基質プレート取り付け枠
【課題】着生基盤に多数の気質プレートを短時間で取り外し可能に取り付けることができるようにする。
【解決手段】多数の基質プレート2を並べて収納可能にした下枠7と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片23を有する上枠8とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にした。
【解決手段】多数の基質プレート2を並べて収納可能にした下枠7と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片23を有する上枠8とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海中にあって表面に海藻を繁殖させる海藻繁殖用の基質プレートを着生基盤に取り付けるための基質プレート取り付け枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海藻を繁殖させる方法として、あらかじめ海藻繁殖用の基質プレート(以下単に基質プレートという)を着生基盤に取り付けて海中に設置して、上記基質プレートに藻類の卵や若い配偶体を着生した後に、着生基盤ごと作業船上に引き上げ、この作業船上で基質プレートを着生基盤から取り外して、これを藻場造成礁に取り付けるという方法がとられている。そして従来の基質プレートは、それぞれ個々にボルト等の取付け具にて着生基盤に取り付けるようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の着生時の基質プレートは、個々に着生基盤にボルト等に取り付けられるようになっていたため、多数の基質プレートを着生基盤より取り外すのに長時間を要し、これを藻場造成礁に取り付けるまで長時間にわたって空気にさらされ、この間に折角表面に着生した上記藻類の卵や若い配偶体に悪影響を及ぼしてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上記したことに鑑みなされたもので、着生基盤に多数の基質プレートを短時間で取り外し可能に取り付けることができるようにした取り付け枠を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る基質プレート取り付け枠は、多数の基質プレートを並べて収納可能にした下枠と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片を有する上枠とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にした構成になっている。
【0006】
そして上記構成における基質プレート取り付け枠において、下枠に複数の基質プレートを並べて収納できる小枠を複数設け、上枠に上記下枠の各小枠に対向し、かつ周囲に押さえ片を有する複数の小枠を設けた構成にした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多数の基質プレートを着生基盤に対して簡単に取り付け、取り外しを行うことができる。そして特に、取り外しを一度に簡単に行うことができることにより、基質プレートの着生基盤から取り外して藻場造成礁への取り付けに要する時間を短縮することができ、基質プレートに着生した藻類の卵や若い配偶体に悪影響を与えることなく、この基質プレートの藻場造成礁への移植を行うことができ、この藻場造成礁での良好な海藻類の繁茂を期待することができる。
【0008】
そして基質プレート取り付け枠を構成する下枠及び上枠に、複数(少数)の基質プレートが入る小枠を複数設けたことにより、この取り付け枠内への基質プレートの出し入れが容易であると共に、各基質プレートを収まりよく枠内に収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る基質プレート取り付け枠1を用いて多数の基質プレート2を着生基盤3上に取り付けた状態を示す平面図、図2は図1のA矢視図である。
【0010】
上記着生基盤3は、例えば正方形に成形されたコンクリート板にて構成されており、基質プレート取り付け枠(以下これを単に取り付け枠という)1は、この着生基盤3の例えば相似形で略1/4の大きさになっていて、この着生基盤3上に4組の取り付け枠1が整然と並べて取り付けられるようになっている。なお上記着生基盤3には、この取り付け枠1をボルトにて取り付けるためのナット部材があらかじめ所定の位置にインサートされている。着生基盤3の上面の4個所に吊り環4が突設してあり、上記各取り付け枠1にはこの吊り環4が上方へ突出するための穴5が設けてある。
【0011】
上記基質プレート2は従来一般的に用いられているもので、コンクリート等にて成形されている。そしてこれの形状及び大きさは特に限定されるものではないが、これの形状及び大きさは上記取り付け枠1の構成に関係するので、その一例を示すとこの実施の形態での基質プレート2は、図3、図4に示すように一辺がW、高さがHの正方形であるものとする。そしてこの基質プレート2の中央部には、これを後述する藻場造成礁にボルトにて取り付けるためのボルト孔6が設けてある。
【0012】
上記取り付け枠1は下枠7と上枠8とからなっており、図5から図7に下枠7を、また図8から図10に上枠8をそれぞれ示す。
【0013】
図5から図7において、下枠7は正方形の底板10の上面の周囲に下周壁11が設けてあり、この下周壁11の内側に下横桟12と下縦桟13とにより、上記基質プレート2が複数、例えば3個ずつ入る下小枠14が複数、例えば6個ずつ2列に並べて設けてある。すなわち、この下小枠14の幅は基質プレート2の幅Wよりわずかに大きくなっていると共に、これの長さは上記幅Wの整数倍の寸法よりわずかに大きい長さになっている。上記底板10の四辺部には下フランジ15が設けてあり、この各フランジ15に取り付け穴16が設けてある。また、上記下小枠14の1つに着生基盤3に設けた吊り環4が貫通する抜き穴17が設けてある。上記下フランジ15に設ける取り付け穴16は、上記した着生基盤3にあらかじめインサートされているナット部材に対応する位置に設けられる。
【0014】
図8から図10において、上枠8は上記下枠7の下周壁11と同一形状に設けた上周壁18の内側に、下枠7の下横桟12及び下縦桟13に対応する上横桟19及び上縦桟20が設けてあり、これらにより上記下枠の各下枠14に対応する上小枠21が形成されている。
【0015】
上記上周壁18の上端部は、図10に示すように内側へ折れ曲がる逆L字状になっており、また上横桟19及び上縦桟20の上端部は、図10に示すようにT字状になっていて、上記各上小枠21を囲む壁の上縁には押さえ片23が設けられている。
【0016】
この上枠8の上周壁18の四辺部には、上記下枠7の下フランジ15に対応する上フランジ22が設けてあり、この上フランジ22の上記下フランジ15の取り付け穴16に対応する位置にボルト貫挿筒24が固着してある。
【0017】
この上枠8の1つの小枠のうち、上記下枠7の吊り環用の抜き穴17に対応する小枠21aには、仕切り板25aにて上記抜き穴17に対応する空間25が設けてある。そしてこの下枠7の抜き穴17と上枠8の空間25により図1に示した取り付け枠1の穴5を構成するものである。上記小枠21aの大きさは、整数(2個)の基質プレート2が入る大きさにしてある。
【0018】
上記下枠7の深さ、すなわち床板10から下周壁11の先端までの寸法d1と、上枠8の深さ、すなわち上枠8の上周壁18の下端から押さえ片21aの下面までの寸法d2とを加えた寸法は、上記基質プレート2の高さHより小さくなっている。
【0019】
上記取り付け枠1を構成する下枠7及び上枠8は鋼材にて構成されるが、ボルトと共に耐食性を有するステンレス鋼が望ましい。また、プラスチックであっても良い。また、下枠7の各小枠14の底板上と上枠8の押さえ片23の下面に緩衝用の薄いゴム板を貼り付けてもよい。
【0020】
なお、着生基盤3を吊り上げるための吊り環4が着生基盤4の側端面に設けられる場合には、下枠7及び上枠8の上記吊り環4が突出するための抜き穴17及び空間25が不要となり、この部分の小枠を広くすることができる。
【0021】
上記構成の取り付け枠1を用いて多数の基質プレート2を着生基盤3に取り付ける手順を図11を用いて以下に説明する。
【0022】
まず、1組の取り付け枠1の下枠7を着生基盤3の所定の位置、この実施の形態では1/4の隅部に載置される。このとき取り付け枠1のフランジ15に設けたボルト穴16を着生基盤3にあらかじめインサートしてあるナット部材3aに対応させておく。またこのとき着生基盤3の吊り環4は、底板10に設けた抜き穴17より突出させる。
【0023】
次に、上記下枠7の各下小枠14に基質プレート2を3個ずつ入れる。まお、抜き穴17を設けた下小枠には吊り環4をよけて2個入れる。
【0024】
その後、上枠8を上記下枠7上に重ねる。このとき上枠8の上横桟19と上縦桟20を下枠7の各桟12,13に対向させる。これにより図12に示すように、この上枠8の各桟19,20は、下枠7の各下小枠14に入っている小枠ごとの各基質プレートの間に入ると共に、各基質プレートの上面の一部が上枠の押さえ片23にて押さえられる。この状態で上枠8のボルト貫挿筒24よりボルト26を挿入し、下枠7の取り付け穴16を貫通させ、着生基盤3のナット部材3aに螺合することにより、下枠7と上枠8からなり、かつこれの間に多数の基質プレート2を挟持した取り付け枠1が着生基盤3に装着される。
【0025】
なお、このときにおいて上枠8の中央部が浮き上がって、下枠7内の基質プレート2の上面から離隔すると、この部分の基質プレート2が離脱する恐れがある。そのため、例えば図5に示すように下枠の中央部、この場合吊り環4用の抜き穴17を設けた部分にねじ孔27を設け、一方上枠8の中央部の、このねじ孔27に対応する位置にボルト孔28を設け、この部分において下枠7と上枠8とをボルトにて結合するようにしてもよい。
【0026】
このようにして、上記着生基盤3の他の部分に順次取り付け枠1を基質プレート2を挟持した状態で装着する。そしてこれの全面に上記取り付け枠1を装着した状態で着生基盤3に設けた吊り環4にロープを掛けてクレーンで吊り上げてこれを海中に浸漬する。
【0027】
上記着生基盤3が所定時間海中に浸漬されていることにより上記基質プレート2の表面に藻類の卵や若い配偶体などが着生する。そしてこれが所定以上着生した状態で着生基盤3を船上等に引き上げて、この着生基盤3から基質プレート2を取り外す。このとき、ボルト26を外して上枠8を外すことにより、取り付け枠1内にある全ての基質プレート2が自由状態となって、各基質プレート2をまとめて自由に取り出すことができる。
【0028】
このように取り出した各基質プレート2は、図13に示すように藻場造成礁29の表面に、基質プレート2のボルト孔6を貫通するボルトにて1個1個取り付ける。そしてこの藻場造成礁29を、海藻の育成に適した場所の海底に沈設する。
【0029】
このときにおいて上記したように各基質プレート2は、これに設けたボルト孔26に貫通するボルトにて藻場造成礁29に取り付けられるが、海中にあって波浪や潮流によって基質プレート2が振動してボルトと干渉することにより、この基質プレート2が破損することがある。これを防止するためには、図3、図4に示すように、基質プレート2のボルト孔6の内面にビニールチューブ等緩衝作用をする保護管30をボルトと共に挿入、あるいはあらかじめ基質プレート2の成形時にインサートしておけばよい。
【0030】
上記した実施の形態では、取り付け枠1を構成する下枠7と上枠8とはボルト26による共締めにて着生基盤3に取り付けるようにしたが、下枠7を先に着生基盤3に固着してから、この下枠7に上枠8を他のボルトにて取り付けるようにしてもよい。このようにすることにより下枠7は、常時着生基盤3に取り付け状態となり、取り付け枠1に対する基質プレートプレート2の出し入れが、上枠8の着脱だけで行うことができる。
【0031】
また上記した実施の形態では、下枠7に基質プレート2を複数個ずつ、例えば3個ずつ入れる下小枠14を複数設けたことにより、取り付け枠1内の基質プレート2の出し入れを、これがばらばらになることなく容易に行うことができると共に、各基質プレート2をおさまりよく収納できる。
【0032】
また上記した実施の形態では、取り付け枠1を構成する下枠7と上枠8のそれぞれに基質プレート2を複数(少数)ずつ入れる小枠14,21をそれぞれ上下に対向させて複数設けた例を示したが、この実施の形態に限定されないことはもちろんである。
【0033】
例えば、下枠7に小枠を設けず、下枠全体に基質プレート2を並べ、上枠8にこの各基質プレート2の上面の一部を押さえる押さえ片を格子状に設けるようにしてもよい。
【0034】
上記実施の形態では、多数の基質プレート2をまとめて取り付け枠1にて着生基盤3に取り付けることができる。そしてこれの着生基盤3に対する取り付け及び取り外しが、取り付け枠1の下枠7と上枠8、あるいは上枠8の着脱によって一度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る基質プレート取り付け枠の使用状態を示す平面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】本発明を適用する基質プレートの一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示す基質プレートの断面図である。
【図5】下枠を示す平面図である。
【図6】下枠を示す側面図である。
【図7】図5のB−B矢視拡大断面図である。
【図8】上枠を示す平面図である。
【図9】上枠を示す側面図である。
【図10】図8のC−C矢視拡大断面図である。
【図11】基質プレートの取り付け枠の取付け状態を示す分解図である。
【図12】図1のD−D矢視拡大断面図である。
【図13】基質プレートを取り付けた状態の藻場造成礁を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1…基質プレート取り付け枠、2…基質プレート、3…着生基盤、3a…ナット部材、4…吊り環、5…穴、6…ボルト孔、7…下枠、8…上枠、10…底板、11…下周壁、12…下横桟、13…下縦桟、14…下小枠、15…下フランジ、16…取り付け穴、17…抜き穴、18…上周壁、19…上横桟、20…上縦桟、21,21a…上小枠、22…上フランジ、23…押さえ片、24…ボルト貫挿筒、25…空間、26…ボルト、27…ねじ孔、28…ボルト孔、29…藻場造成礁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、海中にあって表面に海藻を繁殖させる海藻繁殖用の基質プレートを着生基盤に取り付けるための基質プレート取り付け枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海藻を繁殖させる方法として、あらかじめ海藻繁殖用の基質プレート(以下単に基質プレートという)を着生基盤に取り付けて海中に設置して、上記基質プレートに藻類の卵や若い配偶体を着生した後に、着生基盤ごと作業船上に引き上げ、この作業船上で基質プレートを着生基盤から取り外して、これを藻場造成礁に取り付けるという方法がとられている。そして従来の基質プレートは、それぞれ個々にボルト等の取付け具にて着生基盤に取り付けるようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の着生時の基質プレートは、個々に着生基盤にボルト等に取り付けられるようになっていたため、多数の基質プレートを着生基盤より取り外すのに長時間を要し、これを藻場造成礁に取り付けるまで長時間にわたって空気にさらされ、この間に折角表面に着生した上記藻類の卵や若い配偶体に悪影響を及ぼしてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上記したことに鑑みなされたもので、着生基盤に多数の基質プレートを短時間で取り外し可能に取り付けることができるようにした取り付け枠を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る基質プレート取り付け枠は、多数の基質プレートを並べて収納可能にした下枠と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片を有する上枠とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にした構成になっている。
【0006】
そして上記構成における基質プレート取り付け枠において、下枠に複数の基質プレートを並べて収納できる小枠を複数設け、上枠に上記下枠の各小枠に対向し、かつ周囲に押さえ片を有する複数の小枠を設けた構成にした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多数の基質プレートを着生基盤に対して簡単に取り付け、取り外しを行うことができる。そして特に、取り外しを一度に簡単に行うことができることにより、基質プレートの着生基盤から取り外して藻場造成礁への取り付けに要する時間を短縮することができ、基質プレートに着生した藻類の卵や若い配偶体に悪影響を与えることなく、この基質プレートの藻場造成礁への移植を行うことができ、この藻場造成礁での良好な海藻類の繁茂を期待することができる。
【0008】
そして基質プレート取り付け枠を構成する下枠及び上枠に、複数(少数)の基質プレートが入る小枠を複数設けたことにより、この取り付け枠内への基質プレートの出し入れが容易であると共に、各基質プレートを収まりよく枠内に収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る基質プレート取り付け枠1を用いて多数の基質プレート2を着生基盤3上に取り付けた状態を示す平面図、図2は図1のA矢視図である。
【0010】
上記着生基盤3は、例えば正方形に成形されたコンクリート板にて構成されており、基質プレート取り付け枠(以下これを単に取り付け枠という)1は、この着生基盤3の例えば相似形で略1/4の大きさになっていて、この着生基盤3上に4組の取り付け枠1が整然と並べて取り付けられるようになっている。なお上記着生基盤3には、この取り付け枠1をボルトにて取り付けるためのナット部材があらかじめ所定の位置にインサートされている。着生基盤3の上面の4個所に吊り環4が突設してあり、上記各取り付け枠1にはこの吊り環4が上方へ突出するための穴5が設けてある。
【0011】
上記基質プレート2は従来一般的に用いられているもので、コンクリート等にて成形されている。そしてこれの形状及び大きさは特に限定されるものではないが、これの形状及び大きさは上記取り付け枠1の構成に関係するので、その一例を示すとこの実施の形態での基質プレート2は、図3、図4に示すように一辺がW、高さがHの正方形であるものとする。そしてこの基質プレート2の中央部には、これを後述する藻場造成礁にボルトにて取り付けるためのボルト孔6が設けてある。
【0012】
上記取り付け枠1は下枠7と上枠8とからなっており、図5から図7に下枠7を、また図8から図10に上枠8をそれぞれ示す。
【0013】
図5から図7において、下枠7は正方形の底板10の上面の周囲に下周壁11が設けてあり、この下周壁11の内側に下横桟12と下縦桟13とにより、上記基質プレート2が複数、例えば3個ずつ入る下小枠14が複数、例えば6個ずつ2列に並べて設けてある。すなわち、この下小枠14の幅は基質プレート2の幅Wよりわずかに大きくなっていると共に、これの長さは上記幅Wの整数倍の寸法よりわずかに大きい長さになっている。上記底板10の四辺部には下フランジ15が設けてあり、この各フランジ15に取り付け穴16が設けてある。また、上記下小枠14の1つに着生基盤3に設けた吊り環4が貫通する抜き穴17が設けてある。上記下フランジ15に設ける取り付け穴16は、上記した着生基盤3にあらかじめインサートされているナット部材に対応する位置に設けられる。
【0014】
図8から図10において、上枠8は上記下枠7の下周壁11と同一形状に設けた上周壁18の内側に、下枠7の下横桟12及び下縦桟13に対応する上横桟19及び上縦桟20が設けてあり、これらにより上記下枠の各下枠14に対応する上小枠21が形成されている。
【0015】
上記上周壁18の上端部は、図10に示すように内側へ折れ曲がる逆L字状になっており、また上横桟19及び上縦桟20の上端部は、図10に示すようにT字状になっていて、上記各上小枠21を囲む壁の上縁には押さえ片23が設けられている。
【0016】
この上枠8の上周壁18の四辺部には、上記下枠7の下フランジ15に対応する上フランジ22が設けてあり、この上フランジ22の上記下フランジ15の取り付け穴16に対応する位置にボルト貫挿筒24が固着してある。
【0017】
この上枠8の1つの小枠のうち、上記下枠7の吊り環用の抜き穴17に対応する小枠21aには、仕切り板25aにて上記抜き穴17に対応する空間25が設けてある。そしてこの下枠7の抜き穴17と上枠8の空間25により図1に示した取り付け枠1の穴5を構成するものである。上記小枠21aの大きさは、整数(2個)の基質プレート2が入る大きさにしてある。
【0018】
上記下枠7の深さ、すなわち床板10から下周壁11の先端までの寸法d1と、上枠8の深さ、すなわち上枠8の上周壁18の下端から押さえ片21aの下面までの寸法d2とを加えた寸法は、上記基質プレート2の高さHより小さくなっている。
【0019】
上記取り付け枠1を構成する下枠7及び上枠8は鋼材にて構成されるが、ボルトと共に耐食性を有するステンレス鋼が望ましい。また、プラスチックであっても良い。また、下枠7の各小枠14の底板上と上枠8の押さえ片23の下面に緩衝用の薄いゴム板を貼り付けてもよい。
【0020】
なお、着生基盤3を吊り上げるための吊り環4が着生基盤4の側端面に設けられる場合には、下枠7及び上枠8の上記吊り環4が突出するための抜き穴17及び空間25が不要となり、この部分の小枠を広くすることができる。
【0021】
上記構成の取り付け枠1を用いて多数の基質プレート2を着生基盤3に取り付ける手順を図11を用いて以下に説明する。
【0022】
まず、1組の取り付け枠1の下枠7を着生基盤3の所定の位置、この実施の形態では1/4の隅部に載置される。このとき取り付け枠1のフランジ15に設けたボルト穴16を着生基盤3にあらかじめインサートしてあるナット部材3aに対応させておく。またこのとき着生基盤3の吊り環4は、底板10に設けた抜き穴17より突出させる。
【0023】
次に、上記下枠7の各下小枠14に基質プレート2を3個ずつ入れる。まお、抜き穴17を設けた下小枠には吊り環4をよけて2個入れる。
【0024】
その後、上枠8を上記下枠7上に重ねる。このとき上枠8の上横桟19と上縦桟20を下枠7の各桟12,13に対向させる。これにより図12に示すように、この上枠8の各桟19,20は、下枠7の各下小枠14に入っている小枠ごとの各基質プレートの間に入ると共に、各基質プレートの上面の一部が上枠の押さえ片23にて押さえられる。この状態で上枠8のボルト貫挿筒24よりボルト26を挿入し、下枠7の取り付け穴16を貫通させ、着生基盤3のナット部材3aに螺合することにより、下枠7と上枠8からなり、かつこれの間に多数の基質プレート2を挟持した取り付け枠1が着生基盤3に装着される。
【0025】
なお、このときにおいて上枠8の中央部が浮き上がって、下枠7内の基質プレート2の上面から離隔すると、この部分の基質プレート2が離脱する恐れがある。そのため、例えば図5に示すように下枠の中央部、この場合吊り環4用の抜き穴17を設けた部分にねじ孔27を設け、一方上枠8の中央部の、このねじ孔27に対応する位置にボルト孔28を設け、この部分において下枠7と上枠8とをボルトにて結合するようにしてもよい。
【0026】
このようにして、上記着生基盤3の他の部分に順次取り付け枠1を基質プレート2を挟持した状態で装着する。そしてこれの全面に上記取り付け枠1を装着した状態で着生基盤3に設けた吊り環4にロープを掛けてクレーンで吊り上げてこれを海中に浸漬する。
【0027】
上記着生基盤3が所定時間海中に浸漬されていることにより上記基質プレート2の表面に藻類の卵や若い配偶体などが着生する。そしてこれが所定以上着生した状態で着生基盤3を船上等に引き上げて、この着生基盤3から基質プレート2を取り外す。このとき、ボルト26を外して上枠8を外すことにより、取り付け枠1内にある全ての基質プレート2が自由状態となって、各基質プレート2をまとめて自由に取り出すことができる。
【0028】
このように取り出した各基質プレート2は、図13に示すように藻場造成礁29の表面に、基質プレート2のボルト孔6を貫通するボルトにて1個1個取り付ける。そしてこの藻場造成礁29を、海藻の育成に適した場所の海底に沈設する。
【0029】
このときにおいて上記したように各基質プレート2は、これに設けたボルト孔26に貫通するボルトにて藻場造成礁29に取り付けられるが、海中にあって波浪や潮流によって基質プレート2が振動してボルトと干渉することにより、この基質プレート2が破損することがある。これを防止するためには、図3、図4に示すように、基質プレート2のボルト孔6の内面にビニールチューブ等緩衝作用をする保護管30をボルトと共に挿入、あるいはあらかじめ基質プレート2の成形時にインサートしておけばよい。
【0030】
上記した実施の形態では、取り付け枠1を構成する下枠7と上枠8とはボルト26による共締めにて着生基盤3に取り付けるようにしたが、下枠7を先に着生基盤3に固着してから、この下枠7に上枠8を他のボルトにて取り付けるようにしてもよい。このようにすることにより下枠7は、常時着生基盤3に取り付け状態となり、取り付け枠1に対する基質プレートプレート2の出し入れが、上枠8の着脱だけで行うことができる。
【0031】
また上記した実施の形態では、下枠7に基質プレート2を複数個ずつ、例えば3個ずつ入れる下小枠14を複数設けたことにより、取り付け枠1内の基質プレート2の出し入れを、これがばらばらになることなく容易に行うことができると共に、各基質プレート2をおさまりよく収納できる。
【0032】
また上記した実施の形態では、取り付け枠1を構成する下枠7と上枠8のそれぞれに基質プレート2を複数(少数)ずつ入れる小枠14,21をそれぞれ上下に対向させて複数設けた例を示したが、この実施の形態に限定されないことはもちろんである。
【0033】
例えば、下枠7に小枠を設けず、下枠全体に基質プレート2を並べ、上枠8にこの各基質プレート2の上面の一部を押さえる押さえ片を格子状に設けるようにしてもよい。
【0034】
上記実施の形態では、多数の基質プレート2をまとめて取り付け枠1にて着生基盤3に取り付けることができる。そしてこれの着生基盤3に対する取り付け及び取り外しが、取り付け枠1の下枠7と上枠8、あるいは上枠8の着脱によって一度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る基質プレート取り付け枠の使用状態を示す平面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】本発明を適用する基質プレートの一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示す基質プレートの断面図である。
【図5】下枠を示す平面図である。
【図6】下枠を示す側面図である。
【図7】図5のB−B矢視拡大断面図である。
【図8】上枠を示す平面図である。
【図9】上枠を示す側面図である。
【図10】図8のC−C矢視拡大断面図である。
【図11】基質プレートの取り付け枠の取付け状態を示す分解図である。
【図12】図1のD−D矢視拡大断面図である。
【図13】基質プレートを取り付けた状態の藻場造成礁を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1…基質プレート取り付け枠、2…基質プレート、3…着生基盤、3a…ナット部材、4…吊り環、5…穴、6…ボルト孔、7…下枠、8…上枠、10…底板、11…下周壁、12…下横桟、13…下縦桟、14…下小枠、15…下フランジ、16…取り付け穴、17…抜き穴、18…上周壁、19…上横桟、20…上縦桟、21,21a…上小枠、22…上フランジ、23…押さえ片、24…ボルト貫挿筒、25…空間、26…ボルト、27…ねじ孔、28…ボルト孔、29…藻場造成礁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の基質プレートを並べて収納可能にした下枠と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片を有する上枠とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にしたことを特徴とする基質プレート取り付け枠。
【請求項2】
下枠に複数の基質プレートを並べて収納できる小枠を複数設け、上枠に上記下枠の各小枠に対向し、かつ周囲に押さえ片を有する複数の小枠を設けたことを特徴とする請求項1記載の基質プレート取り付け枠。
【請求項1】
多数の基質プレートを並べて収納可能にした下枠と、この下枠の上側に載置されて下枠内の各基質プレートの上面の一部を押さえる押さえ片を有する上枠とからなり、この両枠を着生基盤に取り付け可能にしたことを特徴とする基質プレート取り付け枠。
【請求項2】
下枠に複数の基質プレートを並べて収納できる小枠を複数設け、上枠に上記下枠の各小枠に対向し、かつ周囲に押さえ片を有する複数の小枠を設けたことを特徴とする請求項1記載の基質プレート取り付け枠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−330110(P2007−330110A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162563(P2006−162563)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000162216)共和コンクリート工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000162216)共和コンクリート工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
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