説明

基板搬送用トレイ

基板(2)を水平に載置するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、前記基板搬送用トレイ(1)は、複数個積み重ねたときに、前記基板搬送用トレイ(1)の上方に配置される基板搬送用トレイ(1)と接触する上方接触部と、下方に配置される基板搬送用トレイ(1)と接触する下方接触部とを備え、前記上方接触部及び前記下方接触部の形状が、前記基板搬送用トレイの上方に他の基板搬送用トレイを載置したときに、前記他の基板搬送用トレイの重心が前記基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に前記他の基板搬送用トレイ(1)を移動させるように形成されている。撓むことで被積載物同士が接触して破損する恐れがないとともに、安定して積み重ねることができる基板搬送用トレイを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被積載物を積載するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネル等に用いる基板を複数枚同時に運搬しようとする場合、図27に示す運搬装置を用いて運搬するのが一般的である。図27に示す運搬装置は、発泡ポリプロピレン等の材料からなる直方体状の梱包材201に、縦穴203を設けて有底角筒状とし、縦穴203の内壁に収納する基板の数より一つ少ないリブ205を設けて縦穴203を仕切って溝204を基板の枚数分形成し、その溝204に基板202を一枚ずつ嵌めて収納するようになっており、これを用いて運搬することにより、複数枚の基板を同時に運搬することができる。
【0003】
また、日本国公開特許公報「特開平10−287382号公報」(1998年10月27日公開)には、基板搬送用トレイに基板を載置し、この基板搬送用トレイ同士を積み重ねることによって複数枚の基板を積み重ね可能な構成が開示されている。この特開平10−287382号公報においては、基板搬送用トレイの四辺に形成された鉛直な側面を有する枠の四隅上方に、一部が枠の側面と平行にオフセットされた凹部を設けるとともに、該凹部を設けた箇所の鉛直下方に該凹部と嵌め込み可能な突起部を設けて形成されており、複数の基板搬送用トレイを重ねるときには、上側に配置される基板搬送用トレイの突起部が、下側に配置される基板搬送用トレイの凹部に嵌り込むことにより、複数個の基板搬送用トレイが積み重ね可能になっている。
【0004】
しかし、縦穴の溝に基板を一枚ずつ嵌める搬送装置では、基板は、端がリブ205で保持されているだけであり、中央部はどこにも保持されていない。その結果、大面積のディスプレイパネルの基板の場合、基板が撓んで、基板の中央部が他の基板の中央部に接触して破損する恐れがあるという課題があった。
【0005】
また、上記特開平10−287382号公報の基板搬送用トレイでは、凹部外側面と突起部内側面との間には、製造誤差及び嵌めあいを考慮した余裕が必要である。これは、このような余裕がないと、積み重ねた際に上側に配置される基板搬送用トレイが大きめに製造され下側に配置される基板搬送用トレイが小さめに製造された場合、上側の基板搬送用トレイが下側の基板搬送用トレイにうまく嵌らず、下側の基板搬送用トレイの上に乗り上げてしまうからである。
【0006】
しかし、このような余裕があると例えば30段と言ったように多数段積み重ねた場合には新たな課題が発生する。すなわち、複数の基板搬送用トレイを積み重ねたとき、横から見て若干左に寄って積まれたものや、若干右に寄って積まれたものなどが有り得るため、多数段重ねた状態では左右に寄って積まれたものが混在して全体として波打ったような形状となる場合や、ほとんどが左(あるいは右)に寄った状態で積まれ、全体として左(あるいは右)に傾いた形状となる場合があり、安定した積載状態とはならない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板が撓むことで基板同士が接触して破損する恐れがないとともに、安定して積み重ねることができる基板搬送用トレイを実現することにある。
【発明の開示】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板搬送用トレイは、基板を水平に載置するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、前記基板搬送用トレイは、複数個積み重ねたときに、前記基板搬送用トレイの上方に配置される基板搬送用トレイと接触する上方接触部と、下方に配置される基板搬送用トレイと接触する下方接触部とを備え、前記上方接触部及び前記下方接触部の形状が、前記基板搬送用トレイの上方に他の基板搬送用トレイを載置したときに、前記他の基板搬送用トレイの重心が前記基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に前記他の基板搬送用トレイを移動させるように形成されていることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、基板搬送用トレイの上方に他の基板搬送用トレイを載置したときに、上側の基板搬送用トレイの重心が下側の基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上側の基板搬送用トレイが移動するので、基板搬送用トレイを積み重ねたときに、基板搬送用トレイが垂直方向に略直線状に揃うことになる。
【0010】
それゆえ、基板が撓むことで基板同士が接触して破損する恐れがないとともに、安定して積み重ねることができる。
【0011】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、基板を積載するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、前記基板搬送用トレイは、複数個積み重ねたときに、前記基板搬送用トレイの上方に載置される基板搬送用トレイと接触する上方接触部と、下方に載置される基板搬送用トレイと接触する下方接触部とを備え、前記上方接触部は、基板搬送用トレイの内側に向かう方向又は基板搬送用トレイの外側に向かう方向が低くなるように傾斜した上方傾斜部を備え、前記下方接触部は、前記上方傾斜部の傾斜方向と同方向に傾斜した下方傾斜部を備えていることを特徴としている。
【0012】
なお、ここでいう傾斜とは、直線状のものに限られず、曲線状のものも含むものとする。
【0013】
この構成によれば、同形状のトレイを積み重ねれば、基板搬送用トレイを積み重ねたときに、基板搬送用トレイが垂直方向に略直線状に揃うことになるため好適である。
【0014】
当接領域である上方接触部・下方接触部は、基板搬送用トレイを積み重ねたときに互いに当接する部位であればよく、被積載物の形状に応じて決めればよい。例えば被積載物がディスプレイパネルの基板のように大面積のものであって、基板搬送用トレイの底面を目一杯使って一枚の被積載物を置くような場合、当接領域は、基板搬送用トレイの周縁部とすることができる。
【0015】
当接領域の上下側における全面が斜面形状になっていてもよいし、当接領域の上下側における外側方向または中央方向の一方の端部を含む部位のみ斜面形状で、他方の端部を含む部位は水平な面になっていてもよい。
【0016】
この構成によっても、上側の基板搬送用トレイは、下側の基板搬送用トレイの斜面形状に沿って、下側の基板搬送用トレイの上を滑り降り、基板搬送用トレイの水平方向における中心位置が両基板搬送用トレイ同士で一致する位置で止まる。したがって、基板搬送用トレイが左右に波打ったり一方に曲がったりするのを防ぐことができ、まっすぐに基板搬送用トレイを積み重ねることができる。それゆえ、基板搬送用トレイ同士を安定して積み重ねることができる。
【0017】
なお、本発明に係る基板搬送用トレイは、被積載物を積載するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、基板搬送用トレイの各部において、基板搬送用トレイを水平面に置いたときに基板搬送用トレイの中央に向かう向きを中央方向、基板搬送用トレイの外側に向かう向きを外側方向と称し、中央方向または外側方向のいずれか一方をB方向とするとき、基板搬送用トレイの、上記被積載物が積載されない領域であって、基板搬送用トレイを積み重ねたときに基板搬送用トレイ同士で当接し合う当接領域の上方側の面の少なくとも一部に、B方向側が低い斜面が形成され、上記当接領域の下方側の面に、積み重ねで下に位置する他の基板搬送用トレイの当接領域の上方側の面に嵌るような斜面が形成されているように構成することもできる。
【0018】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方接触部及び前記下方接触部は基板搬送用トレイの周縁に配置されているように構成することができる。
【0019】
被積載物がディスプレイパネルの基板のように大面積のものであって、基板搬送用トレイの底面を目一杯使って一枚の被積載物を置くような場合、前記上方接触部及び前記下方接触部は基板搬送用トレイの周縁部とすることで、基板の載置箇所を広く取ることが可能である。また、多段に載置したときに安定しやすい。
【0020】
このような周縁部を当接領域である上方接触部及び前記下方接触部として利用することにより、別途当接領域のような形状部を新たに設ける必要がないので、構造がより簡単になる。
【0021】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方傾斜部は前記上方接触部の上面全体に形成されており、前記下方傾斜部は下方接触部の下面全体に形成されているように構成することができる。
【0022】
この構成によれば、上方に載置される基板搬送用トレイの載置ずれが大きい場合であっても、このずれを補正することが可能である。すなわち、すべて斜面になっていることにより、基板搬送用トレイを積み重ねたときのずれが比較的大きくても基板搬送用トレイの重量により自然と本来の積み位置へと移動しやすい。
【0023】
なお、上記当接領域の上方側の面全面が斜面形状であり、上記当接領域の下方側の面全面が、積み重ねで下に位置する他の基板搬送用トレイの当接領域の上方側の上記斜面形状に嵌るような斜面形状になっているように構成することもできる。
【0024】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方傾斜部は前記上方接触部の上面の外側又は内側のいずれか一方端を含む部位に配置されており、前記下方傾斜部は前記下方接触部のうち、前記上方傾斜部の配置されている端に対応する端を含む部位に形成されているように構成することができる。
【0025】
上記の構成によれば、積み重ねられた基板搬送用トレイの重量を、水平面部によってより強く支えることができる。
【0026】
なお、上記当接領域の上下側における外側方向および中央方向のうちの一方の端部を含む部位のみ斜面形状であり、他方の端部を含む部位は水平な面になっているように構成することもできる。
【0027】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方傾斜部及び前記下方傾斜部の一方又は双方が平面状の傾斜であるように構成することができる。
【0028】
上記の構成によれば、上側の基板搬送用トレイが、スムーズに下側の基板搬送用トレイへと落ちていく。
【0029】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方傾斜部及び前記下方傾斜部の一方又は双方が、下方に向かうほど勾配が緩やかになる曲面状の傾斜であるように構成することができる。
【0030】
上記の構成によれば、上側の基板搬送用トレイが、下側の基板搬送用トレイへと落ちていく際に、止まるべき位置に近づくと減速することができ、より静かに定位置へと収めることができる。
【0031】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記上方傾斜部と前記下方傾斜部の形状が、それぞれが当接する部分において合同であるように構成することができる。
【0032】
上記の構成によれば、基板搬送用トレイを積み重ねるときに、水平面内では、基板搬送用トレイの向きを考えなくても、上下の基板搬送用トレイ間で傾斜の線同士が一致し、好適に積み重ねることができるので、その分、処理を簡単にすることができる。
【0033】
また、本発明に係る基板搬送用トレイは、上記の構成に加えて、前記基板搬送用トレイは、該基板搬送用トレイを掴むためのチャックに係合させるための突起を、周縁の外周面から外側に向かって突出形成されているとともに、前記外周面は、前記基板搬送用トレイを水平配置した際に鉛直となる方向に平面状に形成されており、前記上方接触部及び前記下方接触部は前記外周面よりも中央側に形成されているように構成することができる。
【0034】
これは例えば、アルミ枠等の当接領域の外側には基板搬送用トレイの保持部としての突起以外の余計な「はみ出し」がないということである。そのため、例えば積み重ねた状態の基板搬送用トレイの横から基板搬送用トレイ運搬装置のチャックを各基板搬送用トレイの保持部としての突起に引っかけて基板搬送用トレイを運搬しようとするときに、チャックが上記のようにはみ出した部位を誤って引っかけてしまう恐れがない。そのため、よりスムーズに基板搬送用トレイを運搬することができる。
【0035】
なお、上記当接領域の、外側方向の側面は、基板搬送用トレイを積み重ねたときに積み重ねられている基板搬送用トレイの当接領域の外側方向の側面との境界では突起のない平面形状であるように構成することもできる。
【0036】
本発明によれば、基板搬送用トレイの上方に他の基板搬送用トレイを載置したときに、上側の基板搬送用トレイの重心が下側の基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上側の基板搬送用トレイが移動するので、基板搬送用トレイを積み重ねたときに、基板搬送用トレイが垂直方向に略直線状に揃うことになる。それゆえ、基板が撓むことで基板同士が接触して破損する恐れがないとともに、安定して積み重ねることができる。
【0037】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1(a)】本発明の実施形態を示すものであり、基板搬送用トレイの構成を概略的に示す断面斜視図である。
【図1(b)】本発明の実施形態を示すものであり、基板搬送用トレイを水平に置いた状態で鉛直上方から見た構成を概略的に示す平面図である。
【図2】基板搬送用トレイを積み重ねた構成を概略的に示す断面図である。
【図3】基板搬送用トレイを積み重ねた構成を概略的に示す断面図である。
【図4】基板搬送用トレイを積み重ねて基板搬送用トレイ運搬装置で運搬する様子を概略的に示す断面図である。
【図5】基板搬送用トレイを積み重ねて基板搬送用トレイ運搬装置で運搬する様子を概略的に示す断面図である。
【図6】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図7】基板搬送用トレイの要部構成を示す概略的に断面図である。
【図8】基板搬送用トレイの要部構成を示す概略的に断面図である。
【図9】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図10】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図11】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図12】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図13】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図14】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図15】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図16】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図17】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図18】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図19】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図20】基板搬送用トレイの要部構成を示す概略的に断面図である。
【図21】基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図22】比較となる基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図23】比較となる基板搬送用トレイの要部構成を概略的に示す断面図である。
【図24】比較となる基板搬送用トレイを積み重ねた構成を概略的に示す断面図である。
【図25】比較となる基板搬送用トレイを積み重ねた構成を概略的に示す断面図である。
【図26】比較となる基板搬送用トレイを積み重ねて基板搬送用トレイ運搬装置で運搬する様子を概略的に示す断面図である。
【図27】従来技術を示すものであり、基板を入れて運ぶための梱包材の要部構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の一実施形態について図1(a)ないし図26に基づいて説明すると以下の通りである。
【0040】
図1(a)および図1(b)に示すように、基板搬送用トレイ1は、被積載物として例えば液晶ディスプレイパネル等用のガラス基板2(以下、単に基板2と記載する)を積載するものである。図1(a)は、基板搬送用トレイ1に基板2を載せた状態でちょうど中央で鉛直方向に切った断面、すなわち図1(b)におけるA−A矢視断面にかかる斜視図であり、図1(b)は基板2を基板搬送用トレイ1に載置した状態における上面図を示している。
【0041】
ここでの説明においては、基板6を水平に載置する状態を基準とし、基盤6は基板搬送用トレイ1の上方に載置されるものとして説明を行うものとする。従って、図1(a)においては、紙面に向かって上方となる方向が上であり、下方となる方向が下である。図1(b)は上面図であるので、紙面に向かって上下方向が奥行き方向であり、左右方向が幅方向となる。
【0042】
基板搬送用トレイ1は、枠4と、枠4の中央側に保持され、かつ基板2を載置する台としての機能を有する載置台6とを有している。
【0043】
載置台6は、基板を載置する平板に、基板の外周よりも少し大きい内周を有する断面が長方形状の枠部6bを有して形成されている。平板の枠部6bを配置する側の面を上面とし、上面とは反対側の面を下面と称し、平板の上面のうち枠6bの外側となる箇所を外側部6a、内側となる箇所を内側部6cと称するとすれば、内側部6cの上に基板2が載置される。この枠部6bは、基板搬送用トレイ1が揺れたりしても基板2がこの枠部6bに当たることで、基板2がずり落ちたり、枠4に直接当たってその衝撃で壊れたりしないように設けられている。そのため、載置台6は、衝撃を吸収できるような素材、例えば発泡ポリエチレンなどから形成される。なお、外側部6aは、枠4に固定される部分である。
【0044】
枠4は、載置台6の外周を囲繞する形状に形成されるもので、枠本体11と、枠本体11の内周面11cから内側向きに突設した一対の平板上のリブである上側固定部12・下側固定部13と、枠本体11の外側面11dから外側向きに突設した鍔部14とを有している。
【0045】
枠本体11は、図2に示すように基板搬送用トレイ同士を積み重ねたときに、上方に載置される基板搬送用トレイと当接し合う当接領域である上方接触部11a、11i、及び下方に配置される基板搬送用トレイと当接し合う当接領域である下方接触部11b、11jを有している。そして、上方接触部11a、11iの形状は、外周から内周に向かって鉛直方向の高さが低くなるよう傾斜が設けられており、下方接触部11b、11jの形状は、外周から内周にむかって鉛直方向の高さが低くなるよう傾斜が設けられている。本実施形態においては、この傾斜は同一の斜度に形成されており、上方接触部と下方接触部の幅も同一に形成されているため、上方接触部と下方接触部の傾斜形状は合同である。
【0046】
ここで、上方接触部11a、11iに設けられた傾斜部分を上方傾斜部、下方接触部11b、11jに設けられた傾斜部分を下方傾斜部と称すると、上方傾斜部と下方傾斜部とは、同一の方向の勾配を有する傾斜として形成されていることになる。
【0047】
なお、本実施例では、上方接触部11a、11iと下方接触部11b、11jの全面に傾斜が設けられているため、上方接触部11a、11iと上方傾斜部とは同じ箇所を、下方接触部11b、11jと下方傾斜部とは同じ箇所を示すことになるが、傾斜が全面に設けられていない場合には、異なる箇所を示すことになる。
【0048】
上側固定部12・下側固定部13は、載置台6を挟み込むことができる程度に離間して形成されており、その間に載置台6を挟持することで載置台6の周囲を支持している。
【0049】
鍔部14は、基板搬送用トレイ1全体を持ち上げる際に、後述する基板搬送用トレイ運搬装置88のチャック89(図4参照)により係合される部分であり、本実施形態においては、枠本体11の外側面11d全域から水平方向に同一厚みを有する平板状に延設されたものを例として示している。しかし、その形状はこれに限られるものではなく、チャック89の形状により適宜その形状は選択される。例えば、チャックが予め決められた対向辺と係合する場合には、枠本体11の外側面11dのうちでその対向辺(例えば辺11g・11h)にのみ設けられていてもよく、チャック89に安定して支持できるのであれば、その他の形状であっても良い。
【0050】
枠本体11の外側面11dは、鍔部14が設けられている以外は、鉛直方向に伸びる平面状とし、はみ出しや窪みが無いように設けることが望ましい。このように、はみ出しや窪みが無いように設けられていることにより、チャック89に基板搬送用トレイ1を係合させ持ち上げるときに、はみ出しや窪みをチャック89がつかむことがなく、安定して基板搬送用トレイ運搬装置88を動作させることができる。
【0051】
鍔部14は、上述の通り、基板搬送用トレイ1を掴むためのチャックに係合させるための突起(カセット掴み部)である。また、上方接触部11a、11iおよび下方接触部11b、11jは、上側固定部12・下側固定部13にて載置台6の位置決めを行う役割を持つ位置決め部である。そして本形態では、カセット掴み部である鍔部14と、位置決め部である上方接触部11a、11iおよび下方接触部11b、11jとが、互いに異なる部分となっている。この結果、カセット掴み部と位置決め部とが同じ部分であるように構成した場合と異なり、チャックによるトレイ掴み時に基板搬送用トレイ1の荷重によりカセット掴み部が力を受けても、位置決め部はその力を受けずに済む。したがって、その分、基板搬送用トレイ1の変形や、載置台6の位置決め精度の悪化等を抑えることができる。
【0052】
以上に示した基板搬送用トレイ1を図2に示すように複数段積み重ねると、上に位置する基板搬送用トレイ1aの下方接触部11b、11jは、基板搬送用トレイ1bの上方接触部11aの斜面形状に嵌ることになる。基板搬送用トレイ1bとその下の基板搬送用トレイ1cとについても同様である。それにより、基板搬送用トレイ1aが基板搬送用トレイ1b上に載置されるときに、多少位置がずれたとしても、斜面における重力の作用により基板搬送用トレイ1a及び基板搬送用トレイ1bの重心が鉛直線上に揃う方向に基板搬送用トレイ1aが移動する。従って、基板搬送用トレイ1を複数段重ねても各段において水平方向の位置が自動的に揃うことになる。これにより、基板搬送用トレイ1を例えば50段といったように多数段積み重ねたとしても、鉛直方向に不揃いとなることがない。
【0053】
図3は、基板搬送用トレイ1を何段も積み重ねた状態を示している。なお、図3では載置台6部分の構造は簡略化して描いている。最下段の基板搬送用トレイ1は、上方接触部と同様の形状をした接触部を上面に備えた土台21に載せることで安定する。また、液晶表示装置用等のガラス基板は塵埃の混入を避けることが望ましいため、最上段の基板搬送用トレイ1の上に、下方接触部と同様の形状をした接触部を有する蓋22を置いている。この蓋22の作用により塵埃の混入を防止することができる。
【0054】
このような基板搬送用トレイ1は、図4に示すように基板搬送トレイ運搬装置88により他の装置へと運搬される。基板搬送用トレイ運搬装置88には、基板搬送用トレイ1の幅よりも広い幅離間した状態に配置された一対のアーム87、87と、該一対のアーム87、87の内側面に設けられ、基板搬送トレイ1を複数段重ねたときに隣り合う基板搬送トレイの鍔部14の間隔と同等の間隔を有するチャック89とを備えて形成される。
【0055】
一対のアーム87、87は、基板搬送用トレイ1の幅方向に駆動自在に設けられており、その間隔を適宜変更することができるものである。その動作は、まず、チャック89の内側端が鍔部14に接触しない間隔となるよう一対のアーム87、87の間隔を広げ、多段に積み重ねられた基板搬送用トレイ上方から下方に向かって下降し、基板搬送用トレイの外側に配置するようにする。次に、一対のアーム87、87の間隔を小さくして鍔部14の下方にチャック89の内側端が配置されるように移動させ、チャック89を鍔部14に係合可能とする。そして、一対のアーム87、87を上昇し、チャック89が鍔部14に係合した状態とし基板搬送用トレイ1を持ち上げる。このようにして、基板搬送用トレイ運搬装置は基板搬送用トレイを運搬する。
【0056】
上記の基板搬送用トレイ1の比較対象となる例(以下、比較例と称する)について図22から図26を用いて述べる。比較例は、基板搬送用トレイ1と同様に被積載物として例えば液晶ディスプレイパネル等用の基板2を積載するものである。
【0057】
比較例にかかる基板搬送用トレイ100は、図22に示すように、枠本体101の上方接触部及び下方接触部が水平に形成されている。そして、基板搬送用トレイを複数積み重ねる際に上方に載置される基板搬送用トレイが滑りおちないようにするための枠状突起102が上方接触部の外側上端に設けられ、さらには、枠本体101の外側面から外側に向かって鍔部101dが設けられている。
【0058】
枠状突起102は、基板搬送用トレイの枠本体101の上端部から、枠本体101の外側面よりも外側へ向かって水平に延設された上端外側延設部としての突起101bと、突起101bの外側端から上方に向かって鉛直に延設された突起101cとから形成されている。
【0059】
突起101b及び突起101cはいずれも枠本体101の上端外側に全周に亘って延設されるもので、突起101cの内側面は枠本体101の下端部の外側面よりも外側となるように形成される。そのため、基板搬送用トレイ100を複数段重ねたときに、上方に配置される基板搬送用トレイ100の枠本体101の下端部を、枠本体101の上端側の内側に嵌め込むことができる。なお、この嵌め込みが固いと取り外し難くなり、さらには製造誤差が大きい場合には、上側の基板搬送用トレイを下側の基板搬送用トレイに載せたときに上側の基板搬送用トレイが端面101cの面に乗り上げる恐れがあるため、上端側の内側面と上方に載置される基板搬送用トレイの下端側の外側面との間にはある程度以上の余裕をもって形成されている。この様子を図23に示す。図23において、dは上方に配置される基板搬送用トレイ100の枠本体101の下端側と、枠本体101の上端側の内側との間の距離(上記に云う余裕に該当する。)を示している。
【0060】
なお、図22から図26に記載する比較例にかかる基板搬送用トレイ100においても、本実施の形態について説明した上側固定部12・下側固定部13(図1(a)および図1(b)参照)に相当するものが存在するが、図示を省略している。また、基板2や載置台6の形状は図1(a)および図1(b)と同一である。また、図24、図25、図26では載置台6部分の構造は簡略化して描いているが、特に図22に記載されるものと変わるものではない。
【0061】
上記のとおり、上端側の内側面と上方に載置される基板搬送用トレイの下端側の外側面との間にはある程度以上の余裕が必要であるが、何段も基板搬送用トレイを積んだときには、この余裕が問題を生じることになる。すなわち、余裕があるために、上方に載置された基板搬送用トレイ100はその余裕分だけ自由に動くことができるため、各段毎にずれを生じることとなる。
【0062】
多段積みにした場合においては、図24に示すように、このずれが蓄積され、最上段付近の基板搬送用トレイと最下段付近の基板搬送用トレイとでは横方向の位置に大きなずれが生じたり、図25に示すように、最下段から最上段に至る間に基板搬送用トレイが横方向に波打ったように曲がりくねって積まれたりし、基板搬送用トレイがまっすぐ積まれないことになる。そのため、何段も基板搬送用トレイ100を積んだときの全体の安定性が悪い。
【0063】
また、上記の構成では、図26に示すように、基板搬送用トレイ運搬装置88のチャック89により基板搬送用トレイ100を上昇させるとき、チャック89が鍔部101dに十分係合せずに基板搬送用トレイが上昇されない場合や、チャック89の一方が枠本体101の外側面より外側に突出している突起101bの下端面を掴み、傾いた状態で基板搬送用トレイ100を上昇させる場合等があり、運搬不良となる。
【0064】
これに対し、本実施の形態に係る構成では、上方に基板搬送用トレイ1を載置する際に多少ずれた位置に載置したとしても、載置した基板搬送用トレイの重心が、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うように形成されているため、上記のような運搬不良は発生しない。
【0065】
また、基板搬送用トレイ1を上方に載置するときの位置が、傾斜を設けている範囲を超えてずれない限り、自動的に積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うため、多少のずれを許容でき好適である。
【0066】
これまで記載した実施の形態には種々の変形を加えることが可能である。まず、基板搬送用トレイ運搬装置88に関しては、図4のような基板搬送用トレイ運搬装置88以外にも、図5に示すような基板搬送用トレイ運搬装置90を使用可能である。基板搬送用トレイ運搬装置90は、各基板搬送用トレイ1の突起である鍔部14をひっかける爪状のチャック91を有し、これによって基板搬送用トレイ1を一つずつ運搬するものである。このようなチャック91に対しても、本発明によれば基板搬送用トレイが鉛直方向に一列に揃うため、位置を調整せずとも一定位置で確実に基板搬送用トレイを掴むことが可能である。
【0067】
また基板搬送用トレイ1の、枠本体11の上方接触部及び下方接触部の形状も上記の例に限られるものではない。以下、このバリエーションについて図6から図19を用いて述べる。なお、載置台6部分の構造は簡略化して描くこととする。また、図1(a)および図1(b)にかかる構成と同一の構成については同一の符号を付し重複した説明は省略する。さらに、以下のバリエーションではすべて、図1(a)および図1(b)同様、載置台6を囲む全周に対して傾斜を有する構成について説明するが、図1(a)および図1(b)のような場合も含めて、このような傾斜が形成されているのは周位置のうちの一部のみでもよい。
【0068】
図6の例では、図1(a)および図1(b)同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触部11b、11jは、内側が外側に比べて低くなる傾斜を有している。しかし、上方接触部は全体が傾斜しているのではなく、外周端部を含む一部のみが傾斜した上方傾斜部となっており、内端部を含めた残りは水平面になっている。また、下方接触部は全体が傾斜しているのではなく、外周端部を含む一部のみが傾斜した下方傾斜部となっている。当該構成によっても、上下方に隣接する基板搬送用トレイの上方傾斜部に当節する位置に配置された場合については、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上方に載置した基板搬送用トレイの重心が移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うため、同様の作用効果を生じる。
【0069】
図7の例では、図1(a)および図1(b)同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触面11b、11jは、内側が外側に比べて低くなる傾斜を有している。しかし、上方接触部は全体が傾斜しているのではなく、内周端部を含む一部のみが傾斜した上方傾斜部となっており、内端部を含めた残りは水平面になっている。また、下方接触部は全体が傾斜しているのではなく、内周端部を含む一部のみが傾斜した下方傾斜部となっている。当該構成によっても、下方に隣接する基板搬送用トレイの上方傾斜部に当節する位置に配置された場合については、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上方に載置した基板搬送用トレイの重心が移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うため、同様の作用効果を生じる。
【0070】
図8の例では、図1(a)および図1(b)同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触部11b、11jは、全体が斜面形状となっているが、すべて、内側に比べて外側が低くなっている。この形状の場合は、図1(a)および図1(b)に示した例と同様の効果を生じる。
【0071】
図9の例では、図8同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触面11b、11jは、内側が外側に比べて低くなる傾斜を有している。しかし、上方接触部は全体が傾斜しているのではなく、外周端部を含む一部のみが傾斜した上方傾斜部となっており、内端部を含めた残りは水平面になっている。また、下方接触部は全体が傾斜しているのではなく、外周端部を含む一部のみが傾斜した下方傾斜部となっている。この例は図6の例と同様の効果を奏する。
【0072】
図10の例では、図8同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触面11b、11jは、内側が外側に比べて低くなる傾斜を有している。しかし、上方接触部は全体が傾斜しているのではなく、内周端部を含む一部のみが傾斜した上方傾斜部となっており、内端部を含めた残りは水平面になっている。また、下方接触部は全体が傾斜しているのではなく、内周端部を含む一部のみが傾斜した下方傾斜部となっている。この例は図7の例と同様の効果を奏する。
【0073】
図11の例では、図1(a)および図1(b)同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方側の底面11bは、内側が外側に比べて低くなっている。しかし、上方傾斜部及び下方傾斜部は内周端部を含む領域および外周端部を含む領域は水平であり、両領域に挟まれた一部の(中間領域)のみが斜面である。この場合でも、下方に隣接する基板搬送用トレイの上方傾斜部に当節する位置に配置された場合については、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上方に載置した基板搬送用トレイの重心が移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うため、同様の作用効果を生じる。
【0074】
図12の例では、図8同様、基板搬送用トレイ1の枠本体11の上方接触部11a、11iおよび下方接触面11b、11jは、内側が外側に比べて低くなる傾斜を有している。しかし、上方傾斜部及び下方傾斜部は内周端部を含む領域および外周端部を含む領域は水平であり、両領域に挟まれた一部の(中間領域)のみが斜面である。この場合でも、上方に載置した基板搬送用トレイの下方傾斜部が、下方に隣接する基板搬送用トレイの上方傾斜部に当節する位置に配置された場合については、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に上方に載置した基板搬送用トレイの重心が移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うため、同様の作用効果を生じる。
【0075】
上記に示した例についてはいずれも斜面は平面になっているが、曲面とすることもできる。この斜面を曲面に形成した例について図13から図19に示す。
【0076】
図13は、図1(a)および図1(b)に示す例を変形したもので、傾斜を平面状に形成せず、下方であるほどほど傾斜勾配が緩やかになる曲面状としたものである。このようにしても図1(a)および図1(b)に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0077】
図14は、図1(a)および図1(b)に示す例を変形したもので、傾斜を平面状に形成せず、上方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面状としたものである。このようにしても図1(a)および図1(b)に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0078】
図15は、図6に示す例を変形したもので、傾斜を、下方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面としたものである。このようにしても図6に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0079】
図16は、図7に示す例を変形したもので、傾斜を、上方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面としたものである。このようにしても図7に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0080】
図17は、図8に示す例を変形したもので、傾斜を平面状に形成せず、下方であるほどほど傾斜勾配が緩やかになる曲面状としたものである。このようにしても図8に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0081】
図18は、図8に示す例を変形したもので、傾斜を平面状に形成せず、上方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面状としたものである。このようにしても図8に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0082】
図19は、図9に示す例を変形したもので、傾斜を、下方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面としたものである。このようにしても図9に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0083】
図20は、図10に示す例を変形したもので、傾斜を、上方であるほど傾斜勾配が緩やかになる曲面としたものである。このようにしても図10に示した例と同様の効果を奏することができる。
【0084】
上記のすべての例においては、当接領域の傾斜方向が同一のものについて示したが、図21に示すように、上方傾斜部と下方傾斜部の傾斜を逆にした構成も可能である。すなわち、外側よりも内側が下方となるような傾斜を有する上方傾斜部と内側よりも外側が下方となるような傾斜を有する下方傾斜部とを有する基板搬送用トレイ1fと、内側よりも外側が下方となるような傾斜を有する上方傾斜部と外側よりも内側が下方となるような傾斜を有する下方傾斜部とを有する基板搬送用トレイ1gとの2種類の基板搬送用トレイを作成し、それを交互に積み重ねるようにしてもよい。なお、この場合は、2種類の基板搬送用トレイ1f・1gを交互に積み重ねる必要がある。この例でも、上記他のすべての例と同様、上方に基板搬送用トレイを載置する際に多少ずれた位置に載置したとしても、載置した基板搬送用トレイの重心が、下方に隣接する基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に移動し、積み重ねた基板搬送用トレイが鉛直方向に直線状に揃うように形成されることになる。
【0085】
また、上記のすべての例においては、上方接触部と下方接触部の形状を合同(基板搬送用トレイを重ね合わせたときに上方接触部が下方接触部の全面に亘って同じように対向する形状)としたが、これにより全面に亘って上方の基板搬送用トレイを支えられるため安定して支えることが可能である。
【0086】
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、被積載物たる基板同士がたわむことで接触して破損する恐れを防ぐことができるとともに、基板搬送用トレイ同士を安定して積み重ねることができるので、基板を積載した状態で複数個積み重ねて運搬等を行う用途に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に載置するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、
前記基板搬送用トレイは、複数個積み重ねたときに、前記基板搬送用トレイの上方に配置される基板搬送用トレイと接触する上方接触部と、下方に配置される基板搬送用トレイと接触する下方接触部とを備え、
前記上方接触部及び前記下方接触部の形状が、前記基板搬送用トレイの上方に他の基板搬送用トレイを載置したときに、前記他の基板搬送用トレイの重心が前記基板搬送用トレイの重心の鉛直上方に配置される方向に前記他の基板搬送用トレイを移動させるように形成されていることを特徴とする基板搬送用トレイ。
【請求項2】
基板を積載するとともに複数個積み重ね可能な基板搬送用トレイにおいて、
前記基板搬送用トレイは、複数個積み重ねたときに、前記基板搬送用トレイの上方に載置される基板搬送用トレイと接触する上方接触部と、下方に載置される基板搬送用トレイと接触する下方接触部とを備え、
前記上方接触部は、基板搬送用トレイの内側に向かう方向又は基板搬送用トレイの外側に向かう方向が低くなるように傾斜した上方傾斜部を備え、
前記下方接触部は、前記上方傾斜部の傾斜方向と同方向に傾斜した下方傾斜部を備えていることを特徴とする基板搬送用トレイ。
【請求項3】
前記上方接触部及び前記下方接触部は基板搬送用トレイの周縁に配置されていることを特徴とする請求の範囲2に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項4】
前記上方傾斜部は前記上方接触部の上面全体に形成されており、
前記下方傾斜部は下方接触部の下面全体に形成されていることを特徴とする請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項5】
前記上方傾斜部は前記上方接触部の上面の外側又は内側のいずれか一方端を含む部位に配置されており、
前記下方傾斜部は前記下方接触部のうち、前記上方傾斜部の配置されている端に対応する端を含む部位に形成されていることを特徴とする請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項6】
前記上方傾斜部及び前記下方傾斜部の一方又は双方が平面状の傾斜であることを特徴とする請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項7】
前記上方傾斜部及び前記下方傾斜部の一方又は双方が、下方に向かうほど勾配が緩やかになる曲面状の傾斜であることを特徴とする請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項8】
前記上方傾斜部と前記下方傾斜部の形状が、それぞれが当接する部分において合同であることを特徴とする請求の範囲2又は請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項9】
前記上方接触部及び前記下方接触部は、トレイを掴むためのチャックに係合させるための突起と異なる部分であることを特徴とする請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。
【請求項10】
前記トレイは、該トレイを掴むためのチャックに係合させるための突起を、周縁の外周面から外側に向かって突出形成されているとともに、
前記外周面は、前記トレイを水平配置した際に鉛直となる方向に平面状に形成されており、
前記上方接触部及び前記下方接触部は前記外周面よりも内側に形成されていることを特徴とする請求の範囲3に記載の基板搬送用トレイ。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【国際公開番号】WO2005/044694
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515274(P2005−515274)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016093
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】