説明

均質な流動プロフィールを有する圧縮性マトリックスを備えた装置

流入ポート、流出ポート、前記流入ポートおよび前記流出ポートの間のチャンバ内に配置され、より大きな圧縮においてより高い流動抵抗を有する流体透過性圧縮性マトリックス、ならびに短距離流路および長距離流路を含む前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートまで延びる複数の流路を備える貫流チャンバを含む流体工学的デバイスであって、前記マトリックスが、少なくとも1次元に圧縮され、長距離流路よりも短距離流路に沿ってより強く圧縮される流体工学的デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、挿入されたマトリックスを含む貫流(flow through)セルを有する流体工学的デバイス(fluidic device)、流体工学的デバイスを製造するための方法および器具、前記装置を含むシステムならびにかかる装置の使用方法に関する。
【0002】
本発明による流体工学的デバイスの出願の技術分野は、固相吸着器、フィルター、固相リアクターなどのマトリックスにより異なる。該装置は改良された流体動作を有し、作製が容易である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
化学反応の実施に有用な装置により広い応用が見出された。特に化学分析、例えば血中のコレステロールのような体液の組成の測定などにおいて、さらなる分析を妨害する細胞などの組成の除去用のフリースを含む装置が一般に使用される。さらに、EP 0 738 733には、体液から核酸を分離するための装置が知られている。しかし、この装置は試料の調製および検出を統合していない。統合された装置は安全性の利点、汚染からの保護、および検出などの他の機能を組み合わせる可能性を有する。
【0004】
さらに複雑な分析には、より洗練された装置を必要とする。例えば、US 6,537,501には、微細流体の流動チャネルおよび排出物回収コンテナのようなより大きく拡張された区画を備えたカートリッジが開示される。
【0005】
JP 2004-163161には、核酸分離用のマトリックスを含む、平行な上壁および底壁を備えた、概ね平坦な区画を有する装置が開示される。その中で、何層かのフリースが区画に挿入され、均一に圧縮されて核酸の抽出性能が増加される。従って、流体の流動は不均一である。これはフリースのより低い結合能力の結果であり、より高い流体容量の必要性を有する。
【0006】
装置に使用の際の向上した頑丈さを提供することが本発明の目的であった。
【0007】
(発明の概要)
本発明の第一の目的は、
-流入ポート、
-流出ポート、および
-流体透過性で、前記流入ポートと前記流出ポートの間のチャンバ内に設置され、圧縮度(Degree of Compression)の高い値と比較して圧縮度の低い値でより高い流動抵抗(flow resistance)を有する圧縮性マトリックス、ならびに短距離(shorter length)流路および長距離(longer length)流路を備えた前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートへと続く複数の流路
を備える貫流チャンバを含む流体工学的デバイスであって、
前記マトリックスが少なくとも1次元(dimension)で不均一に圧縮され、長距離流路よりも短距離流路でより強く圧縮される、流体工学的デバイスである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、
-流入ポート、
-流出ポート、
-側壁、
-上壁と底壁の最大距離が20mm以下であり、より好ましくは5〜0.3mm、最も好ましくは0.3〜3mmである上壁および底壁、ならびに
-流体透過性で、前記流入ポートと前記流出ポートの間に設置され、より高い圧縮率でより高い流動抵抗を有する圧縮性マトリックス、短距離流路および長距離流路を備えた前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートへと続く複数の流路
を備える貫流チャンバを含む流体工学的デバイスであって、
種々の流路に沿った前記上壁と前記底壁の平均距離が前記長距離流路よりも前記短距離流路で短い、流体工学的デバイスである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、
a 前記チャンバよりも大きいサイズを有する一片(piece)の圧縮性マトリックスを作製する工程、
b 前記一片を前記装置の開口部から前記チャンバ内に挿入する工程、および
cシーリング壁によって前記開口部をカバーし、それによりマトリックスを不均一に圧縮する工程
を含む流入ポートおよび流出ポートを有する貫流チャンバを含む流体工学的デバイスの製造方法であって、前記チャンバが弱い圧縮と比べ強い圧縮でより高い流動抵抗を有する一片の圧縮性マトリックスを含み、前記圧縮性マトリックスが弱い圧縮と比較して強い圧縮でより高い流動抵抗を有する、方法である。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明により、
-マトリックス上に化合物を均一に分配するため、特に、マトリックス中を流れる流体中に存在する物質を均一に吸着または固定するため
または
-マトリックスを洗浄するため(洗浄=マトリックスの開口空間に残る流体の除去またはマトリックスの表面に吸着もしくは結合した物体の除去)
または
-流体もしくは流体中の運搬される物体とマトリックスの表面の間の反応を行なうため
または
-マトリックスの表面から物体を脱着もしくは溶解するため
または
-サイズ排除(または濾過)により物体を分離するために、
長距離流路と比較して、短距離流路でフローを減少させることが好ましいと見出された。好ましくは、体積要素(volume element)のマトリックス中にとどまる時間は、各流路について実質的に同じであるべきである。つまり、異なる流路を流れる異なる体積要素の前面が、ほぼ同時に流出ポートに達する。好ましくは貫流時間(有限の体積要素がマトリックスを通過するのに費やされる時間)は、(幾何学的に理解される)長距離流路および短距離流路に対して大きく変化しない。好ましくは、貫流時間は、全流路について、(平均貫流時間に対して)+/-20%未満、より好ましくは+/-10%、最も好ましくは0%変化する。
【0011】
本発明の第一態様は、
-流入ポート、
-流出ポート、および
-流体透過性で、前記流入ポートと前記流出ポートの間のチャンバ内に設置され、弱い圧縮率と比較して強い圧縮速度でより高い流動抵抗を有する圧縮性マトリックス、ならびに短距離流路および長距離流路を備えた前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートへと続く複数の流路
を備える貫流チャンバを含む流体工学的デバイスであり、
前記マトリックスは、少なくとも1次元で不均一に圧縮され、長距離流路よりも短距離流路で強く圧縮される。
【0012】
本発明の流体工学的デバイスは、流体を受けるためまたは/および流体を蓄積するためまたは/および化学的もしくは物理的に流体を処理するため、または/および流体を分析するために有用である。好ましくは、該流体工学的デバイスは消耗装置または使い捨て装置である。使い捨て装置とは、通常一回の使用後に廃棄される装置である。流体工学的デバイスは、流体の保持および加工などのための特定の機能を有するチャネルおよびチャンバ、物理的性質を測定するための電極、センサー、測定の実施に適したチャンバもしくはチャネル、試薬コンテナもしくは検出セル、または器具についてのインターフェイスもしくは流体工学的デバイスを操作するヒトインターフェイスなどの他の要素をさらに含み得る。
【0013】
本発明による流体工学的デバイスのサイズは、主に処理、保持または加工される流体の量で決定される。該流体工学的デバイスが他の要素を含む場合、サイズは、流体工学的デバイス内に実装される他の機能に必要な空間によっても決定される。
【0014】
好ましい態様において、マトリックスは核酸検査(遺伝子検査など)などのため、血液-血漿などの生物起源の試料から核酸を単離および精製するために使用され、マトリックス上で加工される試料の全容量は50μlであり、該マトリックスを収容する流体工学的デバイスの外容積は5mlである。
【0015】
マトリックス上で加工される総流体量は、10μl〜1000mlである。装置の体積は0.5〜1000mlであり、より好ましくはインビトロ診断応用について0.5〜50mlである。
【0016】
好ましくは、流体工学的デバイスは実質的に平坦な構造を有するが、すなわちその主要部分において該装置は50mm未満、好ましくは0.2〜15mmの厚さ、300mm未満、好ましくは10〜150mmの長さおよび幅を有する。装置の一部がより大きな厚さを必要とする場合、この部分は実質的に平坦な構造を超え得る。
【0017】
流体を受け、保持するなどのために流入口、試薬コンテナ、検出セル、機械および温度インターフェイス等の要素を補足する場合、装置は、流体もしくはそれ由来の流体を一時的または継続的に受けるかまたは/および維持する1つ以上の空洞をさらに含む本体を有し得る。好ましくは、本体内に形成される空洞は、装置内で実施されるプロセスの使用の目的に適した寸法を有する。かかる空洞の典型的な体積は、1μl〜1L、好ましくは5μl〜100ml、より好ましくは10μl〜10mlであり得る。この空洞は、該装置の種々の使用目的に適合した異なる形態を有し得る。好ましくは該空洞は、チャネルまたは/およびチャンバ等の複数の部分を備える。好ましい流体工学的デバイスは1つ以上のチャンバおよび2つ以上のチャネルを含む。
【0018】
本発明による装置のチャネルは、その広さおよび高さよりも大きな長さを有する拡張された空洞である。チャネルの長さは、該チャネルを流れる流体のメインフローが影響を受ける寸法となるように規定される。広さおよび幅はチャネルの切断面を構成する。好適に、装置、好ましくは本体中に形成されるチャネルは、10mm2未満、好ましくは0.01〜2mm2の切断面を有する。
【0019】
マトリックスを収容する本発明の流体工学的デバイス内にある貫流チャンバは、1μl〜10mlの容積を有する。好適には、流体から核酸を分離するためのチャンバは、好ましくは5〜100μlの体積を好適に有する。好ましくは、該チャンバは平坦である。本発明において平坦とは、第一の寸法におけるチャンバの最大の伸長が、第一の寸法に対して垂直な第二の寸法における前記チャンバの最小の伸長よりも少なくとも2倍、より好ましくは5倍、および最も好ましくは10倍大きいことを意味する。好ましくは、前記第二の寸法および前記第一の寸法に対して垂直な第三の寸法の伸長は、前記第一の寸法の伸長と第二の寸法の間の伸長、より好ましくは第一の寸法の伸長の0.2倍〜5倍である。これに基づいて、第一の寸法はチャンバの広さ、第二の寸法は高さ、および第三の寸法は長さである。
【0020】
かかる平坦なチャンバの実現により、該装置の最終的に作動する位置で垂直または水平に配置されるかどうかに関わらず以降上壁および底壁と呼ぶ通常二枚の大きな実質的に向かい合った壁、を有するチャンバを生じる。
【0021】
チャンバの広さは以降側壁と呼ばれるもので制限される。チャンバの広さはチャンバの長さにわたって広範囲で異なり得る。好ましくは、チャンバの広さはチャンバの開始部および末端部で最も小さく、チャンバの真ん中で最も大きい。側壁はまっすぐであり得るかまたは湾曲し得る。装置の使用の際に、不十分な核酸精製などの不十分な実施において生じ得る気体成分の残存の危険性が増加し得るため、好ましくは、側壁は鋭いへりまたは凹所を全く含まないように湾曲する。従って、上壁と底壁の距離はチャンバの高さとみなされ得る。
【0022】
好ましくは、チャンバの側壁間の最大距離とチャンバの上壁底壁間の最大距離の比は、2:1〜500:1、より好ましくは4:1〜40:1、および最も好ましくは5:1〜15:1である。
【0023】
好ましくは、マトリックスの長さ対前記マトリックスの広さの比は、20:1〜1:20、より好ましくは5:1〜1:5、および最も好ましくは2:1〜1:2である。
【0024】
好ましくは、前記チャンバの外形は、広さに対して垂直な面について相対的に左右対称である。
【0025】
好ましくは、マトリックスの形状は、丸い角、または押抜き(punching)もしくは2つの寸法および高さにおける平面の他の切断ツールなどにより容易に形作られ得る他の任意の幾何学的形状を備えた円形または長方形である。より好ましくは、円形チャンバのマトリックスの形状は円柱である。好ましくは、マトリックスを収容するチャンバは、チャンバ内でマトリックスの集合の結果流入ポートと流出ポートの間に流体のショートカット(shortcut)を生じないような、マトリックスを受ける形状を有さなければならない。
【0026】
チャンバは、完全にまたは部分的にマトリックスで満たされ得る。流入ポートおよび流出ポートの領域にはマトリックスで満たされていない部分が見られる。
【0027】
好適には、チャンバの最も小さい寸法は、100μm〜50mm、好ましくは200μm〜20mm、より好ましくは300μm〜2500μmであり得る高さであり得、一方チャンバの長さおよび広さは、500μm〜50mm、好ましくは2mm〜20mmであり得る。非常に好ましいチャンバは、3mm未満、好ましくは500μm〜2mmの高さの平坦なチャンバである。好ましくは上壁と底壁の間の最小距離は0.2〜3mmである。
【0028】
本発明による貫流チャンバは少なくとも1つの流入ポートおよび少なくとも1つの流出ポートを備える。これらのポートは、流体が前記チャンバ中で処理されてチャンバを貫流、すなわちチャンバに進入、通過および排出し得るように設計される。チャンバ中のマトリックスの効果的な使用のために、該ポートは、好ましくはチャンバと向かい合った位置に、より好ましくは上壁および底壁に対してフロー方向が並行に、流体のチャンバへの進入が可能となる位置に設置される。従って、流入ポートと流出ポートの間の距離は、好ましくはチャンバの長さである。
【0029】
チャネルは、それぞれチャンバへと続きチャンバから延びる。
【0030】
チャンバは1つより多い流入ポートまたは/および1つより多い流出ポートを有し得る。ポートが1つより多い場合、これらのポートはチャンバに関して、好ましくは左右対称に配置される。
【0031】
流入ポートおよび流出ポートの形状は、(1つ以上の)チャネルからチャンバへのおよびチャンバからのスムーズな移行を提供するように選択され得る。好ましくは、該チャネルはチャンバに届いたときに広がるので、チャネルの通常の直径よりも大きな直径を有する流入ポートまたは流出ポートを形成する。チャネルが広がることにより流体のチャンバへのスムーズな進入が改善される。
【0032】
チャンバが概ね平坦である、本発明による第一の装置を図1に示す。装置(1)は、装置(1)の側面に設置された流体導入ポート(2)および流体排出ポート(3)を含む。本体内の流入ポート(6)および流出ポート(7)を通過しチャンバ(8)内を通る2つのチャネル(4)および(5)が装置の外側から延びる。従って、流体ポートは、装置の平坦な面から貫通し得る。
【0033】
上記のことから理解できるように、流入ポートを通ってチャンバに導入された流体は、チャンバのマトリックスを貫流して流出ポートに到達し、チャンバを出る複数の理論上の可能性を有し得る。流入口からチャンバを通過して流出口へと続く理論上の通路を、以下流路と呼ぶ。これらの流路は流体の流路である。最も短距離流路は、一般にチャンバの長さと同じ長さであり得る。これらの流路のいくつかは、最も短距離流路からの距離に依存して長くなる。流路は最も短距離流路から離れるほど長くなる。例えば、側壁に沿った流路は非常に長くなり得、チャンバを通過する最も長距離流路にもなり得る。
【0034】
図1に、チャンバを通る流路の配置を模式的に示す。図は上壁および底壁に対して平行な、チャンバを通る断面図を示す。側壁(9)、長距離流路(10)短距離流路(11)を示す。
【0035】
都合のよいことには、装置の本体は少なくとも一つの比較的硬いポリマーで作られる。好ましくは、本発明による本体用のポリマーは、熱可塑性物質、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレートからなる群より選択される。さらに好ましくは、本体は、上記のものを融点を超えてで加熱することで液化し得る物質および溶解した状態で型に導入されて本体またはその一部の特定の形態を表し得る物質で作られることが仮定される。
【0036】
一片のマトリックスがチャンバ中に設置される。マトリックス用の物質は、マトリックスの特定の意図される使用に依存する。例えば、固相上での流体からの成分の精製のために、マトリックスは成分に結合し得、好ましくは変化する条件下で固相から成分を解離することもできる物質から選択され得る。本発明による適切なマトリックスは多孔質物質、即ち流体透過性である。好ましいマトリックスは繊維製のフリースの群より選択され、例えばDNAの単離および精製用の好ましいマトリックスはガラス繊維フリースである。応用の分野により、マトリックスの物質は、焼結多孔質プラスチック、セルロース繊維、ガラス繊維またはポリマー繊維から選択される。該物質は、イオン交換体などの物の等級を選択吸着/解離する性質を有し得るか、試薬の担体であり得るか、またはふるい分けマトリックスであり得る。
【0037】
該マトリックスは、流体を流入ポートでチャンバ内に進入させるため、および流体をチャンバから流出ポートへと通過させてマトリックスを貫流させるために、流入ポートと流出ポートの間に設置される。マトリックスは、チャンバの切断面を少なくとも一度完全に覆うようにチャンバ内に設置され得る。チャンバの流入口と流出口の間に設置される少なくとも1つの切断面の完全な覆いは、少なくとも一片のマトリックスも通過することなく、チャンバを通過する実質的なフローが存在しないことを保証する。この文脈における実質的なとは、マトリックスを貫流する流体の95%より多くのフローのことである。チャンバ中のマトリックスの圧縮は、マトリックスの性質に依存する(高度に圧縮性、例えば特定のガラス繊維フリースであり、圧縮されていない体積の35%まで体積が圧縮され得るマトリックスが好ましい)。
【0038】
本発明の本質的な特徴は、マトリックスが流体透過性であり圧縮性であることである。このマトリックスは、一片のマトリックスの外形で規定される外体積(Outer Volume)(ここで「シェル体積」ともいう)を有する。透過性とは、差異的な圧力または重力をかけることで流体がマトリックスを貫流することを意味する。
【0039】
マトリックスに圧力をかけることで、即ちマトリックスの表面に対して表面を押すことで外体積が減少する場合、本発明の意味においてマトリックスは圧縮性である。かかる行動でマトリックスの外体積はある程度減少し得る。本発明に従って、マトリックスの圧縮度DC(%で表すと)は、圧縮した状態の外体積を圧縮していない外体積で割り、100をかけることで規定される。
【0040】
一片のマトリックスの外体積は、公知の手段により、例えば一片のマトリックスの外部寸法を測定することにより、圧縮していない状態で測定され得る。圧縮した状態の一片のマトリックスの外体積は、圧縮している場合以外は、同じ方法で測定され得る。一片のマトリックスの内体積は、公知の手段により、例えば一片のマトリックスに最大限に入り得る流体の量を測定することにより、測定され得る。
【0041】
好ましくは一片のマトリックスがチャンバの内部形状に似ている場合、マトリックスの好ましい形状は圧縮していない状態で平坦である。最終的な集合体において圧縮が好ましいような寸法では、マトリックスは、好ましくは集合の際に圧縮される以前の、より大きな形状を有し得る。
【0042】
本発明について、マトリックスは均一であると見なされ、流路は、微細構造の乱れを考慮せずに、肉眼で見える流路であり得る。実際には、流体要素は、ここで議論するよりもかなり複雑な方法でマトリックスを通過し得る。流体要素用のフリースの微細構造に関して、より複雑な移動、例えば種々の直径の孔の貫流、または単一の繊維フリースの周囲のフロー(flowing around)などかなり複雑な移動を観察することができる。実際は、流体は、均一な流動抵抗を用いて理論的な経路からはずれ、理論的な経路上にある任意の繊維を迂回し得、繊維を通過した後に理論的な経路に戻り得る。
【0043】
本発明の核心は、チャンバ中のマトリックスが、該チャンバを通過する異なる流路上で不均一に圧縮されることである。これは、前記チャンバ中の異なる位置で圧縮度(以下DCと略すこともある)が異なることを意味する。比較される位置における圧縮度の範囲(以下SDCと略すこともある)は、比較される位置での圧縮度の最高値(以下HDCと略すこともある)を圧縮度の最低値(以下LDCと略すこともある)で引いて規定される。HDCは、圧縮されない状態のマトリックスのDCであり得、LDCはHDCと完全に圧縮されたマトリックスの間、即ち任意の有意な内体積(Inner Volume)を実質的に有さないマトリックスであり得る。本明細書で使用する場合、強い圧縮とは低いDC値を意味し、弱い圧縮とは高いDC値を意味する。
【0044】
本発明による典型的なDC値は、100%以下(圧縮されない)、好ましくは100〜10%、より好ましくは95〜20%であり、最も好ましくは90〜25%である。本発明の典型的な圧縮度の範囲(SDC)は5%より大きく、好ましくは5〜70%であり、最も好ましくは5〜50%である。
【0045】
不均一な長さの流路を有するマトリックスの均一な圧縮において、流路を進む体積要素の不均一な貫流時間が観察される。マトリックスの適切な不均一圧縮により、種々の流路を進む体積要素の貫流時間は、少なくともある程度均一化され得る。理論的には、全ての流路は、均一化後には同じ貫流時間を有する。一般的には、マトリックスの圧縮による流動抵抗の適応調節により前もってなされる貫流時間の部分的な均一化は、上述のような利点をもたらす。
【0046】
種々の経路上のDCの局所的な分布は、多くの様式で異なり得る。
【0047】
流路に沿って平均されたDCは、用語、平均圧縮度(以下ADCともいう)として規定される。
【0048】
一般的に、長距離流路および短距離流路の貫流時間の少なくとも部分的な均一化を達成するために、長距離流路のADC値は短距離流路のADC値よりも大きく維持される(弱く圧縮される)。
【0049】
均一なマトリックス圧縮による均一な貫流時間は、均一な長さのフロー通路が備えられた設計でのみ、別の方法で達成され得る。例示のように、2つの対面する壁上に流入口および流出口を有する立方体型のマトリックスを想像することができる。かかる装置が想像され得るが、いくつかの不利な点を有し得る。主要な不利な点は、主に、有意な流体ショートカットを有さないという確実な局面を実現するためのその確実な生産である。従って、均一でない長さの流路を有する設計は、主に確実な生産および生産においてかかる困難性を回避すること(例えば丸い形状のマトリックスを用いて)を考慮すると、設計に補足的な程度の自由度を提供し得る。
【0050】
本発明により、マトリックスのDCは装置の少なくとも一部分で異なる。従って、前記流路上のかかる位置でのDCは、ADCとは異なり得、即ちDCおよび別の位置でのDCよりも小さくまたは大きくなり得る。DCは100%(圧縮されない)から変化し得、その最大の圧縮(マトリックスの性質およびかけられる圧力、例えばガラスフリースではDC=30%までで規定される)に達し得る。しかしながら、DCはそれ程に低くはなり得ないので、フローは全体的に阻害される。好ましくは、低いADC(流路全体で平均される)を有する流路は、短距離流路であり得る。従って、本発明から、長距離流路と比較して、短距離流路がその流路上にLDCの位置を有するということは除外されない。しかしながらこの場合、短距離流路のADCは長距離流路のADCよりも低くなり得る。さらに、処理の結果が実質的に影響を受けないならば、当業者は、本発明により予想されるように、より低いDCを有するという優れた特徴を有さない少量の長距離流路を使用するというリスクをとり得る。かかる態様は本発明の範囲から逸脱しないはずである。
【0051】
本発明の第二の態様において、より均一なフローを達成するために、本発明に使用されるマトリックスは、より強い圧縮、即ちより低いDCでより高い流動抵抗を有する。このことはマトリックスが圧縮される場合に流動抵抗が増加することを意味する。このことは、異なる圧縮度について(圧縮された状態でマトリックスの高さが小さくなるにつれて、圧縮後の圧縮度(DC)が低くなり、流動抵抗が高くなる)流動抵抗が示される(一定の圧力で反比例的なフロー速度が表される)ように、図2からも明らかである。
【0052】
従って、本発明の第一の態様において、マトリックスは、少なくとも1次元におけるマトリックスの少なくとも一部分で不均一に圧縮され、長距離流路よりも短距離流路に沿って平均してより強く圧縮される。
【0053】
上記の原則に従い、圧縮されない状態のチャンバの高さ、圧縮プロフィールおよびマトリックスの高さを改変し、特定の使用またはアッセイの必要性に従ったフロー特性を有する装置を設計し得る。チャンバの特定の位置で規定されるDCはいくつかの手段により達成され得る。通常、高すぎる(to)フロー速度が見られる部分に高い圧縮がかけられる。最適な設計(フロー)を達成するための簡便な方法は反復の設計工程による。高すぎるフロー速度が見られる領域を連続的に圧縮する。高すぎるフロー速度の部分は、低いDC値を生じる部分において、チャンバの高さを下げることで低いフロー速度に校正され得るので、これらの部分の流動抵抗が上昇する。これらの領域の高さを大きくして非常に低いフロー速度が見られる領域を連続的に減圧することにより流動抵抗は低下するので、これらの領域を通過する貫流時間が低下する。
【0054】
本発明の文脈において、流動抵抗とは、流体の体積要素が流路上のマトリックスを通過する際にマトリックスによりかけられる抵抗である。
【0055】
本発明の別の態様は、貫流チャンバ、流入ポート、流出ポート、側壁、上壁と低壁の間の最大距離が20mm以下である上壁および底壁を備える前記チャンバ、流体透過性で、圧縮性の前記流入ポートおよび前記流出ポートの間に設置される圧縮性マトリックス、ならびに短距離流路および長距離流路を含む前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートまで延びる(lead)複数の流路を含む貫流装置であって、前記上壁と前記低壁の間の種々の流路に沿った平均距離が前記長距離流路よりも前記短距離流路について小さい貫流装置である。
【0056】
チャンバの上壁と底壁の間の最大距離は、より好ましくは0.3〜5mmであり、最も好ましくは0.3〜3mmである。本発明のこの態様は、長距離流路の位置と比較して、短距離流路の位置でのチャンバの高さを低くして、前記流路中の流動抵抗を高めるためにマトリックスを圧縮するための測定に関する。
【0057】
好ましくは、チャンバの高さまたは上壁底壁間の距離は、前記チャンバの最も大きな高さの100%〜20%で変化する。このことは、チャンバの高さを、チャンバの最大高さの80%まで低くすることを意味する。短距離流路に沿って測定される平均高さは、通常、長距離流路に沿って測定される平均高さよりも小さい。
【0058】
本発明のより一般的な意味において、好ましくは、マトリックスは、フロー方向に直行する少なくとも1つの寸法において前記チャンバ中で不均一に圧縮される。
【0059】
本発明の単純な様式においては、流体工学的デバイスは前述の部分のみを含み得るが、最終的な装置は、好ましくはいくつかの要素の複合物である。このことは、それが別々に製造され、順次組立てられる2つ以上の部分からなることを意味するが、該装置の一部分は空洞、より好ましくは前述のチャンバを備える本体である。(1つ以上の)チャンバまたは/およびチャネルは別々の部分に含まれ得る。化学分析に適した空洞を備える本体を1つの部材で製造することは困難であることが立証されているので、該装置は、2つ以上の部分で作られており、これらを組み合わせて1つ以上の空洞を作製することが好ましい。
【0060】
非常に好ましい態様において、該装置は、周囲に対して開放された1つの面を有するチャネルおよび/または溝を有する「本体」と呼ばれる第一の要素を備える。好ましくは、本体は硬く、該装置の製造および使用の工程を通して空洞の形状を維持するために、装置に剛性または硬さをもたらす。「シーリング壁」と呼ばれる第二の要素は、前記溝または/およびチャネルの開放された面を密封するために使用される要素である。シーリング壁は任意の物質であり得るが、一般に、マトリックスを含むチャンバの周囲の流体系をぴったりと閉じなければならない。適切な物質は当業者に公知である。
【0061】
流体工学的デバイスの組立ての際に、マトリックスをチャンバ内に押し込むための圧力がかけられる。これはマトリックスの全体表面上のシーリング壁を、本体の溝の周辺に押し付けることで容易になされる。第二の要素を第一の要素に接触、装着またはシーリングすることで、最終的な装置の空洞の形状が固定される。さらにマトリックスはチャンバ内に固定され、圧縮される。
【0062】
好ましくは補足的に、マトリックスはまた、第二の寸法、即ち装置の長さおよび/または広さ(breath)において圧縮される。この補足的な圧縮は、マトリックス以外のチャンバでの処理の結果に関係のあるフロー流体ショートカットのリスクを減少させ、流体のほとんどにマトリックスを通過させ、バイパスを通って進行させないという利点を有する。この効果について、製造の好ましい形態を以下に開示し得る。
【0063】
熱シールホイルは一般的に数種の物質の複合物であり、シーリングと向かい合った層は本体をシールし得る。ポリプロピレン本体に接合されるのに適した典型的なホイルは、アルミニウムまたはポリエステルおよびポリプロピレンの混成の層を有する。かかるシーリングホイルは公知であり市販されている。シーリング壁がホイルである場合、ホイルは好ましくは20〜1000μm、より好ましくは50〜250μmの厚さである。
【0064】
アルミホイルのような熱伝導性の壁または発熱体が、シーリング壁または本体のいずれかに組み込まれ得る。熱伝導性の壁は、装置に含まれる流体を加熱または/および冷却するために使用され得る。
【0065】
上記のことから明らかとなるように、チャンバの種々の寸法において、溝の形態により装置の最終的なチャンバの形状が決定され得る。例えば、溝を閉じるために平坦なシーリング壁が使用される場合、本体の周辺の領域と比較して、溝の深さは、完全にチャンバの高さを規定するために使用され得る。溝の幅は完全にチャンバの広さに類似しており、溝の長さはチャンバの長さに類似している。マトリックスを圧縮するために、溝の深さは圧縮されていない状態のマトリックスの高さよりも小さい。溝の特定の位置での深さが大きくなるほど、チャンバのそれぞれの位置でDCは高くなる。明らかに、チャンバの最終的な高さが、本体ではない装置の一部、例えば開口部を閉じるシーリング壁によって低くなる場合、マトリックスを圧縮するために前記部分の任意の突出部が使用され得る。従って、チャンバの高さは、チャンバを規定する1つまたは他の部分または両方の部分(またはさらに多く)によって規定され得る。
【0066】
該装置は、該装置の意図される目的に有用であり得るさらなる要素を含み得る。
【0067】
流体を本体の空洞に導入するまたは/および空洞から除去するために、本発明による装置は、装置の空洞への、および装置の空洞からの流体の導入または除去を可能にする1つ以上の流体ポートを有し得る。
【0068】
別の態様において、電極は、本体またはシーリング壁内に組み込まれ得る。電極は、デバイス内に含まれる流体の電気化学的状態を測定するため、またはデバイス内で電気化学的反応を開始させるために使用され得る。この場合、デバイスは電気回路への適切な連結性を有する。
【0069】
デバイスは、さらなる流体的またはミクロ流体的機能を有し得る。該機能は、一般的に空洞内で流体を物理的に処理するための機能であることが知られている。該機能は、例えば、流体の混合、分割または併合のための、壁および表面を含む取り付け具(fitting)などの静的部材であり得る。
【0070】
空洞によって提供され得る他の機能は光学的機能である。この理由のため、前記空洞の周囲の本体、好ましくはチャンバには、光学的な窓(波長に対して少なくとも一部透過を可能にする)が組み込まれ、例えば、空洞からデバイスの外側への光の進入または/および逸脱が可能なように透明である。好ましくは、空洞は、流体中に含有される成分の確実な検出に充分な量の流体の収集を可能にする寸法を有する。空洞の別の機能は、流体と反応する物質を受容することであり得る。かかる物質は、空洞の別の部分またはチャンバ内にさえある可溶性もしくは不溶性の試薬またはその組合せまたは両方の群から選択され得る。可溶性試薬は、試料の溶解を補助する、試料もしくはこれに由来する液体中に含有される核酸を増幅する、または測定される試料中の成分と反応した場合シグナルを提供する試薬であり得る。不溶性の試薬は、流体またはこれに由来する化合物の成分を固定化するように設計された固体であり得る。可溶性試薬は、かかる固体の表面上に沈着され得、通過する流体中にいくぶん速く一部または完全に溶解される。適切な物質は核酸試料調製の当業者に公知である。
【0071】
流体は、試料、試薬、希釈剤もしくは処理流体またはその組合せまたはこれらに由来する流体であり得る。好ましくは、流体は液体である。より好ましくは、液体は水溶液である。
【0072】
典型的な試料は、河川の水もしくは土壌から抽出された液体などの環境液体、植物もしくは果実由来の果汁もしくはエキスなどの食物液体、または血液、尿、脳脊髄液、粘液もしくはリンパ液などの動物もしくはヒト身体から得られる液体または血清もしくは血漿などのこれらに由来する液体、または精製抗体もしくは核酸を含有する液体などの前述の液体から単離された成分を含有する液体の群から選択される液体である。典型的な試薬は、試料の解析が妨害されないように核酸が含まれないことが必要とされる、他の流体の解析ための使用が意図される試薬などの溶媒中の化合物の溶液である。
【0073】
本発明は、試料からの核酸の分離方法に特に有用である。核酸分離は、一般的に、核酸の測定方法に適用される。かかる方法は、しばしば、核酸を修飾または/および増幅するために酵素的プロセスを使用する。酵素活性は、核酸以外の試料の構成成分、例えば、酵素活性の阻害剤として作用する成分によって頻繁に影響される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、EP 0 200 362)を行なう前に、ポリメラーゼ阻害剤を、通常、核酸から除去する。
【0074】
診断デバイスにおいて、液体は、解析で測定される成分を含有し得る。かかる液体は、デバイス内で行なわれる化学反応のための液体または試薬の成分の解析に有用なさらなる成分をさらに含有し得る。該試薬は、標識された結合パートナー、例えば、標識されたオリゴヌクレオチドプローブまたは染料を含み得る。
【0075】
本発明のさらなる主題は、流入ポートおよび流出ポートを有する貫流チャンバを備え、前記チャンバが一片の圧縮性マトリックスを含む診断用貫流デバイスの製造方法であって、
a チャンバの大きさより大きい大きさを有する一片の圧縮性マトリックスを作製する工程、および
b 前記デバイスの開口部を介して前記一片を前記チャンバ内に挿入する工程、および
c シーリング壁によって前記開口部を覆い、それによりマトリックスを圧縮する工程
を含む方法である。
【0076】
本発明によるデバイスは、いくつかの代替的な様式で製造され得る。異なる位置でマトリックスの高さが異なる上記したデバイスの第1の態様に特に有用な第1の様式において、前記チャンバの大きさよりも高さが大きい大きさを有する前記一片の圧縮性マトリックスが作製され、前記一片は前記チャンバの開口部を介して前記チャンバ内に挿入され、前記開口部はシーリング壁によって覆われ、それによりマトリックスがチャンバ内に固定され、圧縮される。
【0077】
チャンバの開口部は、それを介してマトリックスがチャンバ内に導入され得るチャンバの開放面であると理解されたい。これは、チャンバの全面に採用され得、その結果、内部にマトリックスが導入されるデバイスの部分は溝の形態を有する。マトリックスより小さいチャンバの開口部に適合するように最終状態より大きくマトリックスを介在して圧縮することは、本発明の精神に充分含まれる。
【0078】
一片のマトリックスは、当該技術分野で知られた方法に従って作製され得る。しかしながら、本発明により、大きくて平坦で均一な一片からフリースまたはバーなどの一片を押抜くことによって確実な質および量でかかるマトリックスを作製することが非常に便利であることがわかった。押抜き器は、手動の介在なしで、作製の場所からデバイスに押抜かれた一片のマトリックスを移動させ、該一片を圧縮状態でデバイスのチャンバ内に配置するためにも使用され得るように設計される。この目的のため、より大きな一片から押抜かれた一片のマトリックスは、チャンバのそれぞれの寸法の広がり(extension)よりも大きい。好ましくは、該一片はチャンバよりも、適合する必要のある寸法において100%まで、より好ましくは5〜50%、最も好ましくは10〜40%大きい。高さ寸法では、マトリックスの広がりは、より大きな一片の厚さ/高さによって容易に規定され得る。この作製方法は、かかるデバイス大量生産に実に有用である。
【0079】
本体およびシーリング壁の2つの部分は、公知の方法によって連結され得る。シーリング壁が薄層であり、硬質本体がポリマー、例えばポリスチレンで作製されている好ましい態様では、2つの部分は、溶接、例えば、レーザー溶接、超音波溶接、熱シールまたは接着によって結合され、次いでシールされ得る。
【0080】
連結方法、本体の材料およびシーリング壁の材料は、互いに適合するように選択されなければならない。例えば、連結方法がレーザー溶接の場合は、本体およびシーリング壁の材料塊は同じ物質(例えば、ポリプロピレン)であるが、2つの物質のうち一方は、レーザーエネルギーの吸収を有するように染色される。連結方法が超音波溶接の場合、両方の物質は典型的には同じである。連結方法が熱シールの場合、シーリング壁は、本体に熱シールされるように適合された熱シール可能なホイルである。
【0081】
例示的な方法を、以下に図7を参照して記載する。第1の工程(マトリックスの押抜き)では、製造される一片のマトリックスの周長と同程度の大きさの円形のナイフエッジを有する押抜き手段(16)を、物質のフリース(12) に対して押し付ける。一片のマトリックスに押し付けて切り出すことにより、一片のマトリックス(21)が押抜き器の中心の空洞内に入り、その内部に残る。
【0082】
マトリックスは、ある手段によってデバイス組み立ての場所に移される。該手段は、第1の工程で使用したものと同じ手段、例えば、押抜き手段であり得るか、または異なり得る。
【0083】
第2の工程(空洞への押抜かれたマトリックスの移送)では、ナイフエッジの周長から溝(20)の周長に向かって斜面形状を有する漏斗(funnel)(19)を、溝(20)に広がる押抜き手段の末端に付加し、押抜き器からデバイスの本体(15)への誘導を与える。プランジャー(18)は、漏斗を介して溝内に一片のマトリックスを移動させ、それによりマトリックスを圧縮して溝の幅および長さに適合させるために使用され得る。
【0084】
第3の工程(デバイスの閉鎖)では、マトリックス(21)を溝に残したまま、押抜き手段(18)を本体から除く。次いで、プランジャーがマトリックスから除かれ得る。
【0085】
最後に、ヒートシール可能なホイル(14)を本体(15)の上側表面上にシールし、それにより開口部を閉鎖してマトリックスを圧縮してチャンバの高さにする。
【0086】
これらの工程および図7は、溝内の隆起部(protrusion)が明白に示されていないデバイスの製造方法を示すが、上記の記載から、該方法は、隆起部を有する溝でも同様に有用であり、その結果、マトリックスは、隆起部の位置においてより圧縮されることが明らかである。
【0087】
この方法は、平坦チャンバを備えるデバイスの製造に特に有用であり、この場合、マトリックスが導入される開口部は前記チャンバの平坦側面上に位置し、例えば、この場合、上壁は開放されている。
【0088】
本発明の別の主題は、したがって、
- マトリックスの前記一片を得るために圧縮性マトリックスの広大な一片から圧縮性マトリックスの一片を押抜く手段
- 前記デバイスの開口部を介して押抜き手段からチャンバ内に、マトリックスの押抜かれた一片を移動させる手段
- 一片の圧縮性マトリックスを受けるチャンバを有する診断用(diagnostics)貫流デバイスを、前記移動手段に接近可能となるように位置決めする手段、および
- 圧縮性マトリックスの前記一片が、圧縮されているとき、前記チャンバ内に誘導する手段
を備える貫流チャンバ内に一片の圧縮性マトリックスを含む貫流デバイスを製造するための器械である。
【0089】
この器械は、本発明によるデバイスを製造するためだけでなく、横方向の圧縮を有するすべてのデバイスためにも使用され得る。好ましくは、これは、チャンバの水平方向の圧縮をもたらすことに加えて使用され得る。好ましくは、該器械は、好ましくはマトリックスを水平方向に圧縮したまま、チャンバの開口部をシールする手段を備える。
【0090】
本発明の別の主題は、
- 流体輸送モジュールを有する器械、および
- 本発明によるデバイス
を備える流体の解析のためのシステムである。
【0091】
流体の解析のための器械は一般的に公知である。該器械としては、解析に一般的に必要とされるモジュールが挙げられる。かかる器械のための好ましいモジュールは、液体の光学的特性または光学的特性の変化を測定するための光学器械、第1の位置から1つ以上の他の位置に液体を移動するための機械、ならびに流体をチューブ、槽もしくは試薬容器に分配または/およびこれらから吸引するための液体操作モジュールである。本発明によるシステムは、流体を本発明によるデバイスに分配する、または/および液体をデバイスから除去するための流体輸送モジュールを使用する。例えば、デバイスへの流体の適用は、圧力下で流体をデバイスに適用し、流体をデバイス内に押し込むこと、または流体がデバイス内に吸引されるように空洞に陰圧をかけることのいずれかにより行なわれ得、流体の除去またはデバイスから外側への輸送は、例えば、第1の流体ポートを介して液体もしくは気体などの流体をポンピングすることにより空洞に圧力をかけること、または流体ポートを介して流体が吸引されるように空洞に陰圧をかけることのいずれかによって達成され得る。
【0092】
非常に好ましい使用において、該器械は、解析を行なう補助手段、例えば加熱部材をさらに含む。この加熱部材は、ある位置でデバイスと接触するように配置され、ここで、好ましくは流体がデバイス内の空洞に含まれる場合、デバイス内で流体を加熱するために熱が使用され得る。加熱部材を備える器械の一例はサーモサイクラーである。サーモサイクラーは、一般的に、流体に異なる温度プロフィールを反復様式で適用することが公知である。例示的なサーモサイクラーはEP 236 069に記載されている。好ましい加熱部材はペルティエ素子または抵抗加熱部材である。
【0093】
デバイスで行なわれるプロセス中の液体の性質または性質の変化の検出を行なうため、器械は検出モジュールをさらに備え得る。適切な検出モジュールは一般的に公知であり、デバイス内に液体が存在中に行なわれる性質または性質の変化の種類に依存する。例えば、性質が光学的シグナル、例えば蛍光シグナルの変化である場合、検出モジュールは、デバイス、好ましくは該デバイス内のチャンバを照射し得るように器械内に配置される光源、およびデバイス内に含まれる液体からの光照射を受け、電気シグナルを評価ユニットに伝達するための光照射受容ユニット、好ましくは光感受性セルを含む。
【0094】
デバイスで行なわれるプロセスが、該デバイスにおいて器械の電気回路への電極または加熱ホイルなどのデバイスの部品の連結性を必要とする場合、かかる連結器は、好ましくは、器械上において、デバイスが器械内に挿入されると、器械上の連結器がデバイス上のその対応部分に連結されるような位置する位置に提供される。
【0095】
好ましくは、本発明によるシステムは、さらに、流体容器(例えば、廃物収集用)または/および1つ以上の試薬容器を備える。
【0096】
本発明のさらなる主題は、流体からの前記流体の成分の単離のための方法における本発明によるデバイスの使用である。
【0097】
本発明の別の主題は、例えば、インビトロ診断用試験における試料の解析のための本発明によるデバイスの使用である。
【0098】
かかる使用のため、流体、好ましくは、解析される試料または/および試薬は、好ましくは、デバイスのチャネル内に導入され、チャンバに誘導される。流体を、チャンバの流入ポートに達するまで強制的にチャネルに通す。そこで、流体はチャンバ内に進入する。マトリックスがチャンバを完全に満たす場合、流体はマトリックスに進入する。流入ポートの寸法に応じて、マトリックスは、制限された、またはより広い接触面で進入され、マトリックスを介して流路に均一に進入するように分布され得る。例えば、異なる経路の異なる圧縮度によってもたらされるマトリックス内の流動抵抗プロフィールにより、流体は、マトリックスを実質的に均一に貫流し、流体からマトリックスへの成分の結合に関して類似した条件がもたらされる。例えば、不均一な圧縮のない従来技術の方法では、流体の大部分は、流入ポートを流出ポートと直接連結する流路を通過した。これは、この経路において、マトリックスの結合能力が急速に消耗され、その結果、それ以上成分が結合され得ず、結合しなかった成分でさえも流出ポートを介してチャネルへとマトリックスを抜け、廃物として廃棄され得るか、またはチャンバへと誘導され、そこで、さらなる処理工程の性能を妨げ得るという結果を有した。
【0099】
所望により、マトリックスに結合した成分は、汚染物質からさらに精製するために洗浄され得る、または/およびマトリックスから、該マトリックスまたは/およびチャンバまたは/およびデバイスから除去される流体に溶出され得る。得られた流体は、デバイスの内部または外部で精製または修飾成分のさらなる処理に供され得る。
【0100】
したがって、成分が流体によってマトリックスから溶出される場合、短いほうの流路からより早くチャンバを抜け、長いほうの経路ではずっと遅くマトリックスから溶出され得、マトリックス上に留まることさえあり得る。これは、溶出収率の低下と関連し、望ましくない。本発明では、この望ましくない効果が低減され得る。
【0101】
特に好ましい態様において、溶出された流体は、マトリックスを含む第1のチャンバの流出ポートのチャネル開始部を介して、流体に含まれる成分がさらなる処理、例えば、核酸の増幅、および増幅された核酸の検出などのさらなる工程にさえ供される別のチャンバに移される。所望により、試薬は、解析を補助するために流体に添加され得る。さらなる処理のための種々の方法が当該技術分野で公知である。
【0102】
例えば、検出は、第2のチャンバ内の流体を、流体中の成分または試薬の1つが測定可能な吸収を有する波長の光で照射することにより、第2のチャンバにおいて開始され得る。チャンバを出て行く光の例えば蛍光による測定は、流体の吸光度もしくは流体の吸光度の任意の変化を経時的に測定するため、または標準流体と比較するために使用され得る。
【0103】
この解析方法の非常に好ましい態様において、解析される流体の成分は、流体中に含まれることが疑われる核酸、例えば、C型肝炎ウイルスのゲノムの一部である。その場合、解析のための試薬は、前記核酸の特定の断片の増幅のためのプライマーおよび増幅された断片への結合のためのプローブを含む。かかる反応の非常に好ましい態様は、EP 543 942に開示されている。チャンバ内に含まれる液体にサーモサイクルを適用するため、使用される器械は、チャンバの内容物を、核酸を増幅するのに必要とされるプロフィールの温度に導くための併合加熱/冷却ブロックを含む。
【0104】
本発明によるデバイスの利点は、チャンバ内の流体の処理が、より確実で、完全であること、例えば、流体またはマトリックスの成分の結合および溶出がより完全で均一であることである。特に、洗浄溶液などの結合成分の処理のための少量の試薬が、マトリックスに結合させる流体の成分の良好な処理、例えば、精製に必要とされる。少量の溶出バッファー中への溶出が可能である。別の観点において、本発明は、該処理に関連するショートカットの減少を可能にし、これにより上記の利点がもたらされる。このデバイスは、かかるデバイスを含むより良好なシステム、方法および使用を可能にする。
【実施例】
【0105】
実施例1
チャンバの高さの関数としての流動抵抗の測定のためのデバイスの作製
分子診断目的のための核酸の単離用の流体工学的デバイスを以下のようにして作製した。
【0106】
2mm×20mm×40mmの直平行六面体形態を有する本体は、平坦側面の1つに4.8mmの直径の円形の溝、および1〜0.64mmの種々の深さを有する。典型的な設計を図6に示す。可変的に与えられた流動抵抗(flow-resistance)は100%〜160%であった。流動抵抗は、チャンバの高さによって調整した。挿入されたマトリックスの性質に応じて(図2)、100%流動抵抗=1mm 高さ、および160%流動抵抗=0.64mm高さ(中間流動抵抗が挿入される)であった。
【0107】
400μmの深さおよび400μmの幅を有するチャネルは、溝の長側面に互いから伸びており、したがって流入ポートおよび流出ポートを形成する。チャネルおよびチャンバの形態を図1に概略的に示す。
【0108】
流体工学的デバイスをポリプロピレンから射出成形によって作製した。
【0109】
ガラス繊維のフリース(200g/m2)を、フリースから5.0mmの直径で押抜いた圧縮されていない厚み1.8〜2.2mmで溝に導入した(図7参照)。
【0110】
熱シールラミネートホイル(110ミクロンアルミニウム上に30ミクロンPP、Alcan、Switzerlandから市販)を、溝を含む本体の全面に高温シールし、したがって、チャンバをフリースで覆い、その内部に押し込んだ。
【0111】
実施例2
チャンバの高さの関数としての流動抵抗の測定
流動抵抗を、実施例1で作製したデバイスにおいて一定の微分(differential)定数で通過する流速を測定することにより測定した。結果を図2に示す。Y軸は100で割ったDCを示し、X軸は、%での流動抵抗を示す。1.00(100%)のDCは、100%の流動抵抗に相当する。
【0112】
実施例3
本発明によるデバイスおよび流動均一性の測定
デバイスは実施例1に記載のようにして作製するが、溝(20)は、図3の断面図に示すように、溝の中央に最大0.7mmの隆起部(13)を有した。
【0113】
従来技術(圧縮なし)によるデバイス内の流動均一性を図4に示す。流動のほとんどは6〜10mm/秒であることがわかる。
【0114】
本発明によるデバイス内の流動均一性を図5に示す。ここでは、従来技術と同じ領域が6〜8mm/秒の流動を有していること、すなわち、均一性がずっと高いことは明らかであり、これは、マトリックス内の同様の流動領域が、従来技術デバイスよりも広い領域に分布されていることを意味する。
【0115】
上記のことに基づき、圧縮の改良のためのモデルを作製し(上側の列で規定される圧縮)、得られた流動均一性/流動抵抗(下側の列)を計算した。結果を図6に示す。左側のモデルは、圧縮なし(DCは100%であり、SDCは0%である)の従来技術モデルである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、流体が流入ポートから流出ポートへと流れ得る円形のチャンバおよびその中に存在し得る流路を有する装置を模式的に示す。
【図2】図2は、圧縮度と流動抵抗の関係を提供する表を示す。
【図3】図3は、短距離流路に沿って、流入ポートおよび流出ポートを通るように切断した本発明の装置の切断面を示す。
【図4】図4は、図6「A」の(均一圧縮を使用した)従来技術のチャンバにおけるフローの均質性を示す。それぞれの点でのフロー速度をグレースケールカラーで表示する。
【図5】図5は、図6「B」の本発明のチャンバにおけるフローの均質性を示す。それぞれの点でのフロー速度をグレースケールカラーで表示する。
【図6】図6は、従来技術のチャンバ(左側「A」)および本発明による本発明の数種類のチャンバ(「B」、「C」、「D」)における圧縮度を示す。上段は等高線を示し、下段は上と同じ装置を示すが不均一なDCを種々の網掛けで示す。
【図7】図7は、本発明の装置を製造する一連の工程を示す。
【符号の説明】
【0117】
1 デバイス
2 流体導入ポート
3 流体排出ポート
4 チャネル
5 チャネル
6 流入ポート
7 流出ポート
8 チャンバ
9 側壁
10 短距離流路
11 長距離流路
12 マトリックス
13 隆起部
14 シーリング壁
15 本体
16 押抜き手段
17 フリース
18 プランジャー
19 漏斗
20 溝
21 押抜かれたマトリックス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 流入ポート、
- 流出ポート、両方のポートは、流体が、チャンバ中を貫流することにより前記チャンバ内で処理されることを可能にするように設計される、
- 前記流入ポートおよび前記流出ポートの間のチャンバ内に配置され、高値の圧縮度と比べて低値の圧縮度で、より高い流動抵抗を有する流体透過性圧縮性マトリックス、短距離流路および長距離流路を含む前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートまで延びる複数の流路
を備える貫流チャンバを含む流体工学的デバイスであって、
前記マトリックスが、少なくとも1次元に不均一に圧縮され、長距離流路よりも短距離流路の少なくとも1つの断面においてより強く圧縮されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記次元が短距離流路に直交する、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
平均圧縮度が100%より小さく、圧縮度の範囲が少なくとも5%である、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
平均圧縮度が90%より小さく、圧縮度の範囲が少なくとも10%である、請求項1〜3いずれか記載のデバイス。
【請求項5】
マトリックスが繊維系フリースまたは多孔質体である、請求項1〜4いずれか記載のデバイス。
【請求項6】
圧縮の差がチャンバの高さの違いによって実現される、請求項1〜5いずれか記載のデバイス。
【請求項7】
圧縮の差が、チャンバの底面または/およびチャンバのカバーを成形することによって実現される、請求項1〜6いずれか記載のデバイス。
【請求項8】
- 流入ポート、
- 流出ポート、両方のポートは、流体が、チャンバ中を貫流することにより前記チャンバ内で処理されることを可能にするように設計される、
- 側壁、
- 上壁および下壁、ここで、前記上壁および前記下壁の最大間隔は、20mm以下、より好ましくは5〜0.1mm、最も好ましくは0.2〜3mmである、
- 前記流入ポートおよび前記流出ポートの間に配置される流体透過性圧縮性マトリックス、短距離流路および長距離流路を含む前記マトリックスを通って前記流入ポートから前記流出ポートまで延びる複数の流路
を備える貫流チャンバを含む診断用貫流デバイスであって、前記上壁および前記下壁の間の種々の流路に沿った平均間隔が、前記長距離流路よりも前記短距離流路で小さいことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
前記上壁および前記下壁の間の前記チャンバの高さが、前記チャンバの最大高さの100%〜20%以内で異なる請求項1〜8いずれか記載のデバイス。
【請求項10】
チャンバの側壁間の最大間隔とチャンバの上壁および下壁間の最大間隔との比が、2:1〜500:1、より好ましくは4:1〜40:1、最も好ましくは5:1〜15:1である、請求項1〜9いずれか記載のデバイス。
【請求項11】
前記マトリックスの幅に対する前記短距離流路に沿って測定されたマトリックスの長さの比が20:1〜1:20、より好ましくは5:1〜1:5、最も好ましくは2:1〜1:2である、請求項1〜10いずれか記載のデバイス。
【請求項12】
上壁および下壁間の最小間隔が0.2〜3mmである、請求項1〜11いずれか記載のデバイス。
【請求項13】
前記流入および前記流出間の前記チャンバの幾何的配置が、前記流入および前記流出ポート間の連結部に関して面対称である、請求項1〜12いずれか記載のデバイス。
【請求項14】
マトリックスを収容しているチャンバの形状が、円形または角の丸い長方形である、請求項1〜13いずれか記載のデバイス。
【請求項15】
円形チャンバマトリックスの形状が基本的に柱状である、請求項1〜14いずれか記載のデバイス。
【請求項16】
マトリックスが、流体の成分に結合し得る材料からなる請求項1〜15いずれか記載のデバイス。
【請求項17】
マトリックスが、前記チャンバ内で貫流方向と直交する2つの直交する次元において圧縮され、少なくとも一方向において圧縮度が異なる、請求項1〜16いずれか記載のデバイス。
【請求項18】
前記透過性の圧縮マトリックスが、前記流入ポートおよび前記流出ポートの間のチャンバの流路と直交する少なくとも1つの断面において前記チャンバに完全に充満されることを特徴とする、請求項1〜17いずれか記載のデバイス。
【請求項19】
マトリックスが、固相吸収体、イオン交換体もしくは試薬の担体またはフィルターである、請求項1〜18いずれか記載のデバイス。
【請求項20】
前記マトリックスがフリースであることを特徴とする、請求項1〜19いずれか記載のデバイス。
【請求項21】
前記流入および流出ポートがチャンバの対向する位置に配置される、請求項1〜20いずれか記載のデバイス。
【請求項22】
a チャンバの大きさより大きい大きさを有する一片の圧縮性マトリックスを作製する工程、および
b 前記デバイスの開口部を介して前記一片を前記チャンバ内に挿入する工程
c シーリング壁によって前記開口部を覆い、それによりマトリックスを圧縮する工程
を含む、請求項8記載の診断用貫流デバイスの製造方法。
【請求項23】
前記チャンバが平坦チャンバであり、前記デバイスの前記開口部が前記チャンバの平坦側面上に配置される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記一片が、
- 圧縮性マトリックスの広大な一片から前記一片を押抜くこと
- 前記チャンバ内に挿入する前に前記一片を圧縮すること
- 前記一片を、圧縮された状態で前記チャンバ内に挿入すること、および
- 前記マトリックスを、前記流入ポートおよび前記流出ポートの連結部と直交する平面において、さらに圧縮することによって作製されること
を特徴とする、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
- マトリックスの一片を得るために圧縮性マトリックスの広大な一片から圧縮性マトリックスの一片を押抜く手段
- デバイスの開口部を介して押抜き手段からチャンバ内に、マトリックスの押抜かれた一片を移動させる手段
- 一片の圧縮性マトリックスを受けるチャンバを有する診断用貫流デバイスを、前記移動手段に接近可能となるように位置決めする手段、および
- 圧縮性マトリックスの前記一片が、圧縮されているとき、前記チャンバ内に誘導する手段
を備える、貫流チャンバ内に一片の圧縮性マトリックスを含む貫流デバイスの製造のための器械。
【請求項26】
前記移動手段がプランジャーである、請求項25記載の器械。
【請求項27】
前記誘導手段が漏斗であり、その直径が、前記チャンバの直径以下の直径まで小さくなっている、請求項25または26記載の器械。
【請求項28】
前記デバイスが圧縮マトリックスの該一片を含む場合、前記チャンバの前記開口部を閉鎖する手段をさらに含む、請求項25〜27いずれか記載の器械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−507214(P2009−507214A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528436(P2008−528436)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008629
【国際公開番号】WO2007/028569
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】