説明

坩堝の寿命予測方法および装置ならびに蒸着設備

【課題】坩堝の寿命を予測し、破損や材料漏れなどの事故を未然に防止する。
【解決手段】非導電性材料からなる坩堝Pの寿命を予測するに際し、坩堝Pの底部壁体Pbを誘電体として、静電容量計4により、底部壁体Pbの内面に凝固材料Mを介して接触された内部電極3と、底部壁体Pbの外面に接触された外部電極2との間の静電容量を計測し、この計測値から坩堝Pの寿命を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば真空蒸着に使用する蒸着材料を加熱する坩堝の寿命予測方法および装置ならびに、前記坩堝の寿命予測装置を具備した蒸着設備に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば真空蒸着装置において、蒸着材料を加熱し、溶融蒸発または昇華させるための坩堝は、一定量の蒸着材料が供給され、予熱後に蒸発容器に入れられ真空雰囲気で加熱され、蒸着材料が蒸発されて被蒸着基板に蒸着される。蒸着材料が無くなったり、予定使用量となることにより、蒸着が停止され、使用済みの坩堝が蒸発容器から取出され、新たな予熱済みの坩堝が蒸発容器に供給される。使用済みの坩堝は、冷却された後、次の使用に備えて新たな蒸着材料が供給される。
【0003】
これらの坩堝は、使用毎に加熱と冷却が繰り返されており、坩堝は蒸着材料と反応を生じるものがあり消耗品とみなされている。しかし、蒸着材料と反応しない材質、たとえばPBN(熱分解窒化ホウ素)からなる坩堝も広い範囲の蒸着材料に使用されている。
【0004】
ところで、従来技術には、たとえば特許文献1に示されるように、坩堝の構造により寿命を延ばすものが提案されているが、坩堝の寿命を測るものは見当らない。
【特許文献1】特開平9−67666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえばPBNのように、蒸着材料と反応しない材質の坩堝の場合、外見から坩堝の劣化がわからないという問題があった。このため加熱中に坩堝が突然破損して蒸着材料が流れ出し、加熱装置や蒸発室にダメージを与えるといった事故が発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決して、坩堝の寿命を予測して破損や材料漏れなどの事故を未然に防止することができる坩堝の寿命予測方法および装置ならびに、その寿命予測装置を具備した蒸着設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、導電性の材料を加熱して溶融気化する非導電性材料からなる坩堝の寿命を予測するに際し、前記坩堝の材料収容部位の壁体を誘電体として、壁体の内面に直接または凝固した前記材料を介して接触された内部電極と、壁体の外面に接触された外部電極の間の静電容量を計測し、この計測値から坩堝の寿命を予測するものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値を予め記録しておき、計測値が前記初期静電容量値と最終静電容量値の間のどの位置にあるかを判断して寿命を予測するものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、使用開始から破損前までの使用回数とその静電容量値とを予め記録しておき、計測値に近似する前記記録値の使用回数から坩堝が使用可能な回数を判断して寿命を予測するものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、材料を加熱して溶融気化する非導電性材料からなる坩堝の寿命を計測する坩堝の寿命予測装置であって、前記坩堝の材料収容部位の壁体の外面に接触して配置される外部電極と、前記壁体の材料収容部位の内面に直接または凝固材料の表面に接触して配置される内部電極と、前記外部電極と内部電極の間の静電容量を計測する静電容量計測手段と、予め計測された前記外部電極と内部電極の間の静電容量値を記録する記録部と、前記記録部の記録値に基いて坩堝の寿命を予測する寿命判断部とを具備したものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、記録部は、使用前または使用初期の外部電極と内部電極の間の初期静電容量値と、破損前の外部電極と内部電極の間の最終静電容量値とが記録され、寿命判断部は、静電容量計測手段による計測値が初期静電容量値と最終静電容量値と間でどの位置にあるかを判断して寿命を予測するように構成されたものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、記録部は、使用開始から破損前までの坩堝の使用回数と外部電極と内部電極の間の静電容量値とが記録され、寿命判断部は、静電容量計測手段による計測値が近似する前記記録値の使用回数から坩堝が使用可能な残りの回数を判断して寿命を予測するように構成されたものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、坩堝の材料収容部位の壁体の外面に、導電処理材が被覆されたものである。
請求項8記載の発明は、複数の坩堝を移送する周回経路上に、坩堝に材料を供給する材料供給部と、坩堝を加熱して材料を加熱溶融し気化した材料を被蒸着材料に蒸着させる蒸着部と、請求項4乃至7記載の坩堝の寿命予測装置により坩堝の劣化を検査する劣化検査部とを具備したものである。
【発明の効果】
【0014】
上記請求項1記載の発明によれば、坩堝は加熱と冷却の繰返しにより、内面の浸透しやすい部位やマイクロクラックから材料が壁体内に浸透していき、材料の膨張、圧縮より内壁を浮き上がらせるなどの作用により剥離破壊し壁体を劣化させる。この時、内部電極が接触される凝固した導電性の材料は、壁体に浸透しており、使用前の壁体と比較すると、内部電極と外部電極間の距離と面積とを変化させることになり、壁体を誘電体とした静電容量が変化する。このように材料が浸透し劣化される壁体を誘電体として、その静電容量の変化から坩堝の寿命を計測して、外観からわからない坩堝の劣化(壁体の厚みの減少、図4参照)および寿命を精度よく予測することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値から寿命を予測するので、データの取得と寿命の予測を容易に行うことができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、坩堝の使用回数とその時の静電容量値から使用可能な回数を判断するので、より精度良く寿命を予測することができる。
請求項4記載の発明によれば、加熱と冷却の繰返しにより、内面の浸透しやすい部位やマイクロクラックから材料が壁体内に浸透していき、壁体を浸食して劣化をさせる。この時、内部電極が接触される凝固した導電性の材料は、壁体への浸透により面積と距離が変化するため、壁体を誘電体とした静電容量が変化する。この静電容量を計測し、劣化判断部により記録部の記録値に基いて外観からわからない坩堝の劣化および寿命を正確に予測することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、記録部の使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値のデータから寿命を予測するので、容易に寿命を予測することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、静電容量を計測して、記録部の坩堝の使用回数とその時の静電容量値から使用可能な回数を判断するので、外観からわからない坩堝の劣化および寿命を精度よく予測することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、壁体の外面に被覆された導電体層により、使用毎の壁体と外部電極との接触状態を均一に保持することができ、静電容量を精度良く計測することができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、周回経路に沿って坩堝を連続的に移動させて交換可能な蒸着設備において、周回経路上に劣化検査部を設けたので、坩堝の寿命を精度よく予測することができ、坩堝の劣化による材料漏れなどの事故を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
まず、レボルバー形供給装置を具備した蒸着設備と、この蒸着設備に設置された坩堝寿命予測装置について説明する。
【0022】
図2に示すように、レボルバー形坩堝循環装置RPは、真空に保持される蒸着室内に設置されるもので、蒸着運転作業に基く坩堝交換時間ごとに間欠的に旋回される旋回テーブルTに、等間隔ごとに複数(図では6箇所)の坩堝保持部Tpが設けられ、これら坩堝保持部Tpは、旋回経路(周回経路)Sに沿って設けられた材料供給部A→待機部B→予熱部C→蒸着部D→冷却部E→劣化検査部Fの順に間欠的に移動される。
【0023】
前記材料供給部Aでは、供給樋A1から所定量の導電性の蒸着材料(材料)Mが坩堝Pに供給される。前記予熱部Cでは、図示しないつるぼ昇降装置により、坩堝Pが旋回テーブルTから持ち上げられて予熱炉C1に挿入され予熱される。
【0024】
前記蒸着部Dでは、図3に示すように、つるぼ昇降装置(図示せず)により、坩堝保持体D2を介して坩堝Pが保持され、旋回テーブルTの坩堝保持部Tpから上昇されて蒸発室D1に挿入支持される。そして、坩堝保持体D2と蒸発室壁体D3に内装されたニクロム線ヒータ、タングステンヒータ、タンタルヒータ、カーボンヒータなどの加熱源HCにより加熱されて蒸着材料Mが溶融され蒸着室内の図示しない被蒸着材に蒸着される。さらに蒸着材料Mが所定量以下になるか、または無くなると、使用後の坩堝Pは、蒸発室D1から旋回テーブルTの坩堝保持部Tpに取り出され、前記冷却部Eで坩堝Pが周囲の温度まで空冷される。前記劣化検査部Fでは、本発明に係る寿命予測装置1により坩堝Pの寿命が計測される。
【0025】
前記坩堝Pは、たとえばPBN(熱分解窒化ホウ素)、石英、アルミナ、グラファイトなどの非導電性材料により形成されている。たとえば導電性の蒸着材料Mにアルミニウムが使用される場合、蒸発温度が1300℃以上が必要となるため、また坩堝Pとの濡れ性を考慮してPBN(熱分解窒化ホウ素)が使用されることが多い。このPBNは、図5に示すように、六方晶系の格子構造を持っており、積層面に垂直なc方向に対して溶融金属に対する耐食性が高い。しかし、積層面と平行なa−b方向に対しては耐食性が低下する。これは、PBNが熱CVD法により形成されるため、配向性が高く、比較的均一な結晶方位を持つが、それでもいくらかの異方性は残される。
【0026】
このため、図4に示すように、PBN製壁体Pbからなる坩堝Pにより蒸着材料Mであるアルミニウムを加熱溶融して蒸発させると、坩堝Pの内面にわずかに残されるa−b方向の断面や、マイクロクラックから溶融アルミニウムが壁体Pb内に浸透していくことが知られている。PBN製の壁体Pb内に浸透した溶融アルミニウムは、坩堝Pの加熱と冷却の繰返しにより亀裂進展させ、さらに壁体Pbの奥部に浸透していき壁体Pbの機械的強度を劣化させ、坩堝Pの割れとなって破損に至ることになる。
【0027】
この寿命予測装置1は、図1に示すように、導電体である蒸着材料が非導電体である壁体Pbが浸食された場合、壁体Pbを誘電体として壁体Pbの静電容量を計測すると、浸食されていない壁体に比較して、浸食された壁体Pbの静電容量が増大することに着目したもので、坩堝Pの蒸着材料Mの収容部位である底部壁体Pbを誘電体とし、その内面と外面とに配置した電極2,3間の静電容量を計測し、この計測値から坩堝Pの劣化状態を判断し寿命を予測するものである。
【0028】
すなわち、寿命予測装置1は、坩堝Pの蒸着材料Mの収容部位である底部壁体Pbの外面に密接される外部電極2と、前記底部壁体Pbの内面に直接、または凝固した蒸着材料Mを介して密接される内部電極3と、外部電極2と内部電極3の間の静電容量を計測する静電容量計(静電容量計測手段)4と、予め実験等により寿命の予測に必要なデータを記録する記録部5と、記録部5の記録値から坩堝Pの寿命を予測する劣化判断部6と、寿命すなわち残りの使用可能な回数を表示する表示部7とが具備されている。
【0029】
前記外部電極2は、ブロック上面に坩堝Pの底部壁体Pbに外嵌可能な凹部2aを有し、下部ロッド11を介して昇降自在に支持されており、旋回テーブルTの坩堝保持部Tpに形成された開口部Twを介して下方から上昇されて、坩堝Pの底部壁体Pbに嵌合され凹部2aが密接されるように構成されている。また、これら坩堝Pの底部壁体Pbの外面には、予めたとえば導電処理材であるグラファイトなどの導電体層8が蒸着被覆されており、外部電極2との接触性を向上させ計測精度を向上させ計測を安定して行うことができる。
【0030】
前記内部電極3は、昇降自在な上部ロッド12に支持され、坩堝Pの底部壁体Pbの内面および冷却されて凝固された蒸着材料Mの表面に密接されるもので、たとえば表面の密着度を高めるために柔軟性ある接触面を有する材質や構造が選択される。また、使用を開始した坩堝Pで蒸着材料Mを残して取出された坩堝Pでは、凝固された蒸着材料Mを介して底部内面に密着される。この蒸着材料Mは導電体であるため、残存する凝固蒸着材料Mの接触面全体が電極面積となる。そして、一定量の蒸着材料Mを残して坩堝Pが交換されるため、蒸着材料Mの電極面が変化することがない。なお、使用前や蒸着材料を残さずに蒸発させる場合には、内部電極3が坩堝Pの底部壁体Pbに直接密接され、その接触範囲の電極面積となる。
【0031】
静電容量計4により計測される静電容量:C[F]は、Q:電極上の電荷、V:電極間の電位差、平面電極間の距離:d[m]、電極面積:S[m2]、誘電体の誘電率:εとすると、C=Q/V=ε・S/dで表され、誘電率と電極面積に比例し、電極間の距離に反比例することになる。
【0032】
前記記録部5と劣化判断部6では、第1と第2の方法から坩堝Pの寿命が判断される。ここでは、一定量の蒸発材料Mが残されるものとする。
(第1の寿命予測方法)記録部5では、サンプルとなる坩堝Pに対して初回または初期の使用時に、静電容量計4により外部電極2と内部電極3の間の初期静電容量を計測し記録する。そして、坩堝Pを使用して加熱と冷却を繰り返し、使用経験などにより使用限界と推測される破損前の坩堝Pに対して、静電容量計4により外部電極2と内部電極3の間の最終静電容量を計測し記録する。そして劣化判断部6では、静電容量計4により計測された計測値が、記録部5の初期静電容量値から漸次増加する最終静電容量値の間のどの位置にあるかを判断し、次回の利用可能性や残りの使用可能な回数(寿命)を判断し、表示部7に表示する。
【0033】
(第2の寿命予測方法)記録部5では、サンプルとなる坩堝Pに対して、使用開始または初期から使用限界と推測される破損前まで、毎回または所定の使用回数毎に静電容量値を計測し、坩堝Pの使用回数と静電容量とをそれぞれ記録する。そして劣化判断部6では、記録部5の記録値と計測値とを比較して近似値の記録値の使用回数から残りの使用可能回数(寿命)を判断し、表示部7に表示する。
【0034】
上記坩堝循環装置RPにおいて、材料供給部Aで所定量の導電性の蒸着材料Mが供給され坩堝Pは、予熱部Cで予熱炉C1により予熱される。さらに蒸着部Dで、蒸発室D1で加熱されて蒸着材料Mが溶融され、気化された蒸着材料Mが蒸着室C2で被蒸着材に蒸着される。そして蒸着材料Mが少なくなると、蒸発室D1から坩堝Pが坩堝保持部Tpに取り出され、冷却部Eで冷却された後、劣化検査部Fで寿命予測装置1により寿命が予測される。坩堝Pの劣化状態が検査される。
【0035】
すなわち、旋回テーブルTが停止されると、下部ロッド11が上昇されて坩堝Pの底部壁体Pbの外面に外部電極2が導電層8を介して面接触され、さらに上部ロッド12が下降されて内部電極3が底部壁体Pbに凝固した蒸着材料Mを介して面接触される。そして静電容量計4により、底部壁体Pbを誘電体としての内面に配置された後、外部電極2と内部電極3の間の静電容量が計測される。次いで劣化判断部6により、記録部5のデータに基いてその坩堝Pの寿命が予測される。
【0036】
ここで第1の寿命予測方法では、記録部5に使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値を予め記録しておき、劣化判断部6で静電容量計4の計測値が記録部5の前記初期静電容量値と最終静電容量値の間のどの位置にあるかを判断し、使用可能な回数を判断して寿命を予測する。
【0037】
また第2の寿命予測方法では、記録部5で使用開始から破損前までの坩堝Pの使用回数とその静電容量値とが予め記録されており、劣化判断部6で、記録部5の記録値と静電容量計4の計測値とを比較し、近似する記録値の使用回数から使用可能な回数を判断して寿命を予測する。
【0038】
上記実施の形態によれば、加熱と冷却の繰返しにより蒸着材料Mが底部壁体Pb内に浸透して劣化させる。これを内部電極3と外部電極2とにより凝固した蒸着材料Mを介して底部壁体Pbの静電容量を計測する。底部壁体Pbの劣化が進めば、内部電極3に導通する凝固した蒸着材料Mの面積および距離が変化して静電容量が変化するので、底部壁体Pbの劣化を判断して、残された使用可能回数を予測することができ、外観からわからない坩堝の劣化および寿命を容易に予測することができる。
【0039】
また記録部5の使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値のデータに基いて、劣化判断部6で静電容量計4の計測値を比較して寿命を予測することにより、記録部5のデータの取得と寿命の予測を容易に行うことができる。
【0040】
さらに記録部5の坩堝Pの使用回数とその時の静電容量値のデータに基いて、劣化判断部6で静電容量計4の計測値を比較し、坩堝Pの使用可能な回数を判断するので、より精度良く寿命を予測することができる。
【0041】
また底部壁体Pbの外面に被覆された導電処理材により、使用毎の壁体と外部電極との接触状態を均一に保持することができ、精度良く静電容量を計測することができる。
さらに旋回テーブルTの周回経路Sに沿って坩堝Pを間欠的に循環移動させて交換可能な蒸着設備において、使用後の坩堝Pを検査する劣化検査部Fを周回経路S上に設けることにより、坩堝Pの寿命を正確に予測することができ、坩堝Pの劣化による材料漏れなどの事故を未然に防止することができる。
【0042】
なお、坩堝Pの底部を半球体形としたが、図6に示すように、平面形の坩堝とすることができる。この場合、外部電極2’および内部電極3’とも接触面を平面状に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る蒸着設備の実施の形態を示し、全体構造の概略斜視図である。
【図2】同蒸着部の側面断面図である。
【図3】同寿命予測装置の構成図である。
【図4】坩堝の壁体の劣化状態を示す拡大断面図である。
【図5】坩堝の材質(PBN)の原子配列構造を示す図である。
【図6】坩堝と電極の他の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
A 材料供給部
C 予熱部
D 蒸着部
D1 蒸発室
E 冷却部
F 劣化検査部
S 旋回経路
T 旋回テーブル
RP 坩堝循環装置
M 蒸着材料
P 坩堝
Pb 底部壁体
PR 坩堝循環装置
1 寿命予測装置
2,2’ 外部電極
3,3’ 内部電極
4 静電容量計
5 記録部
6 劣化判断部
7 表示部
8 導電体層
11 下部ロッド
12 上部ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の材料を加熱して溶融気化する非導電性材料からなる坩堝の寿命を予測するに際し、
前記坩堝の材料収容部位の壁体を誘電体として、壁体の内面に直接または凝固した前記材料を介して接触された内部電極と、壁体の外面に接触された外部電極の間の静電容量を計測し、この計測値から坩堝の寿命を予測する
坩堝の寿命予測方法。
【請求項2】
使用前または使用初期の初期静電容量値と、破損前の最終静電容量値を予め記録しておき、
計測値が前記初期静電容量値と最終静電容量値の間のどの位置にあるかを判断して寿命を予測する
請求項1記載の坩堝の寿命予測方法。
【請求項3】
使用開始から破損前までの使用回数とその静電容量値とを予め記録しておき、
計測値に近似する前記記録値の使用回数から坩堝が使用可能な回数を判断して寿命を予測する
請求項1記載の坩堝の寿命予測方法。
【請求項4】
材料を加熱して溶融気化する非導電性材料からなる坩堝の寿命を計測する坩堝の寿命予測装置であって、
前記坩堝の材料収容部位の壁体の外面に接触して配置される外部電極と、
前記壁体の材料収容部位の内面に直接または凝固材料の表面に接触して配置される内部電極と、
前記外部電極と内部電極の間の静電容量を計測する静電容量計測手段と、
予め計測された前記外部電極と内部電極の間の静電容量値を記録する記録部と、
前記記録部の記録値に基いて坩堝の寿命を予測する寿命判断部とを具備した
坩堝の寿命予測装置。
【請求項5】
記録部は、使用前または使用初期の外部電極と内部電極の間の初期静電容量値と、破損前の外部電極と内部電極の間の最終静電容量値とが記録され、
寿命判断部は、静電容量計測手段による計測値が初期静電容量値と最終静電容量値と間でどの位置にあるかを判断して寿命を予測するように構成された
請求項4記載の坩堝の寿命予測装置。
【請求項6】
記録部は、使用開始から破損前までの坩堝の使用回数と外部電極と内部電極の間の静電容量値とが記録され、
寿命判断部は、静電容量計測手段による計測値が近似する前記記録値の使用回数から坩堝が使用可能な残りの回数を判断して寿命を予測するように構成された
請求項4記載の坩堝の寿命予測装置。
【請求項7】
坩堝の材料収容部位の壁体の外面に、導電処理材が被覆された
請求項4乃至6のいずれかに記載の坩堝の寿命予測装置。
【請求項8】
複数の坩堝を移送する周回経路上に、
坩堝に材料を供給する材料供給部と、
坩堝を加熱して材料を加熱溶融し気化した材料を被蒸着材料に蒸着させる蒸着部と、
請求項4乃至7記載の坩堝の寿命予測装置により坩堝の劣化を検査する劣化検査部とを具備した
蒸着設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−31772(P2007−31772A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216583(P2005−216583)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】