基地局装置、通信システム及びデータ配信方法
【課題】サービスエリア内の移動局装置にデータを配信するデータ配信システムにおいて、サービスエリアの設定処理を容易にする。
【解決手段】基地局装置3は、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して他の基地局装置3へ送信する処理と、基地局装置3が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置3の応答を検出する検出処理と、基地局装置3が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置3がカバーするセルのセル情報を、移動局装置6への配信データを基地局装置3に配信するデータ配信装置2へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行する制御部20を備える。
【解決手段】基地局装置3は、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して他の基地局装置3へ送信する処理と、基地局装置3が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置3の応答を検出する検出処理と、基地局装置3が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置3がカバーするセルのセル情報を、移動局装置6への配信データを基地局装置3に配信するデータ配信装置2へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行する制御部20を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、移動局装置に対するデータ配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設定されたサービスエリア内の移動局装置に対してデータを配信するデータ配信サービスが知られている。このようなサービスを提供するシステムとして、例えば、広告事業者が任意のゾーンを設定し、このゾーンに対して情報を指定する情報配信システムが知られている。このシステムでは、情報配信サーバ100は、ゾーン内に存在する移動体端末に対して情報を配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−135844号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300, 2010年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデータ配信システムでは、移動局装置からデータが配信されるのではなく、無線アクセスネットワークよりも上位の、コアネットワークや公衆ネットワーク等のネットワークを経由して接続されるサーバ装置からデータが配信されている。したがって、配信サービスの運営者がサービスエリアを設定する場合には、データが配信される配信エリアの画定作業をオペレータが行っており、サービスエリアの設定が煩雑であった。
【0006】
開示の装置及び方法は、サービスエリア内の移動局装置にデータを配信するデータ配信システムにおいて、サービスエリアの設定処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
装置の一観点によれば、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行する制御部を備える。
【0008】
装置の他の一観点によれば、複数の基地局装置と、データ配信装置と、複数の基地局装置及びデータ配信装置とを接続する基地局間ネットワークを含む通信システムが与えられる。基地局装置は、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、基地局間ネットワークを経由してデータ配信装置へ送信するセル情報送信処理を実行する制御部を備える。データ配信装置は、基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備える。
【0009】
方法の一観点によれば、データ配信方法が与えられる。データ配信方法は、基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本件開示の装置又は方法によれば、サービスエリア内の移動局装置にデータを配信するデータ配信システムにおけるサービスエリアの設定処理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通信システムの全体構成例を示す図である。
【図2】スレーブ基地局の配置例の説明図である。
【図3】サービスエリア構築処理の第1例及びデータ配信処理の第1例の説明図である。
【図4】基地局装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図5】マスタ基地局の構成例を示すブロック図である。
【図6】スレーブ基地局の構成例を示すブロック図である。
【図7】移動局指定情報の例を示す図である。
【図8】データ配信処理の第2例の説明図である。
【図9】サービスエリア構築処理の第2例の説明図である。
【図10】サービスエリア構築処理の第3例の説明図である。
【図11】(A)及び(B)はサービスエリア構築処理の第4例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.第1実施例>
<1.1.システム構成>
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、通信システムの全体構成例を示す図である。通信システム1は、複数の基地局装置2及び3a〜3eにより形成される基地局間ネットワークと、これら基地局装置2及び3a〜3eと無線通信を行う移動局装置5及び6a〜6cを備える。
【0013】
通信システム1において、移動局装置5の加入者はサービスエリアを設定し、このサービスエリア内に存在する移動局装置6a〜6cに情報を配信する情報配信サービスを提供する。情報配信サービスにて移動局装置6a〜6cに配信される情報には、例えば、サービスエリアに関連する情報が含まれる。このような情報は、例えばサービスエリア内の店舗等のサービス施設、イベント及び催し物に関するサービス情報でよい。サービス情報は、例えば、これらのサービス施設、イベント及び催し物に関する広告情報やクーポン情報であってよい。また、移動局装置6a〜6cに配信される情報は、必ずしもサービスエリアに関連する情報でなくともよい。以下の説明において、この情報配信サービスにて配信される情報を「配信データ」と表記することがある。
【0014】
情報配信サービスの運営者である移動局装置5の加入者は、移動局装置5から配信データを通信システム1へ送信する。通信システム1は、移動局装置5から受信した配信データを配信するための配信機能を有するマスタ基地局装置2を有する。スレーブ基地局装置3a〜3eは、管轄セル内の移動局装置5から送信される配信データを受信してマスタ基地局装置2に転送する。スレーブ基地局装置3a〜3eは、マスタ基地局装置2から配信される配信データを受信すると、サービスエリアに含まれる管轄セル内の移動局装置6a〜6cに転送する。
【0015】
なお、以下の説明及び添付する図面において「マスタ基地局装置」、「スレーブ基地局装置」、「基地局装置」及び「移動局装置」を、それぞれ「マスタ基地局」、「スレーブ基地局」、「基地局」及び「移動局」と表記することがある。また、スレーブ基地局3a〜3e、移動局6a〜6cを総称して「スレーブ基地局3」、「移動局6」と表記することがある。
【0016】
<1.2.サービスエリア構築処理>
続いて、通信システム1において配信データが配信されるサービスエリアの構築処理の第1例について説明する。図2は、基地局間ネットワークにおけるスレーブ基地局の配置例の説明図である。スレーブ基地局3xは、スレーブ基地局3a〜3cと有線通信回線で接続されている。スレーブ基地局3xとスレーブ基地局3a〜3cとの間の途中の経路には他の基地局は存在せず、スレーブ基地局3xとスレーブ基地局3a〜3cの夫々とは隣接する基地局である。
【0017】
同様に、スレーブ基地局3bは、スレーブ基地局3ba〜3bcと有線通信回線で接続され、スレーブ基地局3bとスレーブ基地局3ba〜3bcの夫々とは隣接する基地局である。また、スレーブ基地局3bbは、スレーブ基地局3bba及び3bbbと有線通信回線で接続され、スレーブ基地局3bbとスレーブ基地局3bba及びbbbの夫々とは隣接する基地局装である。このような基地局間の有線接続によって基地局間ネットワークが形成される。なお、基地局間の有線接続は、例えば、インターネットプロトコル回線や、3GPP(Third Generation Partnership Project)−LTE(Long Term Evolution)にて標準化されるX2インタフェースであってよい。
【0018】
図3は、図2に示す配置におけるサービスエリア構築処理の第1例及びデータ配信処理の第1例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションを「ステップ」と読み替えてもよい。
【0019】
オペレーションAAにおいて移動局5は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへエリア情報転送要求を送信する。エリア情報転送要求は、配信データを配信するサービスエリアの範囲を特定するための情報を、マスタ基地局2へ転送することを要求するメッセージである。エリア情報転送要求には、サービスエリアの範囲を特定するための情報が含まれている。この情報は、独立してサービスエリアの範囲の特定ができる範囲情報であってもよく、あるいは、所定の決定方法に従ってサービスエリアの範囲を定めるための基礎情報であってもよい。
【0020】
本実施例のエリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報として、隣接基地局同士の間で順次転送されるメッセージの上限ホップ数を示す情報を含む。エリア情報転送要求を移動局5から受信したスレーブ基地局3xを起点として転送されるメッセージのホップ数が上限ホップ数以下となる範囲が、サービスエリアの範囲として定められる。
【0021】
なお、本明細書において用語「ホップ数」は、隣接基地局間で転送されるメッセージが隣接基地局間で伝送された回数を示す。例えば、メッセージが、スレーブ基地局3xから隣接するスレーブ基地局3bへと送信され、スレーブ基地局3bから隣接するスレーブ基地局3bbへと送信された場合には、このメッセージのホップ数は「2」である。また、本実施例ではホップ数の上限数は「2」である場合を仮定するが、ホップ数の上限数は実施例に応じて変更してよい。
【0022】
オペレーションABにおいてスレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由してエリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。オペレーションACにおいてマスタ基地局2は、移動局5からエリア情報転送要求を受信したスレーブ基地局3xへ、基地局間ネットワークを経由してエリア構築要求を送信する。以下の説明において、エリア構築要求を受信するスレーブ基地局を「基準スレーブ基地局」と表記することがある。エリア構築要求は、基準スレーブ基地局3xに対して、エリア情報転送要求で特定されたサービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定を要求する。
【0023】
基準スレーブ基地局3xにサービスエリアの範囲を知らせるために、エリア構築要求は、サービスエリアの範囲を特定する情報を含んでいてよい。エリア情報転送要求と同様に、エリア構築要求は、独立してサービスエリアの範囲の特定ができる範囲情報を含んでもよく、あるいは、所定の決定方法に従ってサービスエリアの範囲を定めるための基礎情報を含んでもよい。本実施例のエリア構築要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報としてメッセージの上限ホップ数を含む。
【0024】
オペレーションADにおいて基準スレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由して、隣接するスレーブ基地局3a〜3cへ指定範囲情報を送信する。オペレーションAEにおいてスレーブ基地局3bは、基地局間ネットワークを経由して、隣接するスレーブ基地局3ba〜3bcへ指定範囲情報を転送する。このように指定範囲情報は、基準スレーブ基地局3xを起点として基地局間ネットワーク上の隣接する基地局同士の間で転送される。
【0025】
指定範囲情報は、サービスエリアの範囲を指定する指定範囲を示す情報である。ある実施例では、指定範囲情報は、基準スレーブ基地局3xの位置を基準位置とするサービスエリアの範囲を指定してよい。本実施例の指定範囲情報は、基地局同士の間で転送される指定範囲情報のホップ数を示すホップ数情報を含む。本実施例のホップ数情報は、エリア情報転送要求に含まれていた上限ホップ数から、各基地局で転送された指定範囲情報のホップ数を減算した値であってよい。指定範囲情報を送信する基地局は、ホップ数情報を1ずつ減じる。
【0026】
したがって、オペレーションADにおいて基準スレーブ基地局3xが隣接するスレーブ基地局3a〜3cへ送信する時点のホップ数情報の値は「1」である。オペレーションAEにおいてスレーブ基地局3bが隣接するスレーブ基地局3ba〜3bcへ送信する時点のホップ数情報の値は「0」である。
【0027】
指定範囲情報を受信するスレーブ基地局3bbは、ホップ数情報の値が「0」であるため、指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数に達したことを検出する。指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数に達した場合に、スレーブ基地局3bbは隣接するスレーブ基地局3bba及び3bbbへ指定範囲情報を転送しない。
【0028】
そしてスレーブ基地局3bbは、オペレーションAFにおいてスレーブ基地局3bbに関する基地局情報を含むメッセージを、指定範囲情報に対する応答として隣接スレーブ基地局3bへ送信する。この応答は、基地局間ネットワークを経由して伝送される。基地局情報は、スレーブ基地局3bbの識別情報や、スレーブ基地局3bbがカバーするセルの識別情報を含んでいてよい。
【0029】
スレーブ基地局3bbから応答を受信したスレーブ基地局3bは、オペレーションAGにおいて、指定範囲情報に対する応答として、スレーブ基地局3bb及びスレーブ基地局3bの基地局情報を含むメッセージを、隣接する基準スレーブ基地局3xへ送信する。スレーブ基地局3a及び3cも同様に、指定範囲情報に対する応答として、夫々の基地局情報を含むメッセージを、基準スレーブ基地局3xへ送信する。これらの応答も、基地局間ネットワークを経由して伝送される。
【0030】
スレーブ基地局3a〜3c及び3bbからの応答を受信した基準スレーブ基地局3xは、応答に含まれるスレーブ基地局と基準スレーブ基地局3xの基地局情報のリストを生成する。以下の説明において、この基地局情報のリストを「エリアリスト」と表記する。エリアリストは、指定範囲情報が届いたスレーブ基地局の基地局情報のリストであって、指定範囲情報が届いた基地局がカバーするセルの範囲を、サービスエリアの範囲として定める。
【0031】
オペレーションAHにおいて基準スレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由してエリア構築完了通知をマスタ基地局2へ送信する。エリア構築完了通知は、サービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定が完了した旨の通知であり、エリアリストを含む。エリア構築完了通知を受信したマスタ基地局2は、エリアリストを保存する。
【0032】
なお、上記の実施例では、ホップ数情報として、指定範囲情報のホップ数をホップ数の上限数から減算した値を使用した。他の実施例の指定範囲情報は、上限ホップ数と、ホップ数自身を示すホップ数情報含んでもよい。指定範囲情報を送信する基地局はホップ数情報の値を1つ増加させ、指定範囲情報を受信する基地局3は、ホップ数情報が示す値と上限ホップ数とを比較することにより指定範囲情報のホップ数が上限数に達したことを検出する。
【0033】
<1.3.データ配信処理>
続いて、図3を参照して配信データの配信時における処理を説明する。オペレーションAIにおいてマスタ基地局2は、基地局間ネットワークを経由して、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへ配信データ送信要求を送信する。配信データ送信要求は、移動局5に対して配信データの送信を要求するメッセージである。スレーブ基地局3xは、配信データ送信要求を移動局5へ転送する。
【0034】
オペレーションAJにおいて移動局5は、配信データを送信する。配信データを受信したスレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由して配信データをマスタ基地局2へ転送する。オペレーションAKにおいてマスタ基地局2は、受信した配信データを記憶装置に格納する。
【0035】
オペレーションALにおいてマスタ基地局2は、基地局間ネットワークを経由してエリアリストに含まれるスレーブ基地局3へ配信データを配信する。配信データを受信したスレーブ基地局3は、それぞれがカバーするセル内に存在する移動局6に配信データを配信する。
【0036】
<1.4.ハードウエア構成>
続いて、基地局のハードウエア構成を説明する。図4は、マスタ基地局2のハードウエア構成の一例を示す図である。マスタ基地局2は、制御回路10と、ベースバンド処理回路11と、無線インタフェース回路12と、伝送路インタフェース13と、サーバインタフェース14と、レイヤ2スイッチ15を備える。添付する図面においてレイヤ2スイッチを「L2SW」と表記する。
【0037】
制御回路10は、マスタ基地局2の全体の動作を制御する回路であり、CPU(Central Processing Unit)20及びメモリ21を備える。CPU20は、メモリ21に格納されるコンピュータプログラムを実行することにより、以下に説明する各種処理を行う。ベースバンド処理回路11は、移動局装置5との間で送受信される信号のベースバンド処理を実行する。ベースバンド処理回路11は、DSP(Digital Signal Processor)22と、DSP22によって実行されるファームウエアが格納されるメモリ23を備える。
【0038】
無線インタフェース回路12は、マスタ基地局2と移動局5や移動局6との間の無線通信のためのインタフェース回路である。伝送路インタフェース13は、マスタ基地局2が基地局間ネットワークを経由する他の基地局との通信や、その他の回線を経由する上位ノードとの通信のための通信インタフェース回路である。サーバインタフェース14は、移動局5から取得した配信データ31や、基準スレーブ基地局3xから受信したエリアリスト32を保持するサーバ装置30との間で通信を行うための通信インタフェース回路である。レイヤ2スイッチ15は、制御回路10と、ベースバンド処理回路11と、無線インタフェース回路12と、伝送路インタフェース13と、サーバインタフェース14に接続され、これらの回路の間で送受されるレイヤ2信号の交換処理を行う。
【0039】
なお、スレーブ基地局3もマスタ基地局2と同様のハードウエア構成を有していてよい。本実施例では、スレーブ基地局3のサーバインタフェースを省略してよい。
【0040】
<1.5.マスタ基地局のブロック図>
続いて、マスタ基地局2の構成要素及び各構成要素の機能を説明する。図5は、マスタ基地局2の構成例を示すブロック図である。マスタ基地局2は、ベースバンド処理部40と、制御処理部50を備える。メモリ23に格納されるファームウエアをDSP22が実行することによって、ベースバンド処理部40により行われる処理が実行される。また、メモリ21に格納されるコンピュータプログラムをCPU20が実行することによって、制御処理部50により行われる処理が実行される。なお図5は、以下の説明に関係する機能を中心として示している。このため、マスタ基地局2は図示の構成要素以外の他の構成要素を含んでいてよい。
【0041】
ベースバンド処理部40は、トラヒック管理部41と、トラヒック転送部42と、監視部43と、秘匿処理部44と、MAC処理部45と、同期処理部46と、ページング処理部47と、ユニット間通信部48を備える。トラヒック管理部41は、移動局5や6との間でトラヒックを伝送する通信ベアラを管理する。トラヒック転送部42は、移動局5や6との間のトラヒックの転送処理を行う。監視部43は、トラヒックの状態やマスタ基地局2がカバーするセルの状態を監視する。
【0042】
秘匿処理部44、MAC処理部45及び同期処理部46は、それぞれ移動局5や6とマスタ基地局2との間の無線通信の秘匿処理、媒体アクセス制御処理及び同期処理を行う。ページング処理部47は、セル内の移動局5や6に着信があった場合の呼び出し処理を行う。ユニット間通信部48は、ベースバンド処理部40と制御処理部50との間の通信処理を行う。
【0043】
制御処理部50は、メッセージ処理部51と、呼処理部52と、リソース管理部53と、接続制御部54と、隣接基地局管理部55と、ハンドオーバ制御部56と、測定部57と、装置監視部58と、ユニット間通信部59を備える。また、制御処理部50は、エリア構築処理部60と、配信データ処理部61を備える。
【0044】
メッセージ処理部51は、他の基地局や上位ノードとの間のメッセージの送受信処理や及びプロトコル処理を行う。また、メッセージ処理部51は、受信したメッセージが、制御処理部50の構成要素52〜58、61及び62のいずれ宛のメッセージであるかを分析する分析処理を行う。
【0045】
呼処理部52は、マスタ基地局2を経由する呼の接続処理及び解放処理を行う。リソース管理部53は、移動局5や6との間の無線通信に割り当てる無線リソースの管理を行う。無線接続制御部54は、移動局5や6との間の接続関係の制御を行う。隣接基地局管理部55は、マスタ基地局2に隣接する基地局を記憶する。ハンドオーバ制御部56は、マスタ基地局2と隣接基地局との間の移動局5や6のハンドオーバ処理を行う。
【0046】
測定部57は、移動局5や6との間の通信品質の測定など各種測定をベースバンド処理部40に指示し、その結果の分析処理を行う。装置監視部58は、マスタ基地局2の各構成要素の状態監視処理を行う。ユニット間通信部59は、ベースバンド処理部40と制御処理部50との間の通信処理を行う。
【0047】
エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xから送信されるエリア情報転送要求が受信された時に、移動局5によりサービスエリアを設定処理が開始されたことを検出する。エリア構築処理部60は、エリア情報転送要求によって特定されるサービスエリアの範囲に基づいて、このサービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定を要求するエリア構築要求を生成する。エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xにエリア構築要求を送信する。
【0048】
エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xから送信されるエリア構築完了通知が受信された時に、サーバ装置30にアクセスし、エリア構築完了通知に含まれるエリアリストをサーバ装置30に保存する。
【0049】
配信データ処理部61は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへ配信データ送信要求を送信する。配信データ処理部61は、スレーブ基地局3xから転送される配信データが受信された時に、サーバ装置30にアクセスし、配信データをサーバ装置30に保存する。配信データ処理部61は、エリアリストに含まれる基地局へ配信データを配信する。
【0050】
<1.6.スレーブ基地局のブロック図>
続いて、スレーブ基地局3の構成要素及び各構成要素の機能を説明する。図6は、スレーブ基地局3の構成例を示すブロック図である。スレーブ基地局3は、図5に示すマスタ基地局2と同様の構成要素を備えている。図5に示す構成要素と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、同一の機能については説明を省略する。
【0051】
制御処理部50は、エリア判定処理部70と、配信データ転送部71を備える。エリア判定処理部70は、管轄セル内の移動局5から送信されるエリア情報転送要求が受信された時に、エリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。エリア判定処理部70は、マスタ基地局2から送信されたエリア構築要求が受信された場合に、エリア構築要求によって特定されるサービスエリアの範囲に基づいて、サービスエリアの範囲を指定する指定範囲情報を生成する。エリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3に指定範囲情報を送信する。
【0052】
一方、隣接するスレーブ基地局3から指定範囲情報を受信した場合に、エリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれるか否かを判断する。本実施例では、指定範囲情報のホップ数がエリア情報転送要求で指定される上限ホップ数以下である場合に、エリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれると判断し、そうでない場合には、セルが指定範囲に含まれないと判断する。本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれる場合、エリア判定処理部70は、指定範囲情報が示すホップ数を1つ増加させ、指定範囲情報を他の隣接のスレーブ基地局3へ転送する。
【0053】
指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数である場合にエリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3の基地局情報を含んだ指定範囲情報に対する応答を、指定範囲情報の送信元の隣接するスレーブ基地局3へ送信する。各スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3から送信された応答が受信された場合に、各々のスレーブ基地局3の基地局情報を応答に加えて他の隣接するスレーブ基地局3へ転送する。
【0054】
基準スレーブ装置3xのエリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3から送信された応答を受信した場合に、応答に含まれるスレーブ基地局3と基準スレーブ装置3xの基地局情報を含むエリアリストを生成する。エリア判定処理部70は、エリアリストを含んだエリア構築完了通知をマスタ基地局2へ送信する。
【0055】
移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3の配信データ転送部71は、マスタ基地局2から送信される配信データ送信要求が受信された場合に、配信データ送信要求を移動局5へ転送する。配信データ転送部71は、移動局5から送信された配信データが受信された場合に、配信データをマスタ基地局2へ転送する。マスタ基地局2から配信データの配信を受けたスレーブ基地局3の配信データ転送部71は、それぞれがカバーするセル内に存在する移動局6に配信データを配信する。
【0056】
本実施例によれば、サービスエリアの範囲の大きさを特定するエリア情報転送要求を、移動局5からスレーブ基地局3へ送信すれば、情報配信サービスのサービスエリアが設定される。このため、移動局装置にデータを配信する情報配信サービスにおけるサービスエリアを、従来よりも簡便な処理で設定することができる。
【0057】
本実施例では、サービスエリアの設定処理にて送受信されるメッセージ及び配信データは、基地局間ネットワーク及び無線接続回線、すなわち無線アクセスネットワーク内でのみ伝送される。このため、本実施例の情報配信システムは、無線アクセスネットワークよりも上位の公衆ネットワークやコアネットワークの負荷を生じさせないか、若しくは従来のシステムで生じさせる負荷よりも低減することができる。
【0058】
なお、本情報配信サービスにおいて、予め登録された移動局装置6のみが配信データを受信してもよい。例えば、移動局装置6において配信データを受信するか否かを設定し、移動局装置6で受信を選択してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0059】
他の実施例では、基準スレーブ基地局は、移動局5からエリア情報転送要求を受信するスレーブ基地局と別の基地局でもよい。この場合、エリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲内の地点の位置情報を含む。マスタ基地局2のエリア構築処理部60は、エリア情報転送要求の位置情報と、予め記憶したスレーブ基地局3の位置情報に基づいて、基準スレーブ基地局を選択してよい。この場合、移動局5は電子メールでエリア情報転送要求をマスタ基地局2に送信してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0060】
マスタ基地局2のエリア構築処理部60及び配信データ処理部61は、サーバ装置30に設けられてもよい。この場合に、スレーブ基地局3は、サーバ装置30との間で通信を行うためのサーバインタフェースを備える。サーバ装置30は、エリア情報転送要求、エリア構築要求、エリア構築完了通知、配信データ送信要求及び配信データを、スレーブ基地局3とやり取りして、サービスエリアの設定処理及び配信データの配信処理を実行してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0061】
なお、上記の実施例では、マスタ基地局2とスレーブ基地局3が分かれていたが、全ての基地局がマスタ基地局2とスレーブ基地局3の機能を備えていてもよい。この場合でも、全ての基地局がサーバ装置30とアクセスする必要はなく、いずれかの一部の基地局がサーバインタフェースを備えていればよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0062】
<2.第2実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上記の実施例では、移動局6はサービスエリア内に存在する場合に配信データを受信する。本実施例では、移動局6の加入者が、配信データの受信を所望するサービスエリアを予め登録する。移動局6がサービスエリア内に存在しなくても、移動局6に対応付けて登録されたサービスエリアに配信データを配信する時に、この移動局6へ配信データが電子メールで送信される。
【0063】
図7は、移動局6に対応付けてサービスエリアを登録する移動局指定情報の例を示す図である。マスタ基地局2は、移動局指定情報を、サーバ装置30又はマスタ基地局2内に格納してよい。移動局指定情報は、情報要素「移動局」及び「サービスエリア」を含む。情報要素「移動局」は、移動局6のメールアドレスを含む。情報要素「サービスエリア」は、配信データが配信されるサービスエリア内の基地局の基地局情報を含む。
【0064】
図8は、データ配信処理の第2例の説明図である。オペレーションBAにおいて移動局6は、移動局6の加入者が配信データの受信を所望するサービスエリアを登録するエリア登録要求を送信する。エリア登録要求は、サービスエリアの範囲に対応する地理的位置情報を含む。オペレーションBBにおいて、移動局6が存在するセルをカバーする基地局の配信データ転送部71は、エリア登録要求をマスタ基地局2に転送する。オペレーションBCにおいてマスタ基地局2の配信データ処理部61は、エリア登録要求を送信した移動局6のメールアドレスと、エリア登録要求に含まれる地理的位置情報に対応する基地局情報とを対応付ける移動局指定情報を、サーバ装置30の記憶装置に格納する。
【0065】
以下に続くオペレーションAA〜ALの処理は、図3を参照して説明した処理と同様である。オペレーションBDにおいてマスタ基地局2の配信データ処理部61は、配信データを配信する場合に、移動局指定情報により配信データの配信エリアのエリアリストに対応付けられた移動局6に対して、配信データを電子メールで送信する。
【0066】
本実施例によれば、移動局6の加入者は、配信エリアを希望するサービスエリアの範囲外にいる間も、このサービスエリアで配信される配信データを受信することができる。
【0067】
<3.第3実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上述の実施例では、スレーブ基地局3間で転送される指定範囲情報のホップ数でサービスエリアの範囲を定めた。本実施例では、指定範囲情報で指定される基準位置と各スレーブ基地局3の位置との間の距離によって、各スレーブ基地局3がサービスエリアの範囲内であるか否かを定める。
【0068】
図9は、サービスエリア構築処理の第2例の説明図である。オペレーションDAにおいて移動局5は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへエリア情報転送要求を送信する。エリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報として、サービスエリアの半径距離Rを含む。
【0069】
オペレーションDBにおいてスレーブ基地局3xのエリア判定処理部70は、基地局間ネットワークを経由してエリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。オペレーションDCにおいてマスタ基地局2のエリア構築処理部60は、移動局5からエリア情報転送要求を受信したスレーブ基地局3xへ、基地局間ネットワークを経由してエリア構築要求を送信する。エリア構築要求は、サービスエリアの半径距離Rを含んでいてよい。
【0070】
基準スレーブ基地局3xのエリア判定処理部70は、既知の基準スレーブ基地局3xの位置をサービスエリアの基準位置として決定する。エリア判定処理部70は、サービスエリアの基準位置と半径距離Rを含んだ指定範囲情報を生成する。オペレーションDDにおいてエリア判定処理部70は、基地局間ネットワークを経由して、スレーブ基地局3a〜3c、3ba〜3bc、3bba及び3bbbへ指定範囲情報をマルチキャスト送信する。本実施例では、指定範囲情報が伝送される基地局間ネットワークは、インターネットプロトコルネットワークであってよい。
【0071】
スレーブ基地局3a〜3cのエリア判定処理部70は、各々のスレーブ基地局3a〜3cの既知の位置情報に基づいて、各スレーブ基地局3a〜3cが、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置するか否かを判断する。各スレーブ基地局3a〜3cが基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置する場合、エリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3a〜3cのセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。オペレーションDEにおいてエリア判定処理部70は、基準スレーブ基地局3xへ、指定範囲情報に対する応答を送信する。
【0072】
スレーブ基地局3ba〜3bc、スレーブ基地局3bba及び3bbbのエリア判定処理部70も同様に、夫々の基地局のセルがサービスエリアの範囲内に位置するか否かを判断する。スレーブ基地局3ba〜3bcの位置が、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置する場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3ba〜3bcのセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。オペレーションDFにおいてエリア判定処理部70は、基準スレーブ基地局3xへ、指定範囲情報に対する応答を送信する。
【0073】
一方で、スレーブ基地局3bba及び3bbbの位置が、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内にない場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3bba及び3bbbのセルがサービスエリアの範囲内にないと判断する。この場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、指定範囲情報に対する応答を送信しない。
【0074】
以下に続くオペレーションAH〜AL以降の処理は、図3を参照して説明したオペレーションAH〜ALの処理と同様である。オペレーションDE及びDFの応答によって、サービスエリアの範囲を示すエリアリストは、スレーブ基地局3、3a〜3c及び3ba〜3bcの基地局情報を含む。
【0075】
なお、上記実施例では移動局5は、サービスエリアの半径距離Rをエリア情報転送要求で指定した。他の実施例では、半径距離Rはシステムで定められた所定の設定値であってもよい。この場合、エリア情報転送要求における半径距離Rの指定は不要である。
【0076】
また、上記実施例では、基準スレーブ基地局3xの位置を基準位置として定めた。他の実施例では、移動局5がエリア情報転送要求にて指定する位置を基準位置としてもよい。この場合、移動局5は電子メールでエリア情報転送要求をマスタ基地局2に送信してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0077】
本実施例によれば、サービスエリアの範囲は、基準位置と各スレーブ基地局3との間の距離によって決定される。したがって、本実施例によれば、基地局間ネットワークのトポロジに影響されずにサービスエリアを定めることが可能になる。
【0078】
<4.第4実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上述の第3実施例では、移動局6がサービスエリアの範囲内に存在しても、移動局6が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3がサービスエリアの範囲に存在しなければ、このスレーブ基地局3から配信データが配信されない。
【0079】
本実施例では、スレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能範囲がサービスエリアの範囲に届く場合には、このスレーブ基地局3から配信データを配信する。図10は、サービスエリア構築処理の第3例の説明図である。参照符号100は、基準位置を中心とする半径距離Rのサービスエリアの範囲を示す。参照符号101は、移動局6との間の通信可能距離がrcであるスレーブ基地局3の通信可能範囲を示す。通信可能範囲101はセル範囲と同じであってよい。
【0080】
スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離Dから通信可能距離rcを引いた長さが半径距離R以下である場合には、スレーブ基地局3がカバーするセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。そうでない場合にエリア判定処理部70は、スレーブ基地局3がカバーするセルがサービスエリアの範囲内に位置しないと判断する。
【0081】
本実施例によれば、スレーブ基地局3がサービスエリアの範囲外に位置していても、スレーブ基地局3がカバーするセル内に存在する移動局6へ配信データが配信されるようになる。この結果、より確実にサービスエリア内へ配信データを送信できるようになる。
【0082】
<5.第5実施例>
続いて、他の実施例について説明する。図10を参照して説明した第4実施例では、サービスエリアの範囲外に位置する移動局6であっても、スレーブ基地局3の通信可能範囲101にいる場合には配信データを受信する。本実施例のスレーブ基地局3は、スレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能範囲がサービスエリアの範囲に届かない方位に対するデータ配信を低減する。
【0083】
図11の(A)は、スレーブ基地局3の通信可能範囲101の模式図である。スレーブ基地局3の通信可能範囲101は、異なる方位の範囲を含む複数の範囲に分割される。各方位毎に、その方位におけるスレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能距離rcが予め定められ、スレーブ基地局3のメモリ21に格納される。
【0084】
図11の(B)は、サービスエリア構築処理の第4例の説明図である。スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離D、スレーブ基地局3から見た基準位置の方位を決定する。エリア判定処理部70は、決定された方位における通信可能距離rcを基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離Dから引いた長さが半径距離R以下となる方位の範囲102を決定する。エリア判定処理部70は、方位の範囲102内のセルに配信データを配信し、他の方位のセルには配信データを配信しない。
【0085】
本実施例によれば、サービスエリア範囲外に位置する移動局6へのデータ配信が低減される。その結果、スレーブ基地局3の消費電力が節約でき、またサービスエリア範囲外に位置する移動局6による無駄な受信処理を防止できる。
【0086】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基地局間ネットワークを形成する基地局装置であって、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備えることを特徴とする基地局装置。
(付記2)
前記制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記3)
前記制御部はさらに、隣接基地局装置から受信した前記指定範囲情報を他の隣接基地局装置に転送する転送処理を実行し、
前記指定範囲情報は、基地局装置間で転送されたホップ数を示し、
前記判定処理において前記制御部は、前記指定範囲情報のホップ数に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記4)
前記指定範囲情報は、前記指定範囲の基準位置の位置情報と指定範囲の半径を示す距離情報を含み、
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置の位置と前記基準位置との間の距離と指定範囲の半径に応じて、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記5)
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置と前記基準位置との間の距離から前記基地局装置と移動局装置との間の通信可能距離を減算した長さが、前記半径以下である場合に、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあると判断することを特徴とする付記4に記載の基地局装置。
(付記6)
前記判定処理において前記制御部は、方位毎に異なる通信可能距離に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記5に記載の基地局装置。
(付記7)
前記制御部は、前記基地局装置と前記基準位置との間の距離から前記基地局装置と移動局装置との間の通信可能距離を減算した長さが、前記半径以下となる方位のセルにのみ前記配信データを配信することを特徴とする付記6に記載の基地局装置。
(付記8)
前記位置情報は、前記指定範囲情報を送信する基地局装置の位置情報であることを特徴とする付記4〜7のいずれか一項に記載の基地局装置。
(付記9)
複数の基地局装置と、データ配信装置と、前記複数の基地局装置及び前記データ配信装置とを接続する基地局間ネットワークと、を含み、
前記基地局装置は、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記データ配信装置へ送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備え、
前記データ配信装置は、前記基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
(付記10)
前記基地局装置の制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする付記9に記載の通信システム。
(付記11)
前記データ配信装置の制御部は、
前記複数の基地局装置の中の第1の基地局装置が移動局装置から受信した、前記指定範囲の基準位置に関する情報を受信する処理と、
前記基準位置に対応する、前記複数の基地局装置の中の第2の基地局装置を特定する処理と、
前記第2の基地局の制御部に通知する処理と、
を実行し、
前記第2の基地局装置の制御部は、前記データ配信装置からの通知に対応して前記指定範囲送信処理を実行する付記9又は10に記載の通信システム。
(付記12)
前記データ配信装置は、
前記セルと移動局装置とを対応付ける移動局指定情報を格納する記憶部を備え、
前記セル情報が指定するセルに対して前記移動局指定情報が対応付ける移動局装置に、前記配信データを送信する付記9〜11のいずれか一項に記載の通信システム。
(付記13)
基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行させるデータ配信方法。
(付記14)
他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
をさらに前記制御部に実行させることを特徴とする付記13に記載のデータ配信方法。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
2 マスタ基地局
3、3a〜3e、3x、3ba〜3bc、3bba、3bbb スレーブ基地局
5、6、6a〜6c 移動局
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、移動局装置に対するデータ配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設定されたサービスエリア内の移動局装置に対してデータを配信するデータ配信サービスが知られている。このようなサービスを提供するシステムとして、例えば、広告事業者が任意のゾーンを設定し、このゾーンに対して情報を指定する情報配信システムが知られている。このシステムでは、情報配信サーバ100は、ゾーン内に存在する移動体端末に対して情報を配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−135844号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300, 2010年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデータ配信システムでは、移動局装置からデータが配信されるのではなく、無線アクセスネットワークよりも上位の、コアネットワークや公衆ネットワーク等のネットワークを経由して接続されるサーバ装置からデータが配信されている。したがって、配信サービスの運営者がサービスエリアを設定する場合には、データが配信される配信エリアの画定作業をオペレータが行っており、サービスエリアの設定が煩雑であった。
【0006】
開示の装置及び方法は、サービスエリア内の移動局装置にデータを配信するデータ配信システムにおいて、サービスエリアの設定処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
装置の一観点によれば、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行する制御部を備える。
【0008】
装置の他の一観点によれば、複数の基地局装置と、データ配信装置と、複数の基地局装置及びデータ配信装置とを接続する基地局間ネットワークを含む通信システムが与えられる。基地局装置は、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、基地局間ネットワークを経由してデータ配信装置へ送信するセル情報送信処理を実行する制御部を備える。データ配信装置は、基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備える。
【0009】
方法の一観点によれば、データ配信方法が与えられる。データ配信方法は、基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、指定範囲を示す指定範囲情報を、基地局間ネットワークを経由して基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本件開示の装置又は方法によれば、サービスエリア内の移動局装置にデータを配信するデータ配信システムにおけるサービスエリアの設定処理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通信システムの全体構成例を示す図である。
【図2】スレーブ基地局の配置例の説明図である。
【図3】サービスエリア構築処理の第1例及びデータ配信処理の第1例の説明図である。
【図4】基地局装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図5】マスタ基地局の構成例を示すブロック図である。
【図6】スレーブ基地局の構成例を示すブロック図である。
【図7】移動局指定情報の例を示す図である。
【図8】データ配信処理の第2例の説明図である。
【図9】サービスエリア構築処理の第2例の説明図である。
【図10】サービスエリア構築処理の第3例の説明図である。
【図11】(A)及び(B)はサービスエリア構築処理の第4例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.第1実施例>
<1.1.システム構成>
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、通信システムの全体構成例を示す図である。通信システム1は、複数の基地局装置2及び3a〜3eにより形成される基地局間ネットワークと、これら基地局装置2及び3a〜3eと無線通信を行う移動局装置5及び6a〜6cを備える。
【0013】
通信システム1において、移動局装置5の加入者はサービスエリアを設定し、このサービスエリア内に存在する移動局装置6a〜6cに情報を配信する情報配信サービスを提供する。情報配信サービスにて移動局装置6a〜6cに配信される情報には、例えば、サービスエリアに関連する情報が含まれる。このような情報は、例えばサービスエリア内の店舗等のサービス施設、イベント及び催し物に関するサービス情報でよい。サービス情報は、例えば、これらのサービス施設、イベント及び催し物に関する広告情報やクーポン情報であってよい。また、移動局装置6a〜6cに配信される情報は、必ずしもサービスエリアに関連する情報でなくともよい。以下の説明において、この情報配信サービスにて配信される情報を「配信データ」と表記することがある。
【0014】
情報配信サービスの運営者である移動局装置5の加入者は、移動局装置5から配信データを通信システム1へ送信する。通信システム1は、移動局装置5から受信した配信データを配信するための配信機能を有するマスタ基地局装置2を有する。スレーブ基地局装置3a〜3eは、管轄セル内の移動局装置5から送信される配信データを受信してマスタ基地局装置2に転送する。スレーブ基地局装置3a〜3eは、マスタ基地局装置2から配信される配信データを受信すると、サービスエリアに含まれる管轄セル内の移動局装置6a〜6cに転送する。
【0015】
なお、以下の説明及び添付する図面において「マスタ基地局装置」、「スレーブ基地局装置」、「基地局装置」及び「移動局装置」を、それぞれ「マスタ基地局」、「スレーブ基地局」、「基地局」及び「移動局」と表記することがある。また、スレーブ基地局3a〜3e、移動局6a〜6cを総称して「スレーブ基地局3」、「移動局6」と表記することがある。
【0016】
<1.2.サービスエリア構築処理>
続いて、通信システム1において配信データが配信されるサービスエリアの構築処理の第1例について説明する。図2は、基地局間ネットワークにおけるスレーブ基地局の配置例の説明図である。スレーブ基地局3xは、スレーブ基地局3a〜3cと有線通信回線で接続されている。スレーブ基地局3xとスレーブ基地局3a〜3cとの間の途中の経路には他の基地局は存在せず、スレーブ基地局3xとスレーブ基地局3a〜3cの夫々とは隣接する基地局である。
【0017】
同様に、スレーブ基地局3bは、スレーブ基地局3ba〜3bcと有線通信回線で接続され、スレーブ基地局3bとスレーブ基地局3ba〜3bcの夫々とは隣接する基地局である。また、スレーブ基地局3bbは、スレーブ基地局3bba及び3bbbと有線通信回線で接続され、スレーブ基地局3bbとスレーブ基地局3bba及びbbbの夫々とは隣接する基地局装である。このような基地局間の有線接続によって基地局間ネットワークが形成される。なお、基地局間の有線接続は、例えば、インターネットプロトコル回線や、3GPP(Third Generation Partnership Project)−LTE(Long Term Evolution)にて標準化されるX2インタフェースであってよい。
【0018】
図3は、図2に示す配置におけるサービスエリア構築処理の第1例及びデータ配信処理の第1例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションを「ステップ」と読み替えてもよい。
【0019】
オペレーションAAにおいて移動局5は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへエリア情報転送要求を送信する。エリア情報転送要求は、配信データを配信するサービスエリアの範囲を特定するための情報を、マスタ基地局2へ転送することを要求するメッセージである。エリア情報転送要求には、サービスエリアの範囲を特定するための情報が含まれている。この情報は、独立してサービスエリアの範囲の特定ができる範囲情報であってもよく、あるいは、所定の決定方法に従ってサービスエリアの範囲を定めるための基礎情報であってもよい。
【0020】
本実施例のエリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報として、隣接基地局同士の間で順次転送されるメッセージの上限ホップ数を示す情報を含む。エリア情報転送要求を移動局5から受信したスレーブ基地局3xを起点として転送されるメッセージのホップ数が上限ホップ数以下となる範囲が、サービスエリアの範囲として定められる。
【0021】
なお、本明細書において用語「ホップ数」は、隣接基地局間で転送されるメッセージが隣接基地局間で伝送された回数を示す。例えば、メッセージが、スレーブ基地局3xから隣接するスレーブ基地局3bへと送信され、スレーブ基地局3bから隣接するスレーブ基地局3bbへと送信された場合には、このメッセージのホップ数は「2」である。また、本実施例ではホップ数の上限数は「2」である場合を仮定するが、ホップ数の上限数は実施例に応じて変更してよい。
【0022】
オペレーションABにおいてスレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由してエリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。オペレーションACにおいてマスタ基地局2は、移動局5からエリア情報転送要求を受信したスレーブ基地局3xへ、基地局間ネットワークを経由してエリア構築要求を送信する。以下の説明において、エリア構築要求を受信するスレーブ基地局を「基準スレーブ基地局」と表記することがある。エリア構築要求は、基準スレーブ基地局3xに対して、エリア情報転送要求で特定されたサービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定を要求する。
【0023】
基準スレーブ基地局3xにサービスエリアの範囲を知らせるために、エリア構築要求は、サービスエリアの範囲を特定する情報を含んでいてよい。エリア情報転送要求と同様に、エリア構築要求は、独立してサービスエリアの範囲の特定ができる範囲情報を含んでもよく、あるいは、所定の決定方法に従ってサービスエリアの範囲を定めるための基礎情報を含んでもよい。本実施例のエリア構築要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報としてメッセージの上限ホップ数を含む。
【0024】
オペレーションADにおいて基準スレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由して、隣接するスレーブ基地局3a〜3cへ指定範囲情報を送信する。オペレーションAEにおいてスレーブ基地局3bは、基地局間ネットワークを経由して、隣接するスレーブ基地局3ba〜3bcへ指定範囲情報を転送する。このように指定範囲情報は、基準スレーブ基地局3xを起点として基地局間ネットワーク上の隣接する基地局同士の間で転送される。
【0025】
指定範囲情報は、サービスエリアの範囲を指定する指定範囲を示す情報である。ある実施例では、指定範囲情報は、基準スレーブ基地局3xの位置を基準位置とするサービスエリアの範囲を指定してよい。本実施例の指定範囲情報は、基地局同士の間で転送される指定範囲情報のホップ数を示すホップ数情報を含む。本実施例のホップ数情報は、エリア情報転送要求に含まれていた上限ホップ数から、各基地局で転送された指定範囲情報のホップ数を減算した値であってよい。指定範囲情報を送信する基地局は、ホップ数情報を1ずつ減じる。
【0026】
したがって、オペレーションADにおいて基準スレーブ基地局3xが隣接するスレーブ基地局3a〜3cへ送信する時点のホップ数情報の値は「1」である。オペレーションAEにおいてスレーブ基地局3bが隣接するスレーブ基地局3ba〜3bcへ送信する時点のホップ数情報の値は「0」である。
【0027】
指定範囲情報を受信するスレーブ基地局3bbは、ホップ数情報の値が「0」であるため、指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数に達したことを検出する。指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数に達した場合に、スレーブ基地局3bbは隣接するスレーブ基地局3bba及び3bbbへ指定範囲情報を転送しない。
【0028】
そしてスレーブ基地局3bbは、オペレーションAFにおいてスレーブ基地局3bbに関する基地局情報を含むメッセージを、指定範囲情報に対する応答として隣接スレーブ基地局3bへ送信する。この応答は、基地局間ネットワークを経由して伝送される。基地局情報は、スレーブ基地局3bbの識別情報や、スレーブ基地局3bbがカバーするセルの識別情報を含んでいてよい。
【0029】
スレーブ基地局3bbから応答を受信したスレーブ基地局3bは、オペレーションAGにおいて、指定範囲情報に対する応答として、スレーブ基地局3bb及びスレーブ基地局3bの基地局情報を含むメッセージを、隣接する基準スレーブ基地局3xへ送信する。スレーブ基地局3a及び3cも同様に、指定範囲情報に対する応答として、夫々の基地局情報を含むメッセージを、基準スレーブ基地局3xへ送信する。これらの応答も、基地局間ネットワークを経由して伝送される。
【0030】
スレーブ基地局3a〜3c及び3bbからの応答を受信した基準スレーブ基地局3xは、応答に含まれるスレーブ基地局と基準スレーブ基地局3xの基地局情報のリストを生成する。以下の説明において、この基地局情報のリストを「エリアリスト」と表記する。エリアリストは、指定範囲情報が届いたスレーブ基地局の基地局情報のリストであって、指定範囲情報が届いた基地局がカバーするセルの範囲を、サービスエリアの範囲として定める。
【0031】
オペレーションAHにおいて基準スレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由してエリア構築完了通知をマスタ基地局2へ送信する。エリア構築完了通知は、サービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定が完了した旨の通知であり、エリアリストを含む。エリア構築完了通知を受信したマスタ基地局2は、エリアリストを保存する。
【0032】
なお、上記の実施例では、ホップ数情報として、指定範囲情報のホップ数をホップ数の上限数から減算した値を使用した。他の実施例の指定範囲情報は、上限ホップ数と、ホップ数自身を示すホップ数情報含んでもよい。指定範囲情報を送信する基地局はホップ数情報の値を1つ増加させ、指定範囲情報を受信する基地局3は、ホップ数情報が示す値と上限ホップ数とを比較することにより指定範囲情報のホップ数が上限数に達したことを検出する。
【0033】
<1.3.データ配信処理>
続いて、図3を参照して配信データの配信時における処理を説明する。オペレーションAIにおいてマスタ基地局2は、基地局間ネットワークを経由して、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへ配信データ送信要求を送信する。配信データ送信要求は、移動局5に対して配信データの送信を要求するメッセージである。スレーブ基地局3xは、配信データ送信要求を移動局5へ転送する。
【0034】
オペレーションAJにおいて移動局5は、配信データを送信する。配信データを受信したスレーブ基地局3xは、基地局間ネットワークを経由して配信データをマスタ基地局2へ転送する。オペレーションAKにおいてマスタ基地局2は、受信した配信データを記憶装置に格納する。
【0035】
オペレーションALにおいてマスタ基地局2は、基地局間ネットワークを経由してエリアリストに含まれるスレーブ基地局3へ配信データを配信する。配信データを受信したスレーブ基地局3は、それぞれがカバーするセル内に存在する移動局6に配信データを配信する。
【0036】
<1.4.ハードウエア構成>
続いて、基地局のハードウエア構成を説明する。図4は、マスタ基地局2のハードウエア構成の一例を示す図である。マスタ基地局2は、制御回路10と、ベースバンド処理回路11と、無線インタフェース回路12と、伝送路インタフェース13と、サーバインタフェース14と、レイヤ2スイッチ15を備える。添付する図面においてレイヤ2スイッチを「L2SW」と表記する。
【0037】
制御回路10は、マスタ基地局2の全体の動作を制御する回路であり、CPU(Central Processing Unit)20及びメモリ21を備える。CPU20は、メモリ21に格納されるコンピュータプログラムを実行することにより、以下に説明する各種処理を行う。ベースバンド処理回路11は、移動局装置5との間で送受信される信号のベースバンド処理を実行する。ベースバンド処理回路11は、DSP(Digital Signal Processor)22と、DSP22によって実行されるファームウエアが格納されるメモリ23を備える。
【0038】
無線インタフェース回路12は、マスタ基地局2と移動局5や移動局6との間の無線通信のためのインタフェース回路である。伝送路インタフェース13は、マスタ基地局2が基地局間ネットワークを経由する他の基地局との通信や、その他の回線を経由する上位ノードとの通信のための通信インタフェース回路である。サーバインタフェース14は、移動局5から取得した配信データ31や、基準スレーブ基地局3xから受信したエリアリスト32を保持するサーバ装置30との間で通信を行うための通信インタフェース回路である。レイヤ2スイッチ15は、制御回路10と、ベースバンド処理回路11と、無線インタフェース回路12と、伝送路インタフェース13と、サーバインタフェース14に接続され、これらの回路の間で送受されるレイヤ2信号の交換処理を行う。
【0039】
なお、スレーブ基地局3もマスタ基地局2と同様のハードウエア構成を有していてよい。本実施例では、スレーブ基地局3のサーバインタフェースを省略してよい。
【0040】
<1.5.マスタ基地局のブロック図>
続いて、マスタ基地局2の構成要素及び各構成要素の機能を説明する。図5は、マスタ基地局2の構成例を示すブロック図である。マスタ基地局2は、ベースバンド処理部40と、制御処理部50を備える。メモリ23に格納されるファームウエアをDSP22が実行することによって、ベースバンド処理部40により行われる処理が実行される。また、メモリ21に格納されるコンピュータプログラムをCPU20が実行することによって、制御処理部50により行われる処理が実行される。なお図5は、以下の説明に関係する機能を中心として示している。このため、マスタ基地局2は図示の構成要素以外の他の構成要素を含んでいてよい。
【0041】
ベースバンド処理部40は、トラヒック管理部41と、トラヒック転送部42と、監視部43と、秘匿処理部44と、MAC処理部45と、同期処理部46と、ページング処理部47と、ユニット間通信部48を備える。トラヒック管理部41は、移動局5や6との間でトラヒックを伝送する通信ベアラを管理する。トラヒック転送部42は、移動局5や6との間のトラヒックの転送処理を行う。監視部43は、トラヒックの状態やマスタ基地局2がカバーするセルの状態を監視する。
【0042】
秘匿処理部44、MAC処理部45及び同期処理部46は、それぞれ移動局5や6とマスタ基地局2との間の無線通信の秘匿処理、媒体アクセス制御処理及び同期処理を行う。ページング処理部47は、セル内の移動局5や6に着信があった場合の呼び出し処理を行う。ユニット間通信部48は、ベースバンド処理部40と制御処理部50との間の通信処理を行う。
【0043】
制御処理部50は、メッセージ処理部51と、呼処理部52と、リソース管理部53と、接続制御部54と、隣接基地局管理部55と、ハンドオーバ制御部56と、測定部57と、装置監視部58と、ユニット間通信部59を備える。また、制御処理部50は、エリア構築処理部60と、配信データ処理部61を備える。
【0044】
メッセージ処理部51は、他の基地局や上位ノードとの間のメッセージの送受信処理や及びプロトコル処理を行う。また、メッセージ処理部51は、受信したメッセージが、制御処理部50の構成要素52〜58、61及び62のいずれ宛のメッセージであるかを分析する分析処理を行う。
【0045】
呼処理部52は、マスタ基地局2を経由する呼の接続処理及び解放処理を行う。リソース管理部53は、移動局5や6との間の無線通信に割り当てる無線リソースの管理を行う。無線接続制御部54は、移動局5や6との間の接続関係の制御を行う。隣接基地局管理部55は、マスタ基地局2に隣接する基地局を記憶する。ハンドオーバ制御部56は、マスタ基地局2と隣接基地局との間の移動局5や6のハンドオーバ処理を行う。
【0046】
測定部57は、移動局5や6との間の通信品質の測定など各種測定をベースバンド処理部40に指示し、その結果の分析処理を行う。装置監視部58は、マスタ基地局2の各構成要素の状態監視処理を行う。ユニット間通信部59は、ベースバンド処理部40と制御処理部50との間の通信処理を行う。
【0047】
エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xから送信されるエリア情報転送要求が受信された時に、移動局5によりサービスエリアを設定処理が開始されたことを検出する。エリア構築処理部60は、エリア情報転送要求によって特定されるサービスエリアの範囲に基づいて、このサービスエリアの範囲に含まれるセルをカバーする基地局の決定を要求するエリア構築要求を生成する。エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xにエリア構築要求を送信する。
【0048】
エリア構築処理部60は、スレーブ基地局3xから送信されるエリア構築完了通知が受信された時に、サーバ装置30にアクセスし、エリア構築完了通知に含まれるエリアリストをサーバ装置30に保存する。
【0049】
配信データ処理部61は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへ配信データ送信要求を送信する。配信データ処理部61は、スレーブ基地局3xから転送される配信データが受信された時に、サーバ装置30にアクセスし、配信データをサーバ装置30に保存する。配信データ処理部61は、エリアリストに含まれる基地局へ配信データを配信する。
【0050】
<1.6.スレーブ基地局のブロック図>
続いて、スレーブ基地局3の構成要素及び各構成要素の機能を説明する。図6は、スレーブ基地局3の構成例を示すブロック図である。スレーブ基地局3は、図5に示すマスタ基地局2と同様の構成要素を備えている。図5に示す構成要素と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、同一の機能については説明を省略する。
【0051】
制御処理部50は、エリア判定処理部70と、配信データ転送部71を備える。エリア判定処理部70は、管轄セル内の移動局5から送信されるエリア情報転送要求が受信された時に、エリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。エリア判定処理部70は、マスタ基地局2から送信されたエリア構築要求が受信された場合に、エリア構築要求によって特定されるサービスエリアの範囲に基づいて、サービスエリアの範囲を指定する指定範囲情報を生成する。エリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3に指定範囲情報を送信する。
【0052】
一方、隣接するスレーブ基地局3から指定範囲情報を受信した場合に、エリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれるか否かを判断する。本実施例では、指定範囲情報のホップ数がエリア情報転送要求で指定される上限ホップ数以下である場合に、エリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれると判断し、そうでない場合には、セルが指定範囲に含まれないと判断する。本スレーブ基地局3のセルが指定範囲に含まれる場合、エリア判定処理部70は、指定範囲情報が示すホップ数を1つ増加させ、指定範囲情報を他の隣接のスレーブ基地局3へ転送する。
【0053】
指定範囲情報のホップ数が上限ホップ数である場合にエリア判定処理部70は、本スレーブ基地局3の基地局情報を含んだ指定範囲情報に対する応答を、指定範囲情報の送信元の隣接するスレーブ基地局3へ送信する。各スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3から送信された応答が受信された場合に、各々のスレーブ基地局3の基地局情報を応答に加えて他の隣接するスレーブ基地局3へ転送する。
【0054】
基準スレーブ装置3xのエリア判定処理部70は、隣接するスレーブ基地局3から送信された応答を受信した場合に、応答に含まれるスレーブ基地局3と基準スレーブ装置3xの基地局情報を含むエリアリストを生成する。エリア判定処理部70は、エリアリストを含んだエリア構築完了通知をマスタ基地局2へ送信する。
【0055】
移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3の配信データ転送部71は、マスタ基地局2から送信される配信データ送信要求が受信された場合に、配信データ送信要求を移動局5へ転送する。配信データ転送部71は、移動局5から送信された配信データが受信された場合に、配信データをマスタ基地局2へ転送する。マスタ基地局2から配信データの配信を受けたスレーブ基地局3の配信データ転送部71は、それぞれがカバーするセル内に存在する移動局6に配信データを配信する。
【0056】
本実施例によれば、サービスエリアの範囲の大きさを特定するエリア情報転送要求を、移動局5からスレーブ基地局3へ送信すれば、情報配信サービスのサービスエリアが設定される。このため、移動局装置にデータを配信する情報配信サービスにおけるサービスエリアを、従来よりも簡便な処理で設定することができる。
【0057】
本実施例では、サービスエリアの設定処理にて送受信されるメッセージ及び配信データは、基地局間ネットワーク及び無線接続回線、すなわち無線アクセスネットワーク内でのみ伝送される。このため、本実施例の情報配信システムは、無線アクセスネットワークよりも上位の公衆ネットワークやコアネットワークの負荷を生じさせないか、若しくは従来のシステムで生じさせる負荷よりも低減することができる。
【0058】
なお、本情報配信サービスにおいて、予め登録された移動局装置6のみが配信データを受信してもよい。例えば、移動局装置6において配信データを受信するか否かを設定し、移動局装置6で受信を選択してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0059】
他の実施例では、基準スレーブ基地局は、移動局5からエリア情報転送要求を受信するスレーブ基地局と別の基地局でもよい。この場合、エリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲内の地点の位置情報を含む。マスタ基地局2のエリア構築処理部60は、エリア情報転送要求の位置情報と、予め記憶したスレーブ基地局3の位置情報に基づいて、基準スレーブ基地局を選択してよい。この場合、移動局5は電子メールでエリア情報転送要求をマスタ基地局2に送信してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0060】
マスタ基地局2のエリア構築処理部60及び配信データ処理部61は、サーバ装置30に設けられてもよい。この場合に、スレーブ基地局3は、サーバ装置30との間で通信を行うためのサーバインタフェースを備える。サーバ装置30は、エリア情報転送要求、エリア構築要求、エリア構築完了通知、配信データ送信要求及び配信データを、スレーブ基地局3とやり取りして、サービスエリアの設定処理及び配信データの配信処理を実行してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0061】
なお、上記の実施例では、マスタ基地局2とスレーブ基地局3が分かれていたが、全ての基地局がマスタ基地局2とスレーブ基地局3の機能を備えていてもよい。この場合でも、全ての基地局がサーバ装置30とアクセスする必要はなく、いずれかの一部の基地局がサーバインタフェースを備えていればよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0062】
<2.第2実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上記の実施例では、移動局6はサービスエリア内に存在する場合に配信データを受信する。本実施例では、移動局6の加入者が、配信データの受信を所望するサービスエリアを予め登録する。移動局6がサービスエリア内に存在しなくても、移動局6に対応付けて登録されたサービスエリアに配信データを配信する時に、この移動局6へ配信データが電子メールで送信される。
【0063】
図7は、移動局6に対応付けてサービスエリアを登録する移動局指定情報の例を示す図である。マスタ基地局2は、移動局指定情報を、サーバ装置30又はマスタ基地局2内に格納してよい。移動局指定情報は、情報要素「移動局」及び「サービスエリア」を含む。情報要素「移動局」は、移動局6のメールアドレスを含む。情報要素「サービスエリア」は、配信データが配信されるサービスエリア内の基地局の基地局情報を含む。
【0064】
図8は、データ配信処理の第2例の説明図である。オペレーションBAにおいて移動局6は、移動局6の加入者が配信データの受信を所望するサービスエリアを登録するエリア登録要求を送信する。エリア登録要求は、サービスエリアの範囲に対応する地理的位置情報を含む。オペレーションBBにおいて、移動局6が存在するセルをカバーする基地局の配信データ転送部71は、エリア登録要求をマスタ基地局2に転送する。オペレーションBCにおいてマスタ基地局2の配信データ処理部61は、エリア登録要求を送信した移動局6のメールアドレスと、エリア登録要求に含まれる地理的位置情報に対応する基地局情報とを対応付ける移動局指定情報を、サーバ装置30の記憶装置に格納する。
【0065】
以下に続くオペレーションAA〜ALの処理は、図3を参照して説明した処理と同様である。オペレーションBDにおいてマスタ基地局2の配信データ処理部61は、配信データを配信する場合に、移動局指定情報により配信データの配信エリアのエリアリストに対応付けられた移動局6に対して、配信データを電子メールで送信する。
【0066】
本実施例によれば、移動局6の加入者は、配信エリアを希望するサービスエリアの範囲外にいる間も、このサービスエリアで配信される配信データを受信することができる。
【0067】
<3.第3実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上述の実施例では、スレーブ基地局3間で転送される指定範囲情報のホップ数でサービスエリアの範囲を定めた。本実施例では、指定範囲情報で指定される基準位置と各スレーブ基地局3の位置との間の距離によって、各スレーブ基地局3がサービスエリアの範囲内であるか否かを定める。
【0068】
図9は、サービスエリア構築処理の第2例の説明図である。オペレーションDAにおいて移動局5は、移動局5が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3xへエリア情報転送要求を送信する。エリア情報転送要求は、サービスエリアの範囲を定めるための基礎情報として、サービスエリアの半径距離Rを含む。
【0069】
オペレーションDBにおいてスレーブ基地局3xのエリア判定処理部70は、基地局間ネットワークを経由してエリア情報転送要求をマスタ基地局2へ転送する。オペレーションDCにおいてマスタ基地局2のエリア構築処理部60は、移動局5からエリア情報転送要求を受信したスレーブ基地局3xへ、基地局間ネットワークを経由してエリア構築要求を送信する。エリア構築要求は、サービスエリアの半径距離Rを含んでいてよい。
【0070】
基準スレーブ基地局3xのエリア判定処理部70は、既知の基準スレーブ基地局3xの位置をサービスエリアの基準位置として決定する。エリア判定処理部70は、サービスエリアの基準位置と半径距離Rを含んだ指定範囲情報を生成する。オペレーションDDにおいてエリア判定処理部70は、基地局間ネットワークを経由して、スレーブ基地局3a〜3c、3ba〜3bc、3bba及び3bbbへ指定範囲情報をマルチキャスト送信する。本実施例では、指定範囲情報が伝送される基地局間ネットワークは、インターネットプロトコルネットワークであってよい。
【0071】
スレーブ基地局3a〜3cのエリア判定処理部70は、各々のスレーブ基地局3a〜3cの既知の位置情報に基づいて、各スレーブ基地局3a〜3cが、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置するか否かを判断する。各スレーブ基地局3a〜3cが基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置する場合、エリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3a〜3cのセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。オペレーションDEにおいてエリア判定処理部70は、基準スレーブ基地局3xへ、指定範囲情報に対する応答を送信する。
【0072】
スレーブ基地局3ba〜3bc、スレーブ基地局3bba及び3bbbのエリア判定処理部70も同様に、夫々の基地局のセルがサービスエリアの範囲内に位置するか否かを判断する。スレーブ基地局3ba〜3bcの位置が、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内に位置する場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3ba〜3bcのセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。オペレーションDFにおいてエリア判定処理部70は、基準スレーブ基地局3xへ、指定範囲情報に対する応答を送信する。
【0073】
一方で、スレーブ基地局3bba及び3bbbの位置が、基準位置を中心とする半径距離Rの範囲内にない場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、各スレーブ基地局3bba及び3bbbのセルがサービスエリアの範囲内にないと判断する。この場合、これらの基地局のエリア判定処理部70は、指定範囲情報に対する応答を送信しない。
【0074】
以下に続くオペレーションAH〜AL以降の処理は、図3を参照して説明したオペレーションAH〜ALの処理と同様である。オペレーションDE及びDFの応答によって、サービスエリアの範囲を示すエリアリストは、スレーブ基地局3、3a〜3c及び3ba〜3bcの基地局情報を含む。
【0075】
なお、上記実施例では移動局5は、サービスエリアの半径距離Rをエリア情報転送要求で指定した。他の実施例では、半径距離Rはシステムで定められた所定の設定値であってもよい。この場合、エリア情報転送要求における半径距離Rの指定は不要である。
【0076】
また、上記実施例では、基準スレーブ基地局3xの位置を基準位置として定めた。他の実施例では、移動局5がエリア情報転送要求にて指定する位置を基準位置としてもよい。この場合、移動局5は電子メールでエリア情報転送要求をマスタ基地局2に送信してもよい。以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0077】
本実施例によれば、サービスエリアの範囲は、基準位置と各スレーブ基地局3との間の距離によって決定される。したがって、本実施例によれば、基地局間ネットワークのトポロジに影響されずにサービスエリアを定めることが可能になる。
【0078】
<4.第4実施例>
続いて、他の実施例について説明する。上述の第3実施例では、移動局6がサービスエリアの範囲内に存在しても、移動局6が存在するセルをカバーするスレーブ基地局3がサービスエリアの範囲に存在しなければ、このスレーブ基地局3から配信データが配信されない。
【0079】
本実施例では、スレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能範囲がサービスエリアの範囲に届く場合には、このスレーブ基地局3から配信データを配信する。図10は、サービスエリア構築処理の第3例の説明図である。参照符号100は、基準位置を中心とする半径距離Rのサービスエリアの範囲を示す。参照符号101は、移動局6との間の通信可能距離がrcであるスレーブ基地局3の通信可能範囲を示す。通信可能範囲101はセル範囲と同じであってよい。
【0080】
スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離Dから通信可能距離rcを引いた長さが半径距離R以下である場合には、スレーブ基地局3がカバーするセルがサービスエリアの範囲内に位置すると判断する。そうでない場合にエリア判定処理部70は、スレーブ基地局3がカバーするセルがサービスエリアの範囲内に位置しないと判断する。
【0081】
本実施例によれば、スレーブ基地局3がサービスエリアの範囲外に位置していても、スレーブ基地局3がカバーするセル内に存在する移動局6へ配信データが配信されるようになる。この結果、より確実にサービスエリア内へ配信データを送信できるようになる。
【0082】
<5.第5実施例>
続いて、他の実施例について説明する。図10を参照して説明した第4実施例では、サービスエリアの範囲外に位置する移動局6であっても、スレーブ基地局3の通信可能範囲101にいる場合には配信データを受信する。本実施例のスレーブ基地局3は、スレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能範囲がサービスエリアの範囲に届かない方位に対するデータ配信を低減する。
【0083】
図11の(A)は、スレーブ基地局3の通信可能範囲101の模式図である。スレーブ基地局3の通信可能範囲101は、異なる方位の範囲を含む複数の範囲に分割される。各方位毎に、その方位におけるスレーブ基地局3と移動局6との間の通信可能距離rcが予め定められ、スレーブ基地局3のメモリ21に格納される。
【0084】
図11の(B)は、サービスエリア構築処理の第4例の説明図である。スレーブ基地局3のエリア判定処理部70は、基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離D、スレーブ基地局3から見た基準位置の方位を決定する。エリア判定処理部70は、決定された方位における通信可能距離rcを基準位置とスレーブ基地局3の位置との間の距離Dから引いた長さが半径距離R以下となる方位の範囲102を決定する。エリア判定処理部70は、方位の範囲102内のセルに配信データを配信し、他の方位のセルには配信データを配信しない。
【0085】
本実施例によれば、サービスエリア範囲外に位置する移動局6へのデータ配信が低減される。その結果、スレーブ基地局3の消費電力が節約でき、またサービスエリア範囲外に位置する移動局6による無駄な受信処理を防止できる。
【0086】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基地局間ネットワークを形成する基地局装置であって、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備えることを特徴とする基地局装置。
(付記2)
前記制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記3)
前記制御部はさらに、隣接基地局装置から受信した前記指定範囲情報を他の隣接基地局装置に転送する転送処理を実行し、
前記指定範囲情報は、基地局装置間で転送されたホップ数を示し、
前記判定処理において前記制御部は、前記指定範囲情報のホップ数に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記4)
前記指定範囲情報は、前記指定範囲の基準位置の位置情報と指定範囲の半径を示す距離情報を含み、
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置の位置と前記基準位置との間の距離と指定範囲の半径に応じて、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記5)
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置と前記基準位置との間の距離から前記基地局装置と移動局装置との間の通信可能距離を減算した長さが、前記半径以下である場合に、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあると判断することを特徴とする付記4に記載の基地局装置。
(付記6)
前記判定処理において前記制御部は、方位毎に異なる通信可能距離に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする付記5に記載の基地局装置。
(付記7)
前記制御部は、前記基地局装置と前記基準位置との間の距離から前記基地局装置と移動局装置との間の通信可能距離を減算した長さが、前記半径以下となる方位のセルにのみ前記配信データを配信することを特徴とする付記6に記載の基地局装置。
(付記8)
前記位置情報は、前記指定範囲情報を送信する基地局装置の位置情報であることを特徴とする付記4〜7のいずれか一項に記載の基地局装置。
(付記9)
複数の基地局装置と、データ配信装置と、前記複数の基地局装置及び前記データ配信装置とを接続する基地局間ネットワークと、を含み、
前記基地局装置は、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記データ配信装置へ送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備え、
前記データ配信装置は、前記基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
(付記10)
前記基地局装置の制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする付記9に記載の通信システム。
(付記11)
前記データ配信装置の制御部は、
前記複数の基地局装置の中の第1の基地局装置が移動局装置から受信した、前記指定範囲の基準位置に関する情報を受信する処理と、
前記基準位置に対応する、前記複数の基地局装置の中の第2の基地局装置を特定する処理と、
前記第2の基地局の制御部に通知する処理と、
を実行し、
前記第2の基地局装置の制御部は、前記データ配信装置からの通知に対応して前記指定範囲送信処理を実行する付記9又は10に記載の通信システム。
(付記12)
前記データ配信装置は、
前記セルと移動局装置とを対応付ける移動局指定情報を格納する記憶部を備え、
前記セル情報が指定するセルに対して前記移動局指定情報が対応付ける移動局装置に、前記配信データを送信する付記9〜11のいずれか一項に記載の通信システム。
(付記13)
基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行させるデータ配信方法。
(付記14)
他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
をさらに前記制御部に実行させることを特徴とする付記13に記載のデータ配信方法。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
2 マスタ基地局
3、3a〜3e、3x、3ba〜3bc、3bba、3bbb スレーブ基地局
5、6、6a〜6c 移動局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局間ネットワークを形成する基地局装置であって、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、隣接基地局装置から受信した前記指定範囲情報を他の隣接基地局装置に転送する転送処理を実行し、
前記指定範囲情報は、基地局装置間で転送されたホップ数を示し、
前記判定処理において前記制御部は、前記指定範囲情報のホップ数に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記指定範囲情報は、前記指定範囲の基準位置の位置情報と指定範囲の半径を示す距離情報を含み、
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置の位置と前記基準位置との間の距離と指定範囲の半径に応じて、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項5】
複数の基地局装置と、データ配信装置と、前記複数の基地局装置及び前記データ配信装置とを接続する基地局間ネットワークと、を含み、
前記基地局装置は、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記データ配信装置へ送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備え、
前記データ配信装置は、前記基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記基地局装置の制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記データ配信装置は、
前記セルと移動局装置とを対応付ける移動局指定情報を格納する記憶部を備え、
前記セル情報が指定するセルに対して前記移動局指定情報が対応付ける移動局装置に、前記配信データを送信する請求項5又は6に記載の通信システム。
【請求項8】
基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行させるデータ配信方法。
【請求項9】
他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
をさらに前記制御部に実行させることを特徴とする請求項8に記載のデータ配信方法。
【請求項1】
基地局間ネットワークを形成する基地局装置であって、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、隣接基地局装置から受信した前記指定範囲情報を他の隣接基地局装置に転送する転送処理を実行し、
前記指定範囲情報は、基地局装置間で転送されたホップ数を示し、
前記判定処理において前記制御部は、前記指定範囲情報のホップ数に応じて前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記指定範囲情報は、前記指定範囲の基準位置の位置情報と指定範囲の半径を示す距離情報を含み、
前記判定処理において前記制御部は、前記基地局装置の位置と前記基準位置との間の距離と指定範囲の半径に応じて、前記基地局装置がカバーするセルが指定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項5】
複数の基地局装置と、データ配信装置と、前記複数の基地局装置及び前記データ配信装置とを接続する基地局間ネットワークと、を含み、
前記基地局装置は、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記データ配信装置へ送信するセル情報送信処理と、
を実行する制御部を備え、
前記データ配信装置は、前記基地局間ネットワークを経由して移動局装置への配信データを基地局装置に配信する処理を実行する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記基地局装置の制御部はさらに、他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
を実行することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記データ配信装置は、
前記セルと移動局装置とを対応付ける移動局指定情報を格納する記憶部を備え、
前記セル情報が指定するセルに対して前記移動局指定情報が対応付ける移動局装置に、前記配信データを送信する請求項5又は6に記載の通信システム。
【請求項8】
基地局間ネットワークを形成する基地局装置が備える制御部に、
指定範囲を示す指定範囲情報を、前記基地局間ネットワークを経由して前記基地局装置から他の基地局装置へ送信する指定範囲送信処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に対する他の基地局装置の応答を検出する検出処理と、
前記基地局装置が送信した指定範囲情報に応答する他の基地局装置がカバーするセルのセル情報を、移動局装置への配信データを基地局装置に配信するデータ配信装置へ、前記基地局間ネットワークを経由して送信するセル情報送信処理と、
を実行させるデータ配信方法。
【請求項9】
他の基地局装置から指定範囲情報を受信した場合に、前記基地局装置がカバーするセルが受信された指定範囲内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記基地局装置がカバーするセルが他の基地局装置から受信した指定範囲内にある場合に、前記指定情報の送信元の他の基地局装置へ前記基地局間ネットワークを経由して応答する応答処理と、
をさらに前記制御部に実行させることを特徴とする請求項8に記載のデータ配信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66047(P2013−66047A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203361(P2011−203361)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]