説明

培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽

【課題】 栽培槽に入れる培養液の量を栽培に必要な最小限に止め、しかも害虫駆除のための植物浸漬を行うことのできる浸漬室つき水耕栽培槽を提供する。
【解決手段】
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で循環走行させるべき培養液入り循環路からなる槽において、
上記循環路における上記植物植設パネルの少くとも約1枚分に対応する部分を、上記植物が浸漬可能の深底の浸漬室に形成し、
上記循環路の他の部分を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底の水耕栽培室に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、培養液節減のため槽内に少量の培養液を保有しつつ、害虫駆除のため培養液又は他の液中に植物を浸漬することもできる培養液節減型の害虫駆除用浸漬室つき水耕栽培槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培槽内に入れた培養液に、植物を植えたパネル(以下植物植設パネルという)を浮かべると共に、植物の根を培養液中に浸して栽培を行う水耕栽培装置が広く使用されている。しかし、この水耕栽培装置において、栽培中の植物に付着した害虫を駆除するため、該植物をパネルごと培養液中に浸漬する害虫駆除方法を実施するには、栽培槽を深底に形成し、この深底槽内に、植物全体が十分に液没できるように、植物栽培に必要な量を超えた大量の培養液を注入しておかなければならず、培養液が高価であることと相まって経済上大きな不利益を招いていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は、栽培槽に入れる培養液の量を栽培に必要な最小限に止め、しかも害虫駆除のための植物浸漬を行うことのできる浸漬室つき水耕栽培槽を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を達成するため、本願第1発明は、
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で循環走行させるべき培養液入り循環路からなる槽において、
上記循環路における上記植物植設パネルの少くとも約1枚分に対応する部分を、上記植物が浸漬可能の深底の浸漬室に形成し、
上記循環路の他の部分を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底の水耕栽培室に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽を提案し、
【0005】
本願第2発明は、
多数枚の植物植設パネルを隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記栽培槽の外部にあって、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽を提案し、
【0006】
本願第3発明は、
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で循環走行させるべき培養液入り循環路からなる栽培槽と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記循環路と隣り合わせに配置された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽を提案し、
【0007】
本願第4発明は、
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記栽培槽の外部において上記一列の各植物植設パネルに対応する位置に順次移動可能に支持された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき栽培槽を提案し、
【0008】
本願第5発明は、
多数枚の植物植設パネルを一列に隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽の複数槽を互に平行に並設した栽培槽群と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記栽培槽群の外部において上記複数槽の一側にそれぞれ移動可能に支持された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき栽培槽を提案し、
【0009】
本願第6発明は、
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記栽培槽と別体の槽であって、複数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき浸漬液入り浸漬槽とを、上記植物植設パネルが渡行自在のブリッジを介して接続して、該植物植設パネルの循環路に形成し、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本願第1発明の浸漬室つき水耕栽培槽によれば、深底の浸漬室のみに多くの培養液を入れるが、浅底の栽培室にはわずかの培養液を入れるだけで足りるから、従来の栽培槽と比較し、全体として使用培養液の量を大幅に節減することができるのである。
【0011】
又、本願第2〜第6発明の各浸漬室つき水耕栽培槽によれば、浅底の栽培槽にはわずかの培養液を入れれば足り、上記栽培槽と別体の浸漬槽には、高価な培養液の代りに、水等の安価な浸漬液を入れればよいから、上記第1発明よりもさらに培養液の量を節減することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願第2〜第6発明における各浸漬槽に入れる「浸漬液」には、水等の安価な液のほか、アミノ酸、核酸、カルシウム等の植物成長促進剤又は害虫忌避剤を含む液を使用することができる。
【実施例】
【0013】
以下本願発明の実施例について詳述する。
第1発明の実施例
本例は、多数枚の正方形植物植設パネルが循環走行する循環路からなる栽培槽の一部に浸漬室を形成した例である。
【0014】
図1において、栽培槽(1)は、相対する長辺がわ側壁(2)、(2’)及び相対する短辺がわ側壁(3)、(3’)からなる長方形横長箱型の槽で、この槽(1)内の短辺がわ幅を2等分する位置に仕切壁(4)を設けると共に、該仕切壁(4)の両端と短辺がわ側壁(3)、(3’)との間に、正方形植物植設パネル(5)のほぼ1枚分に相当する間隔を設け、それにより上記仕切壁(4)と長辺がわ側壁(2)、(2’)との間における、上記パネル(5)よりやや広幅で、本例ではパネル(5)8枚分に相当する長さの長路(6)、(6’)と、上記長路(6)、(6’)の両端を連通させる通路であって、上記パネル(5)よりやや広幅で、本例ではパネル(5)2枚分に相当する長さの短路(7)、(7’)とから成る扁平ロ字形の循環路を形成してある。
【0015】
上記循環路における、本例では図1(イ)の左側の短路(7)の上半部を深底の浸漬室(8)に形成すると共に、他の循環路全体を浅底の栽培室に形成してある。
【0016】
上記のような栽培槽(1)内に培養液(9)を注入し、コマツナ栽培用として、栽培室の培養液深さを3〜5cm、浸漬室(8)の培養液深さを40〜60cmとしてある。
【0017】
上記培養液(9)の液面に、本例では植物(P)…を植えた発泡スチロール板の正方形植物植設パネル(5)…を互に一列の隣接状態で浮かべ、その際パネル(5)…20枚を使用可能のところ、19枚を浮かべて1枚分を空席としてある。図1では、浸漬室(8)の液面をパネル空席としてある。
【0018】
上例の水耕栽培槽の作用は次のようである。図1のように各植物植設パネル(5)…を浅底の栽培室において水耕栽培を行うと、各植物(P)…の根が生長するにつれ浅底面に沿って横に展延していき、次第に根同志がからみ合って扁平なマット状に形成されていく。
【0019】
植物(P)…に付着した害虫を駆除する場合は、図1(イ)において、短路(7’)の上半部にあるパネル(5)を矢印のように長賂(6)の長手方向へ押し、それにより長路(6)にあるパネル(5)…を走行させ、先頭のパネル(5)を浸漬室(8)内に送りこむ(仮想線の位置)。
【0020】
浸漬室(8)内に入った植物植設パネル(5)は、パネル押込み装置、パネル反転装置、その他種々の手段を用いて深い培養液中に所要時間浸漬する。
【0021】
上記浸漬作業中、上記短路(7’)下半部にあるパネル(5)を矢印方向へ押して空席となっている上半部に移動させ、ついで短路(7)下半部にあるパネル(5)を長路(6’)の延長方向へ押し、それにより長路(6’)にあるパネル(5)…を右方へ走行させ、先頭のパネル(5)を空席となっている短路(7’)下半部に移動させる。
【0022】
浸漬後、浮上したパネル(5)は、矢印方向に押して短路(7)下半部に移動させる。以下上記と同様の作業を繰返して各植物植設パネル(5)…を順次浸漬室(8)に送って害虫駆除を行う。
【0023】
第2発明の実施例
本例は、多数枚の植物植設パネルを定位置に支持する栽培槽の外部に、該栽培槽と別体の浸漬液入り浸漬槽を設けた例である。
【0024】
図2において、栽培槽(1a)内には、正方形の植物植設パネル(5a)よりやや広幅で横長の浅底栽培室を形成してあり、この栽培槽(1a)と別体の浸漬槽(8a)を栽培槽(1a)の長手方向外部に設置し、該浸漬槽(8a)内に、上記パネル(5a)よりも若干縦横幅の広い深底浸漬室を形成してある。
【0025】
上記栽培槽(1a)内には培養液(9a)を入れ、トマト、ナス栽培用として培養液深さを5〜7cmとし、浸漬槽(8a)には浸漬液として水(10a)を入れ、水深を150〜200cmとしてある。
【0026】
水耕栽培中、植物(Pa)…に付着した害虫を浸漬により駆除する場合は、爪、チャック、フォーク等を備える吊上げ搬送装置等を用いて栽培槽(1a)内の1枚のパネル(5a)を吊り上げて浸漬槽(8a)上に搬送し、ついで浸漬液(10a)上に下し、そこで押込み装置等により植物植設パネル(5a)を水(10a)中に所要時間浸漬する。
【0027】
浸漬後、パネル(5a)を水面に浮上させ、ついで栽培槽(1a)内の元の栽培位置に戻し、以下同様に新たなパネル(5a)を順次浸漬槽(8a)に搬送して浸漬を行う。
【0028】
第3発明の実施例
本例は、多数枚の正方形植物植設パネルが循環走行する循環路からなる栽培槽の外部に、該栽培槽と別体の浸漬槽を設けた例である。
【0029】
図3において、栽培槽(1b)内は、仕切壁(4b)と長辺がわ側壁(2b)、(2’b)との間に、パネル(5b)よりやや広幅で、パネル(5)8枚分に相当する長さに形成された長路(6b)、(6’b)と、上記長路(6b)、(6’b)の両端を連通させる通路であって、上記パネル(5b)よりやや広幅で、パネル(5b)2枚分に相当する長さの短路(7b)、(7’b)とからなる浅底循環路の栽培室を形成し、この栽培槽(1b)の長路(6b)内にある1のパネル(5b)に対応する外部に、栽培槽と別体の浸漬槽(8b)をブリッジ(11b)を介して連設してある。
【0030】
上記浸漬槽(8b)内には深底浸漬室を形成し、これに水(10b)を入れてある。
【0031】
上記ブリッジ(11b)は次のようである。上記栽培槽(1b)と浸漬槽(8b)との相対面する側壁部分に、パネル(5b)が出退できる幅でそれぞれ対面方向へ突出する張出し部(12b)、(13b)をそれぞれ形成し、両張出し部(12b)、(13b)に、山形に屈曲し、両側端にレール(14b)、(14b)を立設した表面平滑の板状ブリッジ(11b)を掛け渡し、両張出し部(12b)、(13b)に固定してある。
【0032】
上記ブリッジ(11b)のレール(14b)、(14b)間隔は、パネル(5b)よりやや広くし、又ブリッジ(11b)の両端部は、上記張出し部(12b)、(13b)内においてそれぞれ培養液中及び水中に進入して、パネル(5b)がブリッジ(11b)上に容易に移動できるようにしてある。
【0033】
今、図3(イ)の状態から害虫駆除用浸漬を行う場合は、長路(6b)にあって浸漬槽(8b)に対向する位置にある植物植設パネル(5b)を浸漬槽(8b)方向へ押し出し、それにより該パネル(5b)をブリッジ(11b)上に摺動させて浸漬槽(8b)内の水(10b)面に移動させる。
【0034】
そこで、前例と同様に適宜手段により植物を水(10b)中に所要時間浸漬して害虫駆除を行う。浸漬後パネル(5b)を栽培槽(1b)方向へ押し、ブリッジ(11b)を通って長路(6b)の元の位置に戻す。
【0035】
次に、図3(イ)において、短路(7’b)下半部にあるパネル(5b)を上半部に移動させ、ついで短路(7b)下半部にあるパネル(5b)を長路(6’b)方向に押して該長路(6’b)にあるパネル(5b)…全体を右方へ走行させ、先頭のパネル(5b)を空席となっている短路(7’b)下半部に進出させ、次に短路(7b)上半部にあるパネル(5b)を空席となった下半部に移動させ、ついで短路(7’b)上半部に移動されたパネル(5b)を長路(6b)方向へ押して長路(6b)にあるパネル(5b)…全体を左方へ走行させ、それにより上記浸漬ずみパネル(5b)の1つ後の新たなパネル(5b)を浸漬槽(8b)に対向させ、以下上記と同様の操作で順次パネルを浸漬槽(8b)に送って浸漬を行う。
【0036】
第4発明の実施例
本例は、多数枚の植物植設パネルを定位置に一列に支持する栽培槽の外部に、該栽培槽と別体の浸漬槽を移動自在に配置した例である。
【0037】
図4において、栽培槽(1c)内に、横長の培養液(9c)入り浅底栽培室を形成し、該培養液液面に、多数枚の正方形植物植設パネル(5c)…を一列の隣接状態で浮かべてある。
【0038】
上記栽培槽(1c)の外部一側に、該栽培槽の長手方向と平行の軌条(15c)、(15c)を敷設し、この軌条に水(10c)を入れた深底の浸漬槽(8c)を車輪(16c)…を介して栽培槽(1c)の長手方向と平行に走行可能に支持してある。
【0039】
上記浸漬槽(8c)に対面する栽培槽(1c)の側壁には、該側壁全長にわたって対面方向へ張り出す張出し部(12c)を形成し、これに対面する浸漬槽(8c)の側壁には、パネル(5c)が出退できる幅で対面方向へ張り出す張出し部(13c)を形成し、両張出し部(12c)、(13c)に図3と同様の板状ブリッジ(11c)を掛け渡してある。
【0040】
上記ブリッジ(11c)は、その一端部を上記浸漬槽(8c)の張出し部(13c)にヒンジ(17c)により連結し、それによりブリッジ他端部を栽培槽張出し部(12c)に接離すべく上下揺動自在に支持してある。
【0041】
今、図4(イ)の状態から害虫駆除用浸漬を行う場合は、浸漬槽(8c)に対向する位置にある植物植設パネル(5c)を浸漬槽(8c)方向へ押し出し、ブリッジ(11c)上を摺動させて浸漬槽(8c)内の水(10c)面に移動させる。そこで、上例と同様に適宜手段により植物を水(10c)中に所要時間浸漬する。
【0042】
浸漬後、パネル(5c)をブリッジ(11c)を通って栽培槽(1c)の元の位置に戻す。
【0043】
次に、ブリッジ(11c)をヒンジ(17c)を中心に若干上方へ揺動させて栽培槽張出し部(12c)から離間させ、その状態で浸漬槽(8c)を次の新たなパネル(5c)に対向する位置に軌条(15c)、(15c)上を移動させ、そこで上記と同様に新たなパネル(5c)の浸漬を行い、以下各パネルを順次浸漬槽(8c)に送って浸漬を行う。
【0044】
上記図3及び図4の例において、各パネル(5b)又は(5c)を吊上げ装置等を用いて浸漬槽に搬入する場合は、各例における張出し部(12b)(13b)、(12c)(13c)及びブリッジ(11b)、(11c)を省略する。
【0045】
第5発明の実施例
本例は、多数枚の植物植設パネルを定位置に支持する栽培槽の複数槽に対し、浸漬槽を各槽に移動自在に配置した例である。
【0046】
図5において、栽培槽(1d)は、横長の培養液(9c)入り浅底栽培室を有し、該培養液液面に多数枚の植物植設パネル(5d)…を一列に隣接状態で浮かべ、この栽培槽(1d)の複数槽(図では5槽)を互に平行の複数列に並設してあり、これら複数列の栽培槽(1d)…の外部一側に軌条(15d)、(15d)を敷設し、該軌条上に、水(10d)を入れた深底の浸漬槽(8d)を車輪を介して走行自在に支持してある。
【0047】
今、図5の状態から害虫駆除用浸漬を行う場合は、吊上げ搬送装置等を用いて第1列の栽培槽(1d)内のパネル(5d)を浸漬槽(8d)に搬送し、そこで浸漬を行った後、栽培槽(1d)の元の位置に戻し、以下同様に第1列の栽培槽(1d)のパネル(5d)…を順次浸漬槽(8d)に送って浸漬を行う。
【0048】
第1列の栽培槽(1d)のパネル(5d)…の浸漬を完了したら、浸漬槽(8d)を第2列の栽培槽(1d)の一側に移動させ、そこで第2列の栽培槽(1d)のパネル(5d)…を同様に順次浸漬槽(8d)に送って浸漬を行い、以下同様に浸漬槽(8d)を第3列、第4列と移動させて各列のパネルの浸漬を行う。
【0049】
第6発明の実施例
本例は、栽培槽と、それと別体の浸漬槽とで循環路を構成した例である。
【0050】
図6において、培養液(9e)入り横長栽培槽(1e)の培養液面に多数枚の正方形植物植設パネル(5e)…を、一枚空席として本例では9枚を、一列の隣接状態で浮かべ、この栽培槽(1e)の外部一側に、該栽培槽(1e)と同長の水(10e)入り横長浸漬槽(8e)を平行に設置し、該浸漬槽(8e)には浸漬操作中の植物植設パネル(本例では10枚)を浮かべ、これら栽培槽(1e)と浸漬槽(8e)の相対面する側壁の両端部に張出し部(12e)、(13e)及び(12e)、(13e)をそれぞれ形成し、これら張出し部(12e)、(13e)及び(12e)、(13e)に、図3と同一のブリッジ(11e)、(11e)を固定状態に掛け渡してある。
【0051】
上記栽培槽(1e)は浅底に、浸漬槽(8e)は深底である。
【0052】
今、図6(イ)の状態から反転浸漬を行う場合は、栽培槽(1e)内の最右端のパネル(5e)を左方へ押して、パネル(5e)…列の最左端のパネル(5e)を栽培槽最左端の空席に進出させ、次に、浸漬槽(8e)内の最右端のパネル(5e)(浸漬状態から正常状態に戻されている)を栽培槽(1e)がわへ押して、該パネル(5e)をブリッジ(11e)上を滑走させて栽培槽(1e)内最右端の空席に移動させて水耕栽培に戻す。次に、浸漬槽(8e)内最左端のパネル(5e)を反転させて植物の葉茎部を水中に浸漬し、ついで該パネル(5e)を右方へ押して、浸漬中のパネル(5e)…列の最右端のパネル(5e)を浸漬槽(8e)内最右端の空席に進出させ、そこで該パネル(8e)を反転させて葉茎部を上にした栽培可能状態に戻す。次に、栽培槽(1e)内最左端のパネル(5e)を浸漬槽(8e)がわへ押して、該パネル(5e)をブリッジ(11e)上を滑走させて浸漬槽(8e)内最左端の空席に進出させる。以下上記の操作を繰返して順次浸漬を行う。
【0053】
本例によれば、各パネル(5e)…の循環速度を早く操作しても、浸漬時間を長くすることができ、それにより適正な浸漬時間を選定できる。
【0054】
第1発明の他の実施例
本例は、長路(56)及び短路(57)、(57’)の各上半部により浅底の栽培室を構成し、残りの長路(56’)及び短路(57)、(57’)の各下半部により深底の浸漬室(58)を構成した例である。
【0055】
本例によれば、各パネル(55)…の循環速度を早く操作しても、浸漬時間を長くすることができ、それにより適正な浸漬時間を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(イ)本願第1発明の実施例の平面図である。(ロ)(イ)図のA−A線断面図である。
【図2】(イ)本願第2発明の実施例の一部省略平面図である。(ロ)(イ)図のB−B線断面図である。
【図3】(イ)本願第3発明の実施例の平面図である。(ロ)(イ)図のC−C線断面図である。
【図4】(イ)本願第4発明の実施例の一部省略平面図である。(ロ)(イ)図のD−D線断面図である。
【図5】本願第5発明の実施例の一部省略平面図である。
【図6】(イ)本願第6発明の実施例の平面図である。(ロ)(イ)図のE−E線断面図である。
【図7】(イ)本願第1発明の他の実施例の平面図である。(ロ)(イ)図のF−F線断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b、1c、1d、1e、51 栽培槽
5、5a、5b、5c、5d、5e、55 パネル
6、6’、6b、6b’、56 長路
7、7’、7b、7b’、57 短路
8、58 浸漬室
8a、8b、8c、8d、8e 浸漬槽
9、9a、9b、9c、9d、9e、59 培養液
10a、10b、10c、10d、10e 水


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で循環走行させるべき培養液入り循環路からなる槽において、
上記循環路における上記植物植設パネルの少くとも約1枚分に対応する部分を、上記植物が浸漬可能の深底の浸漬室に形成し、
上記循環路の他の部分を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底の水耕栽培室に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽。
【請求項2】
多数枚の植物植設パネルを隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記栽培槽の外部にあって、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽。
【請求項3】
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で循環走行させるべき培養液入り循環路からなる栽培槽と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記循環路と隣り合わせに配置された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽。
【請求項4】
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記栽培槽の外部において上記一列の各植物植設パネルに対応する位置に順次移動可能に支持された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき栽培槽。
【請求項5】
多数枚の植物植設パネルを一列に隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽の複数槽を互に平行に並設した栽培槽群と、上記植物植設パネルの少くとも1枚を搬入できる広さを有する槽であって、上記栽培槽群の外部において上記複数槽の一側にそれぞれ移動可能に支持された浸漬液入り浸漬槽とを備え、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき栽培槽。
【請求項6】
多数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき培養液入り栽培槽と、上記栽培槽と別体の槽であって、複数枚の植物植設パネルを一列の隣接状態で支持させるべき浸漬液入り浸漬槽とを、上記植物植設パネルが渡行自在のブリッジを介して接続して、該植物植設パネルの循環路に形成し、
上記栽培槽を、上記植物植設パネルの根が横に展延するような浅底に形成し、
上記浸漬槽を、上記植物が浸漬可能の深底に形成した、
培養液節減型の浸漬室つき水耕栽培槽。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−135410(P2007−135410A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329980(P2005−329980)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(395021239)株式会社生物機能工学研究所 (21)
【Fターム(参考)】