記する)。磁界センサ7は電源線1を周方向に取り巻く磁束と鎖交すると共に接地線3に流れる電流に起因する磁束を感知しない方向に配置されて磁束密度を測定する。
【0045】
そして、磁界センサ7は測定した磁束密度の値のデータを地絡事故地点検出装置10に送ることができるように有線若しくは無線の通信回線によって地絡事故地点検出装置10と接続されている。
【0046】
本実施形態では、隣り合う磁界センサ7同士が通信回線で接続されると共に最も電源4側に設けられている磁界センサ7aが地絡事故地点検出装置10と通信回線で接続されることによって各磁界センサ7が測定した磁束密度の値のデータが地絡事故地点検出装置10に入力される。
【0047】
上述の地絡事故地点検出装置は、本発明の地絡事故地点検出プログラムをコンピュータ上で実行することによっても実現される。本実施形態では、地絡事故地点検出プログラムをコンピュータ上で実行する場合を例に挙げて説明する。
【0048】
地絡事故地点検出プログラム17を実行するための本実施形態の地絡事故地点検出装置10の全体構成を図2に示す。この地絡事故地点検出装置10は、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14及びメモリ15を備え相互にバス等の信号回線により接続されている。また、地絡事故地点検出装置10には磁界センサ7aが有線若しくは無線の信号回線により接続されており、その信号回線を介して相互にデータや制御指令等の信号の送受信(即ち出入力)が行われる。
【0049】
制御部11は記憶部12に記憶されている地絡事故地点検出プログラム17によって地絡事故地点検出装置10全体の制御並びに地絡事故地点の検出に係る演算を行うものであり、例えばCPU(即ち中央演算処理装置)である。記憶部12は少なくともデータやプログラムを記憶可能な記憶手段であり、例えばハードディスクである。メモリ15は制御部11が各種の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
【0050】
入力部13は少なくとも作業者の命令を制御部11に与えるためのインターフェイスであり、例えばキーボードである。
【0051】
表示部14は制御部11の制御により文字や図形等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
【0052】
そして、地絡事故地点検出プログラム17を実行することによって地絡事故地点検出装置10の制御部11には、電源線1に流れる電流と電源線1と並んで設置されると共に接地線3と電気的に接続されている架空地線2に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線1の軸方向に展開された電源線1周囲の複数の測定点7において連続して測定する各磁束密度を測定する手段7から磁束密度の値のデータが連続して入力される手段としての磁束密度入力受け部11aと、地絡事故6の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出する手段としての磁束密度変化検出部11bと、磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点7毎に判別する手段としての磁束密度極性判別部11cと、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点7と逆極性である測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断する手段としての地絡区間特定部11dと、さらに、同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断する手段としての地絡地点絞込み部11eとが構成される。
【0053】
また、本発明の地絡事故地点検出方法を地絡事故地点検出装置10において実現するための地絡事故地点検出プログラム17は、図1に示すように、電源線1に流れる電流と電源線1と並んで設置されると共に接地線3と電気的に接続されている架空地線2に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を電源線1の軸方向に展開された電源線1周囲の複数の測定点7において連続して測定する各磁束密度を測定する手段7から磁束密度の値のデータが連続して入力されるステップ(S1)と、地絡事故6の発生に伴う磁束密度の値の変化を検出するステップ(S2)と、磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを測定点7毎に判別するステップ(S3)と、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点7と逆極性である測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断するステップ(S4)と、さらに、同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断するステップ(S5)とを有する。
【0054】
本発明の地絡事故地点検出方法の実行にあたっては、まず、制御部11の磁束密度入力受け部11aが、磁束密度の値の入力を受ける(S1)。
【0055】
具体的には、磁束密度入力受け部11aは、各磁界センサ7から、有線若しくは無線の通信回線を介して、各磁界センサ7が連続して測定している測定点7毎の磁束密度の値のデータの入力を受ける。
【0056】
そして、磁束密度入力受け部11aは、各データが測定された測定点7を判別するための各測定点7のID(本実施形態では、7a,7b,7c)と入力された磁束密度の値のデータとを関連づけて磁束密度変化検出部11bに送る。
【0057】
次に、制御部11の磁束密度変化検出部11bは、磁束密度入力受け部11aから連続して入力される磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起しているか否かの判別を行う(S2)。
【0058】
磁束密度変化検出部11bは、磁束密度入力受け部11aから連続して入力される磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起しているか否かを予め定められた基準(以下、変化生起判別基準と呼ぶ)に基づいて判別する。なお、変化生起判別基準は地絡事故地点検出プログラム17の中に予め規定される。
【0059】
変化生起判別基準は、特定の基準に限定されるものではなく、例えば、監視対象の送配電系統において地絡事故が発生した際に実際に観測された磁束密度の値の変化に基づいて作業者が適宜設定すれば良い。例えば、磁束密度の値が、一定時間内に所定の値の範囲を超えて変化した場合や、時間に関係なく所定の値の範囲を超えて変化した場合に、磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起していると判断するようにすることが考えられる。
【0060】
具体的には例えば、監視対象の送配電系統において地絡事故が発生した際に図4に示す磁束密度の値の変化が実際に観測された場合であれば、磁束密度の値が、50マイクロ秒の間に−0.25〜0.25マイクロテスラの範囲を超えて変化した場合や、時間に関係なく−0.25〜0.25マイクロテスラの範囲を超えて変化した場合に、磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起していると判断することが考えられる。
【0061】
そして、連続して入力される磁束密度の値の変化が変化生起判別基準を満たさない場合は(S2;No)、磁束密度変化検出部11bは磁束密度入力受け部11aからの磁束密度の値の入力をそのまま受け続ける。
【0062】
また、磁束密度の値の変化が変化生起判別基準を満たさない期間において、磁束密度変化検出部11bは、当該期間における測定点7毎の磁束密度の値を地絡事故発生前の磁束密度の値として当該磁束密度の値が測定された各測定点7のIDと関連づけてメモリ15に記憶させる。なお、地絡事故発生前の磁束密度の値は、地絡事故が発生していない期間において一度だけメモリ15に記憶させるようにしても良いし、適当な間隔をおいて定期的にメモリ15に記憶させるようにしても良い。
【0063】
一方、磁束密度の値の変化が変化生起判別基準を満たす場合には(S2;Yes)、磁束密度変化検出部11bは、基準を満たす根拠になった磁束密度の値の変化の生起直後に磁束密度の絶対値が最大になったとき(図4の例の場合には符号II’のとき)の磁束密度の値(即ち減衰振動波の最初の立ち上がり(若しくは下がり)の波高値)と当該磁束密度の値が測定された各測定点7のIDとを関連づけてメモリ15に記憶させる。
【0064】
磁束密度の値の変化が変化生起判別基準を満たす場合には(S2;Yes)、磁束密度変化検出部11bは、さらに、磁束密度の値に所定の変化が生起したことを磁束密度極性判別部11cに通知する。
【0065】
次に、制御部11の磁束密度極性判別部11cは、磁束密度の値の地絡事故の発生に伴う変化の生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度との極性の判別を行う(S3)。
【0066】
磁束密度極性判別部11cは、まず、磁束密度の極性の判別を行うために磁束密度入力受け部11aから過渡期後の磁束密度の値を取り込む。
【0067】
具体的には、磁束密度極性判別部11cは、磁束密度変化検出部11bから磁束密度の値に所定の変化が生起した旨の通知を受けた時点(即ち磁束密度の値に所定の変化が生起した時点)から一定の時間が経過した時に磁束密度入力受け部11aから当該時点の磁束密度の値を過渡期後の磁束密度の値として取り込む。なお、磁束密度極性判別部11cが過渡期後の磁束密度の値を取り込む時点を定義づける時間であって磁束密度の値に所定の変化が生起した時点からの経過時間(以下、変化生起経過時間と呼ぶ)は地絡事故地点検出プログラム17の中に予め規定される。
【0068】
変化生起経過時間は、特定の時間に限定されるものではなく、例えば、監視対象の送配電系統において地絡事故が発生した際に実際に観測された磁束密度の値の変化に基づいて作業者が適宜設定すれば良い。すなわち、実際に観測された磁束密度の値の変化をみて、過渡期が終了していると考えられる時間を適宜設定すれば良い。
【0069】
具体的には例えば、監視対象の送配電系統において地絡事故が発生した際に図4に示す磁束密度の値の変化が実際に観測された場合であれば、変化生起経過時間を400マイクロ秒程度にすることが考えられる。
【0070】
なお、磁束密度極性判別部11cは、S2の処理においてメモリ15に記憶された測定点7のIDを参照して磁束密度の値に所定の変化が生起した測定点7毎の磁束密度の値を磁束密度入力受け部11aから取り込む。
【0071】
磁束密度極性判別部11cは、また、S2の処理においてメモリ15に記憶された磁束密度の値に所定の変化が生起した測定点7毎の所定の変化生起直後の磁束密度の値をメモリ15から読み込む。
【0072】
そして、磁束密度極性判別部11cは、磁束密度入力受け部11aから取り込んだ過渡期後の磁束密度の値とメモリ15から読み込んだ変化生起直後の磁束密度の値とを対比して二時点の磁束密度が同極性と逆極性とのどちらであるかを測定点7毎に判別する。
【0073】
そして、磁束密度極性判別部11cは、測定点7毎の二時点の磁束密度の極性の判別結果を各測定点7のIDと関連づけてメモリ15に記憶させる。また、磁束密度極性判別部11cは、磁束密度入力受け部11aから取り込んだ過渡期後の磁束密度の値を当該磁束密度の値が測定された各測定点7のIDと関連づけてメモリ15に記憶させる。
【0074】
次に、制御部11の地絡区間特定部11dは、地絡事故が発生している区間の特定を行う(S4)。
【0075】
地絡区間特定部11dは、S3の処理においてメモリ15に記憶された測定点7毎の二時点の磁束密度の極性の判別結果を基に地絡事故6が発生している区間を特定する。
【0076】
ここで、地絡事故6が発生している区間を地絡区間特定部11dが特定する際に用いるため、電源4側からの各測定点7の配置の順番に測定点のIDを並べたデータ(以下、測定点ID順序データと呼ぶ)が予め準備される。この測定点ID順序データは、例えば、独立したデータファイルとして記憶部12に記憶されると共に当該データファイルを地絡区間特定部11dが読み込んでメモリ15に記憶させてS4の処理において適宜読み込むようにしても良いし、地絡事故地点検出プログラム17の中に規定されると共に地絡区間特定部11dがS4の処理において適宜読み込むようにしても良い。
【0077】
地絡区間特定部11dは、測定点7毎の極性をメモリ15から読み込み、各測定点7の極性を測定点ID順序データを用いて電源4側から順に並べる。
【0078】
そして、地絡区間特定部11dは、隣り合う測定点7であって極性が異なる一組の測定点7を抽出する。
【0079】
本実施形態では、区間b−cの電源線1において地絡事故6が発生している場合であるので、磁束密度の値の地絡事故6の発生に伴う変化が測定点7a,7b,7cの全てにおいて観測されたとすると、S3までの処理において、測定点7a:同極性,測定点7b:同極性,測定点7c:逆極性との判別結果がメモリ15に記憶される。したがって、地絡区間特定部11dは、電源4側から順に並べた極性の判別結果に基づいて、隣り合う測定点7であって極性が異なる一組の測定点7として測定点7b及び測定点7cを抽出する。
【0080】
そして、地絡区間特定部11dは、抽出された一組の測定点7のIDを地絡事故地点6aの両側の測定点7であるとしてメモリ15に記憶させると共に表示部14に表示させる。
【0081】
次に、制御部11の地絡地点絞込み部11eは、地絡事故地点の位置の絞り込みを行う(S5)。
【0082】
地絡地点絞込み部11eは、地絡事故地点6aの両側の測定点7であるとしてS4の処理において抽出された測定点7毎の地絡事故6発生前の磁束密度の値と過渡期後の磁束密度の値との対比を基に地絡事故地点6aの位置の絞り込みを行う。
【0083】
具体的には、地絡地点絞込み部11eは、S4の処理においてメモリ15に記憶された一組の測定点7のIDをメモリ15から読み込むと共に、各測定点7について、磁束密度の値の変化が変化生起判別基準を満たさない期間においてメモリ15に記憶された地絡事故発生前の磁束密度の値とS3の処理においてメモリ15に記憶された過渡期後の磁束密度の値とをメモリ15から読み込む。
【0084】
そして、地絡地点絞込み部11eは、地絡事故発生前の磁束密度の値と過渡期後の磁束密度の値との差を測定点7毎に算出し、どちらの測定点7における差が大きいかを判別する。
【0085】
そして、地絡地点絞込み部11eは、差が大きい方の測定点7のIDを地絡事故地点6aにより近い測定点7であるとしてメモリ15に記憶させると共に表示部14に表示させる。
【0086】
以上の構成を有する本発明の地絡事故地点検出方法、装置及びプログラムによれば、電源線1周囲の磁束密度を単に連続的に測定することのみによって地絡事故6が発生している測定点区間を検出することができる。
【0087】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点7と逆極性である測定点7との間において地絡事故6が発生していると判断する(S4)ことに加えて同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断する(S5)ようにしているが、これに限られず、例えば測定点の間隔がそれほど広くない場合であって地絡事故地点の特定として当該地点の両側の測定点が分かれば良い場合にはS4までの処理を行うようにしてS5の処理は行わないようにしても良い。すなわち、本実施形態におけるS5の処理と、本実施形態の地絡事故地点検出装置10における同極性である測定点7と逆極性である測定点7とのうち過渡期後の磁束密度の値の地絡事故発生前からの変化が大きい方の測定点7寄りの位置において地絡事故6が発生していると判断する手段と、本実施形態の地絡事故地点検出プログラム17における変化生起直後の磁束密度と過渡期後の磁束密度とが同極性である測定点と逆極性である測定点との間において地絡事故が発生していると判断する手段としてコンピュータを機能させる仕組みとは本発明に必須の構成ではない。
【0088】
また、本実施形態では、接地線3に対応させるようにして(即ち、接地線3毎に、当該接地線3の近傍に)測定点7を設けるようにしているが、測定点を接地線に対応させて設けるようにすることは本発明に必須の条件ではない。すなわち、電源線を支持する接地線の数と測定点の数とは一致していなくても良いし、測定点の位置は接地線の近傍でなくても良い。つまり、本発明における測定点は、接地線の数や位置とは無関係に、地絡事故地点の位置特定の程度として要求される細かさ・精度や、磁束密度を測定する手段の設置可能性などを考慮して適宜設定すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の地絡事故地点検出方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
【図2】実施形態の地絡事故地点検出方法をプログラムを用いて実施する場合の地絡事故地点検出装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の地絡事故地点検出原理の説明並びに実施形態において前提とする送配電系統の回路図を示す図である。
【図4】送配電系統において地絡事故が発生した場合の磁束密度の経時変化を示す図である。(A)は地絡事故地点よりも電源側の電源線の周囲の磁束密度の経時変化を示す図である。(B)は地絡事故地点よりも負荷側の電源線の周囲の磁束密度の経時変化を示す図である。
【図5】従来の漏電箇所探査方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
1 電源線
2 架空地線
3 接地線
4 電源
5 接地抵抗
6 地絡事故
7 磁束密度を測定する手段(磁界センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源線に流れる電流と前記電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を前記電源線の軸方向に展開された前記電源線周囲の複数の測定点において連続して測定し、前記磁束密度の値に地絡事故の発生に伴う変化が生起した場合に変化生起直後の前記磁束密度と過渡期後の前記磁束密度とが同極性である前記測定点と逆極性である前記測定点との間において前記地絡事故が発生していると判断することを特徴とする地絡事故地点検出方法。
【請求項2】
前記同極性である測定点と前記逆極性である測定点とのうち前記過渡期後の磁束密度の値の前記地絡事故発生前からの変化が大きい方の前記測定点寄りの位置において前記地絡事故が発生していると判断することを特徴とする請求項1記載の地絡事故地点検出方法。
【請求項3】
電源線に流れる電流と前記電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を前記電源線の軸方向に展開された前記電源線周囲の複数の測定点において連続して測定する各手段から前記磁束密度の値のデータが連続して入力される手段と、地絡事故の発生に伴う前記磁束密度の値の変化を検出する手段と、前記磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の前記磁束密度と過渡期後の前記磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを前記測定点毎に判別する手段と、前記変化生起直後の磁束密度と前記過渡期後の磁束密度とが同極性である前記測定点と逆極性である前記測定点との間において前記地絡事故が発生していると判断する手段とを有することを特徴とする地絡事故地点検出装置。
【請求項4】
前記同極性である測定点と前記逆極性である測定点とのうち前記過渡期後の磁束密度の値の前記地絡事故発生前からの変化が大きい方の前記測定点寄りの位置において前記地絡事故が発生していると判断する手段を更に有することを特徴とする請求項3記載の地絡事故地点検出装置。
【請求項5】
送配電系統において発生した地絡事故の地点の検出を行う際に、少なくとも、電源線に流れる電流と前記電源線と並んで設置されると共に接地線と電気的に接続されている架空地線に流れる電流とに起因する磁束の磁束密度を前記電源線の軸方向に展開された前記電源線周囲の複数の測定点において連続して測定する各手段から前記磁束密度の値のデータが連続して入力される手段、地絡事故の発生に伴う前記磁束密度の値の変化を検出する手段、前記磁束密度の値の変化が生起した場合に変化生起直後の前記磁束密度と過渡期後の前記磁束密度とが同極性であるか逆極性であるかを前記測定点毎に判別する手段、前記変化生起直後の磁束密度と前記過渡期後の磁束密度とが同極性である前記測定点と逆極性である前記測定点との間において前記地絡事故が発生していると判断する手段としてコンピュータを機能させるための地絡事故地点検出プログラム。
【請求項6】
さらに、前記同極性である測定点と前記逆極性である測定点とのうち前記過渡期後の磁束密度の値の前記地絡事故発生前からの変化が大きい方の前記測定点寄りの位置において前記地絡事故が発生していると判断する手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5記載の地絡事故地点検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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