説明

基地局装置

【課題】送信信号の電力が大きく変動する場合であっても、アンテナの異常を高い精度で検出することができる基地局装置を提供する。
【解決手段】基地局1は、アンテナ12を介して無線信号の送受信を行うものであり、アンテナ12から無線信号として送信される送信信号の大きさを検出する検波部14と、送信信号がアンテナ12に反射されることにより生ずる反射信号の大きさを検出する検波部15と、検波部14の検出結果に応じて、検波部14,15の検出結果から送信信号と反射信号との関係を示す定在波比を求める演算部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを介して無線信号の送受信を行う基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線通信システムは、相互に接続された複数の基地局装置とユーザに携帯される端末装置(例えば、携帯電話機)とを含んで構成され、基地局装置が端末装置との間で無線信号の送受信を行うことによって、一の端末装置と他の端末装置との間における通話等が実現される。基地局装置は数キロメートル程度の間隔で多数設置されており、作業者が各々の設置場所に赴いて動作が正常であるか否かを確認するのは現実的ではない。このため、通常は、動作の異常の有無を自動的に診断する診断機能を基地局装置の各々に設け、その診断結果を一括して収集することで効率的な保守・管理が行われる。
【0003】
以下の特許文献1,2には、アンテナ状態を高精度に検出・診断する技術の一例が開示されている。具体的に、特許文献1に開示された技術では、アンテナで受信される受信信号の受信感度を検出し、検出された受信感度が所定の受信感度閾値以下に低下した際に、アンテナより送信される送信信号の反射電力の検出を開始し、検出された反射電力が所定の反射電力閾値以上である場合にアンテナに故障或いは破損が発生していると診断している。
【0004】
また、特許文献2に開示された技術では、通話状態にない場合に第1のアンテナ側と第2のアンテナ側とを交互に切り替えつつ制御情報を送信し、第1のアンテナからの送信信号の反射電力が規定の値よりも大きいとき、或いは第2のアンテナからの送信信号の反射電力が規定の値よりも大きいときにアラーム信号を出力している。これにより、第1のアンテナの異常だけではなく、第2のアンテナの異常も検出できるようにして保守性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−13622号公報
【特許文献2】特開平9−135199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した引用文献1,2に開示された技術では、何れもアンテナに対して送信信号を出力し、アンテナで反射される送信信号の反射電力が所定の値以上である場合に、アンテナに異常が生じていると診断している。この診断方法は、送信信号の反射電力にのみ着目しているため、アンテナに対して出力する送信信号の電力が一定以上の場合でなければアンテナの診断を行うことができず、また高精度な診断を行うことができないという問題がある。
【0007】
また、現在、高速なデータ通信を可能とする規格であるLTE(Long Term Evolution)の標準化が進められている。この通信規格は、下りの通信速度が100Mbps(bit per second)以上であって、上りの通信速度が50Mbps以上である高速通信の実現を目指すものである。このLTEのようなOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式を用いる通信方式は、送信信号の電力が極端に小さくなることがある。すると、上記の特許文献1,2に開示された技術を用いてアンテナの診断を行おうとすると、精度の劣化や誤検出を招いてしまい診断結果が信頼性の無いものになってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、送信信号の電力が大きく変動する場合であっても、アンテナの異常を高い精度で検出することができる基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の基地局装置は、アンテナを介して無線信号の送受信を行う基地局装置において、前記アンテナから無線信号として送信される送信信号の大きさを検出する第1検出部と、前記送信信号が前記アンテナに反射されることにより生ずる反射信号の大きさを検出する第2検出部と、前記第1検出部の検出結果に応じて、前記第1,第2検出部の検出結果から前記送信信号と前記反射信号との関係を示す定在波比を求める演算部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記演算部が、前記第1検出部の検出結果が所定の閾値を超える場合に前記定在波比を求めることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記送信信号が所定のフレームを単位として送信される信号であり、前記演算部は、前記フレーム内で前記第1検出部の検出結果が前記所定の閾値を超えた場合に求めた前記定在波比の平均値を求めることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記送信信号が所定のフレームを単位として送信される信号であり、前記演算部は、前記フレーム内の所定の時間位置における信号が検出された場合に前記定在波比を求めることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記フレーム内の所定の時間位置における信号が、少なくとも同期信号を含むことを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記演算部が、前記フレーム内で前記所定の時間位置における信号が検出された場合に求めた前記定在波比の平均値を求めることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記第1,第2検出部が、前記送信信号及び前記反射信号の電圧の大きさをそれぞれ検出するものであり、前記演算部は、前記第1,第2検出部の検出結果から電圧定在波比を求めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送信信号の電力が大きく変動する場合であっても、アンテナの異常を高い精度で検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による基地局装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】送信信号のフレーム構成を説明するための図である。
【図3】送信信号の出力波形と検波部14,15で検出される電圧との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による基地局装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による基地局装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による基地局装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の基地局装置(以下、単に「基地局」ともいう)1は、無線部11、アンテナ12、方向性結合器13a,13b、検波部14(第1検出部)、検波部15(第2検出部)、及び演算部16を備えており、例えば携帯電話機等の端末装置(以下、単に「端末」という)との間でアンテナ12を介した無線信号の送受信を行う。
【0013】
尚、本実施形態では、基地局1がLTEのようなOFDMA方式によって無線信号の送受信を行うものであるとする。また、図1においては基地局1の構成を簡略化して図示しているが、基地局1は、図示の構成以外に、16QAM等の変調方式を用いて変復調を行う変復調部、回線ネットワーク(図示省略)を介して基地局1の保守・管理を行う上位装置や他の基地局との間でデータの送受信を行う回線通信部、及び基地局1の動作を統括して制御する制御部等が設けられている。
【0014】
無線部11は、端末に対して無線信号として送信すべき送信信号をアンテナ12に向けて出力するとともに、端末から送信されてアンテナ12で受信された無線信号から受信信号を得る。尚、詳細は後述するが、無線部11から出力される送信信号は、所定のフレームを単位として送信される信号である。アンテナ12は、無線部11からの送信信号を無線信号として送信し、端末から送信された無線信号を受信する。尚、図1では、無線部11及びアンテナ12を1つずつ図示しているが、これらは複数設けられていても良い。
【0015】
方向性結合器13aは、無線部11とアンテナ12との間に設けられており、無線部11からアンテナ12に向けて出力される送信信号の一部を分岐して検波部14に導く。また、方向性結合器13bは、アンテナ12と無線部11との間に設けられており、無線部11からアンテナ12に向けて出力された送信信号のうち、アンテナ12で反射されて得られる反射信号の一部を分岐して検波部15に導く。
【0016】
尚、図1においては、無線部11からアンテナ12に向けて出力される送信信号の一部を分岐して検波部14に導く方向性結合器13aがアンテナ12側に配置され、反射信号の一部を分岐して検波部15に導く方向性結合器13bが無線部11側に配置されている例を図示している。これら方向性結合器13a,13bは、必ずしも図1に示す配置である必要はなく、方向性結合器13aが無線部11側に配置され、方向性結合器13bがアンテナ12側に配置されていても良い。
【0017】
検波部14は、方向性結合器13aに接続されており、方向性結合器13aによって導かれる送信信号の電圧の大きさを検出する。これに対し、検波部15は方向性結合器13bに接続されており、方向性結合器13bによって導かれる反射信号の電圧の大きさを検出する。尚、これら検波部14,15は、送信信号の電力及び反射信号の電力をそれぞれ検出するものであっても良い。
【0018】
演算部16は、検波部14の検出結果に応じて、検波部14,15の検出結果から電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を求める。具体的に、演算部16は、以下の(1)に示す条件が満たされる場合、又は以下の(2)に示す条件が満たされる場合に電圧定在波比を求める。
(1)検波部14で検出される反射信号の電圧が予め設定された閾値を超える場合
(2)送信信号の所定の時間位置における信号が検波部14で検出される場合
【0019】
上記(1)に示す条件が満たされる場合、又は上記(2)に示す条件が満たされる場合にのみ電圧定在波比を求めるのは、以下の理由による。つまり、LTEのようなOFDMA方式では、送信信号の電力が大きく変動するため、送信信号の電力が高いときの電圧定在波比のみを求めることで、精度の劣化や誤検出を招くことなくアンテナ12の異常を高い精度で検出するためである。また、演算部16は、上記(1)の条件が満たされた場合に求めた電圧定在波比の平均値、又は上記(2)の条件が満たされた場合に求めた電圧定在波比の平均値を、送信信号が送信される単位であるフレーム毎に算出する。これは、電圧定在波比を高い精度で求めるためである。
【0020】
次に、無線部11から出力される送信信号のフレーム構成について説明する。図2は、送信信号のフレーム構成を説明するための図である。尚、図2では横軸に時間をとり、縦軸に周波数をとっている。周知の通り、OFDMA方式を用いる基地局は、周波数の異なる複数のサブキャリアを用いて無線信号の送受信を行うが、図2では24個のサブキャリアのみを図示している。尚、図2に示した多数のマス目の各々は時間及び周波数の最小単位であるリソース・エレメントを表している。このため、図2においては、24個のサブキャリアは、縦軸に沿う24個のマス目で表現されている。
【0021】
図2に示す通り、無線部11から出力される送信信号は、1つのフレームが10個のサブフレームSF1〜SF10からなり、1つのフレームの時間幅が10msecであるフレーム構成である。また、図2において、7×12個のマス目で表現されているブロックはリソース・ブロックと呼ばれる。例えば、サブフレームSF1については、符号RB1が付された破線で囲まれたリソース・ブロックと、符号RB2が付された破線で囲まれたリソース・ブロックとが含まれる。
【0022】
リソース・ブロックをなすリソース・エレメントのうち、予め設定されたリソース・エレメントには所定の信号が配置される。例えば、サブフレームSF1に含まれるリソース・ブロックRB1をなすリソース・エレメントのうち、横軸方向の右端部分に位置するリソース・エレメントには、プライマリ同期信号(P−SS:Primary Synchronization Signal)とセカンダリ同期信号(S−SS:Secondary Synchronization Signal)とが順に配置される。これは、サブフレームSF6についても同様である。
【0023】
また、サブフレームSF1に含まれるリソース・ブロックRB2をなすリソース・エレメントのうち、横軸方向の左端部分に位置する4つのリソース・エレメントには、物理ブロードキャストチャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)が配置される。更に、サブフレームSF1〜SF10の各々に含まれるリソース・ブロックをなすリソース・エレメントのうち、規則的に点在する所定のリソース・エレメントにはリファレンス信号(RS: Reference Signal)が配置される。
【0024】
以上のプライマリ同期信号、セカンダリ同期信号、物理ブロードキャストチャネル、及びリファレンス信号には、常にある電力が割り当てられているため、これらの信号が出力される場合には、一定以上の電力を有する送信信号が送信されることになる。このため、本実施形態では、これらの信号が送信されたときの検波部14,15の検出結果から電圧定在波比を求めている。
【0025】
図3は、送信信号の出力波形と検波部14,15で検出される電圧との関係を示す図である。尚、図3では、図2中におけるサブフレームSF1内のリソース・ブロックRB1,RB2を拡大図示してある。図3に示す通り、無線部11から出力される送信信号の波形WFは、リファレンス信号が出力される時間位置、プライマリ同期信号及びセカンダリ同期信号が出力される時間位置、並びに物理ブロードキャストチャネルが出力される時間位置の何れの時間位置においても振幅が大きくなっているのが分かる。
【0026】
但し、プライマリ同期信号及びセカンダリ同期信号が出力される時間位置t6〜t8における送信信号の振幅は、リファレンス信号が出力される時間位置t1〜t2,t5〜t6,t12〜t13における送信信号の振幅の約3倍程度大きい。また、物理ブロードキャストチャネルが出力される時間位置t8〜t12における送信信号の振幅は、プライマリ同期信号及びセカンダリ同期信号が出力される時間位置t6〜t8における送信信号の振幅よりも僅かに大きくなっている。
【0027】
また、図3に示す検出電圧V1は図3に示す波形WFを有する送信信号が無線部11から出力された場合に検波部14で検出される電圧を示しており、検出電圧V2は検波部15で検出される電圧を示している。図3を参照すると、検出電圧V1が大きければ検出電圧V2も大きくなり、逆に検出電圧V1が小さければ検出電圧V2も小さくなることが分かる。
【0028】
演算部16が電圧定在波比を求める条件として前述した(1)に示す条件を用いる場合には、検波部14の検出電圧V1に対して図3中の閾値THを設定する。そして、検波部14の検出電圧V1が閾値THを超えた場合に、検波部14の検出電圧V1と検波部15の検出電圧V2とを用いて電圧定在波比を求める。これに対し、演算部16が電圧定在波比を求める条件として前述した(2)に示す条件を用いる場合には、フレーム中におけるプライマリ同期信号、セカンダリ同期信号、及び物理ブロードキャストチャネルの時間位置は定まっているため、これらの信号が検波部14で検出されるときに検波部14の検出電圧V1と検波部15の検出電圧V2とを用いて電圧定在波比を求める。
【0029】
次に、上記構成における基地局1の動作について説明する。図4は、本発明の一実施形態による基地局装置の動作を示すフローチャートである。尚、以下の説明では、説明を簡単にするために、演算部16が電圧定在波比を求める条件として前述した(1)に示す条件を用いる場合を例に挙げて説明する。図4に示す処理は、無線部11から送信信号が出力される度に開始される。
【0030】
無線部11から送信信号が出力されると、まず演算部16で初期化処理が行われる(ステップS11)。具体的には、電圧定在波比の平均値を求めるために用いられるカウンタのカウント値及びメモリに記憶されている値を「0」に初期化する処理が行われる。以上の初期化処理が終了すると、検波部14の検出結果である検出電圧V1(図3参照)が閾値TH以上であるか否か(閾値を超えたか否か)が演算部16によって判断される(ステップS12)。
【0031】
閾値を超えていないと判断された場合(ステップS12の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS12の処理が繰り返される。これに対し、閾値を超えたと判断された場合には、ステップS12の判断結果が「YES」になり、検波部14から出力される検出電圧V1と検波部15から出力される検出電圧V2とを用いて演算部16によって電圧定在波比が算出される(ステップS13)。
【0032】
電圧定在波比が算出されると、メモリに既に記憶されている内容と加算されて電圧定在波比の積算値が求められてメモリに書き込まれる(ステップS14)。これにより、メモリの内容が新たに求められた電圧定在波比の積算値に更新される。尚、ステップS13の処理が最初に行われて最初の電圧定在波比が算出された場合には、メモリの値は「0」に初期化されているため、ステップS13で算出された電圧定在波比がメモリに記憶される。電圧定在波比の積算値が算出されると、演算部16はカウンタのカウント値をインクリメントする(ステップS15)。
【0033】
以上の処理が終了すると、演算部16は無線部11から1フレーム分の送信信号が出力されたか否かを判断する(ステップS16)。具体的には、図4に示す処理が開始されてから1フレームの時間幅である10msecが経過したか否かを判断する。この判断結果が「NO」である場合には、ステップS12〜ステップS15の処理が繰り返される。つまり、検波部14の検出電圧V1が閾値THを超えた場合に、電圧定在波比が求められ(ステップS13)、その積算値が算出され(ステップS14)、カウンタ値がインクリメントされる(ステップS15)。
【0034】
他方、ステップS16の判断結果が「YES」になると、演算部16はメモリに記憶された電圧定在波比の積算値を読み出してカウンタのカウント値で除算することによって電圧定在波比の平均値を算出する(ステップS17)。以上の処理によって、1フレーム内において、検波部14の検出電圧V1が閾値THを超えた場合に得られた電圧定在波比の平均値が求められる。尚、ステップS17の処理が終了し、無線部11から次のフレームの送信信号が出力されると、再び図4に示す処理が開始される。
【0035】
以上の処理で求められた電圧定在波比又はその平均値は、アンテナ12の異常の有無を判断するために用いられる。例えば、電圧定在波比又はその平均値は、基地局1が備える制御部によって回線通信部(何れも図示省略)が制御されて、不図示の回線ネットワークを介して不図示の上位装置に送信され、上位装置において基地局1に設けられたアンテナ1に異常が発生したか否かが判断される。尚、電圧定在波比又はその平均値に基づいたアンテナ12の異常の発生の有無の判断を基地局1で行い、異常が発生したと判断した場合には基地局1に設けられた警告灯を点灯させる等の処置を行っても良い。
【0036】
以上の通り、本実施形態では、送信信号の電圧の大きさを検出する検波部14の検出電圧V1が閾値THを超えた場合に、検波部14の検出電圧V1と反射信号の電圧の大きさを検出する検波部15の検出電圧V2とを用いて電圧定在波比を算出している。これにより、送信信号の電力が大きく変動する場合であっても、送信信号の電力が大きい場合の電圧定在波比のみを算出することができるため、高い精度の電圧定在波比を得ることができる。この結果として、アンテナの異常を高い精度で検出することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態による基地局装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、検波部14,15が送信信号及び反射信号の電圧の大きさをそれぞれ検出し、演算部16が電圧定在波比を求める例について説明したが、電圧定在波比に代えて送信信号と反射信号との関係を示す定在波比を求めても良い。
【0038】
また、上記実施形態では、OFDMA方式によって無線信号の送受信を行う基地局を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、TDD方式を用いる基地局や、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式によって無線信号の送受信を行う基地局装置にも適用することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、図4中のステップS12において、演算部16が、検出電圧V1が閾値THを超えたか否かを判断しているが、これに代えて、フレーム内の所定の時間位置における信号(例えば、上述した同期信号等)が、検波部14、検波部15、又は演算部16で検出されたか否かを判断しても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 基地局
12 アンテナ
14 検波部
15 検波部
16 演算部
TH 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して無線信号の送受信を行う基地局装置において、
前記アンテナから無線信号として送信される送信信号の大きさを検出する第1検出部と、
前記送信信号が前記アンテナに反射されることにより生ずる反射信号の大きさを検出する第2検出部と、
前記第1検出部の検出結果に応じて、前記第1,第2検出部の検出結果から前記送信信号と前記反射信号との関係を示す定在波比を求める演算部と
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記第1検出部の検出結果が所定の閾値を超える場合に前記定在波比を求めることを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記送信信号は所定のフレームを単位として送信される信号であり、
前記演算部は、前記フレーム内で前記第1検出部の検出結果が前記所定の閾値を超えた場合に求めた前記定在波比の平均値を求めることを特徴とする請求項2記載の基地局装置。
【請求項4】
前記送信信号は所定のフレームを単位として送信される信号であり、
前記演算部は、前記フレーム内の所定の時間位置における信号が検出された場合に前記定在波比を求める
ことを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項5】
前記フレーム内の所定の時間位置における信号は、少なくとも同期信号を含むことを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記フレーム内で前記所定の時間位置における信号が検出された場合に求めた前記定在波比の平均値を求めることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の基地局装置。
【請求項7】
前記第1,第2検出部は、前記送信信号及び前記反射信号の電圧の大きさをそれぞれ検出するものであり、
前記演算部は、前記第1,第2検出部の検出結果から電圧定在波比を求める
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−109451(P2011−109451A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262808(P2009−262808)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】