説明

基板の回路検査装置及び検査方法

【課題】帯電された電子インクを利用して電極の通電状態を測定して、ピンプローブの使用を基板の一面に限定することで、全検査費用を節減する基板の回路検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】基板180の一面に形成された電極160の一側に接触するピンプローブ110、ピンプローブ110に電圧を印加する電圧源120、基板180の他面に形成された電極160の他側に位置するフィルム130、フィルム130の内部に封止された誘電流体140、及び誘電流体140の内部に分散され、電極160の通電により流動するように帯電された電子インク150を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の回路検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子産業の発達につれて電子部品の高機能化に対する要求が急増している。これにより、基板の製造時に行われる基板の回路検査法も高精度化、高速化、低費用化が要求されている。しかし、現在一般的に利用される基板の回路検査方法である接触式ピンプローブ(pin probe)方式は前述した要求を満たすことができない。
【0003】
図1は、従来技術による接触式ピンプローブを採用した基板の回路検査装置の断面図である。
【0004】
図1を参照すれば、接触式ピンプローブを採用した基板15の回路検査装置は、二つのピンプローブ11、12、電圧源13及び電流計14を含むものである。
【0005】
第1ピンプローブ11は、基板15の一面に形成された電極16の一側に接触して電圧源13から供給された電流を電極16に伝達し、第2ピンプローブ12は、基板15の他面に形成された電極16の他側に接触して電極16から電流を受けて電流計14に伝達する。
【0006】
すなわち、電極16が導通する場合、電圧源13、第1ピンプローブ11、電極16、第2ピンプローブ12、電流計14の順に直列されて閉回路が形成され、閉回路内には電流が流れる。よって、電流計14を利用して電流を測定すれば、オームの法則(R=V/I)によって抵抗値を求めることができる。理論的には、電極16が導通する場合、抵抗値0Ωが測定されるべきであるが、ピンプローブ11、12及び閉回路を構成する導線自体の抵抗が存在するため、抵抗値は0Ωに測定されなくて相対的に低い抵抗値が測定される。
【0007】
一方、電極16が導通していない場合、前述した電流が流れなく、抵抗値は無限大(V/0=∞)になる。
【0008】
したがって、ピンプローブを採用した基板の回路検査装置は、抵抗値を測定して電極の導通を判断することができる。
【0009】
しかし、従来技術による基板の回路検査装置は、基板の微細パターン化に対応するために、ピンプローブを精巧に製作しなければならないので、ピンプローブの製造費用がますます増加しており、それにより全検査費用も増加する問題点があった。
【0010】
また、電極パッドがちょっと浮き上がって電極が通電しない不良が存在する場合、検査の際、ピンプローブの圧力によって電極が通電されることにより正常であると誤測定する問題点があった。
【0011】
更に、電極の両側にそれぞれピンプローブを接触させなければならないので、測定時間が長くかかる問題点があり、検査中の電流の流れによる発熱で電極が破損するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、基板の回路検査に電気泳動法を採用することにより、電極パッドがちょっと浮き上がっている場合も誤測定を防止することができ、基板の一面にだけピンプローブを使用するため、ピンプローブの消耗によって発生する検査費用を節減することができる基板の回路検査装置及び検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一面によれば、基板の一面に形成された電極の一側に接触するピンプローブ;前記ピンプローブに電圧を印加する電圧源;前記基板の他面に形成された前記電極の他側に位置するフィルム;前記フィルムの内部に封止された誘電流体;及び前記誘電流体の内部に分散され、前記電極の通電により流動するように帯電された電子インク;を含むことを特徴とする基板の回路検査装置が提供される。
【0014】
前記フィルムは、前記誘電流体と前記電子インクを封止した多数のマイクロカプセルを含むことが好ましい。
【0015】
前記フィルムは、前記電子インクを所定間隔で分離するように垂直に形成された隔壁を含むことが好ましい。
【0016】
前記電圧源は、前記ピンプローブに正電圧を印加し、前記電子インクは、負電荷で帯電されることが好ましい。
【0017】
前記電圧源は、前記ピンプローブに負電圧を印加し、前記電子インクは、正電荷で帯電されることが好ましい。
【0018】
前記電子インクは、ホワイトインクとブラックインクでなることが好ましい。
【0019】
前記ホワイトインクは、正電荷で帯電され、前記ブラックインクは、負電荷で帯電されることが好ましい。
【0020】
前記ホワイトインクは、負電荷で帯電され、前記ブラックインクは、正電荷で帯電されることが好ましい。
【0021】
前記フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状オレフィン高分子(COC)、ガラス(Glass)または強化ガラスで形成されることが好ましい。
【0022】
前記誘電流体は、透明であってもよい。
【0023】
前記電子インクと前記誘電流体の比重は、同一であってもよい。
【0024】
前記基板の回路検査装置は、前記電子インクの流動状態を撮影するカメラをさらに含むことが好ましい。
【0025】
前記基板の回路検査装置は、前記カメラで撮影した画像と前記電極が通電する場合の対照画像を比較することにより、前記電極の通電状態を判断する画像比較手段をさらに含むことが好ましい。
【0026】
前記基板は、プリント基板または半導体ウェハーであってもよい。
【0027】
本発明の他の面によれば、(A)ピンプローブ、及び内部に電子インクが分散された誘電流体が封止されたフィルムを準備する段階;(B)前記ピンプローブを基板の一面に形成された電極の一側に接触させ、前記フィルムを基板の他面に形成された電極の他側に位置させる段階;及び(C)電圧源が前記ピンプローブに電圧を印加することで帯電された前記電子インクの流動状態を測定することにより前記電極の通電状態を判断する段階;を含むことを特徴とする基板の回路検査方法が提供される。
【0028】
前記(C)段階で、前記電子インクは、前記電極の通電により流動することが好ましい。
【0029】
前記(C)段階は、カメラで撮影して前記電子インクの流動状態の測定することが好ましい。
【0030】
前記(C)段階は、画像前記カメラで撮影された画像と前記電極が通電する場合の対照画像を比較することにより前記電極の通電状態を判断することが好ましい。
【0031】
前記(A)段階で、前記電子インクと前記誘電流体の比重は同一であり、前記(C)段階で、前記電圧源は、前記電子インクの流動が止まるまで、前記ピンプローブに電圧を印加することが好ましい。
【0032】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0033】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、帯電された電子インクを利用して電極の通電状態を測定することで、ピンプローブの使用を基板の一面に制限することができ、これにより全検査費用を節減することができる効果がある。
【0035】
また、本発明によれば、電極パッドがちょっと浮き上がって電極が通電しない不良が発生する場合、圧力を加えない電気泳動法を利用して通電状態を測定するので、誤測定が発生しない利点がある。
【0036】
更に、本発明によれば、ピンプローブを基板の一面にだけ接触させれば良いので、測定時間が短縮され、電極に電流が流れないので、発熱による電極の破損を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来技術による接触式ピンプローブを採用した基板の回路検査装置の断面図である。
【図2A】本発明の好適な第1実施例による基板の回路検査装置の断面図(1)である。
【図2B】本発明の好適な第1実施例による基板の回路検査装置の断面図(2)である。
【図3A】本発明の好適な第2実施例による基板の回路検査装置の断面図(1)である。
【図3B】本発明の好適な第2実施例による基板の回路検査装置の断面図(2)である。
【図4A】本発明の好適な第3実施例による基板の回路検査装置の断面図(1)である。
【図4B】本発明の好適な第3実施例による基板の回路検査装置の断面図(2)である。
【図5A】本発明の好適な第4実施例による基板の回路検査装置の断面図(1)である。
【図5B】本発明の好適な第4実施例による基板の回路検査装置の断面図(2)である。
【図6】本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図(1)である。
【図7】本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図(2)である。
【図8】本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図(3)である。
【図9】本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図(4)である。
【図10】本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図(5)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。また、“一面”、“他面”、“一側”、“他側”などの用語はある構成要素を他の構成要素と区別するために使用したもので、構成要素が前記用語に制限されるものではない。本発明の説明において、本発明の要旨を不要にあいまいにすることができる関連の公知技術についての具体的な説明は省略する。
【0039】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0040】
図2A及び図2Bは、本発明の好適な第1実施例による基板の回路検査装置の断面図である。
【0041】
図2A及び図2Bに示すように、本実施例による基板180の回路検査装置は、基板180の一面に形成された電極160の一側に接触するピンプローブ110、ピンプローブ110に電圧を印加する電圧源120、基板180の他面に形成された電極160の他側に位置するフィルム130、フィルム130の内部に封止された誘電流体140、及び誘電流体140の内部に分散され、電極160の通電によって流動するように帯電された電子インク150を含んでなるものである。また、本実施例による基板180の回路検査装置は、電子インク150の流動状態を撮影するカメラ190、及びカメラ190で撮影した画像と電極160が通電される場合の対照画像を比較して電極の通電状態を判断する画像比較手段200をさらに含むことができる。
【0042】
ここで、電極160、170は、本発明による基板180の回路検査装置の被検査査対象であって、基板180を垂直に貫いて基板180の一面と他面に露出されるビア、回路層、パッドなどをすべて含む概念である。また、基板180は図面に単層として示されているが、多層基板も本発明の権利範囲に含まれるのはいうまでもなく、プリント基板(PCB)または半導体ウェハーを含む概念である。
【0043】
ピンプローブ110は、基板180の一面に形成された電極160、170の一側と接触し、電圧源120から印加された電圧を電極160、170に伝達する役目をする。電圧を受けた電極160では、電場が発生し、この電場によって電極160、170の導通状態を測定することができる。これについての詳細な説明は後述する。
【0044】
また、ピンプローブ110は、微細回路に対応するように超小型のピン型構造に製作される。通常、ピンプローブ110の横断面は、円形であるが、これに限定するものではなく、三角形、四角形などの多角形に構成されることもできる。また、ピンプローブ110は、電圧を電極160、170に伝達するように導電体で構成され、ピンプローブ110そのものの電気抵抗を最小化するために、電気抵抗が低くて表面強度が高い金属、例として、金またはロジウムのような貴金属でピンプローブ110の表面をメッキする。
【0045】
電圧源120は、ピンプローブ110に電圧を印加する役目をする。ここで、電圧源120は、一般的に70V〜100Vの直流電圧源120を用いることが好ましいが、これに限定するものではなく、基板180の厚さ、電子インク150の重さなどを考慮して適切な電圧を印加する電圧源120を選択することができる。
【0046】
フィルム130は、後述する誘電流体140を封止するための手段であって、ピンプローブ110が位置する基板180の一側の反対側である基板180の他側に位置する。フィルム130は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状オレフィン高分子(COC)、ガラス(Glass)または強化ガラスなどで形成することができる。また、本発明の核心的な構成要素である誘電流体140と電子インク150は、フィルム130の歪みによる影響をほとんど受けない。よって、必要によってフィルム130は、フレキシブルに製作することができる。
【0047】
誘電流体140は、フィルム130の内部に封止された分散媒であって、誘電流体140の内部に分散された分散質である電子インク150を流動させる役目をする。誘電流体140は、通常PDMS oilのような色を帯びる流体(dyed colloidal suspension)を利用することができるが、電子インク150の流動がもっと正確に測定されるように透明な流体を利用することもできる。
【0048】
電子インク150は、誘電流体140に微細な形態として分散されている微粒子であり、正電荷または負電荷で帯電されて電極160、170の通電によって流動することにより、電極160、170の通電状態を視覚的に(肉眼またはカメラ)190判断できるようにする役目をする。より詳細に電子インク150の流動過程を説明すれば、電極160、170の一側は、ピンプローブ110から電圧が伝達され、電極160、170の他側は、開放されているので、電流が流れなく、通電している電極160の他側には、電場が発生する。通電している電極160の他側で発生した電場によって、電子インク150は流動する。
【0049】
例えば、図2Aに示すように、電圧源120がピンプローブ110に負電圧を印加した場合、正電荷で帯電された電子インク150は、電気的引力によって通電している電極160の他側に流動するが、通電していない電極170の他側には流動しない。
【0050】
また、図2Bに示すように、電圧源120がピンプローブ110に正電圧を印加した場合、負電荷で帯電された電子インク150は、電気的引力によって通電している電極160の他側に流動するが、通電していない電極170の他側には流動しない。
【0051】
したがって、電子インク150が流動する側の電極160は、通電していると判断することができ、電子インク150が流動しない側の電極170は、通電していないと判断することができる。すなわち、電気泳動法によって電極160の通電状態を判断することができるものである。
【0052】
前述したように、本発明による基板の回路検査装置は、電極160、170の他側にピンプローブ110を接触することなく非接触式の電気泳動法によって検査を行うので、ピンプローブ110の使用量を減らして全体検査費用を節減することができ、検査時間を短縮することができる。また、電極パッドがちょっと浮き上がっている場合、接触式で発生する誤測定を防止することができ、検査電極160、170に電流が流れないので、電極160、170の破損を防ぐことができる利点がある。
【0053】
一方、電圧源120がピンプローブ110に正電圧を印加して電子インク150が正電荷で帯電された場合、あるいは電圧源120がピンプローブ110に負電圧を印加して電子インク150が負電荷で帯電された場合も想定できるが、この場合、電子インク150は電気的斥力によって通電している電極160の他側から遠くなるので、通電している電極160を明確に判断することができない問題点が存在する。よって、前述したように、電圧源120がピンプローブ110に印加する電圧の反対極で電子インク150を帯電することが好ましい。
【0054】
そして、電子インク150の流動で電極160の通電状態を判断するに当たり、双安定性(bi-stability)を利用して電力を節減することができる。双安定性とは、電子インク150が電場によって流動して電極160の他端側に集まった後には、電場を除去しても電子インク150が動かない性質を意味するものである。双安定性は、分散質の比重と分散媒の比重が同一である場合にうまく具現されるので、電子インク150と誘電流体140の比重は同一であることが好ましい。ただ、ここで、同一比重とは、数学的に完璧な同一を意味するものではなく、電子インク150や誘電流体140の製造工程上の誤差を含む概念である。
【0055】
一方、電子インク150としては、二酸化チタニウムまたは炭素などを使用することが好ましく、電子インク150の大きさは、特に限定されるものではないが、電気的引力による流動が可能でありながらも測定が容易になるように、1〜2μmのものが好ましい。
【0056】
一方、電子インク150の流動は、肉眼で測定することもできるが、より正確な測定のために、電子インク150の流動状態を撮影するカメラ190を備えることが好ましい。また、カメラ190で撮影された画像と予め入力されている電極が通電する場合の対照画像を比較して電極160の通電状態を正確に判断することができる画像比較手段200を備えることが好ましい。
【0057】
図3A及び図3Bは、本発明の好適な第2実施例による基板の回路検査装置の断面図である。
【0058】
本実施例と前述の第1実施例を比較すると、最大の相違点は、フィルム130の内部に誘電流体140と電子インク150を封止したマイクロカプセル133をさらに含んでいる点である。マイクロカプセル133の外の構成要素は、同一であるので、その重複説明は省略し、相違点のマイクロカプセル133について詳細に説明する。
【0059】
第1実施例の電子インク150は、フィルム130の内部の全体空間に自由に流動することができるので、電子インク150がクラスタ化するか凝集することができる。この場合、電子インク150に電気的引力が作用しても流動しないか、あるいは部分別に電子インク150の密度が違うため、電子インク150の流動を正確に測定しにくい問題点が発生することができる。
【0060】
本実施例はこのような問題点を解決するために、マイクロカプセル133を採用したものである。マイクロカプセル133は、電子インク150が流動することができる空間を限定することで、電子インク150が特定部分にクラスタ化するか凝集することを防止する。また、マイクロカプセル133を微細に製作すれば、測定分解能力が高くなって基板180の微細パターン化にも対応することができる利点がある。
【0061】
本実施例においても、前述した第1実施例と同様に、電圧源120は、ピンプローブ110に負電圧を印加して電子インク150を正電荷で帯電させることにより電極160、170の導通状態を測定するか(図3A参照)、あるいは電圧源120は、ピンプローブ110に正電圧を印加して電子インク150を負電荷で帯電させることにより電極160、170の導通状態を測定することができる(図3B参照)。
【0062】
図4A及び図4Bは、本発明の好適な第3実施例による基板の回路検査装置の断面図である。
【0063】
本実施例と前述の実施例を比較すると、最大の相違点は、フィルム130の内部に電子インク150を所定間隔で分離するように垂直に隔壁135が形成されている点である。隔壁135の外の構成要素は、同一であるのでその重複説明は省略し、相違点の隔壁135について詳細に説明する。
【0064】
本実施例の隔壁135は、第2実施例のマイクロカプセル133と類似の役目をする。すなわち、フィルム130の内部に備えられた隔壁135は、電子インク150が流動することができる空間を限定することで、電子インク150が特定部分にクラスタ化するか凝集することを防止する。また、隔壁135を微細な間隔で形成すれば、測定分解能力が高くなって基板180の微細パターン化にも対応することができる利点がある。さらに、隔壁135は、フィルム130を支持する役目をするため、フィルム130の厚さが不均一になることを防止することができる利点がある。
【0065】
本実施例においても、前述した第1実施例と同様に、電圧源120は、ピンプローブ110に負電圧を印加して電子インク150を正電荷で帯電させることで電極160、170の導通状態を測定するか(図4A参照)、あるいは電圧源120は、ピンプローブ110に正電圧を印加して電子インク150を負電荷で帯電させることで、電極160、170の導通状態を測定することができる(図4B参照)。
【0066】
図5A及び図5Bは、本発明の好適な第4実施例による基板の回路検査装置の断面図である。
【0067】
本実施例と前述した実施例を比較すると、最大の相違点は、電子インク150がホワイトインク153とブラックインク155で構成される点である。また、ホワイトインク153とブラックインク155は、それぞれ異なる極の電荷で帯電され、電場が作用するときに互いに分離される。よって、電子インク150の流動をより明確に測定することができる。
【0068】
例えば、図5Aに示すように、ホワイトインク153を正電荷で帯電し、ブラックインク155を負電荷で帯電した後、電圧源120がピンプローブ110に負電圧を印加すれば、ホワイトインク153は電気的引力によって通電している電極160の他側に移動し、ブラックインク155は、電気的斥力によって通電している電極160の他側から遠くなるので、ホワイトインク153とブラックインク155が互いに分離される。一方、通電していない電極170の他側では、電場が発生しないので、ホワイトインク153とブラックインク155は分離されない。
【0069】
また、図5Bに示すように、ホワイトインク153を負電荷で帯電させ、ブラックインク155を正電荷で帯電させた後、電圧源120がピンプローブ110に負電圧を印加すれば、ブラックインク155は電気的引力によって通電している電極160の他側に移動するが、ホワイトインク153は電気的斥力によって通電している電極160の他側から遠くなるので、ホワイトインク153とブラックインク155が互いに分離される。一方、通電していない電極170の他側では、電場が発生しないので、ホワイトインク153とブラックインク155は分離されない。
【0070】
したがって、本実施例は、互いに明確に識別されるホワイトインク153とブラックインク155を利用して、ホワイトインク153とブラックインク155が分離されるか否かを確認することにより、電極160の通電状態を正確に判断することができる。
【0071】
図5A及び図5Bは、マイクロカプセル133を採用した場合(第2実施例参照)を示しているが、これに限定されるものではなく、前述した基本的なフィルム130のみを備えた場合(第1実施例参照)、内壁を有するフィルム130を備えた場合(第3実施例参照)のいずれにも、電子インク150は、ホワイトインク153とブラックインク155で構成できる。
【0072】
図6〜図10は、本発明の好適な実施例による基板の回路検査方法を順に示す断面図である。
【0073】
図6〜図10に示すように、本実施例による基板の回路検査方法は、(A)ピンプローブ110、及び内部に電子インク150が分散された誘電流体140が封止されたフィルム130を準備する段階、(B)ピンプローブ110を基板180の一面に形成された電極160の一側に接触させ、フィルム130を基板180の他面に形成された電極160の他側に位置させる段階、及び(C)電圧源120がピンプローブ110に電圧を印加することで帯電された電子インク150の流動状態を測定することにより電極160の通電状態を判断する段階を含んでなるものである。
【0074】
本実施例による基板の回路検査方法は、前述した基板の回路検査装置を用いるもので、基板の回路検査装置の構成要についてはすでに説明したので、その重複内容の説明は省略し、基板の回路検査方法の時系列的な特徴を中心に説明する。
【0075】
まず、図6に示すように、ピンプローブ110、及び内部に電子インク150が分散された誘電流体140が封止されたフィルム130を準備する段階である。この際、電子インク150と誘電流体140の比重は同一であること好ましい。これは、後述の段階で電子インク150の流動から電極160の通電状態を判断することにおいて双安定性(bi-stability)を利用するためである。
【0076】
ついで、図7に示すように、ピンプローブ110を基板180の一面に形成された電極160、170の一側に接触させ、フィルム130を基板180の他面に形成された電極160、170の他側に位置させる段階である。この際、ピンプローブ110は電極160、170と電気的に連結されるように接触され、フィルム130は通電している電極160で発生する電場の範囲内に位置することが好ましい。
【0077】
ついで、図8〜図10に示すように、電圧源120がピンプローブ110に電圧を印加することで帯電された電子インク150の流動状態を測定することにより、電極160、170の通電状態を判断する段階である。より好ましくは、本段階は、ピンプローブ110に電圧を印加する段階、ピンプローブ110から電圧を除去する段階、及びカメラ190を利用した測定によって画像比較手段200で電極160、170の通電状態を判断する段階でなる。
【0078】
まず、図8を参照すれば、電圧源120がピンプローブ110に電圧を印加する段階である。電圧が印加されれば、通電している電極160の他側に電子インク150が電気的引力によって流動し、通電していない電極170の他側では電子インク150が流動しない。
【0079】
ついで、図9を参照すれば、ピンプローブ110に印加された電圧を除去する段階である。電子インク150の流動が止まると、ピンプローブ110に印加される電圧を除去する。電圧を除去しても、双安定性(bi-stability)によって電子インク150は通電している電極160の他側で流動しない。よって、電圧源120は、電子インク150が流動する間だけ選択的にピンプローブ110に電圧を印加すれば良いので、電力消耗を減らすことができる利点がある。
【0080】
ついで、図10を参照すれば、カメラ190を利用した測定によって画像比較手段200で電極160の通電状態を判断する段階である。電子インク150の流動は、肉眼でも判断可能であるが、より正確な測定のために、カメラ190で撮影して電子インク150の流動状態を測定する。その後、カメラ190で撮影した画像は、画像比較手段200に伝送される。ここで、画像比較手段200には、電極が通電する場合(電極が正常の場合)の対照画像が予め保存されている。画像比較手段200は、カメラ190で撮影した画像と対照画像を比較することにより、電極160の通電状態を判断する。
【0081】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による基板の回路検査装置及び基板の回路検査方法は、これに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持った者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、現在、一般的に利用される接触式ピンプローブ方式の基板回路検査方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
110 ピンプローブ
120 電圧源
130 フィルム
133 マイクロカプセル
135 隔壁
140 誘電流体
150 電子インク
153 ホワイトインク
155 ブラックインク
160 電極
170 通電していない電極
180 基板
190 カメラ
200 画像比較手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に形成された電極の一側に接触するピンプローブ;
前記ピンプローブに電圧を印加する電圧源;
前記基板の他面に形成された前記電極の他側に位置するフィルム;
前記フィルムの内部に封止された誘電流体;及び
前記誘電流体の内部に分散され、前記電極の通電により流動するように帯電された電子インク;
を含むことを特徴とする基板の回路検査装置。
【請求項2】
前記フィルムが、前記誘電流体と前記電子インクを封止した多数のマイクロカプセルを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項3】
前記フィルムが、前記電子インクを所定間隔で分離するように垂直に形成された隔壁を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項4】
前記電圧源が、前記ピンプローブに正電圧を印加し、前記電子インクは負電荷で帯電されたことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項5】
前記電圧源が、前記ピンプローブに負電圧を印加し、前記電子インクは正電荷で帯電されたことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項6】
前記電子インクが、ホワイトインクとブラックインクでなることを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項7】
前記ホワイトインクが正電荷で帯電され、前記ブラックインクが負電荷で帯電されたことを特徴とする請求項6に記載の基板の回路検査装置。
【請求項8】
前記ホワイトインクが負電荷で帯電され、前記ブラックインクが正電荷で帯電されたことを特徴とする請求項6に記載の基板の回路検査装置。
【請求項9】
前記フィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状オレフィン高分子(COC)、ガラス(Glass)または強化ガラスで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項10】
前記誘電流体が、透明なことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項11】
前記電子インクと前記誘電流体の比重が、同一であることを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項12】
前記電子インクの流動状態を撮影するカメラをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項13】
前記カメラで撮影した画像と前記電極が通電する場合の対照画像を比較することにより、前記電極の通電状態を判断する画像比較手段をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の基板の回路検査装置。
【請求項14】
前記基板が、プリント基板または半導体ウェハーであることを特徴とする請求項1に記載の基板の回路検査装置。
【請求項15】
(A)ピンプローブ、及び内部に電子インクが分散された誘電流体が封止されたフィルムを準備する段階;
(B)前記ピンプローブを基板の一面に形成された電極の一側に接触させ、前記フィルムを基板の他面に形成された電極の他側に位置させる段階;及び
(C)電圧源が前記ピンプローブに電圧を印加することで帯電された前記電子インクの流動状態を測定することにより前記電極の通電状態を判断する段階;
を含むことを特徴とする基板の回路検査方法。
【請求項16】
前記(C)段階で、前記電子インクが前記電極の通電により流動することを特徴とする請求項15に記載の基板の回路検査方法。
【請求項17】
前記(C)段階が、カメラで撮影して前記電子インクの流動状態の測定することを特徴とする請求項15に記載の基板の回路検査方法。
【請求項18】
前記(C)段階が、画像前記カメラで撮影された画像と前記電極が通電する場合の対照画像を比較することにより前記電極の通電状態を判断することを特徴とする請求項17に記載の基板の回路検査方法。
【請求項19】
前記(A)段階で、前記電子インクと前記誘電流体の比重は同一であり、
前記(C)段階で、前記電圧源は前記電子インクの流動が止まるまで前記ピンプローブに電圧を印加することを特徴とする請求項15に記載の基板の回路検査方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5A】
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【図5B】
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