説明

基材上に導電体をパターン化する方法

基材上に導電体をパターン化する方法は、自己組織化単層形成分子でインク付けされ、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付エラストマースタンプを提供する工程を含む。次いで、インク付きスタンプの隆起表面形状は、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触する。次いで、金属がエッチングされ、可視光線透明基材にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する導電性マイクロパターンを形成が形成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
表面上に金属をパターン化するための方法は数多く存在し、例えばエッチング又はめっきによるフォトリソグラフィー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、及びレーザーパターン化を含め、その多くは商業的に広く実践されている。同時に、例えば真の利点の欠落に起因して、又は実装に対する大きな技術的障壁に起因してこれまで商業的現行プロセスに置き換わることができなかった独特の方法が、他にも多く存在する。大きな技術的障壁は、金属のエッチングによるパターン化におけるマイクロコンタクト印刷の商業化を阻んでいた。
【0002】
マイクロコンタクト印刷は、基材表面上への自己組織化単層(SAM)パターンのスタンピング又は輪転印刷である。この手法は、非常に微細なスケールのパターン(例えば1マイクロメートルの10分の1の表目形状サイズ)のために実行することができる、またパターン化された単層を金属、セラミックス、及びポリマーに拡張することができる能力を含む、いくつかの技術的に重要な特徴を示す。これらの特徴にもかかわらす、この方法は、広範囲にわたる研究により、パターン構成の柔軟性及びスケールアップに関連した大きな課題を有することが明らかとなっている。パターン構成の柔軟性とは、広範なパターン形状に対しパターン化の方法を適用することができる能力を意味する。例えば、当該技術分野において、広く離間した表面形状を有するマイクロコンタクト印刷パターンは、ルーフの崩壊を含むスタンプの変形につながることが知られており、これは許容できないパターンの変形及びアーチファクトをもたらす。
【0003】
これらの問題は、通常は非常に硬い、若しくは非常に薄いエラストマースタンプ材料の層を備え、又は時には特定の特性を有する支持体若しくはバックプレーン上のスタンプの装着を含む、複雑な構造を有する複合スタンプの工業技術へとつながった。他の手法において、スタンプは、有効なレリーフを有するスタンプが提案されており、マスタリング及び印刷における課題へとつながっている。多くの場合、材料の変更又はスタンプ構造又は支持体の対策は、例えば高生産性及び競争価格の点で、効率的にパターンを印刷するために使用され得るインク付きスタンプの生成における課題へとつながる。したがって、広範囲にわたる材料の置き換え又は多層スタンプ構造の悪影響及び複雑性を回避するためには、当該技術において、標準的なスタンプ材料及び低レベルのスタンプレリーフにより適合性のパターン構成を画定することが必要である。
【0004】
別の例として、当該技術分野において、プロセスの動力学的側面が、効果的かつ効率的にマイクロコンタクト印刷され得るSAMパターン構成の範囲を実質的に制限し得ることが知られている。SAMのマイクロコンタクト印刷の成功を左右する動力学的現象としては、例えば、スタンプにおけるSAM形成分子のバルク拡散、スタンプに沿った同分子の表面拡散、基材に沿った同分子の表面拡散、SAM自体に沿った同分子の表面拡散、スタンプ−基材界面での同分子の面間移送、及びSAM形成分子の基材表面との反応動力学が挙げられる。これらの動力学的要因の組み合わせが、商業化への十分な最適化だけでなく、任意の特定パターンを生成するマイクロコンタクト印刷の能力を不確かなものとしている。
【0005】
マイクロコンタクト印刷における別の重要な課題は、異なるスケールの表面形状の同時印刷に関連する。上述の(ただし完全に理解されてはいない)動力学的要因により、表面形状のサイズ及び間隔の特定の組み合わせが効果的に、及び有用な速度で印刷され得るかどうかは不明である。アルカンチオールを印刷して小型及び大型の表面形状を形成すると同時に前者の正確性を維持するための、明確かつ実用的な条件は存在しない。
【0006】
所与の印刷及びエッチング条件の組において特定の金属パターンが良好に生成され得るかどうかに影響する、重要であるが予測不可能な別の要因は、例えば金属が堆積される基材により決定されるような、SAMが印刷される表面である。表面粗さ及び容易に達成可能な清浄度等の要因は、1つの基材の種類から次の基材の種類(例えば、半導体ウエファーとは対照的なポリマーフィルム)にわたり実質的に変動し得、したがって金属パターンがそれに生成され得る能力又は条件に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当該技術分野において、様々な用途における商業的に実行可能な基材への金属マイクロパターンの効果的かつ効率的なエッチングによるパターン化を可能とする、インク製剤化及びスタンプインク付け手順を含むパターン構成及びマイクロコンタクト印刷条件の組み合わせが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、基材上に導電体をパターン化する方法に関する。
【0009】
第1の実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法は、自己組織化単層形成分子でインク付けされ、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付エラストマースタンプを提供する工程を含む。レリーフパターンは、少なくとも5平方ミリメートル(mm)の寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜10%の間の隆起表面形状の平均面密度値、0.5マイクロメートル(μm)〜25μmの間の幅値を有する線状セグメント、及び1mm未満の隣接隆起表面形状間の距離値を含む。次いで、インク付きスタンプの隆起表面形状は、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触する。次いで、金属がエッチングされ、可視光線透明基材にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する導電性マイクロパターンが形成される。
【0010】
別の実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有する金属コーティングされた可視光線透明基材を提供する工程を含み、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜10%の間の隆起表面形状の平均面密度値、0.5μm〜25μmの間の幅値を有する線状セグメント、及び1mm未満の隣接隆起表面形状間の距離値を含む。次いで、自己組織化単層形成分子でインク付けされた、インク付きエラストマースタンプが、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触する。本明細書で使用される場合、「接触」は、直接接触だけでなくインク厚さ等のわずかな分離間隔を包含する。次いで、金属がエッチングされ、可視光線透明基材の隆起表面形状に導電性マイクロパターンが形成される。
【0011】
更なる実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含む。インク付きスタンプは、16原子〜18原子の鎖長を有する線状有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1ミリモル(mM)〜10mMのスタンプ内濃度で含む。レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの間の幅値を有する線状セグメント、及び500μm未満の隣接線状セグメント間の距離値を含む。レリーフパターンは、更に、少なくとも幅25μmの寸法の隆起表面形状を含む。次いで、インク付きスタンプは、金属コーティングされた可視光線透明基材に、0.5秒〜10秒の範囲の接触時間の間接触し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる。次いで、金属がエッチングされ、可視光線透明基材にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する導電性マイクロパターンが形成される。本発明の様々な実施形態は、ディスプレイ用タッチスクリーンセンサー、電磁干渉(EMI)遮蔽フィルム、電場発光用透明電極、エレクトロクロミック又は光電池デバイス等の用途において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図1】低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、トレースの充填率は約3%となる。
【図2】低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、示される破断点は約10μmの寸法であり、トレースの充填率は約3%となる。
【図3】低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、約1.2mm×1.2mmの寸法であり、長さ約225μm、幅約3μmの寸法の40個の導電体の孤立セグメントを含み、トレースの充填率は約2%となる。
【図4】低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、幅3μmのトレース、及び約175μmの六角形セルの頂点間の幅を含み、トレースの充填率は約3%となる。
【図5】低密度マイクロパターン領域を備える導電性パターンを示し、低密度マイクロパターン領域は、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、トレースの充填率は約3%となり、連続金属領域の形態のより大きな表面形状は、1.2mm×1.2mmの寸法である。
【図6】スタンプの低密度レリーフパターンを示し、実線はスタンプ表面上の線状隆起表面形状に対応し、点線は領域の輪郭を示している。低密度マイクロパターンは、700μmのピッチの幅3μmの隆起線状表面形状を含み、隆起表面形状の充填率は約1%となっている。
【図7】スタンプの低密度レリーフパターンを示し、実線はスタンプ表面上の線状隆起表面形状に対応し、点線は領域の輪郭を示している。低密度マイクロパターンは、700μmのピッチの幅3μmの隆起線状表面形状を含み、示される破断点は約10μmの寸法であり、隆起表面形状の充填率は約1%となっている。
【図8】充填率が3%となる約200μmのピッチの正方形メッシュの形態の幅3μmの導電性金属トレースを有する低密度マイクロパターン領域を含む導電性パターンを、2mm×2mmの連続金属領域とともに示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】充填率が5%の正方形メッシュの形態の幅5μmの導電性金属トレースを有する低密度マイクロパターン領域を含む導電性パターンを示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】充填率が3%となる、頂点間の幅が約175μmの六角形メッシュの形態の幅3μmの導電性金属トレースを有する低密度マイクロパターン領域を含む導電性パターンを示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】充填率が5%となる、頂点間の幅が約175μmの六角形メッシュの形態の幅5μmの導電性金属トレースを有する低密度マイクロパターン領域を含む導電性パターンをのごく一部を示す走査型電子顕微鏡写真である(画像は、線分の幅に関する視覚的補助の目的で3つの導電線分にわたり引いた細線を含む)。
【図12】充填率が3%となる、頂点間の幅が約175μmの六角形メッシュの形態の幅3μmの導電性金属トレースを有する低密度マイクロパターン領域を含む導電性パターンをのごく一部を示す走査型電子顕微鏡写真である(画像は、線分の幅に関する視覚的補助の目的で3つの導電線分にわたり引いた細線を含む)。
【図13】タッチスクリーンセンサーの概略図を示す。
【図14】タッチスクリーン感知エリア内に存在する導電性可視光線透明領域の斜視図を示す。
【図15】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図15a】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図15b】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図16】第2のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図16a】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図16b】第1のパターン化された基材の様々な部分を示す。
【図17】図15及び16の第1及び第2のパターン化された基材から構築された、投影された投影容量型タッチスクリーン透明センサー要素を示す。
【0013】
図面は、必ずしも縮尺に従っていない。図面で用いられる同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所定の図中の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字を付けられた別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明において、本明細書の一部を構成し複数の特定の実施形態が例として示される一連の添付図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0015】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用されるある種の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0016】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、量、物理特性を表わす数字はすべて、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメーターは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0017】
端点による数値範囲の使用は、その範囲内のすべての数(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0019】
本明細書において使用される場合、「可視光線透明」は、可視光線の少なくとも1つの偏光状態に対し少なくとも80%透過する透過レベルを指し、%透過率は、入射する任意に偏光された光の強度に対し正規化される。入射光線の少なくとも60%を透過する物品の可視光透明の意味には、局所的に60%透過率未満まで光を遮る微細表面形状(例えば、0.5μm〜10μmの間、又は1μm〜5μmの間の、幅等の最小寸法を有するドット、正方形、又は線)が含まれるが、そのような場合、微細表面形状を含み、微細表面形状の幅の最小寸法の1000倍の大きさの略等軸エリアに対しては、平均透過率は60%より高い。
【0020】
ポリマー「フィルム」基材は、ロールツーロール(roll−to−roll)様式で加工するのに十分な可撓性及び強度を有する、平坦なシート状のポリマー材料である。ロールツーロールは、材料が支持体に巻取られるか又は支持体から巻出され、加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリット加工、打ち抜き加工、及び放射線への曝露などが挙げられる。ポリマーフィルム類は、一般に約5μm〜1000μmの範囲の種々の厚さで製造できる。多くの実施形態において、ポリマーフィルムの厚さは、約25μm〜約500μm、又は約50μm〜約250μm、又は約75μm〜約200μmの範囲である。一方又は両方の主表面にレリーフ構造を包含するフィルムの場合、フィルムの厚さとは、フィルムの面積を横切る平均の厚さを意味する。
【0021】
「自己組織化単層」は、一般に、表面に(例えば化学結合によって)結合した、また表面に対して、更には互いに対して好ましい配向に適合した分子の層を指す。自己組織化単層は、表面の特性が変化するように表面を完全に被覆することが示されている。例えば、自己組織化単層の適用は、表面エネルギーの低減をもたらし得るとともに、自己組織化単層でコーティングされていない金属の選択的エッチングを可能とし得る。
【0022】
本開示は、マイクロコンタクト印刷及びエッチングに基づく金属パターン化の方法に関する。本明細書で使用される場合、「金属」及び「金属化」は、意図される目的のために好適に導電性である元素金属又は合金等の導電性材料を指す。改善には、好ましいパターン構成、及びその好ましいインク付け及び印刷パラメーターとの組み合わせが含まれる。パターン構成、インク付けパラメーター、及び印刷パラメーターが組み合わされて、特にポリマーフィルムへの金属パターン化のための好ましい操作ウィンドウ(window)が定義される。第1の操作ウィンドウは、標準的なスタンプ材料及び容易に達成可能かつ管理可能なスタンプレリーフを使用した、微細トレースを含む充填率が非常に低い金属のパターンを効率的かつ再生可能に生成する利点を有する。第2の操作ウィンドウは、標準的なスタンプ材料及び容易に達成可能かつ管理可能なスタンプレリーフを使用した、微細トレースを含む充填率が非常に低い第1の領域及びより大きい(すなわち微細トレースよりも大きい)表面形状である第2の領域を有する、金属のパターンを効率的かつ再生可能に生成する利点を有する。ウィンドウはまた、機器の費用効率の良い使用だけでなく実施の実用性に好適な印刷時間を含む。本発明を限定するものではないが、本発明の種々の態様は以下に提供する実施例の考察を通して正しく認識されるであろう。
【0023】
マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して導電性材料を効果的、効率的及び再生可能にパターン化するための能力は、複数の複雑な要因により、隆起表面形状のパターンの構成に依存する。複雑な要因としては、i)隆起表面形状により決定されるような、スタンプ又はプレートの接触エリアにおける基材に加えられる局所的圧力、ii)隆起表面形状間のレリーフパターンのエリアにおけるスタンプの崩壊、iii)隆起表面形状の座屈、及びiv)異なる隆起表面形状近傍でのスタンプ又はプレート内のSAM形成分子の効果的量に対する、スタンプ隆起表面形状のパターンの効果が挙げられる。
【0024】
これらの効果は、i)パターン化後の意図される導電体領域におけるピンホールの望ましい回避、ii)スタンプ又はプレート表面形状の座屈による導電体領域の変形の望ましい回避、及びiii)意図される導電体領域間の領域におけるスタンプ又はプレートの崩壊からもたらされる外的な導電体堆積の望ましい回避の点で、マイクロコンタクト印刷されたパターンの品質に影響する。効果的に導電性材料をパターン化する能力に対するレリーフパターン構成のこれらの影響を左右する、基盤となる現象及びメカニズムは複雑であり、いくつかの場合では互いに一致しない。
【0025】
スタンプ又はプレートと基材との間の接触領域により大きな局所的圧力をもたらす、この2つの間のより大きな力の付加は、一般に、高密度のピンホールのない導電体領域のエッチングによるパターン化を可能とする、自己組織化単層を形成する分子の単層の転写に有用であることが判明しているが、レリーフパターンの隆起表面形状間の領域におけるスタンプの崩壊へとつながり得る。別の例として、隆起表面形状の間隔が互いに近接すると、スタンプの崩壊及びレリーフパターンの隆起表面形状間の意図しない導電体領域の生成の回避に有用であることが判明しているが、表面形状が互いにより近接するように形成されているため、スタンプ又はプレートからの十分なSAM形成分子の利用可能性に対するパターン密度の明白な悪影響が、実質的にピンホールを含まないエッチング後の導電体領域を提供することができないSAMマスクの印刷へとつながる。高密度パターンにおいて表面形状を保護するために十分なSAM形成分子の濃度を有することに関する同じ懸念が、エッチング中の印刷されたSAMを有する大きな表面形状の保護の必要性にも適用される。また、重要なことに、そのようなパラメーターがより小さい表面形状に対する表面形状サイズの正確性に与え得る悪影響は、スタンプにおけるSAM形成分子の十分な濃度及び大きい表面形状領域内での適正なSAM形成を可能とする十分なスタンピング時間を有する要望に反する。確かに、導電体のマイクロコンタクト印刷によるパターン化においては、多くの因子間で複雑な相互作用がある。重要なことに、上に列挙し詳説した効果は、上述の方法を商業的実行可能性に必要とされる益々速い速度でマイクロコンタクト印刷及びエッチングに適用しようと試みた場合、実質的により管理が困難となる。この複雑さにもかかわらず、スタンプ又は印刷プレートレリーフパターン構成から得られるようなある特定の望ましい導電体パターン構成は、魅力的な速度でマイクロコンタクト印刷及びエッチングにより製作され得ることが判明している。
【0026】
本発明者らは、マイクロコンタクト印刷スタンプの隆起表面形状のある特定の2次元パターン構成が、スタンプがSAM系エッチングマスクの印刷に使用された場合、効果的、効率的及び再現可能なエッチングされた金属パターンの生成を可能とすることを見出した。本発明におけるパターン構成は、本質的に無数の異なる形態をとることができるが、それらはすべて以下に記載のようなある特定の説明と一致する。
【0027】
パターンのすべては、低密度領域を含む。低密度とは、スタンプの隆起表面形状の面積関数、又はパターン化のための基材からのエッチング後に残留する金属の面積関数が、以下に示されるように低いことを意味する。低密度という用語は、本明細書において充填係数又は充填率と交換可能に使用されるパターン密度を指す。「低密度の」は、低密度と交換可能に使用される。パターンにおける低密度領域は、少なくとも5mmの面積、好ましくは少なくとも10mmである。いくつかの実施形態において、低密度領域は、1平方センチメートル(cm)を超える面積、10cmを超える面積、50cmを超える面積、又は更に100cmを超える面積である。
【0028】
いくつかの実施形態において、パターンは、他の任意の型の領域が存在するかしないかの要件なしに、低密度領域を含む。他の実施形態において、パターンは、より大きいパターン表面形状(例えば、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも25μmの幅、例えば100μm〜1000μmの幅)を含む。後者の更なる例として、スタンプ上の隆起表面形状のパターン(エッチング後の金属パターンを画定する)は、低密度領域全体に対し許容されるような同じサイズの、例えば5mm以上のより大きい隆起表面形状を含み得る。そのような隆起表面形状は、それ自体の密度又は充填率が1(これは低くはない)である領域を画定する。スタンプのパターン、ひいてはパターン化のためのエッチング後の金属は、2次元レリーフパターンを画定する隆起表面形状で構成される。隆起表面形状内に位置しないレリーフパターンにおけるすべての点は、本明細書において、レリーフパターンにおける「非隆起点」と記述される。
【0029】
低密度の領域における構成は、好ましくは、非平行線状要素の形態の隆起表面形状を含む。非平行線状要素を含むとは、パターンが、線形要素のすべてが互いに平行なわけではない線状要素を含むことを意味する。非平行線状要素を備える構成は、例えば10%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は更に低い、例えば0.5%の驚異的に低い充填率を有する金属パターンを生成し得る容易性を大きく増加させる。パターン又はパターンの領域においてこれらの充填率値が好ましいが、パターンが5%を超える、10%を超える、又は更に15%を超える充填率を有する場合も、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態においては、低密度領域内の充填率は0.5%〜20%の間であり、いくつかの実施形態においては0.5%〜15%の間であり、いくつかの実施形態においては0.5%〜10%の間であり、いくつかの実施形態においては0.5%〜5%の間であり、いくつかの実施形態においては0.5%〜4%の間であり、いくつかの実施形態においては1%〜3%の間である。
【0030】
低密度領域におけるスタンプの隆起表面形状のパターン、ひいてはエッチング後の導電体要素のパターンはまた、隣接表面形状及び隣接要素の間の距離値に関して説明することができる。低密度領域におけるスタンプのすべての隆起表面形状間の距離値は、約1mm以下であることが好ましい。いくつかの実施形態において、すべての隣接隆起表面形状間の距離値は、約500μm以下であることが更に好ましい。しかしながら、隣接表面形状及び隣接要素の間の距離値が1mmを越える、例えば1mm〜2mmの間、又は1mm〜5mmの間である場合も、本開示の範囲内である。低密度領域における隣接隆起表面形状間の距離値を決定するためには、まず隣接隆起表面形状を特定する。隣接隆起表面形状は、孤立した隆起表面形状を備える低密度領域に対し、隆起線状表面形状の2次元メッシュを備える低密度領域では異なって特定される。まず隆起表面形状の2次元メッシュ(例えば、正方形メッシュ、六角形メッシュ、又はその他の多角形メッシュを画定する隆起表面形状)の場合を考えると、隣接隆起表面形状は、それらが画定するメッシュセルに関して画定される。異なるメッシュセル形状に対しては、隣接隆起表面形状の特定には異なる原則が必要である。まず、セルの空きエリアの重心が空きエリア内に位置する(すなわち、セルが内部重心を有する)メッシュセルの場合、そのセルの隣接隆起表面形状は、重心を通って引くことができ、またセルの2つの境界に延びる可能な限り短い直線と交差し、そのセルの隣接隆起表面形状間の距離値は、その直線の長さである。上記の場合において、直線が接触するもの以外の隆起表面形状は、隣接しているとはみなされない。次に、セルの空きエリアの重心が空きエリアの外に位置する(すなわち、セルが外部重心を有する)メッシュセルの場合、そのセルの隣接隆起表面形状は、まずセルエリアを、部分セルエリアのそれぞれが自身の重心をその部分セルエリア内に有する(すなわち、各部分セルエリアが内部重心を有する)のに必要な最小数の部分セルエリアに分割することにより画定される。すると、そのようなメッシュセルに対して、隣接隆起表面形状の複数の対が存在し、1つの対は、各部分セルエリアに対応する。各部分セルエリアにおいて、その部分セルエリアの隣接隆起表面形状は、その部分セルエリアの重心を通って引くことができ、部分セルエリアの2つの境界に延びる可能な限り短い直線と交差する隆起表面形状であり、その部分セルエリアの隣接隆起表面形状間の距離値は、その直線の長さである。孤立した隆起表面形状を備える低密度領域の場合、隣接隆起表面形状は、当業者により直接的に理解される。それらは、それらの間の空間に他の隆起表面形状が存在しない隆起表面形状の対である。低密度領域の好ましいスタンプレリーフパターン構成には、セルが内部重心を有し、セルの隣接隆起表面形状が、その間に約1mm以下、又は約500μm以下の距離値を有する、2次元メッシュを画定する隆起表面形状が含まれる。
【0031】
レリーフパターンの充填係数は、低密度の領域において均一であることが好ましい。より具体的には、低密度の領域において、領域の任意の部分における隆起表面形状により占有される面積関数として表現される隆起表面形状の密度は、低密度の領域全体における平均密度のパーセンテージとして表現されるある特定の変動性係数を超えて変動しない。その面積部分の関連したサイズは、1mm、2mm、5mm、及び10mmを含む。多くの実施形態において、変動性係数は、75%未満、又は50%未満、又は25%未満、又は10%未満、又は5%未満、又は更に低い。
【0032】
図1〜図5は、有用な導電性マイクロパターンの制限されない組を提供する。図1は、低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、トレースの充填率は約3%となる。図2は、低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、示される破断点は約10μmの寸法であり、トレースの充填率は約3%となる。図3は、低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、約1.2mm×1.2mmの寸法であり、長さ約225μm、幅約3μmの寸法の40個の導電体の孤立セグメントを含み、トレースの充填率は約2%となる。図4は、低密度導電性マイクロパターンを示し、低密度パターンは、幅3μmのトレース、及び約175μmの六角形セルの頂点間の幅を含み、トレースの充填率は約3%となる。図5は、低密度マイクロパターン領域を備える導電性パターンを示し、低密度マイクロパターン領域は、2つの直行する方向のそれぞれにおいて200μmのピッチの幅3μmのトレースを含み、トレースの充填率は約3%となり、連続金属領域の形態のより大きな表面形状は、1.2mm×1.2mmの寸法である。
【0033】
非平行線状要素に関して、好ましい低密度パターン構成は、複数の線状要素を有し、非隆起点の周囲のすべての方向(プラス又はマイナス10度以内)において線状要素からある特定の距離(本明細書において、線状要素からの「最大分離距離」と呼ばれる)を超える非隆起点を有さないことを特徴とする。所与の方向からのプラス又はマイナス10度の制限は、線状要素間に微小な開きが存在する場合も本開示の範囲内に含まれることを認めるものである。微小な開きを有する線状要素は、連続的要素間、例えばメッシュ間の領域の一部においてスタンプを支持するために、低密度領域において特に有用である。
【0034】
図6は、スタンプの低密度レリーフパターン領域100を示し、実線110はスタンプ表面上の線状隆起表面形状に対応し、点線は領域の輪郭を示している。低密度マイクロパターンは、700μmのピッチの幅3μmの隆起線状表面形状110を備え、隆起表面形状の充填率は約1%となっている。非隆起点120は、隆起表面形状間の空間に位置している。大きさが1mmの寸法のベクトル130は、周回ベクトル(satellite vector)140及び150、並びに点線により境界されるエリア160とともに、すべての角度(360度)にわたり掃引することができ、すべての角度に対し隆起線状要素と重なることが分かる。そのような状況下で、非隆起点は、すべての方向において1mm未満の隆起線状表面形状からの最大分離距離を有すると言われる。
【0035】
図7は、スタンプの低密度レリーフパターン領域200を示し、実線210はスタンプ表面上の線状隆起表面形状に対応し、点線は領域の輪郭を示している。低密度マイクロパターンは、700μmのピッチの幅3μmの隆起線状表面形状210を備え、示される破断点は約10μmの寸法であり、隆起表面形状の充填率は約1%となっている。非隆起点220は、隆起表面形状間の空間に位置している。大きさが1mmの寸法のベクトル230は、周回ベクトル240及び250、並びに点線により境界されるエリア260とともに、すべての角度(360度)にわたり掃引することができ、すべての角度に対し隆起線状要素と重なることが分かる。そのような状況下で、非隆起点は、すべての方向において1mm未満の隆起線状表面形状からの最大分離距離を有すると言われる。
【0036】
好ましくは、線状要素までのすべての非隆起点の最大分離距離は、上述のように、1mm未満、又は750μm未満、又は500μm未満、又は400μm未満、又は300μm未満、又は100μm未満、又は50μm未満、又は更に小さい。線状要素は、その幅よりも少なくとも3倍大きい、又は5倍を超える、又は10倍を超える長軸又は弧の長さを有する。スタンプの隆起表面形状から得られる導電体要素のために電気的連続性が必要とされない領域では、線状要素の特定の設置及び形状に対し見出されている印刷の利益は、本質的に密接して離間した線状配置を形成する、極めて近接して離間した等軸要素の設置により達成され得ることが、当業者には理解される。後者の場合、密接して離間した要素の線状配置は、線状導電体要素とみなされる。線状要素は互いから孤立していてもよいが、いくつかの実施形態においては、それらが結合して、例えば正方形メッシュ又は六角形メッシュ又はその他の多角形メッシュ等のメッシュの網状組織を形成する。多くの実施形態において、線状要素は、約25μm以下、又は約10μm以下、又は約5μm以下、又は約2μm以下の幅を有する。線状要素は、いくつかの実施形態においては0.5μm〜25μmの間、いくつかの実施形態においては0.5μm〜10μmの間、いくつかの実施形態においては1μm〜10μmの間、いくつかの実施形態においては1μm〜5μmの間、いくつかの実施形態においては1μm〜4μmの間、いくつかの実施形態においては1μm〜3μmの間、いくつかの実施形態においては2μm〜3μmの間の幅を有する。
【0037】
金属の低充填係数パターンが望ましいある特定の用途においては、特にポリマーフィルム基材上において、1μm〜10μmの間の幅を有し、線状要素からの最大分離距離が1mmを超える非隆起点を有さない、隆起線状要素の2次元メッシュを備えるスタンプパターンが、0.5%〜5%の間、例えば2%又は3%の充填係数を有する金属パターンを生成する上で有利であることが判明している。更に、2μm〜5μmの間の幅を有し、線状要素からの最大分離距離が750μmを超える非隆起点を有さない、隆起線状要素の2次元メッシュを備えるスタンプレリーフパターンが、0.5%〜5%の間、例えば2%又は3%の充填係数を有する金属パターンを生成する上で有利であることが判明している。更に、1μm〜3μmの間の幅を有し、線状要素からの最大分離距離が500μmを超える非隆起点を有さない、隆起線状要素の2次元メッシュを備えるスタンプレリーフパターンが、0.5%〜5%の間、例えば2%又は3%の充填係数を有する金属パターンを生成する上で有利であることが判明している。
【0038】
上述のスタンプ構成は、標準的スタンプ材料(例えば、0.5MPa〜5MPaの間の弾性率を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばSylgard 184の商品名でDow Corning社(Midland、Michigan)から販売されているPDMS)に対するスタンプ崩壊の問題に対処するために、特にi)生成に便利である、ii)隆起表面形状の座屈の問題を示さない、及びiii)スタンプのバルク内でインク分子が印刷表面に到達する長い拡散経路をもたらさないスタンプレリーフの規模(magnitude)にとって有利である。
【0039】
上述の2次元パターン構成において、特に便利で有用なスタンプパターンの規模は、0.5μm〜10μmの間、又は0.75μm〜5μmの間、又は1μm〜2μmの間にある。より高い弾性率のPDMS等のスタンプ崩壊を回避するための他のそのような材料とは対照的に、上述の標準的なスタンプ材料を使用することができることが好ましいが、それは、標準的な材料は、有利な移送特性、及び滑らかでない表面、例えばポリマーフィルム等の基材の金属化表面(非常に滑らかな半導体ウエファーとは対照的に)への接触の適合可能性に関連する、プロセス処理量に関する相対的利点を提供するためである。
【0040】
いくつかの実施形態において、上述の低密度領域に加え、スタンプの2次元パターン、ひいては基材上の最終的な導電体パターンは、より大きい表面形状を含む。おり大きい表面形状は、少なくとも25μmの最小寸法を有する。より大きい表面形状の例としては、幅が少なくとも25μm(最小寸法)の線、及び辺の長さ(最小寸法)が少なくとも25μmである正方形パッドが挙げられる。複雑な構成の場合、例えば連続的な導電体堆積物が微細なスケールの要素及びより大きいスケールの要素を含み得る場合、より大きいスケールの要素に対する微細スケールの要素の取り付けは、表面形状として、より大きいスケールの要素の最小寸法を微細なスケールの要素の最小寸法まで低減させないことが、当業者に理解される。より明確には、例えば、1mm×1mmの寸法の正方形パッドを含み、かつパッドに取り付けられた微細なスケールのトレース(例えば幅1μm)を含む、例えば低密度メッシュを形成する基材上の連続導電体堆積物は、より大きな表面形状(パッド)及び低密度メッシュで構成される(すなわち、1mm×1mm幅のパッドへの1μm幅のトレースの取り付けは、パッドを含む表面形状の最小寸法を1μmとせず、したがってより大きい表面形状の定義内である).より大きい表面形状は、いくつかの実施形態においては少なくとも50μm、いくつかの実施形態においては少なくとも100μm、いくつかの実施形態においては少なくとも200μm、いくつかの実施形態においては少なくとも500μm、いくつかの実施形態においては少なくとも1mmの最小寸法を有する。
【0041】
特に金属化ポリマーフィルムから出発する、マイクロコンタクト印刷及びそれに続くエッチングによる上述の構成の金属パターンの費用効率の良い生成のために、好ましいスタンプインク付け手順及びパラメーター、並びに印刷パラメーターが発見されている。より具体的には、SAM系エッチングマスクの実用的な高速印刷のための好ましい分子及びスタンプ中の濃度が明らかにされている。分子は、金属表面上にチオレート単層を生成し、アルキルチオール、ジアルキルジスルフィド、アルキルキサンテート、ジチオホスフェート、及びジアルキルチオカルバメートを含む。分子は、硫黄原子に連結した後部基(複数を含む)で特徴付けられ、後部基(複数を含む)は、その主鎖に沿って14個〜20個の原子、好ましくは16、17、又は18個の原子を有する。主鎖に沿った原子は、好ましくは炭素原子である。好ましくは、インク溶液は、アルキルチオール、例えば直鎖アルキルチオール等:
HS(CH
を含み、式中、nはメチレン単位の数であり、Xはアルキル鎖の末端基(例えば、X=−CH、−OH、−COOH、−NH等)である。好ましくは、X=−CHであり、n=15、16、又は17であり、それぞれ16、17、又は18の鎖長に対応する。他の有用な鎖長には、19及び20が含まれる。金属への連結のための硫黄含有先端基を有する直鎖分子の場合、鎖長は、硫黄原子に結合した原子(これを含む)と直鎖配列における最終炭素原子との間の結合原子の直鎖配列に沿った原子の数として決定される。例えば鎖を画定する結合原子の直鎖配列に側鎖基が連結した、単層形成分子が分岐している場合も本開示の範囲内である。有用な末端基には、例えば(1)Ulman,「Formation and Structure of Self−Assembled Monolayers」,Chemical Reviews Vol.96,pp.1533−1554(1996)、及び(2)Love et al.,「“Self−Assembled Monolayers of Thiolates on Metals as a Form of Nanotechnology”」,Chemical Reviews Vol.105,pp.1103〜1169(2005)において説明されているものが含まれる。SAM形成分子は、部分的にフッ素化又は過フッ素化されていてもよい。本明細書において、具体的なSAM形成分子が有用又は好ましいものとして挙げられている場合、意図される使用のための重要な印刷属性をそれらの分子と共有する他の分子も同等に有用又は好ましいことが、当業者に理解される。
【0042】
SAM形成分子は、印刷表面に隣接して、好ましくは特定範囲内の濃度でスタンプ中に存在する。スタンプの印刷表面への隣接性に関して、濃度は、スタンピング表面から10μmの距離内にあるものとして定義されるスタンプの体積に対し特定されると考慮され得る。スタンプ中の濃度は、例えば、スタンプの印刷表面からのエラストマーの薄層を作製し、次いで、例えばまず薄層からの単層形成分子のリーチングあり又はなしで薄層の化学分析を行うことにより、測定することができる。有用な分析方法には、当該技術分野において既知のように、質量分析法、及び核磁気共鳴分光法又は赤外分光法等の分光法が含まれる。
【0043】
低密度領域を備えるパターンに対する上記のパターン構成の説明に関して、マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、効果的、効率的、及び再現可能に金属導電体堆積物として基材上にパターンを形成することは、0.1秒〜10秒の間のスタンピング時間に加え、上述のような印刷表面に隣接したスタンプ中のヘキサデシルチオール(HDT)濃度が0.05mM〜5mMの間である場合、達成可能であることが判明している。このウィンドウ内の好ましい空間は、0.1mM〜1mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。このウィンドウ内のより好ましい空間は、0.1mM〜0.5mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。これらのウィンドウ以外では、エッチング後の導電体パターンは、低いエッチング選択性又は最終的なパターンが有用とならない表面形状の広がりの形で欠陥を有することが判明した。パターン化の有効性、効率、及び再現性に関して、上述のプロセスウィンドウは、費用効率が良くなるのに十分短いが、制御が過度に困難となるほど短くはないスタンピング時間を可能とする。ウィンドウはまた、高速連続印刷における十分一貫性のある表面形状サイズ及び全体的なパターン品質に関し再現性があることが見出されたプロセス空間を画定する。このウィンドウ以外では、プロセスパラメーターの他の組み合わせは、10回の印刷までの繰り返し印刷を可能とするには不適切であることが判明した。対照的に、上記ウィンドウ内のパラメーターは、優れたパターン品質及び有用な表面形状サイズ正確性をもって、10回を超える連続印刷を可能とした。標的スタンピング時間と併せて、上述のような濃度範囲は、低密度領域、例えば上述のような微細なスケールの表面形状を備える低密度領域を備えるパターンに有用であることが判明した。好ましくは、基材にスタンプを載せた後に印刷中加えられる圧力は、スタンプと基材との間の実際の接触面積に対し、0キロパスカル〜10キロパスカルである。ヘキサデシルチオールに対する、また例えば微細な表面形状を有する低密度領域を備えるパターンに対する上述のプロセスウィンドウは、16原子(先端基、例えばチオール先端基を含まず、水素ではない)の長さである、又はヘキサデシルチオールと重要な印刷属性を共有する他の単層形成分子に有用であるとみなされる。
【0044】
低密度領域を備えるパターンに対する上記のパターン構成の説明に関して、マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、効果的、効率的、及び再現可能に金属導電体堆積物として基材上にパターンを形成することは、0.1秒〜10秒の間のスタンピング時間に加え、上述のような印刷表面に隣接したスタンプ中のオクタデシルチオール(ODT)濃度が0.05mM〜20mMの間である場合、達成可能であることが判明している。このウィンドウ内の好ましい空間は、0.5mM〜10mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。このウィンドウ内のより好ましい空間は、0.5mM〜5mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。これらのウィンドウ以外では、エッチング後の導電体パターンは、低いエッチング選択性又は最終的なパターンが有用とならない表面形状の広がりの形で欠陥を有することが判明した。パターン化の有効性、効率、及び再現性に関して、上述のプロセスウィンドウは、費用効率が良くなるのに十分短いが、制御が過度に困難となるほど短くはないスタンピング時間を可能とする。ウィンドウはまた、高速連続印刷における十分一貫性のある表面形状サイズ及び全体的なパターン品質に関し再現性があることが見出されたプロセス空間を画定する。このウィンドウ以外では、プロセスパラメーターの他の組み合わせは、10回の印刷までの繰り返し印刷を可能とするには不適切であることが判明した。対照的に、上記ウィンドウ内のパラメーターは、優れたパターン品質及び有用な表面形状サイズ正確性をもって、10回を超える連続印刷を可能とした。標的スタンピング時間と併せて、上述のような濃度範囲は、低密度領域、例えば上述のような微細なスケールの表面形状を備える低密度領域を備えるパターンに有用であることが判明した。好ましくは、基材にスタンプを載せた後に印刷中加えられる圧力は、スタンプと基材との間の実際の接触面積に対し、0キロパスカル〜10キロパスカルである。オクタデシルチオールに対する、また例えば微細な表面形状を有する低密度領域を備えるパターンに対する上述のプロセスウィンドウは、18原子(先端基、例えばチオール先端基を含まず、水素ではない)の長さである、又はオクタデシルチオールと使用目的に重要な印刷属性を共有する他の単層形成分子に有用であるとみなされる。オクタデシルチオール及び類似の分子は、ヘキサデシルチオール及び類似の分子より好ましい。
【0045】
低密度領域及びより大きい表面形状を備えるパターンに対する上記のパターン構成の説明に関して、マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、効果的、効率的、及び再現可能に金属導電体堆積物として基材上にパターンを形成することは、0.1秒〜10秒の間のスタンピング時間に加え、上述のような印刷表面に隣接したスタンプ中のヘキサデシルチオール濃度が0.5mM〜5mMの間である場合、達成可能であることが判明している。このウィンドウ内の好ましい空間は、0.5mM〜1mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。これらのウィンドウ以外では、エッチング後の導電体パターンは、低いエッチング選択性又は最終的なパターンが有用とならない表面形状の広がりの形で欠陥を有することが判明した。パターン化の有効性、効率、及び再現性に関して、上述のプロセスウィンドウは、費用効率が良くなるのに十分短いが、制御が過度に困難となるほど短くはないスタンピング時間を可能とする。ウィンドウはまた、高速連続印刷における十分一貫性のある表面形状サイズ及び全体的なパターン品質に関し再現性があることが見出されたプロセス空間を画定する。このウィンドウ以外では、プロセスパラメーターの他の組み合わせは、10回の印刷までの繰り返し印刷を可能とするには不適切であることが判明した。対照的に、上記ウィンドウ内のパラメーターは、優れたパターン品質及び有用な表面形状サイズ正確性をもって、10回を超える連続印刷を可能とした。標的スタンピング時間と併せて、上述のような濃度範囲は、低密度領域、例えば上述のような微細なスケールの表面形状を備える低密度領域を備えるパターンに有用であることが判明した。好ましくは、基材にスタンプを載せた後に印刷中加えられる圧力は、スタンプと基材との間の実際の接触面積に対し、0キロパスカル〜10キロパスカルである。ヘキサデシルチオールに対する、また例えば微細な表面形状を有する低密度領域を備えるパターンに対する上述のプロセスウィンドウは、16原子(先端基、例えばチオール先端基を含まず、水素ではない)の長さである、又はヘキサデシルチオールと重要な印刷属性を共有する他の単層形成分子に有用であるとみなされる。
【0046】
低密度領域及びより大きい表面形状を備えるパターンに対する上記のパターン構成の説明に関して、マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、効果的、効率的、及び再現可能に金属導電体堆積物として基材上にパターンを形成することは、0.1秒〜10秒の間のスタンピング時間に加え、上述のような印刷表面に隣接したスタンプ中のオキサデシルチオール濃度が0.5mM〜20mMの間である場合、達成可能であることが判明している。このウィンドウ内の好ましい空間は、0.5mM〜10mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。このウィンドウ内のより好ましい空間は、1mM〜5mMの間の濃度及び0.5秒〜5秒の間のスタンピング時間により画定される。これらのウィンドウ以外では、エッチング後の導電体パターンは、低いエッチング選択性又は最終的なパターンが有用とならない表面形状の広がりの形で欠陥を有することが判明した。パターン化の有効性、効率、及び再現性に関して、上述のプロセスウィンドウは、費用効率が良くなるのに十分短いが、制御が過度に困難となるほど短くはないスタンピング時間を可能とする。ウィンドウはまた、高速連続印刷における十分一貫性のある表面形状サイズ及び全体的なパターン品質に関し再現性があることが見出されたプロセス空間を画定する。このウィンドウ以外では、プロセスパラメーターの他の組み合わせは、10回の印刷までの繰り返し印刷を可能とするには不適切であることが判明した。対照的に、上記ウィンドウ内のパラメーターは、優れたパターン品質及び有用な表面形状サイズ正確性をもって、10回を超える連続印刷を可能とした。標的スタンピング時間と併せて、上述のような濃度範囲は、低密度領域、例えば上述のような微細なスケールの表面形状を備える低密度領域を備えるパターンに有用であることが判明した。好ましくは、基材にスタンプを載せた後に印刷中加えられる圧力は、スタンプと基材との間の実際の接触面積に対し、0キロパスカル〜10キロパスカルである。オクタデシルチオールに対する、また例えば微細な表面形状を有する低密度領域を備えるパターンに対する上述のプロセスウィンドウは、18原子(先端基、例えばチオール先端基を含まず、水素ではない)の長さである、又はオクタデシルチオールと重要な印刷属性を共有する他の単層形成分子に有用であるとみなされる。オクタデシルチオール及び類似の分子は、ヘキサデシルチオール及び類似の分子より好ましい。
【0047】
特に上記のSAM形成分子に対する濃度範囲は、スタンプの表面上又はスタンプ内でのSAM形成分子の望ましくない沈殿を回避する必要性に一部基づいて決定された。ある特定の濃度、特に高濃度(例えば、PDMS中10mMのオクタデシルチオール)が印刷に有用であるが、拡張された使用又は反復的使用中に、本開示の焦点である望ましくない沈殿を形成し得ることが判明した。この沈殿の問題は、エイコサンチオール(20炭素鎖チオール)に対しては特に問題となるが、その分子を使用することができない程度ではない。
【0048】
SAM形成分子の上記明細及び濃度は、特に好ましい分子の場合、特に上記構成のSAM系マスクを高い処理量で特に金属化ポリマーフィルム基材上に生成することができるインク付きスタンプをもたらす。インク付きスタンプは、好ましくは特定の基材、例えばポリマーフィルム基材に対し、エッチングマスクとして有用となるのに十分なSAMの完全性及びSAM拡散の制限の必要性を最適に考慮しながら、上記構成に対し商業的に魅力的な印刷時間でSAMマスクをスタンピング又は印刷する上で好ましいことが判明している。本発明によれば、スタンプと金属表面との間の接触時間(印刷時間)は、0.1秒〜30秒の間、好ましくは0.1秒〜10秒の間、より好ましくは0.5秒〜5秒の間にある。
【0049】
上述のスタンプを使用した上述のスタンピング又は印刷のプロセスは、崩壊をもたらさないスタンプと基材との間の任意の圧力レベルで行うことができる。有用な圧力レベルの例としては、100キロパスカル未満、50キロパスカル未満、25キロパスカル未満、又は更に10キロパスカル未満が挙げられる。本明細書に記載の方法は、大きな圧力を加えることなくマイクロコンタクト印刷により金属パターンを形成する上で特に有用である。加える圧力を増加させるとSAM転写の品質を改善することができ、したがってより良いエッチングマスクを生成することができるが、スタンプの変形によるパターンの忠実度を損なう可能性がある。
【0050】
上述のインク付きスタンプ及び印刷条件は、上述の構成のSAM系エッチングマスクパターンの反復的スタンピングを実行する上で特に有用である。反復的スタンピングとは、スタンプが一度インク付けされたら、スタンプは、新たな金属表面領域上、例えば新たな金属化基材部品上に印刷エッチングマスクを繰り返し生成するように使用され得ることを意味する。インク付けされたスタンプは、インク付け工程を繰り返さずに、5回を超える、10回を超える、20回を超える、30回を超える、40回を超える、又は50回を超える印刷を行う上で有用である。上述のスタンプを使用した、そのレリーフパターン及びインク濃度でのそのような反復的印刷における印刷間の時間は、好ましくは短く、例えば30秒未満、又は15秒未満、又は10秒未満、又は5秒未満である。
【0051】
低密度の領域における線状表面形状又は要素がより大きい表面形状に接触する、低密度領域とより大きい表面形状との間の接合部を有するパターンの場合、いくつかのパターン構成は、より大きい表面形状に接触する前の線状表面形状の広がりを含む。例えば、大きい表面形状に接触する幅1μm〜5μmの線状要素は、より大きい表面形状から、その幅の1倍〜10倍の長さにわたってそのような幅まで先細りとなり得る。先細りは、効果的なパターン化の維持の補助となり得る。いくつかのインク付け及び印刷パラメーターに対し、そのような狭い線状要素の大きい表面形状に接触する部分は、エッチング中、印刷されたSAMによる保護が不十分となり得、より大きい表面形状に近い線状要素の分解へとつながる。
【0052】
有用な可視光線透明基材としては、ポリマーフィルムが挙げられる。有用なポリマーフィルムとしては、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーフィルムが挙げられる。熱可塑性プラスチックの例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びポリエステルが挙げられる。熱可塑性樹脂の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。
【0053】
金属コーティングされた可視光線透明基材としては、次いでエッチングによりパターン化される、自己組織化単層を支持するためのポリマーフィルム基材上の無機材料コーティング(例えば金属コーティング)を有する、上述のポリマーフィルムが挙げられる。無機コーティングには、例えば、元素金属、金属合金、金属間化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。自己組織化単層を担持するための代表的な無機表面としては、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、タンタル、並びにこれら元素の混合物、合金、及び化合物が挙げられる。ポリマー基材上の無機コーティングは、任意の厚さ、例えば1ナノメートル(nm)〜3000nmであってもよい。無機材料コーティングは、任意の便利な方法、例えば、スパッタリング、蒸着、化学気相成長法、又は化学溶液堆積法(無電解メッキを含む)を利用して堆積することができる。
【0054】
上述の有利なパターン構成、インク付け条件、及び印刷条件は、後にエッチングによりパターン化される特定の金属に対しそのように特定されている。好ましい金属は銀、金、及びパラジウムであるが、他の金属をエッチングによりパターン化することも、本発明の範囲内である。本発明に従い生成されたSAMマスクは、5nm〜1000nmの間、又は10nm〜500nmの間、又は15nm〜200nmの間、又は20nm〜100nmの間の厚さの上述の金属をエッチングによりパターン化する上で特に有用である。金属は、パターン化の前に、スパッタリング又は蒸留を含む任意の既知の堆積方法により、又は無電解めっき等の溶液法により、基材上に堆積させることができる。エッチングは、当技術分野において知られた方法を使用して行うことができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、金属パターンを形成するための方法は、上述の議論と対比して、スタンプ又はプレートと基材との間の逆のレリーフ関係を含む。すなわち、これらの実施形態において、スタンプに対して有用であると従前説明されたレリーフパターンは基材の特徴であり、スタンプは本質的に表面形状を有さない。パターン構成、金属、インク付け、及び印刷時間等を含む他のすべての点において、これらの実施形態は、レリーフ構造スタンプ又はプレート及び平坦基材の使用に関し上述されたものと同じである。有用な金属化レリーフ構造基材の例は、銀蒸気でコーティングされたマイクロ複製ポリマーフィルムである。チオール注入スタンプ(例えばPDMS)又は輪転印刷プレート、例えばレリーフ構造を含まないものは、基材表面の導電体でコーティングされたレリーフパターンの隆起領域への自己組織化単層マスクの転写に使用することができる。後の工程において、導電体は、レリーフパターンの隆起表面形状と相補的な領域から選択的にエッチングされ、隆起表面形状に従った導電体パターンが得られる。
【0056】
図13は、タッチスクリーンセンサー100の概略図を示す。タッチスクリーンセンサー100は、タッチ検知エリア105を有するタッチ検知パネル110を含む。タッチ検知エリア105は、タッチセンサー駆動デバイス120に電気的に結合されている。タッチスクリーンパネル110は、表示デバイスに組み込まれている。
【0057】
図14は、タッチスクリーン感知エリア305内に存在する導電性可視光線透明領域301の斜視図を示す。導電性可視光線透明領域301は、可視光線透明基材330、及び可視光線透明基材330上又はその中に堆積された導電性マイクロパターン340を含む。可視光線透明基材330は主表面332を含み、電気絶縁性である。可視光線透明基材330は、任意の有用な電気絶縁性材料、例えばガラス又はポリマー等で形成され得る。光線透明基材330に有用なポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。導電性マイクロパターン340は、本明細書に記載の方法に従い形成された複数の線状金属表面形状で形成され得る。
【0058】
図14はまた、タッチ検知エリア305内にある導電性可視光透明領域301を説明する上で使用するための座標軸系を示す。一般に、ディスプレイ装置の場合、x及びy軸はディスプレイの幅及び長さに対応し、z軸は典型的にディスプレイの厚さ(すなわち高さ)方向に沿っている。この取り決めは、特に明記しない限り、全体を通して使用される。図14の座標軸系において、x軸及びy軸は、可視光線透明基材330の主表面332と平行に画定され、正方形又は矩形表面の幅及び長さ方向に対応し得る。z軸は、その主表面に垂直であり、典型的に可視光線透明基材330の厚さ方向に沿っている。導電性マイクロパターン340を形成する複数の線状金属表面形状の幅は、y軸に沿って線状に延在する平行線状金属表面形状のx方向の距離に対応し、直行線状金属表面形状のy方向の距離は、直行線状金属表面形状の幅に対応する。線形金属表面形状の厚さ又は高さは、z方向の距離に対応する。
【0059】
いくつかの実施形態において、タッチ検知エリア305内にある導電性可視光線透明領域301は、導電性マイクロパターン340を有する2つ又はそれ以上の可視光線透明基材330を含む。
【0060】
導電性マイクロパターン340は、主表面332上に堆積される。センサーはタッチスクリーンディスプレイを形成するためにディスプレイ、又はタッチパネルディスプレイに連結されるため、基材330は可視光線透明であり、実質的に平面である。基材及びセンサーは、実質的に平面で可撓性であってもよい。可視光線透明とは、ディスプレイにより描写される情報(例えば文章、画像、又は図)がタッチセンサーを通して閲覧することができることを意味する。光を遮蔽するのに十分厚い厚さで堆積された金属であっても、金属が適切なマイクロパターンで堆積されれば、堆積された金属の形態での導電体を含むタッチセンサーにおいて見易さ及び透明を達成することができる。
【0061】
導電性マイクロパターン340は、情報を描写するディスプレイの閲覧可能部分に重なる少なくとも1つの可視光線透明導電性領域を含む。可視光線透明導電性とは、ディスプレイの一部が導電性マイクロパターンの領域を通して閲覧することができ、マイクロパターンの領域がパターンの平面内で、又は換言すると、導電性マイクロパターンが堆積されそれと隣接する基材の主表面に沿って導電性であることを意味する。好ましい導電性マイクロパターンは、2次元メッシュ、例えば正方形グリッド又は正六角形網状組織を備える領域を含み、導電性トレースが、メッシュのトレースと電気的に接触した導電体で堆積されていないメッシュ内の囲まれた空きエリアを画定する。空いた空間及びその端部の関連した導電体トレースは、本明細書においてセルと呼ばれる。メッシュセルの他の有用な構成は、ランダムなセル形状及び不規則な多角形を含む。
【0062】
例示的な一実施形態において、タッチスクリーンを製造する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有する金属コーティングされた可視光線透明基材を提供する工程を含み、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜10%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約0.5μm〜25μmの間の幅値を有する線状セグメント、及び1mm未満の隣接線状セグメント間の距離値を有する。この方法は、自己組織化単層形成分子でインク付けされたインク付きエラストマースタンプを、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させ、次いで金属をエッチングして可視光線透明基材の隆起表面形状に導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【0063】
別の例示的実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含み、インク付きスタンプは、16原子〜18原子の鎖長を有する直鎖有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1mM〜10mMのスタンプ内濃度で備え、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの幅値を有する線状セグメント、1mm未満の隣接隆起表面形状間の距離値、及び少なくとも幅25μmの寸法の隆起表面形状を有する。この方法は、インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程であって、0.5秒〜10秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる接触工程を含む。この方法はまた、金属をエッチングして、可視光線透明基材上にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【0064】
別の例示的実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含み、インク付きスタンプは、16原子〜18原子の鎖長を有する直鎖有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1mM〜10mMのスタンプ内濃度で備え、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの幅値を有する線状セグメント、1mm未満の線状セグメント間の距離値、及び少なくとも幅150μmの寸法の隆起表面形状を有する。この方法は、インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程であって、0.5秒〜10秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる接触工程を含む。この方法はまた、金属をエッチングして、可視光線透明基材上にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【0065】
別の例示的実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含み、インク付きスタンプは、オクタデシルチオールを含む直鎖有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1mM〜10mMのスタンプ内濃度で備え、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの幅値を有する線状セグメント、1mm未満の線状セグメント間の距離値、及び少なくとも幅150μmの寸法の隆起表面形状を有する。この方法は、インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程を含み、この接触工程は0.5秒〜10秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる。この方法はまた、金属をエッチングして、可視光線透明基材上にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【0066】
別の例示的実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含み、インク付きスタンプは、オクタデシルチオールを含む直鎖有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1mM〜10mMのスタンプ内濃度で備え、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの幅値を有する線状セグメント、1mm未満の隣接線状セグメント間の距離値、及び少なくとも幅150μmの寸法の隆起表面形状を有する。この方法は、インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程を含み、この接触工程は0.5秒〜5秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる。この方法はまた、金属をエッチングして、可視光線透明基材上にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【0067】
別の例示的実施形態において、基材上に導電体をパターン化する方法が提供され、この方法は、隆起表面形状を有するレリーフパターンを有するインク付きスタンプを提供する工程を含み、インク付きスタンプは、オクタデシルチオールを含む直鎖有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1mM〜10mMのスタンプ内濃度で備え、レリーフパターンは、少なくとも5mmの寸法の低密度領域を有する。低密度領域は、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値、約1μm〜4μmの幅値を有する線状セグメント、1mm未満の隣接線状セグメント間の距離値、及び少なくとも幅0.25mmの寸法の隆起表面形状を有する。この方法は、インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程を含み、この接触工程は0.5秒〜5秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる。この方法はまた、金属をエッチングして、可視光線透明基材上にインク付きスタンプの隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成する工程を含む。
【実施例】
【0068】
スタンプ製作
直径10センチメートル(cm)のシリコンウエファー上にフォトレジスト(Shipley1818、Rohm and Haas Company、Philadelphia、Pennsylvania)のパターンを調製することにより、エラストマースタンプ成形用の2つの異なるマスターツールを形成した。異なるマスターツールは、本明細書においてデザイン「V1」及びデザイン「V2」と呼ばれる2つの異なるパターンデザインに基づいた。デザインは、いくつかの共通する要素及びいくつかの差異を有していた。デザインは両方とも総面積5cm×5cmの寸法であり、幅1mmの枠(以下のマスク中の空きエリア及び以下のスタンプ中の隆起表面形状)を含んでいた。また、デザインは両方とも、長さ約33mmの寸法の一連の20個の低密度メッシュバーを含み、また0.8mm〜1.2mmの範囲の幅値を有し、バーは2mm×2mmの接触パッドで終端されていた。枠、メッシュバー、及びパッドに加え、2つのデザインは、メッシュバーの間、及びメッシュバーと枠との間の空間に孤立した表面形状を含んでいた。孤立した表面形状は様々なサイズ及び形状の形態であり、3μm〜100μmのサイズ範囲の最小寸法を有していた。デザインV1は、5.95cmのマスク中の空きエリアの総量、ひいては得られるスタンプ上の隆起エリアを有していた。デザインV2は、4.37cmのマスク中の空きエリアの総量、ひいては得られるスタンプ上の隆起エリアを有していた。マスターを製作するために、約1.8μmの厚さまでフォトレジストをウエファー上に回転成形した。各マスターツールに対して、2mm×2mm正方形バッドとともに線状セグメントの低密度パターンを画定する、クロム中に開口部を有する別個の2元クロムフォトマスクを使用して、パターン化のためにフォトレジストを露光した。フォトレジストの現像後、線分及びパッドの低密度面積分布の形態で陥凹表面形状を備える二元レリーフパターンマスターツールが提供された。両方のマスターツールに対して、線分の低密度面積分布を備えるパターンの部分は、メッシュを画定するトレースの幅が3μm及び5μmの異なる低密度メッシュ構成(例えば正方形グリッド)を含んだ。選択されたメッシュ領域の空きエリア値は、90%、93%、95%、及び97%(すなわち、それぞれ10%、7%、5%、及び3%の表面形状密度)であった。図8は、完成したパターンの一部の走査型電子顕微鏡写真であり、大きい空きエリア及び2mm×2mmパッドの2次元メッシュ領域の配置を示している。図9及び図10は、完成したパターン(PET上の銀薄膜)の走査型電子顕微鏡写真であり、2つの低い密度の2次元マイクロパターン領域の構成(それぞれ、95%の空きエリア及び幅5μmのトレースを有する正方形セル構成、97%の空きエリア及び幅3μmのトレースを有する六角形セル構成)を示している。エラストマースタンプは、未硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard(商標)184、Dow Corning、Midland、Michigan)を約3.0mmの厚さまでツールに注ぐことにより、マスターツールに対して成形した。マスターと接触した未硬化シリコーンは、真空に曝露することによって脱気し、その後70℃で2時間硬化させた。マスターツールから剥離した後、PDMSスタンプは、線分及びパッドの低密度面積分布を備えるパターンとして、高さ約1.8μmの隆起表面形状を備えるレリーフパターンを備えていた。スタンプを約5×5cmのサイズに切断した。
【0069】
インク付け
スタンプは、その裏側(レリーフパターンのない主表面)をアルキルチオールのエタノール中溶液に所定時間(インク付け時間)接触させることによりインク付けした。使用したアルキルチオール分子は、ヘキサデシルチオール(「HDT」H0068、TCI America、Wellesley Hills、Massachusetts)及びオクタデシルチオール(「ODT」O0005、TCI AMERICA)であった。アルキルチオール溶液の濃度及びインク付け時間は、有限差分シミュレーションコンピュータプログラム及び測定された拡散係数値を使用して決定される、印刷表面に隣接したPDMSスタンプ中のアルキルチオールの標的濃度を達成するように選択した。HDTの場合、シミュレーションに使用された拡散係数値は、エタノール膨潤PDMS中のHDTの拡散における既知の値である6.6E−7cm毎秒であった。ODTの場合、印刷表面に隣接したスタンプ中の推定チオール濃度の範囲を指定するために、2つの異なる拡散係数値をシミュレーションに用いた。ODTの場合の2つの値は、PDMS中のODT拡散に対する既知の値である4.0E−7cm毎秒、及びエタノール膨潤HDTに対する既知の拡散係数である6.6E−7cm毎秒であった。使用したODTに対する拡散係数値は、以下の実施例中でPDMSにおけるオクタデシルチオールの移送を説明する可能な限り低い値及び可能な限り高い値を考慮している。したがって、計算により、実施例における印刷表面に隣接したオクタデシルチオールに対する推定濃度の範囲を指定することができた。したがって、以下の実施例において、ヘキサデシルチオールについては個々の濃度値が、オクタデシルチオールについては濃度値の範囲が報告される。
【0070】
スタンピング
スタンプのインク付けの後、金属化ポリマーフィルム基材をスタンプした。それぞれの場合において、フィルム基材はポリエチレンテレフタレート「PET」(ST504、DuPont、Wilmington、Delaware)であった。まず、基材を熱蒸発(DV−502A、Denton Vacuum、Moorestown、New Jersey)により金属薄膜でコーティングした。すべての実施例において、まず基材表面を20オングストロームのクロムでコーティングし、次いで100nmの銀又は金でコーティングした。金属化の後、上述のようにインク付けされたスタンプでフィルムをスタンプした。金属化フィルム基材は、面積約6×6cmの寸法であった。スタンピングのために、直径約3.5cmの手持ち式ゴムローラーを使用して、まずフィルム試料の端部をスタンプ表面に接触させ、次いでフィルムをロールしてスタンプ全体に接触させることにより、面を上にしたスタンプレリーフパターン化表面に金属化フィルムを接触させた。ローリング工程の実行に必要な時間は1秒未満である。以下の実施例において、スタンピング時間が示されているが、スタンピング時間は、スタンプ上への基材のローリングの後の基材とスタンプとの間の追加の接触時間に対応する。指定時間が経過した後、基材をスタンプから剥離したが、この工程に必要な時間は1秒未満であった。いくつかの場合において、後述のように、基材をスタンプに載せた後及びスタンピング中、基材−スタンプのアセンブリに追加の質量を負荷した。追加の質量は、重量が120gの平坦ガラス片及び質量140グラムの平坦セラミックスタイル、合計260グラムであった。パターンデザインV1に関して、スタンピング中の接触面積5.95cmに対し、260グラムの付加質量は、基材とスタンプの隆起表面形状との間の4.3キロパスカルの付加圧力に対応する。パターンデザインV2に関して、スタンピング中の接触面積4.37cmに対し、260グラムの付加質量は、基材とスタンプの隆起表面形状との間の5.8キロパスカルの付加圧力に対応する。
【0071】
エッチング
スタンピングの後、印刷されたパターンを有する金属化フィルム基材を、選択的エッチング及び金属パターン化用のエッチャント溶液に含浸した。金薄膜を有する印刷金属化フィルム基材の場合、エッチャントはチオ尿素(T8656、Sigma−Aldrich、St.Louis、Missouri)1g、濃塩酸(HX0603−75、EMD Chemicals、Gibbstown、New Jersey)0.54ミリリットル、過酸化水素(30%、5240−05、Mallinckrodt Baker、Phillipsburg、New Jersey)0.5ミリリットル、及び脱イオン水21グラムを含んでいた。金薄膜をパターン化するために、印刷金属化フィルム基材をエッチング溶液中に50秒間含浸した。銀薄膜を有する印刷金属化フィルム基材の場合、エッチャントは、チオ尿素(T8656、Sigma−Aldrich、St.Louis、Missouri)0.45グラム、硝酸第二鉄(216828、Sigma−Aldrich、St.Louis、Missouri)1.64グラム、及び脱イオン水200ミリリットルを含んでいた。銀薄膜をパターン化するために、印刷金属化フィルム基材をエッチング溶液中に3分間含浸した。金又は銀をパターンエッチングした後、過マンガン酸カリウム(PX1551−1、EMD Chemicals)2.5グラム、水酸化カリウム(484016、Sigma−Aldrich)4グラム及び脱イオン水100ミリリットルの溶液を使用して、残りのクロムをエッチングした。
【0072】
特性決定
選択的エッチング及び金属パターン化の後、光学顕微鏡(DP12デジタルカメラを備えたModel BH−2、Olympus America、Center Valley、Pennsylvania)、走査型電子顕微鏡(SEM、Model JSM−6400、日本電子株式会社、東京、日本)、及び抵抗計(GoldStar DM−313、LG Precision Co.Ltd.、韓国)を使用して、金属パターンを特性決定した。顕微鏡技術は、エッチング後に薄膜金属に対し意図されるパターンが形成された忠実度を決定するために使用した。金属パターンにおける線表面形状の幅を測定し、3μm及び5μmの公称幅値と比較した。印刷表面形状のサイズが、0μm、約>0〜≦0.5μm、約>0.5mM〜≦1.0μm、約>1.0〜≦1.5μm、又は>1.5μmであるかどうかによって、それぞれ5、4、3、2、又は1の寸法正確性品質係数を割り当てた。顕微鏡技術を使用して、大型パッド領域(2mm×2mm)に対するエッチングの選択性もまた判定した。より大きな面積のパッドのエッチングによるパターン化において生じる選択性の度合いを説明するために、1、2、3、4、又は5の大型表面形状選択性品質係数を割り当てた(5が最高品質−エッチング中、本質的にパッドのピンホール又は侵食がない;1が最低品質−エッチングによるパターン化工程中、パッドが大幅にエッチングされる)。選択性とは、非印刷領域のエッチング除去中の、例えばパッド領域における金属の保護及び保存の程度を意味する。上記の各品質係数に対し、3の値を達成するのが好ましくは、4の値を達成するのがより好ましく、5の値を達成するのが更により好ましい。抵抗計は、大型パッド(2mm×2mm)の間の、約1mm×約33mmの寸法の孤立したメッシュ領域の抵抗を測定するために使用した。メッシュ領域のこの構成に基づき、各メッシュに対するシート抵抗の値を決定した(測定抵抗値を33(平方)で除した値に等しい)。
【0073】
(実施例1)
上述の手順に従い銀薄膜の導電性マイクロパターン(V1)を製作し特性決定した。インク溶液は、10mMの濃度でエタノール中に溶解したヘキサデシルチオールを含んでいた。インク溶液をスタンプの裏側に2.3時間接触させたが、印刷又はスタンピング表面に隣接したPDMS中のヘキサデシルチオール濃度は約0.8mMとなった。スタンピング時間は10秒であり、スタンピング中260gの質量を付加した。図11は、空きエリアが97%、標的トレース幅が3μmの六角形メッシュを備える低い密度の領域から得られた、完成した薄膜金属マイクロパターンから記録されたSEM顕微鏡写真を示す。実際のトレース幅の寸法は5μmを超えた。
【0074】
(実施例2)
上述の手順に従い銀薄膜の導電性マイクロパターン(V2)を製作し特性決定した。インク溶液は、10mMの濃度でエタノール中に溶解したヘキサデシルチオールを含んでいた。インク溶液をスタンプの裏側に17.5時間接触させたが、印刷又はスタンピング表面に隣接したPDMS中のヘキサデシルチオール濃度は約5mMとなった。スタンピング時間は5秒であり、スタンプへの基材のローリング塗布後の基材−スタンプアセンブリには質量を付加しなかった。図8、9、及び10は、完成した薄膜金属マイクロパターンから記録されたSEM顕微鏡写真を示す。図12は、空きエリアが97%、標的トレース幅が3μmの六角形メッシュを備える低い密度の領域から得られた、完成した銀薄膜マイクロパターンの別のSEM顕微鏡写真である。実際のトレース幅の寸法は約3.2μmであった。
【0075】
(実施例3〜42)
銀薄膜の導電性マイクロパターンを、表1に列挙されたプロセスパラメーターに従い製作した。表2〜7は、上記の品質係数の説明に従う、選択された実施例に割り当てられた品質係数を示す。表2〜7に示されない実施例は、スタンピング及びエッチング工程が非常に明確性の低いパターンをもたらした、実施例3、4、23、及び24である。実施例38において、幅1mm及び長さ33mmの寸法を有し各末端部で2mm×2mmパッドで終端された導電性マイクロパターンの低密度メッシュ領域(幅5μmのトレース及び充填率10%の正方形グリッド)は、229オームの抵抗を示した。抵抗指数は、229/33=7オーム毎平方の可視光線透明メッシュ領域のシート抵抗に対応する。実施例38において、幅1mm及び長さ33mmの寸法を有し各末端部で2mm×2mmパッドで終端された導電性マイクロパターンの低密度メッシュ領域(幅3μmのトレース及び充填率5%の正方形グリッド)は、419オームの抵抗を示した。抵抗指数は、単位面積あたり419/33=12.7オームの可視光線透明メッシュ領域のシート抵抗に対応する。実施例38において、幅1mm及び長さ33mmの寸法を有し各末端部で2mm×2mmパッドで終端された導電性マイクロパターンの低密度メッシュ領域(幅3μmのトレース及び充填率3%の正方形グリッド)は、624オームの抵抗を示した。抵抗指数は、単位面積あたり624/33=18.9オームの可視光線透明メッシュ領域のシート抵抗に対応する。実施例38において、シート抵抗測定値が上に報告されている3%及び5%充填率のメッシュ領域を含む直径約1cmの円形領域を、その可視光線透過性に関して測定した。測定は、明所視補正された光学濃度計(Jonathan Allen、Titusville、New Jersey)を用いて行った。円形エリアにおいて、上記可視光線透過性は、ベースフィルム基材に対する測定値88.7%に比べ約85%であり、直径1cmの円形エリアに対し約4%(約96%の空きエリア)の平均充填率を示している。
【0076】
(実施例43)
上述の手順に従い金薄膜の導電性マイクロパターン(V1)を製作し特性決定した。インク溶液は、10mMの濃度でエタノール中に溶解したオクタデシルチオールを含んでいた。インク溶液をスタンプの裏側に4.5時間接触させたが、印刷又はスタンピング表面に隣接したPDMS中のオクタデシルチオール濃度は約0.8mMとなった。スタンピング時間は2秒であり、スタンプへの基材のローリング塗布後の基材−スタンプアセンブリには質量を付加しなかった。幅1mm及び長さ33mmの寸法を有し各末端部で2mm×2mmパッドで終端された導電性マイクロパターンの低密度メッシュ領域(幅3μmのトレース及び充填率3%の正方形グリッド)は、685オームの抵抗を示した。抵抗指数は、単位面積あたり685/33=20.8オームの可視光線透明メッシュ領域のシート抵抗に対応する。
【0077】
【表1−1】

【0078】
【表1−2】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
(実施例43)
マイクロコンタクト印刷及びエッチングを使用して、図15、16及び17に概略的に示されるように、透明センサー要素を製作しタッチセンサー駆動デバイスと組み合わせた。次いでデバイスを、ディスプレイに接続されたコンピュータ処理ユニットに統合してデバイスを試験した。デバイスは、単一及び/又は複数の同時の指の接触の位置を検出することができ、これはディスプレイ上で画像により証明された。
【0086】
透明センサー要素の形成
第1のパターン化基材
125μmAの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(PET)で作製された第1の可視光線基材を、熱蒸発コーターを使用して100nmの銀薄膜で蒸気コーティングし、第1の銀金属化フィルムを得た。PETは、E.I.du Pont de Nemours、Wilmington、DE.から製品番号ST504として市販されているものであった。銀は、Cerac Inc.、Milwaukee、WIから純度99.99%の3mmペレットとして市販されているものであった。
【0087】
3mmの厚さを有する、PDMSと呼ばれ製品番号Sylgard184(Dow Chemical Co.、Midland、MI)として市販されている第1のポリ(ジメチルシロキサン)スタンプを、標準的フォトリソグラフィー技術を使用して事前にパターン化された直径10cmのシリコンウエファー(産業において「マスター」と呼ばれる場合がある)に対して成形した。PDMSを、シリコンウエファー上で65℃で2時間硬化させた。その後、PDMSをウエファーから剥離し、隆起表面形状のパターンを有する2つの異なる低い密度の領域、第1の連続六角形メッシュパターン及び第2の不連続六角形メッシュパターンを有する第1のスタンプを得た。すなわち、隆起表面形状は、辺を共有する六角形の辺を画定する。不連続六角形は、線分において選択的な破断点を含有する六角形である。選択的な破断点は、10μm未満の長さを有していた。破断点は、約5μmであるように設計及び推定された。それらの視認性を低減するためには、好ましくは破断点が10μm未満、より好ましくは5μm以下、例えば1μm〜5μmの間となるべきであることが判明した。それぞれの隆起六角形輪郭パターンは、2μmの高さを有し、97%〜99%の空きエリアに対応する1%〜3%のエリア被覆率を有し、及び幅2μm〜3μmの寸法の線分を有していた。第1のスタンプはまた、幅500μmのトレースを画定する隆起表面形状を含んでいた。第1のスタンプは、六角形メッシュパターン領域及びトレースを有する第1の構造化された面と、反対側の第2の平坦面とを有する。
【0088】
直径2mmのガラスビーズを含有するペトリ皿内に、構造化された面を上にしてスタンプを設置した。したがって、第2の実質的に平坦な面はガラスビーズと直接接触した。ビーズは、皿の底からスタンプを持ち上げるように機能したが、これにより以下のインク溶液がスタンプの平坦面の本質的に全体に接触することができた。エタノール中10ミリモルの1−オクタデカンチオール(製品番号C18H3CS、97%、TCI America、Portland ORから市販されている)のインク溶液を、スタンプの下のペトリ皿にピペットで滴下した。インク溶液は、スタンプの第2の実質的に平坦な面と直接接触した。十分なインク付け時間(例えば3時間)の後、インクがスタンプ中に拡散したところで、第1のスタンプをペトリ皿から取り出した。構造化された面を上にして、インク付きスタンプを作業面上に設置した。手持ち式ローラーを使用して、第1の銀金属化フィルムを、このようにインク付けされたスタンプの構造化表面上に、銀フィルムが構造化表面と直接接触するように押し付けた。金属化フィルムは、15秒間インク付きスタンプ上に保持した。次いで、第1の金属化フィルムをインク付きスタンプから取り外した。取り外したフィルムを、脱イオン水中(i)チオ尿素(製品番号T8656、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)0.030モル及び(ii)硝酸第二鉄(製品番号216828、Sigma−Aldrich)0.020モルを含有する銀エッチャント溶液中に3分間入れた。エッチング工程後、得られた第1の基材を脱イオン水で洗浄し、窒素ガスで乾燥させ、第1のパターン化表面を得た。インク付きスタンプが第1の金属化基材の銀と接触したところでは、エッチング後も銀が残留した。このように、インク付きスタンプと銀フィルムとの間で接触がなかった場所から銀が除去された。
【0089】
図15、15a及び15bは、こうしてエッチング及びパターン化された銀金属化フィルムを含有する面である基材の第1の面上に、複数の第1の不連続領域704の間で交互する複数の第1の連続領域702を有する第1のパターン化基材700を示す。基材は、実質的に裸のPETフィルムである反対側の第2の面を有する。第1の領域702のそれぞれは、一方の末端部に配置された、対応する幅500μmの導電性トレース706を有する。図15aは、六角形メッシュ構造を形成する複数の連続線を有する第1の領域702の分解図を示す。図15bは、不連続六角形メッシュ構造を形成する複数の不連続線(各六角形における選択的破断点として示されている)を有する第1の不連続領域704の分解図を示す。領域702及び704のそれぞれのメッシュ構造は、97%〜99%の空きエリアを有していた。各線分の寸法は、2μm〜3μmであった。
【0090】
第2のパターン化基材
第2の銀金属化フィルムを生成するために、第2の可視光線基材を使用して、第1のパターン化基材として第2のパターン化基材を作製した。第2の不連続六角形メッシュパターンとの間に介在する第2の連続六角形メッシュパターンを有する第2のスタンプを生成した。
【0091】
図16、16a及び16bは、第2の基材の第1の面上に、複数の第2の不連続領域724の間で交互する複数の第2の連続領域722を有する第2のパターン化基材720を示す。第2の領域722のそれぞれは、一方の末端部に配置された、対応する幅500μmの第2の導電性トレース726を有する。図20aは、六角形メッシュ構造を形成する複数の連続線を有する1つの第2の領域722の分解図を示す。図20bは、不連続六角形メッシュ構造を形成する複数の不連続線(各六角形における選択的破断点として示されている)を有する1つの第2の不連続領域724の分解図を示す。選択的な破断点は、10μm未満の長さを有していた。破断点は、約5μmであるように設計及び推定された。それらの視認性を低減するためには、好ましくは破断点が10μm未満、より好ましくは5μm以下、例えば1μm〜5μmの間となるべきであることが判明した。領域722及び724のそれぞれのメッシュ構造は、97%〜99%の空きエリアを有していた。各線分の寸法は、2μm〜3μmであった。
【0092】
投影容量型タッチスクリーンセンサー要素の形成
上記のように作製された第1及び第2のパターン化基材を使用して、以下のように、2層投影容量型タッチスクリーン透明センサー要素を生成した。
【0093】
3M Company(St.Paul、MN)製Optically Clear Laminating Adhesive 8141を使用して、第1及び第2のパターン化基材を互いに接触させ、多層構造を得た。手持ち式ローラーを使用して、接着剤を含まない第1及び第2の導電性トレース領域706及び726の領域を有する2つのパターン化基材をラミネートした。Optically Clear Laminating Adhesive 8141を使用して、第1の基材の第1の面がフロートガラスに近接するように多層構造を厚さ0.7mmのフロートガラスにラミネートした。接着剤を含まない第1及び第2の導電性トレース領域706及び726により、第1及び第2のパターン化基材700及び720への電気的接続をなすことができた。
【0094】
図17は、第1及び第2のパターン化基材がラミネートされた多層タッチスクリーンセンサー要素の平面図を示す。領域730は、第1及び第2の連続領域の重複を示した。領域732は、第1の連続領域及び第2の不連続領域の重複を示した。領域734は、第2の連続領域及び第1の不連続領域の重複を示した。また、領域736は、第1及び第2の不連続領域間の重複を示した。これらの重複領域が複数存在したが、例証を容易とするために、それぞれ1つの領域のみが図に示されている。
【0095】
透明センサー要素の相互静電容量測定を行うために使用した集積回路は、PIC18F87J10(Microchip Technology、Chandler、Arizona)、AD7142(Analog Devices、Norwood、Massachusetts)、及びMM74HC154WM(Fairchild Semiconductor、South Portland、Maine)であった。PIC18F87J10は、システムのマイクロコントローラであった。これは、MM74HC154WMが駆動するセンサーバーの選択を制御した。また、これは適切な測定を行うようにAD7142を構成した。システムの使用には、当該技術分野において既知のように、較正値の数の設定が含まれた。これらの較正値は、タッチスクリーンごとに変動し得る。システムは、16の異なるバーを駆動することができ、AD7142は12の異なるバーを測定することができる。AD7142の較正には、変換するチャネルの数、静電容量のオフセットを提供すべき場合の測定を行う正確性又は迅速性の度合い、及びアナログ・デジタル変換器の接続が含まれた。AD7142からの測定値は、透明センサー要素のマトリックス内の導電性バー間の交差点の静電容量を表す16ビット値であった。
【0096】
AD7142は、その測定を完了した後、割り込みを介して、データを収集するよう指示するためにマイクロコントローラに信号を送った。次いで、マイクロコントローラは、SPIポートを介してデータを収集した。データが受信された後、マイクロコントローラはMM74HC154WMを次の駆動線にインクリメントし、AD7142における割り込みを解除し、次のデータセットを取得するように信号を送った。上記からのサンプリングが常に行われている間、マイクロコントローラはまた、シリアルインターフェースを介してモニターを有するコンピュータにデータを送っていた。このシリアルインターフェースは、当業者には既知のように、単純なコンピュータプログラムがAD7142からの未加工データをレンダリングしてタッチあり及びなしの間で値がどのように変化するかを見ることができるようにした。コンピュータプログラムは、16ビット値の値に依存して、ディスプレイ全体に異なる色をレンダリングした。較正に基づき、16ビット値がある特定の値を下回った場合、ディスプレイ領域は白にレンダリングされた。較正に基づき、その閾値を超えると、ディスプレイ領域は緑にレンダリングされた。データは、4バイトヘッダ(0×AAAAAAAA)、1バイトチャネル(0×00−0×0F)、24バイトのデータ(容量測定値を表す)、及びキャリッジ・リターン(0×0D)の形式で非同期的に送信された。
【0097】
システムの試験結果
透明センサー要素をタッチセンサー駆動デバイスに接続した。ガラス表面に指が接触すると、コンピュータモニタは、タッチ検知領域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する場所の色の変化(白から緑)の形式でレンダリングした。ガラス表面に指が2つ同時に接触すると、コンピュータモニタは、タッチ検知領域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する場所の色の変化(白から緑)の形式でレンダリングした。ガラス表面に指が3つ同時に接触すると、コンピュータモニタは、タッチ検知領域内で生じている接触の位置を、モニターの対応する場所の色の変化(白から緑)の形式でレンダリングした。
【0098】
上述したように、基材上に導電体をパターン化する方法の実施形態が開示される。本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に導電体をパターン化する方法であって、
自己組織化単層形成分子でインク付けされ、隆起表面構造を備えるレリーフパターンを有し、該レリーフパターンは
0.5%〜10%の間の隆起表面形状の平均面密度値と、
0.5マイクロメートル〜25マイクロメートルの間の幅値を有する線状セグメントと、
1ミリメートル未満の隣接隆起表面形状間の距離値と、を備える少なくとも5平方ミリメートルの寸法の低密度領域を有する、インク付きエラストマースタンプを提供する工程と、
前記インク付きスタンプの前記表面形状を、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程と、
金属をエッチングして、前記可視光線透明基材上に前記インク付きスタンプの前記隆起表面形状に対応する導電性マイクロパターンを形成する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記接触させる工程は、0.1秒〜30秒の範囲の接触時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低密度領域は、1%〜5%の間の隆起表面形状の面密度値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
印刷表面に隣接した前記スタンプにおける自己組織化単層形成分子の濃度は、0.05ミリモル〜20ミリモルの間であり、前記接触させる工程は、0.1秒〜10秒の範囲の接触時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自己組織化単層形成分子は、オクタデシルチオールを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
印刷表面に隣接した前記スタンプにおける自己組織化単層形成分子の濃度は、0.05ミリモル〜5ミリモルの間であり、前記接触させる工程は、0.1秒〜10秒の範囲の接触時間を有し、前記自己組織化単層形成分子は、ヘキサデカンチオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低密度領域は、隆起表面形状の均一な平均面密度値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記線状セグメントは、1マイクロメートル〜5マイクロメートルの間の幅値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
低密度領域の隣接隆起表面形状間の最大距離値は、500マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レリーフパターンにおけるすべての非隆起点は、全方向において、1ミリメートル未満の隆起線状表面形状からの最大分離距離を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レリーフパターンにおけるすべての非隆起点は、全方向において、500マイクロメートル未満の隆起線状表面形状からの最大分離距離を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スタンプは、チオール、ジアルキルジスルフィド、ジアルキルスルフィド、アルキルキサンテート、ジチオホスフェート、及びジアルキルチオカルバメートを含む自己組織化単層形成分子でインク付けされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記導電性マイクロパターンの低密度領域は、導電性メッシュマイクロパターンを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性マイクロパターンをタッチセンサードライブデバイスに電気的に接続する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記レリーフパターンは、少なくとも幅50マイクロメートルの寸法の隆起表面形状を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記単層形成分子は、オクタデシルチオールを含み、印刷表面に隣接した前記スタンプにおける自己組織化単層形成分子の濃度は、0.5ミリモル〜10ミリモルの間であり、前記接触させる工程は、0.5秒〜5秒の範囲の接触時間を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単層形成分子は、ヘキサデシルチオールを含み、印刷表面に隣接した前記スタンプにおける自己組織化単層形成分子の濃度は、0.5ミリモル〜1ミリモルの間であり、前記接触させる工程は、0.5秒〜5秒の範囲の接触時間を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
タッチスクリーンセンサーを製造する方法であって、
隆起表面形状を備えるレリーフパターンであって、該レリーフパターンは、
0.5%〜10%の間の隆起表面形状の平均面密度値と、
0.5マイクロメートル〜25マイクロメートルの間の幅値を有する線状セグメントと、
1ミリメートル未満の隣接隆起表面形状間の距離値と、を備える少なくとも5平方ミリメートルの寸法の低密度領域を有する、レリーフパターンを有する金属コーティングされた可視光線透明基材を提供する工程と、
自己組織化単層形成分子でインク付けされた、インク付きエラストマースタンプを、金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程と、
金属をエッチングして、前記可視光線透明基材の隆起表面形状に導電性マイクロパターンを形成する工程と、
を含む方法。
【請求項19】
基材上に導電体をパターン化する方法であって、
隆起表面形状を備えるレリーフパターンを備えるインク付きスタンプであって、該インク付きスタンプは、16原子〜18原子の鎖長を有する線状有機硫黄自己組織化単層形成分子を、1ミリモル〜10ミリモルのスタンプ内濃度で含み、前記レリーフパターンは、0.5%〜5%の間の隆起表面形状の平均面密度値と、
約1マイクロメートル〜4マイクロメートルの幅値を有する線状セグメントと、
500マイクロメートル未満の隣接線状セグメント間の距離値と、
少なくとも幅25マイクロメートルの寸法の隆起表面形状と、を備える少なくとも5平方ミリメートルの寸法の低密度領域を有するインク付きスタンプを提供する工程と、
前記インク付きスタンプを金属コーティングされた可視光線透明基材に接触させる工程であって、該工程は0.5秒〜10秒の範囲の接触時間を有し、これにより自己組織化単層のパターンを堆積させる接触工程と、
前記可視光線透明基材上に前記インク付きスタンプの前記隆起表面形状に対応する透明導電性マイクロパターンを形成するように金属をエッチングする工程と、
を含む方法。
【請求項20】
前記自己組織化単層形成分子は、オクタデカンチオールを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−517367(P2011−517367A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548862(P2010−548862)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/035271
【国際公開番号】WO2009/108771
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】