埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システム
【課題】簡便な装置にもかかわらず、高い精度で埋設管の形状を算出する埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システムを提供する。
【解決手段】本発明の埋設管形状算出装置1は、本体部2と、本体部2から延伸し、可動する第1アーム5と、第2アーム6と、第1アーム5に接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部7と、第2アーム6に接続される第2接触部8と、第1接触部7の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部8の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部7と第2接触部8との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部20と、第1接触部7が接触する内壁の接線に対して、第1アーム5が形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部8が接触する内壁の接線に対して、第2アーム6が形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部21と、を備える。
【解決手段】本発明の埋設管形状算出装置1は、本体部2と、本体部2から延伸し、可動する第1アーム5と、第2アーム6と、第1アーム5に接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部7と、第2アーム6に接続される第2接触部8と、第1接触部7の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部8の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部7と第2接触部8との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部20と、第1接触部7が接触する内壁の接線に対して、第1アーム5が形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部8が接触する内壁の接線に対して、第2アーム6が形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部21と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された埋設管の内部形状を、3次元的に算出できる埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国をはじめ、各国において水道管、下水管などの多数の埋設管が、地中に埋設されている。これらの埋設管は、老朽化、地震などの天災、工事振動による人災などの影響を受け、埋設時とその形状を変化させることが多い。例えば、埋設管が湾曲したり、折れ曲がったり、変形したりするなどである。このように、埋設管の形状が変化してしまうと、上水や下水の流れに悪影響が生じたり、水漏れによる故障が生じたりする。
【0003】
一方で、埋設管は地中に埋設されているので、その状態を地上から確認することはきわめて難しい。勿論、埋設管を掘り出して確認することは、多大な労力を要し、現実的な手法とは言いがたい。
【0004】
このため、埋設管を掘り出すことなしに、埋設された埋設管の形状を正確に算出することが求められていた。埋設管の形状を算出できることで、埋設管における問題を早期に確認でき、必要な修理や交換を行うことができる。結果として、埋設管の故障によって生じる災害などを防止できる。
【0005】
このような、埋設管の形状を算出するために、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開平7−234124号公報
【特許文献2】特開平7−311022号公報
【特許文献3】特開平8−219782号公報
【特許文献4】特開平9−14932号公報
【特許文献5】特開2001−141431号公報
【特許文献6】特開2005−345118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、管路内部を走行する装置が、管路内部に光を照射し、この照射光の反射波を用いて、管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、光の反射を利用するため、装置が大掛かりになると共に受光精度の劣化によって算出精度も劣化する問題がある。また、管路内部の形状を算出することはできるが、2次元あるいは3次元での、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを算出することができない問題がある。
【0008】
また、特許文献2は、管路内部を走行する装置が、管路の曲率を算出する技術を開示する。
【0009】
しかしながら、特許文献2の技術では、管路の曲率を算出できるだけで、管径変化や内部障害物を算出できない。また、各位置における所定の基準線に対する曲率を測定できるだけであるので、左右方向、上下方向といった3次元的な管路の湾曲を算出することが困難である問題を有する。
【0010】
特許文献3は、管路を走行する2台の装置同士でレーザー光をやり取りし、このレーザー光の揺動によって管路の屈曲を算出する技術を開示する。
【0011】
しかしながら、特許文献3の技術では、レーザー光のやり取りが可能な範囲での屈曲しか算出できず、屈曲以外の管路の形状を算出することが困難である。加えて、レーザー光のやり取りを基本とするため、装置が大掛かりになると共にレーザー光のやり取りエラーなどの問題も生じさせる。
【0012】
特許文献4は、特許文献1、3と同様に、照射光を利用して管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0013】
しかしながら、装置が大掛かりとなったり、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物などの全てを算出できなかったりする問題がある。また、光学系を用いることでの算出精度の劣化も懸念される。
【0014】
特許文献5は、特許文献4と同様の技術であり、同様の問題を有する。
【0015】
特許文献6は、管路に配置された装置が電磁波パルスを管路に照射して、管路に含まれる空洞を算出する技術を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献6の技術では、装置が大掛かりになると共に、ある所定位置での空洞を算出できるが、管路全体に渡って、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを測定するのには不適である。また、小径の管路以外には適さない問題もある。
【0017】
以上のように、従来技術の管路算出装置は、(1)管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物、3次元での湾曲や屈曲など、の全てを算出すること、(2)(1)に列挙する項目を、個別に算出すること、(3)簡便な装置による高い算出精度で算出すること、(4)低コストに算出すること、が困難であるとの問題を有していた。
【0018】
本発明は、上記(1)〜(4)の問題を解決しつつ、簡便な装置にもかかわらず、高い精度で埋設管の形状を算出する埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題に鑑み、本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管内を移動可能な本体部と、本体部から延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、本体部から、第1アームと異なる方向に延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、第1アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、第2アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部と第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、第1接触部が接触する内壁の接線に対して、第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部が接触する内壁の接線に対して、第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管を掘り出すことなしに、簡便な装置で、埋設管の3次元形状を算出できる。
【0021】
特に、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物、3次元での湾曲や屈曲など、の全てを算出できるとともに、これらの一部を個別に算出することもできる。
【0022】
また、実際に埋設管の内径に沿って埋設管の形状を算出するので、高い精度で算出できる。加えて、光学系を用いないことで装置が簡易になり、複雑な系を備える必要がなくなり、算出精度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の発明に係る埋設管形状算出装置は、本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管内を移動可能な本体部と、本体部から延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、本体部から、第1アームと異なる方向に延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、第1アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、第2アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部と第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、第1接触部が接触する内壁の接線に対して、第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部が接触する内壁の接線に対して、第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える。
【0024】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の算出に必要な全てのデータを算出できる。更に、距離や角度は、埋設管の内壁に接触する接触部より算出できるので、光学系を用いる場合よりも、その算出精度が高い。
【0025】
本発明の第2の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1の発明に加えて、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、埋設管の内部形状を算出する形状算出部を、更に備える。
【0026】
この構成により、埋設管形状算出装置は、簡便な装置でありながら、高い精度で埋設管の内部形状を算出できる。
【0027】
本発明の第3の発明に係る埋設管形状算出装置では、第2の発明に加えて、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度に基づいて、埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出する。
【0028】
この構成により、埋設管形状算出装置は、高い精度で埋設管の内部形状を3次元にて算出できる。
【0029】
本発明の第4の発明に係る埋設管形状算出装置では、第3の発明に加えて、形状算出部は、連続する複数の立体形状に基づいて、埋設管の3次元形状を算出する。
【0030】
この構成により、埋設管形状算出装置は、高い精度で埋設管の内部形状を3次元にて算出できる。
【0031】
本発明の第5の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4の発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第1距離と第2距離との差分に基づいて、埋設管の湾曲を算出する。
【0032】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の湾曲については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である湾曲を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0033】
本発明の第6の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第5のいずれかの発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第3距離の変化に基づいて、埋設管の内径変化を算出する。
【0034】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内径変化については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である内径変化を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0035】
本発明の第7の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第6のいずれかの発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度に基づいて、埋設管内部の障害物の形状を算出する。
【0036】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の障害物形状については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である障害物形状を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0037】
本発明の第8の発明に係る埋設管形状算出装置では、第2から第7のいずれかの発明に加えて、角度算出部は、本体部の傾斜角度を検出し、形状算出部は、傾斜角度、第1距離および第2距離に基づいて、埋設管の深度を算出する。
【0038】
この構成により、埋設管形状算出装置は、少ないデータ量で、埋設管の深度を算出できる。
【0039】
本発明の第9の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、第1アームおよび第2アームのそれぞれは、第1接触部および第2接触部のそれぞれを埋設管の内壁に接触させるように、本体部を基準に開閉および伸縮の少なくとも一方を行う。
【0040】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状を、高い精度で検出できる。
【0041】
本発明の第10の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、本体部から、第1アームおよび第2アームと異なる方向に延伸する第3アームと、第3アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第3接触部と、を更に備え、第1アーム、第2アームおよび第3アームは、第1接触部、第2接触部および第3接触部とを用いて、埋設管との接触部位を増加させる。
【0042】
この構成により、埋設管形状算出装置は、更に高い精度で、埋設管の内部形状を算出できる。
【0043】
本発明の第11の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、第1距離、第2距離、第1角度、第2角度および第3角度の少なくとも1つの情報を送信する送信部を更に備える。
【0044】
この構成により、埋設管形状算出装置は、必要なデータを使用者の元に送信できる。
【0045】
本発明の第12の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、第1距離、第2距離、第1角度、第2角度および第3角度の少なくとも1つの情報を記憶する記憶部を更に備える。
【0046】
この構成により、埋設管形状算出装置は、形状の算出に必要となるデータを、保存することができる。
【0047】
本発明の第13の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第12のいずれかの発明に加えて、3次元形状を、表示する表示部を更に備える。
【0048】
この構成により、埋設管の形状を容易に把握できる。
【0049】
本発明の第14の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、埋設管に貫通孔を穿つ穿孔部と、貫通孔から、埋設管外部に、硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方を投入する。
【0050】
この構成により、使用者は、埋設管の修理が自動的に行われる。
【0051】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0052】
なお、本明細書における埋設管とは、下水管、上水管、多目的管など、地中に埋設されている管路を言う。
【0053】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
【0054】
まず、埋設管形状算出装置の概要を図1〜図3を用いて説明する。
【0055】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の斜視図である。
【0056】
埋設管形状算出装置1は、埋設管内部を移動可能な本体部2と、本体部2から延伸するアーム部4とを備える。アーム部4は、複数のアームを備えており、複数のアームのそれぞれは、埋設管の内壁に接触して移動可能な接触部を備えている。
【0057】
図1では、アーム部4は、8本のアームを備え、8本のアームのそれぞれが、接触部を接続している。
【0058】
本体部2は、埋設管内を移動可能にする駆動部の例としてのクローラー3を備えている。クローラー3は、動力源からの動力を受けて駆動し、本体部2を移動させる。なお、クローラー3は、自動でも手動でもいずれで駆動されても良い。
【0059】
アーム部4は、8本のアームを有しているが、この8本のアームの中の一つを第1アーム5、もう一つを第2アーム6とする。第1アーム5が有する接触部を第1接触部7とし、第2アーム6が有する接触部を第2接触部8とする。アーム部4は、更に第3アーム10、第4アーム11を備え、第3アーム10は、第3接触部12を有し、第4アーム11は、第4接触部13を有する。
【0060】
埋設管形状算出装置1が、埋設管の形状算出に必要なデータを得るためには、アーム部4は、第1アーム5と第2アーム6との2本のアームを備えれば良いが、第3アーム10を備えることで、本体部2(すなわち埋設管形状算出装置1)を埋設管内部で3次元的に固定できる。また、アーム部4が3以上のアームを備えることで、埋設管形状算出装置1は、埋設管形状を3次元的に算出しやすくなる。
【0061】
アーム部の備える各アームは、本体部2を基準に、傘のように開閉したり伸縮したりして、アームの備える接触部を常に埋設管の内壁に接触させることができる。
【0062】
埋設管形状算出装置1は、距離算出部20と角度算出部21を更に備える。加えて、埋設管形状算出装置1は、埋設管の内部形状を算出する形状算出部22を備える。なお、距離算出部20、角度算出部21のそれぞれは、本体部2の内部に備えられてもよいし、アーム部4に備えられても良い。また、形状算出部22は、本体部2あるいはアーム部4の内部に備えられてもよいし、埋設管形状算出装置1の外部に設けられても良い。
【0063】
埋設管形状算出装置1は、埋設管内部を移動する。この移動の際において、本体部2からアーム部4が開閉あるいは伸縮して、複数のアームのそれぞれが有する接触部が、埋設管内壁に接触する。複数のアームのそれぞれは、それぞれが有する接触部が常に埋設管の内壁に接触(物理的に厳密な接触を必要とせず、埋設管の内壁から一定距離を保つ状態でもよい)させるように、開閉あるいは伸縮する。埋設管形状算出装置1は、複数のアームのそれぞれの開閉や伸縮を利用して、複数の接触部のそれぞれを埋設管の内壁に接触させながら埋設管内部を移動する。
【0064】
図2に、埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の状態を示す。図2は、本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の側面図である。
【0065】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を、クローラー3の駆動力によって移動する。図2に示されるように、アーム部4から複数のアームが傘のように開閉し、各アームに接続されている接触部は、埋設管30の内壁31に接触している。このように、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを動作させて複数の接触部のそれぞれを内壁31に接触させながら、埋設管30内部を移動する。この際に、距離算出部20が、接触部の移動距離や接触部同士の距離を算出し、角度算出部21が、接触部と内壁31との角度を算出する。さらに、距離算出部20と角度算出部21の算出結果に基づいて、形状算出部22が埋設管30の形状を算出する。
【0066】
埋設管形状算出装置1は、図2からも明らかな通り、複数のアームの開閉や伸縮を動作させながら、接触部を内壁31に常に接触させることで、埋設管30の形状を算出する。
【0067】
図3は、埋設管30内部を移動する埋設管形状算出装置1を後方かみた状態を示している。図3は、本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の後方図である。
【0068】
図3から明らかな通り、埋設管形状算出装置1は、埋設管30内部を移動する。このとき、アーム部4から複数のアーム(図3では、第1アーム5と第2アーム6も含まれている)が開閉する。複数のアームのそれぞれは、接触部(図3では、第1接触部7と第2接触部8が含まれている)を備えており、接触部のそれぞれは、内壁31に接触している。この接触部の接触状態を保ったまま、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。
【0069】
図2、図3に示されるように、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを用いて、複数の接触部のそれぞれを常に埋設管30の内壁31に接触させながら、埋設管30内部を移動する。この移動の際に、距離算出部20および角度算出部21が、埋設管30の形状を算出するのに必要なデータを収集する。この収集されたデータを元に、形状算出部22が、埋設管30の形状を算出する。
【0070】
なお、図1〜図3の埋設管形状算出装置1は、8本のアームを備えているが、8本が絶対的な必要数ではない。2本のアームによって、最低限のデータを得ることができ、3以上のアームがあることで、本体部2が埋設管30内部で3次元的に固定され、さらに、アームの本数が多いことで、収集されるデータの精度が高まる。
【0071】
(埋設管形状算出装置の動作)
埋設管形状算出装置1の動作を、第1アーム5と第2アーム6を例として説明する。図4は、本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の動作模式図である。図4は、埋設管形状算出装置1が、埋設管30内部を移動している状態を示している。
【0072】
なお、内壁31と内壁32とは、同じ埋設管30の内壁であるが、図を用いた説明を分かりやすくするために、同じ内壁であっても、第1接触部7が接触する内壁部分を内壁31とし、第2接触部8が接触する内壁部分を内壁32として説明する。以降も同様である。
【0073】
埋設管形状算出装置1は、本体部2を備え、本体部2は、埋設管30内部を移動する。この移動に際しては、第1アーム5と第2アーム6とが、本体部2を基準として傘のように開閉する。第1アーム5は第1接触部7を備え、第2アーム6は、第2接触部8を備える。第1アーム5は、第1接触部7を、内壁31に接触させるように開閉し、第2アーム6は、第2接触部8を内壁32に接触させるように開閉する。なお、第1アーム5および第2アーム6は、本体部2を基準に開閉するだけでなく、伸縮することによって、第1接触部7と第2接触部8とを内壁31、32に接触させるようにしてもよい。
【0074】
距離算出部20と角度算出部21は、埋設管の形状を算出するのに必要なデータを収集する。このとき、埋設管形状算出装置1は、第1接触部7および第2接触部8を、内壁31、32に接触させながら移動する。このため、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内壁31、32に沿った接触部からのデータを、常に得ることができる。なお、開閉や伸縮は、第1接触部7および第2接触部8が備える接触センサーや距離センサーなどによって実現される。また、全ての接触部が常に内壁31、32に接触している必要はなく、埋設管形状算出装置1が、埋設管の形状を算出するに足りるデータを集めることができればよい。
【0075】
図4において、埋設管30のある断面位置を基準面40とする。基準面40は、任意に定められればよく、例えば埋設管形状算出装置1が移動を開始した位置を基準面40としてもよい。
【0076】
距離算出部20は、基準面40からの第1接触部7の移動距離を、第1距離aとして算出する。更に、距離算出部20は、基準面40からの第2接触部8の移動距離を、第2距離bとして算出する。加えて、距離算出部20は、第1接触部7と第2接触部8との間の直線距離を、第3距離Lとして算出する。
【0077】
角度算出部21は、第1接触部7が接触する内壁31の接線に対して、第1アーム5が形成する角度を、第1角度αとして算出する。更に、角度算出部21は、第2接触部8が接触する内壁32の接線に対して、第2アーム6が形成する角度を、第2角度βとして算出する。
【0078】
埋設管形状算出装置1は、第1接触部7および第2接触部8を常に内壁31、32に接触させながら埋設管30内部を移動するので、埋設管形状算出装置1が、埋設管30内部を移動している間は、距離算出部20は、第1距離a、第2距離bおよび第3距離Lを正確に算出できる。同様に、角度算出部21も、埋設管形状算出装置1が埋設管30内部を移動している間は、第1角度αおよび第2角度βを正確に算出できる。
【0079】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管30の内部形状を算出する。埋設管30の内部形状とは、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、などを含む。第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βは、埋設管30の(1)〜(4)に係る内部形状を示すデータである。
【0080】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管30の内部形状を算出できるので、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動することで、埋設管30の3次元形状を算出できる。このとき、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の入り口から投入されて移動するので、埋設管30の形状算出のために、埋設管30を掘り起こす必要はない。
【0081】
このように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、埋設管30を掘り起こすことなく、埋設管30の形状を算出できる。
【0082】
(形状算出の詳細)
次に、形状算出部による、埋設管の形状算出の詳細について説明する。
【0083】
図5は、本発明の実施の形態1における埋設管の形状算出の模式図である。
【0084】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、埋設管30の所定位置における微小幅の立体形状50を算出する。
【0085】
なお、図5では、複数の立体形状50が示されているが、図の見易さのために、立体形状の一つに符号「50」を付与している。しかしながら、埋設管形状算出装置1の移動に従って立体形状50は、次々と連続的に得られる。この結果、図5に示されるように、形状算出部22は、複数の立体形状50を算出できる。
【0086】
図5に示される立体形状50は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって算出される。なお、ここでは、説明の簡便のために、第1アーム5および第2アーム6に基づく、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βで算出される立体形状であるので、図5に示される立体形状50は、平面形状を例として示している。実際には、第3アームによって、第1アームと第2アームによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第2アームと第3アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第3アームと第1アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、から、3次元の微小な立体形状50が算出される。
【0087】
立体形状50は、図5に示されるとおり、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって、その形状が定まる。
【0088】
複数の立体形状50の一つである立体形状50aを基に説明する。
【0089】
立体形状50aでは、第1距離aと第2距離bとで、立体形状50aの幅が示される。また、立体形状50aでは、第3距離L1と第3距離L2とで、埋設管30の内径変化が示される。更に、第1角度αと第2角度βとで、立体形状50aの径変化が示される。
【0090】
このように、立体形状50aは、第1距離a、第2距離b、第3距離L1、L2、第1角度α、第2角度βによって、その形状および体積が算出される。形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βを用いて、微小幅の立体形状50を連続的に算出する。この連続する複数の微小幅の立体形状50は、埋設管30の形状を近似できる。図5に示される近似形状60は、連続する複数の立体形状50によって、埋設管30の形状を近似したものである。但し、図面の都合上、図5においては、二次元で示している。
【0091】
この近似形状60の算出により、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の形状を把握できる。
【0092】
近似形状60は、埋設管30の形状の内、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、を含んでいる。このため、近似形状60によって、埋設管30の形状に含まれる、種々の要素が取得できる。
【0093】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、近似形状60を算出できるが、この近似形状60によって、埋設管30の3次元形状を一度に算出してもよいし、近似形状60の算出の過程で、埋設管30の形状に含まれる(1)〜(4)の要素のいずれかのみを算出しても良い。
【0094】
このように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、埋設管30の3次元形状を算出すると共に、埋設管30の形状に含まれる要素のいずれかのみを算出することもできる。埋設管形状算出装置1は、高いフレキシビリティも有する。
【0095】
次に、埋設管形状算出装置1による、各要素の算出について説明する。
【0096】
(内径変化の算出)
形状算出部22は、第3距離Lの変化に基づいて、埋設管30の内径変化を算出する。ここで、形状算出部22は、「埋設管30の内径が変化した、という現象を把握する」こともできるし、「埋設管30の内径の変化数値を算出する」こともできる。埋設管形状算出装置1を使用する使用者は、必要に応じて、「変化を把握」したり「変化量を算出」したりすればよい。
【0097】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。移動に際して、第1アーム5は、第1接触部7を内壁31に接触させ、第2アーム6は、第2接触部8を内壁32に接触させる。このため、第1接触部7と第2接触部8とは、埋設管30の内壁に沿って移動することになる。
【0098】
距離算出部(図示せず)は、第1接触部7と第2接触部8との直線距離を、第3距離として算出する。このとき、本体部2の移動に合わせて、距離算出部は、第3距離を算出する。形状算出部(図示せず)は、本体部2の移動によっても、第3距離の値に変化が無ければ、埋設管30の内径に変化はないと判断する。一方、埋設管30の内径に変化がある場合には、本体部2の位置によって、第3距離に相違が生じる。
【0099】
図6では、右から左にかけて埋設管30の内径が拡大している。図6は、本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化を算出する説明図である。
【0100】
本体部2が右から左に移動するにつれて、算出される第3距離L1、L2、L3は、次第に大きくなっている。すなわち、
L1 < L2 < L3
の関係を、第3距離L1,L2,L3は有している。
【0101】
この第3距離の変化は、埋設管30の内径が、右から左にかけて拡大していることによる。逆に言えば、算出される第3距離L1,L2、L3が、
L1 < L2 < L3
の関係を有する場合には、埋設管30の内径が拡大していることが算出される。また、第3距離L1,L2、L3の値から、埋設管30の内径の拡大数値も算出される。
【0102】
逆に、本体部2の移動方向に沿って、第3距離が減少していけば、埋設管30の内径が、次第に縮小していることが算出される。あるいは、第3距離が増加と減少を繰り返せば、埋設管30の内径が、増減していることが算出される。
【0103】
このように、形状算出部は、第3距離の変化に基づいて、埋設管30の内径変化を算出できる。
【0104】
また、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てを用いて、埋設管30の内径変化を算出しても良い。図7を用いて、形状算出部が、埋設管30の内径変化を算出する処理を説明する。図7は、本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【0105】
図7は、埋設管30内部の3箇所において算出された、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度を示している。
【0106】
形状算出部は、An−1のベクトルとan−1のベクトルから、次の位置のAnのベクトルを算出する。これは、(数1)に示されるとおりである。同様に、形状算出部は、Bn−1のベクトルとbn−1のベクトルから、次の位置のBnのベクトルを算出する。これは(数2)に示されるとおりである。
【0107】
【数1】
【0108】
【数2】
【0109】
このようにして、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度で得られるベクトルによって、第1接触部7と第2接触部8との次の位置を算出できる。この算出される次の位置の座標から、埋設管30の内径変化が算出できる。
【0110】
このように、形状算出部は、第3距離、あるいは第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てによって、埋設管30の内径変化を算出できる。
【0111】
また、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の(1)内径が変化した事象、(2)内径の変化量、のいずれかを選択的に算出しても良い。例えば、埋設管形状算出装置1を使用するシステムが、埋設管30の内径変化の事実を検出したい場合には、埋設管形状算出装置1は、(1)内径が変化した事象、のみをシステムに提供する。あるいは、埋設管形状算出装置1を使用するシステムが、埋設管30の内径変化量を算出したい場合には、埋設管形状算出装置1は、(2)内径の変化量を算出する。
【0112】
このように、システムの要求に応じて、埋設管形状算出装置1の算出対象を切り替えることも好適である。
【0113】
(埋設管の湾曲、屈曲の算出)
次に、埋設管の湾曲および屈曲の算出について説明する。
【0114】
形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の湾曲や屈曲を算出する。ここで、形状算出部は、図5に示されるように、連続する微小幅の立体形状に基づいて埋設管30の3次元形状を得ることで、結果的に、埋設管30の湾曲および屈曲を算出しても良い。
【0115】
また、形状算出部は、第1距離と第2距離との差分に基づいて、埋設管30の湾曲および屈曲を算出しても良い。図8は、本発明の実施の形態1における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【0116】
図8を用いて説明する。
【0117】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。この移動に際して、本体部2から第1アーム5と第2アーム6とが延伸する。第1アーム5は、第1接触部7を、埋設管30の内壁31に常に接触させ、第2アーム6は、第2接触部8を、埋設管30の内壁32に常に接触させる。基準面を基準に、第1接触部7の移動距離を第1距離aとし、第2接触部8の移動距離を第2距離bとする。
【0118】
埋設管30が湾曲や屈曲をしていなければ、第1距離aと第2距離bとは、等しくなるはずである。これに対して、図8に示されるように、埋設管30が湾曲している場合には、第1距離aと第2距離bとの差分が生じる。図8においては、第1アーム5側から第2アーム6側に向かって埋設管30が湾曲しているので、湾曲部分では、第1距離aは、第2距離bよりも大きくなる。このため、第1距離aと第2距離bとは、差分を有する。
【0119】
形状算出部は、この差分を算出して、埋設管30の湾曲や屈曲を算出する。
【0120】
なお、図8で示される埋設管30の湾曲は、平面方向でも垂直方向でもいずれでもよく、埋設管形状算出装置1は、いずれの方向への湾曲や屈曲でも算出できる。特に、説明の便宜のために、図8においては、第1アーム5と第2アーム6の、2つのアームでの算出の様子を示しているが、第3アームを用いることで、平面方向および垂直方向のいずれにおける湾曲や屈曲でも、埋設管形状算出装置1は、同時に算出できる。
【0121】
また、形状算出部は、第1距離aと第2距離bとに差分が生じていれば、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。更に、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、形状算出部は、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。
【0122】
ここで、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分のみで、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。すなわち、埋設管形状算出部1を用いるシステムが、埋設管30の湾曲ないしは屈曲の事実のみを必要とする場合には、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分を検出するだけでよい。
【0123】
一方、形状算出部は、第1距離aおよび第2距離bの差分量から、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできるし、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて(言い換えると、微小幅の立体形状に基づいて)、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできる。
【0124】
前者の場合には、埋設管形状算出装置1は、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。例えば、形状算出部は、埋設管30の本来形状(直径や長さなど)と、第1距離aおよび第2距離bの差分量との関係テーブルを予め備えておく。形状算出部は、この関係テーブルに基づいて、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を、算出できる。
【0125】
後者の場合には、埋設管形状算出装置1は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の3次元形状を算出する過程で、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出できる。この場合には、埋設管30の3次元形状を算出した上で、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出できるので、より高い精度で、算出できる。
【0126】
このように、埋設管形状算出装置1は、仕様や要求に応じて、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲しているとの事象、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量のいずれか(あるいは両方)を選択的に算出できる。
【0127】
図9は、埋設管の湾曲および屈曲を算出する状態を示す模式図である。
【0128】
図9に示されるように、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の湾曲および屈曲を検出すると共に、これらの量を算出する。
【0129】
(障害物の形状の算出)
次に、埋設管内部の障害物の算出について説明する。
【0130】
図10は、本発明の実施の形態における埋設管内部の障害物形状の算出を示す模式図である。
【0131】
図10は、埋設管30の内部に、障害物70と障害物71とが存在している状態を示している。
【0132】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。この移動に際して、第1接触部7は内壁31に接触し、第2接触部8は、内壁32に常に接触する。
【0133】
図10において、一番右側に、埋設管形状算出装置1が位置している場合には、埋設管30内部には障害物が存在しない。このため、第1距離aと第2距離bとに差分はなく、第1角度αと第2角度βとの間にも差分はない。
【0134】
埋設管形状算出装置1が、図10の真ん中の位置に移動すると、障害物71が存在する。第1接触部7は、内壁31に接触したままであるが、第2接触部8は、障害物71に接触した状態となる。このため、まず第3距離L2は、直前の第3距離L1と異なる。これだけの情報であると、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内径が変化したものと判断しうる。しかし、このとき第1距離aと第2距離bとの差分も生じている。加えて、第1角度αと第2角度βとの差分も生じている。これらの情報から、埋設管形状算出装置1は、障害物71の存在を検出し、障害物71の形状も算出する。
【0135】
更に、埋設管形状算出装置1が、図10の一番左側にまで移動すると、第1接触部7は、障害物70に接触する。このため、第3距離L3は、第3距離L2に対して変化する。また、第1距離aと第2距離bとの差分値も変化する。更には、第1角度αと第2角度βとの差分値も変化する。この結果、形状算出部は、障害物70の存在を検出し、障害物70の形状も算出する。
【0136】
ここで、形状算出部は、ある所定位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、障害物の形状を算出する。あるいは、ある所定位置における第1距離aと第2距離bとの差分値、第1角度αと第2角度βとの差分値、に基づいて、障害物の形状を算出しても良い。
【0137】
あるいは、ある所定位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βと、その前の位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βとの差分に基づいて、形状算出部は、障害物の形状を算出しても良い。
【0138】
あるいは、ある所定位置における第1距離aと前の位置における第1距離aとの差分量、ある所定位置における第2距離bと前の位置における第2距離bとの差分量、ある所定位置における第3距離Lと前の位置における第3距離Lとの差分量、ある所定位置における第1角度αと前の位置における第1角度αとの差分量、ある所定位置における第2角度βと前の位置における第2角度βとの差分量に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。
【0139】
あるいは、ある所定位置における第1距離aと第2距離bとの差分量と、前の位置における第1距離aと第2距離bとの差分量と、に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。あるいは、ある所定位置における第1角度αと第2角度βとの差分量と、前の位置における第1角度αと第2角度βとの差分量と、に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。
【0140】
このように、異なる位置における同じ要素同士の比較、異なる位置における対となる要素同士の差分、ある所定位置における対となる要素同士の差分、など、種々のパラメータに従って、形状算出部は、埋設管30内部の障害物の形状を算出すればよい。
【0141】
なお、形状算出部は、図4に示されるように、微小幅の複数の立体形状から得られる埋設管30の3次元形状に基づいて、埋設管内部の障害物の形状を算出しても良い。
【0142】
以上のように、埋設管形状算出装置1は、仕様や要求に応じて、埋設管内部の障害物を検出したり、障害物の形状を算出したりできる。
【0143】
(深度の算出)
次に、深度の算出について説明する。
【0144】
図11は、本発明の実施の形態1における埋設管の深度を算出する状態を説明する模式図である。
【0145】
図11は、埋設管形状算出装置1が、深さ方向に傾斜を有する埋設管30を移動する状態を示している。
【0146】
角度算出部(図示せず)は、本体部2の傾斜角度θを算出する。角度算出部が、本体部2の傾斜角度θを算出することで、傾斜角度θ、第1距離aおよび第2距離bに基づいて、形状算出部(図示せず)は、埋設管30の深度Zを算出する。
【0147】
深度Zが算出されることで、埋設管30の深さ方向への形状変化を算出できる。
【0148】
以上のように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θに基づいて、埋設管の形状を算出できる。このとき、埋設管形状算出装置1は、連続する微小幅の立体形状に基づいて、埋設管の形状を算出すると共に、算出された埋設管の形状に基づいて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできる。
【0149】
あるいは、埋設管形状算出装置1は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θのいずれか1以上の要素のみを用いて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度のいずれかのみを検出したり算出したりできる。
【0150】
すなわち、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θの全ての要素を用いて、埋設管の3次元形状を算出することで、結果として、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできるし、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θの1以上の要素のみで、設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできる。
【0151】
(各部の詳細)
次に、各部の詳細について説明する。
【0152】
(本体部)
本体部2は、埋設管形状算出装置1の移動や算出処理を行う。
【0153】
本体部2は、図1〜3に示されるとおり、埋設管形状算出装置1の必要な機能の多くを格納し、埋設管形状算出装置1の全体骨格を形成する。
【0154】
本体部2は、アーム部4を更に備え、アーム部4が有する複数のアームの開閉、伸縮を制御する。このとき、本体部2は、アーム部4を介して、複数のアームのそれぞれが有する接触部が、埋設管の内壁に接触(一定の距離を有していても良い)するように、複数のアームの開閉や伸縮を制御する。
【0155】
本体部2は、クローラー3を備える。本体部2は、クローラー3を駆動させて、埋設管形状算出装置1の移動を制御する。なお、クローラー3ではなく、車輪を備えていても良い。また、本体部2は、リモコンによって、移動が操作されても良い。
【0156】
本体部2は、更に第1距離、第2距離、第3距離を算出する距離算出部20、第1角度、第2角度を算出する角度算出部21、埋設管の形状を算出する形状算出部22を、備える。なお、これらは、本体部2の外部に設けられても良い。
【0157】
本体部2は、距離算出部20、角度算出部21および形状算出部22の少なくとも一つを、外部に備えるに当たって、必要なデータを送信する送信部(無線もしくは有線の別を問わない)を備えていることも好適である。このような送信部を備えていることで、本体部2は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角の少なくとも一つを外部に送信でき、外部に設けられた処理部によって、埋設管の形状が算出される。
【0158】
距離算出部20は、上述の通り、第1距離、第2距離、第3距離を算出する。このとき、距離をそのまま算出するだけでなく、距離を算出するのに必要なパラメータだけを算出することでも良い。また、距離算出部20は、算出した第1距離、第2距離、第3距離の値を、形状算出部22に出力する。このとき、必要に応じて、距離算出部20は、算出した第1距離、第2距離、第3距離の値を、角度算出部21に出力しても良い。
【0159】
角度算出部21は、上述の通り、第1角度、第2角度、傾斜角度を算出する。このとき、角度をそのまま算出するだけでなく、角度を算出するのに必要なパラメータだけを算出しても良い。また、角度算出部21は、算出した第1角度、第2角度、傾斜角度を、形状算出部22に出力する。このとき、必要に応じて、角度算出部21は、算出した第1角度、第2角度、傾斜角度を、距離算出部20に出力しても良い。
【0160】
形状算出部22は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つに基づいて、埋設管の形状を算出する。算出の手法は、上述の通りである。
【0161】
また、形状算出部22は、形状を算出するのに必要なデータを外部に出力して、外部に設けられた他の装置によって、埋設管の形状が算出されたり描画されたりしても良い。
【0162】
(アームと接触部)
埋設管形状算出装置1は、アーム部4を備え、アーム部4は、複数のアームを有する。
【0163】
図4〜11では、埋設管の形状を算出することを説明しやすくするために、アーム部4が、第1アーム5と第2アーム6とを備える態様を説明したが、アーム部4は、複数のアームを備えていれば良い。なお、アーム部4が、第1アーム5、第2アーム6以外に、第3アームを備えていることで、埋設管形状算出装置1は、3次元形状を容易に算出できる。加えて、アーム部4が第1アーム5、第2アーム6、第3アームを備えていることで、本体部2が、埋設管内部で固定されやすくなる
複数のアームは、本体部2を基準にして、異なる方向に延伸する。第1アーム5と第2アーム6とは、異なる方向に延伸することで、埋設管の内部で異なる位置における、第1距離や第2距離が算出されることになる。このため、複数のアームのそれぞれは、図3に示されるように、本体部2から埋設管に対して異なる方向に延伸することが好適である。
【0164】
また、複数のアームのそれぞれは、本体部2に対して、傘のように開閉したり伸縮したりして、複数のアームのそれぞれが有する接触部を、埋設管の内壁に接触させる。
【0165】
接触部は、アームの先端に設けられてもよいし、先端以外に設けられても良い。また、接触部は、接触センサーや距離センサーを有することで、埋設管の内壁に常に接触もしくは内壁と一定の距離を必ず有するように、アームが開閉や伸縮するようにする。
【0166】
なお、複数のアームのそれぞれは、埋設管形状算出装置1が不使用の場合には、閉じられていることも好適である。
【0167】
なお、図1〜3に示されるように、アーム部が8本のアームを備えていることで、埋設管形状算出装置1は、より高い精度で、埋設管の形状を算出できる。
【0168】
また、アームおよび接触部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度を算出するデータを、本体部2に出力するため、電気信号のやり取りを可能とすることが好適である。このため、アームや接触部から、本体部2に対して、信号線が設けられることも好適である。
【0169】
なお、アームおよび接触部は、別部材である必要はなく、一体で構成されても良い。
【0170】
以上のように、実施の形態1における埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状を算出できると共に、埋設管の内部形状において必要となるパラメータのみを算出することもできる。また、物理的に埋設管の内壁に接触可能な接触部より得られる、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の各要素によって、埋設管の内部形状が算出されるので、光学系を用いる従来技術よりもその精度が高い。また、発光素子や受光素子などのデバイスを必要としないので、装置の小型化、簡略化、低コスト化も実現できる。
【0171】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0172】
実施の形態2では、埋設管形状算出装置が、使用者の便宜となりうる種々の機能を有する場合について説明する。
【0173】
(送信部)
埋設管形状算出装置1は、算出された、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つのデータを送信する送信部を更に備えていることも好適である。
【0174】
図12は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。図12に示される埋設管形状算出装置1は、送信部80を備える。なお、図4と同じ符号を付した要素は、実施の形態1で説明したのと同様の機能や構成を有する。
【0175】
距離算出部20は、第1距離a、第2距離b、第3距離Lを、算出する。角度算出部21は、第1角度α、第2角度β、傾斜角度を算出する。距離算出部20および角度算出部21は、算出されたこれら第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度を、形状算出部22に出力して、形状算出部22が、これらのデータを基に埋設管30の内部形状を算出する。しかし、形状算出部22を、本体部2の外部に備えたい場合(埋設管形状算出装置1の移動を制御する使用者の手元にある装置において、形状を算出したい場合がある)や、第1距離などのデータを使用者が手元に得たい場合がある。
【0176】
このような場合に、送信部80は、これらのデータを使用者の手元装置に送信する。送信部80は、有線によってデータを送信してもよいし、無線によってデータを送信してもよい。また、送信部80は、必要に応じて、アンテナや変復調機能を有してよく、周波数分割多重信号や時間分割多重信号などの変調信号によって、データを送信しても良い。
【0177】
形状算出部22と同等の機能を有する装置が、使用者の手元にある場合に、送信部80が第1距離などのデータをこの装置に送信することで、使用者の手元の装置によって、埋設管の形状を算出できる。
【0178】
また、送信部80が、第1距離などのデータを送信することで、使用者は、手元に第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度に関するデータを入手でき、これらのデータを用いた様々な作業を行うことが可能となる。
【0179】
なお、送信部80が、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つのデータを送信するために、距離算出部20は、算出された第1距離、第2距離、第3距離を送信部80に出力し、角度算出部21は、第1角度、第2角度、傾斜角度を、送信部80に出力する。
【0180】
また、送信部80は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度などの埋設管の形状を算出するために必要となるデータの送信のみならず、形状算出部22が算出した算出結果を送信することも良い。この場合には、例えば送信部80から送信された埋設管の形状を、使用者の手元に備えられる表示装置に表示することなどができる。
【0181】
(記憶部)
埋設管形状算出装置1は、算出された第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つを記憶する記憶部90を更に備えることも好適である。
【0182】
図13は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【0183】
図13に示される埋設管形状算出装置1は、記憶部90を新たに備えている。記憶部90は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つを記憶する。あるいは、形状算出部22が算出した、埋設管30の内部形状や、埋設管30の湾曲、屈曲、内径変化、障害物、深度などを記憶する。
【0184】
このため、記憶部90は、距離算出部20、角度算出部21、形状算出部22から出力される各種データを受信する。また、記憶部90は、記憶しているデータを、送信部80に出力しても良い。送信部80は、記憶部90より得られたデータを外部に送信する。
【0185】
記憶部90は、半導体メモリ、RAM、ROM、CD、DVD、HDD、磁気ディスクなど、種々の記憶素子や記憶デバイスで実現される。記憶部90が本体部2に備わっていることで、埋設管30内部を移動した埋設管形状算出装置1を取り出した後に、埋設管30の内部形状を確認できる種々のデータを、使用者が取り出すことができる。埋設管30の形状を算出するに際して、再確認が必要となる場合に記憶部90からのデータを用いることができる。このため、埋設管形状算出装置1が記憶部90を有していると、使用者の便宜が高まるメリットがある。
【0186】
また、記憶部90が設けられる場合には、送信部80が割愛されても良い。埋設管30での移動の終わった埋設管形状算出装置1の記憶部90からデータを取り出せば、埋設管30の内部形状を使用者の手元で算出することができる。
【0187】
このように、埋設管形状算出装置1が記憶部90を有していることで、フレキシブルに埋設管の形状を算出できる。
【0188】
(表示部)
埋設管形状算出装置1は、その外部に表示部を備えていることも好適である。
【0189】
図14は、本発明の実施の形態2における表示部の模式図である。
【0190】
埋設管形状算出装置1は、本体部2と離れた位置(例えば、使用者が作業する位置)において、埋設管形状算出装置1が算出した埋設管30の内部形状96(3次元形状)を表示する表示部95を備えていることも好適である。表示部95は、埋設管30の内部形状96を表示する。このとき、表示部95は、埋設管30の内部形状96を3次元で表示してもよいし、埋設管30の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状のみあるいはこれらの存在のみを抽出して表示しても良い。
【0191】
表示部95は、グラフィックやイメージで表示してもよいし、テキストにて表示しても良い。あるいは、グラフィックとテキストとを混在して表示しても良い。
【0192】
(埋設管形状算出システム)
次に、埋設管形状算出装置1を用いた、埋設管形状算出システムについて説明する。
【0193】
図15は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出システムの模式図である。
【0194】
図15は、実施の形態1,2で説明した埋設管形状算出装置1を、外部の使用者120が、制御装置101にて操作しながら、埋設管30の内部形状を算出する様子を示している。
【0195】
埋設管30は、地中に備わっている。埋設管30には、入り口110があり(例えばマンホール)、使用者120は、埋設管形状算出装置1を、この入り口から埋設管30に投入する。埋設管形状算出装置1は、電気信号線100によって、制御装置101と接続されている。この電気信号線100によって、埋設管形状算出装置1は、制御装置101からの制御を受けたり、算出したデータを制御装置101に送信したりする。
【0196】
制御装置101は、使用者120が制御するに当たって必要となる各種の信号入力を受け付けたり、受け付けた信号に基づいて、埋設管形状算出装置1の移動やデータ送信を制御したりする。また、埋設管形状算出装置1からのデータを受け付けて、制御装置101は、埋設管30の形状を算出したり、算出された埋設管30の形状を表示部95に表示したりする。また、制御装置101は、過去に算出された埋設管30の形状を記憶しておき、現在の測定時と過去の測定時との比較を行って、変化の度合いを表示することもできる。
【0197】
制御装置101は入力端末102を有し、使用者120は、入力端末102から、各種の命令を制御装置101に与える。なお、制御装置101と入力端末102とは、別体でもよいし一体でもよい。使用者120は、入力端末102を通じて、埋設管形状算出装置1の動作を制御しつつ、制御装置101での処理や表示部95への表示を制御する。
【0198】
埋設管形状算出装置1は、制御装置101からの命令に従って、埋設管30内部を移動する。このとき、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを広げ、複数のアームのそれぞれが有する接触部を内壁31、32に接触させるようにする。埋設管形状算出装置1は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度などを算出して、埋設管30の形状を算出する。更に、埋設管形状算出装置1は、電気信号線100を通じて、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度、埋設管30の形状などを制御装置101に送信する。
【0199】
この送信を受けた制御装置101は、必要な演算や処理を行った上で、表示部95に埋設管30の形状や情報を表示する。使用者120は、この表示をみて、埋設管30の状態を理解できる。
【0200】
使用者120は、表示された埋設管30の形状を確認した上で、埋設管30に対する必要な処置について検討できる。
【0201】
なお、制御装置101や入力端末102は、埋設管形状算出システムのための専用装置であってもよいし、汎用装置や汎用コンピュータが適用されても良い。
【0202】
以上のように、実施の形態2における埋設管形状算出装置や埋設管形状算出システムは、送信部や記憶部などの種々のオプションを有することで、使用の便利性が高まり、埋設管の形状をよりフレキシブルに算出することができる。
【0203】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0204】
実施の形態3では、埋設管形状算出装置によって算出された埋設管の内部形状の結果に基づいて、屈曲や湾曲している埋設管の修理について説明する。
【0205】
図16は、本発明の実施の形態3における埋設管修理システムによる修理を説明する模式図である。
【0206】
埋設管形状算出装置は、埋設管の内部を移動して、埋設管の内部形状を算出する。このとき、図16に示される状態200のように埋設管203が屈曲していることがある。これは、例えば土砂の流出によって埋設管203の近傍に空隙204が生じることがある。このような空隙204が生じると、埋設管203は、屈曲してしまう。このような屈曲は、実施の形態1、2で説明した埋設管形状算出装置によって算出される。また、このような埋設管203の屈曲を放置すると、水漏れや破壊の原因ともなってしまう。
【0207】
埋設管形状算出装置は、埋設管203内部を移動可能なので、この空隙204が生じている場所において、埋設管203に貫通孔を穿孔することができる。図16には図示していないが、埋設管形状算出装置は、穿孔部を備えていればよい。
【0208】
埋設管形状算出装置によって穿孔された貫通孔からは、埋設管203を持ち上げる硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方である充填材料205が、空隙204に投入される。図16の下部に示される状態である。空隙204に充填材料205が投入されることで、埋設管203が持ち上げられる。すなわち、充填材料205は、埋設管203を持ち上げる持ち上げ手段の役割を担っている。
【0209】
更に、埋設管形状算出装置は、硬化した充填材料205を土台にして、ジャッキのような持ち上げ装置を空隙204に投入できる。埋設管形状算出装置は、ジャッキを用いて、埋設管203を持ち上げる。
【0210】
このように、埋設管203は、空隙部204によって屈曲していることがあるが、持ち上げ手段や持ち上げ装置によって、屈曲が修理される。
【0211】
なお、充填材料205によって空隙204が充填されることでも、埋設管203の屈曲の進行をとどめることができるので、効果を有する。
【0212】
埋設管形状算出装置が、穿孔や充填材料205の投入の機能を有することで、埋設管203の異常を修理できる。これらの機能を有する埋設管形状算出装置として、提供されてもよいし、修理までを行う埋設管修理システムとして提供されてもよい。
【0213】
以上のように、実施の形態3における埋設管修理システムは、実施の形態1、2で説明された埋設管形状算出装置を利用して、埋設管に生じている異常を、埋設管を掘り起こすことなしに修理できる。
【0214】
以上、実施の形態1〜3で説明された埋設管算出装置、埋設管算出システム、埋設管修理システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の後方図である。
【図4】本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の動作模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1における埋設管の形状算出の模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化を算出する説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【図9】埋設管の湾曲および屈曲を算出する状態を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態における埋設管内部の障害物形状の算出を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態1における埋設管の深度を算出する状態を説明する模式図である。
【図12】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【図13】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2における表示部の模式図である。
【図15】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出システムの模式図である。
【図16】本発明の実施の形態3における埋設管修理システムによる修理を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0216】
1 埋設管形状算出装置
2 本体部
3 クローラー
4 アーム部
5 第1アーム
6 第2アーム
7 第1接触部
8 第2接触部
20 距離算出部
21 角度算出部
22 形状算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された埋設管の内部形状を、3次元的に算出できる埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国をはじめ、各国において水道管、下水管などの多数の埋設管が、地中に埋設されている。これらの埋設管は、老朽化、地震などの天災、工事振動による人災などの影響を受け、埋設時とその形状を変化させることが多い。例えば、埋設管が湾曲したり、折れ曲がったり、変形したりするなどである。このように、埋設管の形状が変化してしまうと、上水や下水の流れに悪影響が生じたり、水漏れによる故障が生じたりする。
【0003】
一方で、埋設管は地中に埋設されているので、その状態を地上から確認することはきわめて難しい。勿論、埋設管を掘り出して確認することは、多大な労力を要し、現実的な手法とは言いがたい。
【0004】
このため、埋設管を掘り出すことなしに、埋設された埋設管の形状を正確に算出することが求められていた。埋設管の形状を算出できることで、埋設管における問題を早期に確認でき、必要な修理や交換を行うことができる。結果として、埋設管の故障によって生じる災害などを防止できる。
【0005】
このような、埋設管の形状を算出するために、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開平7−234124号公報
【特許文献2】特開平7−311022号公報
【特許文献3】特開平8−219782号公報
【特許文献4】特開平9−14932号公報
【特許文献5】特開2001−141431号公報
【特許文献6】特開2005−345118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、管路内部を走行する装置が、管路内部に光を照射し、この照射光の反射波を用いて、管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、光の反射を利用するため、装置が大掛かりになると共に受光精度の劣化によって算出精度も劣化する問題がある。また、管路内部の形状を算出することはできるが、2次元あるいは3次元での、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを算出することができない問題がある。
【0008】
また、特許文献2は、管路内部を走行する装置が、管路の曲率を算出する技術を開示する。
【0009】
しかしながら、特許文献2の技術では、管路の曲率を算出できるだけで、管径変化や内部障害物を算出できない。また、各位置における所定の基準線に対する曲率を測定できるだけであるので、左右方向、上下方向といった3次元的な管路の湾曲を算出することが困難である問題を有する。
【0010】
特許文献3は、管路を走行する2台の装置同士でレーザー光をやり取りし、このレーザー光の揺動によって管路の屈曲を算出する技術を開示する。
【0011】
しかしながら、特許文献3の技術では、レーザー光のやり取りが可能な範囲での屈曲しか算出できず、屈曲以外の管路の形状を算出することが困難である。加えて、レーザー光のやり取りを基本とするため、装置が大掛かりになると共にレーザー光のやり取りエラーなどの問題も生じさせる。
【0012】
特許文献4は、特許文献1、3と同様に、照射光を利用して管路内部の形状を算出する技術を開示する。
【0013】
しかしながら、装置が大掛かりとなったり、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物などの全てを算出できなかったりする問題がある。また、光学系を用いることでの算出精度の劣化も懸念される。
【0014】
特許文献5は、特許文献4と同様の技術であり、同様の問題を有する。
【0015】
特許文献6は、管路に配置された装置が電磁波パルスを管路に照射して、管路に含まれる空洞を算出する技術を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献6の技術では、装置が大掛かりになると共に、ある所定位置での空洞を算出できるが、管路全体に渡って、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物のそれぞれを測定するのには不適である。また、小径の管路以外には適さない問題もある。
【0017】
以上のように、従来技術の管路算出装置は、(1)管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物、3次元での湾曲や屈曲など、の全てを算出すること、(2)(1)に列挙する項目を、個別に算出すること、(3)簡便な装置による高い算出精度で算出すること、(4)低コストに算出すること、が困難であるとの問題を有していた。
【0018】
本発明は、上記(1)〜(4)の問題を解決しつつ、簡便な装置にもかかわらず、高い精度で埋設管の形状を算出する埋設管形状算出装置、埋設管形状算出システム、埋設管修理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題に鑑み、本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管内を移動可能な本体部と、本体部から延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、本体部から、第1アームと異なる方向に延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、第1アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、第2アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部と第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、第1接触部が接触する内壁の接線に対して、第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部が接触する内壁の接線に対して、第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管を掘り出すことなしに、簡便な装置で、埋設管の3次元形状を算出できる。
【0021】
特に、管路の湾曲、曲がり、管径変化、内部障害物、3次元での湾曲や屈曲など、の全てを算出できるとともに、これらの一部を個別に算出することもできる。
【0022】
また、実際に埋設管の内径に沿って埋設管の形状を算出するので、高い精度で算出できる。加えて、光学系を用いないことで装置が簡易になり、複雑な系を備える必要がなくなり、算出精度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の発明に係る埋設管形状算出装置は、本発明の埋設管形状算出装置は、埋設管内を移動可能な本体部と、本体部から延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、本体部から、第1アームと異なる方向に延伸して、埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、第1アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、第2アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、第1接触部と第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、第1接触部が接触する内壁の接線に対して、第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、第2接触部が接触する内壁の接線に対して、第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える。
【0024】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の算出に必要な全てのデータを算出できる。更に、距離や角度は、埋設管の内壁に接触する接触部より算出できるので、光学系を用いる場合よりも、その算出精度が高い。
【0025】
本発明の第2の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1の発明に加えて、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、埋設管の内部形状を算出する形状算出部を、更に備える。
【0026】
この構成により、埋設管形状算出装置は、簡便な装置でありながら、高い精度で埋設管の内部形状を算出できる。
【0027】
本発明の第3の発明に係る埋設管形状算出装置では、第2の発明に加えて、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度に基づいて、埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出する。
【0028】
この構成により、埋設管形状算出装置は、高い精度で埋設管の内部形状を3次元にて算出できる。
【0029】
本発明の第4の発明に係る埋設管形状算出装置では、第3の発明に加えて、形状算出部は、連続する複数の立体形状に基づいて、埋設管の3次元形状を算出する。
【0030】
この構成により、埋設管形状算出装置は、高い精度で埋設管の内部形状を3次元にて算出できる。
【0031】
本発明の第5の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4の発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第1距離と第2距離との差分に基づいて、埋設管の湾曲を算出する。
【0032】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の湾曲については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である湾曲を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0033】
本発明の第6の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第5のいずれかの発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第3距離の変化に基づいて、埋設管の内径変化を算出する。
【0034】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内径変化については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である内径変化を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0035】
本発明の第7の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第6のいずれかの発明に加えて、形状算出部は、3次元形状に含まれる第1距離、第2距離、第3距離、第1角度および第2角度に基づいて、埋設管内部の障害物の形状を算出する。
【0036】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の障害物形状については、埋設管の3次元形状を算出することなく、算出できる。特に、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状の1要素である障害物形状を、少ないデータ量によって、検出したり算出したりできる。
【0037】
本発明の第8の発明に係る埋設管形状算出装置では、第2から第7のいずれかの発明に加えて、角度算出部は、本体部の傾斜角度を検出し、形状算出部は、傾斜角度、第1距離および第2距離に基づいて、埋設管の深度を算出する。
【0038】
この構成により、埋設管形状算出装置は、少ないデータ量で、埋設管の深度を算出できる。
【0039】
本発明の第9の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、第1アームおよび第2アームのそれぞれは、第1接触部および第2接触部のそれぞれを埋設管の内壁に接触させるように、本体部を基準に開閉および伸縮の少なくとも一方を行う。
【0040】
この構成により、埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状を、高い精度で検出できる。
【0041】
本発明の第10の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、本体部から、第1アームおよび第2アームと異なる方向に延伸する第3アームと、第3アームに接続して、埋設管の内壁に接触して移動可能な第3接触部と、を更に備え、第1アーム、第2アームおよび第3アームは、第1接触部、第2接触部および第3接触部とを用いて、埋設管との接触部位を増加させる。
【0042】
この構成により、埋設管形状算出装置は、更に高い精度で、埋設管の内部形状を算出できる。
【0043】
本発明の第11の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、第1距離、第2距離、第1角度、第2角度および第3角度の少なくとも1つの情報を送信する送信部を更に備える。
【0044】
この構成により、埋設管形状算出装置は、必要なデータを使用者の元に送信できる。
【0045】
本発明の第12の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、第1距離、第2距離、第1角度、第2角度および第3角度の少なくとも1つの情報を記憶する記憶部を更に備える。
【0046】
この構成により、埋設管形状算出装置は、形状の算出に必要となるデータを、保存することができる。
【0047】
本発明の第13の発明に係る埋設管形状算出装置では、第4から第12のいずれかの発明に加えて、3次元形状を、表示する表示部を更に備える。
【0048】
この構成により、埋設管の形状を容易に把握できる。
【0049】
本発明の第14の発明に係る埋設管形状算出装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、埋設管に貫通孔を穿つ穿孔部と、貫通孔から、埋設管外部に、硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方を投入する。
【0050】
この構成により、使用者は、埋設管の修理が自動的に行われる。
【0051】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0052】
なお、本明細書における埋設管とは、下水管、上水管、多目的管など、地中に埋設されている管路を言う。
【0053】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
【0054】
まず、埋設管形状算出装置の概要を図1〜図3を用いて説明する。
【0055】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の斜視図である。
【0056】
埋設管形状算出装置1は、埋設管内部を移動可能な本体部2と、本体部2から延伸するアーム部4とを備える。アーム部4は、複数のアームを備えており、複数のアームのそれぞれは、埋設管の内壁に接触して移動可能な接触部を備えている。
【0057】
図1では、アーム部4は、8本のアームを備え、8本のアームのそれぞれが、接触部を接続している。
【0058】
本体部2は、埋設管内を移動可能にする駆動部の例としてのクローラー3を備えている。クローラー3は、動力源からの動力を受けて駆動し、本体部2を移動させる。なお、クローラー3は、自動でも手動でもいずれで駆動されても良い。
【0059】
アーム部4は、8本のアームを有しているが、この8本のアームの中の一つを第1アーム5、もう一つを第2アーム6とする。第1アーム5が有する接触部を第1接触部7とし、第2アーム6が有する接触部を第2接触部8とする。アーム部4は、更に第3アーム10、第4アーム11を備え、第3アーム10は、第3接触部12を有し、第4アーム11は、第4接触部13を有する。
【0060】
埋設管形状算出装置1が、埋設管の形状算出に必要なデータを得るためには、アーム部4は、第1アーム5と第2アーム6との2本のアームを備えれば良いが、第3アーム10を備えることで、本体部2(すなわち埋設管形状算出装置1)を埋設管内部で3次元的に固定できる。また、アーム部4が3以上のアームを備えることで、埋設管形状算出装置1は、埋設管形状を3次元的に算出しやすくなる。
【0061】
アーム部の備える各アームは、本体部2を基準に、傘のように開閉したり伸縮したりして、アームの備える接触部を常に埋設管の内壁に接触させることができる。
【0062】
埋設管形状算出装置1は、距離算出部20と角度算出部21を更に備える。加えて、埋設管形状算出装置1は、埋設管の内部形状を算出する形状算出部22を備える。なお、距離算出部20、角度算出部21のそれぞれは、本体部2の内部に備えられてもよいし、アーム部4に備えられても良い。また、形状算出部22は、本体部2あるいはアーム部4の内部に備えられてもよいし、埋設管形状算出装置1の外部に設けられても良い。
【0063】
埋設管形状算出装置1は、埋設管内部を移動する。この移動の際において、本体部2からアーム部4が開閉あるいは伸縮して、複数のアームのそれぞれが有する接触部が、埋設管内壁に接触する。複数のアームのそれぞれは、それぞれが有する接触部が常に埋設管の内壁に接触(物理的に厳密な接触を必要とせず、埋設管の内壁から一定距離を保つ状態でもよい)させるように、開閉あるいは伸縮する。埋設管形状算出装置1は、複数のアームのそれぞれの開閉や伸縮を利用して、複数の接触部のそれぞれを埋設管の内壁に接触させながら埋設管内部を移動する。
【0064】
図2に、埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の状態を示す。図2は、本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の側面図である。
【0065】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を、クローラー3の駆動力によって移動する。図2に示されるように、アーム部4から複数のアームが傘のように開閉し、各アームに接続されている接触部は、埋設管30の内壁31に接触している。このように、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを動作させて複数の接触部のそれぞれを内壁31に接触させながら、埋設管30内部を移動する。この際に、距離算出部20が、接触部の移動距離や接触部同士の距離を算出し、角度算出部21が、接触部と内壁31との角度を算出する。さらに、距離算出部20と角度算出部21の算出結果に基づいて、形状算出部22が埋設管30の形状を算出する。
【0066】
埋設管形状算出装置1は、図2からも明らかな通り、複数のアームの開閉や伸縮を動作させながら、接触部を内壁31に常に接触させることで、埋設管30の形状を算出する。
【0067】
図3は、埋設管30内部を移動する埋設管形状算出装置1を後方かみた状態を示している。図3は、本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の後方図である。
【0068】
図3から明らかな通り、埋設管形状算出装置1は、埋設管30内部を移動する。このとき、アーム部4から複数のアーム(図3では、第1アーム5と第2アーム6も含まれている)が開閉する。複数のアームのそれぞれは、接触部(図3では、第1接触部7と第2接触部8が含まれている)を備えており、接触部のそれぞれは、内壁31に接触している。この接触部の接触状態を保ったまま、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。
【0069】
図2、図3に示されるように、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを用いて、複数の接触部のそれぞれを常に埋設管30の内壁31に接触させながら、埋設管30内部を移動する。この移動の際に、距離算出部20および角度算出部21が、埋設管30の形状を算出するのに必要なデータを収集する。この収集されたデータを元に、形状算出部22が、埋設管30の形状を算出する。
【0070】
なお、図1〜図3の埋設管形状算出装置1は、8本のアームを備えているが、8本が絶対的な必要数ではない。2本のアームによって、最低限のデータを得ることができ、3以上のアームがあることで、本体部2が埋設管30内部で3次元的に固定され、さらに、アームの本数が多いことで、収集されるデータの精度が高まる。
【0071】
(埋設管形状算出装置の動作)
埋設管形状算出装置1の動作を、第1アーム5と第2アーム6を例として説明する。図4は、本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の動作模式図である。図4は、埋設管形状算出装置1が、埋設管30内部を移動している状態を示している。
【0072】
なお、内壁31と内壁32とは、同じ埋設管30の内壁であるが、図を用いた説明を分かりやすくするために、同じ内壁であっても、第1接触部7が接触する内壁部分を内壁31とし、第2接触部8が接触する内壁部分を内壁32として説明する。以降も同様である。
【0073】
埋設管形状算出装置1は、本体部2を備え、本体部2は、埋設管30内部を移動する。この移動に際しては、第1アーム5と第2アーム6とが、本体部2を基準として傘のように開閉する。第1アーム5は第1接触部7を備え、第2アーム6は、第2接触部8を備える。第1アーム5は、第1接触部7を、内壁31に接触させるように開閉し、第2アーム6は、第2接触部8を内壁32に接触させるように開閉する。なお、第1アーム5および第2アーム6は、本体部2を基準に開閉するだけでなく、伸縮することによって、第1接触部7と第2接触部8とを内壁31、32に接触させるようにしてもよい。
【0074】
距離算出部20と角度算出部21は、埋設管の形状を算出するのに必要なデータを収集する。このとき、埋設管形状算出装置1は、第1接触部7および第2接触部8を、内壁31、32に接触させながら移動する。このため、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内壁31、32に沿った接触部からのデータを、常に得ることができる。なお、開閉や伸縮は、第1接触部7および第2接触部8が備える接触センサーや距離センサーなどによって実現される。また、全ての接触部が常に内壁31、32に接触している必要はなく、埋設管形状算出装置1が、埋設管の形状を算出するに足りるデータを集めることができればよい。
【0075】
図4において、埋設管30のある断面位置を基準面40とする。基準面40は、任意に定められればよく、例えば埋設管形状算出装置1が移動を開始した位置を基準面40としてもよい。
【0076】
距離算出部20は、基準面40からの第1接触部7の移動距離を、第1距離aとして算出する。更に、距離算出部20は、基準面40からの第2接触部8の移動距離を、第2距離bとして算出する。加えて、距離算出部20は、第1接触部7と第2接触部8との間の直線距離を、第3距離Lとして算出する。
【0077】
角度算出部21は、第1接触部7が接触する内壁31の接線に対して、第1アーム5が形成する角度を、第1角度αとして算出する。更に、角度算出部21は、第2接触部8が接触する内壁32の接線に対して、第2アーム6が形成する角度を、第2角度βとして算出する。
【0078】
埋設管形状算出装置1は、第1接触部7および第2接触部8を常に内壁31、32に接触させながら埋設管30内部を移動するので、埋設管形状算出装置1が、埋設管30内部を移動している間は、距離算出部20は、第1距離a、第2距離bおよび第3距離Lを正確に算出できる。同様に、角度算出部21も、埋設管形状算出装置1が埋設管30内部を移動している間は、第1角度αおよび第2角度βを正確に算出できる。
【0079】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管30の内部形状を算出する。埋設管30の内部形状とは、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、などを含む。第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βは、埋設管30の(1)〜(4)に係る内部形状を示すデータである。
【0080】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βの少なくとも一つに基づいて、埋設管30の内部形状を算出できるので、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動することで、埋設管30の3次元形状を算出できる。このとき、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の入り口から投入されて移動するので、埋設管30の形状算出のために、埋設管30を掘り起こす必要はない。
【0081】
このように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、埋設管30を掘り起こすことなく、埋設管30の形状を算出できる。
【0082】
(形状算出の詳細)
次に、形状算出部による、埋設管の形状算出の詳細について説明する。
【0083】
図5は、本発明の実施の形態1における埋設管の形状算出の模式図である。
【0084】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、埋設管30の所定位置における微小幅の立体形状50を算出する。
【0085】
なお、図5では、複数の立体形状50が示されているが、図の見易さのために、立体形状の一つに符号「50」を付与している。しかしながら、埋設管形状算出装置1の移動に従って立体形状50は、次々と連続的に得られる。この結果、図5に示されるように、形状算出部22は、複数の立体形状50を算出できる。
【0086】
図5に示される立体形状50は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって算出される。なお、ここでは、説明の簡便のために、第1アーム5および第2アーム6に基づく、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βで算出される立体形状であるので、図5に示される立体形状50は、平面形状を例として示している。実際には、第3アームによって、第1アームと第2アームによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第2アームと第3アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、第3アームと第1アームとによって算出される第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、から、3次元の微小な立体形状50が算出される。
【0087】
立体形状50は、図5に示されるとおり、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βによって、その形状が定まる。
【0088】
複数の立体形状50の一つである立体形状50aを基に説明する。
【0089】
立体形状50aでは、第1距離aと第2距離bとで、立体形状50aの幅が示される。また、立体形状50aでは、第3距離L1と第3距離L2とで、埋設管30の内径変化が示される。更に、第1角度αと第2角度βとで、立体形状50aの径変化が示される。
【0090】
このように、立体形状50aは、第1距離a、第2距離b、第3距離L1、L2、第1角度α、第2角度βによって、その形状および体積が算出される。形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βを用いて、微小幅の立体形状50を連続的に算出する。この連続する複数の微小幅の立体形状50は、埋設管30の形状を近似できる。図5に示される近似形状60は、連続する複数の立体形状50によって、埋設管30の形状を近似したものである。但し、図面の都合上、図5においては、二次元で示している。
【0091】
この近似形状60の算出により、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の形状を把握できる。
【0092】
近似形状60は、埋設管30の形状の内、(1)埋設管の湾曲や屈曲、(2)埋設管の内径変化、(3)埋設管内部の障害物、(4)埋設管の傾斜、を含んでいる。このため、近似形状60によって、埋設管30の形状に含まれる、種々の要素が取得できる。
【0093】
形状算出部22は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、近似形状60を算出できるが、この近似形状60によって、埋設管30の3次元形状を一度に算出してもよいし、近似形状60の算出の過程で、埋設管30の形状に含まれる(1)〜(4)の要素のいずれかのみを算出しても良い。
【0094】
このように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、埋設管30の3次元形状を算出すると共に、埋設管30の形状に含まれる要素のいずれかのみを算出することもできる。埋設管形状算出装置1は、高いフレキシビリティも有する。
【0095】
次に、埋設管形状算出装置1による、各要素の算出について説明する。
【0096】
(内径変化の算出)
形状算出部22は、第3距離Lの変化に基づいて、埋設管30の内径変化を算出する。ここで、形状算出部22は、「埋設管30の内径が変化した、という現象を把握する」こともできるし、「埋設管30の内径の変化数値を算出する」こともできる。埋設管形状算出装置1を使用する使用者は、必要に応じて、「変化を把握」したり「変化量を算出」したりすればよい。
【0097】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。移動に際して、第1アーム5は、第1接触部7を内壁31に接触させ、第2アーム6は、第2接触部8を内壁32に接触させる。このため、第1接触部7と第2接触部8とは、埋設管30の内壁に沿って移動することになる。
【0098】
距離算出部(図示せず)は、第1接触部7と第2接触部8との直線距離を、第3距離として算出する。このとき、本体部2の移動に合わせて、距離算出部は、第3距離を算出する。形状算出部(図示せず)は、本体部2の移動によっても、第3距離の値に変化が無ければ、埋設管30の内径に変化はないと判断する。一方、埋設管30の内径に変化がある場合には、本体部2の位置によって、第3距離に相違が生じる。
【0099】
図6では、右から左にかけて埋設管30の内径が拡大している。図6は、本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化を算出する説明図である。
【0100】
本体部2が右から左に移動するにつれて、算出される第3距離L1、L2、L3は、次第に大きくなっている。すなわち、
L1 < L2 < L3
の関係を、第3距離L1,L2,L3は有している。
【0101】
この第3距離の変化は、埋設管30の内径が、右から左にかけて拡大していることによる。逆に言えば、算出される第3距離L1,L2、L3が、
L1 < L2 < L3
の関係を有する場合には、埋設管30の内径が拡大していることが算出される。また、第3距離L1,L2、L3の値から、埋設管30の内径の拡大数値も算出される。
【0102】
逆に、本体部2の移動方向に沿って、第3距離が減少していけば、埋設管30の内径が、次第に縮小していることが算出される。あるいは、第3距離が増加と減少を繰り返せば、埋設管30の内径が、増減していることが算出される。
【0103】
このように、形状算出部は、第3距離の変化に基づいて、埋設管30の内径変化を算出できる。
【0104】
また、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てを用いて、埋設管30の内径変化を算出しても良い。図7を用いて、形状算出部が、埋設管30の内径変化を算出する処理を説明する。図7は、本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【0105】
図7は、埋設管30内部の3箇所において算出された、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度を示している。
【0106】
形状算出部は、An−1のベクトルとan−1のベクトルから、次の位置のAnのベクトルを算出する。これは、(数1)に示されるとおりである。同様に、形状算出部は、Bn−1のベクトルとbn−1のベクトルから、次の位置のBnのベクトルを算出する。これは(数2)に示されるとおりである。
【0107】
【数1】
【0108】
【数2】
【0109】
このようにして、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度で得られるベクトルによって、第1接触部7と第2接触部8との次の位置を算出できる。この算出される次の位置の座標から、埋設管30の内径変化が算出できる。
【0110】
このように、形状算出部は、第3距離、あるいは第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度の全てによって、埋設管30の内径変化を算出できる。
【0111】
また、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の(1)内径が変化した事象、(2)内径の変化量、のいずれかを選択的に算出しても良い。例えば、埋設管形状算出装置1を使用するシステムが、埋設管30の内径変化の事実を検出したい場合には、埋設管形状算出装置1は、(1)内径が変化した事象、のみをシステムに提供する。あるいは、埋設管形状算出装置1を使用するシステムが、埋設管30の内径変化量を算出したい場合には、埋設管形状算出装置1は、(2)内径の変化量を算出する。
【0112】
このように、システムの要求に応じて、埋設管形状算出装置1の算出対象を切り替えることも好適である。
【0113】
(埋設管の湾曲、屈曲の算出)
次に、埋設管の湾曲および屈曲の算出について説明する。
【0114】
形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の湾曲や屈曲を算出する。ここで、形状算出部は、図5に示されるように、連続する微小幅の立体形状に基づいて埋設管30の3次元形状を得ることで、結果的に、埋設管30の湾曲および屈曲を算出しても良い。
【0115】
また、形状算出部は、第1距離と第2距離との差分に基づいて、埋設管30の湾曲および屈曲を算出しても良い。図8は、本発明の実施の形態1における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【0116】
図8を用いて説明する。
【0117】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。この移動に際して、本体部2から第1アーム5と第2アーム6とが延伸する。第1アーム5は、第1接触部7を、埋設管30の内壁31に常に接触させ、第2アーム6は、第2接触部8を、埋設管30の内壁32に常に接触させる。基準面を基準に、第1接触部7の移動距離を第1距離aとし、第2接触部8の移動距離を第2距離bとする。
【0118】
埋設管30が湾曲や屈曲をしていなければ、第1距離aと第2距離bとは、等しくなるはずである。これに対して、図8に示されるように、埋設管30が湾曲している場合には、第1距離aと第2距離bとの差分が生じる。図8においては、第1アーム5側から第2アーム6側に向かって埋設管30が湾曲しているので、湾曲部分では、第1距離aは、第2距離bよりも大きくなる。このため、第1距離aと第2距離bとは、差分を有する。
【0119】
形状算出部は、この差分を算出して、埋設管30の湾曲や屈曲を算出する。
【0120】
なお、図8で示される埋設管30の湾曲は、平面方向でも垂直方向でもいずれでもよく、埋設管形状算出装置1は、いずれの方向への湾曲や屈曲でも算出できる。特に、説明の便宜のために、図8においては、第1アーム5と第2アーム6の、2つのアームでの算出の様子を示しているが、第3アームを用いることで、平面方向および垂直方向のいずれにおける湾曲や屈曲でも、埋設管形状算出装置1は、同時に算出できる。
【0121】
また、形状算出部は、第1距離aと第2距離bとに差分が生じていれば、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。更に、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、形状算出部は、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。
【0122】
ここで、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分のみで、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲している、との事実を把握できる。すなわち、埋設管形状算出部1を用いるシステムが、埋設管30の湾曲ないしは屈曲の事実のみを必要とする場合には、形状算出部は、第1距離aと第2距離bの差分を検出するだけでよい。
【0123】
一方、形状算出部は、第1距離aおよび第2距離bの差分量から、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできるし、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて(言い換えると、微小幅の立体形状に基づいて)、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出することもできる。
【0124】
前者の場合には、埋設管形状算出装置1は、第1距離aと第2距離bとの差分量に基づいて、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量、を算出できる。例えば、形状算出部は、埋設管30の本来形状(直径や長さなど)と、第1距離aおよび第2距離bの差分量との関係テーブルを予め備えておく。形状算出部は、この関係テーブルに基づいて、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を、算出できる。
【0125】
後者の場合には、埋設管形状算出装置1は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の3次元形状を算出する過程で、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出できる。この場合には、埋設管30の3次元形状を算出した上で、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量を算出できるので、より高い精度で、算出できる。
【0126】
このように、埋設管形状算出装置1は、仕様や要求に応じて、(1)埋設管30が湾曲ないしは屈曲しているとの事象、(2)埋設管30の湾曲ないしは屈曲の量のいずれか(あるいは両方)を選択的に算出できる。
【0127】
図9は、埋設管の湾曲および屈曲を算出する状態を示す模式図である。
【0128】
図9に示されるように、形状算出部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度に基づいて、埋設管30の湾曲および屈曲を検出すると共に、これらの量を算出する。
【0129】
(障害物の形状の算出)
次に、埋設管内部の障害物の算出について説明する。
【0130】
図10は、本発明の実施の形態における埋設管内部の障害物形状の算出を示す模式図である。
【0131】
図10は、埋設管30の内部に、障害物70と障害物71とが存在している状態を示している。
【0132】
埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内部を移動する。この移動に際して、第1接触部7は内壁31に接触し、第2接触部8は、内壁32に常に接触する。
【0133】
図10において、一番右側に、埋設管形状算出装置1が位置している場合には、埋設管30内部には障害物が存在しない。このため、第1距離aと第2距離bとに差分はなく、第1角度αと第2角度βとの間にも差分はない。
【0134】
埋設管形状算出装置1が、図10の真ん中の位置に移動すると、障害物71が存在する。第1接触部7は、内壁31に接触したままであるが、第2接触部8は、障害物71に接触した状態となる。このため、まず第3距離L2は、直前の第3距離L1と異なる。これだけの情報であると、埋設管形状算出装置1は、埋設管30の内径が変化したものと判断しうる。しかし、このとき第1距離aと第2距離bとの差分も生じている。加えて、第1角度αと第2角度βとの差分も生じている。これらの情報から、埋設管形状算出装置1は、障害物71の存在を検出し、障害物71の形状も算出する。
【0135】
更に、埋設管形状算出装置1が、図10の一番左側にまで移動すると、第1接触部7は、障害物70に接触する。このため、第3距離L3は、第3距離L2に対して変化する。また、第1距離aと第2距離bとの差分値も変化する。更には、第1角度αと第2角度βとの差分値も変化する。この結果、形状算出部は、障害物70の存在を検出し、障害物70の形状も算出する。
【0136】
ここで、形状算出部は、ある所定位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βに基づいて、障害物の形状を算出する。あるいは、ある所定位置における第1距離aと第2距離bとの差分値、第1角度αと第2角度βとの差分値、に基づいて、障害物の形状を算出しても良い。
【0137】
あるいは、ある所定位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βと、その前の位置における第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度βとの差分に基づいて、形状算出部は、障害物の形状を算出しても良い。
【0138】
あるいは、ある所定位置における第1距離aと前の位置における第1距離aとの差分量、ある所定位置における第2距離bと前の位置における第2距離bとの差分量、ある所定位置における第3距離Lと前の位置における第3距離Lとの差分量、ある所定位置における第1角度αと前の位置における第1角度αとの差分量、ある所定位置における第2角度βと前の位置における第2角度βとの差分量に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。
【0139】
あるいは、ある所定位置における第1距離aと第2距離bとの差分量と、前の位置における第1距離aと第2距離bとの差分量と、に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。あるいは、ある所定位置における第1角度αと第2角度βとの差分量と、前の位置における第1角度αと第2角度βとの差分量と、に基づいて、形状算出部は、障害物70、71の形状を算出しても良い。
【0140】
このように、異なる位置における同じ要素同士の比較、異なる位置における対となる要素同士の差分、ある所定位置における対となる要素同士の差分、など、種々のパラメータに従って、形状算出部は、埋設管30内部の障害物の形状を算出すればよい。
【0141】
なお、形状算出部は、図4に示されるように、微小幅の複数の立体形状から得られる埋設管30の3次元形状に基づいて、埋設管内部の障害物の形状を算出しても良い。
【0142】
以上のように、埋設管形状算出装置1は、仕様や要求に応じて、埋設管内部の障害物を検出したり、障害物の形状を算出したりできる。
【0143】
(深度の算出)
次に、深度の算出について説明する。
【0144】
図11は、本発明の実施の形態1における埋設管の深度を算出する状態を説明する模式図である。
【0145】
図11は、埋設管形状算出装置1が、深さ方向に傾斜を有する埋設管30を移動する状態を示している。
【0146】
角度算出部(図示せず)は、本体部2の傾斜角度θを算出する。角度算出部が、本体部2の傾斜角度θを算出することで、傾斜角度θ、第1距離aおよび第2距離bに基づいて、形状算出部(図示せず)は、埋設管30の深度Zを算出する。
【0147】
深度Zが算出されることで、埋設管30の深さ方向への形状変化を算出できる。
【0148】
以上のように、実施の形態1における埋設管形状算出装置1は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θに基づいて、埋設管の形状を算出できる。このとき、埋設管形状算出装置1は、連続する微小幅の立体形状に基づいて、埋設管の形状を算出すると共に、算出された埋設管の形状に基づいて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできる。
【0149】
あるいは、埋設管形状算出装置1は、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θのいずれか1以上の要素のみを用いて、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度のいずれかのみを検出したり算出したりできる。
【0150】
すなわち、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θの全ての要素を用いて、埋設管の3次元形状を算出することで、結果として、埋設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできるし、第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度θの1以上の要素のみで、設管の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状、深度を検出したり算出したりできる。
【0151】
(各部の詳細)
次に、各部の詳細について説明する。
【0152】
(本体部)
本体部2は、埋設管形状算出装置1の移動や算出処理を行う。
【0153】
本体部2は、図1〜3に示されるとおり、埋設管形状算出装置1の必要な機能の多くを格納し、埋設管形状算出装置1の全体骨格を形成する。
【0154】
本体部2は、アーム部4を更に備え、アーム部4が有する複数のアームの開閉、伸縮を制御する。このとき、本体部2は、アーム部4を介して、複数のアームのそれぞれが有する接触部が、埋設管の内壁に接触(一定の距離を有していても良い)するように、複数のアームの開閉や伸縮を制御する。
【0155】
本体部2は、クローラー3を備える。本体部2は、クローラー3を駆動させて、埋設管形状算出装置1の移動を制御する。なお、クローラー3ではなく、車輪を備えていても良い。また、本体部2は、リモコンによって、移動が操作されても良い。
【0156】
本体部2は、更に第1距離、第2距離、第3距離を算出する距離算出部20、第1角度、第2角度を算出する角度算出部21、埋設管の形状を算出する形状算出部22を、備える。なお、これらは、本体部2の外部に設けられても良い。
【0157】
本体部2は、距離算出部20、角度算出部21および形状算出部22の少なくとも一つを、外部に備えるに当たって、必要なデータを送信する送信部(無線もしくは有線の別を問わない)を備えていることも好適である。このような送信部を備えていることで、本体部2は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角の少なくとも一つを外部に送信でき、外部に設けられた処理部によって、埋設管の形状が算出される。
【0158】
距離算出部20は、上述の通り、第1距離、第2距離、第3距離を算出する。このとき、距離をそのまま算出するだけでなく、距離を算出するのに必要なパラメータだけを算出することでも良い。また、距離算出部20は、算出した第1距離、第2距離、第3距離の値を、形状算出部22に出力する。このとき、必要に応じて、距離算出部20は、算出した第1距離、第2距離、第3距離の値を、角度算出部21に出力しても良い。
【0159】
角度算出部21は、上述の通り、第1角度、第2角度、傾斜角度を算出する。このとき、角度をそのまま算出するだけでなく、角度を算出するのに必要なパラメータだけを算出しても良い。また、角度算出部21は、算出した第1角度、第2角度、傾斜角度を、形状算出部22に出力する。このとき、必要に応じて、角度算出部21は、算出した第1角度、第2角度、傾斜角度を、距離算出部20に出力しても良い。
【0160】
形状算出部22は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つに基づいて、埋設管の形状を算出する。算出の手法は、上述の通りである。
【0161】
また、形状算出部22は、形状を算出するのに必要なデータを外部に出力して、外部に設けられた他の装置によって、埋設管の形状が算出されたり描画されたりしても良い。
【0162】
(アームと接触部)
埋設管形状算出装置1は、アーム部4を備え、アーム部4は、複数のアームを有する。
【0163】
図4〜11では、埋設管の形状を算出することを説明しやすくするために、アーム部4が、第1アーム5と第2アーム6とを備える態様を説明したが、アーム部4は、複数のアームを備えていれば良い。なお、アーム部4が、第1アーム5、第2アーム6以外に、第3アームを備えていることで、埋設管形状算出装置1は、3次元形状を容易に算出できる。加えて、アーム部4が第1アーム5、第2アーム6、第3アームを備えていることで、本体部2が、埋設管内部で固定されやすくなる
複数のアームは、本体部2を基準にして、異なる方向に延伸する。第1アーム5と第2アーム6とは、異なる方向に延伸することで、埋設管の内部で異なる位置における、第1距離や第2距離が算出されることになる。このため、複数のアームのそれぞれは、図3に示されるように、本体部2から埋設管に対して異なる方向に延伸することが好適である。
【0164】
また、複数のアームのそれぞれは、本体部2に対して、傘のように開閉したり伸縮したりして、複数のアームのそれぞれが有する接触部を、埋設管の内壁に接触させる。
【0165】
接触部は、アームの先端に設けられてもよいし、先端以外に設けられても良い。また、接触部は、接触センサーや距離センサーを有することで、埋設管の内壁に常に接触もしくは内壁と一定の距離を必ず有するように、アームが開閉や伸縮するようにする。
【0166】
なお、複数のアームのそれぞれは、埋設管形状算出装置1が不使用の場合には、閉じられていることも好適である。
【0167】
なお、図1〜3に示されるように、アーム部が8本のアームを備えていることで、埋設管形状算出装置1は、より高い精度で、埋設管の形状を算出できる。
【0168】
また、アームおよび接触部は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度を算出するデータを、本体部2に出力するため、電気信号のやり取りを可能とすることが好適である。このため、アームや接触部から、本体部2に対して、信号線が設けられることも好適である。
【0169】
なお、アームおよび接触部は、別部材である必要はなく、一体で構成されても良い。
【0170】
以上のように、実施の形態1における埋設管形状算出装置は、埋設管の内部形状を算出できると共に、埋設管の内部形状において必要となるパラメータのみを算出することもできる。また、物理的に埋設管の内壁に接触可能な接触部より得られる、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の各要素によって、埋設管の内部形状が算出されるので、光学系を用いる従来技術よりもその精度が高い。また、発光素子や受光素子などのデバイスを必要としないので、装置の小型化、簡略化、低コスト化も実現できる。
【0171】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0172】
実施の形態2では、埋設管形状算出装置が、使用者の便宜となりうる種々の機能を有する場合について説明する。
【0173】
(送信部)
埋設管形状算出装置1は、算出された、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つのデータを送信する送信部を更に備えていることも好適である。
【0174】
図12は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。図12に示される埋設管形状算出装置1は、送信部80を備える。なお、図4と同じ符号を付した要素は、実施の形態1で説明したのと同様の機能や構成を有する。
【0175】
距離算出部20は、第1距離a、第2距離b、第3距離Lを、算出する。角度算出部21は、第1角度α、第2角度β、傾斜角度を算出する。距離算出部20および角度算出部21は、算出されたこれら第1距離a、第2距離b、第3距離L、第1角度α、第2角度β、傾斜角度を、形状算出部22に出力して、形状算出部22が、これらのデータを基に埋設管30の内部形状を算出する。しかし、形状算出部22を、本体部2の外部に備えたい場合(埋設管形状算出装置1の移動を制御する使用者の手元にある装置において、形状を算出したい場合がある)や、第1距離などのデータを使用者が手元に得たい場合がある。
【0176】
このような場合に、送信部80は、これらのデータを使用者の手元装置に送信する。送信部80は、有線によってデータを送信してもよいし、無線によってデータを送信してもよい。また、送信部80は、必要に応じて、アンテナや変復調機能を有してよく、周波数分割多重信号や時間分割多重信号などの変調信号によって、データを送信しても良い。
【0177】
形状算出部22と同等の機能を有する装置が、使用者の手元にある場合に、送信部80が第1距離などのデータをこの装置に送信することで、使用者の手元の装置によって、埋設管の形状を算出できる。
【0178】
また、送信部80が、第1距離などのデータを送信することで、使用者は、手元に第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度に関するデータを入手でき、これらのデータを用いた様々な作業を行うことが可能となる。
【0179】
なお、送信部80が、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つのデータを送信するために、距離算出部20は、算出された第1距離、第2距離、第3距離を送信部80に出力し、角度算出部21は、第1角度、第2角度、傾斜角度を、送信部80に出力する。
【0180】
また、送信部80は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度などの埋設管の形状を算出するために必要となるデータの送信のみならず、形状算出部22が算出した算出結果を送信することも良い。この場合には、例えば送信部80から送信された埋設管の形状を、使用者の手元に備えられる表示装置に表示することなどができる。
【0181】
(記憶部)
埋設管形状算出装置1は、算出された第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つを記憶する記憶部90を更に備えることも好適である。
【0182】
図13は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【0183】
図13に示される埋設管形状算出装置1は、記憶部90を新たに備えている。記憶部90は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度の少なくとも一つを記憶する。あるいは、形状算出部22が算出した、埋設管30の内部形状や、埋設管30の湾曲、屈曲、内径変化、障害物、深度などを記憶する。
【0184】
このため、記憶部90は、距離算出部20、角度算出部21、形状算出部22から出力される各種データを受信する。また、記憶部90は、記憶しているデータを、送信部80に出力しても良い。送信部80は、記憶部90より得られたデータを外部に送信する。
【0185】
記憶部90は、半導体メモリ、RAM、ROM、CD、DVD、HDD、磁気ディスクなど、種々の記憶素子や記憶デバイスで実現される。記憶部90が本体部2に備わっていることで、埋設管30内部を移動した埋設管形状算出装置1を取り出した後に、埋設管30の内部形状を確認できる種々のデータを、使用者が取り出すことができる。埋設管30の形状を算出するに際して、再確認が必要となる場合に記憶部90からのデータを用いることができる。このため、埋設管形状算出装置1が記憶部90を有していると、使用者の便宜が高まるメリットがある。
【0186】
また、記憶部90が設けられる場合には、送信部80が割愛されても良い。埋設管30での移動の終わった埋設管形状算出装置1の記憶部90からデータを取り出せば、埋設管30の内部形状を使用者の手元で算出することができる。
【0187】
このように、埋設管形状算出装置1が記憶部90を有していることで、フレキシブルに埋設管の形状を算出できる。
【0188】
(表示部)
埋設管形状算出装置1は、その外部に表示部を備えていることも好適である。
【0189】
図14は、本発明の実施の形態2における表示部の模式図である。
【0190】
埋設管形状算出装置1は、本体部2と離れた位置(例えば、使用者が作業する位置)において、埋設管形状算出装置1が算出した埋設管30の内部形状96(3次元形状)を表示する表示部95を備えていることも好適である。表示部95は、埋設管30の内部形状96を表示する。このとき、表示部95は、埋設管30の内部形状96を3次元で表示してもよいし、埋設管30の湾曲、屈曲、内径変化、障害物の形状のみあるいはこれらの存在のみを抽出して表示しても良い。
【0191】
表示部95は、グラフィックやイメージで表示してもよいし、テキストにて表示しても良い。あるいは、グラフィックとテキストとを混在して表示しても良い。
【0192】
(埋設管形状算出システム)
次に、埋設管形状算出装置1を用いた、埋設管形状算出システムについて説明する。
【0193】
図15は、本発明の実施の形態2における埋設管形状算出システムの模式図である。
【0194】
図15は、実施の形態1,2で説明した埋設管形状算出装置1を、外部の使用者120が、制御装置101にて操作しながら、埋設管30の内部形状を算出する様子を示している。
【0195】
埋設管30は、地中に備わっている。埋設管30には、入り口110があり(例えばマンホール)、使用者120は、埋設管形状算出装置1を、この入り口から埋設管30に投入する。埋設管形状算出装置1は、電気信号線100によって、制御装置101と接続されている。この電気信号線100によって、埋設管形状算出装置1は、制御装置101からの制御を受けたり、算出したデータを制御装置101に送信したりする。
【0196】
制御装置101は、使用者120が制御するに当たって必要となる各種の信号入力を受け付けたり、受け付けた信号に基づいて、埋設管形状算出装置1の移動やデータ送信を制御したりする。また、埋設管形状算出装置1からのデータを受け付けて、制御装置101は、埋設管30の形状を算出したり、算出された埋設管30の形状を表示部95に表示したりする。また、制御装置101は、過去に算出された埋設管30の形状を記憶しておき、現在の測定時と過去の測定時との比較を行って、変化の度合いを表示することもできる。
【0197】
制御装置101は入力端末102を有し、使用者120は、入力端末102から、各種の命令を制御装置101に与える。なお、制御装置101と入力端末102とは、別体でもよいし一体でもよい。使用者120は、入力端末102を通じて、埋設管形状算出装置1の動作を制御しつつ、制御装置101での処理や表示部95への表示を制御する。
【0198】
埋設管形状算出装置1は、制御装置101からの命令に従って、埋設管30内部を移動する。このとき、埋設管形状算出装置1は、複数のアームを広げ、複数のアームのそれぞれが有する接触部を内壁31、32に接触させるようにする。埋設管形状算出装置1は、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度などを算出して、埋設管30の形状を算出する。更に、埋設管形状算出装置1は、電気信号線100を通じて、第1距離、第2距離、第3距離、第1角度、第2角度、傾斜角度、埋設管30の形状などを制御装置101に送信する。
【0199】
この送信を受けた制御装置101は、必要な演算や処理を行った上で、表示部95に埋設管30の形状や情報を表示する。使用者120は、この表示をみて、埋設管30の状態を理解できる。
【0200】
使用者120は、表示された埋設管30の形状を確認した上で、埋設管30に対する必要な処置について検討できる。
【0201】
なお、制御装置101や入力端末102は、埋設管形状算出システムのための専用装置であってもよいし、汎用装置や汎用コンピュータが適用されても良い。
【0202】
以上のように、実施の形態2における埋設管形状算出装置や埋設管形状算出システムは、送信部や記憶部などの種々のオプションを有することで、使用の便利性が高まり、埋設管の形状をよりフレキシブルに算出することができる。
【0203】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0204】
実施の形態3では、埋設管形状算出装置によって算出された埋設管の内部形状の結果に基づいて、屈曲や湾曲している埋設管の修理について説明する。
【0205】
図16は、本発明の実施の形態3における埋設管修理システムによる修理を説明する模式図である。
【0206】
埋設管形状算出装置は、埋設管の内部を移動して、埋設管の内部形状を算出する。このとき、図16に示される状態200のように埋設管203が屈曲していることがある。これは、例えば土砂の流出によって埋設管203の近傍に空隙204が生じることがある。このような空隙204が生じると、埋設管203は、屈曲してしまう。このような屈曲は、実施の形態1、2で説明した埋設管形状算出装置によって算出される。また、このような埋設管203の屈曲を放置すると、水漏れや破壊の原因ともなってしまう。
【0207】
埋設管形状算出装置は、埋設管203内部を移動可能なので、この空隙204が生じている場所において、埋設管203に貫通孔を穿孔することができる。図16には図示していないが、埋設管形状算出装置は、穿孔部を備えていればよい。
【0208】
埋設管形状算出装置によって穿孔された貫通孔からは、埋設管203を持ち上げる硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方である充填材料205が、空隙204に投入される。図16の下部に示される状態である。空隙204に充填材料205が投入されることで、埋設管203が持ち上げられる。すなわち、充填材料205は、埋設管203を持ち上げる持ち上げ手段の役割を担っている。
【0209】
更に、埋設管形状算出装置は、硬化した充填材料205を土台にして、ジャッキのような持ち上げ装置を空隙204に投入できる。埋設管形状算出装置は、ジャッキを用いて、埋設管203を持ち上げる。
【0210】
このように、埋設管203は、空隙部204によって屈曲していることがあるが、持ち上げ手段や持ち上げ装置によって、屈曲が修理される。
【0211】
なお、充填材料205によって空隙204が充填されることでも、埋設管203の屈曲の進行をとどめることができるので、効果を有する。
【0212】
埋設管形状算出装置が、穿孔や充填材料205の投入の機能を有することで、埋設管203の異常を修理できる。これらの機能を有する埋設管形状算出装置として、提供されてもよいし、修理までを行う埋設管修理システムとして提供されてもよい。
【0213】
以上のように、実施の形態3における埋設管修理システムは、実施の形態1、2で説明された埋設管形状算出装置を利用して、埋設管に生じている異常を、埋設管を掘り起こすことなしに修理できる。
【0214】
以上、実施の形態1〜3で説明された埋設管算出装置、埋設管算出システム、埋設管修理システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における埋設管内部を移動する埋設管形状算出装置の後方図である。
【図4】本発明の実施の形態1における埋設管形状算出装置の動作模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1における埋設管の形状算出の模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化を算出する説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1における埋設管の内径変化算出を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施の形態1における埋設管の湾曲および屈曲の算出を示す模式図である。
【図9】埋設管の湾曲および屈曲を算出する状態を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態における埋設管内部の障害物形状の算出を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態1における埋設管の深度を算出する状態を説明する模式図である。
【図12】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【図13】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出装置の模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2における表示部の模式図である。
【図15】本発明の実施の形態2における埋設管形状算出システムの模式図である。
【図16】本発明の実施の形態3における埋設管修理システムによる修理を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0216】
1 埋設管形状算出装置
2 本体部
3 クローラー
4 アーム部
5 第1アーム
6 第2アーム
7 第1接触部
8 第2接触部
20 距離算出部
21 角度算出部
22 形状算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設管内を移動可能な本体部と、
前記本体部から延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、
前記本体部から、前記第1アームと異なる方向に延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、
前記第1アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、
前記第2アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、
前記第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、前記第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、前記第1接触部と前記第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、
前記第1接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、前記第2接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える埋設管形状算出装置。
【請求項2】
前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、前記埋設管の内部形状を算出する形状算出部を、更に備える請求項1記載の埋設管形状算出装置。
【請求項3】
前記形状算出部は、前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度に基づいて、前記埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出する請求項2記載の埋設管形状算出装置。
【請求項4】
前記形状算出部は、連続する複数の前記立体形状に基づいて、前記埋設管の3次元形状を算出する請求項3記載の埋設管形状算出装置。
【請求項5】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第1距離と前記第2距離との差分に基づいて、前記埋設管の湾曲を算出する請求項4記載の埋設管形状算出装置。
【請求項6】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第3距離の変化に基づいて、前記埋設管の内径変化を算出する請求項4から5のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項7】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度に基づいて、前記埋設管内部の障害物の形状を算出する請求項4から6のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項8】
前記角度算出部は、前記本体部の傾斜角度を検出し、
前記形状算出部は、前記傾斜角度、前記第1距離および前記第2距離に基づいて、前記埋設管の深度を算出する請求項2から7のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項9】
前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれは、前記第1接触部および前記第2接触部のそれぞれを前記埋設管の内壁に接触させるように、前記本体部を基準に開閉および伸縮の少なくとも一方を行う請求項1から8のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項10】
前記本体部から、前記第1アームおよび前記第2アームと異なる方向に延伸する第3アームと、
前記第3アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第3接触部と、を更に備え、
前記第1アーム、前記第2アームおよび前記第3アームは、前記第1接触部、前記第2接触部および前記第3接触部とを用いて、前記埋設管との接触部位を増加させる請求項1から9のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項11】
前記第1距離、前記第2距離、前記第1角度、前記第2角度および前記第3角度の少なくとも1つの情報を送信する送信部を更に備える請求項1から10のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項12】
前記第1距離、前記第2距離、前記第1角度、前記第2角度および前記第3角度の少なくとも1つの情報を記憶する記憶部を更に備える請求項1から11のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項13】
前記3次元形状を、表示する表示部を更に備える請求項4から12のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項14】
前記埋設管に貫通孔を穿つ穿孔部と、
前記貫通孔から、前記埋設管外部に、硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方を投入する請求項1から13のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか記載の埋設管形状算出装置と、
前記本体部を駆動させる駆動手段と、
前記算出部の算出を制御する制御部と、を備える埋設管形状算出システム。
【請求項16】
請求項14記載の埋設管形状算出装置と、
前記貫通孔から、前記埋設管外部に投入されると共に前記埋設管を持ち上げる持ち上げ装置と、を備える埋設管修理システム。
【請求項1】
埋設管内を移動可能な本体部と、
前記本体部から延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第1アームと、
前記本体部から、前記第1アームと異なる方向に延伸して、前記埋設管の内部形状に合わせて可動する第2アームと、
前記第1アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第1接触部と、
前記第2アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第2接触部と、
前記第1接触部の基準面からの移動距離を第1距離として算出し、前記第2接触部の基準面からの移動距離を第2距離として算出し、前記第1接触部と前記第2接触部との直線距離を第3距離として算出する、距離算出部と、
前記第1接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第1アームが形成する角度を、第1角度として算出し、前記第2接触部が接触する内壁の接線に対して、前記第2アームが形成する角度を第2角度として算出する、角度算出部と、を備える埋設管形状算出装置。
【請求項2】
前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度の少なくとも1つ以上に基づいて、前記埋設管の内部形状を算出する形状算出部を、更に備える請求項1記載の埋設管形状算出装置。
【請求項3】
前記形状算出部は、前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度に基づいて、前記埋設管の所定位置における微小幅の立体形状を算出する請求項2記載の埋設管形状算出装置。
【請求項4】
前記形状算出部は、連続する複数の前記立体形状に基づいて、前記埋設管の3次元形状を算出する請求項3記載の埋設管形状算出装置。
【請求項5】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第1距離と前記第2距離との差分に基づいて、前記埋設管の湾曲を算出する請求項4記載の埋設管形状算出装置。
【請求項6】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第3距離の変化に基づいて、前記埋設管の内径変化を算出する請求項4から5のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項7】
前記形状算出部は、前記3次元形状に含まれる前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離、前記第1角度および前記第2角度に基づいて、前記埋設管内部の障害物の形状を算出する請求項4から6のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項8】
前記角度算出部は、前記本体部の傾斜角度を検出し、
前記形状算出部は、前記傾斜角度、前記第1距離および前記第2距離に基づいて、前記埋設管の深度を算出する請求項2から7のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項9】
前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれは、前記第1接触部および前記第2接触部のそれぞれを前記埋設管の内壁に接触させるように、前記本体部を基準に開閉および伸縮の少なくとも一方を行う請求項1から8のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項10】
前記本体部から、前記第1アームおよび前記第2アームと異なる方向に延伸する第3アームと、
前記第3アームに接続して、前記埋設管の内壁に接触して移動可能な第3接触部と、を更に備え、
前記第1アーム、前記第2アームおよび前記第3アームは、前記第1接触部、前記第2接触部および前記第3接触部とを用いて、前記埋設管との接触部位を増加させる請求項1から9のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項11】
前記第1距離、前記第2距離、前記第1角度、前記第2角度および前記第3角度の少なくとも1つの情報を送信する送信部を更に備える請求項1から10のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項12】
前記第1距離、前記第2距離、前記第1角度、前記第2角度および前記第3角度の少なくとも1つの情報を記憶する記憶部を更に備える請求項1から11のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項13】
前記3次元形状を、表示する表示部を更に備える請求項4から12のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項14】
前記埋設管に貫通孔を穿つ穿孔部と、
前記貫通孔から、前記埋設管外部に、硬化性材料および膨張性材料の少なくとも一方を投入する請求項1から13のいずれか記載の埋設管形状算出装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか記載の埋設管形状算出装置と、
前記本体部を駆動させる駆動手段と、
前記算出部の算出を制御する制御部と、を備える埋設管形状算出システム。
【請求項16】
請求項14記載の埋設管形状算出装置と、
前記貫通孔から、前記埋設管外部に投入されると共に前記埋設管を持ち上げる持ち上げ装置と、を備える埋設管修理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−256237(P2010−256237A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108111(P2009−108111)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509121019)株式会社春田建設 (7)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509121019)株式会社春田建設 (7)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
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