説明

培地装置

【課題】サンプリングの作業を簡素化することができ、菌検査の検査結果にばらつきが生じるのを抑制することができ、正確な検査を行うことができるようにする。
【解決手段】培地部31及び把持部32を備えた平板状のトレー部12と、該トレー部12を覆うための蓋(ふた)体とを有する。そして、前記培地部31に、被検体の検査箇所に対応させて培地39が形成される。この場合、培地部31に、被検体の検査箇所に対応させて培地39が形成されるので、一つの培地装置を使用するだけで、包材にあらかじめ設定された複数の検査箇所について菌検査を行うことができる。したがって、サンプリングの作業を簡素化することができるだけでなく、サンプリングを行うたびに検査箇所が異なることがないので、菌検査の検査結果にばらつきが生じるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、例えば、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動性を有する食品、すなわち、流動性食品を収容する包装容器を製造する場合、板状、ウェブ状等の包材が使用され、該包材の所定の箇所がヒートシール、超音波シール等の手法によってシールされることにより、包装容器が形成されるようになっている。
【0003】
例えば、板状の包材を使用する場合、包材は、あらかじめ所定の形状に裁断され、所定の箇所に折り目が作られたブランクスとして形成される。そして、該ブランクスは、前記折り目に沿って折り曲げられて筒状のブランクカートンにされた後、一端が閉鎖され、他端が開口させられた有底カートンにされる。次に、充填(てん)機において、前記有底カートンに流動性食品を充填し、他端を閉鎖することによって包装容器を完成させるようにしている。
【0004】
また、ウェブ状の包材を使用する場合、充填機において、前記包材をチューブ状にし、縦シール装置によって縦方向にシールした後、チューブ状の包材の中に流動性食品を充填しながら、横シール装置によって所定の間隔で横方向にシールして切断し、枕(まくら)状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させるようにしている。
【0005】
ところで、該包装容器を製造するに当たり、板状の包材、ウェブ状の包材等は無菌状態で作成されるようになっているが、包材が無菌状態に維持されているかどうかを確認するために、包材に対して菌検査を行う必要がある。
【0006】
また、食品分野においても、使用されるまな板、工場における製造ライン等が無菌状態に維持されているかどうかを確認するために、使用されるまな板、工場における製造ライン等に対して同様の菌検査を行う必要がある。
【0007】
そこで、各包材、まな板、製造ライン等に対して菌検査を行うためにスタンプ培地が使用される。該スタンプ培地は、スタンプ形状を有する容器に、ゼラチン、寒天等の培地剤を収容し、固化させることによって形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
そして、前記スタンプ培地を使用して包材、まな板、製造ライン等に対して菌検査を行うに当たり、前記スタンプ培地の培地面を包材、まな板、製造ライン等の所定の箇所に押し付けてサンプリングを行い、続いて、スタンプ培地を培養することによって、菌の有無、包材、まな板、製造ライン等の汚染の程度等について菌検査を行うようにしている。
【特許文献1】特開平6−189739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来のスタンプ培地においては、包材、まな板、製造ライン等の複数箇所において菌検査を行う場合、検査を行う箇所、すなわち、検査箇所ごとにそれぞれスタンプ培地を押し付けてサンプリングを行う必要があるので、サンプリングの作業が煩わしいだけでなく、サンプリングを行うたびに、各スタンプ培地を押し付ける検査箇所が異なると、菌検査の検査結果にばらつきが生じてしまい、正確な検査を行うことができない。
【0010】
本発明は、前記従来のスタンプ培地の問題点を解決して、サンプリングの作業を簡素化することができ、菌検査の検査結果にばらつきが生じるのを抑制することができ、正確な検査を行うことができる培地装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の培地装置においては、培地部及び把持部を備えた平板状のトレー部と、該トレー部を覆うための蓋(ふた)体とを有する。
【0012】
そして、前記培地部に、被検体の検査箇所に対応させて培地が形成される。
【0013】
本発明の他の培地装置においては、さらに、前記トレー部は、枠体及び底部によって形成される浅底の収容部を備える。
【0014】
本発明の更に他の培地装置においては、さらに、前記収容部は区画部材によって区画される。
【0015】
本発明の更に他の培地装置においては、さらに、前記把持部に、培地部による検査位置を測定するための目盛りが形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、培地装置においては、培地部及び把持部を備えた平板状のトレー部と、該トレー部を覆うための蓋体とを有する。
【0017】
そして、前記培地部に、被検体の検査箇所に対応させて培地が形成される。
【0018】
この場合、培地部に、被検体の検査箇所に対応させて培地が形成されるので、一つの培地装置を使用するだけで、被検体にあらかじめ設定された複数の検査箇所について菌検査を行うことができる。したがって、サンプリングの作業を簡素化することができるだけでなく、サンプリングを行うたびに検査箇所が異なることがないので、菌検査の検査結果にばらつきが生じるのを抑制することができ、正確な検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図2は本発明の実施の形態におけるブランクスの平面図、図3は本発明の実施の形態におけるブランクカートンを示す斜視図、図4は本発明の実施の形態におけるブランクカートンを平坦(たん)に折り畳んだ状態を示す図である。
【0021】
図2において、15は板状の包材を裁断することによって形成されたブランクスであり、該ブランクス15は、多層構造を有し、紙基材、及び該紙基材の内側及び外側にポリオレフィン系樹脂の樹脂フィルムを被覆することによって形成された最内層及び最外層を備える。また、必要に応じて前記紙基材と最内層との間にガスバリヤ性の樹脂、アルミ箔(はく)等から成るガスバリヤ層を形成することもできる。
【0022】
本実施の形態において、前記ブランクス15は、ゲーブルトップ型の包装容器を製造するために、互いに隣接させて形成された第1パネル部P1、第2パネル部P2、第3パネル部P3、第4パネル部P4及び第5パネル部P5、並びに前記第3パネル部P3から突出させて形成された第6パネル部P6から成る。
【0023】
そして、前記第1パネル部P1は、包装容器の側壁を構成する矩(く)形部a1、包装容器の傾斜上壁を構成する矩形部b1、包装容器の底壁を構成する矩形部c1、及び包装容器の尾根部を構成する矩形部d1から成る。
【0024】
また、前記第2パネル部P2は、包装容器の側壁を構成する矩形部a2、包装容器の傾斜上壁を構成する三角形部e2、f2、g2、包装容器の底壁を構成する三角形部h2、i2、j2、及び包装容器の尾根部を構成する矩形部k2、m2から成る。
【0025】
さらに、前記第3パネル部P3は、包装容器の側壁を構成する矩形部a3、包装容器の傾斜上壁を構成する矩形部b3、包装容器の底壁を構成する矩形部c3、及び包装容器の尾根部を構成する矩形部d3から成る。
【0026】
そして、前記第4パネル部P4は、包装容器の側壁を構成する矩形部a4、包装容器の傾斜上壁を構成する三角形部e4、f4、g4、包装容器の底壁を構成する三角形部h4、i4、j4、及び包装容器の尾根部を構成する矩形部k4、m4から成る。
【0027】
なお、xは山折りの折目、yは谷折りの折目である。また、線z1、z2は、包装容器を開封する際に開け口を形成するための谷折りの折目である。
【0028】
前記構成のブランクス15において、前記第1パネル部P1と第5パネル部P5とを融着すると、前記ブランクス15は、図に示されるような、平坦に折り畳まれてブランクカートン16になる。そして、前記ブランクカートン16になったとき、矩形部b1、b3、d1、d3、k2、k4、m2、m4及び三角形部e2、e4、f2、f4、g2、g4によってカートントップ部22が、矩形部c1、c3、三角形部h2、h4、i2、i4、j2、j4及び第6パネル部P6によってカートンボトム部23がそれぞれ構成される。なお、図3はブランクカートン16を断面が四角形になるようにした状態を、図4はブランクカートン16を折り畳んだ状態を示す。
【0029】
そして、包装容器を製造するに当たり、前記ブランクカートン16は、図3に示されるように、断面が四角形になるようにされ、その状態で図示されないマンドレルにセットされる。
【0030】
続いて、マンドレルに外嵌(かん)させられた状態で、カートンボトム部23が折り畳まれ、シールされて、一端が閉鎖され、他端が開口させられた有底カートンが形成され、該有底カートンがマンドレルから外され、流動性食品が有底カートンに充填される。そして、有底カートンのカートントップ部22が折り畳まれ、シールされて、他端が閉鎖させられ、包装容器が完成させられる。
【0031】
ところで、該包装容器を製造するに当たり、展開された状態のブランクス15、及び平坦に折り畳まれた状態のブランクスであるブランクカートン16は、いずれも、無菌状態で作成されるようになっているが、ブランクス15及びブランクカートン16が無菌状態に維持されているかどうかを確認するために、ブランクス15及びブランクカートン16が被検体とされ、菌検査が行われる。
【0032】
ブランクカートン16の場合、図4に示されるような、マンドレルにセットされる前の平坦に折り畳まれた状態に置かれたまま、カートントップ部22側又はカートンボトム部23側の開口からブランクカートン16内に図示されない培地装置が挿入され、該培地装置の培地面に、ブランクカートン16の内周面においてあらかじめ設定された複数の検査箇所が押し付けられる。一方、ブランクス15の場合、図2に示されるように、展開された状態で複数積み重ねられるようになっていて、複数のブランクス15のうちの所定のブランクス15が取り出され、培地装置の培地面に、ブランクス15の内周面においてあらかじめ設定された複数の検査箇所が押し付けられる。
【0033】
次に、前記培地装置について説明する。
【0034】
図1は本発明の実施の形態における培地装置のトレー部を示す斜視図、図5は本発明の実施の形態における蓋体を示す斜視図、図6は本発明の実施の形態における培地装置の斜視図である。
【0035】
図において、11は培地装置、12は平板状のトレー部、13は該トレー部12を覆うための蓋体であり、該蓋体13はトレー部12に対して着脱自在に配設される。前記トレー部12及び蓋体13は、リサイクルを行うことができるように、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料から成り、金型に高分子材料を流入させることによって製造することができる。なお、高分子材料としてポリエチレンテレフタレートに代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができる。
【0036】
前記トレー部12は、矩形の形状を有する培地部31、及び該培地部31より細く、かつ、培地部31と一体に形成された把持部32を備え、前記培地部31は、矩形の形状を有する枠体33、及び底部34によって形成される浅底の収容部35を備え、該収容部35にブランクス15(図2)においてあらかじめ設定された検査箇所に対応する面積を有する培地39が形成される。また、前記把持部32は、前記枠体33と同じ高さに形成された枠体67、及び該枠体67によって包囲される底部68を備える。
【0037】
ところで、本実施の形態において、前記培地部31の面積は100〔cm2 〕に設定される。従来のスタンプ培地においては、サンプリングを行う被検体の表面と接触させる面の面積は、24〜30〔cm2 〕とすべきである(「日本薬局方解説書」廣川書店発行、2001、F−159−160、ISO14698−1:2003)とされていることから、多くが25〔cm2 〕に設定されている。そこで、本実施の形態においては、収容部35の底部を4分割するように、ラインnが形成される。これにより、25〔cm2 〕の面積を有するスタンプ培地を4個集めたものと同じ条件になり、日本薬局方及びISOにも対応することになる。
【0038】
また、前記収容部35は、縦方向に延びる少なくとも一つの、本実施の形態においては、二つの第1の区画部材36、及び該第1の区画部材36と交差して横方向に延びる少なくとも一つの、本実施の形態においては、二つの第2の区画部材37によって区画され、複数の、本実施の形態においては、9個の矩形の形状を有する区画領域が形成される。
【0039】
前記培地39は、前記収容部35に、ゼラチン、寒天等の培地剤を流入させ、固化させることによって形成されるが、前述されたように、前記第1、第2の区画部材36、37が底部34から上方に向けて突出させて形成され、固化する前の培地剤が各区画領域間で移動するのを抑制するので、培地剤が収容部35から流出するのを防止することができる。
【0040】
この場合、第1、第2の区画部材36、37は枠体33より低くなるように形成されるが、前記培地剤を流入させるに当たり、培地剤の表面を前記第1、第2の区画部材36、37より低くすると、各区画領域に流入させられた培地剤によって独立する9個の培地が形成され、培地剤の表面を前記第1、第2の区画部材36、37より高くすると、共通の一つの培地39が形成される。
【0041】
なお、前記第1、第2の区画部材36、37は、底部34から上方に向けて突出させて形成されたリブを構成し、格子状に配設されてトレー部12を補強する。また、トレー部12における培地部31と把持部32とを連結する連結部に、枠体33、67の共通部分を構成する区画部材結合部61が形成され、該区画部材結合部61の培地部31側の縁部に複数の凹凸から成る波状部62が形成されるとともに、区画部材結合部61の把持部32に隣接する2箇所に、楕円状のくぼみ部63が形成され、また、区画部材結合部61の角部に段差64が形成される。したがって、前記区画部材結合部61を十分に補強することができ、把持部32を把持したときに発生する応力を分散させることができる。
【0042】
なお、前記培地剤としては、検査対象となる菌種に対応したものが使用され、例えば、一般細菌、大腸菌、大腸菌群、黄色ぶどう球菌、カビ等を検査対象とする場合には、各菌種を検査することができる培地剤が選択される。
【0043】
そして、前記把持部32において、底部68の上面又は下面(本実施の形態においては、上面)には、培地部31による検査位置を測定するための、例えば、ブランクカートン16(図3)内にトレー部12、特に、培地部31を挿入したときの挿入深さを測定するための目盛り41が形成される。したがって、ブランクカートン16のカートントップ部22側、又はカートンボトム部23側の縁部から外方に突出している把持部32の長さを、前記目盛り41を読むことによって知ることができ、前記長さに基づいて、培地部31による挿入深さを測定することができる。
【0044】
さらに、前記底部68の上面又は下面(本実施の形態においては、上面)に、前記目盛り41に隣接させて曇り状(梨地状)の記載領域66が形成される。該記載領域66には、被検体の名称を記載したり、被検体の名称が記載されたラベルを貼付したりすることができる。したがって、被検体と検査結果との取違いが発生するのを防止することができる。
【0045】
また、前記蓋体13は、トレー部12の全体を覆うことができるような形状及び寸法を有し、トレー部12と同じ形状を有する枠体45及び頂部46によって形成される。前記枠体45は頂部46よりわずかに上方に向けて突出させて形成されるので、蓋体13上にトレー部12を載置したときに、トレー部12が枠体45を越えて外れることがなくなる。したがって、複数の培地装置11を安定させて積み重ねることができる。
【0046】
また、トレー部12には、前記枠体33の外側面の4箇所に第1の係止部としての凹部71(図においては二つの凹部71だけが示される。)が、前記枠体67の外側面の2箇所に第2の係止部としての凹部72(図においては二つの凹部72だけが示される。)が形成される。一方、蓋体13には、前記枠体45の内側面に、前記凹部71に対応させて、第1の被係止部としての凸部73が、前記凹部72に対応させて、第2の被係止部としての凸部74が形成される。したがって、前記凹部71と凸部73とを、また、凹部72と凸部74とを係脱することによって、蓋体13をトレー部12に対して係脱させることができる。この場合、蓋体13に外力が加わっても蓋体13がトレー部12から容易に外れることがなくなるので、培地装置11内の密封性を向上させることができる。
【0047】
なお、複数の培地装置11を積み重ねたときに、トレー部12及び蓋体13が変形するのを防止するために、枠体33、67の下縁に沿って、外方に向けて、1.5〔mm〕のつばを突出させて形成することができる。この場合、枠体45の下縁に沿って、外方に向けて、0.5〔mm〕のつばが突出させて形成され、蓋体13をトレー部12に対して係合させたときに、枠体45のつばが枠体33、67のつばの上に置かれて重なるので、補強効果を向上させることができる。
【0048】
ところで、前記蓋体13をトレー部12に係合させると、トレー部12の全体が覆われ、培地部31だけでなく、把持部12の上面が密封される。したがって、培地装置11を使用する前に、例えば、ガンマ線を照射することによって無菌状態を形成した後に、培地装置11内に細菌が進入するのを防止することができる。
【0049】
なお、前記把持部32の端部に第1の突出部としての突片75が、前記蓋体13の前記突片75と隣接する位置に第2の突出部としての突片76が形成される。したがって、突片75、76に指をかけて、前記蓋体13を上に、トレー部12を下に押すことによって、トレー部12から蓋体13を容易に取り外すことができる。
【0050】
次に、前記構成の培地装置11の使用方法について説明する。なお、この場合、ブランクカートン16が被検体とされた場合について説明する。
【0051】
まず、蓋体13を取り外した状態で、把持部32を把持し、ブランクカートン16の開口からブランクカートン16内にトレー部12、特に、培地部31を所定の挿入深さで挿入する。このとき、トレー部12の各培地領域と、ブランクス15においてあらかじめ設定された複数の検査箇所とが対向させられる。なお、前記トレー部12の厚さ及び長さは、ブランクカートン16内にトレー部12を十分に挿入することができるように設定される。
【0052】
続いて、ブランクカートン16の外側面から、前記各培地領域に相当する部分を押すと、前記各検査箇所が各培地39の培地面に押し付けられ、サンプリングが行われる。
【0053】
次に、ブランクカートン16からトレー部12を引き出し、蓋体13を被せ、培地装置11を図示されない培養器にセットし、所定の培養温度及び所定の培養時間で培地39を培養する。したがって、ブランクカートン16の菌の有無、ブランクカートン16の汚染の程度等について検査を行うことができる。
【0054】
この場合、検査対象となる菌は、一般細菌、大腸菌、大腸菌群、黄色ぶどう球菌、カビ等の各類型に分類され、該各類型ごとに培養温度及び培養時間が設定される。なお、菌の有無は、菌のコロニーを肉眼で数えることによって判断することができる。また、発育したコロニーを釣菌し、培地面を顕微鏡で見て菌を同定することができる。
【0055】
このように、一つの培地装置11を使用するだけで、ブランクス15にあらかじめ設定された複数の検査箇所について菌検査を行うことができるので、サンプリングの作業を簡素化することができるだけでなく、サンプリングを行うたびに検査箇所が異なることがないので、菌検査の検査結果にばらつきが生じるのを抑制することができる。
【0056】
ところで、本実施の形態においては、ゲーブルトップ型の包装容器を製造するための板状のブランクス15及びブランクカートン16について菌検査を行う場合について説明したが、れんが型の包装容器を製造するためのウェブ状の包材について菌検査を行うこともできる。
【0057】
前記れんが型の包装容器は、充填機において、ウェブ状の包材をチューブ状にし、縦シール装置によって縦方向にシールした後、チューブ状の包材の中に流動性食品を充填しながら、横シール装置によって所定の間隔で横方向にシールして切断し、枕状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形することによって完成される。
【0058】
その場合、前記充填機において、前記ウェブ状の包材は、リール状に巻かれた状態で繰出機にセットされ、該繰出機によって繰り出され、送り装置によって搬送される。
【0059】
そこで、ウェブ状の包材について菌検査を行う場合、リール状の包材を、最外周面からナイフ等によって所定の量だけ切り取るようにしている。本実施の形態においては、リール状の包材の最外周面から、円周方向において所定の長さ、例えば、30〔cm〕にわたり、最外周面から径方向内方に向けて所定の枚数、例えば、30〜50枚分を切り取るようにしている。したがって、長さが30〔cm〕の、包材と等しい幅を有する30〜50枚の被検体を得ることができる。
【0060】
続いて、該各被検体のうちの、前記最外周面からあらかじめ設定された枚数だけ内側のものに前記トレー部12を押し付けることによって、菌検査を行うことができる。
【0061】
前記各実施の形態においては、ブランクス15及びブランクカートン16、リール状の包材の切断片等が被検体とされるようになっているが、食品分野において、使用されるまな板、工場におけるライン等を被検体とすることができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における培地装置のトレー部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるブランクスの平面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるブランクカートンを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるブランクカートンを平坦に折り畳んだ状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における蓋体を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における培地装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
11 培地装置
12 トレー部
13 蓋体
15 ブランクス
16 ブランクカートン
31 培地部
32 把持部
33 枠体
34 底部
35 収容部
36、37 第1、第2の区画部材
39 培地
41 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)培地部及び把持部を備えた平板状のトレー部と、
(b)該トレー部を覆うための蓋体とを有するとともに、
(c)前記培地部に、被検体の検査箇所に対応させて培地が形成されることを特徴とする培地装置。
【請求項2】
前記トレー部は、枠体及び底部によって形成される浅底の収容部を備える請求項1に記載の培地装置。
【請求項3】
前記収容部は区画部材によって区画される請求項2に記載の培地装置。
【請求項4】
前記把持部に、培地部による検査位置を測定するための目盛りが形成される請求項1に記載の培地装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−50942(P2006−50942A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234347(P2004−234347)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(591045677)関東化学株式会社 (99)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】