基板載置台、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
【課題】処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱する場合に、該基板載置台の熱変形を抑制できる基板載置台や基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板載置台を、発熱体と、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され前記発熱体を囲繞する第1の部材と、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とから構成する。
【解決手段】基板載置台を、発熱体と、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され前記発熱体を囲繞する第1の部材と、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とから構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造装置である基板処理装置、特に、半導体集積回路が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウエハ)を処理する処理室を備えた基板処理装置において、処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱した場合に、該基板載置台の熱変形を抑制できる基板載置台、該基板載置台を用いた基板処理装置、及び該基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、処理室内において基板を載置する基板載置台にヒータを内蔵し、該ヒータにより基板を加熱して処理する基板処理装置が知られている。このような基板処理装置では、基板載置台が主にアルミニウムで製作されるため、基板載置台の耐熱性を考慮し熱変形させないようにするには、約400℃以下で使用するのが通常である。熱変形をさせないようにすることで、基板載置台上に載置した基板を均一に加熱することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、より高温で且つ均一に基板を処理することが求められている。これを達成するために、例えば、純アルミ系の不純物の少ない合金を基板載置台の材料として採用することが考えられる。しかしながら、純アルミ系の不純物の少ない合金を高温にすると、基板載置台表面にアルミの結晶化が進みシワ状の凹凸が発生する。この凹凸により、載置台表面に載置された基板とヒータとの距離にばらつきが起きるため、基板を均一に加熱できないという問題が起きる。
【0005】
また、耐高温性材質であるA5052アルミ合金を基板載置台の材料として採用することが考えられる。しかしながら、A5052はマグネシウム(Mg)を含有しているため、高温状態にするとMgが酸化し、基板載置台表面が変色することが考えられる。変色した場合、ヒータから放射される熱線の放射率が変化してしまうため、ヒータが所望の温度まで昇温できなくなる。
【0006】
より高温で基板処理できるようにするには、基板載置台の材料をステンレスや窒化アルミニウム(AlN)で製作する方法があるが、これらの材料はアルミニウムに比べ熱伝導率が低いため、基板を加熱する際に温度均一性が低下する。更に、基板載置台全体の重量増を引き起こす要因、或いは大幅なコスト増の要因となる。
本発明の目的は、処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱する場合に、基板を高温状態とし、且つ均一に加熱することができる基板載置台や基板処理装置、あるいは基板載置台の製造方法や半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための、本発明の代表的な基板載置台の構成は、次のとおりである。すなわち、
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【0008】
また、本発明の代表的な基板処理装置の構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【0009】
また、本発明の代表的な半導体装置の製造方法の構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、処理室内で基板載置台に載置された基板を加熱する場合に、高温で均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の全体構成図であり、上面からみた概念図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の一部の垂直断面図である。
【図3】図1に示す処理室16aの垂直断面図である。
【図4】図1に示す処理室16aの斜視図である。
【図5】図1に示す処理室16aを上方からみた図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基板保持ピン74を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基板載置台の固定方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る基板載置台の垂直断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る基板載置台の製造方法を説明する図である。
【図10】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【図11】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【図12】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下、本発明の1実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の全体構成図であり、基板処理装置10を上方から見た概念図である。図2は、図1に示す基板処理装置10の一部の垂直断面図である。
図1や図2に示すように、基板処理装置10は、例えば搬送室12を中心として、ロードロック室14a,14b及び2つの処理室16a,16bが配置されており、ロードロック室14a,14bの上流側にカセットなどのキャリアとの間で基板を搬送するための大気搬送室(EFEM:Equipment Front End Module)20が配置されている。搬送室12は、真空雰囲気中で基板を搬送するものであり、大気搬送室20は、大気中で基板を搬送するものである。大気搬送室20は、例えば25枚の基板を縦方向に一定間隔を隔てて収容可能な基板収容器であるフープ(図示せず)が3台配置されている。また、大気搬送室20には、大気搬送室20とロードロック室14a,14bとの間で基板を例えば5枚ずつ搬送する図示しない大気ロボットが配置されている。例えば、搬送室12、ロードロック室14a,14b及び処理室16a,16bは、アルミニウム(A5052)にて形成されている。
【0013】
なお、ロードロック室14aと14bは、互いに対称となる位置に配置されており、同様の構成を有する。また、処理室16aと16bも、互いに対称となる位置に配置されており、同様の構成を有する。
以下、ロードロック室14a及び処理室16aを中心に説明する。
【0014】
図2に示すように、ロードロック室14aには、例えば25枚のウエハなどの基板22を縦方向に一定間隔を隔てて収容する基板支持体(ボート)24が設けられている。基板支持体24は、例えば炭化珪素からなり、上部板24cと下部板24dとを接続する例えば3つの支柱24aを有する。支柱24aの長手方向内側には例えば25個の載置部24bが平行に形成されている。また、基板支持体24は、ロードロック室14a内において、鉛直方向に移動(上下方向に移動)するようにされているとともに、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するようにされている。基板支持体24が鉛直方向に移動することにより、基板支持体24の3つの支柱24aそれぞれに設けられた載置部24bの上面に、後述する真空ロボット36のフィンガ対38から基板22が同時に2枚ずつ移載される。また、基板支持体24が鉛直方向に移動することにより、基板支持体24からフィンガ対38へも基板22が同時に2枚ずつ移載されようになっている。
【0015】
搬送室12には、ロードロック室14aと処理室16aとの間で基板22を搬送する真空ロボット36が設けられている。真空ロボット36は、上フィンガ38a及び下フィンガ38bから構成されるフィンガ対38が設けられたアーム37を有する。上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、例えば同一の形状をしており、上下方向に所定の間隔で離間され、アーム37からそれぞれ略水平に同じ方向に延びて、それぞれ基板22を同時に支持することができるようにされている。アーム37は、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するようにされているとともに、水平方向に移動するようにされ、同時に2枚の基板22を搬送可能にされている。処理室16aは、後述するチャンバ50の同一空間内に基板載置台44a,44bが設けられている。基板載置台44aと基板載置台44bとの間の空間は、仕切り部材48により水平方向の一部が仕切られている。そして、処理室16aは、真空ロボット36を介して基板載置台44a,44bに基板22がそれぞれ載置されることにより、チャンバ50の同一空間内で2枚の基板22を同時に熱処理することができるようにされている。
【0016】
次に、処理室16aの概要について、図3ないし図7を用いて説明する。図3は、処理室16aの垂直断面図である。図4は、処理室16aの斜視図である。図5は、処理室16aを上方からみた図である。図6は、基板保持ピン74を説明する図である。図7は、基板載置台44aの固定方法を説明する図である。
図3ないし図5に示すように、処理室16aは、装置本体49の上部に蓋53a、53bが形成され、下方に1つのチャンバ50が形成されている。ガス供給部51a,51bは処理ガスを供給する。チャンバ50は、図示しないポンプにより例えば0.1Pa程度までの真空にすることができるようにされている。
【0017】
基板載置台44a,44bの内、蓋53a、53bに近い面には、基板載置面46a,46bが設けられている。
基板載置台44a,44bは、それぞれの高さがチャンバ50内の高さよりも低くされ、チャンバ50の同一空間内で独立して配置されて、固定部材52により装置本体49にそれぞれ固定されている。
また、基板載置台44a,44bには、発熱体であるヒータ45a,45bが内包されており、例えば基板を470℃まで昇温可能にされている。
基板載置台の詳細は後述する。
【0018】
基板載置面46a,46bと異なる方向であって、基板載置台44a,44bの下方にはフランジ47a,47bが設けられる。
フランジ47a,47bには、装置本体49に固定された複数の支柱43が接続され、支柱43がそれぞれの基板載置台44を支持している。
この支持構造については後述する。
【0019】
基板載置台44aと基板載置台44bとの間には、上述した仕切り部材48が配置されている。仕切り部材48は、例えばアルミニウム(A5052又はA5056等)、石英又はアルミナ等により形成されており、例えば装置本体49に対して着脱自在にされた角柱状の部材である。
【0020】
基板載置台44a,44bには、それぞれの周囲を囲むように、上面視が環状の排気バッフルリング54a,54bが配置されている。排気バッフルリング54a,54bは、その周囲に多数の孔部56が設けられており、基板載置台44a,44bの周囲に形成された第1の排気空間58に向けて排気可能にされている。孔部56は、第1の排気口を構成する。また、基板載置台44a,44bの下方には、上面視が円形の第2の排気口60及び第3の排気口62がそれぞれ設けられている。主に、第1の排気口56や第2の排気口60及び第3の排気口62から、処理室内からガスを排気するガス排気部が構成される。
【0021】
仕切り部材48の一端側には、基板22を搬送可能なロボットアーム70が配置されている。ロボットアーム70は、上述したアーム37が搬送する基板22のうちの1枚を基板載置台44bに向けて搬送するとともに、基板載置台44bから回収するようにされている。ロボットアーム70は、例えばアルミナセラミックス(純度99.6%以上)からなるフィンガ72(フィンガ72の基部は位置、レベル合わせのために金属からなる)と、軸部71とを有し、軸部71に回転及び昇降を行う2軸の駆動ユニット(図示せず)が設けられている。フィンガ72は、基板22よりも大きな弧状部72aを有し、この弧状部72aから中心に向けて延びる3つの突起部72bが所定の間隔で設けられている。軸部71は、水冷された磁気シールにより、チャンバ50が真空にされた場合において、大気と遮断をするように構成されている。
なお、仕切り部材48及びロボットアーム70は、チャンバ50内の空間を完全に分離することがないように、チャンバ50内に配置されている。
【0022】
したがって、ガス供給部51a,51bから供給された処理ガスは、チャンバ50内の基板載置台44a,44bに載置される基板22それぞれに沿って流れ、第1の排気口である孔部56、第1の排気空間58、第2の排気口60及び第3の排気口62を通って排出される。
【0023】
さらに、基板載置台44a,44bには、それぞれ3つの基板保持ピン74が鉛直方向に貫通しており、搬送室12から真空ロボット36を介して搬送された基板22が基板保持ピン74に載置されるようになっている。基板保持ピン74は、図6に示すように、上下方向に昇降するようにされている。また、基板載置台44a,44bには、基板載置台44a,44bの上面に対し、上述した突起部72bが上方から下方へ移動可能なように、縦方向(上下方向)にそれぞれ3つの溝部76が設けられている。
【0024】
次に、図7を用いて、基板載置台44a,44bと支柱43の固定方法について説明する。基板載置台44aと44bは同じ構造なので、基板載置台44aを例として説明する。図7(a)は基板載置台44aの垂直断面図であり、図7(b)は図7(a)の部分拡大図である。基板載置台44aに内蔵しているヒータ45aは、図示を省略している。
基板載置台44aは、その周囲に環状のフランジ47aを有し、フランジ47aを支柱43が支持することで、基板載置台44aを支持している。支柱43は、例えばステンレスであり、その下端部が装置本体49に挿入され固定される。
【0025】
基板載置台44aの底面の周囲であってフランジ47aの下部を支えるように固定部としてのリング42が設けられる。リング42は環状の一体型構造であって、熱伝導率が低く、且つ高温でも変形しないような材料とし、例えばステンレスとする。リング42は、基板載置台44aの底面に固着されている。リング42には、支柱43が挿入される挿入口42aが設けられている。
支柱43は段差43aを有し、段差43aによってリング42が支持される。支柱43の上部である凸部43bは、挿入口42aを貫通し、フランジ47aの下部に設けた凹部に嵌合している。
こうして、リング42で基板載置台44aを支えているので、基板を加熱する際に、ヒータ45aにより基板載置台44aが加熱され、変形されうるような高温状態になったとしても、変形が抑制される。なお、リング42は、基板載置台44aの底面に固着しない構成も可能であるが、より強固に基板載置台44aの熱変形を抑制するのであれば、固着する構成としてもよい。
また、挿入口42aの側面は、支柱43の凸部43bの側面と接触するように構成されている。このような構成とすることで、支柱43が傾くことを防ぐことが可能となる。
【0026】
次に、図8を用いて基板載置台44aの構造について説明する。基板載置台44bの構造も、基板載置台44aの構造と同様であるので、ここでは基板載置台44aを例として説明する。
図8において、81は上面視が螺旋状であるニクロム線等の抵抗加熱ヒータ、82はヒータ81を取り囲むように設けられた第1の部材、83は第1の部材を取り囲むように設けられた第2の部材、85はヒータ81へ電力を供給する給電線を収容するヒータ配線用パイプであり、基板載置台44aはリング42で支持されている。リング42は、第1の部材82よりも熱変形の小さい第3の部材であり、図8に示すような幅の環状の板である。
第2の部材83の上面は、基板を載置する載置面として構成される。
【0027】
第1の部材82は、少なくともアルミニウム、セラミックスの複合材であり、本実施形態では、アルミニウム、シリコン、セラミックスの複合材としており、第1の部材82におけるセラミックスの体積比率は20〜50%である。第1の部材82にセラミックスを含有させることで、アルミニウムよりも熱膨張を小さくでき、熱変形を抑制することができる。即ち、基板載置台44aの載置面の変形を防ぐことができる。したがって、基板載置台44aに載置された基板は、ヒータ81が発生する熱線を再現性良く受けることができる。
なお、セラミックスは、アルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)が主成分であるが、少量のナトリウム(Na)等も含まれており、これがチャンバ50内に漏れると金属汚染の原因となる。
【0028】
ここで、第1の部材82においてセラミックスの割合が多い場合、次のような問題が起きる。
第1の問題は、後述するように基板載置台44aを製造する際、セラミックスの割合が多いとアルミニウムを注入しづらいことである。その結果、熱伝導性の高いアルミニウムが、熱伝導性の低いセラミックスの間にまばらに充填されてしまう。このような場合、基板載置台44a内の温度分布が不均一になり、基板の面内における加熱均一性が低くなる。また、基板載置台44a毎に基板載置台44a内の温度分布が異なり、基板間における加熱均一性が低くなる。
第2の問題は、セラミックスが断熱材に相当する働きをするため、ヒータ81から基板へ放射される熱線を断片的に遮り、基板への加熱効率が低下することである。
第3の問題は、セラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材82とアルミニウム合金である第2の部材83の熱膨張係数の差が大きくなり、第1の部材82と第2の部材83との接合面や第2の部材83である表層のアルミ合金が破損しやすくなることである。
以上のような問題を起こさせないこと及び熱変形抑制の観点から、第1の部材82におけるセラミックスの比率を20〜50%としている。
【0029】
第2の部材83は、本実施形態では、アルミニウムとシリコンの合金であって、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金であり、第1の部材82よりもセラミックス成分の含有率が小さい。第2の部材83中のセラミックス成分は0(ゼロ)でもよい。このように、第1の部材82の表面を、第2の部材83で覆うことで、不純物(例えばNa)が多いセラミックスを多く含む第1の部材82から発生する金属汚染を抑制することができる。
また、第2の部材83を、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金とすることにより、局所的なシリコンの析出を低減することができる。局所的なシリコンの析出が発生すると、表面に斑点が現れるため、基板載置台44a内の温度分布が不均一になり、基板の面内における加熱均一性が低くなる。なお、第2の部材83は、鋳造の容易さや強度向上の観点から、シリコンの割合が4.0wt%以上のアルミニウム合金とするのが好ましい。
第2の部材83のアルミニウム合金は、第1の部材82の複合材よりも熱膨張率が大きい。第1の部材82と第2の部材83の熱膨張差の影響を小さくするために、第2の部材83を薄くすることが望ましいが、後述の加工性も考慮する必要があるため、本実施例においては第2の部材83の厚さを2〜10mmの範囲としている。
【0030】
図7の説明で述べたように、リング42(第3の部材)は、熱伝導率が低く、且つ高温でも変形しないような材料とし、例えばステンレスとしている。すなわち、リング42は、第1の部材82や第2の部材83よりも熱伝導率が低く、且つ、第1の部材82や第2の部材83に比べて高温でも変形しない。第3の部材42は、リング形状であり、基板載置台44aの底面の周囲であってフランジ47aの下部を支えるように設けられている。支柱43は、段差43aを有し、段差43aによってリング42が支持されている。支柱43の上部である凸部43bは、挿入口42aを貫通し、フランジ47aの下部に設けた凹部に嵌合している。こうして、リング42で基板載置台44aを支えているので、ヒータ45aにより基板載置台44aが加熱され、変形されうるような高温状態になったとしても、基板載置台44aの変形が抑制される。
また、図7の説明で述べたように、第3の部材42の挿入口42aの側面は、支柱43の凸部43bの側面と接触するように構成されている。このような構成とすることで、支柱43が傾くことを防ぐことが可能となる。
更には、リング42は第1の部材82や第2の部材83よりも熱伝導性の低い材質であるため、第1の部材82や第2の部材83で構成されるフランジ47aからの局所的な熱逃げを防ぐことができる。したがって、基板載置面に載置された基板を再現性良く加熱することができる。
【0031】
次に、図9を用いて基板載置台44aの製作方法について説明する。基板載置台44bの製作方法も、基板載置台44aの製作方法と同様である。ここでは、説明の便宜上、フランジ47aの形成方法を省略する。
まず、図9(a)に示すように、ヒータを内蔵するヒータパイプ91をセラミックス製のセラミックスボード92で挟み込み、これを容器95の中に入れる。セラミックスボード92は多孔質であり、例えば空孔率が80%程度である。セラミックスボード92の寸法は、完成形の基板載置台44aの寸法よりも小型にしておく。
次に、図9(b)に示すように、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下の溶融アルミニウム93を、容器95の中に流し込む。溶融アルミニウム93は、シリコンとアルミニウムの合金を溶融させたものであり、前述したように、シリコンの割合が4wt%以上であることが好ましい。
【0032】
次に、図9(c)に示すように、溶融アルミニウム93を加圧し、セラミックスボード92中に溶融アルミニウム93を含浸する。加圧する理由は、溶融アルミニウム93を容器95中に流し込むだけでは、セラミックスボード92中に十分含浸しないためである。加圧することにより、溶融アルミニウム93から形成されるシリコンとアルミニウムの合金中に「巣」と呼ばれる空孔が発生することを抑制できる。
以上の工程により、セラミックスボード92の周囲は、溶融アルミニウム93から形成されるシリコンとアルミニウムの合金である第2の部材83により覆われる。次に、セラミックスボード92の周囲を覆ったシリコンとアルミニウムの合金を、切削加工等により、2〜10mm程度の厚さに加工する。セラミックスボード92の寸法は、基板載置台44aの寸法よりも小型なので、基板載置台44aの表面に、セラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材82が露出することを防ぐことができる。
【0033】
以上説明した方法により、ヒータの周囲をセラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材で覆い、さらに、第1の部材の周囲を、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金である第2の部材で覆うことができるので、温度均一性と経済性に優れ、例えば470℃まで昇温可能な基板載置台を実現することが容易となる。
この方法で製作した基板載置台で温度サイクルテストを実施したところ、従来のアルミ合金製の基板載置台にみられる変色やシワの発生はみられなかった。この温度サイクルテストは、450℃に昇温した後200℃に降温し再び450℃に昇温するサイクルを繰り返すもので、450℃→200℃→450℃のサイクルを40サイクル行った。
【0034】
次に、ロボットアーム70が基板22を搬送する動作及び本実施形態における半導体装置の製造方法の一工程としての基板処理方法について、図10ないし図12を用いて説明する。
図10から図12において、ロボットアーム70が基板22を搬送する経過が示されている。なお、図10から図12においては、ロボットアーム70等の動作を明確にするために、基板22は図示されていない。
まず、図10に示すように、真空ロボット36のフィンガ対38の上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、それぞれ基板を搬送室12からチャンバ50内に搬送(2枚の基板22を同時搬送)し、基板載置台44aの上方で停止する。
この時、ロボットアーム70のフィンガ72は、基板載置台44aの上方で2枚の基板22の間に位置するように待機させられている。
【0035】
そして、フィンガ対38が停止した状態で、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74と、ロボットアーム70とが上方に移動する。ここで、下フィンガ38bに載置されていた基板22は、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74に移載され、上フィンガ38aに載置されていた基板22は、フィンガ72に移載される。2枚の基板22が移載されたフィンガ対38は、搬送室12に戻される。
【0036】
次に、図11に示すように、ロボットアーム70は、軸部71が回転することにより、フィンガ72が基板載置台44bの上方に移動する。
そして、図12に示すように、フィンガ72の突起部72bそれぞれが基板載置台44bの溝部76に沿って上方から下方へ移動し、基板載置台44bを貫通している3つの基板保持ピン74に基板22を受け渡す。
【0037】
その後、ロボットアーム70のフィンガ72は、基板載置面46bよりも下方に移動する。ロボットアーム70のフィンガ72が下方に移動すると、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74及び基板載置台44bを貫通している3つの基板保持ピン74が下方に移動し、下フィンガ38bが搬送した基板22と上フィンガ38aが搬送した基板22は、それぞれ基板載置面46aと46b上に略同じタイミングで載置される。
また、ロボットアーム70は、ガス供給部51a,51bから供給されるガスが上方から下方へ流れることを阻害しない状態で、基板22の処理中にもチャンバ50内に位置する。
【0038】
各基板載置面46に載置された基板22は、ヒータ45a,45bによって所望の温度、例えば470℃に加熱される。
基板の加熱処理と並行して、処理ガスをガス供給部51a,51bから供給する。処理ガスとしては、例えば窒素(N2)ガスを供給する。供給された処理ガスの雰囲気にて、基板22が加熱され、所定の熱処理がなされる。
【0039】
所定の熱処理が終了したら、チャンバ50内から2枚の基板22を搬送室12へ搬送する。この場合、ロボットアーム70及びフィンガ対38は、図10から図12を用いて説明した動作を逆の順序で行う。
【0040】
以上説明した実施形態によれば、少なくとも次の(1)〜(7)の効果を得ることができる。
(1)処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱する場合に、第1の部材中のセラミックスにより基板載置台の熱変形を抑制できるので、基板を再現性よく加熱することができる。また、第2の部材により第1の部材中のセラミックスに起因する金属汚染を抑制することができる。
(2)第2の部材は、シリコンとアルミニウムの混合材料によって形成されているので、表面変色による放射率変化と結晶化によるシワの発生を抑制することができ、基板載置台の変形を抑制できるので、基板を再現性よく加熱することができる。
(3)第2の部材は、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下であるので、シリコンの局所的な析出を抑制できる。
(4)第2の部材の厚さを2〜10mmの範囲としているので、第1の部材との熱膨張差の影響を小さくでき、加工性をよくすることができる。
(5)第1の部材や第2の部材は、その底面の少なくとも周囲を、第1の部材や第2の部材よりも熱変形の小さい第3の部材であるステンレスにより支持されているので、第1の部材や第2の部材の熱変形をさらに抑制することができる。
(6)第1の部材や第2の部材は、その底面の少なくとも周囲を、第1の部材や第2の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材であるステンレスにより支持されているので、第3の部材を介する局所的な熱逃げを抑制でき、基板を均一に加熱することができる。
(7)上述の基板載置台の製造方法により、発熱体の周囲をセラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材で覆い、さらに、第1の部材の周囲を、セラミックス成分の含有率が第1の部材よりも低い第2の部材で覆う基板載置台を実現することが容易となる。
【0041】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
前記実施形態では、第2の部材は、第1の部材を囲繞するように構成したが、処理室内に供給された処理ガスに晒される基板載置台の部位のみを覆うように構成することもできる。このように構成すると、金属汚染の抑制は前記実施形態よりやや低下するが、基板載置台の製作が容易となる。
また、前記実施形態においては、ウエハ等の基板に処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0042】
本明細書の記載には、少なくとも次の発明が含まれる。
第1の発明は、
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【0043】
第2の発明は、前記第1の発明に記載された基板載置台であって、
前記第2の部材は、シリコンとアルミニウムの混合材料によって形成されている基板載置台。
【0044】
第3の発明は、前記第2の発明に記載された基板載置台であって、
前記第2の部材は、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下である基板載置台。
【0045】
第4の発明は、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【0046】
第5の発明は、前記第4の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第2の部材は、少なくとも前記処理室内に供給された処理ガスに晒される前記基板載置台の部位を覆うものである基板処理装置。
【0047】
第6の発明は、前記第4の発明又は第5の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱変形の小さい第3の部材により支持されている基板処理装置。
【0048】
第7の発明は、前記第4の発明又は第5の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材により支持されている基板処理装置。
【0049】
第8の発明は、
発熱体を、セラミックス材料で挟み込む発熱体挟み込みステップと、
前記発熱体を挟み込んだセラミックス材料を、溶融アルミニウム中に浸すアルミニウム浸漬ステップと、
前記溶融アルミニウム中に浸したセラミックス材料に対し、溶融アルミニウムを加圧して含浸させるアルミニウム含浸ステップと、
を備える基板載置台の製造方法。
【0050】
第9の発明は、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0051】
10…基板処理装置、12…搬送室、14a,14b…ロードロック室、16a,16b…処理室、20…大気搬送室、22…基板、24…基板支持体(ボート)、24a…支柱、24b…載置部、24c…上部板、24d…下部板、36…真空ロボット、37…アーム、38…フィンガ対、38a…上フィンガ、38b…下フィンガ、42…リング、42a…挿入口、43…支柱、43a…段差、43b…凸部、44a,44b…基板載置台、45a,45b…ヒータ、46a,46b…基板載置面、47a,47b…フランジ、48…仕切り部材、49…装置本体、50…チャンバ、51a,51b…ガス供給部、52…固定部材、53a,53b…蓋、54a,54b…排気バッフルリング、56…孔部(第1の排気口)、58…第1の排気空間、60…第2の排気口、62…第3の排気口、70…ロボットアーム、71…軸部、72…フィンガ、72a…弧状部、72b…突起部、74…基板保持ピン、76…溝部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造装置である基板処理装置、特に、半導体集積回路が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウエハ)を処理する処理室を備えた基板処理装置において、処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱した場合に、該基板載置台の熱変形を抑制できる基板載置台、該基板載置台を用いた基板処理装置、及び該基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、処理室内において基板を載置する基板載置台にヒータを内蔵し、該ヒータにより基板を加熱して処理する基板処理装置が知られている。このような基板処理装置では、基板載置台が主にアルミニウムで製作されるため、基板載置台の耐熱性を考慮し熱変形させないようにするには、約400℃以下で使用するのが通常である。熱変形をさせないようにすることで、基板載置台上に載置した基板を均一に加熱することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、より高温で且つ均一に基板を処理することが求められている。これを達成するために、例えば、純アルミ系の不純物の少ない合金を基板載置台の材料として採用することが考えられる。しかしながら、純アルミ系の不純物の少ない合金を高温にすると、基板載置台表面にアルミの結晶化が進みシワ状の凹凸が発生する。この凹凸により、載置台表面に載置された基板とヒータとの距離にばらつきが起きるため、基板を均一に加熱できないという問題が起きる。
【0005】
また、耐高温性材質であるA5052アルミ合金を基板載置台の材料として採用することが考えられる。しかしながら、A5052はマグネシウム(Mg)を含有しているため、高温状態にするとMgが酸化し、基板載置台表面が変色することが考えられる。変色した場合、ヒータから放射される熱線の放射率が変化してしまうため、ヒータが所望の温度まで昇温できなくなる。
【0006】
より高温で基板処理できるようにするには、基板載置台の材料をステンレスや窒化アルミニウム(AlN)で製作する方法があるが、これらの材料はアルミニウムに比べ熱伝導率が低いため、基板を加熱する際に温度均一性が低下する。更に、基板載置台全体の重量増を引き起こす要因、或いは大幅なコスト増の要因となる。
本発明の目的は、処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱する場合に、基板を高温状態とし、且つ均一に加熱することができる基板載置台や基板処理装置、あるいは基板載置台の製造方法や半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための、本発明の代表的な基板載置台の構成は、次のとおりである。すなわち、
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【0008】
また、本発明の代表的な基板処理装置の構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【0009】
また、本発明の代表的な半導体装置の製造方法の構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、処理室内で基板載置台に載置された基板を加熱する場合に、高温で均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の全体構成図であり、上面からみた概念図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の一部の垂直断面図である。
【図3】図1に示す処理室16aの垂直断面図である。
【図4】図1に示す処理室16aの斜視図である。
【図5】図1に示す処理室16aを上方からみた図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基板保持ピン74を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基板載置台の固定方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る基板載置台の垂直断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る基板載置台の製造方法を説明する図である。
【図10】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【図11】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【図12】図1に示す処理室16aにおける基板搬送方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下、本発明の1実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の全体構成図であり、基板処理装置10を上方から見た概念図である。図2は、図1に示す基板処理装置10の一部の垂直断面図である。
図1や図2に示すように、基板処理装置10は、例えば搬送室12を中心として、ロードロック室14a,14b及び2つの処理室16a,16bが配置されており、ロードロック室14a,14bの上流側にカセットなどのキャリアとの間で基板を搬送するための大気搬送室(EFEM:Equipment Front End Module)20が配置されている。搬送室12は、真空雰囲気中で基板を搬送するものであり、大気搬送室20は、大気中で基板を搬送するものである。大気搬送室20は、例えば25枚の基板を縦方向に一定間隔を隔てて収容可能な基板収容器であるフープ(図示せず)が3台配置されている。また、大気搬送室20には、大気搬送室20とロードロック室14a,14bとの間で基板を例えば5枚ずつ搬送する図示しない大気ロボットが配置されている。例えば、搬送室12、ロードロック室14a,14b及び処理室16a,16bは、アルミニウム(A5052)にて形成されている。
【0013】
なお、ロードロック室14aと14bは、互いに対称となる位置に配置されており、同様の構成を有する。また、処理室16aと16bも、互いに対称となる位置に配置されており、同様の構成を有する。
以下、ロードロック室14a及び処理室16aを中心に説明する。
【0014】
図2に示すように、ロードロック室14aには、例えば25枚のウエハなどの基板22を縦方向に一定間隔を隔てて収容する基板支持体(ボート)24が設けられている。基板支持体24は、例えば炭化珪素からなり、上部板24cと下部板24dとを接続する例えば3つの支柱24aを有する。支柱24aの長手方向内側には例えば25個の載置部24bが平行に形成されている。また、基板支持体24は、ロードロック室14a内において、鉛直方向に移動(上下方向に移動)するようにされているとともに、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するようにされている。基板支持体24が鉛直方向に移動することにより、基板支持体24の3つの支柱24aそれぞれに設けられた載置部24bの上面に、後述する真空ロボット36のフィンガ対38から基板22が同時に2枚ずつ移載される。また、基板支持体24が鉛直方向に移動することにより、基板支持体24からフィンガ対38へも基板22が同時に2枚ずつ移載されようになっている。
【0015】
搬送室12には、ロードロック室14aと処理室16aとの間で基板22を搬送する真空ロボット36が設けられている。真空ロボット36は、上フィンガ38a及び下フィンガ38bから構成されるフィンガ対38が設けられたアーム37を有する。上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、例えば同一の形状をしており、上下方向に所定の間隔で離間され、アーム37からそれぞれ略水平に同じ方向に延びて、それぞれ基板22を同時に支持することができるようにされている。アーム37は、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するようにされているとともに、水平方向に移動するようにされ、同時に2枚の基板22を搬送可能にされている。処理室16aは、後述するチャンバ50の同一空間内に基板載置台44a,44bが設けられている。基板載置台44aと基板載置台44bとの間の空間は、仕切り部材48により水平方向の一部が仕切られている。そして、処理室16aは、真空ロボット36を介して基板載置台44a,44bに基板22がそれぞれ載置されることにより、チャンバ50の同一空間内で2枚の基板22を同時に熱処理することができるようにされている。
【0016】
次に、処理室16aの概要について、図3ないし図7を用いて説明する。図3は、処理室16aの垂直断面図である。図4は、処理室16aの斜視図である。図5は、処理室16aを上方からみた図である。図6は、基板保持ピン74を説明する図である。図7は、基板載置台44aの固定方法を説明する図である。
図3ないし図5に示すように、処理室16aは、装置本体49の上部に蓋53a、53bが形成され、下方に1つのチャンバ50が形成されている。ガス供給部51a,51bは処理ガスを供給する。チャンバ50は、図示しないポンプにより例えば0.1Pa程度までの真空にすることができるようにされている。
【0017】
基板載置台44a,44bの内、蓋53a、53bに近い面には、基板載置面46a,46bが設けられている。
基板載置台44a,44bは、それぞれの高さがチャンバ50内の高さよりも低くされ、チャンバ50の同一空間内で独立して配置されて、固定部材52により装置本体49にそれぞれ固定されている。
また、基板載置台44a,44bには、発熱体であるヒータ45a,45bが内包されており、例えば基板を470℃まで昇温可能にされている。
基板載置台の詳細は後述する。
【0018】
基板載置面46a,46bと異なる方向であって、基板載置台44a,44bの下方にはフランジ47a,47bが設けられる。
フランジ47a,47bには、装置本体49に固定された複数の支柱43が接続され、支柱43がそれぞれの基板載置台44を支持している。
この支持構造については後述する。
【0019】
基板載置台44aと基板載置台44bとの間には、上述した仕切り部材48が配置されている。仕切り部材48は、例えばアルミニウム(A5052又はA5056等)、石英又はアルミナ等により形成されており、例えば装置本体49に対して着脱自在にされた角柱状の部材である。
【0020】
基板載置台44a,44bには、それぞれの周囲を囲むように、上面視が環状の排気バッフルリング54a,54bが配置されている。排気バッフルリング54a,54bは、その周囲に多数の孔部56が設けられており、基板載置台44a,44bの周囲に形成された第1の排気空間58に向けて排気可能にされている。孔部56は、第1の排気口を構成する。また、基板載置台44a,44bの下方には、上面視が円形の第2の排気口60及び第3の排気口62がそれぞれ設けられている。主に、第1の排気口56や第2の排気口60及び第3の排気口62から、処理室内からガスを排気するガス排気部が構成される。
【0021】
仕切り部材48の一端側には、基板22を搬送可能なロボットアーム70が配置されている。ロボットアーム70は、上述したアーム37が搬送する基板22のうちの1枚を基板載置台44bに向けて搬送するとともに、基板載置台44bから回収するようにされている。ロボットアーム70は、例えばアルミナセラミックス(純度99.6%以上)からなるフィンガ72(フィンガ72の基部は位置、レベル合わせのために金属からなる)と、軸部71とを有し、軸部71に回転及び昇降を行う2軸の駆動ユニット(図示せず)が設けられている。フィンガ72は、基板22よりも大きな弧状部72aを有し、この弧状部72aから中心に向けて延びる3つの突起部72bが所定の間隔で設けられている。軸部71は、水冷された磁気シールにより、チャンバ50が真空にされた場合において、大気と遮断をするように構成されている。
なお、仕切り部材48及びロボットアーム70は、チャンバ50内の空間を完全に分離することがないように、チャンバ50内に配置されている。
【0022】
したがって、ガス供給部51a,51bから供給された処理ガスは、チャンバ50内の基板載置台44a,44bに載置される基板22それぞれに沿って流れ、第1の排気口である孔部56、第1の排気空間58、第2の排気口60及び第3の排気口62を通って排出される。
【0023】
さらに、基板載置台44a,44bには、それぞれ3つの基板保持ピン74が鉛直方向に貫通しており、搬送室12から真空ロボット36を介して搬送された基板22が基板保持ピン74に載置されるようになっている。基板保持ピン74は、図6に示すように、上下方向に昇降するようにされている。また、基板載置台44a,44bには、基板載置台44a,44bの上面に対し、上述した突起部72bが上方から下方へ移動可能なように、縦方向(上下方向)にそれぞれ3つの溝部76が設けられている。
【0024】
次に、図7を用いて、基板載置台44a,44bと支柱43の固定方法について説明する。基板載置台44aと44bは同じ構造なので、基板載置台44aを例として説明する。図7(a)は基板載置台44aの垂直断面図であり、図7(b)は図7(a)の部分拡大図である。基板載置台44aに内蔵しているヒータ45aは、図示を省略している。
基板載置台44aは、その周囲に環状のフランジ47aを有し、フランジ47aを支柱43が支持することで、基板載置台44aを支持している。支柱43は、例えばステンレスであり、その下端部が装置本体49に挿入され固定される。
【0025】
基板載置台44aの底面の周囲であってフランジ47aの下部を支えるように固定部としてのリング42が設けられる。リング42は環状の一体型構造であって、熱伝導率が低く、且つ高温でも変形しないような材料とし、例えばステンレスとする。リング42は、基板載置台44aの底面に固着されている。リング42には、支柱43が挿入される挿入口42aが設けられている。
支柱43は段差43aを有し、段差43aによってリング42が支持される。支柱43の上部である凸部43bは、挿入口42aを貫通し、フランジ47aの下部に設けた凹部に嵌合している。
こうして、リング42で基板載置台44aを支えているので、基板を加熱する際に、ヒータ45aにより基板載置台44aが加熱され、変形されうるような高温状態になったとしても、変形が抑制される。なお、リング42は、基板載置台44aの底面に固着しない構成も可能であるが、より強固に基板載置台44aの熱変形を抑制するのであれば、固着する構成としてもよい。
また、挿入口42aの側面は、支柱43の凸部43bの側面と接触するように構成されている。このような構成とすることで、支柱43が傾くことを防ぐことが可能となる。
【0026】
次に、図8を用いて基板載置台44aの構造について説明する。基板載置台44bの構造も、基板載置台44aの構造と同様であるので、ここでは基板載置台44aを例として説明する。
図8において、81は上面視が螺旋状であるニクロム線等の抵抗加熱ヒータ、82はヒータ81を取り囲むように設けられた第1の部材、83は第1の部材を取り囲むように設けられた第2の部材、85はヒータ81へ電力を供給する給電線を収容するヒータ配線用パイプであり、基板載置台44aはリング42で支持されている。リング42は、第1の部材82よりも熱変形の小さい第3の部材であり、図8に示すような幅の環状の板である。
第2の部材83の上面は、基板を載置する載置面として構成される。
【0027】
第1の部材82は、少なくともアルミニウム、セラミックスの複合材であり、本実施形態では、アルミニウム、シリコン、セラミックスの複合材としており、第1の部材82におけるセラミックスの体積比率は20〜50%である。第1の部材82にセラミックスを含有させることで、アルミニウムよりも熱膨張を小さくでき、熱変形を抑制することができる。即ち、基板載置台44aの載置面の変形を防ぐことができる。したがって、基板載置台44aに載置された基板は、ヒータ81が発生する熱線を再現性良く受けることができる。
なお、セラミックスは、アルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)が主成分であるが、少量のナトリウム(Na)等も含まれており、これがチャンバ50内に漏れると金属汚染の原因となる。
【0028】
ここで、第1の部材82においてセラミックスの割合が多い場合、次のような問題が起きる。
第1の問題は、後述するように基板載置台44aを製造する際、セラミックスの割合が多いとアルミニウムを注入しづらいことである。その結果、熱伝導性の高いアルミニウムが、熱伝導性の低いセラミックスの間にまばらに充填されてしまう。このような場合、基板載置台44a内の温度分布が不均一になり、基板の面内における加熱均一性が低くなる。また、基板載置台44a毎に基板載置台44a内の温度分布が異なり、基板間における加熱均一性が低くなる。
第2の問題は、セラミックスが断熱材に相当する働きをするため、ヒータ81から基板へ放射される熱線を断片的に遮り、基板への加熱効率が低下することである。
第3の問題は、セラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材82とアルミニウム合金である第2の部材83の熱膨張係数の差が大きくなり、第1の部材82と第2の部材83との接合面や第2の部材83である表層のアルミ合金が破損しやすくなることである。
以上のような問題を起こさせないこと及び熱変形抑制の観点から、第1の部材82におけるセラミックスの比率を20〜50%としている。
【0029】
第2の部材83は、本実施形態では、アルミニウムとシリコンの合金であって、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金であり、第1の部材82よりもセラミックス成分の含有率が小さい。第2の部材83中のセラミックス成分は0(ゼロ)でもよい。このように、第1の部材82の表面を、第2の部材83で覆うことで、不純物(例えばNa)が多いセラミックスを多く含む第1の部材82から発生する金属汚染を抑制することができる。
また、第2の部材83を、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金とすることにより、局所的なシリコンの析出を低減することができる。局所的なシリコンの析出が発生すると、表面に斑点が現れるため、基板載置台44a内の温度分布が不均一になり、基板の面内における加熱均一性が低くなる。なお、第2の部材83は、鋳造の容易さや強度向上の観点から、シリコンの割合が4.0wt%以上のアルミニウム合金とするのが好ましい。
第2の部材83のアルミニウム合金は、第1の部材82の複合材よりも熱膨張率が大きい。第1の部材82と第2の部材83の熱膨張差の影響を小さくするために、第2の部材83を薄くすることが望ましいが、後述の加工性も考慮する必要があるため、本実施例においては第2の部材83の厚さを2〜10mmの範囲としている。
【0030】
図7の説明で述べたように、リング42(第3の部材)は、熱伝導率が低く、且つ高温でも変形しないような材料とし、例えばステンレスとしている。すなわち、リング42は、第1の部材82や第2の部材83よりも熱伝導率が低く、且つ、第1の部材82や第2の部材83に比べて高温でも変形しない。第3の部材42は、リング形状であり、基板載置台44aの底面の周囲であってフランジ47aの下部を支えるように設けられている。支柱43は、段差43aを有し、段差43aによってリング42が支持されている。支柱43の上部である凸部43bは、挿入口42aを貫通し、フランジ47aの下部に設けた凹部に嵌合している。こうして、リング42で基板載置台44aを支えているので、ヒータ45aにより基板載置台44aが加熱され、変形されうるような高温状態になったとしても、基板載置台44aの変形が抑制される。
また、図7の説明で述べたように、第3の部材42の挿入口42aの側面は、支柱43の凸部43bの側面と接触するように構成されている。このような構成とすることで、支柱43が傾くことを防ぐことが可能となる。
更には、リング42は第1の部材82や第2の部材83よりも熱伝導性の低い材質であるため、第1の部材82や第2の部材83で構成されるフランジ47aからの局所的な熱逃げを防ぐことができる。したがって、基板載置面に載置された基板を再現性良く加熱することができる。
【0031】
次に、図9を用いて基板載置台44aの製作方法について説明する。基板載置台44bの製作方法も、基板載置台44aの製作方法と同様である。ここでは、説明の便宜上、フランジ47aの形成方法を省略する。
まず、図9(a)に示すように、ヒータを内蔵するヒータパイプ91をセラミックス製のセラミックスボード92で挟み込み、これを容器95の中に入れる。セラミックスボード92は多孔質であり、例えば空孔率が80%程度である。セラミックスボード92の寸法は、完成形の基板載置台44aの寸法よりも小型にしておく。
次に、図9(b)に示すように、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下の溶融アルミニウム93を、容器95の中に流し込む。溶融アルミニウム93は、シリコンとアルミニウムの合金を溶融させたものであり、前述したように、シリコンの割合が4wt%以上であることが好ましい。
【0032】
次に、図9(c)に示すように、溶融アルミニウム93を加圧し、セラミックスボード92中に溶融アルミニウム93を含浸する。加圧する理由は、溶融アルミニウム93を容器95中に流し込むだけでは、セラミックスボード92中に十分含浸しないためである。加圧することにより、溶融アルミニウム93から形成されるシリコンとアルミニウムの合金中に「巣」と呼ばれる空孔が発生することを抑制できる。
以上の工程により、セラミックスボード92の周囲は、溶融アルミニウム93から形成されるシリコンとアルミニウムの合金である第2の部材83により覆われる。次に、セラミックスボード92の周囲を覆ったシリコンとアルミニウムの合金を、切削加工等により、2〜10mm程度の厚さに加工する。セラミックスボード92の寸法は、基板載置台44aの寸法よりも小型なので、基板載置台44aの表面に、セラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材82が露出することを防ぐことができる。
【0033】
以上説明した方法により、ヒータの周囲をセラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材で覆い、さらに、第1の部材の周囲を、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下のアルミニウム合金である第2の部材で覆うことができるので、温度均一性と経済性に優れ、例えば470℃まで昇温可能な基板載置台を実現することが容易となる。
この方法で製作した基板載置台で温度サイクルテストを実施したところ、従来のアルミ合金製の基板載置台にみられる変色やシワの発生はみられなかった。この温度サイクルテストは、450℃に昇温した後200℃に降温し再び450℃に昇温するサイクルを繰り返すもので、450℃→200℃→450℃のサイクルを40サイクル行った。
【0034】
次に、ロボットアーム70が基板22を搬送する動作及び本実施形態における半導体装置の製造方法の一工程としての基板処理方法について、図10ないし図12を用いて説明する。
図10から図12において、ロボットアーム70が基板22を搬送する経過が示されている。なお、図10から図12においては、ロボットアーム70等の動作を明確にするために、基板22は図示されていない。
まず、図10に示すように、真空ロボット36のフィンガ対38の上フィンガ38a及び下フィンガ38bは、それぞれ基板を搬送室12からチャンバ50内に搬送(2枚の基板22を同時搬送)し、基板載置台44aの上方で停止する。
この時、ロボットアーム70のフィンガ72は、基板載置台44aの上方で2枚の基板22の間に位置するように待機させられている。
【0035】
そして、フィンガ対38が停止した状態で、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74と、ロボットアーム70とが上方に移動する。ここで、下フィンガ38bに載置されていた基板22は、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74に移載され、上フィンガ38aに載置されていた基板22は、フィンガ72に移載される。2枚の基板22が移載されたフィンガ対38は、搬送室12に戻される。
【0036】
次に、図11に示すように、ロボットアーム70は、軸部71が回転することにより、フィンガ72が基板載置台44bの上方に移動する。
そして、図12に示すように、フィンガ72の突起部72bそれぞれが基板載置台44bの溝部76に沿って上方から下方へ移動し、基板載置台44bを貫通している3つの基板保持ピン74に基板22を受け渡す。
【0037】
その後、ロボットアーム70のフィンガ72は、基板載置面46bよりも下方に移動する。ロボットアーム70のフィンガ72が下方に移動すると、基板載置台44aを貫通している3つの基板保持ピン74及び基板載置台44bを貫通している3つの基板保持ピン74が下方に移動し、下フィンガ38bが搬送した基板22と上フィンガ38aが搬送した基板22は、それぞれ基板載置面46aと46b上に略同じタイミングで載置される。
また、ロボットアーム70は、ガス供給部51a,51bから供給されるガスが上方から下方へ流れることを阻害しない状態で、基板22の処理中にもチャンバ50内に位置する。
【0038】
各基板載置面46に載置された基板22は、ヒータ45a,45bによって所望の温度、例えば470℃に加熱される。
基板の加熱処理と並行して、処理ガスをガス供給部51a,51bから供給する。処理ガスとしては、例えば窒素(N2)ガスを供給する。供給された処理ガスの雰囲気にて、基板22が加熱され、所定の熱処理がなされる。
【0039】
所定の熱処理が終了したら、チャンバ50内から2枚の基板22を搬送室12へ搬送する。この場合、ロボットアーム70及びフィンガ対38は、図10から図12を用いて説明した動作を逆の順序で行う。
【0040】
以上説明した実施形態によれば、少なくとも次の(1)〜(7)の効果を得ることができる。
(1)処理室内で基板を載置する基板載置台を加熱する場合に、第1の部材中のセラミックスにより基板載置台の熱変形を抑制できるので、基板を再現性よく加熱することができる。また、第2の部材により第1の部材中のセラミックスに起因する金属汚染を抑制することができる。
(2)第2の部材は、シリコンとアルミニウムの混合材料によって形成されているので、表面変色による放射率変化と結晶化によるシワの発生を抑制することができ、基板載置台の変形を抑制できるので、基板を再現性よく加熱することができる。
(3)第2の部材は、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下であるので、シリコンの局所的な析出を抑制できる。
(4)第2の部材の厚さを2〜10mmの範囲としているので、第1の部材との熱膨張差の影響を小さくでき、加工性をよくすることができる。
(5)第1の部材や第2の部材は、その底面の少なくとも周囲を、第1の部材や第2の部材よりも熱変形の小さい第3の部材であるステンレスにより支持されているので、第1の部材や第2の部材の熱変形をさらに抑制することができる。
(6)第1の部材や第2の部材は、その底面の少なくとも周囲を、第1の部材や第2の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材であるステンレスにより支持されているので、第3の部材を介する局所的な熱逃げを抑制でき、基板を均一に加熱することができる。
(7)上述の基板載置台の製造方法により、発熱体の周囲をセラミックスとアルミニウムの複合材である第1の部材で覆い、さらに、第1の部材の周囲を、セラミックス成分の含有率が第1の部材よりも低い第2の部材で覆う基板載置台を実現することが容易となる。
【0041】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
前記実施形態では、第2の部材は、第1の部材を囲繞するように構成したが、処理室内に供給された処理ガスに晒される基板載置台の部位のみを覆うように構成することもできる。このように構成すると、金属汚染の抑制は前記実施形態よりやや低下するが、基板載置台の製作が容易となる。
また、前記実施形態においては、ウエハ等の基板に処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0042】
本明細書の記載には、少なくとも次の発明が含まれる。
第1の発明は、
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【0043】
第2の発明は、前記第1の発明に記載された基板載置台であって、
前記第2の部材は、シリコンとアルミニウムの混合材料によって形成されている基板載置台。
【0044】
第3の発明は、前記第2の発明に記載された基板載置台であって、
前記第2の部材は、シリコンの割合がシリコンとアルミニウムの共晶点である11.7wt%以下である基板載置台。
【0045】
第4の発明は、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【0046】
第5の発明は、前記第4の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第2の部材は、少なくとも前記処理室内に供給された処理ガスに晒される前記基板載置台の部位を覆うものである基板処理装置。
【0047】
第6の発明は、前記第4の発明又は第5の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱変形の小さい第3の部材により支持されている基板処理装置。
【0048】
第7の発明は、前記第4の発明又は第5の発明に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材により支持されている基板処理装置。
【0049】
第8の発明は、
発熱体を、セラミックス材料で挟み込む発熱体挟み込みステップと、
前記発熱体を挟み込んだセラミックス材料を、溶融アルミニウム中に浸すアルミニウム浸漬ステップと、
前記溶融アルミニウム中に浸したセラミックス材料に対し、溶融アルミニウムを加圧して含浸させるアルミニウム含浸ステップと、
を備える基板載置台の製造方法。
【0050】
第9の発明は、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0051】
10…基板処理装置、12…搬送室、14a,14b…ロードロック室、16a,16b…処理室、20…大気搬送室、22…基板、24…基板支持体(ボート)、24a…支柱、24b…載置部、24c…上部板、24d…下部板、36…真空ロボット、37…アーム、38…フィンガ対、38a…上フィンガ、38b…下フィンガ、42…リング、42a…挿入口、43…支柱、43a…段差、43b…凸部、44a,44b…基板載置台、45a,45b…ヒータ、46a,46b…基板載置面、47a,47b…フランジ、48…仕切り部材、49…装置本体、50…チャンバ、51a,51b…ガス供給部、52…固定部材、53a,53b…蓋、54a,54b…排気バッフルリング、56…孔部(第1の排気口)、58…第1の排気空間、60…第2の排気口、62…第3の排気口、70…ロボットアーム、71…軸部、72…フィンガ、72a…弧状部、72b…突起部、74…基板保持ピン、76…溝部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【請求項2】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材により支持されている基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項1】
発熱体と、
セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、
アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成され、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第2の部材の一面には基板を載置する載置面を備える基板載置台。
【請求項2】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備えた基板処理装置であって、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された基板処理装置であって、
前記第1の部材は、その底面の少なくとも周囲を、前記第1の部材よりも熱伝導率の低い第3の部材により支持されている基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気するガス排気部と、
前記処理室内に設けられる基板載置台とを備え、
前記基板載置台は、発熱体と、前記発熱体を囲繞する第1の部材と、前記第1の部材の表面を被覆する第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、セラミックスとアルミニウムを含む材料によって形成され、
前記第2の部材は、アルミニウムを含みセラミックス成分の含有率が前記第1の部材よりも低い材料によって形成される基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を搬入して前記基板載置台に基板を載置する工程と、
前記発熱体により基板を加熱する加熱工程と、
前記ガス供給部から前記処理室に処理ガスを供給するガス供給工程と、
前記ガス排気部により前記処理室内からガスを排気する排気工程と、
前記処理室内から基板を搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−8949(P2013−8949A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−107668(P2012−107668)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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