説明

堆肥製造設備

【課題】品質の安定した堆肥を得ることができる堆肥製造設備を提供する。
【解決手段】円筒状の発酵槽1を備えた堆肥製造設備において、前記円筒状の発酵槽1の中心部を支点として旋回する旋回フレーム15と、前記旋回フレーム15に設けられ、前記発酵槽1の上下方向に周回可能に設けた撹拌機18と、前記撹拌機18の下方向折返し部で前記旋回フレーム15の長手方向に前記発酵槽の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けた複数の案内体を有する複数の堆肥原料受入装置19と、前記各堆肥原料受入装置19の下部に設けられ、堆肥原料を発酵槽の径方向内側に移送する移送装置20と、前記各移送装置20の排出口に前記発酵槽1の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けた複数の案内板34を有する案内装置21とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜産等の有機性廃棄物を堆肥化して良質の有機質肥料を製造することがきる堆肥製造設備に係わり、さらに詳しくは品質が安定した堆肥を得ることができる堆肥製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畜産糞等の有機性廃棄物を堆肥化処理する堆肥製造設備においては、堆肥原料を発酵させるための発酵槽、この発酵槽に堆肥原料を搬入するためのコンベヤ、発酵が終わった堆肥原料(一次発酵完了堆肥)を発酵槽から搬出するコンベヤから構成されている。そして、発酵槽内に堆積した堆肥原料、即ち畜産糞等の有機性廃棄物を発酵槽内で攪拌し、その発酵を促進させる攪拌搬送装置が設けられている。
【0003】
この攪拌搬送装置として、例えば円筒状の発酵槽の上下方向に移動する無端状の堆肥原料掻揚げ体を、円筒状の発酵槽の中心回り及びその径方向に移動可能に設け、この無端状の帯体の背部に受圧板を設け、更にこの受圧板の背面に堆肥原料掻揚げ体によって掻揚げられた堆肥原料を発酵槽内に滑落させる誘導板を角度調整可能に設け、円形状の発酵槽における径方向寸法の大小に応じて、前述した誘導板の角度を調整して、堆肥原料の発酵槽の内周側に進む速度を調整するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−40787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の堆肥製造設備においては、一般的に、円筒形の発酵槽内の堆肥原料を攪拌搬送装置による撹拌移送によって発酵させながら発酵槽の中心側に移動させ、その底部中心から排出する構成になっている。この種の堆肥製造設備における堆肥原料の攪拌搬送装置は、発酵槽内の底部側の堆肥原料を上側の堆肥原料上に順次堆積しながら発酵槽の内側に移行させるものであるが、その機能は堆肥原料の発酵促進及び堆肥化処理量の向上の観点から重要な技術課題であるが、十分に解決されていないのが現状である。
【0006】
即ち、これまでに提案されている方式では、掻揚げ体によって掻揚げられた堆肥原料を、掻揚げ体の後方に順次移動させる場合に、発酵槽の径方向に設けた堆肥原料移動装置の性能が悪く、掻揚げ体によって掻揚げられた堆肥原料の全部が、発酵槽の径方向内側に意図通り順次移動されず、所定量の堆肥原料の投入不可、所定量の一次発酵堆肥の搬出不可と言う状況が発生することがあった。
【0007】
例えば、前述した特許文献1の記載のものでは、円筒形の発酵槽内の堆肥原料の層厚により、その堆肥原料の径方向への移動距離が変わってしまうため、堆肥原料の層厚が低い場合には、堆肥原料の径方向への移動距離が大きいことから、短い発酵日数で発酵槽の中心部から排出されてしまい、未発酵のものが搬出される。また、発酵槽内の堆肥原料が短い期間で搬出されることから、尚更、発酵槽内の堆肥原料の層厚は低くなり、その傾向が助長される。
【0008】
これとは逆に、堆肥原料の層厚が高い場合には、堆肥原料の径方向への移動距離が小さいことから、堆肥原料が発酵槽の中心部から搬出されるまでに、長い日数が掛かる。この場合は所定量の堆肥原料の投入、所定量の一次発酵完了堆肥の確保が困難となる。また、長い期間で発酵槽内の堆肥原料が搬送されることから、尚更、発酵槽内の堆肥原料の層厚は厚くなり、その傾向が助長される。
【0009】
つまり、上述した特許文献1の記載のものでは、一定量で堆肥原料を発酵槽の径方向内側に移送することができないという憾みがある。このため、一次発酵完了堆肥として品質の良好なものが得られないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の事柄に基づいてなされたもので、品質の安定した堆肥(一次発酵完了堆肥)を得ることができる堆肥製造設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するために、第1の発明は、発酵処理後の堆肥原料を中心部から排出する円筒状の発酵槽を備えた堆肥製造設備において、前記円筒状の発酵槽の中心部を支点とし前記発酵槽の周囲上面に沿って旋回する旋回フレームと、前記旋回フレームに設けられ、前記発酵槽の上下方向に周回可能に設けた掻揚げ体を有する撹拌機と、前記掻揚げ体の下方向折返し側上部で前記旋回フレームの長手方向に前記発酵槽の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けた複数の案内体を有する複数の堆肥原料受入装置と、前記各堆肥原料受入装置の下部に設けられ、堆肥原料を発酵槽の径方向内側に移送する移送装置と、前記各移送装置の排出口に前記発酵槽の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けられ、堆肥原料を発酵槽の径方向内側に案内する複数の案内体を有する案内装置とを備えたことを特徴とする堆肥製造設備にある。
【0012】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記移送装置は、前記各堆肥原料受入部にそれぞれ設けたケーシングと、このケーシング内に回転可能に設けた1つの回転軸と、この回転軸における前記各堆肥原料受入部に設けた回転羽根と、ケーシングに設けた排出口とを備えたことを特徴とする堆肥製造設備にある。
【0013】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記堆肥原料受入装置における各案内体の上端は、堆肥原料における平均堆積高さでの等分体積量によって設定される径方向幅の外側位置に対応し、前記案内装置における各案内体の下端は、次の堆肥原料における平均堆積高さでの等分体積量によって設定される径方向幅の中間に対応して配置したことを特徴とする堆肥製造設備にある。
【0014】
また、第4の発明は、発酵処理後の堆肥原料を中心部から排出する円筒状の発酵槽を備えた堆肥製造設備において、前記円筒状の発酵槽の中心部を支点とし前記発酵槽の周囲上面に沿って旋回する旋回フレームと、前記発酵槽内の堆肥原料を前記旋回フレームの後部側に掻き揚げるように前記発酵槽の上下方向に周回可能に設けた掻揚げ体を有する撹拌機と、前記堆肥原料の発酵日数と前記旋回フレームの1日当たりの周回回数との積によって決められた堆肥原料の略各等分体積量を受入て前記発酵槽の中心方向に移送した後にその内側の略各等分体積量部分位置に排出落下させる移送排出手段とを備えたことを特徴とする堆肥製造設備にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の堆肥製造設備によれば、攪拌搬送装置を構成する掻揚げ体によって掻揚げられた堆肥原料を、発酵槽の径方向内側に順次確実に移送することができるので、堆肥原料の発酵時間を均一に設定することができる。その結果、品質の安定した堆肥を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の堆肥製造設備の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の堆肥製造設備の一実施の形態を示す縦断正面図、図2は図1の平面図、図3は図1に示す本発明の堆肥製造設備の一実施の形態の左半分を拡大して示す縦断正面、図4は図3の部分平面図である。これらの図1乃至図4において、1は堆肥原料Aを発酵処理し堆肥化する円筒形の発酵槽で、この発酵槽1は底部1Aとこの底部1A上に設けた円環上の周壁1Bとで構成されている。2は発酵槽1の上部を覆う屋根、3は屋根2の中心部に設けた臭気排気口、4は堆肥原料を発酵槽1内に搬入する搬入コンベヤで、この搬入コンベヤ4の排出端は、発酵槽1の中心部に位置するように屋根2に支持されている。
【0017】
5は発酵槽1の底部中心に設けた排出用のシュート、6はシュート5の下方に設けた搬出コンベヤ、7は排出用のシュート5の上方に設けた案内シュートである。
【0018】
8は発酵槽1の底部中心に設けた旋回フレーム支持用の架台、9はこの架台8上に設けた投入コンベヤ支持用の架台、10は投入コンベヤ支持用のフレームで、このフレーム10の内側端は架台9上に回転可能に支持され、その外側端は駆動輪を介して屋根2内のレール11に連結されている。12は投入コンベヤ支持用のフレームの駆動装置で、この駆動装置12は架台9に設けられている。13は堆肥原料を発酵槽1内に落下投入する投入コンベヤで、この投入コンベヤ13はその支持用のフレーム10に移動可能に設けられている。
【0019】
14は発酵槽1の周壁1B上面に設けたレール、15は撹拌機支持用の旋回フレームで、この旋回フレーム7の内側端は架台9上に回転可能に支持され、その外側端は駆動輪16を介してレール14に連結されており、図2において時計方向に旋回する。17はその駆動装置である。
【0020】
18は発酵槽1内の堆肥原料を底部側から上方に掻揚げる撹拌機で、この撹拌機18は旋回フレーム15の長手方向に複数個並設されている。この実施の形態においては、5個の撹拌機18を旋回フレーム15の長手方向に並設している。19は撹拌機18によって掻揚げられた堆肥原料を撹拌機18の後面側上部で受入れる堆肥原料受入装置、20は堆肥原料受入装置19からの堆肥原料を発酵槽1の径方向内側に案内移送する移送装置、21は各移送装置20からの堆肥原料を下方に案内落下させる案内装置である。
【0021】
これらの撹拌機18、堆肥原料受入装置19、移送装置20及び案内装置21の詳細な構成は後述するが、この実施の形態においては、堆肥原料を1日1回の割合で発酵槽1内に投入し、堆肥原料投入後、攪拌機18を備える旋回フレーム15を1日1回の割合で周回させ、堆肥原料を12日間かけて一次発酵させて、発酵槽1内より外部に搬出するように、堆肥原料受入装置19、移送装置20及び案内装置21を配置構成している。
【0022】
なお、発酵槽1の容量は、1日の堆肥原料の所要投入量と堆肥原料の一次発酵の要する日数との積で決定される。
【0023】
また、図1及び図3における符号Lで示した2点鎖線は、発酵槽1内の堆肥原料の平均堆積高さを示す。また、各径方向幅の寸法W1からW12は、堆肥原料が平均高さの層厚で堆積した場合に、発酵槽1内の体積を12等分とした寸法を示し、各径方向幅の寸法W1からW12は、等分堆積となるようにするために、発酵槽1の内方に向かうに従って順次大きくなっている。
【0024】
図3は旋回フレーム15が1回周回を行った後に、投入コンベヤ13を介して堆肥原料を投入した時点での発酵槽1内の堆肥原料の堆積状態の様子を示しており、この図3には旋回フレーム15の周回時に形成された符号T2からT12で示す堆肥原料の堆積山と、堆肥原料の投入により形成された符号T1で示す堆肥原料の堆積山を図示している。
【0025】
前述した撹拌機18の構成を図5を用いて説明すると、この図5において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分である。22は撹拌機18の本体で、この本体22は発酵槽1の回転軸線と平行に旋回フレーム15に設けられている。23は本体22の上端に設けた駆動輪、24は本体22の下端に設けた遊動輪、25は駆動輪23と遊動輪24とに掛渡された無端状の帯体で、この帯体25はこの例では複数のリンクをピン軸で連結して構成したものを示している。この帯体25は図5において時計回りに周回移動するので、この帯体25の左側が前面側に、右側が後面となる。26は帯体25に設けた掻揚げ体で、この掻揚げ体26は帯体25の前面側に移動すると、帯体25に対して直交するように突出し、後面側に移動すると、帯体25と平行となるように収納される。
【0026】
次に、図3及び図4に戻り、堆肥原料受入装置19、移送装置20及び案内装置21の構成を図3及び図4を用いて説明すると、撹拌機18の掻揚げ体24によって掻揚げられた堆肥原料を受入れる複数の堆肥原料受入装置19は、帯体25の後面側即ち下方への折返部の上部で旋回フレーム15の長手方向に並設するように旋回フレーム15に設けられている。これらの堆肥原料受入装置19はホッパを構成するもので、旋回フレーム15と平行に設けた第1の側板27と、この側板27に対して間隔をもって旋回フレーム15側に向かって傾斜して設けた第2の側板28と、前記第1の側板27と第2の側板28との間で旋回フレーム15の中心に向かって順次緩やかな傾斜角をもって設けた複数の案内板29とで構成されている。
【0027】
前記第1の側板27と第2の側板28と案内板29との上端は、堆肥原料を受入れるための受入口を形成し、その下端は排出口を形成している。前述した各受入口における発酵槽1の径方向寸法は、各堆積山T1乃至T12の各径方向幅の寸法W1乃至W12に対応して設定されている。
【0028】
前述した各堆肥原料受入装置19からそれぞれ供給される堆肥原料を発酵槽1の径方向内側に移送させる移送装置20は、図3に示すように各堆肥原料受入装置19の下方の排出口に設けられ、発酵槽1の径方向内側端に排出口を有するケーシング30と、これらの各ケーシング30内を貫通して回転可能に設けた回転軸31と、各ケーシング30内の回転軸31に設けたスクリュ型の回転羽根32とで構成され、回転軸31の駆動装置33は旋回フレーム15の内側端に設けられている。
【0029】
前述した移送装置20から排出される堆肥原料をそれぞれ発酵槽1内に落下案内する案内装置21は、移送装置20におけるケーシング30の排出口に設けた案内板34を備えている。これらの案内板34は、前述した堆肥原料受入装置19における案内板29と同様に、発酵槽1の径方向内側に行くに従い各傾斜角を緩く設定している。これらの案内板34の下端は、撹拌機18が発酵槽1内を1周したときに、堆肥原料の各環状の等分体積、前述した1つの堆積山に相当する体積を、次の内側部分に移動させるように、次の堆肥原料の各等分体積部分の径方向幅の中間上に設定している。
【0030】
次に、上述した本発明の堆肥製造設備の一実施の形態の動作を説明する。
堆肥原料は、搬入コンベヤ4によって、発酵槽1の中心部に搬入され、その下方の投入コンベヤ13の内側端上に順次排出される。投入コンベヤ13は発酵槽1上を旋回し、その外周端から、堆肥原料を発酵槽1内に投入する。この作業により、発酵槽1内にあった符号T2から符号T12で示す堆積山に、符号T1で示す堆積山が追加される。
【0031】
この後、旋回フレーム15を旋回動させるとともに、撹拌機18の掻揚げ体24を周回駆動させると、発酵槽1の底部側で攪拌機18の前側にある堆肥原料は、撹拌機18の掻揚げ体26によって上方に移行されて、その後部にある堆肥原料受入装置19に投入される。堆肥原料受入装置19は受入れた堆肥原料を、移送装置20に投入する。移送装置20はその回転羽根32によって、順次投入される堆肥原料を発酵槽1の径方向内側に移送し、その排出口から排出する。
【0032】
移送装置20の排出口に設けた案内装置21を構成する案内板34は、移送装置20からの堆肥原料を、発酵槽1内に落下案内する。
【0033】
この動作により、図3の符号T1からT12で示す堆積山を一山分発酵槽1の内周側に移動し、符号T2から符号T12で示す堆肥原料の新たな堆積山が形成される。
【0034】
また、旋回フレーム15の周回前にあった符号T12で示す堆積山は、最内周側の攪拌機18により掻揚げられ落下する際に、シュート7を介してシュート5に落ち、一次発酵を完了した堆肥として搬出コンベヤ6により発酵槽1外に搬出される。
【0035】
そして、次の日に、前日に符号T1で示す堆積山のあった場所に、同じように堆肥原料が供給され、符号T1で示す新たな堆肥原料の堆積山が形成される。
【0036】
上述した動作の繰り返しにより、発酵槽1内における堆肥原料の全量を、発酵槽1の内側に1日づつ確実に移送させることができる。これによって、発酵槽1内に投入された堆肥原料は、滞留発酵期間として約12日間かかって発酵槽1の外に搬出される。
【0037】
この実施の形態によれば、発酵槽1内における堆肥原料の層厚の高低にかかわらず、発酵槽1内の堆肥原料を一定量づつ発酵槽1の内側に移送させ、その後、発酵槽1の中心部の排出口から排出したので、堆肥原料を確実に発酵処理することができる。その結果、良質な堆肥を提供することができる。
【0038】
図6は、本発明の堆肥製造設備の他の実施の形態を示すもので、この実施の形態において、図1乃至図5に示す符号と同一のものは同一部分または相当する部分である。この実施の形態は、堆肥原料受入装置19内で生じる堆肥原料のアーチ現象を抑えるために、移送装置20の排出口に対応する回転軸31の部分に羽根35を設け、また堆肥原料受入装置19における各案内板29の径方向の外側面に案内用の突出部36を設けたものである。
【0039】
この実施の形態においては、羽根35の回転により、この部分にある堆肥原料は、羽根35の接線方向に押し出されるが、羽根35の上部には、突出部36があるので、堆肥原料の上部方向への移動が抑えられ、堆肥原料は移送装置20の排出口側に押し出される。このことにより、堆肥原料は、円滑に案内装置21の案内体34を介して下方に落下する。
【0040】
特に、発酵処理前の堆肥原料は、その含水率が大きく、堆肥原料受入装置19内で付着し易いが、この付着現象を解消することができる。
【0041】
この実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様に、発酵槽1内の堆肥原料を一定量づつ発酵槽1の内側に移送させ、その後、発酵槽1の中心部の排出口から排出し、堆肥原料を確実に発酵処理することができるとともに、堆肥原料受入装置19内で生じる堆肥原料のアーチ現象を抑えて、堆肥原料受入装置19での堆肥原料の供給性を向上させることができる。
【0042】
図7及び図8は本発明の堆肥製造設備の更に他の実施の形態を示すもので、この実施の形態において、図1乃至図5に示す符号と同一のものは同一部分または相当する部分である。この実施の形態は、堆肥原料受入装置19の上下方向の寸法を極力小さくして、これに繋がる移送装置20を撹拌機18の後面側の最上部に配置し、さらに各移送装置20の各排出口にそれぞれ設けた案内板34の傾斜角を発酵槽1の径方向内側に向かうに従って同じか、緩やかになるように構成したものである。
【0043】
この実施の形態においては、前述した図1に示す実施の形態に比較して、案内装置21の案内体34の角度を急にすることができるので、堆肥原料における案内体34の付着を更に抑え、その落下を円滑にすることができる。
【0044】
この実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様に、発酵槽1内の堆肥原料を一定量づつ発酵槽1の内側に移送させ、その後、発酵槽1の中心部の排出口から排出し、堆肥原料を確実に発酵処理することができるとともに、発酵槽1の径方向外側の位置する粘性の大きい堆肥原料を発酵槽1内における次の堆積位置に円滑に投下することができる。
【0045】
なお、上述の実施の形態においては、移送装置20の回転羽根32をスクリュ形式でパドル型の羽根にすることも可能である。また、堆肥原料のスクリュ、パドル型の羽根及び堆肥原料受入装置19への付着を防止するために、これらを摩擦抵抗の少ないステンレス材で構成しても良いし、低摩擦のコーティング材を塗布することも可能である。
【0046】
また、移送装置20として、リボンスクリュを用いることも可能である。その理由は、リボンスクリュはその中心に軸を有しないため、粘度の大きな堆肥原料が付着しにくいためである。特に、発酵槽1内で順次発酵と乾燥が終わった内周側の堆肥原料に比べて、発酵槽1内の外周部における原料は粘性が大きいので有効である。
【0047】
更に、上述の実施の形態においては、案内装置21における案内板34及び堆肥原料受入装置19における案内板29の傾斜角度を、発酵槽1の径方向内側に行くに従い各傾斜角を緩く設定したが、各傾斜角度を同一に設定することも可能である。
【0048】
なお、上述の実施の形態においては、前述したように、堆肥原料を1日1回の割合で発酵槽1内に投入し、この堆肥原料投入後に、攪拌機18を備えた旋回フレーム15を1日1回の割合で周回させ、堆肥原料を12日間かけて一次発酵させ、発酵槽1の中心部から搬出するようにしたが、堆肥原料を1日1回の割合で発酵槽1内に投入し、この堆肥原料投入後に、攪拌機18を備えた旋回フレーム15を1日2回の割合で周回させることも可能である。この場合には、堆肥原料受入装置19,移送装置20及び案内装置21の数を2倍装備することにより、同様な機能を発揮することができる。
【0049】
この場合、案内板29、案内板34の傾斜角度を急に設定することができるので、付着性の強い堆肥原料を扱う場合に有効である。
【0050】
また、本実施の形態においては、投入された堆肥原料の体積が変わらないものとして説明したが、堆肥原料は発酵槽1内で一次発酵する(この実施の形態では12日間で一次発酵を完了させる構成にしている)と、発酵槽1内の堆肥原料の水分が減り、更に有機物の発酵が進み、堆肥原料の体積は、例えば20%程度減容する。この減容を考慮して厳密に処理管理する必要がある場合には、その減容量に応じて発酵槽1の内側に向かうに従って、前述した堆肥原料における各径方向幅の寸法W1からW12を決定し、この寸法に対応するように、前述した案内板29,34を配置構成することも可能である。
【0051】
また、撹拌機18の旋回フレーム15への取付構成上、案内板34を所定傾斜角度に設置できない場合には、傾斜角度を多少変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の堆肥製造設備の一実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】図1に示す本発明の堆肥製造設備の一実施の形態をII―II矢視から見た平面図である。
【図3】図1に示す本発明の堆肥製造設備の一実施の形態の左半分を拡大して示す縦断正面図である。
【図4】図3に示す本発明の堆肥製造設備の一実施の形態の左半分の平面図である。
【図5】図1に示す本発明の堆肥製造設備の一実施の形態を構成する撹拌機を拡大して示す側面図である。
【図6】本発明の堆肥製造設備の他の実施の形態を示す部分縦断正面図である。
【図7】本発明の堆肥製造設備の更に他の実施の形態の左半分を拡大して示す縦断正面図である。
【図8】図7に示す本発明の堆肥製造設備の更に他の実施の形態を構成する撹拌機部分を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 円筒形の発酵槽
2 屋根
4 搬入コンベヤ
5 排出用のシュート
6 搬出コンベヤ
7 案内シュート
13 投入コンベヤ
15 旋回フレーム
18 撹拌機
19 堆肥原料受入装置
20 移送装置
21 案内装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵処理後の堆肥原料を中心部から排出する円筒状の発酵槽を備えた堆肥製造設備において、前記円筒状の発酵槽の中心部を支点とし前記発酵槽の周囲上面に沿って旋回する旋回フレームと、前記旋回フレームに設けられ、前記発酵槽の上下方向に周回可能に設けた掻揚げ体を有する撹拌機と、前記掻揚げ体の下方向折返し側上部で前記旋回フレームの長手方向に前記発酵槽の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けた複数の案内体を有する複数の堆肥原料受入装置と、前記各堆肥原料受入装置の下部に設けられ、堆肥原料を発酵槽の径方向内側に移送する移送装置と、前記各移送装置の排出口に前記発酵槽の径方向内側に従って同じか斬次緩やかな傾斜角をもって設けられ、堆肥原料を発酵槽の径方向内側に案内する複数の案内体を有する案内装置とを備えたことを特徴とする堆肥製造設備。
【請求項2】
前記移送装置は、前記各堆肥原料受入部にそれぞれ設けたケーシングと、このケーシング内に回転可能に設けた1つの回転軸と、この回転軸における前記各堆肥原料受入部に設けた回転羽根と、ケーシングに設けた排出口とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の堆肥製造設備。
【請求項3】
前記堆肥原料受入装置における各案内体の上端は、堆肥原料における平均堆積高さでの等分体積量によって設定される径方向幅の外側位置に対応し、前記案内装置における各案内体の下端は、次の堆肥原料における平均堆積高さでの等分体積量によって設定される径方向幅の中間に対応して配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の堆肥製造設備。
【請求項4】
発酵処理後の堆肥原料を中心部から排出する円筒状の発酵槽を備えた堆肥製造設備において、前記円筒状の発酵槽の中心部を支点とし前記発酵槽の周囲上面に沿って旋回する旋回フレームと、前記発酵槽内の堆肥原料を前記旋回フレームの後部側に掻き揚げるように前記発酵槽の上下方向に周回可能に設けた掻揚げ体を有する撹拌機と、前記堆肥原料の発酵日数と前記旋回フレームの1日当たりの周回回数との積によって決められた堆肥原料の略各等分体積量を受入て前記発酵槽の中心方向に移送した後にその内側の略各等分体積量部分位置に排出落下させる移送排出手段とを備えたことを特徴とする堆肥製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−27953(P2006−27953A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209853(P2004−209853)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】