説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】配線パターンの抵抗値のバラツキ等を適切に評価することができ、配線パターンの導通検査の適切な判定基準値を決定することができる基板検査装置等を提供する。
【解決手段】この基板検査装置1は、複数の配線パターンがそれぞれ形成された複数の単位基板が連なってなるシート基板に対し、シート基板内の単位基板の配線パターンの導通性に関する評価を行う。抵抗測定部17は、第1及び第2検査治具13,14を介して配線パターン上に設定された2つの測定位置間の抵抗値を測定する。制御部11の測定抵抗値評価部113は、評価単位シート基板を評価単位として設定された各配線パターンの基準抵抗値を基準として、抵抗測定部17によって測定された評価単位シート基板内の各単位基板の各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に形成された配線パターンの導通性に関する評価を行う基板検査装置及び基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に形成された配線パターンの導通検査では、配線パターン上に設定された2つの測定位置間の抵抗値を測定し、その測定結果に基づいて良否判定が行われる。この配線パターンの抵抗値の測定には、測定値の精度向上のため、公知の4端子測定法を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−123189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年、微細化の進行に伴って配線パターンの幅が狭くなり、配線パターンの幅(又は、厚み)のバラツキが配線パターンの抵抗値に及ぼす影響が大きくなっている。そのため、配線パターンの抵抗値のバラツキが大きく、上述のように配線パターンの抵抗値が高精度に測定された場合には、良判定であっても判定基準値から離れたものが多数存在した。これは、判定基準値が設計(理論)基準値を基に設定されているため、製造工程における配線パターンの幅や厚みのバラツキの影響を考慮することができないためであった。このようなことから、4端子測定法を用いて配線パターンの抵抗値を精度良く測定することができても、その判定基準値自体が有効に設定されていない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の解決すべき課題は、配線パターンの抵抗値のバラツキ等を適切に評価することができ、配線パターンの導通検査の適切な判定基準値を決定することができる基板検査装置及び基板検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、この発明の基板検査装置に関する第1の局面では、複数の配線パターンがそれぞれ形成された複数の単位基板が連なってなるシート基板に対し、前記シート基板内の前記単位基板の前記配線パターンの導通性に関する評価を行う基板検査装置において、前記シート基板を保持する基板保持機構と、前記基板保持機構によって保持された前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された2つの測定位置にそれぞれ接触される複数のプローブを有するプローブユニットと、前記プローブユニットの前記プローブを介して前記配線パターン上に設定された前記2つの測定位置間の抵抗値を測定する抵抗測定部と、所定の基準抵抗値を基準として、前記抵抗測定部によって測定された所定の評価単位シート基板内の前記各単位基板の前記各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを算出する測定抵抗値評価部と、を備える。
【0007】
また、この発明の基板検査装置に関する第2の局面では、上記第1の局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記各配線パターンの測定抵抗値の前記ずれ度合いの算出結果に基づき、前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを検出する。
【0008】
また、この発明の基板検査装置に関する第3の局面では、上記第2の局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを、前記前記評価単位シート基板内の前記各位置の座標情報と関連付けて検出する。
【0009】
また、この発明の基板検査装置に関する第4の局面では、上記第2の局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内における前記各単位基板内の前記配線パターンの前記測定抵抗値のずれ度合いを算出し、該単位基板の前記評価単位シート基板内での位置情報と関連付ける。
【0010】
また、この発明の基板検査装置に関する第5の局面では、上記第2ないし第4のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、検出した前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを所定の表示部に図式的に表示させる。
【0011】
また、この発明の基板検査装置に関する第6の局面では、上記第1ないし第5のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記抵抗測定部が測定した前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの前記測定抵抗値、前記測定抵抗値の平均値である平均抵抗値、及び前記測定抵抗値評価部が算出した前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの前記測定抵抗値のずれ度合いのうちの少なくともいずれか1つに基づいて、前記各配線パターンの導通性に関する判定基準値を決定し、前記各配線パターンの前記測定抵抗値と前記判定基準値とを比較することにより前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの良否判定を行う導通判定部をさらに備える。
【0012】
また、この発明の基板検査装置に関する第7の局面では、上記第1ないし第6のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内の前記単位基板の前記各配線パターンの前記測定抵抗値を平均し、その結果得られる平均測定抵抗値を前記基準抵抗値として用いる。
【0013】
また、この発明の基板検査装置に関する第8の局面では、上記第7の局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記測定抵抗値の前記ずれ度合いとして、前記平均測定抵抗値を基準とした偏差、偏差値又は標準偏差を算出する。
【0014】
また、この発明の基板検査装置に関する第9の局面では、上記第1ないし第6のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部が用いる前記基準抵抗値は、前記評価単位シート基板内における前記単位基板の前記各配線パターンの抵抗値の設計理論値である。
【0015】
また、この発明の基板検査装置に関する第10の局面では、上記第1ないし第7及び第9のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記測定抵抗値評価部は、前記測定抵抗値の前記ずれ度合いとして、前記測定抵抗値と前記基準抵抗値との差を算出する。
【0016】
また、この発明の基板検査装置に関する第11の局面では、上記第1ないし第10のいずれかの局面に係る基板検査装置において、前記端子ユニットの前記プローブは、前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された前記各測定位置ごとに2つずつ設けられ、その2つのプローブのうちの一方が前記配線パターンへの検査用の電流の供給のために用いられ、他方が前記配線パターンの前記測定位置間の電位差の測定のために用いられる。
【0017】
また、この発明の基板検査方法に関する第1の局面では、複数の配線パターンがそれぞれ形成された複数の単位基板が連なってなるシート基板に対し、前記シート基板内の前記単位基板の前記配線パターンの導通性に関する評価を行う基板検査方法において、基板保持機構によって前記シート基板を保持させ、保持された前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された2つの測定位置にプローブを接触させ、前記配線パターンの前記測定位置間の抵抗値を前記プローブを介して測定する測定段階と、所定の基準抵抗値を基準として、前記測定段階で測定された所定の評価単位シート基板内の前記各単位基板の前記各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを算出するずれ度算出段階と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
基板検査装置及び基板検査方法の上記第1の局面によれば、評価単位となる評価単位シート基板ごとに設定された各配線パターンの基準抵抗値を基準として、測定された評価単位シート基板内の各単位基板の各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いが算出される。そのため、その測定抵抗値のずれ度合いに基づいて配線パターンの抵抗値のバラツキ等を適切に評価することができ、配線パターンの導通検査の適切な判定基準値を決定することができる。その結果、的確な導通検査を実行できる。
【0019】
また、評価単位シート基板を評価単位として配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを評価できるため、評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを評価できる。その結果、評価単位シート基板の一部で配線パターンの厚みが設計値よりも薄くなり抵抗値が高くなる傾向があるなどのシート基板の製造工程の特性の把握又は評価を行える。
【0020】
基板検査装置の上記第2の局面によれば、評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いが検出されるため、その検出結果に基づき、シート基板の一部で配線パターンの厚みが設計値よりも薄くなり抵抗値が高くなる傾向があるなどのシート基板の製造工程の特性の把握又は評価を行える。
【0021】
基板検査装置の上記第3の局面によれば、評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いが評価単位シート基板内の各位置の座標情報と関連付けて検出される。このため、評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いの把握又は評価をより容易かつ的確に行える。
【0022】
基板検査装置の上記第4の局面によれば、評価単位シート基板内における各単位基板内の配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いが算出され、該単位基板の評価単位シート基板内での位置情報と関連付けられる。このため、評価単位シート基板内の各単位基板の位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いの把握又は評価をより容易かつ的確に行える。
【0023】
基板検査装置の上記第5の局面によれば、検出した評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いが所定の表示部に図式的に表示されるため、等高線表示などの表示形式を利用することにより、評価単位シート基板の各位置における測定抵抗値のずれ度合い、及びずれ度合いの分布の特性等を容易に把握できる。
【0024】
基板検査装置の上記第6の局面によれば、導通判定部が、抵抗測定部が測定した評価単位シート基板内の各配線パターンの測定抵抗値、測定抵抗値の平均値である平均抵抗値、及び測定抵抗値評価部が算出した評価単位シート基板内の各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いのうちの少なくともいずれか1つに基づいて、各配線パターンに導通性に関する判定基準値を決定し、その判定基準に基づいて各配線パターンの導通性に関する良否判定を行う。そのため、配線パターンの抵抗値のバラツキ度等に応じた適切な導通検査の判定基準値を決定することができ、的確な導通検査を実行できる。
【0025】
基板検査装置の上記第7の局面によれば、評価単位シート基板内における各配線パターンの測定抵抗値の平均値である平均抵抗値を基準抵抗値として各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを評価できる。
【0026】
基板検査装置の上記第8の局面によれば、評価単位シート基板内における各配線パターンの測定抵抗値の偏差、偏差値又は標準偏差を用いて各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合い、又はバラツキ度合い等を評価できる。偏差又は偏差値は、各配線パターンの測定抵抗値の平均抵抗値からのずれ度合い等を評価するのに便利であり、標準偏差は評価単位シート基板内の各単位基板の対応する(あるいは、同種類の)配線パターンの測定抵抗値全体のバラツキ度合い等を評価するのに便利である。
【0027】
基板検査装置の上記第9の局面によれば、評価単位シート基板内における各配線パターンの抵抗値の設計理論値を基準抵抗値として各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを評価できる。
【0028】
基板検査装置の上記第10の局面によれば、評価単位シート基板内における各配線パターンの基準抵抗値と測定抵抗値との差を用いて各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合い等を評価できる。
【0029】
基板検査装置の上記第11の局面によれば、4端子測定法により配線パターンの抵抗値を正確に測定するとともに、測定した抵抗値の基準抵抗値を基準としたずれ度合いを正確に評価できる。その結果、配線パターンの導通検査の適切な判定基準値を決定することができ、的確な導通検査を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板検査装置のブロック図である。
【図2】図1の基板検査装置の基板保持機構、及び第1及び第2検査治具等の構成を示す図である。
【図3】分割される前のシート基板である大版基板の構成を示す図である。
【図4】図3の大版基板が分割されてなるシート基板の構成を示す図である。
【図5】図1の基板検査装置により配線パターンの抵抗値を測定する際の回路構成を説明するための図である。
【図6】図1の基板検査装置により測定された評価単位シート基板内の各配線パターンの測定抵抗値、基準抵抗値及び測定抵抗値のずれ度合い(差分値)等を例示する図である。
【図7】評価単位シート基板内の各単位基板に設けられた配線パターンを抵抗値の設計理論値の小さい順に順序付けしたときの各配線パターンの測定抵抗値をグラフにした図である。
【図8】評価単位シート基板内の各位置における配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを表示部に図式的に表示した表示例を示す図である。
【図9】図1の基板検査装置の動作手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る基板検査装置1の構成について説明する。この基板検査装置1は、図1及び図2に示すように、制御部11、基板保持機構12、プローブユニットとしての第1及び第2検査治具13,14、第1及び第2検査治具昇降機構15,16、抵抗測定部17、表示部18及び操作部19を備えて構成される。この基板検査装置1によって、複数の配線パターン2がそれぞれ形成された複数の単位基板3が連なってなるシート基板4に対して、シート基板4内の単位基板3の各配線パターン2の導通性に関する評価及び検査が行われる。
【0032】
ここで、図3は分割される前のシート基板である大版基板5の構成を示す図であり、この大版基板5からは分割により複数(例えば、4枚)のシート基板4が得られる。また、そのシート基板4からは、図4に示すように、分割により複数の単位基板3が得られる。例えば、図3に図示されたシート基板4では25枚の単位基板3が5行5列で連なっている。単位基板3に形成された各配線パターン2の抵抗値の測定及び導通検査は、複数の単位基板3が連なったシート基板4(例えば、図4に示すシート基板4)の状態で行われる。各単位基板3は、複数の配線パターン2が形成され、互いに同様な構成を有している。なお、本実施形態では、各配線パターン2の抵抗値の測定及び導通検査が、大版基板5を複数に分割して得られるシート基板4の状態で行われるが、抵抗値の測定及び導通検査を分割される前の大版基板5の状態で行うようにしてもよい。
【0033】
基板検査装置1の制御部11は、CPU及び記憶装置等を備えて構成され、図1に示すように、基板取扱処理部111、抵抗測定処理部112、測定抵抗値評価部113及び導通判定部114を備えている。制御部11のこれらの機能要素の役割及び動作については後述する。
【0034】
基板保持機構12は、図1及び図2に示すように、基板保持部121及びXY駆動機構122を備えている。基板保持部121は、シート基板4を保持する。XY駆動機構122は、後述する制御部11の基板取扱処理部111の制御により、基板保持部121をX軸方向及びY軸方向に駆動することにより、保持されたシート基板4と後述する第1及び第2検査治具13,14との位置関係を調整する。
【0035】
第1及び第2検査治具13,14は、図5に示す複数のプローブ20と、プローブ20を保持する治具本体131,141とを備えている。複数のプローブ20は、シート基板4内の1又は複数の単位基板3に設けられた配線パターン2上の各測定位置P1,P2(図5参照)に対応して配置されている。プローブ20の先端は、治具本体131,141のシート基板4との対向面131a,141aから所定の突出高さで突出されている。このため、第1及び第2検査治具13,14が後述する第1及び第2検査治具昇降機構15,16によってシート基板4に近接されて当接されたとき、第1及び第2検査治具13,14の各プローブ20の先端が、シート基板4内の単位基板3の対応する各配線パターン2上の所定位置に当接して導通する。第1検査治具13はシート基板4の上面側に当接され、第2検査治具14はシート基板4の下面側に当接される。
【0036】
第1及び2検査治具13,14のシート基板4への一度の当接動作によりシート基板4内のすべての単位基板4がカバーできない場合は、基板保持機構12のXY駆動機構122によりシート基板4を順次移動させて、第1及び第2検査治具13,14の当接動作を繰り返すことにより、シート基板4内のすべての単位基板4に対する配線パターン2の抵抗値の測定及び導通検査が行われる。
【0037】
また、本実施形態では、図5に示すように、4端子測定法により配線パターン2の抵抗値を測定するため、第1及び第2検査治具13,14のプローブ20は、シート基板4内における1又は複数の単位基板3内の配線パターン2上に設定された2つの測定位置P1,P2ごとに2つずつ設けられている。そして、その2つのプローブ20のうちの一方のプローブ20aが配線パターン2への検査用の電流の供給及び電流値の測定のために用いられ、他方のプローブ20bが配線パターン2の測定位置P1,P2間の電位差の測定のために用いられる。
【0038】
第1及び第2検査治具昇降機構15,16は、基板保持機構12によって保持されたシート基板4の上側及び下側において、図2の矢印A1,A2で示すように第1及び第2検査治具13,14をそれぞれ昇降可能に保持するとともに、抵抗測定処理部112の制御により、第1及び第2検査治具13,14を上下に昇降駆動する。
【0039】
抵抗測定部17は、電流供給測定部171、電位差測定部172及びスイッチングユニット173を備えている。電流供給測定部171及び電位差測定部172は、図5に示すように、スイッチングユニット173を介して配線により第1及び第2検査治具13,14の各プローブ20と電気的に接続可能となっている。スイッチングユニット173は、図示しない複数のスイッチング素子を備えて構成され、抵抗測定処理部112の制御により、電流供給測定部171及び電位差測定部172と第1及び第2検査治具13,14の各プローブ20との接続のオンオフ及び接続関係の切り替えを行う。
【0040】
電流供給測定部171は、抵抗測定処理部112の制御により、スイッチングユニット173及び第1及び第2検査治具13,14のプローブ20を介して、シート基板4内における1又は複数の単位基板4内の各配線パターン2の測定位置P1,P2間に検査用の電流を供給するとともに、そのときに各配線パターン2の測定位置P1,P2間に流れる電流値を測定する。
【0041】
電位差測定部172は、抵抗測定処理部112の制御により、スイッチングユニット173及び第1及び第2検査治具13,14のプローブ20を介して、シート基板4内における1又は複数の単位基板4内の各配線パターン2の測定位置P1,P2間の電位差を測定する。
【0042】
表示部18は、測定抵抗値評価部113及び導通判定部114の制御により、各配線パターン2の抵抗値の測定結果、各単位基板3の導通検査の検査結果等を表示する。操作部19は、この基板検査装置1に対する操作を受け付ける。
【0043】
制御部11の基板取扱処理部111は、基板保持機構12等を制御し、シート基板4の移送、及び配線パターン2の抵抗値測定時の位置調節等を行う。
【0044】
抵抗測定処理部122は、第1及び第2検査治具昇降機構15,16、及び抵抗測定部17の電流供給測定部171、電位差測定部172及びスイッチングユニット173を制御し、基板保持機構12により保持されたシート基板4内における各単位基板3の各配線パターン2の測定位置P1,P2間の抵抗値を測定する。抵抗値の測定は、電流供給測定部171及び電位差測定部172がそれぞれ測定した各配線パターン2の測定位置P1,P2間に流れる電流値及び測定位置P1,P2間の電位差値に基づき、抵抗測定処理部113によって算出される。具体的には、測定された電位差値を測定された電流値で割り算することにより抵抗値が算出される。
【0045】
測定抵抗値評価部113は、評価単位となるシート基板4である評価単位シート基板4(例えば、図4のシート基板4)内の各配線パターン2について設定された基準抵抗値を基準として、抵抗測定処理部122によって測定されたシート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを算出する。評価単位シート基板4は、複数の単位基板3が連なってなるシート基板4であれば任意のシート基板4が設定されてもよい。例えば、本実施形態のように配線パターン2の抵抗値の測定が行われるシート基板4がより大きなシート基板4を分割して得られたものである場合、より大きなシート基板4(例えば、図3の大版基板5)を評価単位シート基板4として設定してもよい。本実施形態では、基板保持機構12によって保持されるシート基板4を評価単位シート基板4としているが、基板保持機構12によって保持されるシート基板4よりも大きなシート基板4(例えば、大版基板5)を評価単位シート基板4としてもよい。
【0046】
測定抵抗値のずれ度合いの算出基準となる基準抵抗値は、1つの単位基板3内に設けられる各配線パターン2に対応して設定される。なお、単位基板3内に同一設計形状を有する同一種類の配線パターン2が複数存在する場合には、同一種類の配線パターン2については基準抵抗値を共通化し、基準抵抗値を単位基板3内に設けられる配線パターン2の種類の数の分だけ設定してもよい。すなわち、抵抗基準値は、1つの評価単位シート基板4に対して単位基板3内に設けられる配線パターン2の数だけ(あるいは、単位基板3内に設けられる配線パターン2の種類の数だけ)設定される。また、このような抵抗基準値のセットは各評価単位シート基板4ごとに異なったセットが設定されてもよいし、複数の評価単位シート基板4に対して同じセットの抵抗基準値が設定されてもよい。
【0047】
基準抵抗値としては、本実施形態では評価単位シート基板4内の各単位基板3の互いに対応する配線パターン2の測定抵抗値を平均した平均抵抗値が設定される。各単位基板3内に同一種類の配線パターン2が複数設けられている場合には、同一種類の配線パターン2の測定抵抗値を足し合わせて得られる平均抵抗値を基準抵抗値としてもよい。変形例として、評価単位シート基板4内の単位基板3に設けられる各配線パターン2の設計上の理論抵抗値である設計理論値を基準抵抗値として設定してもよい。
【0048】
判定抵抗値評価部113が算出する各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いとして、例えば、評価単位シート基板4内の平均測定抵抗値や設計理論抵抗値を基準とした各配線パターン2の偏差、偏差値又は標準偏差が算出される。各配線パターン2の偏差、偏差値又は標準偏差の算出には、対応する平均抵抗値が用いられる。偏差又は偏差値は、各配線パターン2の測定抵抗値の平均抵抗値や設計理論抵抗値からのずれ度合い等を評価するのに便利であり、標準偏差は評価単位シート基板4内の各単位基板2の対応する(あるいは、同種類の)配線パターン2の測定抵抗値全体のバラツキ度合い等を評価するのに便利である。また、変形例として、基準抵抗値として各配線パターン2の設計理論値が設定されている場合には、各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いとして、設計理論値と測定抵抗値との差を算出してもよい。
【0049】
図6を参照して具体的に説明する。図6に示す例では、予め登録された基板識別情報及び配線識別情報を用いて評価単位シート基板4内の各単位基板3及び配線パターン2の識別及び位置の特定等が行われている。具体的には、評価単位シート基板4内の各単位基板3に基板識別番号として基板番号(例えば、1,2,3,・・・など)が付与され、各単位基板3内の配線パターン2には配線識別番号としてネット番号(例えば、1,2,3,・・・など)が付与されている。なお、より大きなシート基板4(例えば、大版基板5)内における各単位基板3の識別及び位置の特定等を行う場合には、その大きなシート基板4内における各単位基板3の基板識別情報を設定するか、あるいは、大きなシート基板4内に含まれる各小さなシート基板4のシート基板識別情報(例えば、シート基板番号等)を追加設定するとよい。
【0050】
また、評価基準となる平均抵抗値の算出は、評価単位シート基板4内にある各単位基板3の同一ネット番号のすべての配線パターン2の測定抵抗値を合計し、平均することにより行われる。この場合、平均抵抗値は単位基板3内の配線パターン2と同じ数だけ設定される。あるいは、各単位基板3内に同一種類の配線パターン2が複数存在する場合には、同一種類の配線パターン2の測定抵抗値を合計して平均することにより平均抵抗値を算出してもよい。この場合、平均抵抗値は単位基板3内の配線パターン2の種類の数だけ設定される。図6の例では、各配線パターン2の測定抵抗値の基準抵抗値からのずれ度合いとして、差分値が算出されている。
【0051】
ここで、図7は評価単位シート基板4内の各単位基板3に設けられた配線パターン2を抵抗値の設計理論値の小さい順に順序付けしたときの各配線パターンの測定抵抗値をグラフにした図である。図7のグラフの横軸は配線パターン2に対する各単位基板3内での順番に対応し、縦軸は各順番に対応する配線パターン2の測定抵抗値に対応している。また、図7のグラフG1(実線のグラフ)は評価単位シート基板4内の基板番号1の配線パターン2に関するものであり、グラフG2(鎖線のグラフ)は同じく基板番号2の配線パターン2に関するものである。図7では図示の便宜のため、基板番号1,2の2つの単位基板3の配線パターン2に関するグラフG1,G2のみしか記載していないが、実際には評価単位シート基板4内のすべての単位基板3について測定抵抗値がグラフ化される。また、図7中の矢印A1はグラフG1における測定抵抗値が異常に大きくなっている部分を示しており、配線パターン2に何らかの異常があると考えられる。測定抵抗値評価部113は、単位評価シート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の測定抵抗値に基づいて図7に示すグラフG1,G2を算出し、そのグラフG1,G2を表示部18に表示させるようにしてもよい。
【0052】
なお、図7のようなグラフ表示を行うことにより、評価単位シート基板4内での単位基板3の位置によるずれ度合いを理解することができる。このため、評価単位シート基板4内の全ての単位基板3を表示することにより、単位基板3の位置におけるずれ度合いを反映させて、判定基準抵抗値を設定することができる。
【0053】
また、測定抵抗値評価部113は、上記の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いの算出結果に基づいて、評価単位シート基板4内の各位置における配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合い(平均抵抗値を基準とした偏差又は偏差値、又は設計理論値との差)を、評価単位シート基板4上の位置情報と関連付けて検出し、その検出結果を表示部18に図式的に表示させる。評価単位シート基板4内の各位置の測定抵抗値のずれ度合いの検出は、種々の形態が採用可能である。例えば、評価単位シート基板4内における各単位基板3の予め選定した1又は複数の配線パターン2の測定抵抗値の基準抵抗値からのずれ度合いを用いて、評価単位シート基板4内の各位置の測定抵抗値のずれ度合いを検出してもよい。あるいは、評価単位シート基板4内における各単位基板3内の予め設定した複数の配線パターン2(あるいは、各単位基板3内のすべての配線パターン2)の測定抵抗値のずれ度合いの平均値を算出し、その各単位基板3ごとに得られるずれ度合いの平均値を用いて、評価単位シート基板4内の各位置の測定抵抗値のずれ度合いを検出してもよい。評価単位シート基板4内における各配線パターン2の位置又は各単位基板3の位置は、上述の配線識別情報及び基板識別情報等に基づいて得られる。
【0054】
測定抵抗値評価部113が関連付けを行う位置情報は、評価単位シート基板4上での位置情報を利用することができる。この位置情報は、測定された配線パターン2の評価単位シート基板4上でのXY座標情報や、評価単位シート基板4上での単位基板の位置情報が利用される。
【0055】
測定抵抗値評価部113は、各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを位置情報を関連付けて検出するが、単位基板3を単位としてその単位基板3内に属する配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを算出し、その算出したずれ度合いに単位基板3の位置情報を関連付けることもできる。この場合、単位基板3のずれ度合いは、この単位基板3の各配線パターン3の測定抵抗値の基準抵抗値からのずれ度合いを算出し、単位基板3としてのずれ度合い(例えば、ずれ度合いの平均値や偏差など)を算出する。また、この場合の位置情報は、評価単位シート基板4内における単位基板3の位置情報を利用することができ、例えば、評価単位シート基板4上での縦横何番目の単位基板であるという位置情報や評価単位シート基板4上でのXY座標情報という位置情報を利用することができる。
【0056】
また、評価単位シート基板4内の各位置における測定抵抗値のずれ度合いの表示の形態としては、種々の構成が可能である。例えば、図8に示すように、評価単位シート基板4の範囲を示す画像領域181内に、地形図の等高線のように測定抵抗値のずれ度合いが同じ地点を線(ずれ度合いの等高線)182〜184で結んだ構成が採用可能である。あるいは、ずれ度合いの値の範囲をいくつかのレンジに分け、各レンジを異なる色で画像領域181内を色分け表示してもよい。あるいは、評価単位シート基板4内の位置をXY座標を用いて表し、評価単位シート基板4内の各位置の測定抵抗値のずれ度合いをZ座標を用いて表して図示的な表示画像を形成してもよい。
【0057】
導通判定部114は、抵抗測定部17が測定した評価単位シート基板4内の各配線パターン2の測定抵抗値、測定抵抗値評価部113が算出した各配線パターン2の平均抵抗値、及び測定抵抗値評価部113が算出した評価単位シート基板4内の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いのうちの少なくともいずれか1つに基づいて、各配線パターン2に導通性に関する判定基準値を決定する。そして、導通判定部114は、各配線パターン2の測定抵抗値と判定基準値とを比較することにより評価単位シート基板4内の各配線パターン2の良否判定を行う。例えば、判定基準値として許容上限抵抗値を設け、測定抵抗値が許容上限抵抗値以下の配線パターン2については良好と判定し、測定抵抗値が許容上限抵抗値を上回っている配線パターン2及びその配線パターン2が属する単位基板3については不良と判定する。変形例として、判定基準値として許容下限抵抗値を追加的に導入し、抵抗値が許容下限抵抗値を下回っている配線パターン2及びその配線パターン2が属する単位基板3を不良と判定するようにしてもよい。
【0058】
ここで、上記の判定基準値は、例えば評価単位シート基板4内における各単位基板3内の各配線パターン2に対して設けられる。この場合、判定基準値は1つの評価単位シート4について、各単位基板3内の配線パターン2の数と同じ数だけ設定される。あるいは、変形例として、各単位基板3内に同一種類の配線パターン2が複数設けられている場合には、同一種類の配線パターン2について判定基準値を共通化してもよい。この場合、判定基準値は1つの評価単位シート4について、各単位基板3内の配線パターン2の種類の数と同じ数だけ設定される。
【0059】
また、判定基準値の具体的な決定方法としては、例えば、評価単位シート基板4内の各配線パターン2の測定抵抗値の平均値である平均抵抗値に所定の係数(例えば、許容上限抵抗値の場合は1.2又は1.3、許容下限抵抗値の場合は0.8又は0.7等)を掛けることにより判定基準値が得られる。あるいは、測定抵抗値評価部113が算出した各配線パターン2の測定抵抗値の偏差値の分布に基づき、偏差値が所定の閾値レベル(例えば、許容上限レベル)に対応する抵抗値を判定基準値(例えば、許容上限抵抗値)としてもよい。あるいは、抵抗測定部17が測定した各配線パターン2の測定抵抗値に基づき、評価単位シート基板4内に含まれるすべての配線パターン2(又は、単位基板3)の所定の割合の配線パターン2(又は、単位基板3)が良好と判定されるように、判定基準値を設定してもよい。
【0060】
特に本発明は、単位基板3の配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを基に、評価単位シート基板4単位での基準抵抗値からのずれが算出できることになる。このため、評価単位シート基板4ごとに検査する場合には、評価単位シート基板4に形成される単位基板3の位置情報に応じて、判定基準抵抗値を補正しながら、検査することができる。このため、4端子測定のような精度の高い測定方法を用いて検査する場合に、判定基準抵抗値を補正して更なる正確な検査を行うことができるようになる。
【0061】
上記のように決定された判定基準抵抗値を、その判定基準抵抗値の決定に用いられた配線パターン2が属する評価単位シート基板4内の各単位基板3の良否判定の基準として言わばリアルタイムに用いるようにしてもよいし、あるいは、次の(あるいは、次以降の)評価単位シート基板4内の各単位基板3の良否判定の基準として用いるようにしてもよい。前者の場合、まず検査対象の評価単位シート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の抵抗値の測定及びその測定抵抗値の基準抵抗値からのずれ度合いの算出が行われる。続いて、その結果に基づいて各配線パターン2の判定基準抵抗値が決定され、その決定された各配線パターン2の判定基準抵抗値と測定抵抗値とに基づいて、評価単位シート基板4内の各単位基板3の配線パターン2の良否判定が行われる。
【0062】
本発明は、予め初期設定された判定基準抵抗値を、単位基板3の配線パターン2の実際に測定した測定値(ずれ度合い)を利用して算出した新たなる判定基準抵抗値に置き換え、その新たなる判定基準抵抗値を利用して良否判定を行うことができる。このため、製造工程での影響を受けた判定基準抵抗値を設定することができる。また、この判定基準抵抗値は、単位基板3の評価単位シート基板4の位置に応じて設定されることができるので、更なる精度の高い判定基準抵抗値を設定することができる。
【0063】
次に、図9を参照して、基板検査装置1の動作手順について説明する。図8に示すように、ステップS1では、図示しない基板搬送機構等により送り込まれたシート基板4の基板保持機構12への受け入れ等が行われる。ステップS2では、基板保持機構12によってシート基板4内の測定対象部位が第1及び第2検査治具13,14に対向する位置に順次移動されつつ、第1及び第2検査治具昇降機構15,16により第1及び第2検査治具13,14がシート基板4内の測定対象部位に接触、離反され、シート基板4内の各単位基板3の各配線パターンの抵抗値が測定される。
【0064】
ステップS3では、測定抵抗値評価部113により、上述の如く、評価単位となるシート基板4である評価単位シート基板4(例えば、図4のシート基板4)内の各配線パターン2について設定された基準抵抗値を基準として、抵抗測定処理部122によって測定されたシート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いが算出される。このステップS3、あるいはそれ以降のステップにおいて、例えば操作部19を介して入力された表示指令に応答して、測定抵抗値評価部113に、シート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを表示部18に図式的に表示させるようにしてもよい。
【0065】
ステップS4では、導通判定部114により、上述の如く、評価単位シート基板4内の各配線パターン2に導通性に関する判定基準値が決定され、各配線パターン2の測定抵抗値と判定基準値とを比較することにより評価単位シート基板4内の各配線パターン2の良否判定が行われる。ステップS5では、図示しない基板搬送機構等によりシート基板4が基板保持機構12外に送出される。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る基板検査装置1によれば、評価単位となる評価単位シート基板4ごとに設定された各配線パターン2の基準抵抗値のセットを基準として、測定された評価単位シート基板4内の各単位基板3の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いが算出される。そのため、その測定抵抗値のずれ度合いに基づいて配線パターン2の抵抗値のバラツキ等を適切に評価することができ、配線パターン2の導通検査の適切な判定基準値を決定することができる。その結果、的確な導通検査を実行できる。
【0067】
また、評価単位シート基板4を評価単位として配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを評価できるため、評価単位シート基板4内の各位置における配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いを評価できる。その結果、シート基板4(例えば、大版基板5)の一部で配線パターン2の厚みが設計値よりも薄くなり抵抗値が高くなる傾向があるなどのシート基板4の製造工程の特性の把握又は修正を行える。
【0068】
また、検出した評価単位シート基板4内の各位置における配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いが表示部18に図式的に表示されるため、その表示内容に基づいて、評価単位シート基板4(例えば、大版基板5)の各位置における測定抵抗値のずれ度合い、及びずれ度合いの分布の特性等を容易に把握できる。
【0069】
また、導通判定部114が、抵抗測定部17が測定した評価単位シート基板4内の各配線パターン2の測定抵抗値、測定抵抗値評価部113が算出した各配線パターン2の測定抵抗値の平均値である平均抵抗値、及び測定抵抗値評価部が算出した評価単位シート基板4内の各配線パターン2の測定抵抗値のずれ度合いのうちの少なくともいずれか1つに基づいて、各配線パターン2に導通性に関する判定基準値を決定し、その判定基準に基づいて各配線パターン2の導通性に関する良否判定を行う。そのため、配線パターン2の抵抗値のバラツキ度等に応じた適切な導通検査の判定基準値を決定することができ、的確な導通検査を実行できる。
【0070】
また、4端子測定法により配線パターン2の抵抗値を正確に測定するとともに、測定した抵抗値の基準抵抗値を基準としたずれ度合いを正確に評価できる。その結果、配線パターン2の導通検査の適切な判定基準値を決定することができ、的確な導通検査を実行できる。
【符号の説明】
【0071】
1 基板検査装置、2 配線パターン、3 単位基板、4 シート基板、5 大版基板、11 制御部、111 基板取扱処理部、112 抵抗測定処理部、113 測定抵抗値評価部、114 導通判定部、12 基板保持機構、121 基板保持部、122 XY駆動機構、13 第1検査治具、14 第2検査治具、15 第1検査治昇降機構、16 第2検査治具昇降機構、17 抵抗測定部、171 電流供給測定部、172 電位差測定部、173 スイッチングユニット、18 表示部、19 操作部、P1,P2 測定位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線パターンがそれぞれ形成された複数の単位基板が連なってなるシート基板に対し、前記シート基板内の前記単位基板の前記配線パターンの導通性に関する評価を行う基板検査装置において、
前記シート基板を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構によって保持された前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された2つの測定位置にそれぞれ接触される複数のプローブを有するプローブユニットと、
前記プローブユニットの前記プローブを介して前記配線パターン上に設定された前記2つの測定位置間の抵抗値を測定する抵抗測定部と、
所定の基準抵抗値を基準として、前記抵抗測定部によって測定された所定の評価単位シート基板内の前記各単位基板の前記各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを算出する測定抵抗値評価部と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記各配線パターンの測定抵抗値の前記ずれ度合いの算出結果に基づき、前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを検出することを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを、前記前記評価単位シート基板内の前記各位置の座標情報と関連付けて検出することを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内における前記各単位基板内の前記配線パターンの前記測定抵抗値のずれ度合いを算出し、該単位基板の前記評価単位シート基板内での位置情報と関連付けることを特徴とする基板検査装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、検出した前記評価単位シート基板内の各位置における前記配線パターンの前記測定抵抗値の前記ずれ度合いを所定の表示部に図式的に表示させることを特徴とする基板検査装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記抵抗測定部が測定した前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの前記測定抵抗値、前記測定抵抗値の平均値である平均抵抗値、及び前記測定抵抗値評価部が算出した前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの前記測定抵抗値のずれ度合いのうちの少なくともいずれか1つに基づいて、前記各配線パターンの導通性に関する判定基準値を決定し、前記各配線パターンの前記測定抵抗値と前記判定基準値とを比較することにより前記評価単位シート基板内の前記各配線パターンの良否判定を行う導通判定部をさらに備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記評価単位シート基板内の前記単位基板の前記各配線パターンの前記測定抵抗値を平均し、その結果得られる平均測定抵抗値を前記基準抵抗値として用いることを特徴とする基板検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記測定抵抗値の前記ずれ度合いとして、前記平均測定抵抗値を基準とした偏差、偏差値又は標準偏差を算出することを特徴とする基板検査装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部が用いる前記基準抵抗値は、前記評価単位シート基板内における前記単位基板の前記各配線パターンの抵抗値の設計理論値であることを特徴とする基板検査装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項7及び請求項9のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記測定抵抗値評価部は、前記測定抵抗値の前記ずれ度合いとして、前記測定抵抗値と前記基準抵抗値との差を算出することを特徴とする基板検査装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記端子ユニットの前記プローブは、前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された前記各測定位置ごとに2つずつ設けられ、その2つのプローブのうちの一方が前記配線パターンへの検査用の電流の供給のために用いられ、他方が前記配線パターンの前記測定位置間の電位差の測定のために用いられることを特徴とする基板検査装置。
【請求項12】
複数の配線パターンがそれぞれ形成された複数の単位基板が連なってなるシート基板に対し、前記シート基板内の前記単位基板の前記配線パターンの導通性に関する評価を行う基板検査方法において、
基板保持機構によって前記シート基板を保持させ、保持された前記シート基板内の少なくとも1つの前記単位基板の前記配線パターン上に設定された2つの測定位置にプローブを接触させ、前記配線パターンの前記測定位置間の抵抗値を前記プローブを介して測定する測定段階と、
所定の基準抵抗値を基準として、前記測定段階で測定された所定の評価単位シート基板内の前記各単位基板の前記各配線パターンの測定抵抗値のずれ度合いを算出するずれ度算出段階と、
を備えることを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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