坐剤挿入具、坐剤挿入セット
【課題】坐剤挿入具を用いて坐剤を挿入する時、坐剤が挿入具から落下する可能性を低くし、且つ、坐剤挿入時に患者に痛み又は不快感を与えることを抑制する。
【解決手段】坐剤1に、長手方向軸線に沿って延びる突起部1bを形成しておき、坐剤挿入具2には、坐剤1の突起部1bを収容可能な開口を一端に設けておく。坐剤挿入具2は、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有するようになっており、他端には利用者が手で持つための把持部を備えるようにした。
【解決手段】坐剤1に、長手方向軸線に沿って延びる突起部1bを形成しておき、坐剤挿入具2には、坐剤1の突起部1bを収容可能な開口を一端に設けておく。坐剤挿入具2は、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有するようになっており、他端には利用者が手で持つための把持部を備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮成型製剤からなる坐剤とその挿入具に関し、詳細には、圧縮成型製剤からなる坐剤とその坐剤を直腸内等の体内の挿入位置に挿入する坐剤挿入具から構成される坐剤挿入具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
坐剤を直腸等の人体内部の所定位置に配置する際には、坐剤を手で押し込むことが一般的であるが、手の指を第二関節あたりまで肛門等に差し込む必要がある。しかしこの坐剤挿入作業は、精神的な抵抗感、さらには、衛生上の問題も生じさせる。このため、指を挿入することなく坐剤を確実に所定位置に配置することができる棒状の坐剤入れ器具が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−70456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図4のAに示されている坐剤入れ器具は、先端に「坐剤を固定する空間」を形成する漏斗状部分が設けられた筒を備えている。
【0005】
この様な構成を有する特許文献1の坐剤入れ器具では、先端の「坐剤を固定する空間」内に坐剤を配置した状態で筒の他端部を患者本人等が把持し、筒を先端側から肛門等に差し込み、筒の先端に配置された坐剤を直腸内の所定位置まで運ぶことによって、坐剤を所定位置に配置している。
【0006】
このような構成の坐剤入れ器具では、坐剤を手で挿入する場合に比べ、坐剤を直腸内の所定位置に配置することは容易であるが、挿入作業時に坐剤が「坐剤を固定する空間」から落下し易いという問題がある。また、坐剤挿入後に筒を引き出す際、「坐剤を固定する空間」を構成する漏斗状部分が、括約筋に引っ掛かり、患者に痛み又は不快感を与えてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、挿入作業時に坐剤が落下する可能性が低く、且つ、坐剤挿入に際し患者に痛み又は不快感を与えない坐剤挿入具を提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、挿入作業時に坐剤が落下する可能性が低く、且つ、坐剤挿入に際し患者に痛み又は不快感を与えない坐剤挿入セットを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って延びる突起部が形成された坐剤(以下、凸型坐剤と呼ぶ)を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、前記坐剤の突起部を収容可能な開口が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、前記開口に設けられた突起保持部と、該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、ことを特徴とする坐剤挿入具である。
【0010】
このような構成によれば、凸型坐剤を直腸内等の体内の配置位置まで挿入することができる。
【0011】
上記発明の坐剤挿入具は、前記突起保持部が、前記開口の内周面から内方に延びる形状を備えていることが好ましい。
【0012】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部が、薄板形状を有していることが好ましい。
【0013】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、坐剤挿入作業時に、薄板状の把持部が肛門等の挿入部入り口に当接したときに、開口に収容された坐剤が体内の所定の坐剤配置位置に達することになる。従って、この時点で、挿入を停止し、挿入棒を引き抜くことにより、坐剤を所定位置に配置することができる。
【0015】
上記発明の坐剤挿入具は、前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、使用時には、シートを花びらのように拡げることにより、シートが挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等の挿入部位に直接触れることを回避できるため、より衛生的な坐剤挿入作業が可能となる。
【0017】
上記発明の坐剤挿入具の前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、使用前は、カバーによって挿入棒の少なくとも一部を外気から隔離して衛生的な状態に維持することができる。
【0019】
上記発明の坐剤挿入具は、前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、坐剤挿入作業後に、挿入具を水洗トイレ等に流すことが可能となり、使用後の廃棄が容易である。
【0021】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って延びる突起部が後端に形成された坐剤と、上記に記載した坐剤挿入具と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入セットである。
【0022】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤の前記突起部に、前記挿入棒の突起保持部を挿入するとき、接触して摩擦する構造を備えていることが好ましい。
【0023】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤が圧縮成型坐剤であることが好ましい。
【0024】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤(以下、凹型坐剤と呼ぶ)を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、前記坐剤の陥没部に挿入可能な突起が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、前記突起の周面に設けられて前記陥没部の内周面と当接する陥没保持部と、該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入具である。
【0025】
このような構成によれば、凹型坐剤を直腸内等の体内の配置位置に挿入することができる。
【0026】
上記発明の坐剤挿入具は、前記陥没保持部が、前記突起の周面から外側に拡張する形状を備えていることが好ましい。
【0027】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部が、薄板形状を有していることが好ましい。
【0028】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されていることが好ましい。
【0029】
上記発明の坐剤挿入具は、前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えていることが好ましい。
【0030】
上記発明の坐剤挿入具は、前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成することが好ましい。
【0031】
上記発明の坐剤挿入具は、前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されていることが好ましい。
【0032】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤と、上記発明に記載の前記坐剤挿入具と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入セットである。
【0033】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤の前記陥没部に対して前記挿入棒の前記陥没保持部を挿入するとき、両者が接触して摩擦する構造を備えていることが好ましい。
【0034】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤が圧縮成型坐剤であることが好ましい。
【0035】
一般的に坐剤は、ソフトカプセル、ハードカプセル、基剤型坐剤(溶融成型坐剤)の三種類である。しかし、ソフトカプセルからなる坐剤の場合、長手方向軸線に沿って伸びる突起部が乾燥工程における熱力学的歪みのため、必然的に曲がることが多く、曲がっていない良品を得ることに労力を要する。さらに薬物が食用油などの基剤に溶けない場合には薬物の充填率が低くなる。
【0036】
また、ハードカプセルからなる坐剤の場合、長手方向軸線に沿って伸びる突起部を持つ形状のハードカプセルを製造することに労力を要する。特に突起部の皮膜の厚みを一定にする際に、強度を充分に確保する為には様々な努力を要するであろう。さらに、ハードカプセルはカプセルボディにキャップを被せる構造であり、必然的に空隙が発生するので、このことから薬物の充填率が低くなる。
【0037】
更に、基剤型(溶融成型型)の坐剤は、本質的に強度が低い。この坐剤に、長手方向軸線に沿って伸びる細い突起部を設けると、さらに強度は低くなる。従って、挿入具先端の開口部に該坐剤の突起部を嵌め込み、他端部を把持して肛門等に差し込もうとすると時、突起部が折れて挿入が難しくなる場合も懸念される。そこで、上記発明のように、圧縮成型した坐剤を用いると、収率良く製造が可能であり、そもそも液漏れが無く、また所望の剛性を確保できるので、挿入過程において坐剤の一部が破損することなく安全かつ衛生的に坐剤を挿入することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、突起部や陥没部を備えた坐剤と挿入具によって、衛生的に坐剤を直腸内に挿入することができる。また、坐剤を収率良く製造することが可能となる。特に圧縮成型坐剤を用いれば、液漏れが無く、また薬物を高い含有率で充填できる。
【0039】
また圧縮成型坐剤を用いる構成によれば、体内への挿入過程において坐剤の一部が破損することなく、安全かつ衛生的に坐剤を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットに係る凸型坐剤の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】同凸型坐剤の他の概略的な構成を示す正面図である。
【図3】同坐剤挿入セットに係る凸型坐剤挿入具の正面方向の縦断面図である。
【図4】同凸型坐剤挿入具の側面方向の縦断面図である。
【図5】図3のVI−VI線に沿った断面図である。
【図6】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図7】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図8】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図9】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図10】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図11】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図12】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図13】同凸型坐剤挿入具の他の構成例に係るシート付凸型坐剤挿入具の正面方向からの縦断面図である。
【図14】同シート付凸型坐剤挿入具の側方からの縦断面図である。
【図15】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図16】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図17】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図18】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図19】第1実施形態の坐剤挿入セットの好ましい流通形態を示す図である。
【図20】同凸型坐剤挿入具の突起保持部の変形例を示す図である。
【図21】同凸型坐剤挿入具の突起保持部の変形例を示す図である。
【図22】同凸型坐剤の突起保持部の変形例を示す図である。
【図23】本発明の第2実施形態の坐剤挿入セットに係る凹型坐剤の概略的な構成を示す正面図である。
【図24】同凸型坐剤の他の概略的な構成を示す正面図である。
【図25】同坐剤挿入セットに係る凹型坐剤挿入具の正面図である。
【図26】同凹型坐剤挿入具の側面図である。
【図27】図25のVI−VI線に沿った断面図である。
【図28】同凹型坐剤挿入具の変形例の図27と同様の断面図である。
【図29】同凹型坐剤挿入具の変形例の正面図である。
【図30】同凹型坐剤挿入具の変形例の側面図である。
【図31】同凹型坐剤挿入具の他の構成例に係るシート付凹型坐剤挿入具の概略的な構成を示す図である。
【図32】同シート付凹型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態の例について詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットを構成する凸型坐剤1の概略的な構成を示す正面図である。本実施形態の凸型坐剤1は、肛門から直腸内に挿入される圧縮成型製剤であり、内容物として薬剤が充填されている。なお、圧縮成型製剤とは、薬剤と添加剤を混ぜた粉体を金型に充填し、加圧・圧縮により成型した製剤のことであり、錠剤が一般的である。
【0043】
図1に示されているように、凸型坐剤1は、半球状の先端を有する略円筒状の本体部1aと、本体部1aの後端から軸線方向に沿って延び本体部1aより小径の略円筒状の突起部1bとを備えている。本実施形態では、直径10.0mm、長さ25mmの本体部1aに対し、突起部1bは、直径4mm、長さ7mmに設定されている。
【0044】
本体部1aの寸法は、肛門から直腸内に挿入可能な寸法・形状であればよく、上記寸法・形状に限定されるものではない。
【0045】
また、突起部1bの寸法(直径および長さ)・形状も、特に限定されないが、後述するように、突起部1bを挿入棒の開口に収容したとき、挿入棒の開口との摩擦によって凸型坐剤1を保持することができる寸法・形状に設定される。
【0046】
本体部1a、および突起部1bの寸法形状は、坐剤の用途によって適宜、変更される。例えば、図2に示されているように、突起部1'bに、径方向外方に延びる小突起1'cを設けた凸型坐剤1'ものでもよい。
【0047】
凸型坐剤1を構成する薬物以外の成分も特に限定されるものではなく、上述したような突起部を備えた形状を成型できるものであり、かつ直腸内で崩壊して速やかに薬物を放出するものであれば、何でもよい。
【0048】
また、圧縮成型により調製した凸型坐剤の表面は、やや不規則で粗いものとなり、患者に不快感を与えることがある。これを改善するためにポリエチリングリコールなどの水溶性の成分にて、フイルムコーティングを施してもよい。
【0049】
次に、図3を参照して、本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットを構成する凸型坐剤挿入具2について説明する。図3は、凸型坐剤挿入具2の正面方向の縦断面図であり、図4は側面方向の縦断面図であり、図5は図3のVI−VIに沿った断面図である。
【0050】
図3および図5に示されているように、凸型坐剤挿入具2は、先端(一端)に開口4aを備えた細長い円筒状の凸型坐剤挿入棒4と、凸型坐剤挿入棒4の他端(基端)に取付けられた略円形の薄板状の把持部6とを備えている。
【0051】
凸型坐剤挿入棒4は、パルプから成りプラスチック素材を含まないトイレットペーパーと同様の紙材料で形成された筒体であり、肛門の入り口から直腸内の坐剤配置位置までの距離に相当する約5cmの長さを有している。また、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aは、凸型坐剤1の突起部1bを収容可能な寸法形状を備えている。
【0052】
把持部6も生分解性の素材で形成されているのが好ましい。把持部6は凸型坐剤挿入棒4自体をそのまま把持部としてもよい。さらに把持部6は、使用者が指で把持できる程度の大きさ、例えば、直径2cm程度を有するのが好ましい。把持部6は、使用者が凸型坐剤挿入具2を保持するための把持部分としての機能に加え、凸型坐剤挿入棒4が完全に肛門に挿入されると把持部6が肛門の外部に当接して、凸型坐剤挿入棒4が完全に肛門に挿入されたこと即ち凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられた凸型坐剤1が直腸内の所定位置に達したことを使用者に触覚を通して知らせる機能も有する。
【0053】
凸型坐剤挿入棒4の一端の開口4aには、挿入された凸型坐剤1の突起部1bを保持する突起保持部8が設けられている。本実施形態の突起保持部8は、紙材料で形成された凸型坐剤挿入棒4の先端の開口の内周面をリーマー等で粗面化して毛羽立たせることによって形成されている。突起保持部8は、開口4aの内周面から内方に延びる形状を備えている。
【0054】
また、突起保持部8の内径は、突起部1bが開口4aに挿入された凸型坐剤1を突起部1bとの摩擦によって保持し、凸型坐剤挿入棒4の開口4aが下方を向けられても凸型坐剤1が凸型坐剤挿入棒4の開口4aから抜け落ちないように、設定されている。
【0055】
具体的には、標準的な重さ2g程度の坐剤を凸型坐剤挿入棒4の開口4aに挿入して開口4aを下方に向け、さらに2ないし6g程度の重りを坐剤に付けたとき、坐剤が開口4aから抜け落ちる程度の摩擦が、坐剤の突起部と開口に設けられた突起保持部との間に生ずるようにすることが、挿入までの坐剤の確実な保持と直腸内への確実な留置とを両立させるためには好ましい。
【0056】
凸型坐剤挿入棒4の材質は、開口4aの内周面の粗面化によって凸型坐剤1の突起部1bを保持可能であれば、上記紙材料に限定されるものではなく、グルテン、ゼラチン、コンニャク、寒天、デンプン、デキストリン、カラギーナン、プルラン、HPC、HPMC等の筒状に成形可能な素材、および手術用の糸の素材であるポリ乳酸等の他の生分解性材料でもよい。従って、例えば、上記他の生分解性素材を筒状に加工したものや、マカロニ等の生分解性材料によって作られた既成の筒状部材を凸型坐剤挿入棒4として使用してもよい。
【0057】
突起保持部8の構造は、上記例に限定されるものではなく、凸型坐剤1の突起部1bが開口4aに挿入可能であり、且つ凸型坐剤挿入棒4が下方を向けられても凸型坐剤1が凸型坐剤挿入棒4の開口4aから抜け落ちないように突起部1bを保持可能であればどのようなものでもよい。
【0058】
また、図5と同様の断面図である図6に示されているように、開口4aの径方向に対向する位置に配置され、天然スポンジ片、ゼラチンで形成された板状スプリング、天然ゴム片、植毛シート、ビロード布、毛糸、不織布等による突起保持部10としてもよい。
【0059】
さらに、図5と同様の断面図である図7に示されているように、螺旋状に巻回した弾性薄板で構成された巻板状スプリングによる突起保持部12としてもよい。弾性薄板としては、例えば、硬質の生分解性シートが挙げられる。
【0060】
さらにまた、図5と同様の断面図である図8に示されているように、開口4aの先端部に径方向内方に傾きながら軸線方向外方に延びる、円周方向に等間隔に配置された3本の爪14を設けた突起保持部14としてもよい。
【0061】
さらに、図9ないし図12に示すように、図5ないし図8に示された各突起保持部8、10、12および14の上端を、凸型坐剤1の突起部1bの挿入を容易にするために上方(外方)に向かって拡がる形状を有する突起保持部16、18、20、22とした構成でもよい。
【0062】
本第1実施形態の坐剤挿入セットの凸型坐剤挿入具2の使用時すなわち坐剤挿入時には、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aに、凸型坐剤1の突起部1bを差し込むことによって、凸型坐剤挿入棒4の先端に凸型坐剤1を取付ける。上述したように、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aには突起保持部8が設けられているので、突起部1bが開口4aに挿入された凸型坐剤1は、凸型坐剤挿入棒4の先端に固定され、凸型坐剤挿入棒4の先端が下方に向いても、凸型坐剤挿入棒4から離脱しない状態となる。
【0063】
この状態で、凸型坐剤挿入棒4を肛門に挿入することにより、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられた凸型坐剤1を肛門を通して直腸内に挿入する。本実施形態では、凸型坐剤挿入棒4は、肛門の入り口から直腸内の坐剤配置位置までの距離に相当する約5cmの長さを有している。したがって、凸型坐剤挿入棒4を先端側から肛門に挿入していき、把持部6が肛門入り口に当接すると、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付られた凸型坐剤1が直腸内の坐剤配置位置に達したことがわかる。特に、この凸型坐剤1は、圧縮成型した坐剤を用いているので所望の剛性を確保できる。従って、挿入過程において突起部1bが折れ曲がってしまったり、一部が破損したりすることなく、安全かつ確実に挿入することができる。なお、圧縮成型手法を用いれば、凸型坐剤1を収率良く製造が可能であり、そもそも液漏れが無くなるという利点もある。
【0064】
この段階で、凸型坐剤挿入棒4の挿入を終了し、凸型坐剤挿入棒4を外方に引き出す。この引き出しによって、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられている凸型坐剤1も直腸内で後退するが、直腸内面との摩擦抵抗、および凸型坐剤1の後端と肛門との接触抵抗等によって、凸型坐剤1は凸型坐剤挿入棒4の開口4aから離脱し、凸型坐剤挿入棒4の抜き取り後、直腸内に残留することになる。
【0065】
次に、第1実施形態の坐剤挿入セットにおける凸型坐剤挿入具2の他の例に係るシート付凸型坐剤挿入具30について説明する。シート付凸型坐剤挿入具30は、凸型坐剤挿入棒4、把持部6等の基本的な構成は、既に説明した凸型坐剤挿入具2と同一であるが、把持部から挿入棒の先端を覆うカバー32を備えている点で相違する。従って、以下、シート付凸型坐剤挿入具30において、凸型坐剤挿入具2と共通する部分は同一の参照符号を付して説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0066】
図13は、カバーに覆われたシート付凸型坐剤挿入具30の正面方向からの縦断面図であり、図14はシート付凸型坐剤挿入具30の側方からの縦断面図である。これらの図面に示されているように、カバー32は、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより長い2枚のシート34から構成されている。シート34は、パルプからなりプラスチック素材を含まないトイレットペーパーと同様の紙材料、和紙、その他の生分解性材料から形成されている。
【0067】
各シート34は、下縁部が、図14に示されているように、凸型坐剤挿入棒4の下端部分と把持部6との間に固定され、上縁部が、図13に示されているように、凸型坐剤挿入棒4の上端の上方位置で他方のシート34と接合されている。また、シート34の側縁部は、凸型坐剤挿入棒4の側方位置で、他方のシート34の側縁部と接合されている。従って、凸型坐剤挿入棒4は、シート34で覆われた空間内に封止されることになる。
【0068】
また、シート34同士の接合部分は、剥離可能、あるいは剥離後に再接合可能とされている。
【0069】
このように2枚のシート34が凸型坐剤挿入棒4の周囲で接合されてカバー32を形成しているので、凸型坐剤挿入棒4は、2枚のシート34からなるカバー32で覆われ周囲から隔離された空間内に保持され、使用時まで衛生的に保管される。
【0070】
本実施形態のシート付凸型坐剤挿入具30の使用時には、まず、図15に示されているように、カバー32を構成するシート34の先端を矢印Aで示すように剥離することによって、カバー32による包装を開封し、シートを花びらのように拡げ、凸型坐剤挿入棒4を露出させる。
【0071】
次いで、図16に示されているように、凸型坐剤1の突起部1bを凸型坐剤挿入棒4の開口4aに収容させることによって、凸型坐剤1を凸型坐剤挿入棒4の先端に取付ける。
【0072】
なお、凸型坐剤1の表面には、公知の方法で予め潤滑剤をコーティングしておくのが好ましい。
【0073】
次いで、図17に示されているように、凸型坐剤1を先頭に、矢印B方向に、凸型坐剤挿入棒4を肛門に所定距離(把持部が肛門入口に当接するまで)挿入し、その後、引き抜くことによって、直腸内の所定位置に凸型坐剤1を配置する。
【0074】
最後に、図18に示されているように、カバー32を構成する2枚のシート34の周縁部を再度、接合し、使用済み凸型坐剤挿入棒4を覆い、シート付凸型坐剤挿入具30をトイレに流す等して廃棄する。
【0075】
このような構成を有するシート付凸型坐剤挿入具30によれば、カバーにより使用前は挿入具を衛生的に保管できると共に、使用後には使用済み挿入棒を外部に露出させることなく衛生的に廃棄することができる。
【0076】
また、挿入時に、シートが花びらのように拡がっているので、シートが挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等の挿入が直接、接触することが回避されるので、衛生的な挿入作業が可能となる。
【0077】
なお、上記第1実施形態の坐剤挿入セットは、例えば、図19に示されるように、挿入する凸型坐剤1と、凸型坐剤挿入具2又はシート付凸型坐剤挿入具30を、パック入り潤滑剤36とともにセットとして、1つの容器38に包装して流通させるのが好ましい。
【0078】
なお、凸型坐剤挿入棒4に設けられる突起保持部8として、図20に示されているような、一部を切り欠いた環状の弾性薄板40を用いも良い。また、凸型坐剤挿入棒4を弾性を有する素材で構成し、筒状の凸型坐剤挿入棒4の先端に長手方向に切開し、切開部分4'をオーバラップ(図21)、あるいは切開部分4"を離間(図22)させて挿入棒自体で突起保持部8を構成してもよい。
【0079】
また、挿入棒の開口の内周面に1または2以上の径方向内方に向かって延びる突起を形成し、これを突起保持部としてもよい。
【0080】
例えば、このような突起は、凹部が形成された棒である芯材に、湿った状態の紙材料を巻き付けて挿入棒を形成する際、凹部に侵入した紙材料で形成される。また、紙等で形成された挿入棒の先端を外方からアイスピック状の器具で突き刺して穿孔し、形成された孔部の開口内方に向かって延びる周縁で突起を形成することもできる。
【0081】
更に、挿入棒の開口の開口端を内方に向かって縮径する形状に成形し、これを突起保持部としてもよい。
【0082】
さらにまた、上記シート付凸型坐剤挿入具30は、各シート34が、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより長く、凸型坐剤挿入棒4の上端の上方位置で他方のシート34と接合されている構成であったが、各シート34が、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより短く、たとえば、挿入棒の長さの半分程度で終端する構成でもよい。このような構成であっても、挿入作業中、シートによって、挿入者の手と肛門の接触を回避でき、衛生的な作業が可能なる。
【0083】
次に、図23等を参照して、本発明の第2実施形態に係る坐剤挿入セットを構成する凹型坐剤42について説明する。図23は、患者の体内に挿入される凹型坐剤42の概略的な構成を示す正面図である。図に示すように凹型坐剤42は、第1実施形態の凸型坐剤1のような突起部が無く、代わりに陥没部42bが設けられている。従って、以下、その相違点についてのみ説明する。
【0084】
凹型坐剤42は、半球状の先端を有する略円筒状の本体部42aの後端から長手方向軸線に沿って内向する陥没部42bを備えている。本実施形態では、直径9mm、長さ25mmの本体部42aに対し、陥没部42bは、直径3mm、長さ9mmに設定されている。
【0085】
なお、本体部42aの寸法は、肛門から直腸内に挿入可能な寸法・形状であればよく、上記寸法・形状に限定されるものではない。
【0086】
また、陥没部42bの寸法(直径および長さ)・形状も、特に限定されないが、後述するように、陥没部42bに対して挿入具の陥没保持部48を挿入したとき、摩擦によって凹型坐剤42を保持することができる寸法・形状に設定される。
【0087】
また、陥没部は、図24に示すように、開口部から奥に進むに従い細くなる先細り型陥没部42b'でもよい。
【0088】
次に、図25等を参照して、第2実施形態の坐剤挿入セットに係る凹型坐剤挿入具44について説明する。第1実施形態の凸型坐剤挿入具2と異なる点は、凹型坐剤42を保持する部分の形態である。従って、挿入棒や把持部は凸型坐剤挿入具2と共通である。従って、以下、その相違点についてのみ説明する。
【0089】
図25は、凹型坐剤挿入具44の正面方向の図面であり、図26は凹型坐剤挿入具44の側面方向の図面であり、図27は図25のVI−VI線に沿った断面図である。図25および図26に示されているように、凹型坐剤挿入具44は、先端(一端)に陥没保持部48を備えた細長い棒状あるいは円筒状の凹型坐剤挿入棒46と、凹型坐剤挿入棒46の他端(基端)に取付けられた略円形の薄板状の把持部6とを備えている。
【0090】
陥没保持部48は、凹型坐剤42の陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入して凹型坐剤42を保持する。図27に示されるように、この陥没保持部48は天然ゴム製のスポンジからなるキャップ50で構成されており、凹型坐剤挿入棒46の先端に被さるように配置される。なお、耳かきに用いる綿棒のように構成しても良い。また、陥没保持部48の外径は、陥没保持部48が陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入されたとき、凹型坐剤挿入具44が下方に向けられても凹型坐剤42が抜け落ちない程度の摩擦力を生じるような大きさに設定されている。
【0091】
なお、陥没保持部48の構造は、上記例に限定されるものではなく、凹型坐剤42の陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入可能であり、且つ凹型坐剤挿入具44が下方に向けられても凹型坐剤42が抜け落ちないような構造であればどのようなものでもよい。
【0092】
例えば、図27と同様の断面図となる図28に示されているように、陥没保持部48は、凹型坐剤挿入棒46の先端に半径方向外側に突出するような保持用突起52を備えるようにしても良い。ここでは特に、径方向に対向する位置に一対の保持用突起52が配置される構成を示している。この保持用突起52は、天然スポンジ片、板状スプリング片、天然ゴム片、植毛シート片、ビロード布片、毛糸片、不織布等によって構成しても良い。
【0093】
なお、第1実施形態の凸型坐剤挿入具2では、図21と図22において、凸型坐剤挿入棒4自体で突起保持部8を構成することを示したが、これと同じ構造を用いて凹型坐剤挿入具44の陥没保持部48を構成することもできる。この場合、図24に示したような、先細り型陥没部42b'を備えた凹型坐剤42をセットとして採用することが好ましい。この先細り型陥没部42b'に対して陥没保持部48を挿入すると、陥没保持部48の先端は、それ自体で細くなりながら侵入し、その弾性変形の復元力によって凹型坐剤42を保持することができる。この結果、凹型坐剤挿入具44の先端が下方に向いても、凹型坐剤42は離脱しない状態となる。
【0094】
図29は、本凹型坐剤挿入具44の他の構成例を示した正面図であり、図30は同挿入具44の側面図である。この例では、凹型坐剤挿入棒46の先端の陥没保持部として、複数本に枝分かれした分岐片54を備える構造となっている。この分岐片54が半径方向に弾性変形できる。なお、ここでは2本の分岐片54によってピンセットの形態とすることにより、凹型坐剤挿入棒46自体で陥没保持部を構成している。なお、分岐片54の先端部は細くなっていることから、この分岐片54を、抵抗なく凹型坐剤42の陥没部42b又は先細り型陥没部42b'に入れることができる。分岐片54の根元側が太くなっているので、陥没部42b又は先細り型陥没部42b'に進入するに伴って摩擦力が生じて、凹型坐剤42を保持することができる。その結果、凹型坐剤挿入具44の先端が下方に向いても、凹型坐剤42は離脱しない状態となる。
【0095】
なお、ここでは特に図示しないが、凹型坐剤挿入具44のもっともシンプルな形態として爪楊枝が挙げられる。尖っている部分が陥没保持部となり、その他端が把持部となり、軸が挿入棒となる。
【0096】
次に、図31等を参照して、この第2実施形態の凹型坐剤挿入具44の他の例に係るシート付凹型坐剤挿入具56について説明する。図31は、シート付凹型坐剤挿入具56の概略的な構成を示す図である。図32は、シート付凹型坐剤挿入具56の使用方法を説明する図ある。このシート付凹型坐剤挿入具56は、
【0097】
凹型坐剤挿入具44と比較して、把持部6から凹型坐剤挿入棒46の先端を覆う2枚のシート34を備えている点で相違する。なお、このシート付凹型坐剤挿入具56は、第1実施形態で示したシート付凸型坐剤挿入具30の素材、形態、機能等についてほぼ一致している。
【0098】
このシート付凹型坐剤挿入具56によれば、2枚のシート34により、使用前は、凹型坐剤挿入棒46や陥没保持部48を衛生的に保管できる。また、使用後は、使用済みの凹型坐剤挿入棒46や陥没保持部48をシート34によって覆うことが出来、これらを外部に露出させることなく衛生的に廃棄することができる。
【0099】
また、凹型坐剤42を直腸内に挿入する際に、シート34が花びらのように拡がっているので、シート34が挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等が直接、接触することが回避されるので、衛生的な挿入作業が可能となる。
【0100】
これらの凹型坐剤挿入具44やシート付凹型坐剤挿入具56は、例えば、図19を参照して第1実施形態で示したように、凹型坐剤42とパック入り潤滑剤36とともに、セットとして1つの容器38に包装されて流通させるのが好ましい。
【0101】
この第2実施形態の坐剤挿入セットでは、凹型坐剤42を用いていることから、陥没部42bの周囲が筒構造となり、剛性を高めることが出来る。従って、第1実施形態の凸型坐剤42と比較して、挿入時に凹型坐剤42が折れたり、破損したりすることを抑制できる。このことは逆に、凸型坐剤よりも弱い圧縮強度で成型することが可能であることを示している。この結果、圧縮成型した凹型坐剤42の直腸内での崩壊性が向上し薬剤の放出性も良くなる。
【0102】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1:凸型坐剤
1a:本体部
1b:突起部
2:凸型坐剤挿入具
4:凸型坐剤挿入棒
4a:開口
6:把持部
8、10、12、14、16、18、20、22、40:突起保持部
30:シート付凸型坐剤挿入具
32:カバー
34:シート
36:潤滑剤
38:容器
42:凹型坐剤
42a:本体部
42b:陥没部
42b':先細り型陥没部
44:凹型坐剤挿入具
46:凹型坐剤挿入棒
48:陥没保持部
50:キャップ
52:保持用突起
54:分岐片
56:シート付凹型坐剤挿入具
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮成型製剤からなる坐剤とその挿入具に関し、詳細には、圧縮成型製剤からなる坐剤とその坐剤を直腸内等の体内の挿入位置に挿入する坐剤挿入具から構成される坐剤挿入具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
坐剤を直腸等の人体内部の所定位置に配置する際には、坐剤を手で押し込むことが一般的であるが、手の指を第二関節あたりまで肛門等に差し込む必要がある。しかしこの坐剤挿入作業は、精神的な抵抗感、さらには、衛生上の問題も生じさせる。このため、指を挿入することなく坐剤を確実に所定位置に配置することができる棒状の坐剤入れ器具が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−70456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図4のAに示されている坐剤入れ器具は、先端に「坐剤を固定する空間」を形成する漏斗状部分が設けられた筒を備えている。
【0005】
この様な構成を有する特許文献1の坐剤入れ器具では、先端の「坐剤を固定する空間」内に坐剤を配置した状態で筒の他端部を患者本人等が把持し、筒を先端側から肛門等に差し込み、筒の先端に配置された坐剤を直腸内の所定位置まで運ぶことによって、坐剤を所定位置に配置している。
【0006】
このような構成の坐剤入れ器具では、坐剤を手で挿入する場合に比べ、坐剤を直腸内の所定位置に配置することは容易であるが、挿入作業時に坐剤が「坐剤を固定する空間」から落下し易いという問題がある。また、坐剤挿入後に筒を引き出す際、「坐剤を固定する空間」を構成する漏斗状部分が、括約筋に引っ掛かり、患者に痛み又は不快感を与えてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、挿入作業時に坐剤が落下する可能性が低く、且つ、坐剤挿入に際し患者に痛み又は不快感を与えない坐剤挿入具を提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、挿入作業時に坐剤が落下する可能性が低く、且つ、坐剤挿入に際し患者に痛み又は不快感を与えない坐剤挿入セットを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って延びる突起部が形成された坐剤(以下、凸型坐剤と呼ぶ)を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、前記坐剤の突起部を収容可能な開口が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、前記開口に設けられた突起保持部と、該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、ことを特徴とする坐剤挿入具である。
【0010】
このような構成によれば、凸型坐剤を直腸内等の体内の配置位置まで挿入することができる。
【0011】
上記発明の坐剤挿入具は、前記突起保持部が、前記開口の内周面から内方に延びる形状を備えていることが好ましい。
【0012】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部が、薄板形状を有していることが好ましい。
【0013】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、坐剤挿入作業時に、薄板状の把持部が肛門等の挿入部入り口に当接したときに、開口に収容された坐剤が体内の所定の坐剤配置位置に達することになる。従って、この時点で、挿入を停止し、挿入棒を引き抜くことにより、坐剤を所定位置に配置することができる。
【0015】
上記発明の坐剤挿入具は、前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、使用時には、シートを花びらのように拡げることにより、シートが挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等の挿入部位に直接触れることを回避できるため、より衛生的な坐剤挿入作業が可能となる。
【0017】
上記発明の坐剤挿入具の前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、使用前は、カバーによって挿入棒の少なくとも一部を外気から隔離して衛生的な状態に維持することができる。
【0019】
上記発明の坐剤挿入具は、前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、坐剤挿入作業後に、挿入具を水洗トイレ等に流すことが可能となり、使用後の廃棄が容易である。
【0021】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って延びる突起部が後端に形成された坐剤と、上記に記載した坐剤挿入具と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入セットである。
【0022】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤の前記突起部に、前記挿入棒の突起保持部を挿入するとき、接触して摩擦する構造を備えていることが好ましい。
【0023】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤が圧縮成型坐剤であることが好ましい。
【0024】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤(以下、凹型坐剤と呼ぶ)を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、前記坐剤の陥没部に挿入可能な突起が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、前記突起の周面に設けられて前記陥没部の内周面と当接する陥没保持部と、該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入具である。
【0025】
このような構成によれば、凹型坐剤を直腸内等の体内の配置位置に挿入することができる。
【0026】
上記発明の坐剤挿入具は、前記陥没保持部が、前記突起の周面から外側に拡張する形状を備えていることが好ましい。
【0027】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部が、薄板形状を有していることが好ましい。
【0028】
上記発明の坐剤挿入具は、前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されていることが好ましい。
【0029】
上記発明の坐剤挿入具は、前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えていることが好ましい。
【0030】
上記発明の坐剤挿入具は、前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成することが好ましい。
【0031】
上記発明の坐剤挿入具は、前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されていることが好ましい。
【0032】
上記目的を達成する本発明は、長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤と、上記発明に記載の前記坐剤挿入具と、を備えていることを特徴とする坐剤挿入セットである。
【0033】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤の前記陥没部に対して前記挿入棒の前記陥没保持部を挿入するとき、両者が接触して摩擦する構造を備えていることが好ましい。
【0034】
上記発明の坐剤挿入セットは、前記坐剤が圧縮成型坐剤であることが好ましい。
【0035】
一般的に坐剤は、ソフトカプセル、ハードカプセル、基剤型坐剤(溶融成型坐剤)の三種類である。しかし、ソフトカプセルからなる坐剤の場合、長手方向軸線に沿って伸びる突起部が乾燥工程における熱力学的歪みのため、必然的に曲がることが多く、曲がっていない良品を得ることに労力を要する。さらに薬物が食用油などの基剤に溶けない場合には薬物の充填率が低くなる。
【0036】
また、ハードカプセルからなる坐剤の場合、長手方向軸線に沿って伸びる突起部を持つ形状のハードカプセルを製造することに労力を要する。特に突起部の皮膜の厚みを一定にする際に、強度を充分に確保する為には様々な努力を要するであろう。さらに、ハードカプセルはカプセルボディにキャップを被せる構造であり、必然的に空隙が発生するので、このことから薬物の充填率が低くなる。
【0037】
更に、基剤型(溶融成型型)の坐剤は、本質的に強度が低い。この坐剤に、長手方向軸線に沿って伸びる細い突起部を設けると、さらに強度は低くなる。従って、挿入具先端の開口部に該坐剤の突起部を嵌め込み、他端部を把持して肛門等に差し込もうとすると時、突起部が折れて挿入が難しくなる場合も懸念される。そこで、上記発明のように、圧縮成型した坐剤を用いると、収率良く製造が可能であり、そもそも液漏れが無く、また所望の剛性を確保できるので、挿入過程において坐剤の一部が破損することなく安全かつ衛生的に坐剤を挿入することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、突起部や陥没部を備えた坐剤と挿入具によって、衛生的に坐剤を直腸内に挿入することができる。また、坐剤を収率良く製造することが可能となる。特に圧縮成型坐剤を用いれば、液漏れが無く、また薬物を高い含有率で充填できる。
【0039】
また圧縮成型坐剤を用いる構成によれば、体内への挿入過程において坐剤の一部が破損することなく、安全かつ衛生的に坐剤を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットに係る凸型坐剤の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】同凸型坐剤の他の概略的な構成を示す正面図である。
【図3】同坐剤挿入セットに係る凸型坐剤挿入具の正面方向の縦断面図である。
【図4】同凸型坐剤挿入具の側面方向の縦断面図である。
【図5】図3のVI−VI線に沿った断面図である。
【図6】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図7】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図8】同凸型坐剤挿入具の変形例の図5と同様の断面図である。
【図9】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図10】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図11】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図12】同凸型坐剤挿入具の変形例の図3と同様の断面図である。
【図13】同凸型坐剤挿入具の他の構成例に係るシート付凸型坐剤挿入具の正面方向からの縦断面図である。
【図14】同シート付凸型坐剤挿入具の側方からの縦断面図である。
【図15】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図16】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図17】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図18】同シート付凸型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【図19】第1実施形態の坐剤挿入セットの好ましい流通形態を示す図である。
【図20】同凸型坐剤挿入具の突起保持部の変形例を示す図である。
【図21】同凸型坐剤挿入具の突起保持部の変形例を示す図である。
【図22】同凸型坐剤の突起保持部の変形例を示す図である。
【図23】本発明の第2実施形態の坐剤挿入セットに係る凹型坐剤の概略的な構成を示す正面図である。
【図24】同凸型坐剤の他の概略的な構成を示す正面図である。
【図25】同坐剤挿入セットに係る凹型坐剤挿入具の正面図である。
【図26】同凹型坐剤挿入具の側面図である。
【図27】図25のVI−VI線に沿った断面図である。
【図28】同凹型坐剤挿入具の変形例の図27と同様の断面図である。
【図29】同凹型坐剤挿入具の変形例の正面図である。
【図30】同凹型坐剤挿入具の変形例の側面図である。
【図31】同凹型坐剤挿入具の他の構成例に係るシート付凹型坐剤挿入具の概略的な構成を示す図である。
【図32】同シート付凹型坐剤挿入具の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態の例について詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットを構成する凸型坐剤1の概略的な構成を示す正面図である。本実施形態の凸型坐剤1は、肛門から直腸内に挿入される圧縮成型製剤であり、内容物として薬剤が充填されている。なお、圧縮成型製剤とは、薬剤と添加剤を混ぜた粉体を金型に充填し、加圧・圧縮により成型した製剤のことであり、錠剤が一般的である。
【0043】
図1に示されているように、凸型坐剤1は、半球状の先端を有する略円筒状の本体部1aと、本体部1aの後端から軸線方向に沿って延び本体部1aより小径の略円筒状の突起部1bとを備えている。本実施形態では、直径10.0mm、長さ25mmの本体部1aに対し、突起部1bは、直径4mm、長さ7mmに設定されている。
【0044】
本体部1aの寸法は、肛門から直腸内に挿入可能な寸法・形状であればよく、上記寸法・形状に限定されるものではない。
【0045】
また、突起部1bの寸法(直径および長さ)・形状も、特に限定されないが、後述するように、突起部1bを挿入棒の開口に収容したとき、挿入棒の開口との摩擦によって凸型坐剤1を保持することができる寸法・形状に設定される。
【0046】
本体部1a、および突起部1bの寸法形状は、坐剤の用途によって適宜、変更される。例えば、図2に示されているように、突起部1'bに、径方向外方に延びる小突起1'cを設けた凸型坐剤1'ものでもよい。
【0047】
凸型坐剤1を構成する薬物以外の成分も特に限定されるものではなく、上述したような突起部を備えた形状を成型できるものであり、かつ直腸内で崩壊して速やかに薬物を放出するものであれば、何でもよい。
【0048】
また、圧縮成型により調製した凸型坐剤の表面は、やや不規則で粗いものとなり、患者に不快感を与えることがある。これを改善するためにポリエチリングリコールなどの水溶性の成分にて、フイルムコーティングを施してもよい。
【0049】
次に、図3を参照して、本発明の第1実施形態の坐剤挿入セットを構成する凸型坐剤挿入具2について説明する。図3は、凸型坐剤挿入具2の正面方向の縦断面図であり、図4は側面方向の縦断面図であり、図5は図3のVI−VIに沿った断面図である。
【0050】
図3および図5に示されているように、凸型坐剤挿入具2は、先端(一端)に開口4aを備えた細長い円筒状の凸型坐剤挿入棒4と、凸型坐剤挿入棒4の他端(基端)に取付けられた略円形の薄板状の把持部6とを備えている。
【0051】
凸型坐剤挿入棒4は、パルプから成りプラスチック素材を含まないトイレットペーパーと同様の紙材料で形成された筒体であり、肛門の入り口から直腸内の坐剤配置位置までの距離に相当する約5cmの長さを有している。また、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aは、凸型坐剤1の突起部1bを収容可能な寸法形状を備えている。
【0052】
把持部6も生分解性の素材で形成されているのが好ましい。把持部6は凸型坐剤挿入棒4自体をそのまま把持部としてもよい。さらに把持部6は、使用者が指で把持できる程度の大きさ、例えば、直径2cm程度を有するのが好ましい。把持部6は、使用者が凸型坐剤挿入具2を保持するための把持部分としての機能に加え、凸型坐剤挿入棒4が完全に肛門に挿入されると把持部6が肛門の外部に当接して、凸型坐剤挿入棒4が完全に肛門に挿入されたこと即ち凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられた凸型坐剤1が直腸内の所定位置に達したことを使用者に触覚を通して知らせる機能も有する。
【0053】
凸型坐剤挿入棒4の一端の開口4aには、挿入された凸型坐剤1の突起部1bを保持する突起保持部8が設けられている。本実施形態の突起保持部8は、紙材料で形成された凸型坐剤挿入棒4の先端の開口の内周面をリーマー等で粗面化して毛羽立たせることによって形成されている。突起保持部8は、開口4aの内周面から内方に延びる形状を備えている。
【0054】
また、突起保持部8の内径は、突起部1bが開口4aに挿入された凸型坐剤1を突起部1bとの摩擦によって保持し、凸型坐剤挿入棒4の開口4aが下方を向けられても凸型坐剤1が凸型坐剤挿入棒4の開口4aから抜け落ちないように、設定されている。
【0055】
具体的には、標準的な重さ2g程度の坐剤を凸型坐剤挿入棒4の開口4aに挿入して開口4aを下方に向け、さらに2ないし6g程度の重りを坐剤に付けたとき、坐剤が開口4aから抜け落ちる程度の摩擦が、坐剤の突起部と開口に設けられた突起保持部との間に生ずるようにすることが、挿入までの坐剤の確実な保持と直腸内への確実な留置とを両立させるためには好ましい。
【0056】
凸型坐剤挿入棒4の材質は、開口4aの内周面の粗面化によって凸型坐剤1の突起部1bを保持可能であれば、上記紙材料に限定されるものではなく、グルテン、ゼラチン、コンニャク、寒天、デンプン、デキストリン、カラギーナン、プルラン、HPC、HPMC等の筒状に成形可能な素材、および手術用の糸の素材であるポリ乳酸等の他の生分解性材料でもよい。従って、例えば、上記他の生分解性素材を筒状に加工したものや、マカロニ等の生分解性材料によって作られた既成の筒状部材を凸型坐剤挿入棒4として使用してもよい。
【0057】
突起保持部8の構造は、上記例に限定されるものではなく、凸型坐剤1の突起部1bが開口4aに挿入可能であり、且つ凸型坐剤挿入棒4が下方を向けられても凸型坐剤1が凸型坐剤挿入棒4の開口4aから抜け落ちないように突起部1bを保持可能であればどのようなものでもよい。
【0058】
また、図5と同様の断面図である図6に示されているように、開口4aの径方向に対向する位置に配置され、天然スポンジ片、ゼラチンで形成された板状スプリング、天然ゴム片、植毛シート、ビロード布、毛糸、不織布等による突起保持部10としてもよい。
【0059】
さらに、図5と同様の断面図である図7に示されているように、螺旋状に巻回した弾性薄板で構成された巻板状スプリングによる突起保持部12としてもよい。弾性薄板としては、例えば、硬質の生分解性シートが挙げられる。
【0060】
さらにまた、図5と同様の断面図である図8に示されているように、開口4aの先端部に径方向内方に傾きながら軸線方向外方に延びる、円周方向に等間隔に配置された3本の爪14を設けた突起保持部14としてもよい。
【0061】
さらに、図9ないし図12に示すように、図5ないし図8に示された各突起保持部8、10、12および14の上端を、凸型坐剤1の突起部1bの挿入を容易にするために上方(外方)に向かって拡がる形状を有する突起保持部16、18、20、22とした構成でもよい。
【0062】
本第1実施形態の坐剤挿入セットの凸型坐剤挿入具2の使用時すなわち坐剤挿入時には、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aに、凸型坐剤1の突起部1bを差し込むことによって、凸型坐剤挿入棒4の先端に凸型坐剤1を取付ける。上述したように、凸型坐剤挿入棒4の先端の開口4aには突起保持部8が設けられているので、突起部1bが開口4aに挿入された凸型坐剤1は、凸型坐剤挿入棒4の先端に固定され、凸型坐剤挿入棒4の先端が下方に向いても、凸型坐剤挿入棒4から離脱しない状態となる。
【0063】
この状態で、凸型坐剤挿入棒4を肛門に挿入することにより、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられた凸型坐剤1を肛門を通して直腸内に挿入する。本実施形態では、凸型坐剤挿入棒4は、肛門の入り口から直腸内の坐剤配置位置までの距離に相当する約5cmの長さを有している。したがって、凸型坐剤挿入棒4を先端側から肛門に挿入していき、把持部6が肛門入り口に当接すると、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付られた凸型坐剤1が直腸内の坐剤配置位置に達したことがわかる。特に、この凸型坐剤1は、圧縮成型した坐剤を用いているので所望の剛性を確保できる。従って、挿入過程において突起部1bが折れ曲がってしまったり、一部が破損したりすることなく、安全かつ確実に挿入することができる。なお、圧縮成型手法を用いれば、凸型坐剤1を収率良く製造が可能であり、そもそも液漏れが無くなるという利点もある。
【0064】
この段階で、凸型坐剤挿入棒4の挿入を終了し、凸型坐剤挿入棒4を外方に引き出す。この引き出しによって、凸型坐剤挿入棒4の先端に取付けられている凸型坐剤1も直腸内で後退するが、直腸内面との摩擦抵抗、および凸型坐剤1の後端と肛門との接触抵抗等によって、凸型坐剤1は凸型坐剤挿入棒4の開口4aから離脱し、凸型坐剤挿入棒4の抜き取り後、直腸内に残留することになる。
【0065】
次に、第1実施形態の坐剤挿入セットにおける凸型坐剤挿入具2の他の例に係るシート付凸型坐剤挿入具30について説明する。シート付凸型坐剤挿入具30は、凸型坐剤挿入棒4、把持部6等の基本的な構成は、既に説明した凸型坐剤挿入具2と同一であるが、把持部から挿入棒の先端を覆うカバー32を備えている点で相違する。従って、以下、シート付凸型坐剤挿入具30において、凸型坐剤挿入具2と共通する部分は同一の参照符号を付して説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0066】
図13は、カバーに覆われたシート付凸型坐剤挿入具30の正面方向からの縦断面図であり、図14はシート付凸型坐剤挿入具30の側方からの縦断面図である。これらの図面に示されているように、カバー32は、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより長い2枚のシート34から構成されている。シート34は、パルプからなりプラスチック素材を含まないトイレットペーパーと同様の紙材料、和紙、その他の生分解性材料から形成されている。
【0067】
各シート34は、下縁部が、図14に示されているように、凸型坐剤挿入棒4の下端部分と把持部6との間に固定され、上縁部が、図13に示されているように、凸型坐剤挿入棒4の上端の上方位置で他方のシート34と接合されている。また、シート34の側縁部は、凸型坐剤挿入棒4の側方位置で、他方のシート34の側縁部と接合されている。従って、凸型坐剤挿入棒4は、シート34で覆われた空間内に封止されることになる。
【0068】
また、シート34同士の接合部分は、剥離可能、あるいは剥離後に再接合可能とされている。
【0069】
このように2枚のシート34が凸型坐剤挿入棒4の周囲で接合されてカバー32を形成しているので、凸型坐剤挿入棒4は、2枚のシート34からなるカバー32で覆われ周囲から隔離された空間内に保持され、使用時まで衛生的に保管される。
【0070】
本実施形態のシート付凸型坐剤挿入具30の使用時には、まず、図15に示されているように、カバー32を構成するシート34の先端を矢印Aで示すように剥離することによって、カバー32による包装を開封し、シートを花びらのように拡げ、凸型坐剤挿入棒4を露出させる。
【0071】
次いで、図16に示されているように、凸型坐剤1の突起部1bを凸型坐剤挿入棒4の開口4aに収容させることによって、凸型坐剤1を凸型坐剤挿入棒4の先端に取付ける。
【0072】
なお、凸型坐剤1の表面には、公知の方法で予め潤滑剤をコーティングしておくのが好ましい。
【0073】
次いで、図17に示されているように、凸型坐剤1を先頭に、矢印B方向に、凸型坐剤挿入棒4を肛門に所定距離(把持部が肛門入口に当接するまで)挿入し、その後、引き抜くことによって、直腸内の所定位置に凸型坐剤1を配置する。
【0074】
最後に、図18に示されているように、カバー32を構成する2枚のシート34の周縁部を再度、接合し、使用済み凸型坐剤挿入棒4を覆い、シート付凸型坐剤挿入具30をトイレに流す等して廃棄する。
【0075】
このような構成を有するシート付凸型坐剤挿入具30によれば、カバーにより使用前は挿入具を衛生的に保管できると共に、使用後には使用済み挿入棒を外部に露出させることなく衛生的に廃棄することができる。
【0076】
また、挿入時に、シートが花びらのように拡がっているので、シートが挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等の挿入が直接、接触することが回避されるので、衛生的な挿入作業が可能となる。
【0077】
なお、上記第1実施形態の坐剤挿入セットは、例えば、図19に示されるように、挿入する凸型坐剤1と、凸型坐剤挿入具2又はシート付凸型坐剤挿入具30を、パック入り潤滑剤36とともにセットとして、1つの容器38に包装して流通させるのが好ましい。
【0078】
なお、凸型坐剤挿入棒4に設けられる突起保持部8として、図20に示されているような、一部を切り欠いた環状の弾性薄板40を用いも良い。また、凸型坐剤挿入棒4を弾性を有する素材で構成し、筒状の凸型坐剤挿入棒4の先端に長手方向に切開し、切開部分4'をオーバラップ(図21)、あるいは切開部分4"を離間(図22)させて挿入棒自体で突起保持部8を構成してもよい。
【0079】
また、挿入棒の開口の内周面に1または2以上の径方向内方に向かって延びる突起を形成し、これを突起保持部としてもよい。
【0080】
例えば、このような突起は、凹部が形成された棒である芯材に、湿った状態の紙材料を巻き付けて挿入棒を形成する際、凹部に侵入した紙材料で形成される。また、紙等で形成された挿入棒の先端を外方からアイスピック状の器具で突き刺して穿孔し、形成された孔部の開口内方に向かって延びる周縁で突起を形成することもできる。
【0081】
更に、挿入棒の開口の開口端を内方に向かって縮径する形状に成形し、これを突起保持部としてもよい。
【0082】
さらにまた、上記シート付凸型坐剤挿入具30は、各シート34が、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより長く、凸型坐剤挿入棒4の上端の上方位置で他方のシート34と接合されている構成であったが、各シート34が、凸型坐剤挿入棒4の上端から把持部6の下端までの長さより短く、たとえば、挿入棒の長さの半分程度で終端する構成でもよい。このような構成であっても、挿入作業中、シートによって、挿入者の手と肛門の接触を回避でき、衛生的な作業が可能なる。
【0083】
次に、図23等を参照して、本発明の第2実施形態に係る坐剤挿入セットを構成する凹型坐剤42について説明する。図23は、患者の体内に挿入される凹型坐剤42の概略的な構成を示す正面図である。図に示すように凹型坐剤42は、第1実施形態の凸型坐剤1のような突起部が無く、代わりに陥没部42bが設けられている。従って、以下、その相違点についてのみ説明する。
【0084】
凹型坐剤42は、半球状の先端を有する略円筒状の本体部42aの後端から長手方向軸線に沿って内向する陥没部42bを備えている。本実施形態では、直径9mm、長さ25mmの本体部42aに対し、陥没部42bは、直径3mm、長さ9mmに設定されている。
【0085】
なお、本体部42aの寸法は、肛門から直腸内に挿入可能な寸法・形状であればよく、上記寸法・形状に限定されるものではない。
【0086】
また、陥没部42bの寸法(直径および長さ)・形状も、特に限定されないが、後述するように、陥没部42bに対して挿入具の陥没保持部48を挿入したとき、摩擦によって凹型坐剤42を保持することができる寸法・形状に設定される。
【0087】
また、陥没部は、図24に示すように、開口部から奥に進むに従い細くなる先細り型陥没部42b'でもよい。
【0088】
次に、図25等を参照して、第2実施形態の坐剤挿入セットに係る凹型坐剤挿入具44について説明する。第1実施形態の凸型坐剤挿入具2と異なる点は、凹型坐剤42を保持する部分の形態である。従って、挿入棒や把持部は凸型坐剤挿入具2と共通である。従って、以下、その相違点についてのみ説明する。
【0089】
図25は、凹型坐剤挿入具44の正面方向の図面であり、図26は凹型坐剤挿入具44の側面方向の図面であり、図27は図25のVI−VI線に沿った断面図である。図25および図26に示されているように、凹型坐剤挿入具44は、先端(一端)に陥没保持部48を備えた細長い棒状あるいは円筒状の凹型坐剤挿入棒46と、凹型坐剤挿入棒46の他端(基端)に取付けられた略円形の薄板状の把持部6とを備えている。
【0090】
陥没保持部48は、凹型坐剤42の陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入して凹型坐剤42を保持する。図27に示されるように、この陥没保持部48は天然ゴム製のスポンジからなるキャップ50で構成されており、凹型坐剤挿入棒46の先端に被さるように配置される。なお、耳かきに用いる綿棒のように構成しても良い。また、陥没保持部48の外径は、陥没保持部48が陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入されたとき、凹型坐剤挿入具44が下方に向けられても凹型坐剤42が抜け落ちない程度の摩擦力を生じるような大きさに設定されている。
【0091】
なお、陥没保持部48の構造は、上記例に限定されるものではなく、凹型坐剤42の陥没部42bあるいは先細り型陥没部42b'に挿入可能であり、且つ凹型坐剤挿入具44が下方に向けられても凹型坐剤42が抜け落ちないような構造であればどのようなものでもよい。
【0092】
例えば、図27と同様の断面図となる図28に示されているように、陥没保持部48は、凹型坐剤挿入棒46の先端に半径方向外側に突出するような保持用突起52を備えるようにしても良い。ここでは特に、径方向に対向する位置に一対の保持用突起52が配置される構成を示している。この保持用突起52は、天然スポンジ片、板状スプリング片、天然ゴム片、植毛シート片、ビロード布片、毛糸片、不織布等によって構成しても良い。
【0093】
なお、第1実施形態の凸型坐剤挿入具2では、図21と図22において、凸型坐剤挿入棒4自体で突起保持部8を構成することを示したが、これと同じ構造を用いて凹型坐剤挿入具44の陥没保持部48を構成することもできる。この場合、図24に示したような、先細り型陥没部42b'を備えた凹型坐剤42をセットとして採用することが好ましい。この先細り型陥没部42b'に対して陥没保持部48を挿入すると、陥没保持部48の先端は、それ自体で細くなりながら侵入し、その弾性変形の復元力によって凹型坐剤42を保持することができる。この結果、凹型坐剤挿入具44の先端が下方に向いても、凹型坐剤42は離脱しない状態となる。
【0094】
図29は、本凹型坐剤挿入具44の他の構成例を示した正面図であり、図30は同挿入具44の側面図である。この例では、凹型坐剤挿入棒46の先端の陥没保持部として、複数本に枝分かれした分岐片54を備える構造となっている。この分岐片54が半径方向に弾性変形できる。なお、ここでは2本の分岐片54によってピンセットの形態とすることにより、凹型坐剤挿入棒46自体で陥没保持部を構成している。なお、分岐片54の先端部は細くなっていることから、この分岐片54を、抵抗なく凹型坐剤42の陥没部42b又は先細り型陥没部42b'に入れることができる。分岐片54の根元側が太くなっているので、陥没部42b又は先細り型陥没部42b'に進入するに伴って摩擦力が生じて、凹型坐剤42を保持することができる。その結果、凹型坐剤挿入具44の先端が下方に向いても、凹型坐剤42は離脱しない状態となる。
【0095】
なお、ここでは特に図示しないが、凹型坐剤挿入具44のもっともシンプルな形態として爪楊枝が挙げられる。尖っている部分が陥没保持部となり、その他端が把持部となり、軸が挿入棒となる。
【0096】
次に、図31等を参照して、この第2実施形態の凹型坐剤挿入具44の他の例に係るシート付凹型坐剤挿入具56について説明する。図31は、シート付凹型坐剤挿入具56の概略的な構成を示す図である。図32は、シート付凹型坐剤挿入具56の使用方法を説明する図ある。このシート付凹型坐剤挿入具56は、
【0097】
凹型坐剤挿入具44と比較して、把持部6から凹型坐剤挿入棒46の先端を覆う2枚のシート34を備えている点で相違する。なお、このシート付凹型坐剤挿入具56は、第1実施形態で示したシート付凸型坐剤挿入具30の素材、形態、機能等についてほぼ一致している。
【0098】
このシート付凹型坐剤挿入具56によれば、2枚のシート34により、使用前は、凹型坐剤挿入棒46や陥没保持部48を衛生的に保管できる。また、使用後は、使用済みの凹型坐剤挿入棒46や陥没保持部48をシート34によって覆うことが出来、これらを外部に露出させることなく衛生的に廃棄することができる。
【0099】
また、凹型坐剤42を直腸内に挿入する際に、シート34が花びらのように拡がっているので、シート34が挿入者の手と肛門等の挿入部位との間に配置され、挿入者の手と肛門等が直接、接触することが回避されるので、衛生的な挿入作業が可能となる。
【0100】
これらの凹型坐剤挿入具44やシート付凹型坐剤挿入具56は、例えば、図19を参照して第1実施形態で示したように、凹型坐剤42とパック入り潤滑剤36とともに、セットとして1つの容器38に包装されて流通させるのが好ましい。
【0101】
この第2実施形態の坐剤挿入セットでは、凹型坐剤42を用いていることから、陥没部42bの周囲が筒構造となり、剛性を高めることが出来る。従って、第1実施形態の凸型坐剤42と比較して、挿入時に凹型坐剤42が折れたり、破損したりすることを抑制できる。このことは逆に、凸型坐剤よりも弱い圧縮強度で成型することが可能であることを示している。この結果、圧縮成型した凹型坐剤42の直腸内での崩壊性が向上し薬剤の放出性も良くなる。
【0102】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1:凸型坐剤
1a:本体部
1b:突起部
2:凸型坐剤挿入具
4:凸型坐剤挿入棒
4a:開口
6:把持部
8、10、12、14、16、18、20、22、40:突起保持部
30:シート付凸型坐剤挿入具
32:カバー
34:シート
36:潤滑剤
38:容器
42:凹型坐剤
42a:本体部
42b:陥没部
42b':先細り型陥没部
44:凹型坐剤挿入具
46:凹型坐剤挿入棒
48:陥没保持部
50:キャップ
52:保持用突起
54:分岐片
56:シート付凹型坐剤挿入具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線に沿って延びる突起部が形成された坐剤を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、
前記坐剤の突起部を収容可能な開口が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、
前記開口に設けられた突起保持部と、
該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入具。
【請求項2】
前記突起保持部が、前記開口の内周面から内方に延びる形状を備えている、
請求項1に記載の坐剤挿入具。
【請求項3】
前記把持部が、薄板形状を有している、
請求項1又は2に記載の坐剤挿入具。
【請求項4】
前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されている、
請求項1ないし3の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項5】
前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えている、
請求項1ないし4の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項6】
前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成する、
請求項5に記載の坐剤挿入具。
【請求項7】
前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されている、
請求項1ないし6に記載の坐剤挿入具。
【請求項8】
長手方向軸線に沿って延びる突起部が後端に形成された坐剤と、
請求項1ないし7の何れか1項に記載の前記坐剤挿入具と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入セット。
【請求項9】
前記坐剤の前記突起部に、前記挿入棒の突起保持部を挿入するとき、接触して摩擦する構造を備えている、
請求項8に記載の坐剤挿入セット。
【請求項10】
前記坐剤が圧縮成型坐剤である、
請求項8又は9に記載の坐剤挿入セット。
【請求項11】
長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、
前記坐剤の陥没部に挿入可能な突起が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、
前記突起の周面に設けられて前記陥没部の内周面と当接する陥没保持部と、
該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入具。
【請求項12】
前記陥没保持部が、前記突起の周面から外側に拡張する形状を備えている、
請求項11に記載の坐剤挿入具。
【請求項13】
前記把持部が、薄板形状を有している、
請求項11又は12に記載の坐剤挿入具。
【請求項14】
前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されている、
請求項11ないし13の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項15】
前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えている、
請求項11ないし14の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項16】
前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成する、
請求項15に記載の坐剤挿入具。
【請求項17】
前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されている、
請求項11ないし16の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項18】
長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤と、
請求項11ないし17の何れか1項に記載の前記坐剤挿入具と、
を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入セット。
【請求項19】
前記坐剤の前記陥没部に対して前記挿入棒の前記陥没保持部を挿入するとき、両者が接触して摩擦する構造を備えている、
請求項18に記載の坐剤挿入セット。
【請求項20】
前記坐剤が圧縮成型坐剤である、
請求項18又は19に記載の坐剤挿入セット。
【請求項1】
長手方向軸線に沿って延びる突起部が形成された坐剤を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、
前記坐剤の突起部を収容可能な開口が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、
前記開口に設けられた突起保持部と、
該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入具。
【請求項2】
前記突起保持部が、前記開口の内周面から内方に延びる形状を備えている、
請求項1に記載の坐剤挿入具。
【請求項3】
前記把持部が、薄板形状を有している、
請求項1又は2に記載の坐剤挿入具。
【請求項4】
前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されている、
請求項1ないし3の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項5】
前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えている、
請求項1ないし4の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項6】
前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成する、
請求項5に記載の坐剤挿入具。
【請求項7】
前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されている、
請求項1ないし6に記載の坐剤挿入具。
【請求項8】
長手方向軸線に沿って延びる突起部が後端に形成された坐剤と、
請求項1ないし7の何れか1項に記載の前記坐剤挿入具と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入セット。
【請求項9】
前記坐剤の前記突起部に、前記挿入棒の突起保持部を挿入するとき、接触して摩擦する構造を備えている、
請求項8に記載の坐剤挿入セット。
【請求項10】
前記坐剤が圧縮成型坐剤である、
請求項8又は9に記載の坐剤挿入セット。
【請求項11】
長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤を体内に挿入するための坐剤挿入具であって、
前記坐剤の陥没部に挿入可能な突起が一端に設けられ、少なくとも体表面から体内の坐剤配置位置に達する長さを有する挿入棒と、
前記突起の周面に設けられて前記陥没部の内周面と当接する陥没保持部と、
該挿入棒の他端に設けられた把持部と、を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入具。
【請求項12】
前記陥没保持部が、前記突起の周面から外側に拡張する形状を備えている、
請求項11に記載の坐剤挿入具。
【請求項13】
前記把持部が、薄板形状を有している、
請求項11又は12に記載の坐剤挿入具。
【請求項14】
前記把持部から前記開口までの長さが、前記体表面から体内の坐剤配置位置の距離に略等しく設定されている、
請求項11ないし13の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項15】
前記基端が前記把持部の近傍において前記挿入棒に固定された複数枚のシートを備えている、
請求項11ないし14の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項16】
前記複数枚のシートは、先端が前記挿入棒の外方位置で、側端が前記挿入棒の側方位置で互いに接続されて、前記挿入棒の少なくとも一部を包囲するカバーを構成する、
請求項15に記載の坐剤挿入具。
【請求項17】
前記挿入具を構成する各部が、生分解性材料で形成されている、
請求項11ないし16の何れか1項に記載の坐剤挿入具。
【請求項18】
長手方向軸線に沿って内向する陥没部が形成された坐剤と、
請求項11ないし17の何れか1項に記載の前記坐剤挿入具と、
を備えている、
ことを特徴とする坐剤挿入セット。
【請求項19】
前記坐剤の前記陥没部に対して前記挿入棒の前記陥没保持部を挿入するとき、両者が接触して摩擦する構造を備えている、
請求項18に記載の坐剤挿入セット。
【請求項20】
前記坐剤が圧縮成型坐剤である、
請求項18又は19に記載の坐剤挿入セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−172791(P2011−172791A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40042(P2010−40042)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509288356)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509288356)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]