説明

基材保持体、及び画像記録体の作製装置

【課題】ゴミ付着が抑制されて良品率良く、特定形状の基材表面に画像が形成される位置決め用基材保持体を提供すること。
【解決手段】板状の保持ホルダー本体43Bと保持ホルダー本体43Bの両面に形成された粘着層43Cとで構成されたカードコア保持ホルダー43を採用している。カードコア保持ホルダー43は、粘着層43Cが保持ホルダー本体43Bの両面全面(窓穴43A以外の領域全面)に単に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材保持体、画像記録体の作製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックや金属の基材の表面に画像を形成する方法としては、昇華型熱転写方式のものが知られている(特許文献1参照)。この昇華型熱転写方式は、インクドナーフィルムに塗布されたインクを第1の加熱部によって中間転写フィルムに転写してインク像を形成し、この中間転写フィルムに転写されたインク像を第2の加熱部によって受像体に再転写するようにした方式である。
【0003】
一方、電子写真方式により、基材の表面に画像を形成する方式も提案されている。(特許文献2参照)。この方式ではまず、基体表面に画像受像層を設けた画像形成材料転写フィルムを用いて、既存の電子写真方式の画像形成装置によりこの転写フィルム上に画像を一旦形成した後、プラスチックシートの如く基材に積層し、熱・圧力でラミネートし、続いて、画像形成材料転写フィルムを剥離して、画像を基材上に転写させることで、基材に電子写真画像が形成される。
【0004】
また、カード形状の基材に電子写真方式で画像を形成する方法としては、例えば特許文献3に示されるものがある。この方法は、カード型の凹陥を設けた保持板にカード状の基材を挿入、接着し、保持板を電子写真方式の画像記録装置に通過させて印刷を行うものである。
【0005】
【特許文献1】特開平8−067019号公報
【特許文献2】特開2005−227377号公報
【特許文献3】特開平7−013463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ゴミ付着が抑制されて良品率良く、特定形状の基材表面に画像が形成される位置決め用基材保持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基材保持体本体と、
前記基材保持体本体に設けられた少なくとも一つ以上の窓穴と、
前記基材保持体の少なくとも一方の前記窓穴が設けられた以外の領域全面に設けられた粘着層と、
を具備し、
前記窓穴に基材を挿入すると共に、前記粘着層が設けられた面に対し少なくとも一方の面に画像部を有する転写体を前記転写体の前記画像部が前記基材と対向するように積層して、前記転写体の画像部と前記基材とを位置決めするための位置決め用基材保持体。
【0008】
請求項2に係る発明は、
加圧により厚みが、小さくなる請求項1に記載の位置決め用基材保持体。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記基材保持体本体が、紙で構成される請求項1に記載の位置決め用基材保持体。
【0010】
請求項4に係る発明は、
前記窓穴に基材が挿入された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置決め用基材保持体の前記粘着層が設けられた面に対し、少なくとも一方の面に画像部を有する転写体を前記転写体の前記画像部が前記基材と対向するように積層すると共に位置決めをする位置決め手段と、
位置決めされた前記転写体及び前記位置決め用基材保持体を加熱・加圧して、前記基材の表面に前記画像部を転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像記録体の作製装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ゴミ付着が抑制されて良品率良く、特定形状の基材表面に画像が形成される。
請求項2に係る発明によれば、加圧により厚みが小さくならない場合に比べ、種々の厚みの基材表面に画像が形成されると共に、ゴミ付着が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、他種の材料により構成された基材保持体本体を採用した場合に比べ、低コストで基材の保持能を持たせつつ、種々の厚みの基材表面に画像が形成されると共に、ゴミ付着が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、ゴミ付着が抑制されて良品率良く、表面に画像が形成された特定形状の基材が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、画像記録体の作製装置と共に、画像記録体の作製方法についても説明する。なお、実質的に同様の機能・作用を有するものには、全図面通して同じ符号を付して説明し、場合によってはその説明を省略することがある。また、下記説明において「直交」「平行」などの方向を示す言葉は、厳密にその方向を示すわけではなく、作用・機構を実現できればずれていても構わない。
【0013】
図1は、実施形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。図2は、実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略上面図である。図3は、実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略側面図である。
【0014】
実施形態に係る画像記録体の作製装置10は、図1に示すように、丁合い装置20(積層手段)と、転写装置30(転写手段)と、から構成されている。
【0015】
丁合い装置20は、図2及び図3に示すように、裏面転写フィルム41(転写体)を収納・排出する裏面転写フィルム収納部41Aと、表面転写フィルム42(転写体)を収納・排出する収納・排出する表面転写フィルム収納部42Aと、丁合い部50(位置決め手段)と、裏面転写フィルム収納部41Aから丁合い部50へ裏面転写フィルム41を供給するための搬送路41Bと、表面転写フィルム収納部42Aから丁合い部50へ表面転写フィルム42を供給するための搬送路42Bと、を備えて構成されている。
【0016】
搬送路41B、42B、としては、板状部材と、被搬送部材(裏面転写フィルム41、表面転写フィルム42)を搬送させるための搬送ローラとが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして、被搬送部材が各収納部から排出されるタイミングで搬送ローラやベルトが回転し、被搬送部材を丁合い部50に搬送する。
【0017】
裏面転写フィルム収納部41Aには、例えば、少なくとも片面に特定の画像を電子写真方式のプリンタで印刷した裏面転写フィルム41が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられた送り出しローラや給紙ローラが備えられ、特定のタイミングで給紙ローラ等が回転し、丁合い部50に裏面転写フィルム41を排出する。
【0018】
表面転写フィルム収納部42Aには、例えば、少なくとも片面に特定の画像を電子写真方式のプリンタで印刷した表面転写フィルム42が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられた送り出しローラや給紙ローラが備えられ、丁合い部50にカードコア保持ホルダー43が積層された後に給紙ローラ等が回転し、丁合い部50へ表面転写フィルム42を搬送する。
【0019】
ここで、表面転写フィルム収納部42Aと、裏面転写フィルム収納部41Aと、例えば、重力方向上方側から下方側へこの順で配列されて配設されている。
【0020】
丁合い部50は、図2及び図3に示すように、各収納部から排出された被搬送部材を搬送されるように、当該被搬送部材を搬送する各搬送路の出口と同じ位置、又は当該出口よりも重力方向下方に位置するように、不図示の駆動機構により昇降可能に配置されている。丁合い部50は、例えば、図中矢印で表される、転写フィルムの搬送方向に対して、4辺のうち2辺が直交する長方形の丁合い受け51と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁52と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁53と、丁合い受け51表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材54と、丁合い受け51表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材55と、転写フィルム及びカードコアを保持した保持ホルダーを積層した後の積層体を搬送するための搬送ローラ57と、を備えている。ここで、転写フィルム及びカードコアを保持した保持ホルダーを積層した後に仮止めするために加圧する加圧部材56(例えばプレス板)をさらに設けていてもよい。
【0021】
転写装置30は、図4に示すように、積層体を加熱加圧することで、カードコア44(カードコア保持ホルダー43に保持されたカードコア44)の表面を転写フィルム(表面転写フィルム42、及び裏面転写フィルム41)でラミネートする装置である。この転写装置30は、一対のベルト31から構成されるベルトニップ方式が採用され、容易にオンラインで画像記録体が作製される構成となっている(詳細は後述する)。そして、一対のベルト31排出部には、排出受け71が設けられている。
【0022】
転写装置30における圧着方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法、並びにラミネート装置をいずれも好適に採用することができる。例えば、前記積層体を熱ローラ対などによるニップ部に挿通させることにより、両者をある程度熱溶融させ熱融着させる、通常のラミネート技法、並びにラミネート装置、あるいは熱プレス技法、ならびに熱プレス装置を用いて、圧着させることができる。
【0023】
上記本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、まず、丁合い装置20において、裏面転写フィルム収納部41Aから裏面転写フィルム41が搬送路41Bを経て丁合い受け51に搬送され、特定の位置に規制部材54、55で位置決めされる(図5(A)参照)。次いで、予めカードコア44をセットしたカードコア保持ホルダー43を、手動(手作業)により丁合い受け51へと供給する。供給されたカードコア保持ホルダー43は、丁合い受け51の特定の位置へ規制部材54、55により位置決めされる(図5(B)参照)。このとき、裏面転写フィルム41の画像部61はカードコア保持ホルダー43の窓穴43A(カードコア44)と一致する位置となっている。次に、表面転写フィルム収納部42Aから表面転写フィルム42が搬送路42Bを経て丁合い受け51に搬送され、特定の位置に規制部材54、55で位置決めされる(図5(C)参照)。このとき、表面転写フィルム42の画像部61はカードコア保持ホルダー43の窓穴(カードコア44)と一致する位置となっている。
【0024】
なお、裏面転写フィルム41、及び表面転写フィルム42は、例えば、その画像部61を有する面が、カードコア保持ホルダー43に配設されたカードコア44と対向するように積層される。また、各部材の搬送方向は、カードコア保持ホルダー43の短手方向が、搬送方向と平行になるようにしているが、これに限られるわけではない。
【0025】
ここで、図5は、実施形態に係る丁合い装置の丁合い部における積層工程を示す工程図である。
【0026】
ここで、位置決めは、各収納部から搬送路41B、42Bを経て及び手動(手作業)により、裏面転写フィルム41とカードコア保持ホルダー43と表面転写フィルム42とがこの順で順次丁合い受け51に重ね合わされるように積層され、積層された積層体P(図2中、点線で示される部材)に対して、規制部材54,55を押し当てて、基準壁52,53に突き当てることにより実施する。具体的には積層体Pの直交する2辺のうちの一辺(第1の辺)に対して、規制部材54を押し当て、この状態で規制部材54を搬送方向の下流側へ移動させて積層体Pの規制部材54に接する辺と対向する辺を基準壁52に突き当てると共に、第1の辺と直交する辺(第2の辺)に対して規制部材55を押し当て、この状態で規制部材55を基準壁53方向(搬送方向と直交方向)に移動させて積層体Pの規制部材55に接する辺と対向する辺を基準壁53に突き当てる。
【0027】
このように2つの規制部材54、55及び2つの基準壁52、53を組み合わせて用いることにより、積層体PのサイズがA4やA3サイズ等、様々であっても精度よく位置決めされた丁合いがなされる。
【0028】
なお、基準壁52は、搬送方向に直交する位置に設けられているため、位置決め(丁合い)が完了し、必要に応じて実施される仮止めが終了した後に、積層体Pの搬送を妨げないように移動可能なことが必要である。基準壁52にこの機能を付与するためには、例えば、基準壁52が移動可能であることが望ましい。具体的には、例えば、基準壁52は、矢印D方向(つまり、上下移動)に可動し、図中、点線で示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる(図3参照)。無論、基準壁52が搬送路から退避されれば、これに限られるわけではない。
【0029】
次に、裏面転写フィルム41と、カードコア保持ホルダー43と、表面転写フィルム42との積層体について説明する。ここで、図6は、実施形態に係るカードコア保持ホルダー(転写フィルムとの積層状態)を示す平面図である。図7は、図6のA−A断面図であり、(A)は非加圧時を示し、(B)は加圧時を示す。
【0030】
図6乃至図7に示すように、カードコア保持ホルダー43は、例えば板状の保持ホルダー本体43B(基材保持体本体:ホルダーの基材)と保持ホルダー本体43Bの両面に形成された粘着層43Cとで構成されている。
【0031】
保持ホルダー本体43Bには、一つ以上の貫通した窓穴43Aがあり、この窓穴43Aにはカードコア44を挿入される。窓穴43Aの形状としては、カードコア44の形状に沿ったものであるが、カードコア44がカードコア保持ホルダー43から脱落しないように、窓穴43Aを構成する壁面をテーパ形状としてもよいし、窓穴43Aとカードコア44の寸法関係をしまりばめとしてもよい。本実施形態では、カードコア保持ホルダー43には、6つの窓穴43Aが、カードコア保持ホルダー43の長手方向がカードコア44の短手方向と平行になる、言い換えればカードコア保持ホルダー43の短手方向がカードコア44の長手方向と平行になるように、2個×3個で配列されている。
【0032】
保持ホルダー本体43Bは、例えば、紙(例えば、厚紙、段ボール等)、プラスチック材料、ゴム材料、金属、またはそれらの複合材料などで構成されることがよい。これらの中でも、カードコア保持ホルダー43が圧力を付与されたときに厚みが小さくなる点から、紙が特に好適である。特に、保持ホルダー本体43Bを紙で構成することで、他種の材料を採用した場合に比べ、低コストで基材の保持能を持たせつつ、種々の厚みの基材表面に画像が形成されると共に、ゴミ付着が抑制される。
保持ホルダー本体43Bの厚みは、例えば、400μm以上1000μm以下であることが望ましく、より望ましくは600μm以上900μm以下であり、さらに望ましくは680μm以上840μm以下である。
【0033】
粘着層43Cは、保持ホルダー本体43Bの両面全面(窓穴43A以外の領域全面)に設けられている。粘着層43Cは、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤などで構成される。
【0034】
粘着層43Cの厚みは、例えば、5μm以上100μm以下であることが望ましく、より望ましくは10μm以上50μm以下であり、さらに望ましくは20μm以上30μm以下である。
【0035】
粘着層43Cの粘着力は、例えば、5(N/25mm)以上350(N/25mm)以下であることが望ましく、より望ましくは10(N/25mm)以上300(N/25mm)以下であり、さらに望ましくは20以上(N/25mm)250以下(N/25mm)である。この粘着力を上記範囲とすると、効果的に、ゴミ付着が抑制されて良品率良く、特定形状の基材表面に画像が形成される。
【0036】
なお、この粘着層43Cの粘着力は、例えば、構成材料、及びその厚みにより調整される。例えば、同一の構成材料で粘着層43Cの厚みを増加させると、粘着力が増加する傾向にある。
【0037】
粘着層43Cの粘着力は、以下に示す方法により測定された値である。すなわち、カードコア保持ホルダーにPETフィルム(幅25mm、厚み25μm)を貼り合せ、PETフィルムを90度の方向に引き剥す。この測定された引き剥がし力を粘着力としている。
【0038】
上記構成のカードコア保持ホルダー43は、加圧により厚みが小さくなることが望ましい。このカードコア保持ホルダー43が加圧により厚みが小さくなる割合(圧縮率:[非加圧時の厚み−加圧時の厚み]/非加圧時の厚み×100)は、カードコア保持ホルダー43全体に圧力1N/mmで加圧した条件下で、5%以上20%以下であることが望ましく、より望ましくは10%以上20%以下であることがよい。
【0039】
そして、カードコア保持ホルダー43と転写フィルム(裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42)とを積層させて丁合いすると共に、加圧部材56により加圧することで、当該カードコア保持ホルダー43の粘着層43Cにより転写フィルムが粘着され、位置決めがなされると共に仮止めがなされる。
【0040】
次に、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42が位置決め・仮止めされると基準壁52が図示しない機構により下側へと移動され、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42で構成される積層体Pは搬送ローラ57により次工程である転写装置30へと搬送される。
【0041】
次に、転写装置30においては、裏面転写フィルム41、カードコア保持ホルダー43、表面転写フィルム42で構成される積層体Pを、一対のベルト31のニップ間に通過させて加熱・加圧処理(ラミネート)を行う(転写工程)。具体的には例えば、以下の通りに加熱・加圧処理(ラミネート)を行う。
【0042】
転写装置30では、図4に示すように、一対のベルト31から構成されるベルトニップ方式が採用されている。一対のベルト31は、それぞれの内部(内周側)にテンションロール32とインレットロール35とが積層体搬送方向にこの順で配されている。一対のベルト31は、テンションロール32とインレットロール35とにより張架された状態で、テンションロール32がテンションバネ36により引っ張られることで歪みを生じないように構成されている。一対のテンションロール32及び一対のインレットロール35はぞれぞれニップしないように設置されている。これにより、連続稼動によりベルト31が蛇行しても稼動させながらベルトを特定の位置に戻る。
【0043】
ここで、ベルト31の材料としては熱変形量の小さい金属材料を用いることが望ましいが、プラスチック材料でもガラスを混ぜる等の処方により熱変形を小さくした材料を用いても構わない。また、ベルト31が蛇行した際に所定の位置に戻すためになるインレットロール35、テンションロール32には摩擦係数にして0.3以下となる低摩擦材料(金属系、プラスチック系等どちらでも可)を用いることが望ましい。
【0044】
ベルト31が蛇行した際に所定の位置に復帰させる方法としては図示しないが、ベルト31が所定の位置よりずれないようにストッパーを設置してもよいし、左右に設置したテンションバネ36のバネ力をコントロールしてベルト31の蛇行を防止するようにしてもよい。
【0045】
また、一対のベルト31のそれぞれ内部(内周側)には、インレットロール35とテンションロール32との間に、加熱加圧ロール34と冷却板39と冷却ロール33とが積層体搬送方向にこの順で配されている。これらは、一対のベルト31を介して、ニップ部を形成している。
【0046】
転写装置30では、インレットロール35の後方に配置された加熱加圧ロール34とにより積層体Pが加熱加圧される。この工程を経ることによって積層体Pは熱融着される。ここで、一対のインレットロール35がニップされていないことにより、積層体Pは一対の加熱加圧ロール34によるニップ部に突入する以前に一対のベルト31のニップ力と加熱加圧ロール34からの予熱により仮ラミネートされながら加熱加圧ロール34によるニップ部へと搬送される。
【0047】
加熱加圧ロール34によるニップ部は積層体Pの接着工程であり、このニップ部を通過した積層体Pは冷却板39によるニップ部へと突入する。これにより、積層体Pは、冷却板39によるニップ部により平面性を維持したまま冷却される。この冷却板39はアルミ等の熱伝導率の高い材料で構成させており、ベルト31と接触する面には擦動性を良くするためテフロン(登録商標)テープ等が貼られている。また、一対の冷却板39は、それぞれ図示しないがバネ等の弾性部材により所望の荷重でベルト31内周面に押圧され、ニップ部を形成している。
【0048】
ここで、ベルト31から伝達してくる熱を冷却するため冷却板39上に、当該冷却板39を冷却するための空気流を発生させる冷却ファン37(空気流発生手段)が設置されている。冷却ファン37は、一対のベルト31のそれぞれの内部であって、加熱加圧ロール34の積層体P搬送方向下流側、即ち加熱加圧ロール34と冷却ロール33との間に配されている。冷却ファン37により発生した空気流を冷却板39に吹き付けることで、冷却板39が冷却される。
【0049】
また、冷却ファン37は、その周囲を冷却板39と共に箱状部材46(遮断部材)により囲まれている。これにより、冷却ファン37から発生した空気流が、冷却板39以外には到達せず、即ち、加熱加圧ロール34へ到達しない。また、冷却ファン37を取り囲む箱状部材46には外部へと通じるダクト(不図示)が連結されており、外部から空気を取り込むように構成となっている。
【0050】
冷却板39を通過した積層体Pは冷却ロール33へ突入する。一対の冷却ロール33によるニップ力は冷却板39によるニップ圧力より高く設定されていると共に、冷却ロール33を通過する際に積層体Pの温度は光透過性フィルムのガラス転移温度(Tg)以下となるように、転写装置30(ラミネート装置)の温度プロファイルは設計されているため、これにより、積層体Pは平面性を維持したまま一対の冷却ロール33によるニップを通過することとなる。なお、連続稼動によるベルト31の汚れ等を除去するためクリーニング装置(図示せず)が設置されている。
【0051】
次に、転写装置30を経た(接着工程、冷却工程を経た)積層体Pは、平面性を維持したままラミネート(加熱・加圧処理)されて、排出受け71に排出される。これにより、カードコア44の両面に画像部が転写・形成される。このカードコア44をカードコア保持ホルダー43から取り外すことで、当該カードコア44表面に転写フィルムの画像部61が転写・形成された画像記録体が得られる。
【0052】
ここで、カードコア44への画像部の転写・形成は、転写フィルム(裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42)から画像部のみを転写させる形態、転写フィルムの画像保持層ごと画像部を転写させる形態がある。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、例えば、板状の保持ホルダー本体43Bと保持ホルダー本体43Bの両面に形成された粘着層43Cとで構成されたカードコア保持ホルダー43を採用している。カードコア保持ホルダー43は、粘着層43Cが保持ホルダー本体43Bの両面全面(窓穴43A以外の領域全面)に単に設けることで、当該粘着層43Cにより窓穴43A以外に積層される転写フィルムがすべて粘着される。このため、カードコア44を転写フィルムとラミネート後にカードコア保持ホルダー43から取り外しても、カードコア44に転写される転写フィルム(画像部又はその画像保持層)以外は、カードコア保持ホルダー43の粘着層43Cに粘着されたままとなる。つまり、当該粘着層43Cによりゴミの原因となるカードコア44に積層される領域以外の転写フィルム(画像部又はその画像保持層)が粘着され、カードコア44への移行を抑制する。また、転写フィルムに付着したゴミ等も粘着層43Cにより付着させ、カードコア44への移行を抑制する。加えて、カードコア保持ホルダー43と転写フィルムとの位置決め(即ち、カードコア44と転写フィルムの画像部との位置決め)する際も、カードコア保持ホルダー43の粘着層43Cにより転写フィルムが位置ズレすることが抑制される。
【0054】
したがって、ゴミ付着が抑制されて良品率良く、カードコア44(特定形状の基材)表面に画像が形成される。
【0055】
また、本実施形態では、カードコア保持ホルダー43を加圧により厚みが小さくなる構成(例えば、保持ホルダー本体を紙で構成)することで、加圧により厚みが小さくならない場合に比べ、種々の厚みの基材表面に画像が形成されると共に、ゴミ付着が抑制される。
【0056】
ここで、カードコア保持ホルダー43の厚みは、カードコア44の厚みと同じであることが望ましいが、カードコア保持ホルダー43を加圧により厚みが変動しない構成であると、例えば、カードコア保持ホルダー43の厚みがカードコア44の厚みよりも厚い場合(カードコア44の厚みがカードコア保持ホルダー43の厚みよりも薄い場合)には、カードコア44の端辺の部位に転写フィルム(裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42)が接触しない領域(図8(A)中R1で示す領域、即ち画像が転写されない領域)が発生することがあり、画像記録体(カードコア44表面に転写フィルムの画像部61が転写・形成された画像記録体)として不良品が得られることがある。
【0057】
また、カードコア保持ホルダー43の厚みがカードコア44の厚みよりも薄い場合(カードコア44の厚みがカードコア保持ホルダー43の厚みよりも厚い場合)には、カードコア保持ホルダー43の窓穴43Aの縁部に転写フィルム(裏面転写フィルム41及び表面転写フィルム42)が接触しない領域(図8(B)中R2で示す領域)が発生することがあり、この領域の転写フィルムがカードコア44縁部に付着し後工程で除去しなければならないとった作業工程を複雑にしたり、当該転写フィルムの一部がゴミとなって作業環境を悪化させることがある。
【0058】
一方で、例えばJISX6301に記載される識別カードの規格においてはカードコア44の厚みは0.76±0.08mmと定められており、カードコア44とカードコア保持ホルダー43との厚みを同じとすることが難しい場合があり、この場合には通常はカードコア保持ホルダー43をカードコア44の厚みの下限値より薄く構成することで対応することがある。
【0059】
そこで、本実施形態では、上記如く、カードコア保持ホルダー43を加圧により厚みが小さくなる構成(例えば紙で構成)とすることで、カードコア保持ホルダー43は、カードコア44より厚みが厚くても、加圧時(仮止め時、ラミネート時)にカードコア44と同じ厚みになり、カードコア44の端辺の部位に転写フィルムが接触しない領域(図8(A)中R1で示す領域、即ち画像が転写されない領域)や、カードコア保持ホルダー43の窓穴43Aの縁部に転写フィルムが接触しない領域(図8(B)中R2で示す領域)の発生が抑制される(図7(B)参照)。また、カードコア保持ホルダー43の両面全面(窓穴43Aを除く両面全面)には粘着層43Cが配設されているので、カードコア44縁部(窓穴43A縁部)に位置した転写フィルムは当該粘着層43Cにより粘着され、ゴミとして付着することが抑制される。
【0060】
なお、本実施形態では、カードコア保持ホルダー43の両面に転写フィルムを積層させる形態、即ち、カードコア44の両面に転写フィルムの画像部を転写する形態を説明したが、これに限られず、カードコア保持ホルダー43の片面に転写フィルムを積層させる形態であってもよい。この形態の場合、カードコア保持ホルダー43に配設する粘着層43Cは、転写フィルムを積層させる面側のみに設ければよい。
【0061】
以下、上記各実施形態において、用いられる転写フィルム(転写体)、カードコア(基材)について説明する。
【0062】
−転写フィルム(転写体)−
転写フィルムは、画像形成対象であるカードコア(基材)の厚みが厚いため、市販の一般的な厚み(80μm以上254μm以下程度)を有する用紙を利用して画像を形成するように設計された一般的な画像形成装置により画像を形成することができない。このため、カードコア以外の部材に画像を形成した後、これをカードコアに転写する目的で転写フィルムが用いられる。
【0063】
転写フィルムは、例えば、基体(ベース層)とこの基体の少なくとも片面に設けられた画像保持層とを有するものであり、基体表面に、必要に応じて1層以上の中間層と画像保持層とをこの順に積層した構成であってもよい。また、画像は、画像保持層に形成される。この転写フィルムとしては、画像のみを転写するタイプと、転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムとが挙げられる。
すなわち、画像のみを転写するタイプ転写フィルムは、画像保持層が少なくとも離型性材料を含有するものであり、この転写フィルムを用いた転写工程は、画像のみが転写フィルムからカードコアへと転写することにより行われる。
【0064】
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されないが、画像保持層表面の離型性に優れることから、画像保持層表面に固体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であることが好ましく、特に電子写真法により形成された画像であることが好ましい。
【0065】
これに対して、転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムは、画像保持層又は画像保持層側に隣接する1以上の層と、基体又は基体側に隣接する1以上の層との界面が剥離される構成を有する。この転写フィルムを用いた転写工程は、画像保持層又は画像保持層側に隣接する1以上の層が転写フィルムから剥離して、画像と共にカードコアへと転写することにより行われる。
【0066】
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されない。例えば、画像保持層表面に固体状や液体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、電子写真法やインクジェット記録法により形成された画像が挙げられる。さらに、画像保持層が、熱や光などの外部刺激の付与によって変色又は発色する機能を有する場合には、外部刺激の付与により画像保持層表面を変色又は発色させることにより形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、感光記録法や感熱記録法、感光感熱記録法により形成された画像が挙げられる。
【0067】
なお、上述した2つのタイプの転写フィルムとしては、電子写真法によりその表面に画像を形成した後、プラスチックのシートなどの他の部材に当該画像を転写するために用いるものが知られており、これら公知の転写フィルムを利用することができる。
【0068】
また、転写フィルムのサイズは特に限定されるものではないが、電子写真法やインクジェット法など、公知の画像形成方法を利用した市販の画像形成装置での画像の形成に利用できるA4やA3などの定型サイズであることが好適である。
【0069】
また、転写フィルム表面への画像の形成は、保持体に保持されたカードコア表面の画像を設けたい領域に対応するように実施される。この際、転写フィルムと保持体に保持されたカードコアとの位置合わせが容易にできるように、カードコアの輪郭線や、カードコアの輪郭より一回り外側を示す線、カードコアの輪郭より一回り外側の枠の4隅を示すマークなどが、カードコア表面に転写されることになる画像部分と共に転写フィルム表面に形成されていることが望ましい。
【0070】
以下、上記2つのタイプに分けて、実施形態に用いられる好適な転写フィルムについて、転写フィルム表面に設けられる画像が一例として電子写真法により形成されたものであることを前提としてより詳細に説明する。
【0071】
−画像のみを転写するタイプの転写フィルム−
このタイプの転写フィルムは、画像保持層には離型性材料が含まれているため、トナーなどの画像形成材料をカードコアに良好に転写できる。
離型性材料は、転写フィルムにおいて画像形成材料を一旦定着し固定化すると共に、カードコアと加熱圧着されたときには上記画像形成材料を離型する画像保持層に用いられるものである。したがって、離型性材料としては、電子写真において画像形成材料として一般的に使用されるトナーに対して密着性と、離型性とを有することが望ましい。
【0072】
上述の離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が利用できる。このシリコーン系ハードコート材料には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、このシラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0073】
画像保持層には、離型性材料の他に樹脂が含まれていてもよく、例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が含まれていてもよい。ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂はトナーの結着樹脂として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含ませることにより、転写フィルム表面への画像形成材料の定着性を適性に制御することができる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えば、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
【0074】
さらにまた、基体との接着性を改善したり、ブロッキング性などを改善するために、従来の公知の樹脂を必要に応じて混合して、画像保持層を構成する樹脂材料として用いることもできる。この樹脂材料としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
【0075】
電子写真装置内での転写フィルムの搬送をより良好なものとするために、画像保持層にはフィラーが含まれていてもよい。このフィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが好ましいが、画像保持層膜厚を考慮すると、画像保持層膜厚の1.2倍以上が好ましい。大き過ぎるとフィラーが画像保持層から脱離して、転写フィルム表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大する場合がある
【0076】
フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーを構成する材料としては公知の樹脂材料や、無機材料が利用できる。
【0077】
基体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、OHPフィルムとして使用できる光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを用いることが好適できる。また、紙(普通紙、コート紙等)、金属(アルミニウム等)、セラミックス(アルミナ等)も用いることができる。
【0078】
また、画像保持層の厚みは0.1μm以上20μm以下程度であるため、転写フィルムの厚みは基体の厚みによって決定される。このため、基体の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと、電子写真装置内で搬送不良を招く場合があり、200μmを超えると電子写真装置内にてトナー像を転写フィルム表面に移行することが困難になり、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0079】
−転写フィルムを構成する部材の少なくとも一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルム−
このタイプの転写フィルムは、基体の同一面上に、画像保持層を含む少なくとも1層の層が設けられており、これら層の内の少なくとも1層が硬化性樹脂を含有する層であることが特に好ましい。この場合、この硬化性樹脂を含有する層は、基体、又は基体側に隣接する層から、剥離可能な層である。
このように硬化性樹脂を含有する層が、基体又は基体側で隣接する層から剥離することにより、電子写真法で形成された画像をカードコア上に転写させた場合に、基体又は基体側に隣接する層から、硬化性樹脂を含有する層が剥離し、カードコア上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
【0080】
この転写フィルムにおける硬化性樹脂を含有する層と、基体又は硬化性樹脂を含有する層が基体側に接する層との界面での剥離力は、0.098N/cm以上4.90N/cm以下(10gf/cm以上500gf/cm以下)であることが好ましく、0.196N/cm以上3.92N/cm以下(20gf/cm以上400gf/cm以下)であることがより好ましく、0.490N/cm以上2.41N/cm以下(50gf/cm以上250gf/cm以下)であることが更に好ましい。
【0081】
剥離力が0.098N/cm(10gf/cm)未満であると、離型層と硬化性樹脂を含有する層とが剥がれやすくなり、画像定着時に、電子写真装置の定着器に硬化性樹脂を含有する層が転移してしまったり、あるいは画像記録体を作製するときに前記硬化性樹脂を含有する層と、基体又は基体側で隣接する層との界面ですべりを生じ、最終的に画像が乱れて転移されてしまうことがある。一方、剥離力が4.90N/cm(500gf/cm)を超えてしまうと、部分的に硬化性樹脂を含有する層が基体又は基体側で隣接する層の表面に残ることがあるため、これが画像記録体表面の欠陥の発生を招いてしまう場合がある。
ここで、剥離力とは、JIS規格Z0237の粘着力の測定における180度引き剥がし粘着力に準じた測定で行った時の測定値である。
【0082】
また、画像のみを転写するタイプの転写フィルムにおける画像保持層表面などの電気的特性、基体、画像保持層に用いられるフィラーや各種添加剤については、転写フィルムを構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写フィルムにおいても適用することができる。
【0083】
−カードコア−
カードコアを構成する材料としては特に限定されないが、樹脂のほかに、紙、金属、セラミックなども利用できるが、樹脂が最も好適である。樹脂を用いることによりプラスチックシートをカードコアとして用いた画像記録体を得ることができる。
プラスチックとしては、具体的には、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、アセテート、三酢酸セルローズ、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリイミド、セロハンなどがあり、中でもPETやポリエステルが好ましく用いられる。特に、PETのエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えた変性PET(PETG)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0084】
また、プラスチックは、熱硬化性であってもよいが熱可塑性であることがより好適である。さらに、プラスチックは不透明であることが好ましく、白色に着色されていることがより好ましい。
【0085】
カードコアを構成する材料が、樹脂や紙である場合には、これに顔料や染料などを添加して着色することもできる。また、カードコアはフィルム状であってもよいが板状であることがより好ましく、市販の電子写真用やインクジェット用の記録紙などと異なり、手で容易に折り曲げることができない程度の剛性を有することが望ましい。
【0086】
なお、ICカードや磁気カードとして利用可能な画像記録体を作製するために、カードコアには、ICメモリ、アンテナ、外部端子等が予め埋め込まれてもよい。また、カードコアには磁気ストライプやホログラム等が別途印刷されていてもよい。
【0087】
なお、上記各実施形態で得られる画像記録体は、キャッシュカード、社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明証等に利用され得る。
【実施例】
【0088】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0089】
(実施例A)
−転写装置−
転写装置としては、図4に示す転写装置(ラミネート装置)を用いた。
【0090】
−カードコア−
画像の形成に用いたカードコアとしては、PETG(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)製で、厚さは820μm(カードコアA)、760μm(カードコアB)、680μm(カードコアC)と3種類準備し、それぞれを大きさ85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用いた。
【0091】
−転写フィルム−
転写フィルムとしては、基体(ベース層)と画像保持層との2層構造のものを用いた。基体(ベース層)には、PETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)の片面に予め離型処理を施したA4サイズのフィルム(厚み:100μm)を用いた。
画像保持層は、ポリエステル樹脂(バイロン:三菱樹脂製)にマット剤として直径15μmのアクリル樹脂を15重量%混合したものを用いており、PETフィルムの片面に厚さが10μmとなるように形成した。
上記転写フィルムを、フィルムの画像保持層側の面に富士ゼロックス製DocuColor1256GA(電子写真装置)により、絵柄を、短手方向に等間隔に2つ、長手方向に等間隔に3つ配列するように左右反転印刷で合計6個形成し、表面に画像を有する転写体を作製した。
なお、絵柄は、使用するカードコアに相当するサイズ(85.6mm×54mm)に形成されたものである。
【0092】
−カードコア保持体ホルダー−
カードコア保持体ホルダーは、A4サイズでカードコア保持体ホルダー本体(ホルダーの基材)として厚さが0.8mmと0.72mm及び0.66mmの厚紙を用いた。この厚紙の表裏にそれぞれ、20μmのアクリル系接着剤(倉本産業製、以下同様)を塗布し、総厚としてそれぞれ、0.84mm、0.76mm、0.7mmのカードコア保持体ホルダーを作製した。このカードコア保持体ホルダーに圧縮率は5%である。
また、このカードコア保持体ホルダーには、カードコア(85.6mm×54mm)を保持するためにカードコアより若干大きな窓穴を6箇所設けており、この窓穴は、上記の画像を有する転写フィルムをカードコア保持体ホルダーと位置を合わせて重ね合わせた場合に、転写フィルムに形成された個々の絵柄の輪郭線が、個々の窓穴(画像記録体を保持する領域)とに一致するように設けられている。
【0093】
−カードコアへの画像の転写(形成)−
カードコアへの画像の転写(形成)は、2枚の表面に画像を有する転写フィルムをカードコアが保持されたカードコア保持体ホルダーが介在するように積層し、転写装置(ラミネート装置)における加熱温度を125度、1対の加熱・加圧ロール間の圧力を1N/mm、ベルトの送り速度を5mm/sに設定して実施した。
【0094】
(実施例B)
以下に示すカードコア保持体ホルダーを用いた以外は、実施例Aと同様にしてカードコアに画像を転写(形成)した。
【0095】
−カードコア保持ホルダー−
カードコア保持ホルダーは、A4サイズでカードコア保持体ホルダー本体(ホルダーの基材)として厚さが0.8mmと0.72mmの厚紙を用いた。この厚紙の表裏にそれぞれ、20μmのアクリル系接着剤を塗布し、総厚としてそれぞれ、0.84mm、0.76mmのカードコア保持ホルダーを作製した。このカードコア保持ホルダーの圧縮率は10%である。
【0096】
(実施例C)
以下に示すカードコア保持ホルダーを用いた以外は、実施例Aと同様にしてカードコアに画像を転写(形成)した。
【0097】
−カードコア保持ホルダー−
カードコア保持ホルダーは、A4サイズでカードコア保持体ホルダー本体(ホルダーの基材)として厚さが0.8mmの厚紙を用いた。この厚紙の表裏に20μmのアクリル系接着剤を塗布し、総厚として0.84mmのカードコア保持ホルダーを作製した。このカードコア保持ホルダーの圧縮率は20%である。
【0098】
(実施例D)
以下に示すカードコア保持ホルダーを用いた以外は、実施例Aと同様にしてカードコアに画像を転写(形成)した。
【0099】
−カードコア保持ホルダー−
カードコア保持ホルダーは、カードコア保持体ホルダー本体(ホルダーの基材)をステンレス板(厚み0.8mm、0.72mm、0.66mm)とし、このステンレス板の表裏にそれぞれ、20μmのアクリル系接着剤を塗布し、総厚としてそれぞれ、0.84mm、0.76mm、0.7mmのカードコア保持ホルダーを作製した。この保持体の圧縮率は2%である。
【0100】
(比較例E)
以下に示すカードコア保持ホルダーを用いた以外は、実施例Aと同様にしてカードコアに画像を転写(形成)した。
【0101】
−カードコア保持ホルダー−
カードコア保持ホルダーは、カードコア保持体ホルダー本体(ホルダーの基材)をステンレス板(厚み0.5mm、0.4mm)とし、このステンレス板の表裏にテフロン(登録商標)テープ(厚み80μm)を貼り付け、総厚としてそれぞれ、0.66mm、0.56mm、のカードコア保持ホルダーを作製した。この保持体の圧縮率は1%である。
また、この場合はカードコア保持ホルダーと転写フィルムとの仮留めを実施するために市販の両面テープ(コクヨ製T−E210、厚み約0.1mm)を用いた。
【0102】
(評価)
以上の各実施例、比較例により得られたカードコア保持ホルダーの剛性、保持体の加工性、カードコアへの画像の転写性(カードコア端部周辺欠陥)、及び、画像転写後のゴミ(画像保持層の転写フィルムからの剥れによるもの)について評価した結果を表1に示す。
【0103】
なお、表1中に示す剛性、加工性、転写性の評価方法及び評価基準は以下に示す通りである。
【0104】
−剛性−
剛性は、カードコア保持ホルダーにカードコアをセットし、転写フィルムをカードコア保持ホルダーと一体化させ積層体を構成し、転写装置(ラミネート装置)に挿入する作業工程で、積層体がその積層構造を維持できるか否かで評価した。
A:カードコア保持ホルダー、カードコア、転写フィルムの積層体がその積層構造を維持できる。
N:カードコア保持ホルダー、カードコア、転写フィルムの積層体がその積層構造を維持できない。
【0105】
−加工性−
加工性は、カードコア保持ホルダーの製造工程において、カードコア保持ホルダーに窓穴を開ける作業時に、所望の窓穴形状に加工できるか否かを評価した。圧縮率が高くなると加工面が潰されて所望の穴形状にならないことがある。
A:カードコア保持ホルダーに問題なく窓穴を開けることができる。
B:カードコア保持ホルダーに問題なく窓穴を開けることができるが、切断面の潰れによりカードコアが窓穴から外れ易くなっている。
N:カードコア保持ホルダーの切断面が潰れてしまい所望の窓穴を開けられない。
【0106】
−転写性−
転写性は、画像転写されたカードコアに欠陥が発生するか否か、転写フィルムから画像保持層が剥れてゴミとなるか否かを評価した。
A:カードコアに画像欠陥は無く、画像保持層剥れによるゴミも無い。
N1:カードコアに画像欠陥が見られる。
N2:転写フィルムから剥れた画像保持層がカードコア保持ホルダーに接着せずゴミとなっている。
【0107】
(評価結果)
評価結果は、以下の通りである。
【0108】
−実施例A−
この場合、カードコア保持ホルダーの圧縮率が5%と小さいので、3種類のカードコアの厚みにあわせて、それぞれ異なる厚みのカードコア保持ホルダーを準備する必要があったが、剛性、加工性、転写性とも問題無く使用可能であるという結果であった。
【0109】
−実施例B−
この場合、カードコア保持ホルダーの圧縮率が10%となっており、3種類のカードコアの厚みにあわせて、異なる厚みのカードコア保持ホルダーを2種類準備した。これにより、剛性、加工性、転写性とも問題無く使用可能であるという結果であった。2種類のカードコア保持ホルダーを準備すれば全てのカードコアに対応できることが確認できた。
【0110】
−実施例C−
この場合、カードコア保持ホルダーの圧縮率が20%となっており、3種類のカードコアの厚みにあわせて、カードコア保持ホルダーは1種類のみでよく、全てのカードコアに対し、剛性、加工性、転写性とも問題無く使用可能であるという結果であった。
【0111】
−実施例D−
この場合、カードコア保持ホルダーの圧縮率が2%と低く、3種類のカードコアに対し、カードコアの画像欠陥、画像保持層の剥れによるゴミ発生という問題が生じた。また、カードコア保持ホルダーの圧縮率2%では10種類以上の厚みのカードコア保持ホルダーを準備、運用する必要があり、実質的には実現は困難である。
【0112】
−比較例E−
この場合、カードコア保持ホルダーの圧縮率が1%と低く、2種類のカードコアに対し、カードコアの画像欠陥、画像保持層の剥れによるゴミ発生という問題が生じた。また、両面テープを用いる必要があることから、ゴミの原因となるカードコアに積層される領域以外の転写フィルムの画像部又はその画像保持層が必ずゴミとして発生する問題が確認された。
【0113】
以下、評価結果を一覧にして示す。
【0114】
【表1】

【0115】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、適用できるカードコア厚み幅が広く、剛性、加工性、転写性に優れることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略上面図である。
【図3】実施形態に係る丁合い装置における丁合い部を示す概略側面図である。
【図4】実施形態に係る丁合い装置の丁合い部における積層工程を示す工程図である。
【図5】実施形態に係る転写装置(ラミネート装置)を示す概略構成図である。
【図6】実施形態に係るカードコア保持ホルダー(転写フィルムとの積層状態)を示す平面図である。
【図7】図6のA−A断面図であり、(A)は非加圧時を示し、(B)は加圧時を示す。
【図8】実施形態に係るカードコア保持ホルダーの厚みの違いによる作用を説明するための模式図であり、(A)はカードコア保持ホルダーがカードコアよりも厚みが厚い場合の例を示し、(B)はカードコア保持ホルダーがカードコアよりも厚みが薄い場合の例を示す。
【符号の説明】
【0117】
10 画像記録体の作製装置
20 丁合い装置
30 転写装置
31 ベルト
32 テンションロール
33 冷却ロール
34 加熱加圧ロール
35 インレットロール
36 テンションバネ
37 冷却ファン
39 冷却板
41 裏面転写フィルム
41A 裏面転写フィルム収納部
42B 搬送路
42 表面転写フィルム
42A 表面転写フィルム収納部
43 カードコア保持ホルダー
43A 窓穴
43B 保持ホルダー本体
43C 粘着層
44 カードコア
46 箱状部材
50 丁合い部
52 基準壁
52,53 基準壁
54,55 規制部材
56 加圧部材
57 搬送ローラ
61 画像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材保持体本体と、
前記基材保持体本体に設けられた少なくとも一つ以上の窓穴と、
前記基材保持体の少なくとも一方の前記窓穴が設けられた以外の領域全面に設けられた粘着層と、
を具備し、
前記窓穴に基材を挿入すると共に、前記粘着層が設けられた面に対し少なくとも一方の面に画像部を有する転写体を前記転写体の前記画像部が前記基材と対向するように積層して、前記転写体の画像部と前記基材とを位置決めするための位置決め用基材保持体。
【請求項2】
加圧により厚みが、小さくなる請求項1に記載の位置決め用基材保持体。
【請求項3】
前記基材保持体本体が、紙で構成される請求項1に記載の位置決め用基材保持体。
【請求項4】
前記窓穴に基材が挿入された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置決め用基材保持体の前記粘着層が設けられた面に対し、少なくとも一方の面に画像部を有する転写体を前記転写体の前記画像部が前記基材と対向するように積層すると共に位置決めをする位置決め手段と、
位置決めされた前記転写体及び前記位置決め用基材保持体を加熱・加圧して、前記基材の表面に前記画像部を転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像記録体の作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−58975(P2010−58975A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229595(P2008−229595)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】