説明

垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造

【課題】垂直循環式駐車装置の中ケージレールを直接ビル側から支持させないようにして、ビル室に騒音、振動が伝わらないようにした垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造を提供する。
【解決手段】支柱10に水平支持部材15を介して固設した水平支持部材16により中ケージレール8を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル内に組込んだ垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造に係り、特に中ケージレールにケージがぶつかって生じた衝撃によりビル室内に騒音、振動が伝わらないようにした垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直循環式駐車装置は、図3に示すように、上部及び下部のスプロケットホイール1,2に張設された2本のエンドレスリンクチェーン3にアタッチメント4を介して数十個のケージ5を懸吊支持し、マシンスペース6上に配置されている駆動装置7により上部のスプロケットホイール1を回転せしめ、これによりエンドレスリンクチェーン3を昇降させて各ケージ5を垂直方向に移動循環させるよう構成されている。又、垂直循環式駐車装置は、ケージ5が垂直方向へ移動循環する際にケージ5を支持し、案内し得るよう、上下に延在する中ケージレール8を左右に夫々2本ずつ、合計4本備えている。図3中、矢印Aは車両の進入方向である。
【0003】
而して、垂直循環式駐車装置は、図4〜図6に示すように、ビル内の駐車空間9の四隅近傍に立設された4本の自立型の支柱10を備えた構造体により支持されており、ケージ5のパレット11に水平設置されたガイドローラ12は、ケージ5の昇降時に中ケージレール8に対し転動し得るようになっている。
【0004】
又、中ケージレール8は、上下方向へ所定の間隔で、例えばビルの各階の梁部13にブラケット14を介して支持されるか(図5、図6参照)、支柱10に支持された水平部材10’にブラケット(図示せず)を介して支持されるようになっており、梁部13に支持される中ケージレール8のブラケット14は、アンカーボルト(図示せず)により梁部13の側面に固定され、又、中ケージレール8はボルト締結或は溶接によりブラケット14に固定されている。ブラケット14には、鋼製で且つ防振ゴムを設けたものや、防振ゴムは設けてないものもある。
【0005】
垂直循環式駐車装置の先行技術文献としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1は、ビル内の駐車空間に立設した支柱を有する鉄塔により垂直循環式駐車装置を支持するビル内鉄塔型垂直循環式駐車装置の支柱の防振支持ブラケットであって、先端に防振ゴムを有して支柱からビルの柱又は梁に向って張り出して設けられ、防振ゴムとビルの柱又は梁とは所要の隙間を介して対峙している。
【特許文献1】特開平10−115113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5、図6に示す中ケージレール支持構造においては、ケージ5が垂直方向へ移動循環する際に中ケージレール8にぶつかるため、その衝撃が中ケージレール8及びブラケット14を介してビル室内に騒音、振動として伝わり、ビル室の居住性の低下に繋がっている。又、特許文献1の防振支持ブラケットにあっても、図5、図6の支持構造と同様な問題がある。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み、垂直循環式駐車装置の中ケージレールを直接ビル側から支持させないようにして、ビル室に騒音、振動が伝わらないようにした垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造を提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、垂直循環式駐車装置を支持する構造体の支柱に固設した支持部材により、前記垂直循環式駐車装置のケージを案内する中ケージレールを支持したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造によれば、ケージが垂直方向へ移動循環する際に中ケージレールにぶつかっても、中ケージレールからビル側に伝わる騒音、振動を著しく低減することができるため、ビル室の居住性を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図5、図6と同一の符号を付した部分は同一のものを示している。
【0011】
4本の自立型の支柱10のうちビルの駐車空間9の梁部13に近接して立設されている支柱10のフランジ10aに、水平支持部材15の一端を溶接、ボルト止め等により固定すると共に、該水平支持部材15を梁部13側に延在させ、水平支持部材15の梁部13側端部に、対向配置された2本の水平支持部材15(図1では片側のみ図示)を連結するように、水平支持部材16を溶接、ボルト止め等により取付け、水平支持部材16に中ケージレール8を溶接、ボルト止め等により固定する。而して、水平支持部材15、16により中ケージレール8の支持部材が構成されている。
【0012】
中ケージレール8は、ビルの梁部13には支持されていない水平支持部材15、16側に支持されており、直接ビル側からは支持されていないため、ケージ5が垂直方向へ移動循環する際に中ケージレール8にぶつかっても、中ケージレール8からビル側に伝わる騒音、振動を著しく低減することができる。このため、ビル室の居住性を良好に維持することができる。
【0013】
又、水平支持部材15、16としては通常購入できる型鋼等の鋼材を使用することができるため、簡単に施工できて有効性が高く、更に、新築工事、改修工事の何れに対しても適用できるため、汎用性が高く、更に又、垂直循環式駐車装置なら自立型、非自立型の何れに対しても適用可能である。
【0014】
なお、本発明の垂直循環式駐車装置の中ケージレール支持構造は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造の実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】垂直循環式駐車装置の一例を示す鳥瞰図である。
【図4】垂直循環式駐車装置の中ケージレールの従来の支持構造を示す全体平面図である。
【図5】図4のV部詳細図である。
【図6】図5のVI−VI方向矢視図である。
【符号の説明】
【0016】
8 中ケージレール
10 支柱
15 水平支持部材(支持部材)
16 水平支持部材(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直循環式駐車装置を支持する構造体の支柱に固設した支持部材により、前記垂直循環式駐車装置のケージを案内する中ケージレールを支持したことを特徴とする垂直循環式駐車装置における中ケージレール支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−291459(P2008−291459A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136302(P2007−136302)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)