基礎の施工方法
【課題】型枠支保および脱型不要の基礎の施工方法を提供する
【解決手段】基礎の施工方法は、基礎の予定地を溝10状に掘削し、溝10内の所定の位置に、第1の面21aと、第1の面21aに直交する方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に第1の面21a、21b間の距離を調整可能に、且つ、第1の面21aが溝10の底面と交わる方向に向くように設置し、2個のブロックのうちのいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロック45を載置し、2個のブロック20,21のそれぞれの第1の面21a,21bによって囲まれた部分および型枠状ブロック45の空間部にコンクリート50を打設することによって基礎を構成する。
【解決手段】基礎の施工方法は、基礎の予定地を溝10状に掘削し、溝10内の所定の位置に、第1の面21aと、第1の面21aに直交する方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に第1の面21a、21b間の距離を調整可能に、且つ、第1の面21aが溝10の底面と交わる方向に向くように設置し、2個のブロックのうちのいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロック45を載置し、2個のブロック20,21のそれぞれの第1の面21a,21bによって囲まれた部分および型枠状ブロック45の空間部にコンクリート50を打設することによって基礎を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎の施工方法に関し、特に、施工が容易でかつ型枠支保および脱型が不要な基礎の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎の施工方法が、たとえば、特開2003−268783号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、スペーサブロックを準備し、スペーサブロックを用いて型枠を保持し、型枠内にコンクリートを打設した後、脱型して基礎を構成していた。
【特許文献1】特開2003−268783号公報(段落番号0006等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の基礎の施工方法は上記のように行なわれていた。スペーサブロックを用いて型枠を保持し、型枠内にコンクリートを打設した後、脱型して基礎を構成していたため、基礎の施工のために、型枠の準備や脱型作業が必要であり、多くの手間がかかるという問題があった。
【0004】
この発明は、上記のような従来の課題に鑑みてなされたもので、施工の容易な基礎の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る基礎の施工方法は、基礎の予定地を溝状に掘削し、掘削した溝内の所定の位置に、第1の面と、第1の面から交わる方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に第1の面間の距離を調整可能に、且つ、第1の面が溝の底面と交わる方向に向くように設置し、2個のブロックのうちの少なくともいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、2個のブロックのそれぞれの第1の面によって囲まれた部分および型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成する。
【0006】
好ましくは、突出部は、第1の面の反対側において第1の面と同じ高さまで延在する接続部を有し、第1の面間の距離の調整は、2個のブロックの接続部間の距離を調整することによって行われる。
【0007】
さらに好ましくは、接続部間の距離の調整は、接続部間をスペーサで固定することによって行う。
【発明の効果】
【0008】
溝内に2つのブロックを設置し、その上に縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、2つのブロックの第1の面で囲まれる部分および型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成するため、2つのブロックの第1の面および型枠状ブロックが型枠として機能する。したがって、型枠の準備や脱型作業が不要になる。
【0009】
その結果、施工の容易な基礎の施工方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態に係る基礎の施工方法を、図面を参照して説明する。図1〜図3、図7および図8は基礎の施工方法を順に示す図である。
【0011】
まず、図1に示すように、基礎を設ける位置に溝10を掘削する。ついで、溝10の底部を転圧して捨てコン11を打設し、捨てコン11の所定の位置に基礎型枠を位置決めするための地墨12a,12bを打つ(図2)。なお、捨てコン11は無くても良いが、捨てコン11を打設し、地墨12a,12bを打てば後で基礎型枠が並べやすくなる。
【0012】
次に図3に示すように、捨てコン11の上の地墨12a,12bに沿って、フーチングブロック20a,20bを平行に図中奥方向に連続して並べる。このフーチングブロック20a,20bについて図4を参照して説明する。図4は、並行に並べられたフーチングブロック20a,20bを示す斜視図である。ここでは、フーチングブロック20a,20bを一対のみ示しているが、実際は基礎の長さ分だけ溝に沿って長手方向に複数設ける。
【0013】
フーチングブロック20a,20bはともに同じ形状を有しているため、以下では、一方のブロック20aについて説明する。図4を参照して、フーチングブロック20aは、第1の面21aと、第1の面21aから直交する方向に突出した3つの突出部22a,22b,22cと、3つの突出部22a,22b,22cのそれぞれの端部に第1の面21aに設けられた接続部23a、23b,23cを有する。接続部23a、23b,23cは、第1の面21aに平行に設けられた第2の面24a,24b,24cを有する。これらの同一形状の2個のブロック20a,20bはそれぞれの第1の面21a,21bが逆方向を向くように配置され、その間の距離が、スペーサ16で、それぞれの第2の面間の距離が保持されることによって保たれる。
【0014】
図5はスペーサを示す平面図である。図5(A)を参照して、スペーサ16は、鋼線またはプラスチックで構成され、矩形状のリングになっている。このリングの両端部で2個のブロック20a,20bの接続部23a、23cを保持することによって、2個のブロック20a,20bの間の距離を保持する。
【0015】
図5(B)は、スペーサの他の例を示す図である。この例ではスペーサ17は、横方向に延びる横部材17aと、横部材17aに対して縦方向に延びる4つの縦部材17b〜17eを含む。縦部材17bと17c、および、17dと17eとはそれぞれ凹部を形成し、それぞれの凹部が、2個のブロック20a,20bの接続部23a,23cを保持することによって、2個のブロック20a,20bの間の距離が保持される。このように2個のブロック20a,20bの間の距離がスペーサ16または17で保持されたものを以下では基礎ブロック40という場合がある。
【0016】
図6(A)は、図4に示したフーチングブロック20aの変形例を示す平面図であり、図6(B)は、図6(A)を矢印B-B方向から見た矢視図である。図6を参照して、この変形例では、第1の面21aから直交する方向に突出した3つの突出部22a,22b,22cにはそれぞれ、接続部23a,23b,23cの途中でその突出寸法を変えるための、溝部28a,28bおよび28cを有している。
【0017】
通常、フーチングブロック20a,20bは高さが約150mm〜200mmで、長手方向の寸法は約400mmである。これらのブロックをその第2面24aを対向して配置すると、最も大きい場合は240mm×2=480mmとなる。このような幅は基礎として大きすぎる場合がある。そこで、ここでは、接続部23a〜23cは、途中の溝部28a,28bおよび28cの任意の位置で切断可能であり、この切断位置を任意に選択することによって対向するブロック20bとの間隔を任意に設定可能とする。なお、この図6においては、突出部22a〜22cと接続部23a〜23cとの幅寸法を同じ寸法としている。なお、この接続部にスペーサ16または17が取付けられるのは、先の実施の形態と同様である。
【0018】
図3に戻って、並行に並べられたブロック20a,20bの長手方向に、L字状の鉄筋31を取付ける。L字状の鉄筋31は、垂直上方に延びる縦筋部31aと横方向に延びる横筋部31bとを含む。L字状の鉄筋31は、この横筋部31bをスペーサ16で吊ることによって取付ける。このように、L字状の鉄筋31をスペーサ16で吊り下げるようにして配筋するため、配筋を支持するためのスペーサブロックが不要になり、鉄筋がさびることがなく、高品質の基礎が施工できる。
【0019】
次に、図7に示すように、ブロック20aの上に、空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロック45を載置する。型枠状ブロック45は、通常のコンクリートブロックであり、相互に反対方向に面している第1および第2の面45a、45bと、第1および第2の面45a、45bを接続するための接続部45cとを含む。型枠状ブロック45は、この接続部45cのほぼ中央を縦筋31aが通るように載置する。このL字状の鉄筋31の縦筋31aおよび横筋31bに沿って、型枠状ブロック45の接続部45cを挟む位置、L字状の鉄筋31の折り曲げ部および2つのブロック20a,20bのほぼ中央部にそれぞれ横方向に延びる横筋33a、33b、33cおよび33dを設ける。
【0020】
次に、この状態で、図7に示すように基礎ブロック40を構成する2つのブロック20a,20bの第1面21aおよび21b間、ならびに、型枠状ブロック45の第1および第2の面45a、45bの間にコンクリート(図中ハッチングで示す)50を打設する。このとき、コンクリート50は、型枠状ブロック45の接続部45cの間からその内部へ入るとともに、基礎ブロック40の内部にも浸透する。この工程において、型枠状ブロック45とフーチングブロック20a,20bとは型枠として機能するため、基礎の施工時に型枠支保を別途設ける必要がない。その結果、溝の掘削量も少なくて済むとともに、施工の容易な基礎の施工方法を提供できる。したがって、隣地との境界の近傍に施工するときでも、隣地側に型枠支保工が不要になる。
【0021】
また、従来の基礎の施工方法では、溝の下部に底盤部分を打設して硬化後、立上り部分を打設するため、底盤部分のコンクリートを打設後にブリージングが起きる。ブリージングが起きれば、必ずレイタンスが発生し、上部との付着が悪くなる。この方法によれば、そのような問題が生じないので、高品質の基礎を築造できる。
【0022】
さらに、従来の基礎の施工方法では、生コンクリートを打設後、その強度が出るまでに1週間から10日程度かかるため、その上への施工はすぐにはできない。これに対して、この実施の形態によれば、プレキャストのフーチングブロックを基礎として使用しているため、従来のような長期の養生は不要となり、型枠状ブロックの上へすぐに積上げることが可能なために、施工時間を短縮できる。
【0023】
その後、図8に示すように、溝10の内部で、基礎ブロック40および型枠状ブロック45以外の部分に、図中点で示すように、土49を埋め戻す。
【0024】
次に、基礎の変形例について説明する。上記実施の形態においては、基礎として、L字状のものを形成したが、ここでは、逆T字状の基礎について説明する。図9は、逆T字状の基礎を示す図である。逆T字状の基礎においても施工方法は基本的には同じである。図9を参照して、逆T字状の基礎の施工においても、ブロック20aおよび20bをその第1面21a,21bが対向して、その間隔が所定の寸法になるようにスペーサ16aで調整して配置し、スペーサ16aで支持されるように、L字状の鉄筋35をブロック20aおよび20bの長手方向に複数取付ける。このとき、L字状の鉄筋35の縦筋35aがブロック20aおよび20bの中央部に立ち上がるように保持する。その後、ブロック20aおよび20bの接続部の上に縦方向に型枠状ブロック45および46を載置する。その後、L字状の鉄筋35とベース筋16bとを接続し、型枠状ブロック45,46の接続部45c,46cをはさんでその上下、L字状の鉄筋35の折り曲げ部近傍、およびベース筋16bの近傍に、横方向に横筋36a〜36gを配筋する。このようにして、逆T字状の基礎を施工する。この場合も、先の実施の形態と同様の効果を奏する。このような逆T字状の基礎は、住宅の基礎等にも使用される。したがって、この場合は、2段目以上に載置される型枠状ブロック45および46としては、化粧ブロックとするのが好ましい。
【0025】
次に、I字状の基礎を施工する方法について説明する。図10は、I字状の基礎を施工する方法を示す斜視図である。この場合も、基本的には図7や図9に示したのと同様に施工する。ただ、ブロック20a,20bの上に載置するされるのは、型枠状ブロックではなく、ブロック20a,20bと同一の形状を有するブロック20c,20dである点だけが異なる。また、この図では、ブロック20a,20bの端面に設けられるL字状鉄筋を省略している。それ以外の部分については同様であるので、その説明は省略する。このようにして、I字状の基礎を施工する。この場合も、先の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0026】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する、図11は、この発明の他の実施の形態を説明するための図であり、図7の変形例である。図11を参照して、この実施の形態においては、図7と異なり、スペーサ16で保持されるL字状鉄筋31だけでなく、それとともに、鋼管杭51が設けられている。鋼管杭51は、先端部が円錐形状であり、上部に開口を有する円筒状で、内部に縦筋52を保持可能である。縦筋52は、鋼管杭51の上端部から外部へ突出している。鋼管杭51の上端部から外部へ突出した部分はブロック塀の縦筋として機能するため、高品質のブロック塀を施工できる。
【0027】
この鋼管杭51が設けられる位置には、所定の深さの穴55が掘削されている。
【0028】
また、上記実施の形態においては、基礎ブロックとしてフーチングブロックを用いた場合について説明したが、これに限らず、同様の形状であれば、任意の形状のものを使用できる。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、縦筋をフーチングブロックの長手方向寸法のピッチで、横筋を型枠状ブロックの接続部を挟むピッチで設けた例について説明したが、これに限らず、任意の位置に設けてもよい。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施の形態に係る基礎の施工手順を示す図において、まず基礎の予定地を溝状に掘削した状態を示す図である。
【図2】溝内に捨てコンを打設した状態を示す図である。
【図3】溝内に基礎ブロックとなるフーチングブロックをならべ、そこにL字状の鉄筋を設けた状態を示す図である。
【図4】基礎ブロックの配置状態を示す斜視図である。
【図5】スペーサを示す図である。
【図6】基礎ブロックとなるフーチングブロックの変形例を示す図である。
【図7】基礎ブロックの上に型枠状ブロックを載置した状態を示す図である。
【図8】基礎ブロックの上に型枠状ブロックを載置してその内部にコンクリートを打設した状態を示す図である。
【図9】逆T字状の基礎を施工する方法を示す図である。
【図10】I字状の基礎を施工する方法を示す図である。
【図11】この発明の他の施工方法を示す側面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 溝、11 捨てコン、12 地墨、16,17 スペーサ、20 フーチングブロック、21 第1の面、22,25 突出部、23 接続部、24,26 第2の面、31 鉄筋、33 横筋、40 基礎ブロック、45,46 型枠状ブロック、50 コンクリート、51 鋼管杭、52 縦筋、55 穴。
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎の施工方法に関し、特に、施工が容易でかつ型枠支保および脱型が不要な基礎の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎の施工方法が、たとえば、特開2003−268783号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、スペーサブロックを準備し、スペーサブロックを用いて型枠を保持し、型枠内にコンクリートを打設した後、脱型して基礎を構成していた。
【特許文献1】特開2003−268783号公報(段落番号0006等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の基礎の施工方法は上記のように行なわれていた。スペーサブロックを用いて型枠を保持し、型枠内にコンクリートを打設した後、脱型して基礎を構成していたため、基礎の施工のために、型枠の準備や脱型作業が必要であり、多くの手間がかかるという問題があった。
【0004】
この発明は、上記のような従来の課題に鑑みてなされたもので、施工の容易な基礎の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る基礎の施工方法は、基礎の予定地を溝状に掘削し、掘削した溝内の所定の位置に、第1の面と、第1の面から交わる方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に第1の面間の距離を調整可能に、且つ、第1の面が溝の底面と交わる方向に向くように設置し、2個のブロックのうちの少なくともいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、2個のブロックのそれぞれの第1の面によって囲まれた部分および型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成する。
【0006】
好ましくは、突出部は、第1の面の反対側において第1の面と同じ高さまで延在する接続部を有し、第1の面間の距離の調整は、2個のブロックの接続部間の距離を調整することによって行われる。
【0007】
さらに好ましくは、接続部間の距離の調整は、接続部間をスペーサで固定することによって行う。
【発明の効果】
【0008】
溝内に2つのブロックを設置し、その上に縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、2つのブロックの第1の面で囲まれる部分および型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成するため、2つのブロックの第1の面および型枠状ブロックが型枠として機能する。したがって、型枠の準備や脱型作業が不要になる。
【0009】
その結果、施工の容易な基礎の施工方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態に係る基礎の施工方法を、図面を参照して説明する。図1〜図3、図7および図8は基礎の施工方法を順に示す図である。
【0011】
まず、図1に示すように、基礎を設ける位置に溝10を掘削する。ついで、溝10の底部を転圧して捨てコン11を打設し、捨てコン11の所定の位置に基礎型枠を位置決めするための地墨12a,12bを打つ(図2)。なお、捨てコン11は無くても良いが、捨てコン11を打設し、地墨12a,12bを打てば後で基礎型枠が並べやすくなる。
【0012】
次に図3に示すように、捨てコン11の上の地墨12a,12bに沿って、フーチングブロック20a,20bを平行に図中奥方向に連続して並べる。このフーチングブロック20a,20bについて図4を参照して説明する。図4は、並行に並べられたフーチングブロック20a,20bを示す斜視図である。ここでは、フーチングブロック20a,20bを一対のみ示しているが、実際は基礎の長さ分だけ溝に沿って長手方向に複数設ける。
【0013】
フーチングブロック20a,20bはともに同じ形状を有しているため、以下では、一方のブロック20aについて説明する。図4を参照して、フーチングブロック20aは、第1の面21aと、第1の面21aから直交する方向に突出した3つの突出部22a,22b,22cと、3つの突出部22a,22b,22cのそれぞれの端部に第1の面21aに設けられた接続部23a、23b,23cを有する。接続部23a、23b,23cは、第1の面21aに平行に設けられた第2の面24a,24b,24cを有する。これらの同一形状の2個のブロック20a,20bはそれぞれの第1の面21a,21bが逆方向を向くように配置され、その間の距離が、スペーサ16で、それぞれの第2の面間の距離が保持されることによって保たれる。
【0014】
図5はスペーサを示す平面図である。図5(A)を参照して、スペーサ16は、鋼線またはプラスチックで構成され、矩形状のリングになっている。このリングの両端部で2個のブロック20a,20bの接続部23a、23cを保持することによって、2個のブロック20a,20bの間の距離を保持する。
【0015】
図5(B)は、スペーサの他の例を示す図である。この例ではスペーサ17は、横方向に延びる横部材17aと、横部材17aに対して縦方向に延びる4つの縦部材17b〜17eを含む。縦部材17bと17c、および、17dと17eとはそれぞれ凹部を形成し、それぞれの凹部が、2個のブロック20a,20bの接続部23a,23cを保持することによって、2個のブロック20a,20bの間の距離が保持される。このように2個のブロック20a,20bの間の距離がスペーサ16または17で保持されたものを以下では基礎ブロック40という場合がある。
【0016】
図6(A)は、図4に示したフーチングブロック20aの変形例を示す平面図であり、図6(B)は、図6(A)を矢印B-B方向から見た矢視図である。図6を参照して、この変形例では、第1の面21aから直交する方向に突出した3つの突出部22a,22b,22cにはそれぞれ、接続部23a,23b,23cの途中でその突出寸法を変えるための、溝部28a,28bおよび28cを有している。
【0017】
通常、フーチングブロック20a,20bは高さが約150mm〜200mmで、長手方向の寸法は約400mmである。これらのブロックをその第2面24aを対向して配置すると、最も大きい場合は240mm×2=480mmとなる。このような幅は基礎として大きすぎる場合がある。そこで、ここでは、接続部23a〜23cは、途中の溝部28a,28bおよび28cの任意の位置で切断可能であり、この切断位置を任意に選択することによって対向するブロック20bとの間隔を任意に設定可能とする。なお、この図6においては、突出部22a〜22cと接続部23a〜23cとの幅寸法を同じ寸法としている。なお、この接続部にスペーサ16または17が取付けられるのは、先の実施の形態と同様である。
【0018】
図3に戻って、並行に並べられたブロック20a,20bの長手方向に、L字状の鉄筋31を取付ける。L字状の鉄筋31は、垂直上方に延びる縦筋部31aと横方向に延びる横筋部31bとを含む。L字状の鉄筋31は、この横筋部31bをスペーサ16で吊ることによって取付ける。このように、L字状の鉄筋31をスペーサ16で吊り下げるようにして配筋するため、配筋を支持するためのスペーサブロックが不要になり、鉄筋がさびることがなく、高品質の基礎が施工できる。
【0019】
次に、図7に示すように、ブロック20aの上に、空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロック45を載置する。型枠状ブロック45は、通常のコンクリートブロックであり、相互に反対方向に面している第1および第2の面45a、45bと、第1および第2の面45a、45bを接続するための接続部45cとを含む。型枠状ブロック45は、この接続部45cのほぼ中央を縦筋31aが通るように載置する。このL字状の鉄筋31の縦筋31aおよび横筋31bに沿って、型枠状ブロック45の接続部45cを挟む位置、L字状の鉄筋31の折り曲げ部および2つのブロック20a,20bのほぼ中央部にそれぞれ横方向に延びる横筋33a、33b、33cおよび33dを設ける。
【0020】
次に、この状態で、図7に示すように基礎ブロック40を構成する2つのブロック20a,20bの第1面21aおよび21b間、ならびに、型枠状ブロック45の第1および第2の面45a、45bの間にコンクリート(図中ハッチングで示す)50を打設する。このとき、コンクリート50は、型枠状ブロック45の接続部45cの間からその内部へ入るとともに、基礎ブロック40の内部にも浸透する。この工程において、型枠状ブロック45とフーチングブロック20a,20bとは型枠として機能するため、基礎の施工時に型枠支保を別途設ける必要がない。その結果、溝の掘削量も少なくて済むとともに、施工の容易な基礎の施工方法を提供できる。したがって、隣地との境界の近傍に施工するときでも、隣地側に型枠支保工が不要になる。
【0021】
また、従来の基礎の施工方法では、溝の下部に底盤部分を打設して硬化後、立上り部分を打設するため、底盤部分のコンクリートを打設後にブリージングが起きる。ブリージングが起きれば、必ずレイタンスが発生し、上部との付着が悪くなる。この方法によれば、そのような問題が生じないので、高品質の基礎を築造できる。
【0022】
さらに、従来の基礎の施工方法では、生コンクリートを打設後、その強度が出るまでに1週間から10日程度かかるため、その上への施工はすぐにはできない。これに対して、この実施の形態によれば、プレキャストのフーチングブロックを基礎として使用しているため、従来のような長期の養生は不要となり、型枠状ブロックの上へすぐに積上げることが可能なために、施工時間を短縮できる。
【0023】
その後、図8に示すように、溝10の内部で、基礎ブロック40および型枠状ブロック45以外の部分に、図中点で示すように、土49を埋め戻す。
【0024】
次に、基礎の変形例について説明する。上記実施の形態においては、基礎として、L字状のものを形成したが、ここでは、逆T字状の基礎について説明する。図9は、逆T字状の基礎を示す図である。逆T字状の基礎においても施工方法は基本的には同じである。図9を参照して、逆T字状の基礎の施工においても、ブロック20aおよび20bをその第1面21a,21bが対向して、その間隔が所定の寸法になるようにスペーサ16aで調整して配置し、スペーサ16aで支持されるように、L字状の鉄筋35をブロック20aおよび20bの長手方向に複数取付ける。このとき、L字状の鉄筋35の縦筋35aがブロック20aおよび20bの中央部に立ち上がるように保持する。その後、ブロック20aおよび20bの接続部の上に縦方向に型枠状ブロック45および46を載置する。その後、L字状の鉄筋35とベース筋16bとを接続し、型枠状ブロック45,46の接続部45c,46cをはさんでその上下、L字状の鉄筋35の折り曲げ部近傍、およびベース筋16bの近傍に、横方向に横筋36a〜36gを配筋する。このようにして、逆T字状の基礎を施工する。この場合も、先の実施の形態と同様の効果を奏する。このような逆T字状の基礎は、住宅の基礎等にも使用される。したがって、この場合は、2段目以上に載置される型枠状ブロック45および46としては、化粧ブロックとするのが好ましい。
【0025】
次に、I字状の基礎を施工する方法について説明する。図10は、I字状の基礎を施工する方法を示す斜視図である。この場合も、基本的には図7や図9に示したのと同様に施工する。ただ、ブロック20a,20bの上に載置するされるのは、型枠状ブロックではなく、ブロック20a,20bと同一の形状を有するブロック20c,20dである点だけが異なる。また、この図では、ブロック20a,20bの端面に設けられるL字状鉄筋を省略している。それ以外の部分については同様であるので、その説明は省略する。このようにして、I字状の基礎を施工する。この場合も、先の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0026】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する、図11は、この発明の他の実施の形態を説明するための図であり、図7の変形例である。図11を参照して、この実施の形態においては、図7と異なり、スペーサ16で保持されるL字状鉄筋31だけでなく、それとともに、鋼管杭51が設けられている。鋼管杭51は、先端部が円錐形状であり、上部に開口を有する円筒状で、内部に縦筋52を保持可能である。縦筋52は、鋼管杭51の上端部から外部へ突出している。鋼管杭51の上端部から外部へ突出した部分はブロック塀の縦筋として機能するため、高品質のブロック塀を施工できる。
【0027】
この鋼管杭51が設けられる位置には、所定の深さの穴55が掘削されている。
【0028】
また、上記実施の形態においては、基礎ブロックとしてフーチングブロックを用いた場合について説明したが、これに限らず、同様の形状であれば、任意の形状のものを使用できる。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、縦筋をフーチングブロックの長手方向寸法のピッチで、横筋を型枠状ブロックの接続部を挟むピッチで設けた例について説明したが、これに限らず、任意の位置に設けてもよい。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施の形態に係る基礎の施工手順を示す図において、まず基礎の予定地を溝状に掘削した状態を示す図である。
【図2】溝内に捨てコンを打設した状態を示す図である。
【図3】溝内に基礎ブロックとなるフーチングブロックをならべ、そこにL字状の鉄筋を設けた状態を示す図である。
【図4】基礎ブロックの配置状態を示す斜視図である。
【図5】スペーサを示す図である。
【図6】基礎ブロックとなるフーチングブロックの変形例を示す図である。
【図7】基礎ブロックの上に型枠状ブロックを載置した状態を示す図である。
【図8】基礎ブロックの上に型枠状ブロックを載置してその内部にコンクリートを打設した状態を示す図である。
【図9】逆T字状の基礎を施工する方法を示す図である。
【図10】I字状の基礎を施工する方法を示す図である。
【図11】この発明の他の施工方法を示す側面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 溝、11 捨てコン、12 地墨、16,17 スペーサ、20 フーチングブロック、21 第1の面、22,25 突出部、23 接続部、24,26 第2の面、31 鉄筋、33 横筋、40 基礎ブロック、45,46 型枠状ブロック、50 コンクリート、51 鋼管杭、52 縦筋、55 穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の予定地を溝状に掘削し、
掘削した溝内の所定の位置に、第1の面と、前記第1の面から交わる方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に前記第1の面間の距離を調整可能に、且つ、前記第1の面が溝の底面と交わる方向に向くように設置し、
前記2個のブロックのうちの少なくともいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、
前記2個のブロックのそれぞれの前記第1の面によって囲まれた部分および前記型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成する、基礎の施工方法。
【請求項2】
前記突出部は、前記第1の面の反対側において前記第1の面と同じ高さまで延在する接続部を有し、前記第1の面間の距離の調整は、前記接続部間の距離を調整することによって行われる。請求項1に記載の基礎の施工方法。
【請求項3】
前記接続部間の距離の調整は、前記接続部間をスペーサで固定することによって行う、請求項2に記載の基礎の施工方法。
【請求項1】
基礎の予定地を溝状に掘削し、
掘削した溝内の所定の位置に、第1の面と、前記第1の面から交わる方向に突出した突出部を有する同一形状の2個のブロックを、相互に前記第1の面間の距離を調整可能に、且つ、前記第1の面が溝の底面と交わる方向に向くように設置し、
前記2個のブロックのうちの少なくともいずれか一方の上に空洞部が縦方向に延びる型枠状ブロックを載置し、
前記2個のブロックのそれぞれの前記第1の面によって囲まれた部分および前記型枠状ブロックの空間部にコンクリートを打設することによって基礎を構成する、基礎の施工方法。
【請求項2】
前記突出部は、前記第1の面の反対側において前記第1の面と同じ高さまで延在する接続部を有し、前記第1の面間の距離の調整は、前記接続部間の距離を調整することによって行われる。請求項1に記載の基礎の施工方法。
【請求項3】
前記接続部間の距離の調整は、前記接続部間をスペーサで固定することによって行う、請求項2に記載の基礎の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−303253(P2007−303253A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135726(P2006−135726)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(391026014)株式会社フジアウテック (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(391026014)株式会社フジアウテック (10)
【Fターム(参考)】
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