説明

基礎施工法

【課題】天候などによって左右されない作業環境を形成し、かかる作業空間内で一連の基礎構築工事を行う。
【解決手段】基礎が構築される敷地Gをテント1で囲繞し、該テント1内で一連の基礎構築工事を行い、基礎型枠8内へのコンクリート打設後、テント1内でコンクリートCの養生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の基礎構築工事において、基礎型枠内にコンクリートを打設する場合などでは通常雨天時を避けて実施している。
又、基礎型枠内に打設したコンクリートは、夏場などでは強い日差しにより短時間で乾燥するため、基礎に収縮乾燥クラック等のひび割れが生じたり、冬場ではコンクリートの固化前に凍結し、所望の強度を得られないなどの不具合を有していた。
かかる不具合を解消するため、例えば特許文献1では、コンクリートを打設した基礎型枠の上方開口部をカバーにて被覆し、これにより外気から基礎型枠内のコンクリートとを遮断して保温し、固化前のコンクリートに雨水や強い日差しなどが当たることを防止して天候に拘らず施工してコンクリートの凍結やひび割れを防止している。
【特許文献1】特開平11−100995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記カバーは、基礎型枠内にコンクリートを打設した後に、基礎型枠の上方開口部を覆う様にしたものであるから、例えば大雨や降雪時では、当然その作業環境の中でコンクリートを打設することはできないといった課題を有している。
そこで、本発明は、天候などによって左右されない作業環境(空間)を形成し、かかる作業空間内で基礎型枠内へのコンクリート打設だけでなく一連の基礎構築工事を行う様にした基礎施工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、基礎が構築される敷地をテントで囲繞し、該テント内で一連の基礎構築工事を行い、基礎型枠内へのコンクリート打設後、テント内でコンクリートの養生を行う。
【発明の効果】
【0005】
要するに本発明は、基礎が構築される敷地をテントで囲繞し、該テント内で一連の基礎構築工事を行うことにより、雨天や降雪時であっても作業を実施できる作業空間を保持でき、一連の基礎構築作業を天候等に左右されず連続的に行える。
しかも、夏場は直射日光を、冬場は寒気を避ける作業環境を形成でき、作業者の負担を軽減でき、作業性をより一層向上できる。
又、テント内で構築途中の地業や基礎等を保護できるので、例えば、基礎型枠内への配筋後にあっても、その基礎型枠等が雨ざらしにならないので、基礎型枠内の鉄筋を錆びつくかせず、コンクリート打設時における鉄筋のコンクリート付着を良好と成し、構築された基礎の強度低下をも阻止できる。
更に、工事中断時においてテントを完全に締め切ることで、建築資材や道具その他の機器の保管場所と成すことができると共に、敷地内の部外者の侵入を阻止できる。
【0006】
そして、基礎型枠内へのコンクリート打設後、テント内でコンクリートの養生を行うことにより、テントが直射日光、風雨等から基礎型枠内のコンクリートを保護し、該コンクリート表面部からの急激な水分の散失を防止し、ひび割れ等の発生を防止できる。
又、コンクリートの養生は、必要に応じ送風機や加湿器等を用いてテント内を適度な温度及び湿度に保持して湿潤養生したり、冬場ではテントを締め切ることでテント内を保温して基礎型枠内に打設されたコンクリートの凍結を防止し、この際にも必要に応じてテント内をジェットヒータ等で給熱して給熱養生するなどして、テント内を基礎構築工事を行う時期や外部環境に応じコンクリートにとって適正な養生環境と成すことにより効果的なコンクリート基礎の養生を行うことができる等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る基礎施工法では、先ず、図1に示す様に、住宅等の建築現場において基礎が構築される敷地Gをテント1で囲繞する。
【0008】
テント1のフレーム2は、図1にその一例を示す様に、左右に傾斜した山型状の垂木材3と、該垂木材3の下端の夫れに垂下連結した支柱4とから成る切妻形枠材5を複数並設し、隣接する切妻形枠材5の垂木材3間に複数の桁材6を架設している。
尚、テント1のフレーム2は上記構成に限定されないが、上記構成のフレーム2では敷地Gの囲繞空間内に垂木材3を支える間柱が立ち並ぶことがないため、設置されたテント1内で行う作業を妨げることがなく、又フレーム2の形成も比較的簡単に行えるのでより良い。
【0009】
そして、フレーム2が形成された後には、切妻形枠材5間とフレーム2の切妻側の夫れにテント幕材7を張設する。
テント幕材7において、テント1の切妻側及び軒側に当たる部位は、垂幕7aとして開閉可能に形成されており、工事内容に応じ垂幕7aを捲し上げてテント1の適所を開口(図示せず)し、建築資材、道具等の搬出入口や作業者の出入口としたり、通気口として利用される。
【0010】
上記の様に、テント1が形成された後に、該テント1内で一連の基礎構築工事を行う。 即ち、基礎を築くために敷地Gの地盤を掘り下げる根切工事、地盤の支持力を大きくするため根切底に砂利や石を敷きならべて突き固め、その上に捨てコンクリートを打設する地業工事、捨てコンクリート上に基礎型枠8を組立てる型枠工事、組立られた基礎型枠8内に鉄筋を配筋する鉄筋工事、配筋された基礎型枠8内にコンクリートCを打設するコンクリート工事を順次に行う。
【0011】
この様に、テント1内で一連の基礎構築工事を行うことにより、雨天や降雪時においても作業を行えると共に、テント1のもとでは夏場は強い日差しを避け、冬場は寒気を避けられ、作業者にとって良好な作業環境となる。
尚、作業する季節や天候、工事内容、その他の諸条件に応じ、テント1の各垂幕7aを完全に締め切ったり、一部又は全部の垂幕7aを開放し、テント1内を適切な作業環境と成している。
又、工事の中断時には、テント1の全垂幕7aを完全に締め切ることにより、テント1内を道具や建築資材等の保管スペースとしたり、部外者等の敷地G内への侵入を阻止する。 特にコンクリート工事前の基礎型枠8内に配筋された鉄筋は、テント1によって雨露などから保護されるので、その鉄筋に錆が発生するのを防止する。
【0012】
コンクリート工事後、テント1内でコンクリート基礎の養生を行う。図2にはその養生の一例を示す。
テント1は、日除け、風雨除けと成り、直射日光、風雨等から基礎型枠8内に打設されたコンクリートCを保護し、コンクリートC表面部からの急激な水分の散失を防止し、ひび割れ等の発生を防止する。
【0013】
尚、必要に応じ図示しない送風機や加湿器を用いてテント1内を適度な温度及び湿度に保持して湿潤養生する。
特に、冬場では全垂幕7aを締め切ることでテント1内を保温して基礎型枠8内のコンクリートCの凍結を防止する。
この際にも必要に応じてテント1内に図示しないジェットヒータ等で給熱して給熱養生する。
この様に、テント1内を基礎構築工事を行う時期や外部環境に応じコンクリートCにとって適正な養生環境とする。
【0014】
コンクリートCの養生期間を経た後は、基礎型枠8を取り外す脱型作業を行い、取り外した基礎型枠8をテント1内から搬出し、その後にテント1を解体して基礎構築工事を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】敷地をテントで囲繞した状態を示す斜視図である。
【図2】テント内におけるコンクリート基礎の養生の一例を示す簡略斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 テント
8 基礎型枠
C コンクリート
G 敷地


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎が構築される敷地をテントで囲繞し、該テント内で一連の基礎構築工事を行うことを特徴とする基礎施工法。
【請求項2】
基礎型枠内へのコンクリート打設後、テント内でコンクリートの養生を行うことを特徴とする請求項1記載の基礎施工法。


【図1】
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【図2】
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