説明

地絡検出装置

【課題】故障診断において故障の判定精度を向上させることができる地絡検出装置を提供することを第1の目的とする。また、故障診断において、経年劣化や温度特性による判定誤差を補正することを第2の目的とする。
【解決手段】擬似絶縁抵抗低下部10により、故障診断用の抵抗R1、R2を介して高電圧電源系40と車体60とを電気的に接続することにより高電圧電源系40に擬似絶縁抵抗低下を発生させる。この擬似絶縁抵抗低下の発生時に、高電圧電源系40と抵抗R1、R2とを結ぶ配線経路12に信号出力部31から所定の信号を出力したときの応答を検出信号として信号入力部32で取得する。そして、制御部30がこの検出信号が抵抗R1、R2の抵抗値に応じて設定された正常範囲に含まれるかを判定し、検出信号が正常範囲に含まれない場合は異常であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡を検出するための地絡検出装置に関し、特に故障診断機能を備えた地絡検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、システム自体が正常に作動しているか否かを自己診断できる地絡検知システムが、例えば特許文献1で提案されている。具体的に、特許文献1では、抵抗を介してバッテリと車体とを接続することで地絡を模擬的に実施するための地絡試行回路と、バッテリに接続されたバッテリ母線に所定の矩形波を印加したときの応答電圧と基準電圧とを比較することにより地絡を検出する地絡検知器と、を備えた構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−221395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、基準電圧との比較により地絡を検出しているので、地絡検出が出来るかどうかの故障検知は可能であるが、経年劣化や温度特性の変化に伴う誤差による精度のズレの検出を行うことができず、その補正を行うこともできないという問題がある。また、1点の基準電圧での擬似地絡であり、この地絡判定値(基準電圧)の周辺の検出しかできないという問題がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、故障診断において故障の判定精度を向上させることができる地絡検出装置を提供することを第1の目的とする。また、故障診断において、経年劣化や温度特性による判定誤差を補正することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、絶縁された状態で車両に搭載される高電圧電源系(40)の地絡検出を行う地絡検出装置であって、故障診断用の抵抗(R1〜R3)を介して前記高電圧電源系(40)と前記車両の車体(60)とを電気的に接続することにより前記高電圧電源系(40)に擬似絶縁抵抗低下を発生させる擬似絶縁抵抗低下手段(10)を備えている。
【0007】
また、擬似絶縁抵抗低下の発生時に高電圧電源系(40)と抵抗(R1〜R3)とを結ぶ配線経路(12)に所定の信号を入力したときの応答を検出信号として取得すると共に、この検出信号が抵抗(R1〜R3)の抵抗値に応じて設定された正常範囲に含まれるかを判定し、検出信号が正常範囲に含まれない場合は異常であると判定する判定手段(30)を備えていることを特徴とする。
【0008】
これによると、異常を判定するための判定値が1値ではなく、正常であると言える幅を持った範囲に設定されているので、検出信号が正常範囲である設計公差範囲外であれば故障であると判定することができる。したがって、故障の判定精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、判定手段(30)は、検出信号が正常範囲に含まれる場合は、検出信号が示す値を真値として補正することを特徴とする。
【0010】
これにより、温度特性や劣化特性による誤差に対して正常範囲を補正することができる。このような補正により、故障の判定精度を向上させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、擬似絶縁抵抗低下手段(10)は、抵抗(R1〜R3)の抵抗値を変化させることにより、擬似絶縁抵抗低下を複数のパターンで実施することを特徴とする。
【0012】
これによると、抵抗(R1〜R3)の抵抗値に応じたレベルの検出信号によって故障が診断されるので、故障判定精度を向上させることができる。また、複数の検出信号が得られることからこれらを結ぶ線での故障判定が可能となるので、故障判定の信頼性を向上させることができる。
【0013】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る地絡検出装置を含んだ全体システム図である。
【図2】信号出力部および信号入力部で取り扱う信号の波形を示した図である。
【図3】故障診断の内容を表したフローチャートである。
【図4】2個の抵抗の合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)と検出信号との相関関係を示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る地絡検出装置を含んだ全体システム図である。
【図6】3個の抵抗の合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)と検出信号との相関関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る地絡検出装置は、高電圧バッテリ等の地絡を検出するための装置であり、例えばハイブリッド車等の電気自動車の高電圧電源系の地絡を検出する際に適用される。
【0017】
図1は、本実施形態に係る地絡検出装置を含んだ全体システム図である。この図に示されるように、地絡検出装置は、擬似絶縁抵抗低下部10と、抵抗20と、制御部30と、を備えて構成されている。
【0018】
擬似絶縁抵抗低下部10は、絶縁された状態で車両に搭載される高電圧電源系40(図1のHV battery)に対して、端子50を介して接続されている。高電圧電源系40は、充電可能なリチウムイオン二次電池が複数直列接続されて構成された電池群である。高電圧電源系40は例えば300V前後の高電圧を発生させ、負荷を動作させるために使用される。
【0019】
擬似絶縁抵抗低下部10は、端子50に接続されたコンデンサ11と、2個の抵抗R1および抵抗R2と、2個のスイッチSW1およびスイッチSW2と、を備えている。
【0020】
コンデンサ11は、高電圧電源系40と地絡検出装置とを絶縁する役割を果たす。コンデンサ11の一方の電極が端子50に接続され、他方の電極が抵抗20に接続されている。
【0021】
抵抗R1とスイッチSW1とが直列接続され、抵抗R1がコンデンサ11の他方の電極に接続されている。同様に、抵抗R2とスイッチSW2とが直列接続され、抵抗R2がコンデンサ11の他方の電極に接続されている。各スイッチSW1、SW2は車体60に接続されている。
【0022】
すなわち、擬似絶縁抵抗低下部10は、各スイッチSW1、SW2のいずれかがONすることにより、各抵抗R1、R2を介して高電圧電源系40と車体60とを電気的に接続して高電圧電源系40に擬似絶縁抵抗低下を発生させる構成となっている。各スイッチSW1、SW2のON/OFFは制御部30によって制御される。
【0023】
制御部30は、高電圧電源系40の地絡の判定を行うものである。制御部30は、信号出力部31および信号入力部32の他に図示しないA/D変換器およびマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を備えている。
【0024】
信号出力部31は、矩形波の電圧信号を生成および出力する回路部である。矩形波は抵抗20を介して抵抗R1および抵抗R2が接続された配線経路12に出力される。なお、この配線経路12は、高電圧電源系40と抵抗R1、R2とを結ぶ配線であり、より具体的にはコンデンサ11の他方の電極と抵抗20とを結ぶ配線である。
【0025】
図2は、信号出力部31および信号入力部32で取り扱う信号の波形を示したものである。図2(a)に示されるように、信号出力部31は矩形波を出力する。
【0026】
信号入力部32は、配線経路12からの応答を検出信号として取得する回路部である。具体的には、信号入力部32は抵抗20とコンデンサ11との間の接続点の電圧を検出信号として入力する。信号入力部32は、取得した検出信号をA/D変換器に出力する。
【0027】
図2(b)〜図2(d)は信号入力部32が入力する信号を示している。図2(b)に示されるように、擬似絶縁抵抗低下部10の各スイッチSW1、SW2がOFFの場合には信号出力部31から出力された矩形波が信号入力部32に入力される。
【0028】
A/D変換器は信号入力部32で検出された検出信号をデジタル信号に変換してマイコンに入力する。マイコンは、A/D変換器から入力した検出信号に基づいて地絡の有無を判定する制御回路である。
【0029】
また、マイコンは、A/D変換器から入力した検出信号に基づいて地絡検出の異常を判定する自己診断機能も備えている。図2(c)に示されるように、検出信号として取得された矩形波が正常範囲(設計公差範囲)に含まれる場合、マイコンは装置が機能正常であると判定する。なお、マイコンは、図示しないCPU、ROM、EEPROM、RAM等を備え、ROM等に記憶されたプログラムに従って地絡検出や自己診断を行うように設定されている。
【0030】
本発明では、検出信号が正常範囲に含まれる場合、マイコンは検出信号が示す電圧値を真値として正常範囲を補正する機能も備えている。本来であれば検出信号は常に出荷時の値を示すことが理想であるが、温度特性や劣化特性によって誤差が生じたとしても正常には変わりはないので、現在の検出信号が示す値を真値として正常範囲を補正(更新)する。
【0031】
また、マイコンは検出信号が抵抗R1、R2の抵抗値に応じて予め設定された正常範囲に含まれるかを判定する。そして、検出信号が正常範囲に含まれない場合、マイコンは異常が生じていると判定する。図2(d)に示されるように、検出信号として取得された矩形波が正常範囲から外れる場合、マイコンは装置が機能異常(故障)であると判定する。
【0032】
そして、マイコンは、擬似絶縁抵抗低下部10の各スイッチSW1、SW2を制御して抵抗R1および抵抗R2の合成抵抗値を変化させることにより、擬似絶縁抵抗低下を複数のパターンで実施する。擬似絶縁抵抗低下部10には2個のスイッチSW1、SW2が設けられているので、マイコンは3つのパターンの擬似絶縁抵抗低下を起こさせることができる。
【0033】
このように、複数のパターンで擬似絶縁抵抗低下を起こさせる場合、パターン毎に正常範囲が設定される。したがって、マイコンは、パターン毎に図2(c)に示す正常判定や図2(d)に示す異常判定を行う。
【0034】
以上が、本実施形態に係る地絡検出装置およびシステムの全体構成である。このような地絡検出装置では、信号入力部32で生成された矩形波を配線経路12に出力し、抵抗20とコンデンサ11との間の接続点の電圧を信号入力部32で取得し、この電圧に基づいて高電圧電源系40の地絡検出を行う。
【0035】
次に、地絡検出装置の故障診断の作動について、図3および図4を参照して説明する。図3は、マイコンが実行する内容を表したフローチャートである。図4は、2個の抵抗R1、R2の合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)と検出信号との相関関係を示した図である。
【0036】
ここで、抵抗R1の抵抗値を200kΩとし、抵抗R2の抵抗値を300kΩとする。これにより、スイッチSW1がONし、スイッチSW2がONしたときのパターンAの擬似地絡抵抗Rは120kΩとなる。また、スイッチSW1がONし、スイッチSW2がOFFしたときのパターンBの擬似地絡抵抗Rは200kΩとなる。さらに、スイッチSW1がOFFし、スイッチSW2がONしたときのパターンCの擬似地絡抵抗Rは300kΩとなる。
【0037】
図3に示すフローチャートは、例えば地絡検出装置の起動時や上位ECUの指令に従ってスタートする。
【0038】
まず、ステップ100では、自己診断可能か否かが判定される。ハイブリッド車等では高電圧電源系40でノイズが発生するような状況での故障診断は好ましくないためである。例えば、イグニッションオン時やスタート時等が好ましい。本ステップではこのような状況にあるか否かが判定される。
【0039】
そして、自己診断不可能であると判定されると自己診断が可能となるまでステップ100を繰り返し、自己診断可能であると判定されるとステップ110に進む。
【0040】
ステップ110では、擬似地絡発生が行われる。すなわち、マイコンにより上述の3つのパターンにスイッチSW1、SW2が制御される。これにより、各パターンでの検出信号がそれぞれ取得される。
【0041】
ステップ120では、ステップ110で取得された検出信号が示す電圧値が正常範囲内に含まれるか否かが判定される。「正常範囲」とは、設計上、この範囲内なら劣化を含めた部品公差内であると言える範囲である。この正常範囲のデータは、地絡検出装置の製造時に予めマイコンに記憶されている。
【0042】
そして、少なくとも1つのパターンで検出信号が示す電圧値がそれぞれ正常範囲内に含まれない場合はステップ130に進み、地絡検出装置の異常判定がなされる。この場合は、マイコンから上位ECU等にその報告がなされる。異常判定の場合は検出信号が示す電圧値が図4に示される正常範囲内に含まれない場合となる。こうして図3に示すフローチャートが終了する。
【0043】
なお、図4において、300kΩ以上の「安全領域」ではユーザがシステムに触れても問題ない領域であり、120kΩ以下の「危険領域」ではユーザがシステムに触れると感電する領域である。また、「中間領域」は安全と危険との間のグレーゾーンであり、ユーザはシステムに触れないほうが良い領域である。
【0044】
これに対し、ステップ120において全てのパターンで検出信号が示す電圧値が正常範囲内に含まれる場合はステップ140に進む。これは図4に示される場合である。図4では全てのパターンA、B、Cで検出信号が示す電圧値がそれぞれ正常範囲内に含まれている。
【0045】
そして、ステップ140では、補正可能か否かが判定される。補正可能か否かは、各パターンの検出信号を結んだ線が正常範囲内に位置しているか否かで判定される。図4に示されるように、出荷時に3点を結んだ線は正常範囲内に位置している。このような場合は補正可能であるとして、ステップ150に進む。なお、結ぶ点は3点でなく、2点でも良い。
【0046】
ステップ150では、補正が実施される。「補正」とは、現在の検出信号が示す電圧値を真値として補正することである。
【0047】
温度特性や経年劣化による誤差が生じると、図4のパターンAやパターンCのように検出信号が示す電圧値が出荷時の値からずれる。このようなずれが生じたとしても、本ステップにおいて真値を補正することにより、温度特性や経年劣化に伴うずれに対応することができる。こうして、図3に示すフローチャートが終了する。
【0048】
一方、ステップ140において、3点ないし2点の検出信号を結んだ線が正常範囲から外れる場合はステップ160に進む。ステップ160では、補正を実施せずに診断回路異常が上位ECU等に報告される。検出信号を結んだ線が正常範囲から外れるということは、地絡検出回路自体の特性故障もしくは、擬似絶縁抵抗低下部10の抵抗R1や抵抗R2の抵抗値にずれが生じている等の回路異常が発生していると考えられる。したがって、このような場合には真値の補正をせずに異常の報告がなされ、図3に示すフローチャートが終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、地絡検出装置の故障診断機能において、検出信号が正常範囲内に含まれていない場合は異常であると判定することが特徴となっている。このように、異常を判定するための判定値が幅を持った範囲に設定されているので、検出信号が正常範囲外であれば故障であると判定することができる。また、検出信号が正常範囲内に含まれていれば、その検出信号を真値とすることで温度特性や劣化特性による誤差に対して補正することができる。したがって、故障の判定精度を向上させることができる。
【0050】
また、擬似絶縁抵抗低下部10の各スイッチSW1、SW2の切り替えにより、抵抗R1および抵抗R2の合成抵抗値を複数のパターンに変更できるので、複数の検出信号を結ぶ線での故障判定が可能となる。このため、故障判定の信頼性を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、抵抗R1および抵抗R2が特許請求の範囲の「故障診断用の抵抗」に対応し、異常を判定するマイコンを備えた制御部30が特許請求の範囲の「判定手段」に対応する。また、擬似絶縁抵抗低下部10が特許請求の範囲の「擬似絶縁抵抗低下手段」に対応する。
【0052】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。第1実施形態では、擬似絶縁抵抗低下部10の各抵抗R1、R2は並列接続されていたが、本実施形態では直列接続されている。以下、その構成について説明する。
【0053】
図5は、本実施形態に係る地絡検出装置を含んだ全体システム図である。この図に示されるように、擬似絶縁抵抗低下部10は直列接続された3つの抵抗R1、抵抗R2、および抵抗R3と、抵抗R1に並列接続されたスイッチSW1と、抵抗R2に並列接続されたスイッチSW2と、抵抗R3に接続されたスイッチSW3と、を備えて構成されている。
【0054】
抵抗R1〜R3とスイッチSW3が直列接続されている。また、抵抗R1がコンデンサ11と抵抗20との間の接続点に接続され、スイッチSW3が車体60に接続されている。
【0055】
スイッチSW3は単体で高電圧電源系40側と車体60側とを絶縁する必要があるので、高耐圧のものが用いられる。スイッチSW1およびスイッチSW2は抵抗R1〜R3によって分圧されるので、スイッチSW3ほどの耐圧は必要ない。
【0056】
なお、スイッチSW1〜SW3は制御部30のマイコンによって制御される。また、擬似絶縁抵抗低下部10以外の他の構成は図1に示された構成と同じである。
【0057】
図6は、3個の抵抗R1〜R3の合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)と検出信号との相関関係を示した図である。本実施形態では、各抵抗R1〜R3の抵抗値をそれぞれ100kΩとする。これにより、全てのスイッチSW1〜SW3がONしたときのパターンAの擬似地絡抵抗Rは100kΩとなる。また、スイッチSW1がOFFし、スイッチSW2およびスイッチSW3がONしたときのパターンBの擬似地絡抵抗Rは200kΩとなる。さらに、スイッチSW1およびスイッチSW2がOFFし、スイッチSW3がONしたときのパターンCの擬似地絡抵抗Rは300kΩとなる。
【0058】
このように、各抵抗R1〜R3が直列接続される構成では、3個の抵抗R1〜R3の合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)を設定しやすいという利点がある。
【0059】
以上のように、擬似絶縁抵抗低下部10の各抵抗R1〜R3を直列接続した構成においても、検出信号が正常範囲内であるか否かを判定することにより、故障の判定精度を向上させることができる。
【0060】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、抵抗R1〜R3が特許請求の範囲の「故障診断用の抵抗」に対応する。
【0061】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、擬似絶縁抵抗低下部10におけるスイッチSW1〜SW3の数は2個ないし3個ではなく1個でも良い。このような場合には、図4や図6に示される危険領域の1点のみを検出する構成とすることが好ましい。
【0062】
また、擬似絶縁抵抗低下部10にコンデンサ11が備えられた構成となっているが、これは構成の一例であり、コンデンサ11は擬似絶縁抵抗低下部10に含まれていなくても良い。
【0063】
さらに、合成抵抗値(擬似地絡抵抗R)のパターンについても3つのパターンに限らない。1つのパターンを採用する構成でも良いし、4つ以上のパターンを採用する構成でも良い。
【符号の説明】
【0064】
10 擬似絶縁抵抗低下部(擬似絶縁抵抗低下手段)
12 配線経路
30 制御部(判定手段)
40 高電圧電源系
60 車体
R1〜R3 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁された状態で車両に搭載される高電圧電源系(40)の地絡検出を行う地絡検出装置であって、
故障診断用の抵抗(R1〜R3)を介して前記高電圧電源系(40)と前記車両の車体(60)とを電気的に接続することにより前記高電圧電源系(40)に擬似絶縁抵抗低下を発生させる擬似絶縁抵抗低下手段(10)と、
前記擬似絶縁抵抗低下の発生時に前記高電圧電源系(40)と前記抵抗(R1〜R3)とを結ぶ配線経路(12)に所定の信号を入力したときの応答を検出信号として取得すると共に、この検出信号が前記抵抗(R1〜R3)の抵抗値に応じて設定された正常範囲に含まれるかを判定し、前記検出信号が前記正常範囲に含まれない場合は異常であると判定する判定手段(30)と、を備えていることを特徴とする地絡検出装置。
【請求項2】
前記判定手段(30)は、前記検出信号が前記正常範囲に含まれる場合は、前記検出信号が示す値を真値として補正することを特徴とする請求項1に記載の地絡検出装置。
【請求項3】
前記擬似絶縁抵抗低下手段(10)は、前記抵抗(R1〜R3)の抵抗値を変化させることにより、前記擬似絶縁抵抗低下を複数のパターンで実施することを特徴とする請求項1または2に記載の地絡検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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