基質上における生物学的細胞の生存率を維持するための方法および装置
区画化される外因性成分を細胞の細胞内ドメインに導入することによる生物学的細胞の一時的形質転換法、およびそのような形質転換に適する基質に関する。前記方法および装置は、細胞の細胞内ドメインに、細胞浸透構造に固定して付着する区画化外因性成分を導入することを含み、ここで細胞は所定の位置に固定され、前記成分は区画に保持されている間細胞内で発現され、そして前記成分は細胞内で前記成分の機動性および相互作用を制限し、前記成分の前記細胞への移動を防ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国エネルギー省(United States Department of Energy)とUT- Battelle, LLCとの間の契約DE-AC05-00OR22725号に同意して、本発明における権利を米国政府が有する。
【0002】
本開示は、一般にナノテクノロジーおよびバイオテクノロジーの分野に関する。特に本開示は、区画化外因性成分を細胞の細胞内ドメインに導入することによる生物学的細胞の一時的形質転換法、およびそのような形質転換に適する基質に関する。本開示はまた、生物学的細胞への区画化外因性物質の基質介在性送達法にも関する。
【背景技術】
【0003】
複数の生物学的細胞は、天然の遺伝子変異または遺伝子操作のいずれかにより、必須分子を合成するため、または毒性分子を分解するためのいずれかに必要な特異的酵素を欠いている。これらの細胞は、栄養要求株(auxotroph)または栄養要求生物として知られ、一般にそれらが生存するために必要な栄養物とともに培養される。それらはまた、欠損した酵素そのもの、または欠損した酵素をコードするDNAのコピーを、細胞の細胞内ドメインに供給することによっても生存できるようにすることができる。生存に必要な代謝機構の全てを有する細胞は、源栄養株(prototroph)、または源栄養生物として知られる。
【0004】
本開示の目的のために、「栄養要求性」および「栄養要求株」の語は、所望の環境条件における細胞の生存に必須である代謝経路の1つ以上の特定の酵素を欠いている生細胞を示すために使用される。「源栄養性」および「源栄養株」の語は、改変を伴わない所望の環境条件において生存することができる生細胞を示すために使用される。それゆえ、「源栄養株」は、「栄養要求株」の反義語である。
【0005】
遺伝的に改変した細胞または個体を使用する複数の応用において、細胞または個体の避難可能性(escape potential)を制限することが重要である。しばしば、栄養要求性の系がそのような応用に使用される。例えば、フィールド応用における遺伝的改変個体の使用には、遺伝的改変細胞またはその改変DNAの天然生態系の遺伝子プールへの避難可能性を制限するように設計される機構が必要である。栄養要求性細胞の周辺生態系への避難可能性を制限する機構の一つは、局所的環境で見つからない細胞により使用されるための必須栄養物を供給することである。これにより、栄養物を投与した地点の周辺で栄養要求性細胞が生存する範囲が生じ、所望の領域外における細胞の増殖を制限できる。しばしば、時間放出栄養物マトリックスが、生存の所望領域内で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2005/176245
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cai et al., Anal. Bioanl. Chem. 3752:289, 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述のアプローチに固有の問題が複数ある。例えば、栄養物の除去することにより、最終的に細胞が死滅するであろうし、局所環境は栄養物またはその副産物の浸出物により汚染されるかもしれず、あるいは、栄養要求株から源栄養株への細胞の進化的形質転換に至る細胞の選択圧を推進する、栄養物濃度勾配が形成されるかもしれない。
【0009】
物理的に栄養要求細胞を封じ込める別の方法は、細胞よりも小さいサイズの穴を有する膜またはマトリックスのような遮蔽物中に細胞を含有させることである。このアプローチの限界には、遮蔽物の物理的特性により、物質が流入し細胞から流出する能力が軽減すること、ならびに遮蔽物が破れ、その中に含有される細胞が流出する潜在的可能性があることが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述にもかかわらず、細胞の避難可能性を制限し、かつ制限範囲内で細胞の高い生存レベルを供給することができ、個体を維持する環境への影響を軽減し、ならびに個体の避難可能性を軽減することもできる改善方法が必要とされ続けている。それゆえ、外因性基質に固定され区画化される成分の細胞への導入は、本発明の好ましい実施態様であり、細胞が生存し、かつ環境への影響が最小であることを保証し、しかし細胞の染色体および他の細胞性マクロ分子に影響を及ぼす成分の能力を制限することにより区分からの成分の移動を防止する。そして、細胞は、栄養要求株から基質依存源要求株に一時的に形質転換する。基質における成長終了は、細胞の死滅という結果をもたらし、娘細胞は区画化により成分を受け継ぐことはできない。
【0011】
第一の態様によれば、本開示の例示的実施態様の一つは、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的生細胞を一時的に形質転換する方法を供給する。前記方法は、細胞の細胞内ドメインに少なくとも一つの区画化外因性成分を導入する工程を含み、前記成分は、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞内ドメインへ前記細胞膜を介して伸長するよう形成される細胞浸透構造(cellular penetrant structure)の先端における退縮区画内に固定され、前記細胞は、少なくとも一つの浸透先端部位により浸透され、かつ前記成分は前記区画内に保持され、前記区画は細胞性マクロ分子との前記成分の相互作用を制限するよう形成される。
【0012】
第二の態様によれば、本開示は、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的細胞を一時的に形質転換する装置を供給する。前記装置は、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞膜を介して伸長するよう形成される退縮区画を有する先端を有する固定化細胞浸透構造、ならびに前記退縮区画の表面の少なくとも一つの部位に固定して連結される少なくとも一つの細胞外成分を含む。
【0013】
開示される実施態様の有利な効果は、細胞浸透構造の先端に固定して連結される区画化外因性成分を、細胞の細胞内ドメインへ一時的に導入することである。前記成分は細胞を形質転換するが、依存細胞中に浸透構造が残っている間のみである。浸透構造を離れて細胞が成長すると、細胞は死滅する結果となるであろう。区画内に必須成分を固定することにより、細胞内における成分が機能的活性を有することが可能となるが、前記成分は、ある細胞から別の細胞へ通過する、または娘細胞に受け継がれることはできない。この成分の区画化により、区分から宿主細胞への成分の移動が、クロマチンまたは複製ホロ酵素のような他の巨大細胞性マクロ分子に対する成分の接近を制限することにより、防がれる。区画化はまた、細胞性酵素による分解から成分を防ぎ、そして送達される成分の活性をより長くするように作用することもできる。
【0014】
外因性成分は、細胞が必要とされる栄養分を合成する、または毒性薬剤を分解するためのいずれかに必要な特異的酵素または一連の酵素をコードする遺伝子または一連の遺伝子であってよい。前記成分は、必要とされる酵素または一連の酵素そのものであってよく、細胞内で触媒的に機能するように固定的に結合されていてよい。前記成分はまた、細胞内で必要とされる反応に影響を与える、または反応を援助する、分子または一連の分子であってもよい。前記成分はまた、遺伝子メッセージの転写後修飾に必要な、少なくとも一つの遺伝子および少なくとも一つの酵素の組み合わせであってよく、各サブ成分は細胞性浸透基質の退縮区画の表面に固定して結合してよい。
【0015】
開示される実施態様のさらなる有利な点は、基質上に固定される細胞性浸透構造の先端における退縮区画内に、酵素、DNA、または栄養成分を接着していることによる。そのような接着により、細胞または個体を、浸透構造に置かれる間基質上のみで生活させることが可能となり、前記成分の細胞内への遺伝性取り込みを防ぐ。細胞浸透構造上への細胞の固定化により、基質から細胞が逃避する可能性を制限する。
【0016】
本発明は、ノンスケールで付随する図面とともに考慮される際に、例示的な実施態様の以下の詳細な記載を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】細胞に成分を送達する構造により浸透される細胞の概略図であり、前記構造は、基質から細胞膜および核膜を通じて細胞核に伸長する。
【図2】固定して連結される成分を封入する退縮区画を有する先端を有する細胞浸透構造により浸透される完全な細胞膜および細胞内ドメインを有する細胞の概略図であり、前記構造は、鞘に覆われており、核膜を通して細胞核に伸長し、そこで前記成分は活性化されるが、細胞染色体との相互作用から隔離される。
【図3】先端を有する基質上のカーボンナノ繊維、および基質上のカーボンナノ繊維のアレイの概略図であり、各ナノ繊維は先端を有している。
【図4】封入されるカーボンコアの部分的エッチングにより形成される退縮区画を有する先端を有する鞘化部分カーボンナノパイプの概略図である。
【図5】白金電極から電気的に設定可能な前記部分ナノパイプのカーボンコアへ移動し、鞘を有する部分カーボンナノパイプの退縮空洞中に移動し、シリコン基質上で成長する、ヨウ化プロピジウム標識DNAを示す概略図である。
【図6】その場で重合するポリピロールの鞘を有する部分カーボンナノ繊維の概略図である。
【図7】2種類の異なる種類の成分を、細胞浸透構造上の2つの異なる部位に固定化する方法を示す一連の概略図である。図7aは、シリカ鞘、カーボンコア、および退縮区画を有する、組立て細胞浸透構造の概略図である。図7bは、さらにカーボンコアに共有結合で濃縮されるDNAのフラグメントを有する図7aの構造の概略図である。図7cは、さらにブロッキング剤の被覆を有する図7bの概略図である。図7dは、ブロッキング剤が構造のシリカ鞘先端から除去される、図7cの概略図である。図7eは、有機シランで官能化されるシリカ鞘先端を有する図7dの概略図である。図7fは、酵素ポリAポリメラーゼの濃縮により官能化される有機シランを有する図7eの概略図である。図7gは、残りのブロッキング剤が溶解した、図7fの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的実施態様の記述
本開示の一つの例示的実施態様によれば、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的細胞を一時的に形質転換することができる装置を、図1および2に示すように記述する。前記装置は、基質18上で成長し、顕著に細胞10を損傷することなく、前記細胞膜12を介して細胞内ドメイン14に、そして核膜26を通して細胞核28内へ伸長するよう形成される退縮区画21を供給する先端20を有する固定化細胞浸透構造16、ならびに前記構造16の退縮区画21の表面の少なくとも一つの部位に固定して連結される少なくとも一つの細胞外成分22を含む。前記構造は、鞘24で被覆されている。前記方法および装置により、細胞10は成分を発現することが可能となり、一方浸透構造16は依存細胞10に残る。浸透構造16を細胞10より除去することにより、細胞による成分発現が止まる結果となる。図2は、退縮区画21に固定して連結される成分22が、どのように細胞10のクロマチン30との相互作用から制限されているかを示す。
【0019】
細胞浸透体は、細胞を殺傷することなく細胞内ドメインに浸透することにより、区画化成分を細胞に送達することができるいずれかの構造であってよい。理想的には、しかしそうである必要であるわけではないが、前記細胞浸透体は、浸透される細胞の生存が基質に制限されるように、基質に固定化されている。また、多くの浸透構造は、多くの細胞が基質上の浸透構造上で一度に維持されてよいように、単一の基質上にアレイ(array)として存在するように設定されてよい。浸透構造の退縮区画中に固定して連結される成分は、同一であるか、異なっていてよく、異なる生物または異なる機能を有する生物が、同じ基質上で共存することが可能となるようにしてよい。また、単一の浸透構造上に1つ以上の成分を設定してよい。
【0020】
本明細書に記載される方法および装置に特に適する細胞浸透体は、その物理的および化学的特徴により、カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプ(carbon partial nanopipe)である。マイクロピペット、引っ張りキャピラリチューブ、光ファイバー、シリコンカーバイドウィスカー(silicon carbide whisker)、窒化ケイ素ウィスカー(silicon nitride whisker)、およびシリコンニードル(silicon needle)のような他の細胞浸透体は全て、細胞の細胞内ドメインに物質を送達するために使用されてきた。しかし、遅い処理、ランダムな送達、標的細胞で成分の遺伝的組換えの可能性、または標的細胞を固定することができないことは、巨大スケールでこれらの方法を使用することを妨げるであろう。
【0021】
基質上で成長する部分カーボンナノパイプは、実質的に上記のような他の細胞浸透体の限界を克服することができる。部分カーボンナノパイプはまた、浸透構造が生細胞に浸透するが細胞の生存率を維持するという必要性も満たす。浸透構造の実施態様はまた、基質上で成長し、実質的に基質に直角な方向に配置される部分カーボンナノパイプのアレイであってもよい。
【0022】
従って、本開示は、カーボンナノ繊維32またはカーボンナノ繊維32のアレイ38から形成される部分カーボンナノパイプまたは部分カーボンナノパイプのアレイを供給し、各ナノ繊維は、先端36を有し、図3に示すように垂直に配置されるように、実質的に基質34に直角な方向に成長する。本明細書でこの構造を、カーボンナノ繊維の垂直配置アレイ(vertically aligned array of carbon nanofibers、VACNF)と呼ぶ。本明細書で、カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプは、理想的には、顕著に細胞を損傷することなく細胞膜に浸透するよう伸長し、基質上におけるナノ繊維の成長は、ナノ繊維の固定化を保証する。
【0023】
カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプのパラメーターは、サイズ、形状、部位、方向、および繊維コアと繊維鞘の化学的組成物を含み、プラズマ上昇化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)成長プロセスの間、精密に制御され、浸透するために使用される生物学的細胞のタイプに依存して、生理化学的特性が異なることができる構造を結果的にもたらす。一つの実施態様において、前記カーボンナノ繊維は、ナノ繊維成長基質として、標準3"または4"シリコンまたはフューズドシリカウエハーを使用する、dc-PECVDプロセスで触媒的に合成される。
【0024】
基質上におけるナノ繊維成長の部位は、フォトリソグラフィーにより規定され、金属の薄膜の濃縮が触媒として点在する。典型的には、触媒金属はニッケルであり、膜は約50Åから約1000Åの厚さである。しかし、鉄、コバルト、およびそれらの合金のような他の金属を使用してよい。ナノ繊維形成後、触媒粒子を、化学的エッチング(例えば核酸)および/またはプラズマエッチングにより除去してよい。基質を約700°Cまで加熱し、dcプラズマが開始するとき、薄膜ドットを核として、それぞれが単一ナノ繊維の成長を開始するであろう単離ナノ粒子となる。ニッケル層と基質との間のバッファー層を使用して、ニッケル核形成を援助してよく、前記バッファーは二酸化チタンまたは二酸化ケイ素を含んでよい。
【0025】
一つの実施態様によれば、その上のパターン化触媒粒子配置を有する適切な基質は、光る放電PECVDチャンバーの陰極上に設置され、アセチレンおよびアンモニアガス流中で約700°Cに加熱される。プラズマの形成後、カーボンナノ繊維は規定の触媒粒子からパターン化された配置で成長する。炭素質の種類のものが触媒粒子の表面で分解し、触媒粒子を通して分散し、蓄積して触媒粒子と基質の間で成長ナノ繊維となる。そのようなナノ繊維は、先端に触媒を有し、電場の存在のために基質に実質的に直角方向に成長する。ナノ繊維の直径は、触媒粒子のサイズにより操作され、ナノ繊維の長さを、プラズマを精製する時間の長さにより制御することができる。ナノ繊維の全体の形状を、チャンバー中のガス組成物中におけるガス比率を変更することにより、円錐形またはより円筒形にしてよい。
【0026】
生物学的応用の点でナノ繊維合成の重要な面は、金属触媒粒子を使用する基質上のカーボンナノ繊維を蓄積するのに加えて、プラズマ中で生じる種もまたナノ繊維の鞘および先端、それほどではないにせよ、ナノ繊維間の繊維間表面上で膜として蓄積することである。アンモニアガスを成長プロセスを通してずっと使用し、膜が金属触媒粒子の触媒活性を不動態化し、繊維成長を終了させるため、繊維先端から膜を連続的に除去する。
【0027】
種々の合成パラメーター、特にアセチレン/アンモニア比により、高秩序カーボンコアの被覆としてナノ繊維鞘上に残ることができるようにされる膜の量を選択することができる。この膜の化学的組成物は、本質的に純粋な炭素から、窒素ならびに他の基質物質を重度に添加する炭素まで調整されてよい。繊維鞘の組成物は、表面吸着および他の物理化学的現象に影響する。例えば、カーボンリッチ繊維の森は、すぐに成長が続くいくらかの疎水性を提示する一方、窒素化膜は、窒素含量が増加し、低下した疎水性を提示する。増加した窒素含量はまた、表面の電気化学的活性を低下させる。
【0028】
前記鞘の組成物によりまた、エッチングによりカーボンコアを部分的に除去し、部分ナノパイプを形成するようにナノ繊維の先端で退縮区画が形成されるように鞘を完全にしておくことができる。
【0029】
ナノ繊維は、種々の方法で部分的にパイプ状にされていてよい。最も簡単な形状において、金属触媒粒子を使用して触媒的に成長させるナノ繊維先端を、先端の触媒粒子を除去することにより部分的にパイプ状にされていてよい。例えば、PECVDを使用して合成されるナノ繊維は、その先端にニッケル粒子を有するであろう。このニッケル粒子を、酸素プラズマ反応性イオンエッチングを使用して、ニッケル粒子を被覆する炭素のキャップ層を最初に除去することにより、除去することができる。その後前記ニッケルを、硝酸、酢酸、またはpH 4.5の0.1M MESバッファー中でエッチングすることを含む種々の方法で溶解させてよい。その結果、ニッケル粒子が一旦前記構造の先端に備わる退縮空洞を有するナノ繊維が生じる。異種混合ナノ繊維もまた、部分的にパイプ状にされていてよい。例えば、成長の間基質からスパッタされる金属で被覆されているナノ繊維を、酸素エッチングがナノ繊維の鞘物質をエッチングしなければ、酸素プラズマエッチングすることにより、一部または全てのカーボンコアを除去することができる。例えば、SixNyで被覆されるナノ繊維を酸素プラズマエッチングすることにより、内部カーボンコアを除去し、SixNy鞘からなる部分パイプの背後に残してもよい。図4は、そのようなエッチングしたカーボンコア44を有する先端42を有する部分パイプ化ナノ繊維鞘40を示す。
【0030】
ナノ繊維はまた、他の物質で被覆されていてもよく、そしてエッチングにより少なくとも部分的にカーボンコアが除去されていてよい。例えば、繊維はPECVD酸化物で被覆されてよく、続けて先端の酸化物を、異方性二酸化ケイ素反応性イオンエッチングで除去してよい。先端でのVACNFの解放に続いて、ニッケル粒子を、上記のように除去してよい。その後、酸素反応性イオンエッチングを使用して、カーボンコアを除去することができる。あるいは、(CO2の形態でCを失う酸素含有環境で加熱する)熱処理により、あるいは、カーボンコアを電気的に設定可能であれば、電気化学的酸化、例えばNaOHの1N溶液中のカーボンコアに1.8V vs AgCl (3M KCl)を適用することにより、カーボンコアをを除去することができる。
【0031】
上記浸透構造の退縮区画の表面に結合する細胞成分の実施態様の一つは、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群を触媒する1つ以上の遺伝子産物をコードするDNAの一部分であってよい。前記DNAの一部分は、直線状、または密な円形DNAプラスミドであってよい。
【0032】
上記浸透構造に結合する細胞成分の別の実施態様は、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群を触媒する、酵素または酵素の複合体であってよい。前記酵素は、ポリペプチドまたはRNA酵素であってよい。
【0033】
細胞成分の別の実施態様は、ポリAポリメラーゼのように遺伝子または酵素の両方を含み、遺伝子の転写産物を修飾し、それぞれを区画の異なる領域に固定して結合させるように機能する。例えば、前記遺伝子は、退縮区画中のカーボンコアに結合することができ、一方前記酵素を区画の口にある鞘化物質に結合することができるであろう。
【0034】
開示される実施態様において、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群は同化であり、ここで前記反応は細胞により必要とされる必須化合物の合成であってよく、あるいは異化であり、ここで前記反応は毒性または潜在的毒性化合物の分解であってよい。成分と反応の選択は、お互いに相補的でなければならず、使用される生物または細胞系統に依存して変動するであろう。
【0035】
開示される実施態様において、成分が細胞中で接触可能でありかつ機能するように、前記成分は浸透構造中に退縮区画中につながれている、あるいは束縛または固定されているが、浸透構造の退縮区画から除去することはできず、かつ細胞クロマチンのような細胞性巨大分子のいずれかと相互作用することを妨げられている。そのようにして、生存に前記成分を必要とする細胞は、前記成分が維持される、すなわち、浸透構造の退縮区画およびその中の接着成分が細胞内に維持されているときのみ、生存することができる。
【0036】
種々の技術を使用して、部分ナノパイプの退縮空洞に分子をロードしてよい。受動的分散を使用して、パイプ中にロードされる分子を含む溶液中に部分パイプを浸すことにより、部分パイプ中に前記分子を蓄積させる。トラップされるガスが部分パイプの退縮空洞中にある場合、それらは部分パイプに入る物質に基づく溶解に先だって溶解させてよい。ナノパイプのコアが伝導性物質であり、ナノパイプの鞘が絶縁体であり、コアが電気的に設定可能である場合、電気泳動および/または電気浸透流によるような、ナノパイプの動電学的負荷のための回路の一端として、コアを使用してよい。例えば、VACNF鋳型から構築されるナノパイプのために、剰余のカーボンコアをナノパイプ内部に残留させる。カーボンコアに対する電気的結合により、ナノパイプの動電学的負荷のための一端として、カーボンコアを使用することが可能となる。例えば、ナノパイプ構造が浸される溶液中の他の電極に対して陽電位を適用することにより、陰電荷種をナノパイプ中に電気泳動上ロードしてよい。図5は、鞘56を有する電気的に設定可能な部分ナノパイプ54のカーボンコア50と、ヨウ化プロピジウム標識プラスミドDNA46の溶液中の白金電極48との間で+500 mVの電気泳動電位を適用することにより、ヨウ化プロピジウム標識DNA46の部分カーボンナノパイプ54の退縮区画52へのロードを示す。
【0037】
以下により詳細に記載されるように、前記成分を細胞浸透構造の退縮区画の表面に必要とされる細胞成分を固定して付着させることにより、浸透構造上の退縮区画中に前記成分を固定させてもよい。前記成分の固定を、前記成分と前記表面との間の共有結合または非共有結合性相互作用のいずれかにより達成してよい。さらに、連結分子または一連の連結分子群を同様に、前記成分と前記表面との間に結合させ、細胞内にある間は前記区画から放出されないで前記成分に高い範囲で駆動性を付与してよい。さらなる実施態様により、前記区画中で前記成分をトラップし、かつ固定するための足場またはケージを生成する区画の開口部におけるモノマーの重合により前記成分は制限される。別の実施態様では、前記区画の開口部を覆う半浸透性膜を有する区画中に前記成分がトラップされる。
【0038】
浸透構造の退縮区画中に保持するために、成分を空洞口部またはその近辺で膜物質の背後に保持させるか、または成分を退縮空洞中の表面に化学的接着により固定化させるかのいずれかであってよい。これらの実施態様において、浸透構造の退縮区画は、約50 nmの内部直径および約100 nmの外部直径を有するが、別の適用において他のサイズが適当であってよい。入口直径を制限することにより、または半浸透性膜物質で入り口を封入することにより、分子が退縮区画中に保持され、あるいは固定化されるが、約10 mから20 mの幅を有するRNAポリメラーゼのような、細胞中の小分子に接触可能であり、これらの小分子と機能してよい。DNA二重らせんの幅はわずか約2 nmであるが、染色体DNAはマイクロメートルからセンチメートルの長さに変化することができ、そして局所化分画化環境の含有物と相互作用することから妨げられるであろう。
【0039】
本開示の好ましい実施態様の一つは、分子を共有結合でつなぎ、以下により詳細に記載されるように、浸透構造の退縮空洞中に固定することである。例えば、ほとんどのポリペプチドを、ポリペプチドのC-またはN-(カルボキシまたはアミノ)末端、または個々のペプチド上の特異的な部分に化学的に連結することにより別の分子に共有結合でつなぐことができる。システイン残基、ポリペプチドのhex- hisタグ、および基質上の金属または錯体金属の架橋を含む、他の複合化戦略もまた可能である。
【0040】
静電相互作用もまた、固定化戦略に可能である。アビジン‐ビオチン、またはストレプトアビジン‐ビオチン相互作用のような他の強い相互作用もまた使用してよい。チオール化分子の固定化に、金‐チオール相互作用が有用である。カルボン酸のニッケル酸化物との相互作用は、カルボン酸基の一つまたは多数を特徴とする生物学的種の固定化に有用である。
【0041】
浸透構造中における直接固定化に加えて、中間体物質も使用してよい。例えば、最終的に固定化される分子が、浸透構造の退縮空洞中、またはこの構造の空洞中の連結基中に固定されるのであれば、同一または別の連結戦略を使用する連結基を使用してよい。浸透構造と分子との間の連結基を加えることにより、浸透構造により成分に押し付けられる立体構造上の阻害を軽減して細胞中の分子に対する接触を改善し、分子の活性を上昇させる、または分子を使用する細胞の能力を上昇させることができる。
【0042】
部分パイプ化カーボンナノ繊維は、ナノ繊維表面の合成後化学改変を可能とする欠損部位および機能的手段に富むことが多いために、所望の成分と共有結合することができる適切な浸透構造の好ましい実施態様である。カーボンナノ繊維に対する前記機能的手段は、カルボン酸、ヒドロキシル、カルボニル、およびキノンを含む。種々の巨大分子、例えばプラスミドDNAまたは酵素ダイズペルオキシダーゼを、カーボンナノ繊維の表面におけるそのような部分に共有結合で付着させてよく、少なくともこれらの固定化成分の一部は、その転写活性または酵素活性を保持している。
【0043】
例えば、第一アミン部位(primary amine site)を有する巨大分子の共有結合を可能とするため、ナノパイプの退縮区画中の炭素領域を、RF酸素プラズマ中でエッチングして、炭素表面における、カルボン酸基を含む酸素含有部分の範囲を増大させてよい。その後、Cai et al., (2003 Anal. Bioanl. Chem. 3752:289)に記載されるように、10 mg/mLの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド("EDC")を含む、pH4.5の0.1M 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸("MES")バッファー、および固定化される巨大分子中になのパイプを沈める。室温で2時間、オービタルシェーカー(orbital shaker)上で反応混合物を撹拌し、ナノパイプの退縮区画中の酸素プラズマエッチング炭素表面のカルボン酸部位に対して巨大分子上に見つかる一次アミンが濃縮する。
【0044】
濃縮反応に続き、ナノパイプアレイを、高塩(500 mM NaCl)および水を有するリン酸生理食塩水バッファー中で強力に洗浄し、非特異的吸着巨大分子を除去してよい。このアプローチを使用して、DNAを、部分パイプ化シリカ被覆VACNFの退縮区画中に固定し、ヨウ化プロピジウムおよび蛍光マイクロアレイで可視化した。
【0045】
浸透構造は、ナノ繊維表面を含み、金属、窒化ケイ素、および二酸化ケイ素を含む、ナノメートル厚の他の物質で物理的に被覆されていてよい。続けてこれらの表面を、有機シラン反応を使用して二酸化ケイ素被覆表面に誘導退化するように、改変してよい。金メタル化を、チオール化学固定化のために使用してよい。ナノ繊維の先端のニッケル触媒粒子を使用して、ヒスチジンタグ化種を補足するための分子またはそれに続くキレート化を有するカルボン酸を捕捉し、それによりナノ繊維の先端で物質を捕捉してよい。
【0046】
VACNFを含む金属または半金属浸透構造に対して、電気化学的戦略により、付加的な誘導化スキームが提供される。金、銀、ニッケルおよび白金から選択される金属を、分離核化島(discrete nucleated island)として、および連続的な膜として浸透構造表面に電気的に蓄積させてよい。上記手順を使用して、種々の結合化学物質(すなわち、チオール/金およびカルボン酸/ニッケル)に対する金属相互作用部位が提供されてよい。ナノ繊維を含む、電気的に設定可能な浸透構造を、ポリピロールのような電気伝導性ポリマーの電気的重合化のための足場として使用してよい。これらの蓄積のために使用される電気分析技術により、よく規定されるポリピロールの層を形成させることができ、それが形成するポリピロールマトリックスにアニオン性種を取り込むことができる。そのような技術は、炭素電極における酵素介在酸化還元反応の複数の活性を保持することができる酵素を固定化するために使用されてきており、それゆえ細胞の生存に必要な分子を固定化するために使用することができるであろう。同様に、浸透構造上へのモノマーの重合もまた使用して、浸透構造上へのトラップに必要な分子種を固定化してもよい。図6は、その上に重合されるポリピロール62を有するカーボンナノ繊維60を示す。
【0047】
さらなる実施態様において、浸透構造への成分の直接固定化に加えて、中間物質もまた使用してよい。例えば、固定化する成分が、浸透構造または構造の連結基に固定化されるのであれば、同一の、または異なる連結戦略を使用して、連結基を使用してよい。浸透構造と成分の間に連結基を加えることにより、成分の活性を上昇させることができ、あるいは細胞中の成分に相互作用する機会を改善し(すなわち、浸透構造により押し付けられる立体構造上の阻害を軽減して)、成分を使用する細胞の能力を上昇させることができる。
【0048】
本開示の好ましい実施態様において、浸透構造は、構造の退縮区画中において、この領域が、特に分子で誘導体化されていてよいような、独特な物質、あるいは、浸透構造の外部表面を誘導体化しない分子で特徴づけられる。これにより、構造の退縮空洞内のみで所望の成分を固定化し、構造の他の表面のいずれかの上の成分を固定化しない方法が提供される。好ましい実施態様は、退縮区画の底部にカーボンナノ繊維コアを含む二電子鞘化物質(SiO2)または(SixNy) からなる部分ナノパイプである。ここで、退縮区画中の炭素表面を、鞘化構造のいかなる部分も誘導体化することなく、上記の技術(すなわち、EDC介在アミド化)で誘導体化することができる。
【0049】
しかしながら、所望であれば、鞘化物質を続いて誘導体化してよい。これにより、例えば種の退縮区画に入る能力をさらに制限する有利な効果が証明されてよい。それによりまた、退縮区画の境界に入るまたは出る際における、種を改変する能力が提供される。一実施態様において、パイプ中の固定化DNAからのmRNA転写産物を、パイプ鞘の内部表面に連結する酵素(例えば、mRNAのポリアデニル化、末端スプライシング、またはイントロンスプライシングに関する酵素)により、転写後修飾してよい。例えば、有機シラン反応を使用して、シリカ鞘状にカルボン酸部位を生成してよい。その後ポリAポリメラーゼのような酵素を、上述のEDC濃縮反応により連結することができるであろう。この方法で、1つ以上の外因性成分を、浸透構造に加えることができるであろう。
【0050】
図7は、浸透構造に、1つ以上の型の連結成分を添加する、多先端プロセスを記述した図である。シリカ鞘66、カーボンコア68、および退縮区画70を有する組立て細胞浸透構造64は、EDC濃縮反応によりカーボンコア68に共有結合化され濃縮されるDNA72のフラグメントを有する。その後全体構造64を、フォトレジストのようなブロッキング剤74の薄膜で被覆する。その後ブロッキング剤74を、構造64のシリカ鞘先端76から部分的に除去する。その後シリカ鞘先端を、有機シラン78で官能化する。その後有機シラン78を、酵素ポリAポリメラーゼ80のEDC濃縮により官能化する。その後ブロッキング剤74の残りを溶解させ、1つ以上の型の官能化成分を有する部分カーボンナノパイプの製造を完了する。
【0051】
種々の基質を、本明細書に記載される浸透構造を成長させるために使用してよい。適切な基質は、シリコンまたはフューズドシリカウエハーを含むが、それに限定されない。特に適切な基質は、シリコンウエハーである。
【0052】
開示される実施態様をさらに示すために、以下の非限定的実施例が与えられる。
【0053】
実施例1
導入される成分と細胞物質との相互作用を制限する好ましい実施態様は、退縮区画の境界から自由に離れないで、活性を維持するように、浸透構造の退縮区画中に成分を共有結合でつなぐことである。VACNFベースのナノパイプの前駆体かつ活性因子であるVACNFを使用して、共有結合でつながれたDNAを浸透構造に結合し、細胞に浸透し、細胞内機構に使用されて、つながれたプラスミドから離れて遺伝子産物を合成してよいことが示されてきている。確定的に合成されるVACNFsを、共有結合で結合したDNAで改変し、続けて細胞中に挿入した。これらの実験において、レポーター遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を使用して、繊維によるプラスミドDNAの胞内集積および送達が成功したことが示され、連結した細胞が生存し続けていることのマーカーが与えられた。VACNFチップを、産物が分離するために利用可能な遊離プラスミドが生じないように、VACNFに共有結合で連結されるプラスミドDNAとともに調製した。遠心および圧縮統合法を使用して、EDC濃縮反応を使用するVACNFにプラスミドが共有結合で結合されるVACNFチップ上、およびDNA反応混合物とインキュベートしたがEDCを有さない4つの対照チップ上で細胞を動けないようにした。両方のサンプル型を、インキュベーションステップの後強く洗浄した。反応混合物中にEDCを有さない対照サンプルに、ナノ繊維足場に対するDNAの共有結合はなく、続く強い洗浄によりナノ繊維から非特異的結合DNAが除去された。これらの繊維化チップ上への細胞の遠心および圧縮に続き、共有結合連結サンプルは、各チップ上でそれぞれ81、198、65、および102個のGFP+細胞をもたらす結果となった。対照サンプルは、3つのチップ上でGFP+導入細胞はなく、4つ目のチップ上にわずかなGFP+細胞をもたらす結果となり、非特異的吸着プラスミドDNAが洗浄ステップでサンプルから効率的に除去されたことを示す。プラスミドと非共有結合的にスポットするサンプルにおける上記の実験と異なり、チップを離れたGFP+細胞は観察されず、GFP発現が、細胞中におけるDNA誘導体化VACNF要素の連続的な維持を必要とすることが示された。
【0054】
実施例2
ナノ繊維浸透細胞の連続的な生存率を示す実験を実行して、DNAが送達され、生存細胞にナノ繊維の浸透により発現されることを示した。これらの実験のために合成された繊維を、100 mmのn型シリコンウエハー上でフォトリトグラフィーで5 μm間隔で規定される500 nm径ニッケル触媒ドットより成長させた。プラズマ条件を選択して、20-50 nmの先端直径をおよび約1 μmのベース直径を有する、(成長時間に依存して)6-10 μm長の円錐形繊維が提供された。ナノ繊維成長に続き、前記ウエハーを、5-μmピッチのVACNFアレイで覆われた3 mm x 3 mmチップに切断した。前記ナノ繊維アレイを、プラスミドDNAで表面改変した。これらの実験で使用されるプラスミドは、CMV即時早期エンハンサー/プロモーターおよびSV40 t-イントロンおよびポリアデニル化シグナルとともに増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)を含み、かつ哺乳類の複製起点を含まない、pGreenLantern-1であった。種々の濃度(5-500 ng/μl)のプラスミドDNAを、0.5-1 μlアリコートでチップ上にスポットし、乾燥させた。これらの実験で主に使用される細胞系統は、K1-BH4と表されるチャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary, CHO)のサブクローンであった。
【0055】
細胞を、5%ウシ胎仔血清および1 m l-グルタミンで補充されたMHam's F-12栄養混合物中で通常のように培養した。細胞培養物を、T-75フラスコ中で培養し、トリプシン-EDTAを使用してトリプシン処理することにより、80%密集度で継代した。繊維介在プラスミド送達の調製において、接着細胞をT-75フラスコよりトリプシン処理し、10 mlのHam's F- 12培地と急冷し、100G10分間でペレット化し、リン酸生理食塩水バッファー(PBS)中で再懸濁し、カウントし、50,000から600,000細胞/mlの範囲の所望の濃度にPBS中で希釈した。
【0056】
繊維アレイ上の懸濁物から遠心することによりDNA改変VACNFアレイと細胞を統合した。CHO細胞は、懸濁物中でおよそ7 μm径の球である。そうして、ナノ繊維アレイを5 μmのピッチで、遠心の間細胞が数本のナノ繊維と直接相互作用するように、合成した。少なくとも24時間の培養時間に続いて、プラスミドスポットナノ繊維上と細胞の相互作用を、蛍光顕微鏡でプラスミドコードGFP発現を観察することにより評価した。600Gのアレイ上への遠心のみを使用して、GFP発現は典型的には非常に低い頻度(繊維化基質上の<1%の細胞)でのみ検出された。中程度のペレット化力(600G)を使用して細胞をナノ繊維アレイ上に配置し、その後、圧縮ステップを含むことにより、典型的には、しばしばファクター5、時にはさらに顕著に、GFP+細胞の数が増加し、複数の試験では基質上の局所的領域(~1 mm2エリア)にある細胞の約50%がGFP+であるという結果にいたる。これらの細胞によるGFPの発現は、基質上においてナノ繊維浸透細胞の連続的な生存を示す。
【0057】
本明細書に記載される例示的な実施態様において、細胞を外部的な力により強制的に浸透構造上におく。浸透構造上に細胞を強制的におくことは、遠心管中に細胞の溶液と浸透構造を含む基質を接触させ、一時的に遠心して細胞が構造上にマウントされるのに十分な時間をかけることにより達成してよい。さらに、細胞の溶液を含む浸潤し実質的に平坦な表面に基質を圧縮することにより、基質上に細胞を圧縮してよい。
【0058】
本開示の実施態様は、生物学的細胞の固定が必要とされる種々幅広い応用において使用されてよい。例えば、基質上の所定の位置に複数の細胞浸透構造を成長させることにより、バイオリアクターを構築してよい。細胞外成分をそれぞれの細胞浸透構造に結合させてよく、ここで成分により生物学的細胞の生存に必要な機能が定供されてよい。バイオリアクター合成プロセスに有用な生物学的細胞は、細胞浸透構造と成分が生物学的細胞の細胞内ドメインに配置されるように、細胞浸透構造により浸透されてよい。生物学的細胞の成長および生存を基質上で維持して、バイオリアクターが提供される。同一または異なる機能を有する複数の基質を結合して、付加的な機能性を有するバイオリアクターを提供してよい。
【0059】
上記実施態様は、その実行において相当に変化しうる。さらに、前記実施態様は、上記に示される特定の例示に制限されることを意味するものではない。むしろ、前記実施態様は、添付の特許請求の範囲の精神と範囲内にあり、法律問題として利用可能なその同等物を含む。
【0060】
特許所有者は、公表された実施態様のいずれも提示する意図はなく、開示されたいずれか改変または変更の程度は、特許請求の範囲内に逐語的に入らなくてもよく、それらは同等物の理論のもとでその一部であると考えられる。
【技術分野】
【0001】
米国エネルギー省(United States Department of Energy)とUT- Battelle, LLCとの間の契約DE-AC05-00OR22725号に同意して、本発明における権利を米国政府が有する。
【0002】
本開示は、一般にナノテクノロジーおよびバイオテクノロジーの分野に関する。特に本開示は、区画化外因性成分を細胞の細胞内ドメインに導入することによる生物学的細胞の一時的形質転換法、およびそのような形質転換に適する基質に関する。本開示はまた、生物学的細胞への区画化外因性物質の基質介在性送達法にも関する。
【背景技術】
【0003】
複数の生物学的細胞は、天然の遺伝子変異または遺伝子操作のいずれかにより、必須分子を合成するため、または毒性分子を分解するためのいずれかに必要な特異的酵素を欠いている。これらの細胞は、栄養要求株(auxotroph)または栄養要求生物として知られ、一般にそれらが生存するために必要な栄養物とともに培養される。それらはまた、欠損した酵素そのもの、または欠損した酵素をコードするDNAのコピーを、細胞の細胞内ドメインに供給することによっても生存できるようにすることができる。生存に必要な代謝機構の全てを有する細胞は、源栄養株(prototroph)、または源栄養生物として知られる。
【0004】
本開示の目的のために、「栄養要求性」および「栄養要求株」の語は、所望の環境条件における細胞の生存に必須である代謝経路の1つ以上の特定の酵素を欠いている生細胞を示すために使用される。「源栄養性」および「源栄養株」の語は、改変を伴わない所望の環境条件において生存することができる生細胞を示すために使用される。それゆえ、「源栄養株」は、「栄養要求株」の反義語である。
【0005】
遺伝的に改変した細胞または個体を使用する複数の応用において、細胞または個体の避難可能性(escape potential)を制限することが重要である。しばしば、栄養要求性の系がそのような応用に使用される。例えば、フィールド応用における遺伝的改変個体の使用には、遺伝的改変細胞またはその改変DNAの天然生態系の遺伝子プールへの避難可能性を制限するように設計される機構が必要である。栄養要求性細胞の周辺生態系への避難可能性を制限する機構の一つは、局所的環境で見つからない細胞により使用されるための必須栄養物を供給することである。これにより、栄養物を投与した地点の周辺で栄養要求性細胞が生存する範囲が生じ、所望の領域外における細胞の増殖を制限できる。しばしば、時間放出栄養物マトリックスが、生存の所望領域内で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2005/176245
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cai et al., Anal. Bioanl. Chem. 3752:289, 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述のアプローチに固有の問題が複数ある。例えば、栄養物の除去することにより、最終的に細胞が死滅するであろうし、局所環境は栄養物またはその副産物の浸出物により汚染されるかもしれず、あるいは、栄養要求株から源栄養株への細胞の進化的形質転換に至る細胞の選択圧を推進する、栄養物濃度勾配が形成されるかもしれない。
【0009】
物理的に栄養要求細胞を封じ込める別の方法は、細胞よりも小さいサイズの穴を有する膜またはマトリックスのような遮蔽物中に細胞を含有させることである。このアプローチの限界には、遮蔽物の物理的特性により、物質が流入し細胞から流出する能力が軽減すること、ならびに遮蔽物が破れ、その中に含有される細胞が流出する潜在的可能性があることが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述にもかかわらず、細胞の避難可能性を制限し、かつ制限範囲内で細胞の高い生存レベルを供給することができ、個体を維持する環境への影響を軽減し、ならびに個体の避難可能性を軽減することもできる改善方法が必要とされ続けている。それゆえ、外因性基質に固定され区画化される成分の細胞への導入は、本発明の好ましい実施態様であり、細胞が生存し、かつ環境への影響が最小であることを保証し、しかし細胞の染色体および他の細胞性マクロ分子に影響を及ぼす成分の能力を制限することにより区分からの成分の移動を防止する。そして、細胞は、栄養要求株から基質依存源要求株に一時的に形質転換する。基質における成長終了は、細胞の死滅という結果をもたらし、娘細胞は区画化により成分を受け継ぐことはできない。
【0011】
第一の態様によれば、本開示の例示的実施態様の一つは、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的生細胞を一時的に形質転換する方法を供給する。前記方法は、細胞の細胞内ドメインに少なくとも一つの区画化外因性成分を導入する工程を含み、前記成分は、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞内ドメインへ前記細胞膜を介して伸長するよう形成される細胞浸透構造(cellular penetrant structure)の先端における退縮区画内に固定され、前記細胞は、少なくとも一つの浸透先端部位により浸透され、かつ前記成分は前記区画内に保持され、前記区画は細胞性マクロ分子との前記成分の相互作用を制限するよう形成される。
【0012】
第二の態様によれば、本開示は、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的細胞を一時的に形質転換する装置を供給する。前記装置は、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞膜を介して伸長するよう形成される退縮区画を有する先端を有する固定化細胞浸透構造、ならびに前記退縮区画の表面の少なくとも一つの部位に固定して連結される少なくとも一つの細胞外成分を含む。
【0013】
開示される実施態様の有利な効果は、細胞浸透構造の先端に固定して連結される区画化外因性成分を、細胞の細胞内ドメインへ一時的に導入することである。前記成分は細胞を形質転換するが、依存細胞中に浸透構造が残っている間のみである。浸透構造を離れて細胞が成長すると、細胞は死滅する結果となるであろう。区画内に必須成分を固定することにより、細胞内における成分が機能的活性を有することが可能となるが、前記成分は、ある細胞から別の細胞へ通過する、または娘細胞に受け継がれることはできない。この成分の区画化により、区分から宿主細胞への成分の移動が、クロマチンまたは複製ホロ酵素のような他の巨大細胞性マクロ分子に対する成分の接近を制限することにより、防がれる。区画化はまた、細胞性酵素による分解から成分を防ぎ、そして送達される成分の活性をより長くするように作用することもできる。
【0014】
外因性成分は、細胞が必要とされる栄養分を合成する、または毒性薬剤を分解するためのいずれかに必要な特異的酵素または一連の酵素をコードする遺伝子または一連の遺伝子であってよい。前記成分は、必要とされる酵素または一連の酵素そのものであってよく、細胞内で触媒的に機能するように固定的に結合されていてよい。前記成分はまた、細胞内で必要とされる反応に影響を与える、または反応を援助する、分子または一連の分子であってもよい。前記成分はまた、遺伝子メッセージの転写後修飾に必要な、少なくとも一つの遺伝子および少なくとも一つの酵素の組み合わせであってよく、各サブ成分は細胞性浸透基質の退縮区画の表面に固定して結合してよい。
【0015】
開示される実施態様のさらなる有利な点は、基質上に固定される細胞性浸透構造の先端における退縮区画内に、酵素、DNA、または栄養成分を接着していることによる。そのような接着により、細胞または個体を、浸透構造に置かれる間基質上のみで生活させることが可能となり、前記成分の細胞内への遺伝性取り込みを防ぐ。細胞浸透構造上への細胞の固定化により、基質から細胞が逃避する可能性を制限する。
【0016】
本発明は、ノンスケールで付随する図面とともに考慮される際に、例示的な実施態様の以下の詳細な記載を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】細胞に成分を送達する構造により浸透される細胞の概略図であり、前記構造は、基質から細胞膜および核膜を通じて細胞核に伸長する。
【図2】固定して連結される成分を封入する退縮区画を有する先端を有する細胞浸透構造により浸透される完全な細胞膜および細胞内ドメインを有する細胞の概略図であり、前記構造は、鞘に覆われており、核膜を通して細胞核に伸長し、そこで前記成分は活性化されるが、細胞染色体との相互作用から隔離される。
【図3】先端を有する基質上のカーボンナノ繊維、および基質上のカーボンナノ繊維のアレイの概略図であり、各ナノ繊維は先端を有している。
【図4】封入されるカーボンコアの部分的エッチングにより形成される退縮区画を有する先端を有する鞘化部分カーボンナノパイプの概略図である。
【図5】白金電極から電気的に設定可能な前記部分ナノパイプのカーボンコアへ移動し、鞘を有する部分カーボンナノパイプの退縮空洞中に移動し、シリコン基質上で成長する、ヨウ化プロピジウム標識DNAを示す概略図である。
【図6】その場で重合するポリピロールの鞘を有する部分カーボンナノ繊維の概略図である。
【図7】2種類の異なる種類の成分を、細胞浸透構造上の2つの異なる部位に固定化する方法を示す一連の概略図である。図7aは、シリカ鞘、カーボンコア、および退縮区画を有する、組立て細胞浸透構造の概略図である。図7bは、さらにカーボンコアに共有結合で濃縮されるDNAのフラグメントを有する図7aの構造の概略図である。図7cは、さらにブロッキング剤の被覆を有する図7bの概略図である。図7dは、ブロッキング剤が構造のシリカ鞘先端から除去される、図7cの概略図である。図7eは、有機シランで官能化されるシリカ鞘先端を有する図7dの概略図である。図7fは、酵素ポリAポリメラーゼの濃縮により官能化される有機シランを有する図7eの概略図である。図7gは、残りのブロッキング剤が溶解した、図7fの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的実施態様の記述
本開示の一つの例示的実施態様によれば、細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的細胞を一時的に形質転換することができる装置を、図1および2に示すように記述する。前記装置は、基質18上で成長し、顕著に細胞10を損傷することなく、前記細胞膜12を介して細胞内ドメイン14に、そして核膜26を通して細胞核28内へ伸長するよう形成される退縮区画21を供給する先端20を有する固定化細胞浸透構造16、ならびに前記構造16の退縮区画21の表面の少なくとも一つの部位に固定して連結される少なくとも一つの細胞外成分22を含む。前記構造は、鞘24で被覆されている。前記方法および装置により、細胞10は成分を発現することが可能となり、一方浸透構造16は依存細胞10に残る。浸透構造16を細胞10より除去することにより、細胞による成分発現が止まる結果となる。図2は、退縮区画21に固定して連結される成分22が、どのように細胞10のクロマチン30との相互作用から制限されているかを示す。
【0019】
細胞浸透体は、細胞を殺傷することなく細胞内ドメインに浸透することにより、区画化成分を細胞に送達することができるいずれかの構造であってよい。理想的には、しかしそうである必要であるわけではないが、前記細胞浸透体は、浸透される細胞の生存が基質に制限されるように、基質に固定化されている。また、多くの浸透構造は、多くの細胞が基質上の浸透構造上で一度に維持されてよいように、単一の基質上にアレイ(array)として存在するように設定されてよい。浸透構造の退縮区画中に固定して連結される成分は、同一であるか、異なっていてよく、異なる生物または異なる機能を有する生物が、同じ基質上で共存することが可能となるようにしてよい。また、単一の浸透構造上に1つ以上の成分を設定してよい。
【0020】
本明細書に記載される方法および装置に特に適する細胞浸透体は、その物理的および化学的特徴により、カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプ(carbon partial nanopipe)である。マイクロピペット、引っ張りキャピラリチューブ、光ファイバー、シリコンカーバイドウィスカー(silicon carbide whisker)、窒化ケイ素ウィスカー(silicon nitride whisker)、およびシリコンニードル(silicon needle)のような他の細胞浸透体は全て、細胞の細胞内ドメインに物質を送達するために使用されてきた。しかし、遅い処理、ランダムな送達、標的細胞で成分の遺伝的組換えの可能性、または標的細胞を固定することができないことは、巨大スケールでこれらの方法を使用することを妨げるであろう。
【0021】
基質上で成長する部分カーボンナノパイプは、実質的に上記のような他の細胞浸透体の限界を克服することができる。部分カーボンナノパイプはまた、浸透構造が生細胞に浸透するが細胞の生存率を維持するという必要性も満たす。浸透構造の実施態様はまた、基質上で成長し、実質的に基質に直角な方向に配置される部分カーボンナノパイプのアレイであってもよい。
【0022】
従って、本開示は、カーボンナノ繊維32またはカーボンナノ繊維32のアレイ38から形成される部分カーボンナノパイプまたは部分カーボンナノパイプのアレイを供給し、各ナノ繊維は、先端36を有し、図3に示すように垂直に配置されるように、実質的に基質34に直角な方向に成長する。本明細書でこの構造を、カーボンナノ繊維の垂直配置アレイ(vertically aligned array of carbon nanofibers、VACNF)と呼ぶ。本明細書で、カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプは、理想的には、顕著に細胞を損傷することなく細胞膜に浸透するよう伸長し、基質上におけるナノ繊維の成長は、ナノ繊維の固定化を保証する。
【0023】
カーボンナノ繊維から形成される部分カーボンナノパイプのパラメーターは、サイズ、形状、部位、方向、および繊維コアと繊維鞘の化学的組成物を含み、プラズマ上昇化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)成長プロセスの間、精密に制御され、浸透するために使用される生物学的細胞のタイプに依存して、生理化学的特性が異なることができる構造を結果的にもたらす。一つの実施態様において、前記カーボンナノ繊維は、ナノ繊維成長基質として、標準3"または4"シリコンまたはフューズドシリカウエハーを使用する、dc-PECVDプロセスで触媒的に合成される。
【0024】
基質上におけるナノ繊維成長の部位は、フォトリソグラフィーにより規定され、金属の薄膜の濃縮が触媒として点在する。典型的には、触媒金属はニッケルであり、膜は約50Åから約1000Åの厚さである。しかし、鉄、コバルト、およびそれらの合金のような他の金属を使用してよい。ナノ繊維形成後、触媒粒子を、化学的エッチング(例えば核酸)および/またはプラズマエッチングにより除去してよい。基質を約700°Cまで加熱し、dcプラズマが開始するとき、薄膜ドットを核として、それぞれが単一ナノ繊維の成長を開始するであろう単離ナノ粒子となる。ニッケル層と基質との間のバッファー層を使用して、ニッケル核形成を援助してよく、前記バッファーは二酸化チタンまたは二酸化ケイ素を含んでよい。
【0025】
一つの実施態様によれば、その上のパターン化触媒粒子配置を有する適切な基質は、光る放電PECVDチャンバーの陰極上に設置され、アセチレンおよびアンモニアガス流中で約700°Cに加熱される。プラズマの形成後、カーボンナノ繊維は規定の触媒粒子からパターン化された配置で成長する。炭素質の種類のものが触媒粒子の表面で分解し、触媒粒子を通して分散し、蓄積して触媒粒子と基質の間で成長ナノ繊維となる。そのようなナノ繊維は、先端に触媒を有し、電場の存在のために基質に実質的に直角方向に成長する。ナノ繊維の直径は、触媒粒子のサイズにより操作され、ナノ繊維の長さを、プラズマを精製する時間の長さにより制御することができる。ナノ繊維の全体の形状を、チャンバー中のガス組成物中におけるガス比率を変更することにより、円錐形またはより円筒形にしてよい。
【0026】
生物学的応用の点でナノ繊維合成の重要な面は、金属触媒粒子を使用する基質上のカーボンナノ繊維を蓄積するのに加えて、プラズマ中で生じる種もまたナノ繊維の鞘および先端、それほどではないにせよ、ナノ繊維間の繊維間表面上で膜として蓄積することである。アンモニアガスを成長プロセスを通してずっと使用し、膜が金属触媒粒子の触媒活性を不動態化し、繊維成長を終了させるため、繊維先端から膜を連続的に除去する。
【0027】
種々の合成パラメーター、特にアセチレン/アンモニア比により、高秩序カーボンコアの被覆としてナノ繊維鞘上に残ることができるようにされる膜の量を選択することができる。この膜の化学的組成物は、本質的に純粋な炭素から、窒素ならびに他の基質物質を重度に添加する炭素まで調整されてよい。繊維鞘の組成物は、表面吸着および他の物理化学的現象に影響する。例えば、カーボンリッチ繊維の森は、すぐに成長が続くいくらかの疎水性を提示する一方、窒素化膜は、窒素含量が増加し、低下した疎水性を提示する。増加した窒素含量はまた、表面の電気化学的活性を低下させる。
【0028】
前記鞘の組成物によりまた、エッチングによりカーボンコアを部分的に除去し、部分ナノパイプを形成するようにナノ繊維の先端で退縮区画が形成されるように鞘を完全にしておくことができる。
【0029】
ナノ繊維は、種々の方法で部分的にパイプ状にされていてよい。最も簡単な形状において、金属触媒粒子を使用して触媒的に成長させるナノ繊維先端を、先端の触媒粒子を除去することにより部分的にパイプ状にされていてよい。例えば、PECVDを使用して合成されるナノ繊維は、その先端にニッケル粒子を有するであろう。このニッケル粒子を、酸素プラズマ反応性イオンエッチングを使用して、ニッケル粒子を被覆する炭素のキャップ層を最初に除去することにより、除去することができる。その後前記ニッケルを、硝酸、酢酸、またはpH 4.5の0.1M MESバッファー中でエッチングすることを含む種々の方法で溶解させてよい。その結果、ニッケル粒子が一旦前記構造の先端に備わる退縮空洞を有するナノ繊維が生じる。異種混合ナノ繊維もまた、部分的にパイプ状にされていてよい。例えば、成長の間基質からスパッタされる金属で被覆されているナノ繊維を、酸素エッチングがナノ繊維の鞘物質をエッチングしなければ、酸素プラズマエッチングすることにより、一部または全てのカーボンコアを除去することができる。例えば、SixNyで被覆されるナノ繊維を酸素プラズマエッチングすることにより、内部カーボンコアを除去し、SixNy鞘からなる部分パイプの背後に残してもよい。図4は、そのようなエッチングしたカーボンコア44を有する先端42を有する部分パイプ化ナノ繊維鞘40を示す。
【0030】
ナノ繊維はまた、他の物質で被覆されていてもよく、そしてエッチングにより少なくとも部分的にカーボンコアが除去されていてよい。例えば、繊維はPECVD酸化物で被覆されてよく、続けて先端の酸化物を、異方性二酸化ケイ素反応性イオンエッチングで除去してよい。先端でのVACNFの解放に続いて、ニッケル粒子を、上記のように除去してよい。その後、酸素反応性イオンエッチングを使用して、カーボンコアを除去することができる。あるいは、(CO2の形態でCを失う酸素含有環境で加熱する)熱処理により、あるいは、カーボンコアを電気的に設定可能であれば、電気化学的酸化、例えばNaOHの1N溶液中のカーボンコアに1.8V vs AgCl (3M KCl)を適用することにより、カーボンコアをを除去することができる。
【0031】
上記浸透構造の退縮区画の表面に結合する細胞成分の実施態様の一つは、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群を触媒する1つ以上の遺伝子産物をコードするDNAの一部分であってよい。前記DNAの一部分は、直線状、または密な円形DNAプラスミドであってよい。
【0032】
上記浸透構造に結合する細胞成分の別の実施態様は、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群を触媒する、酵素または酵素の複合体であってよい。前記酵素は、ポリペプチドまたはRNA酵素であってよい。
【0033】
細胞成分の別の実施態様は、ポリAポリメラーゼのように遺伝子または酵素の両方を含み、遺伝子の転写産物を修飾し、それぞれを区画の異なる領域に固定して結合させるように機能する。例えば、前記遺伝子は、退縮区画中のカーボンコアに結合することができ、一方前記酵素を区画の口にある鞘化物質に結合することができるであろう。
【0034】
開示される実施態様において、細胞の生存に必須な反応または一連の反応群は同化であり、ここで前記反応は細胞により必要とされる必須化合物の合成であってよく、あるいは異化であり、ここで前記反応は毒性または潜在的毒性化合物の分解であってよい。成分と反応の選択は、お互いに相補的でなければならず、使用される生物または細胞系統に依存して変動するであろう。
【0035】
開示される実施態様において、成分が細胞中で接触可能でありかつ機能するように、前記成分は浸透構造中に退縮区画中につながれている、あるいは束縛または固定されているが、浸透構造の退縮区画から除去することはできず、かつ細胞クロマチンのような細胞性巨大分子のいずれかと相互作用することを妨げられている。そのようにして、生存に前記成分を必要とする細胞は、前記成分が維持される、すなわち、浸透構造の退縮区画およびその中の接着成分が細胞内に維持されているときのみ、生存することができる。
【0036】
種々の技術を使用して、部分ナノパイプの退縮空洞に分子をロードしてよい。受動的分散を使用して、パイプ中にロードされる分子を含む溶液中に部分パイプを浸すことにより、部分パイプ中に前記分子を蓄積させる。トラップされるガスが部分パイプの退縮空洞中にある場合、それらは部分パイプに入る物質に基づく溶解に先だって溶解させてよい。ナノパイプのコアが伝導性物質であり、ナノパイプの鞘が絶縁体であり、コアが電気的に設定可能である場合、電気泳動および/または電気浸透流によるような、ナノパイプの動電学的負荷のための回路の一端として、コアを使用してよい。例えば、VACNF鋳型から構築されるナノパイプのために、剰余のカーボンコアをナノパイプ内部に残留させる。カーボンコアに対する電気的結合により、ナノパイプの動電学的負荷のための一端として、カーボンコアを使用することが可能となる。例えば、ナノパイプ構造が浸される溶液中の他の電極に対して陽電位を適用することにより、陰電荷種をナノパイプ中に電気泳動上ロードしてよい。図5は、鞘56を有する電気的に設定可能な部分ナノパイプ54のカーボンコア50と、ヨウ化プロピジウム標識プラスミドDNA46の溶液中の白金電極48との間で+500 mVの電気泳動電位を適用することにより、ヨウ化プロピジウム標識DNA46の部分カーボンナノパイプ54の退縮区画52へのロードを示す。
【0037】
以下により詳細に記載されるように、前記成分を細胞浸透構造の退縮区画の表面に必要とされる細胞成分を固定して付着させることにより、浸透構造上の退縮区画中に前記成分を固定させてもよい。前記成分の固定を、前記成分と前記表面との間の共有結合または非共有結合性相互作用のいずれかにより達成してよい。さらに、連結分子または一連の連結分子群を同様に、前記成分と前記表面との間に結合させ、細胞内にある間は前記区画から放出されないで前記成分に高い範囲で駆動性を付与してよい。さらなる実施態様により、前記区画中で前記成分をトラップし、かつ固定するための足場またはケージを生成する区画の開口部におけるモノマーの重合により前記成分は制限される。別の実施態様では、前記区画の開口部を覆う半浸透性膜を有する区画中に前記成分がトラップされる。
【0038】
浸透構造の退縮区画中に保持するために、成分を空洞口部またはその近辺で膜物質の背後に保持させるか、または成分を退縮空洞中の表面に化学的接着により固定化させるかのいずれかであってよい。これらの実施態様において、浸透構造の退縮区画は、約50 nmの内部直径および約100 nmの外部直径を有するが、別の適用において他のサイズが適当であってよい。入口直径を制限することにより、または半浸透性膜物質で入り口を封入することにより、分子が退縮区画中に保持され、あるいは固定化されるが、約10 mから20 mの幅を有するRNAポリメラーゼのような、細胞中の小分子に接触可能であり、これらの小分子と機能してよい。DNA二重らせんの幅はわずか約2 nmであるが、染色体DNAはマイクロメートルからセンチメートルの長さに変化することができ、そして局所化分画化環境の含有物と相互作用することから妨げられるであろう。
【0039】
本開示の好ましい実施態様の一つは、分子を共有結合でつなぎ、以下により詳細に記載されるように、浸透構造の退縮空洞中に固定することである。例えば、ほとんどのポリペプチドを、ポリペプチドのC-またはN-(カルボキシまたはアミノ)末端、または個々のペプチド上の特異的な部分に化学的に連結することにより別の分子に共有結合でつなぐことができる。システイン残基、ポリペプチドのhex- hisタグ、および基質上の金属または錯体金属の架橋を含む、他の複合化戦略もまた可能である。
【0040】
静電相互作用もまた、固定化戦略に可能である。アビジン‐ビオチン、またはストレプトアビジン‐ビオチン相互作用のような他の強い相互作用もまた使用してよい。チオール化分子の固定化に、金‐チオール相互作用が有用である。カルボン酸のニッケル酸化物との相互作用は、カルボン酸基の一つまたは多数を特徴とする生物学的種の固定化に有用である。
【0041】
浸透構造中における直接固定化に加えて、中間体物質も使用してよい。例えば、最終的に固定化される分子が、浸透構造の退縮空洞中、またはこの構造の空洞中の連結基中に固定されるのであれば、同一または別の連結戦略を使用する連結基を使用してよい。浸透構造と分子との間の連結基を加えることにより、浸透構造により成分に押し付けられる立体構造上の阻害を軽減して細胞中の分子に対する接触を改善し、分子の活性を上昇させる、または分子を使用する細胞の能力を上昇させることができる。
【0042】
部分パイプ化カーボンナノ繊維は、ナノ繊維表面の合成後化学改変を可能とする欠損部位および機能的手段に富むことが多いために、所望の成分と共有結合することができる適切な浸透構造の好ましい実施態様である。カーボンナノ繊維に対する前記機能的手段は、カルボン酸、ヒドロキシル、カルボニル、およびキノンを含む。種々の巨大分子、例えばプラスミドDNAまたは酵素ダイズペルオキシダーゼを、カーボンナノ繊維の表面におけるそのような部分に共有結合で付着させてよく、少なくともこれらの固定化成分の一部は、その転写活性または酵素活性を保持している。
【0043】
例えば、第一アミン部位(primary amine site)を有する巨大分子の共有結合を可能とするため、ナノパイプの退縮区画中の炭素領域を、RF酸素プラズマ中でエッチングして、炭素表面における、カルボン酸基を含む酸素含有部分の範囲を増大させてよい。その後、Cai et al., (2003 Anal. Bioanl. Chem. 3752:289)に記載されるように、10 mg/mLの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド("EDC")を含む、pH4.5の0.1M 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸("MES")バッファー、および固定化される巨大分子中になのパイプを沈める。室温で2時間、オービタルシェーカー(orbital shaker)上で反応混合物を撹拌し、ナノパイプの退縮区画中の酸素プラズマエッチング炭素表面のカルボン酸部位に対して巨大分子上に見つかる一次アミンが濃縮する。
【0044】
濃縮反応に続き、ナノパイプアレイを、高塩(500 mM NaCl)および水を有するリン酸生理食塩水バッファー中で強力に洗浄し、非特異的吸着巨大分子を除去してよい。このアプローチを使用して、DNAを、部分パイプ化シリカ被覆VACNFの退縮区画中に固定し、ヨウ化プロピジウムおよび蛍光マイクロアレイで可視化した。
【0045】
浸透構造は、ナノ繊維表面を含み、金属、窒化ケイ素、および二酸化ケイ素を含む、ナノメートル厚の他の物質で物理的に被覆されていてよい。続けてこれらの表面を、有機シラン反応を使用して二酸化ケイ素被覆表面に誘導退化するように、改変してよい。金メタル化を、チオール化学固定化のために使用してよい。ナノ繊維の先端のニッケル触媒粒子を使用して、ヒスチジンタグ化種を補足するための分子またはそれに続くキレート化を有するカルボン酸を捕捉し、それによりナノ繊維の先端で物質を捕捉してよい。
【0046】
VACNFを含む金属または半金属浸透構造に対して、電気化学的戦略により、付加的な誘導化スキームが提供される。金、銀、ニッケルおよび白金から選択される金属を、分離核化島(discrete nucleated island)として、および連続的な膜として浸透構造表面に電気的に蓄積させてよい。上記手順を使用して、種々の結合化学物質(すなわち、チオール/金およびカルボン酸/ニッケル)に対する金属相互作用部位が提供されてよい。ナノ繊維を含む、電気的に設定可能な浸透構造を、ポリピロールのような電気伝導性ポリマーの電気的重合化のための足場として使用してよい。これらの蓄積のために使用される電気分析技術により、よく規定されるポリピロールの層を形成させることができ、それが形成するポリピロールマトリックスにアニオン性種を取り込むことができる。そのような技術は、炭素電極における酵素介在酸化還元反応の複数の活性を保持することができる酵素を固定化するために使用されてきており、それゆえ細胞の生存に必要な分子を固定化するために使用することができるであろう。同様に、浸透構造上へのモノマーの重合もまた使用して、浸透構造上へのトラップに必要な分子種を固定化してもよい。図6は、その上に重合されるポリピロール62を有するカーボンナノ繊維60を示す。
【0047】
さらなる実施態様において、浸透構造への成分の直接固定化に加えて、中間物質もまた使用してよい。例えば、固定化する成分が、浸透構造または構造の連結基に固定化されるのであれば、同一の、または異なる連結戦略を使用して、連結基を使用してよい。浸透構造と成分の間に連結基を加えることにより、成分の活性を上昇させることができ、あるいは細胞中の成分に相互作用する機会を改善し(すなわち、浸透構造により押し付けられる立体構造上の阻害を軽減して)、成分を使用する細胞の能力を上昇させることができる。
【0048】
本開示の好ましい実施態様において、浸透構造は、構造の退縮区画中において、この領域が、特に分子で誘導体化されていてよいような、独特な物質、あるいは、浸透構造の外部表面を誘導体化しない分子で特徴づけられる。これにより、構造の退縮空洞内のみで所望の成分を固定化し、構造の他の表面のいずれかの上の成分を固定化しない方法が提供される。好ましい実施態様は、退縮区画の底部にカーボンナノ繊維コアを含む二電子鞘化物質(SiO2)または(SixNy) からなる部分ナノパイプである。ここで、退縮区画中の炭素表面を、鞘化構造のいかなる部分も誘導体化することなく、上記の技術(すなわち、EDC介在アミド化)で誘導体化することができる。
【0049】
しかしながら、所望であれば、鞘化物質を続いて誘導体化してよい。これにより、例えば種の退縮区画に入る能力をさらに制限する有利な効果が証明されてよい。それによりまた、退縮区画の境界に入るまたは出る際における、種を改変する能力が提供される。一実施態様において、パイプ中の固定化DNAからのmRNA転写産物を、パイプ鞘の内部表面に連結する酵素(例えば、mRNAのポリアデニル化、末端スプライシング、またはイントロンスプライシングに関する酵素)により、転写後修飾してよい。例えば、有機シラン反応を使用して、シリカ鞘状にカルボン酸部位を生成してよい。その後ポリAポリメラーゼのような酵素を、上述のEDC濃縮反応により連結することができるであろう。この方法で、1つ以上の外因性成分を、浸透構造に加えることができるであろう。
【0050】
図7は、浸透構造に、1つ以上の型の連結成分を添加する、多先端プロセスを記述した図である。シリカ鞘66、カーボンコア68、および退縮区画70を有する組立て細胞浸透構造64は、EDC濃縮反応によりカーボンコア68に共有結合化され濃縮されるDNA72のフラグメントを有する。その後全体構造64を、フォトレジストのようなブロッキング剤74の薄膜で被覆する。その後ブロッキング剤74を、構造64のシリカ鞘先端76から部分的に除去する。その後シリカ鞘先端を、有機シラン78で官能化する。その後有機シラン78を、酵素ポリAポリメラーゼ80のEDC濃縮により官能化する。その後ブロッキング剤74の残りを溶解させ、1つ以上の型の官能化成分を有する部分カーボンナノパイプの製造を完了する。
【0051】
種々の基質を、本明細書に記載される浸透構造を成長させるために使用してよい。適切な基質は、シリコンまたはフューズドシリカウエハーを含むが、それに限定されない。特に適切な基質は、シリコンウエハーである。
【0052】
開示される実施態様をさらに示すために、以下の非限定的実施例が与えられる。
【0053】
実施例1
導入される成分と細胞物質との相互作用を制限する好ましい実施態様は、退縮区画の境界から自由に離れないで、活性を維持するように、浸透構造の退縮区画中に成分を共有結合でつなぐことである。VACNFベースのナノパイプの前駆体かつ活性因子であるVACNFを使用して、共有結合でつながれたDNAを浸透構造に結合し、細胞に浸透し、細胞内機構に使用されて、つながれたプラスミドから離れて遺伝子産物を合成してよいことが示されてきている。確定的に合成されるVACNFsを、共有結合で結合したDNAで改変し、続けて細胞中に挿入した。これらの実験において、レポーター遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を使用して、繊維によるプラスミドDNAの胞内集積および送達が成功したことが示され、連結した細胞が生存し続けていることのマーカーが与えられた。VACNFチップを、産物が分離するために利用可能な遊離プラスミドが生じないように、VACNFに共有結合で連結されるプラスミドDNAとともに調製した。遠心および圧縮統合法を使用して、EDC濃縮反応を使用するVACNFにプラスミドが共有結合で結合されるVACNFチップ上、およびDNA反応混合物とインキュベートしたがEDCを有さない4つの対照チップ上で細胞を動けないようにした。両方のサンプル型を、インキュベーションステップの後強く洗浄した。反応混合物中にEDCを有さない対照サンプルに、ナノ繊維足場に対するDNAの共有結合はなく、続く強い洗浄によりナノ繊維から非特異的結合DNAが除去された。これらの繊維化チップ上への細胞の遠心および圧縮に続き、共有結合連結サンプルは、各チップ上でそれぞれ81、198、65、および102個のGFP+細胞をもたらす結果となった。対照サンプルは、3つのチップ上でGFP+導入細胞はなく、4つ目のチップ上にわずかなGFP+細胞をもたらす結果となり、非特異的吸着プラスミドDNAが洗浄ステップでサンプルから効率的に除去されたことを示す。プラスミドと非共有結合的にスポットするサンプルにおける上記の実験と異なり、チップを離れたGFP+細胞は観察されず、GFP発現が、細胞中におけるDNA誘導体化VACNF要素の連続的な維持を必要とすることが示された。
【0054】
実施例2
ナノ繊維浸透細胞の連続的な生存率を示す実験を実行して、DNAが送達され、生存細胞にナノ繊維の浸透により発現されることを示した。これらの実験のために合成された繊維を、100 mmのn型シリコンウエハー上でフォトリトグラフィーで5 μm間隔で規定される500 nm径ニッケル触媒ドットより成長させた。プラズマ条件を選択して、20-50 nmの先端直径をおよび約1 μmのベース直径を有する、(成長時間に依存して)6-10 μm長の円錐形繊維が提供された。ナノ繊維成長に続き、前記ウエハーを、5-μmピッチのVACNFアレイで覆われた3 mm x 3 mmチップに切断した。前記ナノ繊維アレイを、プラスミドDNAで表面改変した。これらの実験で使用されるプラスミドは、CMV即時早期エンハンサー/プロモーターおよびSV40 t-イントロンおよびポリアデニル化シグナルとともに増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)を含み、かつ哺乳類の複製起点を含まない、pGreenLantern-1であった。種々の濃度(5-500 ng/μl)のプラスミドDNAを、0.5-1 μlアリコートでチップ上にスポットし、乾燥させた。これらの実験で主に使用される細胞系統は、K1-BH4と表されるチャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary, CHO)のサブクローンであった。
【0055】
細胞を、5%ウシ胎仔血清および1 m l-グルタミンで補充されたMHam's F-12栄養混合物中で通常のように培養した。細胞培養物を、T-75フラスコ中で培養し、トリプシン-EDTAを使用してトリプシン処理することにより、80%密集度で継代した。繊維介在プラスミド送達の調製において、接着細胞をT-75フラスコよりトリプシン処理し、10 mlのHam's F- 12培地と急冷し、100G10分間でペレット化し、リン酸生理食塩水バッファー(PBS)中で再懸濁し、カウントし、50,000から600,000細胞/mlの範囲の所望の濃度にPBS中で希釈した。
【0056】
繊維アレイ上の懸濁物から遠心することによりDNA改変VACNFアレイと細胞を統合した。CHO細胞は、懸濁物中でおよそ7 μm径の球である。そうして、ナノ繊維アレイを5 μmのピッチで、遠心の間細胞が数本のナノ繊維と直接相互作用するように、合成した。少なくとも24時間の培養時間に続いて、プラスミドスポットナノ繊維上と細胞の相互作用を、蛍光顕微鏡でプラスミドコードGFP発現を観察することにより評価した。600Gのアレイ上への遠心のみを使用して、GFP発現は典型的には非常に低い頻度(繊維化基質上の<1%の細胞)でのみ検出された。中程度のペレット化力(600G)を使用して細胞をナノ繊維アレイ上に配置し、その後、圧縮ステップを含むことにより、典型的には、しばしばファクター5、時にはさらに顕著に、GFP+細胞の数が増加し、複数の試験では基質上の局所的領域(~1 mm2エリア)にある細胞の約50%がGFP+であるという結果にいたる。これらの細胞によるGFPの発現は、基質上においてナノ繊維浸透細胞の連続的な生存を示す。
【0057】
本明細書に記載される例示的な実施態様において、細胞を外部的な力により強制的に浸透構造上におく。浸透構造上に細胞を強制的におくことは、遠心管中に細胞の溶液と浸透構造を含む基質を接触させ、一時的に遠心して細胞が構造上にマウントされるのに十分な時間をかけることにより達成してよい。さらに、細胞の溶液を含む浸潤し実質的に平坦な表面に基質を圧縮することにより、基質上に細胞を圧縮してよい。
【0058】
本開示の実施態様は、生物学的細胞の固定が必要とされる種々幅広い応用において使用されてよい。例えば、基質上の所定の位置に複数の細胞浸透構造を成長させることにより、バイオリアクターを構築してよい。細胞外成分をそれぞれの細胞浸透構造に結合させてよく、ここで成分により生物学的細胞の生存に必要な機能が定供されてよい。バイオリアクター合成プロセスに有用な生物学的細胞は、細胞浸透構造と成分が生物学的細胞の細胞内ドメインに配置されるように、細胞浸透構造により浸透されてよい。生物学的細胞の成長および生存を基質上で維持して、バイオリアクターが提供される。同一または異なる機能を有する複数の基質を結合して、付加的な機能性を有するバイオリアクターを提供してよい。
【0059】
上記実施態様は、その実行において相当に変化しうる。さらに、前記実施態様は、上記に示される特定の例示に制限されることを意味するものではない。むしろ、前記実施態様は、添付の特許請求の範囲の精神と範囲内にあり、法律問題として利用可能なその同等物を含む。
【0060】
特許所有者は、公表された実施態様のいずれも提示する意図はなく、開示されたいずれか改変または変更の程度は、特許請求の範囲内に逐語的に入らなくてもよく、それらは同等物の理論のもとでその一部であると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的生細胞を提供する工程;
外因性成分を提供する工程;
区画を有し、かつ顕著に前記細胞を損傷することなく、前記細胞内ドメイン内に前記区画を位置づけるよう、前記細胞内ドメイン内に前記細胞膜を通して伸長するよう形成される細胞浸透構造を提供する工程;
前記細胞浸透構造の区画中に前記外因性成分を固定し、区画化外因性成分を生産する工程;ならびに
前記細胞の前記細胞内ドメインに、前記区画化外因性成分を導入する工程であって、
前記成分が前記区画中に保持され、前記浸透構造および前記成分が前記細胞の前記細胞内ドメイン中に存在するときのみに、前記細胞が前記成分を発現する工程
を含む、一時的な生物学的形質転換法。
【請求項2】
前記固定および前記導入工程が、
前記区画内に前記外因性成分をロードする工程;
区画が前記細胞内の固定化成分に部分的に制限されてアクセスするように形成される、前記区画中に前記成分を固定化する工程;ならびに
前記細胞の前記細胞内ドメインに、前記区画中に固定化される前記細胞浸透構造および前記成分を押し付ける工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分と、前記細胞浸透構造の区画中の表面との間で共有結合を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成分を固定化する工程がさらに、連結メンバーが前記細胞浸透構造の前記区画の表面と前記成分との間に入り、前記成分と前記区画の前記表面との間で一連の共有結合を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分と前記細胞浸透構造中の前記区画の表面との間で非共有結合性相互作用を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分を被覆し、前記区画中に前記成分を封入する半浸透性膜を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞浸透構造を提供する工程が、
ナノ繊維成長基質を提供する工程;
前記ナノ繊維成長基質に対して実質的に垂直な方向にある先端を前記基質上に有するカーボンナノ繊維を成長させる工程;ならびに
部分カーボンナノパイプを形成し、それにより前記区画を作り出すように、前記ナノ繊維の先端の少なくとも一部分を除去する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記先端の少なくとも一部分を除去する工程が、金属触媒粒子を除去する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記先端の少なくとも一部分を除去する工程が、カーボンコアの少なくとも一部分を除去する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞浸透構造を提供する工程が、窒素および酸素からなる群より選択される要素を含む部分を有する浸透物の表面を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記外因性成分が、DNAの分子およびポリAポリメラーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記生物学的細胞が栄養要求株細胞を含み、前記細胞の生存に必要な成分を前記外因性成分が含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記成分を前記区画中に固定した後、ブロッキング剤で前記浸透構造を被覆する工程;少なくとも一部分の前記ブロッキング剤を除去する工程;
第二の外因性成分を前記浸透構造に固定して付着させる工程;および
前記ブロッキング剤の残余物を溶解させる工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する生物学的生細胞;
区画を有し、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞膜を通して伸長し、前記細胞内ドメイン内に前記区画を位置づけるよう形成される細胞浸透構造;
前記区画中に固定して付着している外因性成分であって、前記細胞中の前記成分へのアクセスが部分的に制限されるよう前記区画が形成される外因性成分;ならびに
細胞が前記成分を発現することができるような位置に細胞内における前記外因性成分を配置した前記浸透構造に位置づけられる、前記浸透構造上の前記生物学的細胞であって、前記成分が前記区画中に保持される、細胞
を含む、一時的な生物学的形質転換装置。
【請求項15】
前記構造が、
ナノ繊維成長基質;
ナノ繊維成長基質上で実質的に垂直な方向に成長するカーボンナノ繊維;および
ナノ繊維中の区画
を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ナノ繊維成長基質上で実質的に垂直な方向に成長するカーボンナノ繊維のアレイをさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記構造の表面が、窒素および酸素からなる群より選択される要素を含む部分を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記構造の表面が、Au、Ag、Ni、Pt、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、およびポリピロールからなる群より選択される薄膜で被覆される、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記成分が、DNA、RNA、ポリペプチド、および酵素からなる群より選択される分子を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
共有結合および非共有結合性相互作用からなる群より選択される相互作用により、前記構造の前記区画中の表面に、前記成分を固定して付着させる、請求項14に記載の装置。
【請求項21】
連結メンバーが前記構造の前記区画の表面と前記成分との間に入り、前記成分と前記構造の前記区画の前記表面との間に形成される一連の共有結合を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記区画を被覆し、前記区画中の前記成分を封入する半浸透性膜を提供することにより、前記成分を固定して付着させる、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記生物学的細胞が栄養要求株細胞を含み、前記外因性成分が前記細胞の生存に必要な成分を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項24】
巨大分子および小分子を有する細胞の一時的な生物学的形質転換装置であって、巨大分子が染色体の寸法を有し、
ナノ繊維基質;
前記基質上で、基質に実質的に垂直な方向に配置されるカーボンナノ繊維のアレイ;ならびに
前記ナノ繊維上に形成される区画であって、巨大分子が前記区画に入らないように排除されるよう形成され、設定されており、小分子が前記区画に入ることができるようにする区画、
顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞を通して伸長し、前記細胞内に前記区画を位置づけるよう形成されている、各ナノ繊維、;ならびに
前記区画内に固定して付着する外因性成分であって、前記区画は、前記細胞が前記成分を発現することができるように、前記細胞の小分子が前記外因性成分にアクセスできるように形成され、設定されている、外因性成分
を含む、装置。
【請求項1】
細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する少なくとも一つの生物学的生細胞を提供する工程;
外因性成分を提供する工程;
区画を有し、かつ顕著に前記細胞を損傷することなく、前記細胞内ドメイン内に前記区画を位置づけるよう、前記細胞内ドメイン内に前記細胞膜を通して伸長するよう形成される細胞浸透構造を提供する工程;
前記細胞浸透構造の区画中に前記外因性成分を固定し、区画化外因性成分を生産する工程;ならびに
前記細胞の前記細胞内ドメインに、前記区画化外因性成分を導入する工程であって、
前記成分が前記区画中に保持され、前記浸透構造および前記成分が前記細胞の前記細胞内ドメイン中に存在するときのみに、前記細胞が前記成分を発現する工程
を含む、一時的な生物学的形質転換法。
【請求項2】
前記固定および前記導入工程が、
前記区画内に前記外因性成分をロードする工程;
区画が前記細胞内の固定化成分に部分的に制限されてアクセスするように形成される、前記区画中に前記成分を固定化する工程;ならびに
前記細胞の前記細胞内ドメインに、前記区画中に固定化される前記細胞浸透構造および前記成分を押し付ける工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分と、前記細胞浸透構造の区画中の表面との間で共有結合を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成分を固定化する工程がさらに、連結メンバーが前記細胞浸透構造の前記区画の表面と前記成分との間に入り、前記成分と前記区画の前記表面との間で一連の共有結合を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分と前記細胞浸透構造中の前記区画の表面との間で非共有結合性相互作用を形成する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記成分を固定化する工程がさらに、前記成分を被覆し、前記区画中に前記成分を封入する半浸透性膜を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞浸透構造を提供する工程が、
ナノ繊維成長基質を提供する工程;
前記ナノ繊維成長基質に対して実質的に垂直な方向にある先端を前記基質上に有するカーボンナノ繊維を成長させる工程;ならびに
部分カーボンナノパイプを形成し、それにより前記区画を作り出すように、前記ナノ繊維の先端の少なくとも一部分を除去する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記先端の少なくとも一部分を除去する工程が、金属触媒粒子を除去する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記先端の少なくとも一部分を除去する工程が、カーボンコアの少なくとも一部分を除去する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞浸透構造を提供する工程が、窒素および酸素からなる群より選択される要素を含む部分を有する浸透物の表面を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記外因性成分が、DNAの分子およびポリAポリメラーゼ酵素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記生物学的細胞が栄養要求株細胞を含み、前記細胞の生存に必要な成分を前記外因性成分が含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記成分を前記区画中に固定した後、ブロッキング剤で前記浸透構造を被覆する工程;少なくとも一部分の前記ブロッキング剤を除去する工程;
第二の外因性成分を前記浸透構造に固定して付着させる工程;および
前記ブロッキング剤の残余物を溶解させる工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
細胞内ドメインを規定する完全な細胞膜を有する生物学的生細胞;
区画を有し、顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞膜を通して伸長し、前記細胞内ドメイン内に前記区画を位置づけるよう形成される細胞浸透構造;
前記区画中に固定して付着している外因性成分であって、前記細胞中の前記成分へのアクセスが部分的に制限されるよう前記区画が形成される外因性成分;ならびに
細胞が前記成分を発現することができるような位置に細胞内における前記外因性成分を配置した前記浸透構造に位置づけられる、前記浸透構造上の前記生物学的細胞であって、前記成分が前記区画中に保持される、細胞
を含む、一時的な生物学的形質転換装置。
【請求項15】
前記構造が、
ナノ繊維成長基質;
ナノ繊維成長基質上で実質的に垂直な方向に成長するカーボンナノ繊維;および
ナノ繊維中の区画
を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ナノ繊維成長基質上で実質的に垂直な方向に成長するカーボンナノ繊維のアレイをさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記構造の表面が、窒素および酸素からなる群より選択される要素を含む部分を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記構造の表面が、Au、Ag、Ni、Pt、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、およびポリピロールからなる群より選択される薄膜で被覆される、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記成分が、DNA、RNA、ポリペプチド、および酵素からなる群より選択される分子を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
共有結合および非共有結合性相互作用からなる群より選択される相互作用により、前記構造の前記区画中の表面に、前記成分を固定して付着させる、請求項14に記載の装置。
【請求項21】
連結メンバーが前記構造の前記区画の表面と前記成分との間に入り、前記成分と前記構造の前記区画の前記表面との間に形成される一連の共有結合を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記区画を被覆し、前記区画中の前記成分を封入する半浸透性膜を提供することにより、前記成分を固定して付着させる、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記生物学的細胞が栄養要求株細胞を含み、前記外因性成分が前記細胞の生存に必要な成分を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項24】
巨大分子および小分子を有する細胞の一時的な生物学的形質転換装置であって、巨大分子が染色体の寸法を有し、
ナノ繊維基質;
前記基質上で、基質に実質的に垂直な方向に配置されるカーボンナノ繊維のアレイ;ならびに
前記ナノ繊維上に形成される区画であって、巨大分子が前記区画に入らないように排除されるよう形成され、設定されており、小分子が前記区画に入ることができるようにする区画、
顕著に細胞を損傷することなく、前記細胞を通して伸長し、前記細胞内に前記区画を位置づけるよう形成されている、各ナノ繊維、;ならびに
前記区画内に固定して付着する外因性成分であって、前記区画は、前記細胞が前記成分を発現することができるように、前記細胞の小分子が前記外因性成分にアクセスできるように形成され、設定されている、外因性成分
を含む、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図7f】
【図7g】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図7f】
【図7g】
【公表番号】特表2010−516253(P2010−516253A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546496(P2009−546496)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051190
【国際公開番号】WO2008/089253
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509125992)ユーティー−バッテル・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051190
【国際公開番号】WO2008/089253
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509125992)ユーティー−バッテル・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】
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