説明

培養状態監視装置

培養状態監視装置は、培養器(2)内の選択された特性を測定するための少なくとも1つの読み取り器ユニット(10)を有している。読み取り器ユニットは、測定値を受信し、且つ、選択された特性の測定値を培養器外側のデータ自動記録装置(14)に送信するための培養器内の受信機/送信機(12)に情報を送信する。監視表示システム(16)は、選択された特性の測定値を監視し表示する。培養器内の選択された特性は、温度及びpHであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養に関し、より詳細には細胞培養時の状態を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
人工授精細胞培養の様な細胞培養を行う場合は、健康な細胞の成長を保証するため環境を調整することが重要である。重要な二大パラメータは培養媒体の温度とpHである。本発明を、上記二大パラメータを監視することに関連付けて論じてゆくが、本発明はその様に限定されるものではなく、他の関連パラメータの監視にも適用することができる。
【0003】
温度は、培養サイクルの間、培養器を用いて維持し調整される。しかしながら、培養容器は、様々な段階で、観察や媒体交換などのために培養器から取り出され、この間、容器が曝される温度変化は、通常、監視されていない。温度が特定の範囲を逸脱すれば、細胞に有害な結果の生じる恐れがある。pHの場合も同様であり、媒体に添加されたフェノールレッドの様な目で確認できる指示薬を使用している場合以外、変化は殆ど監視されていない。とはいえ、要求されている最適pH範囲は極めて狭いために、色の変化を裸眼で捉えるのは困難なこともある。
【0004】
培養器内のpHは、しばしば二酸化炭素ガスを用いて調整されるが、現在のところ、媒体のpHを監視するフィードバックシステムは存在していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
pH及び温度の記録を提供し、細胞培養サイクル全期間を通して監査履歴を提供し、温度又はpH何れかが規定範囲を逸脱した場合に警報を出すことが、本発明の1つの態様である。
【0006】
1つの形態では、従って、本発明は、培養器内の選択された特性を測定するための少なくとも1つの読み取り器ユニットと、選択された特性の測定値を培養器の外側又は内側の何れに在ってもよいがデータ自動記録装置へ搬送するための受信機/送信機機構と、選択された特性の測定値を監視し表示するための監視表示システムとを備えている、培養状態監視装置に在ると言える。
【0007】
培養器内の選択された特性は、温度とpH何れか又は両方であるのが望ましい。
【0008】
1つの実施形態では、培養器には、複数の培養容器が入っていてもよく、各培養容器は読み取り器ユニットを含んでいてもよい。
【0009】
各読み取り器ユニットは、培養容器が培養器の内側に置かれているとき、及び容器が培養器の外側に置かれているときにも、測定値をデータ自動記録装置に送信するために、無線送信手段を含んでいてもよい。培養器の外側に在るという状態は、光又は周辺光の変化を捉える光検出器により判定してもよい。
【0010】
各読み取り器ユニットは、培養容器及び培養容器と同じ媒体を入れた別体のキュベットを把持し保持するため把持装置を備えており、選択された特性の測定はこのキュベットで行われるのが望ましい。培養容器とキュベットは共に同じ環境に置かれているので、キュベット内の状態を測定することは、培養容器の中に直接プローブを差し込む必要無しに、培養容器内の状態を測定することに等しい。
【0011】
各培養容器は、温度を読み取るためのサーモカプルを含んでいるのが望ましい。
【0012】
監視表示システムは、測定された特性が選択された範囲の外側にあるときに警報を発する警報システムを含んでいるのが望ましく、この警報としては、可聴、可視、又はその他の何らかの適した手段又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0013】
読み取り器は、pH指示薬の色を読み取ることによりpHを測定する光学機器を含んでいてもよく、指示薬は、溶液に溶けていてもよいし、適した表面上に固定されていてもよい。1つの実施形態では、読み取り器は、3つの波長での測定を利用しており、その内2つは、指示薬の酸と塩基の形態によるかなりの吸光性を呈するものであり、第3の波長は、指示薬の何れの形態にも殆ど吸光性を示さず、ゼロレベルでのオフセットの補正に使用することができる。温度測定を使って温度の影響を考慮に入れるため、追加のゼロ点補正を適用してもよい。
【0014】
培養器内の受信機/送信機は、選択された特性の測定値を無線で又は配線によりデータ自動記録装置に送信することができる。
【0015】
別の形態では、本発明は、培養状態の監査履歴及び/又は制御フィードバックを提供するために、細胞培養のための温度及びpH記録システムを備えており、この記録システムは、培養器内の培養媒体に付帯するpHと温度を測定するための少なくとも1つの読み取り器ユニットと、監査履歴を提供するために測定されたpHと温度を記録し保存するデータ自動記録装置と、温度又はpHが規定範囲を逸脱する場合の警報システムと、を備えている。
【0016】
pHは、光学的なpH測定法を使用して測定されるのが望ましく、この方法は、フェノールレッドの様な着色pH指示薬(指示薬は、溶液に溶けていてもよいし、適した表面上に固定されていてもよい)を使用する段階と、3つ又はそれ以上の波長を使用する段階であって、その内の2つ又はそれ以上は、指示薬の酸と塩基の形態の比率からpHを導出するのに使用され、従って実質的に、含まれている指示薬の量には無関係であり、1つ又はそれ以上の波長は、指示薬の何れの形態によっても吸光性が殆どなく、ゼロ点状態でのオフセット変化を追跡し補正するのに使用される、3つ又はそれ以上の波長を使用する段階と、ゼロ点の較正係数を波長それぞれの温度の関数として求める段階と、ゼロ点補正を温度測定と共に適用する段階とを含んでおり、これにより、ゼロ点の温度補正とオフセット補正を組み合わせることで、毎回測定前に溶液のゼロ読み取りを行う必要が無くなる。
【0017】
各測定ユニットは、容器が何処に置かれていようと、その容器に付帯する変化を監視するために、特別な培養容器に取り付けられ(又は容器内に置かれ)ているのが望ましい。
【0018】
測定ユニットはデータを無線で送信するのが望ましい。従って、コンセプトは、培養器の内側のpHと温度の状態を監視するのに使用することができ、且つ、培養器の外側で培養容器と共に移動させることができる、小型ユニットを製作することであることが分かるであろう。培養器の内側の監視は、制御システムに対するフィードバックとしても使用することができる。
【0019】
同ユニットは、培養容器自体の内側に収まるほど小さいのが理想ではあるが、微小液滴(又は、例えば、Nunc4ウェル皿のウェル)の内側に収まるほど小さいユニットは、現時点で既製部品を使用した場合、現実的ではない。想定されるユニットは、30mm平方に近いものを考えているが、説明している原理は、将来、技術が進歩すれば微少な規模で実施することもできるようになるであろう。
【0020】
次に最も良いオプションは、培養皿と同じ溶液が入ってはいるが皿の外部に置かれているキュベットを監視するユニットを有することである。pHは、光学的に測定することができ、光学的な方法には大きなドリフトに煩わされないという利点がある。従来のpHプローブは、頻繁な再較正を要し、ドリフトする傾向があり、特に、タンパク質の様な複合物を含んでいる溶液ではそうであった。フェノールレッド指示薬は、要求されているpH範囲を監視するのに使用できる1つのpH指示薬である。
【0021】
従って、別の形態では、本発明は、読み取り器本体、キュベットを受けるための読み取り器本体の陥凹部、陥凹部を通して光を送るためのLED、陥凹部を通過した光を受けるためのLED受光器、温度を測定するためのサーモカプル、LED受光器とサーモカプルからの信号を受信し送信するための電子回路、を備えている培養状態監視読み取り器ユニットを備えている。
【0022】
読み取り器ユニットは、培養容器を読み取り器ユニットに把持及び保持するために把持部を更に含んでいるのが望ましい。
【0023】
光を送るためのLED配列は、望ましくは、3つ又はそれ以上の波長を提供する少なくとも3つのLEDを備えており、波長の内の少なくとも2つは、色指示薬の酸と塩基の形態の比率からpHを導出するのに使用され、1つの波長は、ゼロ点状態でのオフセット変化を追跡し補正するのに使用され、また、陥凹部を通過した光を受けるためのLED受光器配列は、LED配列の各周波数毎に受光器を備えているのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面は本発明を概括的に説明するものであるが、理解を支援するために、これより添付図面を参照していく。
【0025】
図1に示す本発明の或る好適な実施形態は、培養皿6が載置されたトレイ4を有する培養器2を備えている。フラスコの様な他の培養容器を使用してもよい。また、培養器は、どの様な大きさ又は構造のものでもよい。各培養皿には、媒体のキュベット8と関係付けられたpHセンサ及び温度センサが付帯している。センサは、光センサ及びサーモカプルを培養皿の中へと向ける必要無しに、キュベット内の媒体のpHと温度、従って培養皿内の媒体のpHと温度、の測定を行う。以下、それらユニットを「読み取り器ユニット」と称する。この好適な実施形態では、それら読み取り器ユニットは、発光ダイオード(LED)を光源として使用して光学的にpH測定を行い、サーモカプルを使用して温度測定を行う。
【0026】
読み取り器ユニットの或る好適な実施形態は、洗浄し滅菌することのできる適したプラスチックで作られているパッケージングで、中身がこぼれないように完全密封されたユニットを備えている。大型の皿又はフラスコを使用した他の細胞培養を行う場合には、監視対象の実際の溶液中にユニットを浸すこともできる。その場合、フェノールレッドが溶液に溶かされていない場合には、固定表示器付オプトードを使用してもよい。読み取り器ユニットは、再充電式でも、十分長期に亘って持続性があるか又は交換可能な電池を有していても、何れでもよい。
【0027】
読み取り器ユニット10は、スレーブ受信機/送信機ユニット12に対する無線通信能力を有している。スレーブ受信機/送信機ユニット12は、読み取り器ユニットからのデータを記録するデータ自動記録装置14に無線接続されている。データ自動記録装置14は、温度及びpHの詳細を表示し保存するコンピュータシステム16に対するダウンロード能力を有している。或いは、スレーブ受信機/送信機ユニット12は、データ自動記録装置14に配線接続されていてもよい。
【0028】
出来上がったシステムは、モジュール式であり拡張可能である。中央データ自動記録装置は、データの保管庫であり、複数の読み取り器からのデータストリームを収納することができる。データはPCにダウンロードすることができ、データをダウンロードし提示するのに適したソフトウェアがシステムの一部を形成している。読み取り器ユニットは、培養器の状態を監視しフィードバックを制御するのに使用できるが、培養容器毎に読み取り器を使用すると、個々の培養容器の履歴を追跡できるようになる。検査や媒体交換などのために容器を培養器の外に出したとき、温度及びpHの変動を最も受け易いので、このときが、状況を監視するのに本当に重要な時間である。その様な状況では、読み取り器ユニット10aは無線で直接データ自動記録装置14に送信することができる。
【0029】
培養サイクルの大部分は金属被覆された培養器の内側で経過するので、それらの期間中にユニットからの無線信号を受信するために、スレーブ受信機/送信機を培養器の内側又は外側に置くことができると考えられる。このユニットは、培養器の外側に置かれているメイン自動記録装置ユニットに接続することができ、無線接続でも配線接続でもよい。代わりに、読み取り器ユニットは、データ自動記録装置に配線接続してもよいし、データ自動記録装置が、培養器に挿入されるアンテナを有していてもよい(これにより、スレーブ受信機/送信機ユニットが不要になる)。しかしながら、上記好適な実施形態は、中央データ自動記録装置が複数の培養器(及びその中の複数の皿)からデータを受け取る実施形態なので、培養器毎にスレーブ受信機/送信機ユニットを持たせることによって、より柔軟に対応できるようになる。培養器が、無線信号を通す材料で被覆されている場合は、受信機/送信機も直接自動記録装置ユニットに送信することができる。
【0030】
従って、培養皿6aが培養器2の外側にあるとき、読み取り器ユニット10aは直接データ自動記録装置14に送信することができる。
【0031】
読み取り器ユニットを、個々の容器の履歴を監視するのに使用している場合、読み取り器ユニットは当該容器に付帯させておく必要があり、その場合は、容器と読み取り器ユニットを一緒にあちこち運ぶことができるように、両者を保持するホルダを使用することができる。
【0032】
好適な実施形態では、読み取り器ユニットはデータを無線で送信する。一方、培養器の内側では、データはスレーブユニットによって受信されることになる。メイン自動記録装置ユニットもデータストリームを探しており、ユニットが培養器の外側にあるときは、スレーブユニットが培養器の金属被覆を通して信号を受信することはないので、メイン自動記録装置ユニットがこのデータストリームを受信する。代わりに、スレーブ受信機/送信機ユニットは、培養器の外側に設置して、アンテナを培養器の内側と外側に設置し、常に信号を受信するようにしてもよい。電力を節約するため、読み取り器ユニットは、培養器内にある間は、データを継続的に送信するのではなく所定の時間間隔で送信してもよい。読み取り器ユニットが一旦培養器の外に出されると、この時は、より急激に変化が起き易いので、読み取り器はより頻繁に送信することができる。読み取り器に培養器の外側にいることを知らせる1つの方法は、フォトダイオードを使用して、周辺光の変化を探ることである。培養器の内側は一般に暗いものである。読み取り器ユニットは、pH又は温度が許容範囲から逸脱し始めると、容器を培養器内に戻すべきであることを警告する警告表示部を更に有することになる。サイクルが完了し及び/又は皿が長期間外に出されたままになると、ユニットはより緩慢なサンプリングの期間に戻ってもよい。
【0033】
〔pH測定原理〕
好適な実施形態では、読み取り器は、光学的測定に3つの波長を使用する(3つより多くを使用してもよい)。それら波長の内の2つは、指示薬の酸と塩基の形態の濃度の比率からpHを求めるのに使用されることになる。これは、指示薬の酸と塩基の形態の吸光係数を使用し、2つの波長の吸光の連立方程式を解くことにより求められる。比率を利用することで、測定を、キュベットに添加された指示薬の実際の量に比較的左右されないものにすることができる。装置は、可能な限り低コストにすべきなので、自動ゼロ化の方法を組み込むことが本発明の別の態様である。通常、光学的測定では、試料を測定する前に、試料を空にした状態でゼロレベル測定を行う。空の吸光レベルを、試料の読み取り値から減算すると、試料の正味吸光度が出る。この装置では、第3の波長は、指示薬による吸光性を殆ど示さないように選定され、ゼロレベルの変化を追跡する手段として利用されている。この波長チャネルの吸光レベルに変化があれば、ゼロレベルに変化があったことを示しており、測定に使用される他の2つの波長は、この第3の波長で測定された変化に基づいてゼロ補正することができる。これにより、例えば、異なる壁厚キュベット又は溶液からキュベットの壁の上へ沈積した被覆に起因する、オフセットにより生じる変動が補正されることになる。
【0034】
ゼロレベルに影響を及ぼすもう1つの要因は、LEDの温度である。実験は、3つの波長の強度が温度によって変化し、しかも同一絶対量で変化するわけではないことを示している。装置の単純な工場較正は、異なる波長のLEDの間の関係に対する係数を提供している。第3の波長の吸光度レベルに何らかの変化があれは、それは(先に述べたように)オフセットの影響と温度ドリフトに起因することになる。測定された温度を使って熱ドリフト成分を計算することができ、第3の波長のゼロレベルでの変化の残りは、全てオフセットの影響によることになる。次いで、オフセットと温度ドリフトの補正を求め、pHを求めるのに使用される他の2つの波長に適用することができる。
【0035】
図2は、本発明による読み取り器ユニットの1つの実施形態を示している。読み取り器ユニット20は、読み取り器本体21と、培養容器24を受けて保持するための把持部22とを有している。把持部は、培養容器を把持し担持できるどの様な好都合な大きさであってもよい。例えば、把持部は、シリコンエラストマーで形成され、35mm培養皿を把持し保持できる大きさに作られている。これは、培養皿を読み取り器ユニットと共に移送できるようにし、培養器の外側でも監視作業を続行できるようにする。
【0036】
読み取り器本体21は、上で述べたように培養皿の中ものと同じ流体の試料を担持するキュベット28のための陥凹部26を含んでいる。
【0037】
図3に示すように、読み取り器本体内には、上で述べたように異なる周波数の3つ又はそれ以上のLEDから成るLED光源配列30が、光がスロット26を横切りLED受光部アッセンブリ36に進むように、光導部32に向けられている。LED受光部アッセンブリ36は、LED光源配列の各周波数毎に受光器を含んでいる。電子回路38は、様々な読み取り値を処理し、電池39(電子回路の下にあり点線で図示)は、読み取り器ユニットを内蔵型にしている。光源30に隣接して、送光中のLEDアッセンブリ30のドリフトを測定し補正する第2LED受光器40が設けられている。電子回路に付帯している空中線42は、読み取り値を、培養器内のデータ自動記録装置又は培養器外側の監視装置に送る。読み取り器ユニットは、更に、温度を測定するためサーモカプル44を含んでおり、電子回路38は、pHデータの他に温度データも送信することができる。
【0038】
図2及び図3に示す読み取り器ユニットの或るバージョンは、把持部無しに供給してもよい。その様な装置は、培養器室全体を監視するのに使用することができ、警告装置として機能し、pH又は温度が所定の限界を外れると警報を発する。
【0039】
本明細書全体を通して、本発明の範囲に関して様々な指摘を与えてきたが、本発明はそれらの何れにも限定されず、それらの内の2つ又はそれ以上を一体に組み合わせたものに存在することができる。事例は、限定ではなく説明のみを目的に与えられている。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、文脈から必然的である場合を除き、「備える」及び「含む」という語、並びに「備えている」及び「含んでいる」の様な派生形は、明言された完全体及び完全体の群を包含していることを示唆しており、その他の完全体又は完全体の群を除外するという意味ではないものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の1つの実施形態の概略図を示している。
【図2】本発明の読み取り器ユニットの1つの実施形態の斜視図を示している。
【図3】図2の読み取り器ユニットの破断図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養状態監視装置において、培養器内の選択された特性を測定するための少なくとも1つの読み取り器ユニットと、前記選択された特性の測定値を前記培養器の外側のデータ自動記録装置に搬送するための受信機/送信機機構と、前記選択された特性の前記測定値を監視し表示するための監視表示システムと、を備えている、培養状態監視装置。
【請求項2】
前記培養器内の前記選択された特性は、温度とpHである、請求項1に記載の培養状態監視装置。
【請求項3】
前記培養器には、複数の培養容器が入っており、各培養容器は読み取り器ユニットを含んでいる、請求項1に記載の培養状態監視装置。
【請求項4】
各読み取り器ユニットは、前記培養容器及び前記培養容器と同じ媒体が入っている別体のキュベットを把持し保持するための把持装置を備えており、前記選択された特性の測定は前記キュベット内で行われる、請求項3に記載の培養状態監視装置。
【請求項5】
各読み取り器ユニットは、前記培養容器が培養器の内側に置かれているとき、及び前記容器が前記培養器の外側に置かれているときにも、前記測定値をデータ自動記録装置に送信するため、無線送信手段を含んでいる、請求項3に記載の培養状態監視装置。
【請求項6】
前記培養器の外側に在るという状態は、光を示す装置により判定される、請求項5に記載の培養状態監視装置。
【請求項7】
前記監視表示システムは、前記測定された特性が選択された範囲の外側にあるときに警報を発する警報システムを含んでおり、前記警報は、可聴、可視、又は何らかの他の適した手段又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の培養状態監視装置。
【請求項8】
前記読み取り器ユニットは、溶液に溶けているか適した表面に固定されているpH指示薬の色を読み取ることによりpHを測定するため、光学的手段を含んでいる、請求項3に記載の培養状態監視装置。
【請求項9】
前記光学的手段は、3つ又はそれ以上の波長での測定を備えており、その内の2つ又はそれ以上は前記指示薬の酸及び塩基の形態の濃度からpHを求めるために使用され、その内の1つ又はそれ以上は、ゼロ点のオフセットを求めるために使用され、それにより、全ての波長の前記ゼロレベルに補正を適用できるようにしている、請求項8に記載の培養状態監視装置。
【請求項10】
前記光学的手段は、3つ又はそれ以上の波長での測定を備えており、前記温度測定は、温度効果に関するゼロ点補正を適用するために使用される、請求項8に記載の培養状態監視装置。
【請求項11】
前記選択された特性の測定値を無線で前記データ自動記録装置に送信するために、前記培養器の中又は外側に受信機/送信機を更に含んでいる、請求項1に記載の培養状態監視装置。
【請求項12】
前記選択された特性の測定値を配線により前記データ自動記録装置に送信するために、前記培養器内に受信機/送信機を更に含んでいる、請求項1に記載の培養状態監視装置。
【請求項13】
培養状態の監査履歴及び/又は制御フィードバックを提供する、細胞培養のための温度及びpH記録システムにおいて、培養器内の培養媒体に付帯するpHと温度を測定するための少なくとも1つの読み取り器ユニットと、監査履歴を提供するために前記測定されたpHと温度を記録し保存するデータ自動記録装置と、温度又はpHが規定範囲の外側に出る場合の警報システムと、を備えている、温度及びpH記録システム。
【請求項14】
前記pHは、光学的なpH測定法を使用して測定され、前記光学的方法は、着色pH指示薬を使用する段階と、3つ又はそれ以上の波長を使用する段階であって、その内の2つ又はそれ以上は、前記指示薬の酸と塩基の形態の比率からpHを導出するのに使用され、従って実質的に、含まれている指示薬の量には無関係であり、1つ又はそれ以上の波長は、前記指示薬の何れの形態に対しても吸光性が殆どなく、ゼロ点状態のオフセット変化を追跡し補正するのに使用される、3つ又はそれ以上の波長を使用する段階と、ゼロ点の較正係数を前記波長それぞれの温度の関数として求める段階と、ゼロ点補正を前記温度測定と共に適用する段階と、から成り、前記ゼロ点の温度補正とオフセット補正の組み合わせは、毎回測定前に溶液のゼロ読み取りを行う必要が無いことを意味している、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項15】
前記温度は、サーモカプルを使用して測定される、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項16】
各読み取り器ユニットは、前記容器が何処に置かれていても、その容器に付帯する変化を監視するために、特定の培養容器に取り付けられるか又はその中に置かれている、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項17】
前記測定ユニットはデータを無線で送信する、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項18】
前記培養器の外側に在るという状態は、周辺光状態の増加から判定される、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項19】
複数の培養容器が、1つ又は複数の培養器内で監視される、請求項13に記載の温度及びpH記録システム。
【請求項20】
培養状態監視読み取り器ユニットにおいて、読み取り器本体と、キュベットを受けるための前記読み取り器本体の陥凹部と、前記陥凹部を通して光を送るためのLED配列と、前記陥凹部を通過した光を受けるためのLED受光器配列と、温度を測定するためのサーモカプルと、前記LED受光器と前記サーモカプルからの信号を受信し送信するための電子回路と、を備えている培養状態監視読み取り器ユニット。
【請求項21】
培養容器を把持し前記読み取り器ユニットに対して保持するための把持部を更に含んでいる、請求項20に記載の培養状態監視読み取り器ユニット。
【請求項22】
光を送るための前記LED配列は、3つ又はそれ以上の波長を提供する少なくとも3つのLEDを備えており、波長の内少なくとも2つは、着色指示薬の酸と塩基の形態の比率からpHを導出するのに使用され、1つの波長は、ゼロ点状態のオフセット変化を追跡し補正するのに使用される、請求項20に記載の培養状態監視読み取り器ユニット。
【請求項23】
前記陥凹部を通過した光を受けるための前記LED受光器配列は、前記LED配列の前記周波数の各周波数毎に受光器を備えている、請求項23に記載の培養状態監視読み取り器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−533053(P2009−533053A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505421(P2009−505421)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/008777
【国際公開番号】WO2007/120619
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(500263910)ウイリアム エー.クック オーストラリア ピティワイ、リミティド. (9)
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM A.COOK AUSTRALIA PTY.LTD.
【出願人】(505099831)クック ウロロジカル インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】COOK UROLOGICAL, INCORPORATED
【Fターム(参考)】