説明

基板搭載薄型アンテナ

【課題】 モジュール基板に搭載でき、しかも広帯域をカバーできる基板搭載型薄型アンテナを提供する。
【解決手段】 モジュール基板10にグランド面11と絶縁面12を形成し、そのグランド面11の絶縁面12近くにグランド接点13を形成し、グランド接点13と対向するよう絶縁面12に給電点14を形成し、その絶縁面13に給電点14から両側のグランド面11にかけて逆L字状の第一及び第二伝送路15a,16aをそれぞれ形成して、給電点14とグランド接点13を短絡する第一及び第二ループ素子15,16を形成し、上記絶縁面12に、給電点14から互いに逆方向に延びる第一及び第二放射素子18,19を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニPCIやアンテナ発振回路が載るモジュール基板などに搭載する基板搭載薄型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミニPCIやアンテナ発振回路が載るモジュール基板などに搭載する基板搭載薄型アンテナを用いた無線LAN(IEEE 802.11a(いわゆるハイパーaを含む)/b/g)が普及し始めている。
【0003】
この無線LANは、2.4〜2.5GHzを使用する802.11bと、4.9〜6.0GHzを使用する802.11aの規格があり、無線LAN用のアンテナとしては、これら2.4GH帯と5GHz帯のデュアルバンド発振が可能な平板アンテナが求められて来ている。
【0004】
従来、平板アンテナとしては、特許文献1に示されるように、リードフレームを打ち抜いてグランド部と放射素子部を形成した平板アンテナや、特許文献2に示されるように、絶縁性基板の両面に形成した導体膜で逆Fアンテナを形成したアンテナ装置などがある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−152429号公報
【特許文献2】特開2003−8325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらアンテナは、給電のためのケーブルを必要とし、ディスプレイの周囲枠に取り付ける構造であり、モジュール基板に直接搭載することはできない。
【0007】
また、5GHz帯を使用する802.11aは、2GHz帯を使用する802.11bに比べて通信速度が速くノイズの影響が少ないことから、最近注目されているが、5GHz帯は、欧米、アジア、日本などでそれぞれ異なった周波数で運用されているため、これら異なった周波数の全てに適合するためには、広帯域なアンテナを必要とする。
【0008】
本発明の目的は、モジュール基板に搭載でき、しかも広帯域をカバーできる基板搭載型薄型アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、モジュール基板に搭載する基板搭載薄型アンテナにおいて、モジュール基板にグランド面と絶縁面を形成し、そのグランド面の絶縁面近くにグランド接点を形成し、グランド接点と対向するよう絶縁面に給電点を形成し、その絶縁面に給電点からグランド面にかけて逆L字状の伝送路を形成して、給電点とグランド接点を短絡するループ素子を形成し、上記絶縁面に、給電点から互いに逆方向に延びる放射素子を形成した基板搭載薄型アンテナである。
【0010】
請求項2の発明は、モジュール基板に搭載する基板搭載薄型アンテナにおいて、モジュール基板にグランド面と絶縁面を形成し、そのグランド面の絶縁面近くにグランド接点を形成し、グランド接点と対向するよう絶縁面に給電点を形成し、その絶縁面に給電点から両側のグランド面にかけて逆L字状の第一及び第二伝送路をそれぞれ形成して、給電点とグランド接点を短絡する第一及び第二ループ素子を形成し、上記絶縁面に、給電点から互いに逆方向に延びる第一及び第二放射素子を形成した基板搭載薄型アンテナである。
【0011】
請求項3の発明は、モジュール基板に形成するグランド面、ループ素子、放射素子は、絶縁板に、銅箔などのエッチングにより或いはパターンがプリントされて形成される請求項1又は2記載の基板搭載薄型アンテナである。
【0012】
請求項4の発明は、モジュール基板の裏面側から給電点とグランド接点に高周波電源を接続した請求項1〜3いずれかに記載の基板搭載薄型アンテナである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、モジュール基板に簡単に搭載でき、しかも広帯域発振可能なアンテナを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【0015】
図1は、本発明における基板搭載薄型アンテナの平面図を示している。
【0016】
図1において、10は、ミニPCIやアンテナ発振回路が載るモジュール基板で、そのモジュール基板10にグランド面11と絶縁面12が形成される。
【0017】
絶縁面12近くのグランド面11の中央にはグランド接点13が形成され、絶縁面12にグランド接点13と対向するように給電点14が形成される。
【0018】
この給電点14からグランド面11に逆L字状の第一伝送路15aが形成され、給電点14とグランド接点13を短絡する第一ループ素子15が形成され、また給電点14から第一伝送路15aと対称に、逆L字状の第二伝送路16aが形成され、給電点14とグランド接点13を短絡する第二ループ素子16が形成される。
【0019】
この第一ループ素子15と第二ループ素子16との接続部である給電点14より立ち上げ片17が形成され、その立ち上げ片17より互いに逆方向に延びる第一放射素子18と第二放射素子19とが形成される。
【0020】
給電点14とグランド接点13とは、モジュール基板10の裏面側の高周波電源20に接続される。この高周波電源20は、マイクロストリップラインで給電するようにしてもよい。
【0021】
給電点14から第一放射素子18の先端までの長さは、2GHz帯の1/4波長となるように、また給電点14から第二放射素子19の先端までの長さは、5GHz帯の1/4波長となるように形成され、給電点14からグランド接点13に至る第二ループ素子15は、2GHz帯の1波長に、同様に第二ループ素子16は、2GHz帯の1波長に形成される。
【0022】
このモジュール基板10に形成されるグランド面11、第一及び第二ループ素子15、16、第一及び第二放射素子18、19は、メッキした銅箔をエッチングにより形成しても或いはモジュール基板10に直接アンテナ形状をプリントして形成してもよい。またアンテナ材質としては、銅箔の他に、リン青銅、鉄、その他種々の導電材を使用してもよい。
【0023】
図2は、本発明の基板搭載薄型アンテナの他の実施の形態の平面図を示したものである。
【0024】
本実施の形態においては、給電点14からグランド面11にかけて逆L字状の第二伝送路16aを形成して、給電点14とグランド接点13とを短絡する第二ループ素子16を形成し、そのループ素子16の先端に立ち上げ片17を形成すると共にその立ち上げ片17より互いに逆方向に延びる第一放射素子18と第二放射素子19を形成したものである。
【0025】
この図2の形態においては、図1と違って、2GHz帯に共振周波数を有する第一ループ素子15を形成せずに5GHz帯に共振周波数を有する第二ループ素子16のみを形成し、その第二ループ素子16を2GHz帯に共振周波数を有する第一放射素子18と平行になるように配置して、5GHz帯に共振周波数を有する第二放射素子19とは、給電点14を境に反対方向になるようにして相互干渉を防止するようにしたものである。
【0026】
図3は、図1に示した基板搭載薄型アンテナのアンテナ特性を示したものである。
【0027】
図3より、2GHz帯と5Hz帯に共振周波数を有し、2GHz帯では、リターンロスが2.4〜2.5GHzで−15dB以下、5GHz帯では、4.9〜6.0GHzでリターンロスが−25dB以下とワイドバンドなアンテナ特性となっている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の基板搭載薄型アンテナの一実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明の基板搭載薄型アンテナの他の実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明における基板搭載薄型アンテナのアンテナ特性を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 モジュール基板
11 グランド面
12 絶縁面
13 グランド接点
14 給電点
15 第一ループ素子
15a 第一伝送路
16 第二ループ素子
16a 第二伝送路
18 第一放射素子
19 第二放射素子
20 高周波電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール基板に搭載する基板搭載薄型アンテナにおいて、モジュール基板にグランド面と絶縁面を形成し、そのグランド面の絶縁面近くにグランド接点を形成し、グランド接点と対向するよう絶縁面に給電点を形成し、その絶縁面に給電点からグランド面にかけて逆L字状の伝送路を形成して、給電点とグランド接点を短絡するループ素子を形成し、上記絶縁面に、給電点から互いに逆方向に延びる放射素子を形成したことを特徴とする基板搭載薄型アンテナ。
【請求項2】
モジュール基板に搭載する基板搭載薄型アンテナにおいて、モジュール基板にグランド面と絶縁面を形成し、そのグランド面の絶縁面近くにグランド接点を形成し、グランド接点と対向するよう絶縁面に給電点を形成し、その絶縁面に給電点から両側のグランド面にかけて逆L字状の第一及び第二伝送路をそれぞれ形成して、給電点とグランド接点を短絡する第一及び第二ループ素子を形成し、上記絶縁面に、給電点から互いに逆方向に延びる第一及び第二放射素子を形成したことを特徴とする基板搭載薄型アンテナ。
【請求項3】
モジュール基板に形成するグランド面、ループ素子、放射素子は、絶縁板に、銅箔などのエッチングにより或いはパターンがプリントされて形成される請求項1又は2記載の基板搭載薄型アンテナ。
【請求項4】
モジュール基板の裏面側から給電点とグランド接点に高周波電源を接続した請求項1〜3いずれかに記載の基板搭載薄型アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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