説明

培養液製剤

本発明に係る開示は、有機酸及び/または有機酸塩を含む培養液製剤及びその製剤の作成方法及び使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2009年2月20日に出願された米国仮特許出願番61/154,235、2009年6月10日に出願された米国仮特許出願番号61/185,865、2010年2月12日に出願された米国仮特許出願番号61/304,219の優先権を主張する。この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1 本発明の技術分野
本発明は、培養液製剤並びにその生産方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2 背景
微生物の培養や発酵の様々な工程で、混合物中の活性細胞を死滅させることは、発酵工程中またはその終結においてしばしば必要とされる。組み換えDNAを含む微生物が生産宿主として増殖される場合、また、任意の生存可能な組み換え有機体が周囲に遊離されるのを防ぐことが望ましい場合に、これは特に真実である。微生物が組み換えDNAを含まなくても、工程の生産物中または廃棄物中のいずれかの周囲に生細胞が遊離されていないことを確認するため、加工前に細胞を死滅させる事が多くの場合で望ましい。
【0004】
微生物を死滅させるために要求される多くの従来方法、例えば、加熱等は、激しすぎるものであり、細胞が死滅される前に、所望の分泌された生産物を破壊もしくは改変する可能性がある。この場合、生産物は細胞を死滅させずに、回収されるべきであり、これは面倒で高価な封じ込め処置及び設備の使用を必要とする。米国特許番号5,801,034及び5,378,621は、1から5個の炭素原子を有する単一有機酸を含む微生物細胞を死滅する方法を説明する。しかしながら、これらの特許文献の実施例によれば、多量の有機酸及び低pHが最適である。前記低pHの条件は、多くの場合、発酵培地中の多くの目的の酵素製品の安定性に有害である。また、多量の有機酸は、多くの場合、酵素製品、例えば、その酵素製品を含む酵素触媒作用により生産された基質上の有機物質を生産する微生物の発酵等を用いることが望ましい、下流に位置する適用に抑制的である。さらに、微生物細胞を死滅するための化学薬品の高濃度の使用は、発酵培地から回収された生産物の費用に有意に加えられる可能性がある。従って、化学薬品のより低い濃度が望まれると共に、より苛酷でない条件下で細胞を死滅させる方法を開発する必要性が残る。
【発明の概要】
【0005】
3 発明の概要
多くの産業タンパク質、例えば、酵素等は頻繁に、それらが生産される培養液中で商業的に供給される。通常、タンパク質は、(組み換えまたは非組み換えの)細胞により発現され、発酵培地及び細胞を含む培養液へ分泌される。工業的応用において、複製細胞が周囲へ遊離しないように、タンパク質を用いる前に細胞を不活性化する、例えば、死滅させること等が多くの場合に望ましい。本発明に係る開示は、タンパク質、例えば、酵素等の活性を実質的に妨害しない方法で細胞を不活性化する必要性を解決する。
【0006】
特定の側面において、本発明に係る開示は、
(a)一以上の培養液、(b)少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸(すなわち、その骨格及び側鎖に合計1−5個の炭素を含む有機酸)及び/またはその塩を含む、第1混合物の重量で0.1%から15%の量の第1有機酸構成部分、及び(c)少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸(すなわち、その骨格及び側鎖に合計6個以上の炭素を含む有機酸)及び/またはその塩を含む、第1混合物の重量で0.025%から5%の量の第2有機酸構成部分を含む第1混合物を、前記一以上の培養液中で生細胞が少なくとも4の対数で減少し、それにより、培養液製剤を作成する時間及び条件化でインキュベートすることを含む培養液製剤を作る方法を提供する。
【0007】
特定の実施態様において、前記第1有機酸構成部分は、第1混合物の重量で、下限が0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.75%または1%から選ばれ、上限が独立して0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、5%、7%、10%、12%または15%から選ばれる範囲にあり、例えば、第1混合物の重量で、0.2%から1%、0.2%から0.5%、0.1%から10%、0.25%から5%または0.3%から3%等の範囲にある量である。
【0008】
特定の実施態様において、前記第2有機酸構成部分は、第1混合物の重量で、下限が0.025%、0.03%、0.04%、0.045%、0.05%、0.075%、0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.75%または1%から選ばれ、上限が独立して0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%または5%から選ばれる範囲にあり、例えば、第1混合物の重量で、0.04%から3%、0.2%から0.5%、0.1%から1%、0.25%から5%または0.3%から3%の範囲にある量である。前記有機酸は、適切に炭素数6−10の炭素有機酸、炭素数6−9の炭素有機酸または炭素数6−8の炭素有機酸とすることが出来る。従って、特定の実施態様において、第2有機酸構成部分は、炭素数6の炭素酸及び/またはその塩、炭素数7の炭素酸及び/またはその塩、炭素数8の炭素酸及び/またはその塩、炭素数9の炭素酸及び/またはその塩または炭素数10の炭素酸及び/またはその塩を含むかまたはそれらから成る。
【0009】
インキュベーションの時間は、下限が4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間または20時間から選ばれ、上限が独立して12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、32時間または36時間から選ばれる適切な範囲にあり、例えば、4時間から36時間、例えば、8時間から36時間、20時間から28時間、8時間から16時間、10時間から20時間、16時間から30時間等である。
【0010】
インキュベーションの条件は、下限が20℃、22℃、25℃、28℃、30℃、32℃、34℃、36℃、38℃または40℃から選ばれ、上限が独立して28℃、33℃、35℃、40℃、45℃、50℃または55℃から選ばれる適切な範囲にあり、例えば、20℃から50℃、25℃から40℃、28℃から33℃等である温度を含む。
【0011】
インキュベーションの条件は、下限が3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4または4.2から選ばれ、上限が独立して3.8、4、4.2、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.2または5.5から選ばれる適切な範囲にあるpHを含み、例えば、pHが3.5から5、4から4.7または4.2から4.5等である。前記pHは、例えば、pH調節剤を加える等して、インキュベーションの開始で及び/またはインキュベーション中1回以上調節することが出来る。特定の実施態様において、pH調節剤はリン酸、硫酸または水酸化ナトリウムである。特定の実施態様において、第1及び/または第2有機酸構成部分がインキュベーションの開始で及び/またはインキュベーション中1回以上pHを調節する役割を果たすことができ、従って、さらなるpH調節剤の必要性を部分的にまたは全て緩和出来ることがここで意図される。
【0012】
特定の側面において、開示の方法は、混合物中の一以上の培養液での生細胞の数で、少なくとも5の対数の減少、6の対数の減少、7の対数の減少または8の対数の減少を達成する。
【0013】
特定の実施態様において、生細胞の減少は、第1混合物中の第1及び第2有機酸構成部分の総重量パーセンテージ以下の量で一のみの有機酸構成部分を含み、前記条件に従う第2混合物または別の混合物よりも、前記少なくとも0.25倍、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍多い。例として、開示の方法に関する第1有機酸構成部分の第1の量(例えば、重量で1%)及び第2有機酸構成部分の第2の量(重量で0.5%)の使用は、同等または類似条件下で、第1有機酸構成部分または第2有機酸構成部分単独の前記第1及び第2の量(例えば、1.5重量パーセント)の合計以下の第3の量の使用より、生細胞の数のより多い減少をもたらす。
【0014】
本発明に係る方法は、真菌細胞、例えば、糸状菌細胞等を不活性化するために使用されることが出来る。特定の実施態様において、糸状菌細胞は、トリコデルマ、アスペルギルス、ペニシリウム、フミコーラ、クリソスポリウムまたはニューロスポラ属に由来する。本発明に係る開示の方法、製剤及び組成物に適した他の細胞型は、下記のセクション5.2.1で記載する。
【0015】
特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸塩または先のものの2以上の混合物を含むかそれらから成る。一の実施態様において、第1有機酸構成部分は、酢酸及び/またはその塩を含むかそれらから成る。
【0016】
特定の実施態様において、第2有機酸構成部分は、安息香酸、安息香酸塩、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸塩、4−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸塩、フェニル酢酸、フェニル酢酸塩または先のものの2以上の混合物を含むかそれらから成る。一の実施態様において、第2有機成分は、安息香酸及び/またはその塩を含むかそれらから成る。
【0017】
本発明に係る方法の特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、前記炭素数1−5の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩及び/または第2有機酸構成部分は、前記炭素数6以上の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む。
【0018】
ある特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、重量で0.2%−0.4%の濃度で酢酸を含み、第2有機酸構成部分は、重量で0.2%−0.4%の濃度で安息香酸ナトリウムを含み、及び/または時間は24時間であり、及び/または条件が40℃の温度を含み及び/または条件が4及び4.6の間のpHを含む。
【0019】
開示の方法において、第1混合物はまた、例えば、汚染細菌または菌類の増殖を阻害する等のために一以上の抗菌剤を包含することが出来る。特定の実施態様において、前記一以上の抗菌剤は、第1混合物の重量で、0.0005から0.05パーセントの量、例えば、前記混合物の重量で、0.001から0.025パーセントの量である。特定の実施態様において、前記抗菌剤は、イソ・アルファ酸、テトラ・イソ・アルファ酸及び/またはベータ酸を含むホップ抽出物を含む。また、特定の実施態様において、第1及び/または第2有機酸構成部分は、抗菌剤の役割を果たすことができ、従って、さらなる抗菌剤の必要性を部分的にまたは全て緩和出来ることがここで意図される。
【0020】
本発明に係る方法は、前記インキュベーション工程の前に、第1混合物を作成する工程、例えば、一以上の培養液と、少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸及び/またはその塩、少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸及び/またはその塩及び任意に、一以上の別の試薬、例えば、pH調節剤及び/または抗菌剤とを組み合わせることにより作成される工程をさらに含むことが出来る。
【0021】
特定の実施態様において、本明細書に記載の方法は、本発明に係る開示で用いられる一以上の培養液を生産するために細胞を培養する工程をさらに含む。限定的ではない例として、前記培養液は、下記のセクション5.2.2で記載のいずれかの細胞培養方法に従って調製されることが出来る。従って、本発明に係る開示の組成物及び製剤は、本明細書に開示された方法により調製された培養液を含むことが出来る。
【0022】
いかなる理論にも拘束されず、本発明に係る発明者は、単一の有機酸構成部分の使用と比較して、本明細書に記載の二種類の有機酸構成部分の使用が、(例えば、本明細書に記載されるような4の対数以上の対数因数で生細胞の数を減らすことによる等の)細胞の不活化の達成に必要とされる全体的な有機酸構成部分の減少をもたらし、またインキュベーション反応が、他の起こり得る場合よりも高いpHで行なわれ、それにより、開始培養液中でタンパク質、例えば、酵素等の折りたたみ及び安定性への悪影響を最小化することを可能にすると考える。従って、特定の側面において、本発明に係る方法は、一以上の酵素が、開始酵素活性の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%を保持する培養液製剤をもたらす条件下で行なわれる。
【0023】
本発明に係る開示は、本明細書に記載の方法により得られたか、または得られることが可能な培養液製剤をさらに提供する。
【0024】
従って、特定の側面において、本発明に係る開示は、(a)細胞を含む一以上の培養液、
(b)前記組成物の重量で0.2%から1.5%の量の少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第1有機酸構成部分、(c)前記組成物の重量で0.04%から0.6%の量の少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第2有機酸構成部分
を含む組成物を提供する。
【0025】
特定の実施態様において、前記第1有機酸構成部分は、前記組成物の重量で、下限が0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.75%または1%から選ばれ、上限が独立して0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、5%、7%、10%、12%または15%から選ばれる範囲にあり、例えば、前記組成物の重量で、0.2%から1%、0.2%から0.5%、0.1%から10%、0.25%から5%または0.3%から3%等の範囲にある量である。
【0026】
特定の実施態様において、前記第2有機酸構成部分は、前記組成物の重量で、下限が0.025%、0.03%、0.04%、0.045%、0.05%、0.075%、0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.75%または1%から選ばれ、上限が独立して0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%または5%から選ばれる範囲にあり、例えば、前記組成物の重量で、0.04%から3%、0.2%から0.5%、0.1%から1%、0.25%から5%または0.3%から3%の範囲にある量である。
【0027】
開示の製剤及び組成物中の有機酸構成部分は通常、少なくとも部分的に分離された形態であり、このような構成部分が分離された形態である場合、構成部分の重量パーセントは分離されたイオン(例えば、陽イオン)の重量ではなく組成物または製剤の作成に用いられる、乾燥した物質(例えば、酸または塩)の重量をいうことが理解される。このような構成部分が分離される程度は、それぞれのpKa値に依存する。有機酸構成部分の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%が分離されるpH条件及び温度下で製剤または組成物が作成されることが好まれる。
【0028】
特定の側面において、開示の組成物は、下限が3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4または4.2から選ばれ、上限が独立して3.8、4、4.2、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.2または5.5から選ばれる適切な範囲にあるpHであり、例えば、pHが3.5から5、4から4.7または4.2から4.5等である。
【0029】
特定の側面において、開示の組成物中の細胞は、主にまたは完全に発育不可能な細胞である。例えば、特定の実施態様において、生細胞が組成物中に存在する場合、前記組成物中の発育不可能な細胞対生細胞の比率は、少なくとも10:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも1000:1、少なくとも10,000:1、少なくとも100,000:1または少なくとも1,000,000:1である。
【0030】
特定の側面において、前記細胞は真菌細胞、例えば、糸状菌細胞等を含む。特定の実施態様において、糸状菌細胞は、トリコデルマ、アスペルギルス、ペニシリウム、フミコーラ、クリソスポリウムまたはニューロスポラ属に由来する。
【0031】
開示の組成物の特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸塩または先のものの2以上の混合物を含むかそれらから成る。特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、酢酸及び/またはその塩を含むかそれらから成る。
【0032】
開示の組成物の特定の実施態様において、第2有機酸構成部分は、安息香酸、安息香酸塩、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸塩、4−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸塩、フェニル酢酸、フェニル酢酸塩または先のものの2以上の混合物を含むかそれらから成る。特定の実施態様において、第2有機成分は、安息香酸及び/またはその塩を含むかそれらから成る。
【0033】
特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、前記炭素数1−5の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含み、及び/または第2有機酸構成部分は、前記炭素数6以上の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む。
【0034】
本発明に係る開示の方法及び組成物で適した有機酸の他の詳細及び実施態様は、下記のセクション5.2.4で記載する。
【0035】
特定の実施態様において、第1有機酸構成部分は、重量で0.2%−0.4%の濃度で酢酸を含み、及び/または第2有機酸構成部分は、重量で0.2%−0.4%の濃度で安息香酸ナトリウムを含む。
【0036】
開示の前記組成物は、一以上の抗菌剤を含むことが出来る。特定の実施態様において、前記一以上の抗菌剤は、前記組成物の重量で、0.0005から0.05パーセントの量、例えば、前記組成物の重量で、0.001から0.025パーセントの量である。特定の実施態様において、前記抗菌剤は、イソ・アルファ酸、テトラ・イソ・アルファ酸及び/またはベータ酸を含むホップ抽出物を含む。
【0037】
開示の方法、製剤及び組成物で用いられる前記培養液は通常、細胞により分泌された一以上のタンパク質を含む。前記一以上のタンパク質の少なくとも一は、組み換えにより発現されることが出来るか、及び/または、酵素、例えば、エキソグルカナーゼ(exoglucanase)、エンドグルカナーゼ(endoglucanase)、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼ等である。特定の実施態様において、培養液は、組み換えにより発現され、細胞により分泌された複数の酵素、例えば、二個以上のエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼ等を含む。本発明に係る開示の組成物及び製剤中に適切に存在する別の酵素は、下記のセクション5.2.3で記載する。特定の側面において、タンパク質は、開示の製剤または組成物の3から30重量パーセントを構成する。特定の実施態様において、タンパク質は、開示の製剤または組成物の5から15重量パーセント、7から10重量パーセント、6から12重量パーセント、5から20重量パーセント、10から25重量パーセント、10から20重量パーセント、8から15重量パーセントまたは6から10重量パーセントを構成する。
【0038】
ある特定の実施態様において、開示の製剤または組成物は、以下の活性の一、二または三の全てを有する:
(a)下限が2000、2100、2200、2350、2500または2650CMC U/gから選ばれ、上限が独立して2400、2600、2800、3000、3200、3500、3750または4000CMC U/gから選ばれる範囲であり、例えば、2200CMC U/gから2800CMC U/g、2200CMC U/gから3200CMC U/g、2500から3500CMC U/gの範囲等であるエンドグルカナーゼ活性、
(b)下限が300、375、450、475、500、525、550、600、650または700pNPG U/gから選ばれ、上限が独立して475、525、575、635、700、775、800、850、900または950pNPG U/gから選ばれる適切な範囲であり、例えば、525pNPG U/gから775pNPG U/g、300pNPG U/gから800pNPG U/g、350pNPG U/gから850pNPG U/gの範囲等であるβ−グルコシダーゼ活性、及び
(c)下限が1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750または3000ABX U/gから選ばれ、上限が独立して2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000または7000ABX U/gから選ばれる適切な範囲であり、例えば、2000ABX U/gから5000ABX U/g、1500ABX U/gから4500ABX U/g、3500ABX U/gから5500ABX U/gの範囲等であるキシラナーゼ活性。
【0039】
別の側面において、本発明は、セルロース系材料と前述の培養液製剤または組成物のいずれかとを接触させる工程を含む、セルロース系材料を加水分解する方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記セルロース系材料は、植物バイオマス物質、例えば、酵素加水分解を増進するために任意に前処理されたリグノセルロース物質等である。従って、特定の側面において、開示の製剤及び組成物は、加水分解されていないセルロース系材料、部分的に加水分解されたセルロース系材料または実質的に全て加水分解された(例えば、>90%が加水分解されたまたは>95%が加水分解された等の)セルロース系材料をさらに含む。特定の実施態様において、部分的に加水分解されたセルロース系材料(i)は、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下または90%以下で加水分解されたセルロース系材料であるか、(ii)は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%で加水分解されたセルロース系材料であるか、または、(iii)は、(i)と(ii)から独立して選択された一組の値の間にある範囲で加水分解される。例えば、30%−80%または40%−90%が加水分解される。本明細書に記載の製剤及び組成物の構成部分(例えば、有機酸)の重量範囲が、セルロース系材料またはセルロース系材料の加水分解の生産物を一般に含まないことが注目される。
【0040】
本発明に係る開示の製剤及び組成物の別の詳細及び実施態様は、下記のセクション5.3で記載する。
【0041】
側面において、本開示は、開示の製剤または組成物中の有機物質を生産する微生物を発酵させる工程により、有機物質を生産する方法を提供する。一の実施態様において、微生物はエタノール生産微生物である。また、有機物質はエタノールである。開示の組成物は、同時糖化発酵反応(「SSF」)または別個の加水分解及び発酵反応(「SHF」)で用いることが出来る。
【0042】
いかなる理論にも拘束されず、開示の製剤及び組成物は、開示の組成物に類似しているか同一であるが、製剤または組成物中の培養液中の細胞を不活性化するか死滅させる量で一のみの有機酸構成部分を含む、製剤または組成物(本明細書ではそれぞれ「別の製剤」または「別の組成物」と呼ぶ)より、より少ない発酵微生物の阻害剤を好都合に含む。従って、特定の実施態様において、開示の製剤または組成物が存在する状態で発酵微生物により生産された有機物質の収率は、前記別の製剤または組成物が存在する状態の有機物質の収率より、少なくとも0.25倍高い、少なくとも0.5倍高い、少なくとも1倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも5倍高い、少なくとも10倍高い。例として、酵素を含む開示の組成物または製剤、第1有機酸構成部分の第1の量(例えば、重量で1%)及び第2有機酸構成部分の第2の量(0.5重量パーセント)が、発酵微生物で用いられる場合、発酵微生物により生産される有機物質の収率は、同等または類似条件下、同じ酵素及び第1有機酸構成部または第2有機酸構成部分単独の前記第1及び第2の量の合計(例えば、1.5重量パーセント)以下の第3の量を含む組成物が用いられる場合の収率より高い。
【0043】
従って、特定の実施態様において、本発明に係る製剤及び組成物はSSF反応で用いられる。前記方法は、開示の製剤または組成物、発酵微生物及びセルロース基質を含むSSF反応混合物をSSF条件にさらす工程を含む。前記方法は任意に、例えば、開示の製剤または組成物、エタノロジェン(ethanologen)及び任意にセルロース基質を組み合わせる工程等によりSSF反応混合物を形成する工程を含む。特定の実施態様において、前記SSF条件は、追加の窒素源が存在しない状態を含む。別の特定の実施態様において、前記条件は、セルロースのグルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質(例えば、キシロース、アラビノース及び/またはマンノース)への加水分解及びグルコース及び/またはヘミ・セルロースの有機物質(例えば、エタノール)への転換の両方に貢献する。開示の製剤または組成物、発酵微生物及び任意にセルロース系材料を含むSSF反応混合物もまた、セルロース系材料が少なくとも部分的に加水分解及び発酵しているSSF反応生成物と共に、本発明に係る開示に包含される
他の実施態様において、本発明に係る製剤及び組成物は、SHF反応で用いられる。前記方法は、開示の製剤または組成物、及びセルロース基質を含むSHF反応混合物をSHF条件にさらす工程を含む。前記方法は任意に、例えば、開示の製剤または組成物、及びセルロース基質を組み合わせること等により、SHF反応混合物を形成する工程を含む。特定の実施態様において、SHF条件は、セルロースのグルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質(例えば、キシロース、アラビノース及び/またはマンノース)への加水分解に貢献する。次に、前記SHF反応生成物は任意に、得られたグルコース及び/またはヘミ・セルロースの有機物質(例えば、エタノール)への転換のための発酵反応で用いられる。開示の製剤または組成物、及びセルロース系材料を含むSHF反応混合物もまた、セルロース系材料が少なくとも部分的に加水分解されたSHF反応生成物と共に、本発明に係る開示に包含される。
【0044】
セルロース系材料を加水分解する方法及び有機物質を生産する方法の別の詳細及び実施態様は、下記のセクション5.4及び5.5で記載する。
【0045】
別の側面において、本発明は、包装及び本発明に係る開示に従う製剤、組成物、SSF反応混合物、SSF反応生成物、SHF反応混合物またはSHF反応生成物を含むキットを提供する。いくつかの実施態様において、前記キットは、キット中の細胞死滅全培養液または組成物(the cell−killed whole broth or composition)と共に発酵微生物を用いて有機物質を生産する方法での使用説明書、例えば、エタノール生産微生物及び加水分解されたセルロース基質を用いてエタノールを生産する方法の使用説明書等をさらに含む。本発明に係る開示のキットの別の詳細及び実施態様は、下記のセクション5.6で記載する。
【0046】
本発明に係る開示の前記方法、製剤及び組成物の別の特定の実施態様は、下記のセクション5.7に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
4 図面の簡単な説明
【図1】図1は、T.リーセイの細胞死滅における温度及び配合化学物質濃度の効果を示す。
【図2】図2は、40℃及びpH4でのT.リーセイの細胞死滅における安息香酸ナトリウム濃度の効果を示す。
【図3】図3は、菌の細胞死滅における細胞死滅条件の効果を示す。
【図4】図4は、6個以上の炭素を有する有機酸の化学構造及びpKa値を示す。
【図5】図5は、40℃及びpH4でのT.リーセイの細胞死滅における6個以上の炭素を有する異なる有機酸の効果を示す。
【図6】図6は、実施例2で記載される洗浄されたAPB加水分解産物におけるL.ラムノサス(rhamnosus)による乳酸生産を示す。
【図7】図7は、実施例2で記載される洗浄されたAPB加水分解産物におけるサーモザック(Thermosacc)酵母からのエタノール生産を示す。
【図8】図8は、実施例2で記載される洗浄されたAPB加水分解産物におけるサーモザック酵母発酵中のグルコース蓄積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
5.1 定義
本明細書で用いる「宿主細胞」の語は、ポリペプチドの生産のための組み換え発現ベクターが、ポリペプチドの発現のためにトランスフェクトされた細胞または細胞系をいう。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含む。また、後代は天然か、偶発的または計画的な変異のために起源となった親細胞と必ずしも完全に(形態、または全体のゲノムDNA補体において)同一ではないことが出来る。宿主細胞は、発現ベクターを用いてインビボ(in vivo)でトランスフェクトされたかまたは形質転換された細胞を含む。「宿主細胞」は、糸状菌株及び特にトリコデルマ種株の細胞から生成された細胞及びプロトプラストの両方をいう。
【0049】
細胞、核酸、タンパク質またはベクターに関連して用いられる「組み換え」の語は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸またはタンパク質の導入により、または、野生型核酸またはタンパク質の改変により、修飾されたか、または細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組み換え細胞は、細胞の野生型(非組み換え型)で見られない遺伝子を発現するか、または他に、野生型遺伝子を異常に発現するか、不十分に発現するか、または全く発現しない。
【0050】
「糸状菌」の語は、ユーミコティナ(Eumycotina)及びオーミコタ(Oomycota)の一部である全ての糸状体を示す(Alexopoulus,C.J.(1962年)、INTRODUCTORY MYCOLOGY、ウィリー(Wiley)出版、ニューヨーク州参照)。これらの糸状菌は、キチン、ベータ・グルカン及びその他の複合多糖類より成る細胞壁を有する栄養菌糸体によって、特徴付けられる。本発明の糸状菌は、形態学的に、生理学的に及び遺伝学的に酵母とは区別される。糸状菌による栄養増殖は菌糸伸長による。また、炭素異化は絶対好気性である。
【0051】
本明細書で用いる「トリコデルマ」または「トリコデルマ種」の語は、以前にまたは現在トリコデルマ属に分類されている真菌属をいう。
【0052】
「培養」の語は、液体または固形培地での適した生育条件下で微生物細胞の集団を増殖することをいう。
【0053】
本明細書で相互置換可能に用いる「セルロース基質」または「セルロース系材料」の語は、セルロース及び/またはヘミ・セルロースを含む物質をいう。セルロース基質は、互いにリグニンで架橋したセルロース、ヘミ・セルロース及びベータ・グルカンを含むリグノセルロース物質とすることが出来る。前記セルロース基質はまた、他の物質、例えば、ペクチン、タンパク質、デンプン及び脂質等を含むことが出来るが、通常、主成分としてセルロース、ヘミ・セルロース及びベータ・グルカンを含む。
【0054】
「発酵微生物」は、有機物質の生産のための所望の発酵工程での使用に適した任意の微生物をいう。
【0055】
本明細書で用いる「培養液」の語は、回収及び/または精製を受けないかまたは最小限に受けた細胞の発酵により生産された調製物をいう。例えば、微生物培養が飽和するまで増殖され、タンパク質合成(例えば、宿主細胞による酵素の発現)及び細胞培養培地への分泌を可能にするために炭素制限条件下でインキュベートされる場合に、培養液は生産される。前記培養液は、発酵の終結に由来する発酵材の未分画または分画された内容物を含むことが出来る。通常、培養液は分画されず、微生物細胞(例えば、糸状菌細胞)が、例えば、遠心沈澱法等により除去された後に存在する、消耗された培養地及びセルデブリスを含む。いくつかの実施態様において、培養液は消耗した細胞培養培地、細胞外酵素及び生存可能な及び/または発育不可能な微生物細胞を含む。
【0056】
「エタノール生産」は、微生物が一次発酵生産物として炭水化物からエタノールを生産する能力をいう。いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物はまた、他の有機物質を生産するために使用されることが出来る。
【0057】
「カルボキシメチルセルロース単位」または「CMC U」は、50℃及びpH4.8で一分間に1μmolの(糖等価物として表される)還元糖を遊離する、エンドグルカナーゼ活性の1単位をいう。
【0058】
「pNP−グルコシド単位」または「pNPG U」は、50℃及びpH4.8でパラ−ニトロフェニル−B−D−グルコピラノシドから1μmolのニトロフェノールを遊離する、ベータ−グルコシダーゼ活性の1単位をいう。
【0059】
ジニトロサリチル酸(DNS)法(Miller、1959年、Anal Chem.、第31巻、426−428ページ)を用いて分析されるように、「ABX単位」または「ABX U」は、50℃で50mMクエン酸Naクエン酸塩バッファーpH5.3中の樺材に由来する1%キシラン溶液から1μmolのキシロース還元糖等価物を遊離するキシラナーゼ活性の1単位をいう。
【0060】
5.2 細胞を死滅させる方法
本発明は、培養地中の細胞を死滅させ、それにより、細胞死滅全培養液(a cell−killed whole broth)を生産する方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記方法は、細胞と、重量で約0.2%から約1%の濃度で、1から5個の炭素原子を有する第1有機酸及び重量で約0.04%から約0.3%の濃度で、6個以上の炭素原子を有する第2有機酸の組み合わせとを接触させる工程を含む。いくつかの実施態様において、前記方法は、細胞と、重量で約0.2%から約0.5%の濃度で、1から5個の炭素原子を有する第1有機酸及び重量で約0.2%から約0.5%の濃度で、6個以上の炭素原子を有する第2有機酸の組み合わせとを接触させる工程を含む。他の実施態様において、前記方法は、細胞と、重量で約0.25%から約0.5%の濃度で6個以上の炭素原子を有する有機酸とを接触させる工程を含む。前記方法は、細胞死滅の実質的な完了(すなわち、処理後の生細胞の少なくとも約4、5または6の対数の減少)または完了(すなわち、処理後に生細胞が無い状態)をもたらすのに適した期間及び適したpH及び温度で行われる。通常、pHは、約3.5から約4.5、約4から約4.4または約3.9から約4.2である。温度は約30℃から約40℃である。また、前記方法は、このpH及び温度で約8から約24時間行われる。一の実施態様において、前記方法は、pH約4、温度約40℃で、約24時間行われる。いくつかの実施態様において、細胞は溶解を伴わないで死滅される。いくつかの実施態様において、細胞のいくつかまたは全てが溶解される。
【0061】
5.2.1 微生物細胞
前記細胞は通常、微生物細胞、例えば、細菌性、真菌細胞等であり、通常少なくとも一の目的の分子、例えば、酵素または有機化合物を生産する。いくつかの実施態様において、細胞は、組み換えにより発現される少なくとも一の酵素を生産する。いくつかの実施態様において、目的の分子は、細胞外の培養地へ分泌される。いくつかの実施態様において、目的の分子は、細胞内で生産され、細胞外の培養地に分泌されない。分子が細胞内で生産され、細胞外に分泌されない場合、死滅された細胞の溶解は、液体培地へ分子を遊離するために必要とされる。
【0062】
いくつかの実施態様において、微生物細胞は、自然発生の糸状菌、自然発生または誘発突然変異を有する糸状菌、及び遺伝学的に修飾された糸状菌を含む糸状菌細胞である。
【0063】
いくつかの実施態様において、真菌細胞は、アスペルギルス属(Aspergillus)、アクレモニウム属(Acremonium)、オーレオバシジウム属(Aureobasidium)、ビューベリア属(Beauveria)、ビヤーカンデラ属(Bjerkandera)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、セリポリオプシス属(Ceriporiopsis)、ケトミウム属(Chaetomium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、クラビセプス属(Claviceps)、コチオボラス属(Cochiobolus)、コプリナス属(Coprinus)、コリオルス属(Coriolus)、コリナスカス属(Corynascus)、クリプトコカス属(Cryptococcus)、シアツス属(Cyathus)、エンドチア属(Endothia)、フィロバシジウム属(Filobasidium)、フザリウム属(Fusarium)、ジロクラジウム属(Gilocladium)、フミコーラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、マイセリオフトーラ属(Myceliophthora)、マイロセシウム属(Myrothecium)、ムコール属(Mucor)、ネオカリマスティクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、パエイロミセス属(Paeilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファネロケーテ属(Phanerochaete)、フレビア属(Phlebia)、ピロミセス属(Piromyces)、プルロタス属(Pleurotus)、ポドスポラ属(Podospora)、パエシロミセス属(Paecilomyces)、ピリクラリア属(Pyricularia)、リゾムコール属(Rhizomucor)、リゾパス属(Rhizopus)、シゾフィラム属(Schizophylum)、スポロトリチアム属(Sporotrychum)、スタゴノスポラ属(Stagonospora)、タラロマイセス属(Talaromyces)、トイポラジウム属(Toypoladium)、トリコデルマ属(Trichoderma)、サーモミセス属(Thermomyces)、サーモアスカス属(Thermoascus)、シーラビア属(Thielavia)、トリ
ポクラジウム属(Tolypocladium)、トリコフィトン属(Trichophyton)、トラメテス属(Trametes)及びそれらに由来する種である。いくつかの実施態様において、真菌細胞は、アスペルギルス・アキュレアタス(aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(awamori)、アスペルギルス・フォエティデュス(foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(japonicus)、アスペルギルス・ニデュランス(nidulans)、アスペルギルス・ニガー(niger)、アスペルギルス・フミガーツス(fumigatus)またはアスペルギルス・オリゼ(oryzae)である。いくつかの実施態様において、真菌細胞は、フザリウム・バクトリジオイデス(bactridioides)、フザリウム・セレアリス(cerealis)、フザリウム・クルックウェレンセ(crookwellense)、フザリウム・クルモラム(culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(graminearum)、フザリウム・グラミヌム(graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(negundi)、フザリウム・オキシスポルム(oxysporum)、フザリウム・レチキュラタム(reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(reseum)、フザリウム・サンブシナム(sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(sarcochroum)、フザリウム・スポロトリチオイデス(sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(sulphureum)、フザリウム・トルロサム(torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(trichothecioides)またはフザリウム・ベネナタム(venenatum)である。いくつかの実施態様において、真菌細胞は、ビヤーカンデラ・アデュスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(caregiea)、セリポリオプシス・ギルヴェセンス(gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(pannocinta)、セリポリオプシス・リヴロサ(rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(subrufa)、セリポリオプ
シス・スブヴェルミスポラ(subvermispora)、コリオルス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、フミコーラ・インソレンス(insolens)、フミコーラ・ラヌギノーサ(lanuginosa)、ムコール・ミヘイ(miehei)、マイセリオフトーラ・サーモフィラ(thermophila)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、スチタリジウム・サーモフィラム(Scytalidium thermophilum)、シーラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・プルーロタス(pleurotus)、トラメテス・ヴィロサ(villosa)、トラメテス・ヴェルシコロル(versicolor)、ケトミウム・パエシロミセス(paecilomyces)、エンドチア・ムコール(Endothia mucor)、ペニシリウム・プルプロゲナム(purpurogenum)、ペニシリウム・ファニキュロサム(funiculosum)、ファネロケーテ・クリソスポリウム(chrysosporium)、フレビア・ラディエート(radiate)またはプルロタス・エリンギ(eryngii)である。いくつかの実施態様において、真菌細胞は、トリコデルマ・ハルジアナム(harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(reesei)またはトリコデルマ・ビリデ(viride)である。
【0064】
5.2.2 微生物細胞の培養
微生物細胞は、発現をもたらす当該技術分野で既知の任意の培養方法により培養されることが出来る。一般に、一以上の目的の分子(例えば、一以上の酵素及び/または有機化合物等)の生産に適した条件、例えば、セルロース基質の加水分解が可能な酵素の発現に適した条件が用いられる。微生物培養の発酵は、振盪フラスコ培養、小規模発酵または大規模発酵、例えば、研究室または産業発酵槽でセルラーゼの発現を可能にする適した培地及び条件化で行われる連続式、回分式、供給回分式または固形発酵等を含むことが出来る。前記培養は、当該技術分野で既知の処置を用いて炭素及び窒素源及び無機塩類を含む適した栄養培地で行なわれる。目的の分子、例えば、酵素または他のタンパク質または有機化合物のような生体分子等の増殖及び生産に適した培地、温度領域及び適した他の条件が、当該技術分野で既知である。
【0065】
発酵、例えば、糸状菌細胞の発酵等は、炭素含有基質が制限因子として制御され、それにより、炭素含有基質から細胞への優れた転換を提供し、相当な量の未転換基質での細胞の汚染を避けるような方法により頻繁に行われる。後者は、いずれの残存するトレースも容易に洗い流されるため、水溶性基質についての問題ではない。しかしながら、それは非水溶性基質の場合に問題となり得、適した洗浄工程のような追加の生成物処理工程を必要とする。
【0066】
前記発酵は、静止期への微生物細胞、例えば、糸状菌細胞等の増殖及び制限炭素条件下で一以上の目的の分子を発現するために適した時間での細胞の維持により行うことが出来る。
【0067】
5.2.3 微生物細胞により発現された酵素
本発明の方法で用いられる微生物細胞は、非組み換え体及び/または組み換え体、例えば、非組み換え及び/または組み換え糸状菌等とすることが出来る。いくつかの実施態様において、微生物細胞は、当該微生物細胞と同種またはに異種になりうる一以上の遺伝子を含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、微生物細胞、例えば、糸状菌細胞等は、当該細胞と同種またはに異種になりうる一以上の遺伝子を含み、ここで、前記一以上の遺伝子が、セルロース基質を分解出来る酵素をコードする。セルロース系材料分解酵素をコードする遺伝子は、当業者に既知である。セルロース基質を分解する酵素をコードする遺伝子に適した非限定的な例は、エンドグルカナーゼ、セロビオ加水分解酵素、グルコヒドロラーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、キシログルカナーゼ、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、アルファ−アラビノフラノシダーゼ、アルファ・グルクロニダーゼ、アセチル・キシラン・エステラーゼ、マンナナーゼ、マンノシダーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、マンナン・アセチル・エステラーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、ペクチン酸塩リアーゼ、ペクチン・リアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチン・アセチル・エステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、アルファ−アラビノフラノシダーゼ、ベータ・ガラクトシダーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、アルファ−アラビノフラノシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナン・リアーゼ、及びラムノガラクツロナン・アセチル・エステラーゼ、キシロガラクツロノシダーゼ、キシロガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナン・リアーゼ、リグニン・ペルオキシダーゼ、マンガン依存性ペルオキシダーゼ及びラッカーゼを含む。
【0069】
本発明のいくつかの実施態様において、組み換え微生物細胞、例えば、組み換え糸状菌細胞等は、セルロース基質の分解を改善するための酵素を過剰発現する。あるいは、前記微生物細胞は、セルロース基質の分解を改善するための酵素を過剰発現する、非組み換え細胞及び組み換え細胞の混合物とすることが出来る。本発明のいくつかの実施態様において、前記微生物細胞、例えば、糸状菌細胞等は、β−グルコシダーゼを過剰発現する。あるいは、前記微生物細胞は、β−グルコシダーゼを過剰発現する非組み換え細胞及び組み換え細胞の混合物とすることが出来る。
【0070】
「ベータ−グルコシダーゼ」の語は、EC3.2.1.21として分類される及び/または特定のGHファミリーのベータ−D−グルコシド・グルコヒドロラーゼとして本明細書で定義される。前記特定のGHファミリーの非限定的例示として、セロビオースの加水分解を触媒し、ベータ−D−グルコースを放出するGHファミリー1、3、7、9または48が挙げられる。前記過剰発現されたベータ−グルコシダーゼは、宿主細胞と同種または異種に由来することが出来る。ことさら、前記過剰発現されたベータ−グルコシダーゼは、菌性細胞で発現されるための菌性ベータ−グルコシダーゼである必要はない。
【0071】
いくつかの実施態様において、ベータ−グルコシダーゼは、遺伝子をコードするベータ−グルコシダーゼの発現により生産することが出来る。例えば、ベータ−グルコシダーゼは、例えば、グラム陽性菌(例えば、バチルス属及び放線菌)または真核生物宿主(例えば、トリコデルマ、アスペルギルス、サッカロミセス及びピチア属)により細胞外空間に分泌されることが出来る。いくつかの実施態様において、ベータ−グルコシダーゼは、自然量に相関して組み換え微生物により過剰発現され得ることが理解される。いくつかの実施態様において、宿主細胞がベータ−グルコシダーゼの発現のために用いられる場合、細胞に内因性の一以上のタンパク質の発現を減少するため、細胞は遺伝学的に修飾され得る。一の実施態様において、細胞は一以上の天然遺伝子、特に、削除されたか不活性化された分泌タンパク質をコードする遺伝子を含むことが出来る。例えば、一以上のプロテアーゼ・コーディング遺伝子(例えば、アスパルチル・プロテアーゼ・コーディング遺伝子、Berka他、Gene、1990年、第86巻、153−162ページ及びUSP6,509,171を参照されたい。)またはセルラーゼ・コーディング遺伝子が削除されるか不活性化されることが出来る。一の実施態様において、トリコデルマ種宿主細胞、例えば、T.リーセイ宿主細胞等は、PCT出願番号WO05/001036で記載されるような、cbh1、cbh2及びegl1、及びegl2遺伝子内で不活性化させる欠失を含む。ベータ−グルコシダーゼをコードする前記核酸は、トリコデルマ種宿主細胞の核ゲノム中に存在することが出来るか、トリコデルマ宿主細胞中で複製するプラスミド中に存在することが出来る。
【0072】
使用可能なベータ−グルコシダーゼの例は、アスペルギルス・アキュレアタス(川口他、1996年、Gene、第173巻、287−288ページ、アスペルギルス・カワチ(kawachi)(岩下他、1999年、Appl.Environ.Microbiol.、第65巻、5546−5553ページ、アスペルギルス・オリゼ(WO2002/095014)、セルロモナス・ビアゾテア(Cellulomonas biazotea)(Wong他、1998年、Gene、第207巻、79−86ページ)、サッカロミコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)(町田他、1988年、Appl.Environ.Microbiol.、第54巻、3147−3155ページ、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)(Wood他、2002年、Nature、第415巻、871−880ページ)、トリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ1(米国特許番号6,022,725)、トリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ3(米国特許番号6,982,159)、トリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ4(米国特許番号7,045,332)、トリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ5(米国特許番号7,005,289)、トリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ6(米国特許番号20060258554)及びトリコデルマ・リーセイ・ベータ−グルコシダーゼ7(米国特許番号20040102619)に由来するベータ−グルコシダーゼを含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、微生物細胞により細胞外に分泌された目的の酵素は、細胞外の培養地及び/または細胞死滅培養液中で可溶性である。いくつかの実施態様において、微生物細胞により細胞外に分泌された目的の酵素は、細胞外の培養地及び/または細胞死滅培養液中で不溶性である。いくつかの実施態様において、細胞外の培養地及び/または細胞死滅培養液は、目的の可溶性及び不溶性酵素の混合物を含む。
【0074】
5.2.4 有機酸
本発明の方法は、細胞を不活性化するために、例えば、少なくとも4の対数、5の対数、6の対数、7の対数または8の対数で生細胞の量を減少させる量等の本明細書に記載の量及び条件下で、培養地中の細胞と、有機酸またはその塩とを接触する工程を含む。
【0075】
いくつかの実施態様において、前記方法は、細胞と、重量で約0.1%から約15%、約0.2%から約1%または約0.2%から約0.5%の濃度で、1から5個の炭素原子を有する第1有機酸(またはその塩)及び重量で約0.025%から約5%、重量で約0.04%から約0.3%または重量で約0.2%から約0.5%の濃度で、6個以上の炭素原子を有する第2有機酸(またはその塩)とを接触させる工程を含む。様々な実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95または1%のいずれかの濃度で、重量で約0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、または0.3、0.35、0.4、0.45または0.5%のいずれかの濃度の第2有機酸と組み合わせて使用される。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.2%から約0.5%または重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.04%から約0.06%または重量で約0.044%の濃度の安息香酸である。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.2%から約0.5%または重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.2%から約0.5%または重量で約0.22%の濃度の安息香酸である。
【0076】
いくつかの実施態様において、前記方法は、細胞と、重量で約0.25%から約0.5%の濃度で、6個以上の炭素原子を有する有機酸(またはその塩)とを接触させる工程を含む。様々な実施態様において、前記6個以上の炭素原子を含む有機酸は、重量で約0.25、0.3、0.35、0.4、0.45または0.5%のいずれかの濃度で使用される。一の実施態様において、前記6個以上の炭素原子を含む有機酸は、重量で約0.5%の濃度の安息香酸である。
【0077】
いくつかの実施態様において、1から5個の炭素原子を含む有機酸は、酢酸、ギ酸、プロピオン酸(またはその塩)またはそれらの組み合わせである。一の実施態様において、1から5個の炭素原子を含む有機酸は、酢酸である。
【0078】
いくつかの実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル吉草酸、アジピン酸、3−メチルグルタル酸、フェニル酢酸(またはその塩)、またはそれらの組み合わせである。一の実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、安息香酸(または例えば、安息香酸ナトリウム等のその塩)である。いくつかの実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、6から8個(すなわち、6個、7個または8個)の炭素原子を含む。いくつかの実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、1または2のカルボン酸官能基を含む。いくつかの実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、芳香族有機化合物酸である。いくつかの実施態様において、6個以上の炭素原子を含む有機酸は、7または8個の炭素及び1個のフェニル基を含む。
【0079】
5.3 組成物
本発明は、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法に起因する組成物を提供する。いくつかの実施態様において、前記組成物は、本明細書に記載の有機酸、死滅細胞及び/またはセルデブリス及び培養地を含む細胞死滅全培養液である。いくつかの実施態様において、前記組成物は、本明細書に記載の有機酸を含み、任意に死滅細胞及び/またはセルデブリスをさらに含む。一の実施態様において、死滅細胞及び/またはセルデブリスは、本明細書に記載の細胞死滅全培養液から除去され、これらの構成部分がない組成物を提供する。本発明の細胞死滅全培養液または組成物は通常、細胞死滅全培養液または組成物を生産するために使用される微生物細胞により生産された、少なくとも一の目的の分子(例えば、酵素及び/または有機物質のようなタンパク質等の生体分子)を含む。
【0080】
ソルビトール、塩化ナトリウム、ソルビン酸カリウム及び当該技術分野で既知のその他のものを含むが、それらに限られない、追加の防腐剤及び/または抗菌(例えば、静菌)剤が任意に、細胞死滅全培養液または組成物に加えられることが出来る。
【0081】
いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、内生的に発現されないか、微生物細胞により比較的低レベルで発現される一以上の酵素活性で補給されることが出来る。例えば、一以上の酵素が、例えば、グルコースまたはヘミ・セルロース糖質、例えば、キシロース、アラビノース、マンノース等の発酵性糖へのセルロース基質の分解を改善するために加えられることが出来る。前記追加の酵素は、細胞死滅全培養液または組成物に補完として加えられることが出来る。また、前記酵素は、別個の培養液の構成部分とするか、精製または最小限に回収及び/または精製されることが出来る。適した追加の酵素の非限定的な例は、セロビオ加水分解酵素、エンドグルカナーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、エンド−ベータ−1,3(4)−グルカナーゼ、グルコヒドロラーゼ、キシログルカナーゼ、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アルファ・グルクロニダーゼ、アセチル・キシラン・エステラーゼ、マンナナーゼ、マンノシダーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、マンナン・アセチル・エステラーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、ペクチン酸塩リアーゼ、ペクチナーゼ・リアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチン・アセチル・エステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ベータ・ガラクトシダーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、アルファ−アラビノフラノシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、フェルラ酸エステラーゼ・ラムノガラクツロナン・リアーゼ、ラムノガラクツロナン・アセチル・エステラーゼ、キシロガラクツロノシダーゼ、キシロガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナン・リアーゼ、リグニン・ペルオキシダーゼ、マンガン依存性ペルオキシダーゼ、リグニン・ペルオキシダーゼとマンガン依存性ペルオキシダーゼとの結合した特性を有するハイブリッド・ペルオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ及びラッカーゼを含む。
【0082】
いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、次のセルロース分解性酵素を含むが、それらに限られない。(i)エンドグルカナーゼ(EG)または1,4−d−グルカン−4−グルカノヒドロラーゼ(EC3.2.1.4)、(ii)1,4−d−グルカン・グルカノヒドロラーゼ(セロデキストリナーゼとしても知られる)(EC3.2.1.74)及び1,4−d−グルカン・セロビオ加水分解酵素(エクソ・セロビオ加水分解酵素、CBH)(EC3.2.1.91)を含むエクソグルカナーゼ及び(iii)ベータ−グルコシダーゼ(BG)またはベータ・グルコシド・グルコヒドロラーゼ(EC3.2.1.21)。
【0083】
いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びベータ−グルコシダーゼから選ばれる一以上の酵素を含む。一の実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、約1000から約2000、約1500から約2500、約2200から約2800または約2500CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775、約525から約775、約400から約800または約650pNPG U/gベータ−グルコシダーゼ活性を含む。カルボキシメチルセルロース(CMC)活性及びパラ−ニトロフェニル−B−D−グルコピラノシド(pNPG)活性は、当該技術分野で既知の方法を用いて測定されることが出来る(例えば、Ghose,T.K.、「セルラーゼ活性の測定(Measurement of Cellulase Activities)」、Pure&Appl.Chem.、第59巻、257−268ページ、1987年、Chen,H.、Hayn,M.、Esterbauer,H.、「トリコデルマ・リーセイ由来の二種類の細胞外β−グルコシダーゼの精製及び特性評価(Purification and characterization of two extracellular b−glucosidases from Trichoderma reesei)」、Biochimica et Biophysica Acta、1992年、第1121巻、54−60ページを参照されたい)。
【0084】
いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、重量で約0.2%から約1%、約0.2%から約0.5%、または約0.28%の濃度の酢酸、重量で約0.2%から約0.5%、または約0.22%の濃度の安息香酸を、約3.9から約4.3、約3.5から約4.5、約4から約5、約4.5から約5.5、約4.8から約5.2、または約4のpHで含む。
【0085】
いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、発酵の終結に由来する発酵材の分画されていない内容物を含む。通常、細胞死滅全培養液または組成物は、タンパク質合成(例えば、セルラーゼ及び/またはグルコシダーゼ酵素の発現)を可能にするために、微生物細胞(例えば、糸状菌細胞)が飽和するまで増殖され、炭素制限条件下でインキュベートされた後に発生する、消耗した培養地及びセルデブリスを含む。いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物は、消耗した細胞培養培地、細胞外酵素及び死滅された糸状菌細胞を含む。いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液または組成物に存在する微生物細胞は、当該技術分野で既知の方法を用いて透過性になる及び/または溶解されることが出来る。
【0086】
本発明はまた、セルロース系材料、本明細書に記載の細胞死滅全培養液または組成物、及び培養地中の発酵微生物の混合物を含む反応性の組成物を提供する。いくつかの実施態様において、反応性の組成物は、追加の窒素源が実質的にない。いくつかの実施態様において、発酵微生物は、エタノール生産微生物である。いくつかの実施態様において、反応性の組成物中の有機物質の生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む反応性の組成物と比較して少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵微生物はエタノール生産微生物であり、有機物質はエタノールであり、また、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む反応性の組成物と比較して反応性の組成物中のエタノールの生産は少なくとも約10倍増加される。
【0087】
本明細書に記載の細胞死滅全培養液または組成物は通常、液体であるが、例えば、死滅された細胞、セルデブリス、培地構成部分及び/または不溶化酵素等の不溶性成分を含むことが出来る。いくつかの実施態様において、不溶性成分は、精製された液状組成物を提供するために除去されることが出来る。
【0088】
5.4 セルロース系材料を加水分解する方法
本発明は、セルロース系材料を加水分解する方法を提供する。前記方法は、細胞死滅全培養液または組成物中の一以上の酵素でセルロース系材料の酵素加水分解をもたらすのに十分な量で、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法によりもたらされた、細胞死滅全培養液または組成物と、セルロース系材料とを接触させる工程を含む。
【0089】
セルロース基質の適した非限定的な例は、バイオマス、草質材料、農業残留物、林業残留物、都市ゴミ、廃紙、及びパルプ及び紙の残留物を含むが、それらに限られない。本発明で使用されるセルロース基質の一般形態は、都市ゴミ、廃紙及び庭ゴミと同様に、例えば、トウモロコシ等の(湿式粉砕及び乾式粉砕を含む)穀類の製粉業由来の生産物及び副産物、木、低木及び草、小麦、麦わら、サトウキビ・バガス、トウモロコシ、トウモロコシの皮、穀粒由来の繊維を含むトウモロコシ穀粒を含むが、それらに限られない。前記セルロース基質は、「未使用のバイオマス」(例えば、木、潅木、草、果物、フラワー、草本作物及び硬材及び軟材等)、「使用済みのバイオマス」(例えば、農業の副産物、商用有機性廃棄物、建造及び倒壊残骸、都市ゴミ及び庭ゴミ等)または未使用及び使用済みのバイオマスの混合物である「混合バイオマス」から得られることが出来る。
【0090】
いくつかの実施態様において、セルロース基質は、木材、木材パルプ、製紙スラッジ、製紙用パルプ不用流出物、パーチクル・ボード、トウモロコシ茎葉、コーンファイバー、米、紙及びパルプ加工廃棄物、木質または葉状植物、果実パルプ、野菜パルプ、軽石、蒸留業用穀物、草、モミガラ、サトウキビ・バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル、アバカ、麦わら、トウモロコシの穂軸、蒸留業用穀粒、葉、麦わら、ココナッツヘア、藻類、スイッチグラス及びそれらの混合物を含む。
【0091】
前記セルロース基質は、そのままで使用されるか、または当該技術分野で既知の従来方法を用いた前処理にさらされることが出来る。前記前処理は、化学的、物理的及び生物学的な前処理を含む。例えば、物理的前処理技術は、様々な種類の製粉、粉砕、スチーミング/水蒸気爆発、照射及び水加熱分解(hydrothermolysis)を非限定的に含むことが出来る。化学的前処理技術は、希酸、アルカリ、有機溶媒、アンモニア、二酸化硫黄、二酸化炭素及びpH制御水加熱分解を非限定的に含むことが出来る。生物学的前処理技術は、リグニン可溶性微生物の適用を非限定的に含むことが出来る。
【0092】
5.5 微生物中で有機物質を生産する方法
本発明は、微生物、例えば、発酵微生物中で有機物質を生産する方法を提供する。前記方法は、上述の細胞死滅全培養液または組成物で加水分解されたセルロース系材料を生産する工程、及び一以上の目的の有機物質を生産する発酵微生物に適した条件下で、加水分解されたセルロース系材料が存在する状態で発酵微生物を増殖する工程を含む。いくつかの実施態様において、発酵微生物は、エタノール生産微生物であり、前記方法はエタノールの生産に使用される。いくつかの実施態様において、前処理されたセルロース系材料が使用される。
【0093】
有機物質を生産するためのセルロース系材料の加水分解及び発酵微生物の発酵は、同時にまたは連続的に起こることが出来る。
【0094】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の細胞死滅全培養液または組成物の使用は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む組成物を用いて、発酵微生物が増殖するセルロース系材料が加水分解される方法と比較して有機物質の生産を少なくとも約50%増加させる。いくつかの実施態様において、有機物質(例えば、エタノールまたは別の有機分子)の生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む組成物を用いて、発酵微生物が増殖するセルロース系材料が加水分解される方法と比較して少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍増加される。
【0095】
適した発酵微生物は、糖質、例えば、グルコース、キシロース、ガラクトース、アラビノース、マンノースまたはオリゴ糖を、所望の発酵産物または生産物へ発酵させるか転換することが出来る。発酵微生物に適した非限定的な例は、菌性有機体、例えば、酵母等や細菌を含む。
【0096】
いくつかの実施態様において、発酵微生物は、エタノール生産微生物、例えば、自然発生のエタノール生産有機体、自然発生または誘発突然変異を有するエタノール生産有機体、または遺伝学的に修飾されたエタノール生産有機体等である。
【0097】
いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物は、効率的にグルコースをエタノールに発酵させることが出来る酵母菌、例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエ、S.ウヴァラム(uvarum)、クルイヴェロミセス・ファギリス(Kluyveromyces fagilis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)及びパチソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)等である。適した株は、S.セルビシエD5A(ATCC200062)、S.セルビシエY567(ATCC24858)、ACA174(ATCC60868)、MY91(ATCC201301)、MY138(ATCC201302)、C5(ATCC201298)、ET7(ATCC201299)、LA6(ATCC201300)、OSB21(ATCC201303)、F23(S.グロボサス(globosus)、ATCC90920)、ACA174(ATCC60868)、A54(ATCC90921)、NRCC202036(ATCC46534)、ATCC24858、G3706(ATCC42594)、NRRL、Y−265(ATCC60593)、Sa28(ATCC26603)及びATCC24845−ATCC24860を含むが、それらに限られない。本発明の使用に適した他の非セルビシエ酵母菌株は、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)(トゾニー(tozony)ID4922)、S.パストリアナス(pastorianus)SA23(S.カールスバージェンシス(carlsbergensis)ATCC26602)、S.パストリアナス(S.カールスバージェンシスATCC2345)、カンジダ・アシダサーモフィラム(acidothermophilum)(イッサトチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、ATCC20381)を含む。いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物は組み換え酵母株である。適した組み換え酵母は、キシロース還元酵素、キシリトールデヒドロゲナーゼ及び/またはキシルロキナーゼ(xylulokinase)をコードする遺伝子を含むことが出来る(例えば、USPN5,789,210を参照されたい)。
【0098】
いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物は、細菌性細胞、例えば、腸内菌族由来の細菌性細胞等のグラム陰性、条件的嫌気性細菌性細胞等である。いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物は、エシェリヒアまたはクレブシェラ属、及び例えば、大腸菌B、大腸菌DH5α、大腸菌KO4(ATCC55123)、大腸菌KO11(ATCC55124)、大腸菌KO12(ATCC55125)、大腸菌LY01、K.オキシトカ(oxytoca)M5A1またはK.オキシトカP2(ATCC55307)に由来する。いくつかの実施態様において、エタノール生産微生物は、ザイモモナス菌種またはザイモモナス・モビリス(mobilis)(ATCC31821)に由来する。いくつかの実施態様において、組み換えザイモモナス菌株は、例えば、キシロースイソメラーゼ、キシルロキナーゼ、トランスアルドラーゼ及びトランスケトラーゼをコードする遺伝子を含むことが出来る。
【0099】
グルコース及び他の小さな糖へのセルロース系材料の加水分解は重要な工程であるが、同時糖化発酵(SSF)は、これらの糖質をエタノールに形質転換するためのエタノール生産微生物の生きた培養物に依存する。
【0100】
発酵微生物は通常加水分解産物に加えられ、発酵は12−96時間、例えば、30−80時間行われることが可能とされる。温度は通常26−40℃、例えば、約32℃であり、pHは通常3−6である。
【0101】
発酵に続いて、目的の有機物質は、当該技術分野で既知の任意の方法により回収される。前記方法は、蒸留、抽出、クロマトグラフ法、電気泳動法及び吸収率較差溶解度を含むが、それらに限られない。例えば、エタノール発酵において、アルコールは蒸留の従来方法により分離及び精製されることが出来る。本発明の工程に従って得られた前記エタノールは、燃料エタノール、飲用エタノールとして、または産業エタノールとして使用されることが出来る。
【0102】
本発明の理論に縛られないが、未精製の細胞死滅全培養液は、エタノール生産微生物に残留性の栄養素を提供すると考えられている。これは、より速いエタノール発酵をもたらし、エタノール収率を改善し得る。エタノール生産微生物へ糖化されたセルロースに加えて栄養ブイヨンを提供する必要性を除去するかまたは補助栄養素の量を減少させる能力は、エタノール発酵工程の原材料費を減少させる。
【0103】
いくつかの実施態様において、発酵微生物中で有機物質を生産する方法において本明細書に記載の細胞死滅全培養液または組成物の使用は、発酵微生物のための追加の窒素源の量及び/または種類を減少することが出来る。いくつかの実施態様において、本発明の方法及び組成物は、発酵微生物の増殖に必要とされる酵母抽出物、ペプトン及び/または尿素の量を減少させることが出来る。
【0104】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の発酵微生物中で有機物質を生産する方法は、発酵微生物のための追加の窒素及び/または栄養源が存在しないか、実質的にない。いくつかの実施態様において、前記方法及び組成物は、酵母抽出物、ペプトン及び/または尿素が存在しないか、実質的にない。本発明の方法及び組成物に追加の窒素源が存在しないか、実質的にないことが出来ることは当業者に理解されるが、窒素及び/または栄養源の微量は、不純物として存在するか、発酵微生物への全培養液の栄養値を実質的に増加させないような量が加えられることが出来る。
【0105】
一の実施態様において、本発明は、同時糖化発酵により有機物質を生産する方法を提供する。前記方法は、追加の窒素源が存在しない状態で、セルロース系材料(例えば、前処理されたセルロース系材料)、セルロース系材料(例えば、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及び/またはベータ−グルコシダーゼ)の加水分解が可能な一以上の酵素を含む、本明細書に記載の細胞死滅全培養液または組成物、及び発酵微生物の組み合わせを含む。前記セルロース系材料、細胞死滅全培養液または組成物、及び発酵微生物は、グルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質(例えば、キシロース、アラビノース及び/またはマンノース)へのセルロースの加水分解、及び有機物質へのグルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質の転換の両方をもたらす条件下でインキュベートされる。いくつかの実施態様において、有機物質の生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む、細胞死滅全培養液または組成物が使用される方法と比較して少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵微生物は、エタノール生産微生物であり、有機物質はエタノールであり、エタノールの生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む、細胞死滅全培養液または組成物が使用される方法と比較して、少なくとも約10倍増加される。一の実施態様において、約1000から約2000、約1500から約2500、約2200から約2800または約2500CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775、約525から約775、約400から約800または約650pNPG U/gのベータ−グルコシダーゼ活性、重量で約0.2%から約1%、約0.2%から約0.5%または約0.28%の酢酸、重量で約0.2%から約0.5%または約0.22%の安息香酸(または約0.26%の安息香酸ナトリウム)を含む細胞死滅全培養液が、約3.9から約4.3、約3.5から約4.5、約4から約5、約4.5から約5.5、約4.8から約4.2または約4のpHで用いられる。
【0106】
5.6 キット
本発明はまた、キットを提供する。本発明のキットは、本明細書に記載の有機酸の組み合わせを含む細胞死滅全培養液または組成物を含む。適した包装が提供される。本明細書で用いる「包装」は、システムで慣習的に用いられ、また固定された範囲に本明細書に記載のキットの構成部分を保持することが可能な固体マトリクス、材料または容器をいう。
【0107】
キットはまた、細胞死滅全培養液または組成物の使用のための説明書を含むことが出来る。例えば、説明書は、セルロース基質の加水分解のための方法で細胞死滅全培養液または組成物の使用、または本明細書で記載するような、発酵微生物中で有機物質を生産する方法で使用される説明のために提供されることが出来る。説明書は、印刷された形態、フロッピーディスク、CDまたはDVDのような電子媒体の形態またはこのような説明書が得られることが出来るウェブサイト・アドレスの形態で提供されることが出来る。
【0108】
5.7 具体的な実施態様
一の側面において、本発明は、発酵培養地中で細胞を死滅させる方法を提供する。前記方法は、1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩及び6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩を有する培養地中で細胞を含む発酵培養地を接触させる工程を含む。一の実施態様において、第1有機酸の濃度は、重量で約0.2%から約1%であり、第2有機酸の濃度は、重量で約0.04%から約0.3%である。一の実施態様において、第1有機酸の濃度は、重量で約0.2%から約0.5%であり、第2有機酸の濃度は、重量で約0.2%から約0.5%である。前記方法は、実質的に完全な細胞死滅と、それによる細胞死滅全培養液の生産をもたらすのに十分な時間、温度及びpHで進められる。いくつかの実施態様において、時間は約8時間から約24時間であり、温度は約30℃から約40℃、pHは約3.5から約4.5、約3.9から約4.2または約4から約4.4である。一の実施態様において、時間は約24時間であり、温度は約40℃、pHは約4である。実質的に完全な細胞死滅は通常、生細胞の少なくとも約4の対数、5の対数、6の対数、7の対数または8の対数での減少を含む。
【0109】
細胞を死滅させる前記方法のいくつかの実施態様において、細胞は微生物細胞(すなわち、菌類または細菌)である。いくつかの実施態様において、細胞は真菌細胞、例えば、糸状菌細胞である。いくつかの実施態様において、糸状菌細胞は、トリコデルマ、アスペルギルス、ペニシリウム、フミコーラ、クリソスポリウム及びニューロスポラ属から選ばれる。
【0110】
細胞を死滅させる前記方法のいくつかの実施態様において、第1有機酸は酢酸、ギ酸またはプロピオン酸から選ばれる。一の実施態様において、第1有機酸は酢酸である。いくつかの実施態様において、第2有機酸は、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル吉草酸及びフェニル酢酸から選ばれる。一の実施態様において、第2有機酸は安息香酸である。いくつかの実施態様において、有機酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム等が使用される。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.044%の濃度の安息香酸(または重量で約0.052%の濃度の安息香酸ナトリウム)である。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.22%の濃度の安息香酸(または重量で約0.26%の濃度の安息香酸ナトリウム)である。
【0111】
細胞を死滅させる前記方法のいくつかの実施態様において、細胞は、培養地へ少なくとも一の目的の酵素を細胞外に分泌する。いくつかの実施態様において、目的の酵素は組み換えにより発現される。いくつかの実施態様において、細胞は、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びベータ−グルコシダーゼから選ばれる、少なくとも一の目的の酵素を分泌する。
【0112】
別の側面において、本発明は、本明細書に記載の細胞を死滅させるための前記方法のいずれかにより生産された、細胞死滅全培養液を提供する。一の実施態様において、細胞死滅全培養液は、細胞を死滅させる前に、細胞外の培養地へ細胞により分泌された、一以上の酵素を含む。いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液は、細胞外の培養地中で、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びベータ−グルコシダーゼから選ばれる、少なくとも一の酵素を含む。いくつかの実施態様において、細胞死滅全培養液は、約1000から約2000、約1500から約2500、約2200から約2800または約2500CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775、約525から約775、約400から約800または約650pNPG U/gのベータ−グルコシダーゼ活性を含む。一の実施態様において、前記組成物は、約3.9から約4.3のpHで、約2200から約2800CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775pNPG U/gのベータ−グルコシダーゼ活性を含む。
【0113】
いくつかの実施態様において、発酵微生物による有機物質の生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む細胞死滅全培養液が使用される方法と比較して、細胞死滅全培養液が存在する状態で少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵微生物はエタノール生産微生物である。一の実施態様において、発酵エタノール生産有機体によるエタノールの生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む細胞死滅全培養液が使用される方法と比較して、少なくとも約10倍増加される。
【0114】
別の側面において、本発明は、1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩及び6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩及び目的の酵素を含む組成物を提供する。いくつかの実施態様において、前記組成物はまた、死滅された細胞及び培養地を含む。ここで、細胞は培養地中で増殖され、第1及び第2有機酸との接触の前に目的の酵素を生産する。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.2%から約1%の濃度で組成物中に存在し、第2有機酸は、重量で約0.04%から約0.3%の濃度で存在する。一の実施態様において、第1有機酸は、重量で約0.2%から約0.5%の濃度で組成物中に存在し、第2有機酸は、重量で約0.2%から約0.5%の濃度で存在する。いくつかの実施態様において、第1有機酸は酢酸、ギ酸またはプロピオン酸から選ばれる。一の実施態様において、第1有機酸は酢酸である。いくつかの実施態様において、第2有機酸は、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル吉草酸及びフェニル酢酸から選ばれる。一の実施態様において、第2有機酸は安息香酸である。いくつかの実施態様において、有機酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム等が使用される。一の実施態様において、第1有機酸は重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.044%の濃度の安息香酸(または重量で約0.052%の濃度の安息香酸ナトリウム)である。一の実施態様において、第1有機酸は重量で約0.28%の濃度の酢酸であり、第2有機酸は、重量で約0.22%の濃度の安息香酸(または重量で約0.26%の濃度の安息香酸ナトリウム)である。いくつかの実施態様において、前記組成物は、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びベータ−グルコシダーゼから選ばれる一以上の酵素を含む。一の実施態様において、前記組成物は、約1000から約2000、約1500から約2500、約2200から約2800または約2500CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775、約525から約775、約400から約800または約650pNPG U/gのベータ−グルコシダーゼ活性を含む。いくつかの実施態様において、pHは、約3.9から約4.3、約3.5から約4.5、約4から約5、約4.5から約5.5、約4.8から約5.2または約4である。一の
実施態様において、前記組成物は、約3.9から約4.3のpHで、約2200から約2800CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び約450から約775pNPG U/gのベータ−グルコシダーゼ活性を含む。
【0115】
別の側面において、本発明は、細胞死滅全培養液または組成物中の一以上の酵素によるセルロース系材料の酵素加水分解をもたらす効果的な量で、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩及び少なくとも一の本明細書に記載の目的の酵素を含む組成物と、セルロース系材料とを接触させる工程を含むセルロース系材料を加水分解する方法を提供する。いくつかの実施態様において、培養地及び死滅された細胞をさらに含む組成物が使用される。ここで、前記細胞は、培養地中で増殖され、第1及び第2有機酸との接触の前に目的の酵素を生産する。いくつかの実施態様において、セルロース系材料は植物バイオマス物質である。一の実施態様において、セルロース系材料はリグノセルロース物質である。いくつかの実施態様において、セルロース系材料は酵素加水分解を増進するために前処理される。本発明はまた、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩、少なくとも一の目的の酵素、及び任意に、本明細書に記載の発酵培養培地及び死滅された細胞を含む組成物を用いた加水分解により生産された加水分解されたセルロース系材料を提供する。
【0116】
別の側面において、本発明は、有機物質を生産する方法を提供する。前記方法は、微生物が有機物質を生産するために適した条件下で、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩、少なくとも一の目的の酵素、及び任意に、本明細書に記載の発酵培養培地及び死滅された細胞を含む組成物を用いた加水分解により生産された加水分解されたセルロース系材料が存在する状態で培養地中の有機物質を生産する微生物を発酵する工程を含む。一の実施態様において、微生物はエタノール生産微生物である。また、有機物質はエタノールである。一の実施態様において、培養地中の有機物質の濃度は、細胞死滅全培養液または組成物が重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含むことを除く他は前記方法で使用される細胞死滅全培養液または組成物と同様の構成部分、実質的に同一の構成部分、または同一の構成部分を含む細胞死滅全培養液または組成物を用いてセルロース系材料が加水分解される方法と比較して、少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵エタノール生産有機体によるエタノールの生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む細胞死滅全培養液または組成物が使用される方法と比較して、少なくとも約10倍増加される。
【0117】
いくつかの実施態様において、セルロース系材料の酵素加水分解及び微生物の発酵は、同時に起こる。他の実施態様において、セルロース系材料の酵素加水分解が微生物の発酵前に起こる。
【0118】
別の側面において、本発明は、同時糖化発酵により有機物質を生産する方法を提供する。前記方法は、(a)追加の窒素源が無い状態で、微生物が有機物質を生産するために適した条件下で、セルロース基質と、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩、少なくとも一の目的の酵素、及び任意に、本明細書に記載の発酵培養培地及び死滅された細胞を含む組成物、及び発酵微生物とを組み合わせる工程、
及び(b)グルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質(例えば、キシロース、アラビノース及び/またはマンノース)へのセルロースの加水分解、及び有機物質へのグルコース及び/またはヘミ・セルロース糖質の転換の両方をもたらす条件下で、培養地中セルロース基質、細胞死滅全培養液または組成物及び発酵微生物をインキュベートする工程を含む。ここで、培養地中の有機物質の濃度は、細胞死滅全培養液または組成物が重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含むことを除く他は前記方法で使用される細胞死滅全培養液または組成物と同様の構成部分、実質的に同一の構成部分、または同一の構成部分を含む細胞死滅全培養液または組成物を用いてセルロース系材料が加水分解される方法と比較して、少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵微生物はエタノール生産微生物である。また、有機物質はエタノールである。一の実施態様において、発酵エタノール生産有機体によるエタノールの生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む細胞死滅全培養液または組成物が使用される方法と比較して、少なくとも約10倍増加される。
【0119】
別の側面において、本発明は、有機物質の生産のための反応性組成物を提供する。前記反応性組成物は、セルロース基質と、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩、少なくとも一の目的の酵素、及び任意に、本明細書に記載の発酵培養培地及び死滅された細胞を含む組成物、及び培養培地中の発酵微生物との混合物を含む。前記反応性組成物は実質的に、追加の窒素源が無く、培養地中の有機物質の濃度は、細胞死滅全培養液または組成物が重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含むことを除く他は前記方法で使用される細胞死滅全培養液または組成物と同様の構成部分、実質的に同一の構成部分、または同一の構成部分を含む細胞死滅全培養液または組成物を用いてセルロース系材料が加水分解される方法と比較して、少なくとも約50%増加される。一の実施態様において、発酵微生物はエタノール生産微生物である。また、有機物質はエタノールである。一の実施態様において、発酵エタノール生産有機体によるエタノールの生産は、重量で約1.4%の酢酸及び約0.22%の安息香酸を含む細胞死滅全培養液または組成物を含む組成物と比較して、少なくとも約10倍増加される。
【0120】
別の側面において、本発明は、本明細書に記載の細胞を死滅させる方法により生産された細胞死滅全培養液、または1から5個の炭素原子を含む第1有機酸またはその塩、6個以上の炭素原子を含む第2有機酸またはその塩、少なくとも一の目的の酵素、及び任意に、本明細書に記載の発酵培養培地及び死滅された細胞を含む組成物を包装に含むキットを提供する。いくつかの実施態様において、キットは、発酵微生物を用いて有機物質を生産する方法で使用される説明書、例えば、キット中の細胞死滅全培養液または組成物を用いて加水分解された、エタノール生産微生物及びセルロース基質を用いてエタノールを生産する方法で使用される説明書等をさらに含む。
【0121】
以下の実施例は本発明を例証することが意図され、限定することは意図されない。
【実施例】
【0122】
6 実施例
実施例1
細胞死滅条件
菌細胞数の測定
トリコデルマ・リーセイの150時間の発酵からのアリコートを、10の希釈係数へ滅菌水を用いて連続的に希釈した。次に、希釈液の100μlのサンプルを、ディフコ(Difco(商標))(REF#213200)から購入した、ポテトデキストロース寒天(PDA)上にプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、前記インキュベートしたPDAプレートを、3日間のインキュベーション後にコロニー形成単位(CFU)を数えた。CFUは、寒天上に存在する増殖細胞の分離した個々の塊として特性化される。また、プレートされた際の希釈度で掛けたこれらの寒天上に存在するCFUの数は、開始サンプル中に存在するCFUの数である。
【0123】
アスペルギルス・ニガー及びペニシリウム・ファニキュロサムの個別の胞子懸濁液を、ディフコ(REF#213200)から購入したPDA上にプレートし広げ、25℃で3日間インキュベートした。次に、A.ニガー及びP.ファニキュロサムのコロニーを含むPDAの個別の切片を、無菌的に回収し、5g/Lの酵母抽出物及び20g/Lのグルコースから成る酵母抽出物グルコース(YEG)培地を含む別々の振盪フラスコに入れた。次に、前記振盪フラスコを、3日間200rpm及び33℃でセットされた回転式振盪培養機上でインキュベートした。増殖培養物のサンプルを回収し、10の希釈係数へ滅菌水を用いて連続的に希釈した。次に、希釈液の100μlのサンプルを、PDA上にプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、前記インキュベートしたPDAプレートのCFUを数えた。
【0124】
異なる温度における酢酸及び安息香酸ナトリウムを用いたT.リーセイの細胞死滅
トリコデルマ・リーセイの培養液を5個のアリコートに分離し、下記の表1で記載するように配合した。次に、前記配合した培養液を、10%(w/w)の硫酸を用いてpH4.0に調節した。次に、各製剤を3個のアリコートに分離し、一のアリコートを10℃でインキュベーションし、別のアリコートを25℃でインキュベーションし、三個目のアリコートを40℃でインキュベーションした。24時間のインキュベーションの後、全てのアリコートを、10%(w/w)の水酸化ナトリウムを用いてpH4.8に調節した。次に、各アリコートを、滅菌水を用いて連続的に希釈し、PDA上にプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、インキュベートされた前記PDAプレートのCFUを数えた。
【表1】

【0125】
完全な細胞死滅を全ての製剤について40℃の温度で達成した。T.リーセイの細胞死滅は、より低い温度で達成できたが、有機酸のより高い濃度を必要とした。図1は、T.リーセイの細胞死滅における温度及び配合化学物質濃度の効果を説明するグラフである。
【0126】
安息香酸ナトリウムの効果
安息香酸ナトリウムを、最終濃度が2.5g/Lの安息香酸ナトリウムまたは5g/Lの安息香酸ナトリウムになるように個別のT.リーセイのアリコートに加えた。次に、前記アリコートをpH4に調節し、40℃で24時間インキュベートした。24時間のインキュベーションの後、全てのアリコートを、10%(w/w)の水酸化ナトリウムを用いてpH4.8に調節した。次に、各アリコートを、滅菌水を用いて連続的に希釈し、PDA上にプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、インキュベートされた前記PDAプレートのCFUを数えた。その結果を図2に示す。
【0127】
2.5g/Lの安息香酸ナトリウム、pH4を用いて配合したT.リーセイを、24時間、40℃でインキュベーションした後、生細胞は5の対数で減数し、一方、5g/Lの安息香酸ナトリウム、pH4を用いて配合したT.リーセイを、24時間、40℃でインキュベーションした後は、7の対数で減数すると共に10未満のCFUが存在した。
【0128】
A.ニガー及びP.ファニキュロサムの培養物への細胞死滅条件の適用
酢酸及び安息香酸ナトリウムを、それぞれ2.8g/L及び2.6g/Lの最終濃度となるように、T.リーセイ、A.ニガー及びP.ファニキュロサムの培養物の個別のアリコートに加えた。次に、前記アリコートをpH4に調節し、40℃で24時間インキュベートした。24時間のインキュベーションの後、全てのアリコートを、10%(w/w)の水酸化ナトリウムを用いてpH4.8に調節した。次に、各アリコートを、滅菌水を用いて連続的に希釈し、PDA上にプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、インキュベートされた前記PDAプレートのCFUを数えた。その結果を図3に示す。
【0129】
細胞死滅条件への24時間の暴露の後、生細胞はT.リーセイ、A.ニガー及びP.ファニキュロサムからは存在が確認されなかった。
【0130】
6個以上の炭素を有する有機酸を用いた細胞死滅
T.リーセイ培養液の別途未配合のアリコートを、10のアリコートにさらに分離し、下記の表2で記載するように6個以上の炭素を有する有機酸と配合した。有機酸の化学構造及びpKaを図4で示す。
【表2】

【0131】
次に、配合された前記培養物を、10%(w/w)の硫酸を用いてpH4.0に調節した。次に、配合された前記培養物を、40℃でインキュベートした。2時間及び4時間のインキュベーションの後、配合された培養物のpHを測定し、10%(w/w)の硫酸で4.0に調節し、40℃のインキュベーションに戻した。24時間のインキュベーションの後、配合された培養物を回収し、次に、配合された培養物の100μlを、PDA上に10、10、10及び10の希釈でプレートし広げ、25℃でインキュベートした。次に、インキュベートされた前記PDAプレートのCFUを数えた。その結果を図5に示す。
【0132】
実施例2
微生物中の有機物質の生産における細胞死滅全培養液の効果
細胞死滅全培養液を、細胞外培地へエクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ及びヘミセルラーゼ、及びベータ−グルコシダーゼ酵素を分泌するT.リーセイ細胞の発酵培養から調製した。前記発酵培養地を、実施例1で記載するようにpH4及び40℃で24時間、重量で0.28%の酢酸及び0.052%の安息香酸ナトリウムを処理(「培養液A」)するか、pH4及び10℃で24時間、重量で1.4%の酢酸、0.26%の安息香酸ナトリウム及び0.5%のソルビン酸カリウムで処理(「培養液B」)した。有機物質を生産する微生物の発酵におけるこれらの二種類の培養液の効果を調査した。前記培養液を、微生物の増殖のための炭素源として使用するためのグルカン加水分解産物を生産するため、セルロース基質の加水分解に使用した。グルカン加水分解産物で増殖された微生物による有機物質の生産を評価した。
【0133】
加水分解産物の生成
前処理されたバガスを、再生可能エネルギー研究所(the National Renewable Energy Laboratory、NREL)から得た。前記バガスは、NRELにより希硫酸及び上昇温度で前処理された(Schell他(2004年)、Bioresource Technology、第91巻、179−188ページ)。次に、酸で前処理された前記バガスを、pHが4.2を超えるまで脱イオン水で洗浄し、その後、残留水を真空濾過で除去した。次に、洗浄され、酸で前処理された前記バガス(wAPB)を、wAPB基質に由来する任意の汚染微生物を除去するため、121℃で20分間オートクレーブ滅菌した。次に、13%(w/w)のグルカン加水分解産物を、基質グルカンのグラム当たり80mgのタンパク質投与量の培養液Aまたは培養液Bを用いて、オートクレーブ滅菌されたwAPBから生成した。各加水分解産物を、200rpmの回転式振盪培養機で5日間、50℃でのインキュベーションから成る糖化条件下で生成した。次に、各加水分解産物のグルコース濃度を、下記のHPLCアッセイの項目で概説した手順に従って分析した。wAPBの糖化後、各加水分解産物を、3個のフラスコに分離し、1%(w/w)のグルカン、7%(w/w)のグルカン及び13%(w/w)のグルカン加水分解産物混合物を形成するために無菌ろ過された50mMクエン酸ナトリウム緩衝剤(pH4.8)で希釈した。
【0134】
ラクトバチルス・ラムノサス培養物の調製
凍結乾燥されたラクトバチルス・ラムノサス(ATCC7469)を、米国培養菌保存施設(American Type Culture Collection、ATCC)から得、滅菌水で再水和した。次に、再水和された前記L.ラムノサスを、ディフコ(REF#288210)から購入した乳酸桿菌MRS寒天上にプレートし広げ、L.ラムノサス・コロニーを得るために37℃で2日間インキュベートした。次に、L.ラムノサス・コロニーを、ディフコ(REF#288130)から購入した乳酸桿菌MRS培養液を含む振盪フラスコに無菌的に加えた。次に、前記L.ラムノサスの振盪フラスコを、増殖培養物を得るため、1日間、33℃及び150rpmの回転式振盪培養機内でインキュベートした。
【0135】
L.ラムノサス加水分解産物の発酵
L.ラムノサスの増殖培養物を、培養液A及びBで生産された7%(w/w)のグルカンでwAPBを含む個別の加水分解産物用のフラスコに3%(v/w)の濃度で植菌した。L.ラムノサスを植菌した前記フラスコを、5日間、37℃及び150rpmの回転式振盪培養機内の無気的条件下で発酵した。前記発酵混合物を、1、2、3及び5日間のインキュベーション後にサンプリングし、下記のHPLCアッセイの項目で概説した手順で乳酸及びグルコース濃度について分析した。その結果を図6に示す。
【0136】
サーモザック酵母の同時糖化発酵(SSF)
洗浄した酸で前処理されたバガス、50mMクエン酸ナトリウム緩衝剤(pH4.8)及び培養液AまたはBを、基質グルカンのグラム当たり80mgのタンパク質濃度で個別のフラスコに加えた。次に、各フラスコを、1%(v/w)の再水和されたサーモザック酵母で植菌し、次に、10%(w/w)の酵母抽出物、10%(w/w)のペプトン及び1%(w/w)のグルコースから成る1%(v/w)の酵母栄養素と共に植菌した。次に、各フラスコを、38℃及び150rpmの回転式振盪培養機内でインキュベートした。前記発酵混合物を、2、3、4及び5日間のインキュベーション後にサンプリングし、下記のHPLCアッセイの項目で概説した手順でエタノール及びグルコース濃度について分析した。その結果を図7及び8で示す。
【0137】
HPLCアッセイ
HPLC解析のための全てのサンプルを、5mM硫酸中で10倍希釈し、HPLCへの注入の前に0.2μmフィルターを通してろ過した。HPLC解析を、バイオラッドAminex HPX−87Hイオン・エクスクルージョン・カラム(ion exclusion column)(300mm x 7.8mm)を用いて行った。
【0138】
結果
培養液A及びBは、それぞれ90.4%及び92.6%のパーセント・グルコース転換で、130g/Lのグルコースによって共に生産された加水分解産物を生成した。乳酸はいずれの加水分解産物でも検出されなかった。
【0139】
L.ラムノサスから生産された乳酸の濃度は、wAPBのより低いグルカン配合量と共に増加し、これは基質からの強力な抑制効果を示唆する。13%のwAPBのグルカン配合量において、培養液A及びBは、生産された乳酸の量が、互いに有意に異ならない加水分解産物を生成した。培養液Aから生成された7%のwAPBのグルカン配合量におけるL.ラムノサスからの乳酸の生産は、培養液Bが加水分解産物を生成したことによる乳酸の生産より1.5倍多かった。図6は、培養液A及びBから生産されたwAPB加水分解産物におけるL.ラムノサスからの乳酸の生産を比べたグラフである。
【0140】
培養液Aから生成されたwAPB加水分解産物の13%グルカンにおけるサーモザック酵母からのエタノール生産は、培養液Bから生産された加水分解産物より12.5倍多かった(図7)。図7は、培養液A及びBから生成された13%グルカンのwAPB加水分解産物におけるサーモザック酵母からのエタノール生産を比べるグラフである。5日間のサーモザック酵母発酵後、培養液Bが加水分解産物を生成したことによる残留性のグルコース蓄積は、培養液Aが加水分解産物を生成するより4倍多かった。図8は、培養液A及びBから生産された加水分解産物のサーモザック酵母発酵中のグルコース蓄積を比べるグラフである。
【0141】
先の発明を理解の明確化の目的のため、例証及び実施例としてある程度詳細に記載してきたが、特定の変更及び修飾が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施され得ることは当業者に明らかである。従って、その説明は本発明の範囲の限定として解釈されるべきでない。
【0142】
本明細書によって引用される全ての出版物、特許及び特許出願は、あたかも各々個々の出版物、特許または特許出願が特別に及び個別に参考により本明細書に組み込まれるよう指示されているかのように、本明細書によって引用される全ての出版物、特許及び特許出願は、全ての目的のためそれらの全てが同じ程度に参考により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液製剤を作成する方法であって、
(a)一以上の培養液、
(b)混合物の重量で0.1%から15%の量の少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第1有機酸構成部分、及び
(c)混合物の重量で0.025%から5%の量の少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第2有機酸構成部分
を含む第1混合物を、前記一以上の培養液中の生細胞の少なくとも4の対数の減少をもたらし、それにより培養液製剤を作成する時間及び条件下でインキュベートする工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1有機酸構成部分が、前記第1混合物の重量で、0.2%から1%、0.2%から0.5%、0.1%から10%、0.25%から5%または0.3%から3%の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2有機酸構成部分が、前記第1混合物の重量で、0.04%から3%、0.2%から0.5%、0.1%から1%、0.25%から5%または0.3%から3%の量である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間が、8時間から36時間である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記時間が、20時間から28時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記条件が、20℃から50℃の温度を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記条件が、25℃から40℃の温度を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記条件が、28℃から33℃の温度を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記条件が、3.5から5のpHを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記条件が、4から4.7のpHを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記条件が、4.2から4.5のpHを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インキュベートする工程が、前記一以上の培養液における生細胞の数で、少なくとも5の対数の減少、6の対数の減少、7の対数の減少または8の対数の減少をもたらす時間及び条件下である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
生細胞の前記減少が、前記条件に従う第2混合物よりも、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍多く、前記第2混合物が、前記第1混合物中の第1及び第2有機酸構成部分の総重量パーセンテージ以下の量で、前記第1有機酸構成部分及び前記第2有機酸構成部分の一のみの有機酸構成部分を含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記細胞が、真菌細胞である、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
真菌細胞が、糸状菌細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記糸状菌細胞が、トリコデルマ、アスペルギルス、ペニシリウム、フミコーラ、クリソスポリウムまたはニューロスポラ属に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1有機酸構成部分が、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸塩または先のものの2以上の混合物を含むか、それらから成る、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1有機酸構成部分が、酢酸及び/またはその塩を含むか、それらから成る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2有機酸構成部分が、安息香酸、安息香酸塩、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸塩、4−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸塩、フェニル酢酸、フェニル酢酸塩または先のものの2以上の混合物を含むか、それらから成る、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第2有機酸構成部分が、安息香酸及び/またはその塩を含むか、それらから成る、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1有機酸構成部分が、前記炭素数1−5の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含み、及び/または前記第2有機酸構成部分が、前記炭素数6以上の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第1有機酸構成部分が、重量で0.2%−0.4%の濃度の酢酸を含み、前記第2有機酸構成部分が、重量で0.2%−0.4%の濃度の安息香酸ナトリウムを含む、前記方法、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記時間が、24時間であり、前記条件が40℃の温度及びpH4から4.6の間を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記一以上の培養液の少なくとも一が、前記細胞により分泌された一以上のタンパク質を含む、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記一以上のタンパク質の少なくとも一が、前記細胞の組み換えにより発現される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記一以上のタンパク質の少なくとも一が、酵素である、請求項24または請求項25に記載の前記方法。
【請求項27】
前記酵素が、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記一以上の培養液の少なくとも一が、組み換えにより発現され、細胞により分泌された複数の酵素を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の酵素が各々、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記条件が、前記一以上の培養液の酵素活性の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%を有する培養液製剤をもたらす、請求項1から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
タンパク質が、前記第1混合物の5から15重量パーセントを構成する、請求項1から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記インキュベーションの間、前記第1混合物にpH調節剤を加える工程をさらに含む、請求項1から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記pH調節剤が、リン酸である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記pH調節剤が、硫酸である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記pH調節剤が、水酸化ナトリウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記第1混合物が、一以上の抗菌剤をさらに含む、請求項1から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記一以上の抗菌剤が、前記第1混合物の重量で、0.0005から0.05パーセントの量である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記一以上の抗菌剤が、前記第1混合物の重量で、0.001から0.025パーセントの量である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗菌剤が、イソ・アルファ酸、テトラ・イソ・アルファ酸及び/またはベータ酸を含むホップ抽出物を含む、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記インキュベートする工程の前に、前記第1混合物を作成する工程をさらに含む、請求項1から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記第1混合物が、
一以上の培養液と、少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸及び/またはその塩、少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸及び/またはその塩及び任意に、一以上の別の試薬とを組み合わせることを含む工程より作成される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記一以上の別の試薬が、pH調節剤及び/または抗菌剤を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1から42のいずれかに記載の方法により得られるか、または得られることが可能な培養液製剤。
【請求項44】
エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びβ−グルコシダーゼから選ばれる一以上の細胞外酵素を含む、請求項43に記載の培養液製剤。
【請求項45】
2200CMC U/gから2800CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性及び525pNPG U/gから775pNPG U/gのβ−グルコシダーゼ活性を有する、請求項43または請求項44に記載の培養液製剤。
【請求項46】
2200CMC U/gから3200CMC U/gのエンドグルカナーゼ活性、300pNPG U/gから800pNPG U/gのβ−グルコシダーゼ活性及び2000ABX U/gから5000ABX U/gのキシラナーゼ活性を有する、請求項43または請求項44に記載の培養液製剤。
【請求項47】
(a)細胞を含む一以上の培養液、(b)組成物の重量で0.2%から1.5%の量の少なくとも一の炭素数1−5の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第1有機酸構成部分、(c)組成物の重量で0.04%から0.6%の量の少なくとも一の炭素数6以上の炭素有機酸及び/またはその塩を含む第2有機酸構成部分を含む組成物。
【請求項48】
前記第1有機酸構成部分が、前記組成物の重量で0.2%から1%、0.2%から0.5%、0.1%から10%、0.25%から5%または0.3%から3%の量である、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記第2有機酸構成部分が、前記組成物の重量で、0.04%から3%、0.2%から0.5%、0.1%から1%、0.25%から5%または0.3%から3%の量である、請求項47または請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記細胞が、主にまたは完全に発育不可能な細胞である、請求項47から49のいずれかに記載の組成物。
【請求項51】
生細胞が前記組成物中に存在する場合、前記組成物中の発育不可能な細胞対生細胞の比率は、少なくとも10:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも1000:1、少なくとも10,000:1、少なくとも100,000:1または少なくとも1,000,000:1である、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
3.5から5のpHを有する、請求項47から51のいずれかに記載の組成物。
【請求項53】
4から4.7のpHを有する、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
4.2から4.5のpHを有する、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記細胞が、真菌細胞を含む、請求項47から54のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
前記真菌細胞が、糸状菌細胞である、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記糸状菌細胞が、トリコデルマ、アスペルギルス、ペニシリウム、フミコーラ、クリソスポリウムまたはニューロスポラ属に由来する、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記第1有機酸構成部分が、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸塩または先のものの2以上の混合物を含むか、それらから成る、請求項47から57のいずれかに記載の組成物。
【請求項59】
前記第1有機酸構成部分が、酢酸及び/またはその塩を含むか、それらから成る、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
前記第2有機酸構成部分が、安息香酸、安息香酸塩、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸塩、4−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸塩、フェニル酢酸、フェニル酢酸塩または先のものの2以上の混合物を含むか、それらから成る、請求項47から59のいずれかに記載の組成物。
【請求項61】
前記第2有機酸構成部分が、安息香酸及び/またはその塩を含むか、それらから成る、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記第1有機酸構成部分が、前記炭素数1−5の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含み、及び/または第2有機酸構成部分が、前記炭素数6以上の炭素有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む、請求項47から61のいずれかに記載の組成物。
【請求項63】
前記第1有機酸構成部分が、重量で0.2%−0.4%の濃度の酢酸を含み、第2有機酸構成部分が、重量で0.2%−0.4%の濃度の安息香酸ナトリウムを含む、請求項47から57のいずれかに記載の組成物。
【請求項64】
前記細胞により分泌された一以上のタンパク質を含む、請求項47から63のいずれかに記載の組成物。
【請求項65】
前記一以上のタンパク質の少なくとも一が、前記細胞の組み換えにより発現される、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記一以上のタンパク質の少なくとも一が、酵素である、請求項64または請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記酵素が、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼである、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
組み換えにより発現され、細胞により分泌される複数の酵素を含む、請求項64に記載の組成物。
【請求項69】
前記複数の酵素が各々、エクソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼまたはβ−グルコシダーゼである、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
タンパク質が、前記組成物の5から15重量パーセントを構成する、請求項47から69のいずれかに記載の組成物。
【請求項71】
一以上の抗菌剤をさらに含む、請求項47から70のいずれかに記載の組成物。
【請求項72】
前記一以上の抗菌剤が、前記組成物の重量で0.0005から0.05パーセントの量である、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記一以上の抗菌剤が、前記組成物の重量で0.001から0.025パーセントの量である、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記抗菌剤が、イソ・アルファ酸、テトラ・イソ・アルファ酸及び/またはベータ酸を含むホップ抽出物を含む、請求項72または請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
(a)包装、及び(b)請求項43から請求項45のいずれかに記載の培養液製剤、または請求項47から74のいずれかに記載の組成物を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−518412(P2012−518412A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551254(P2011−551254)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/024768
【国際公開番号】WO2010/096673
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】