説明

塗工液

【課題】
新聞原紙に塗工して新聞用紙を得るために用いられ、優れた消泡力を有し、消泡剤と顔料が凝集したりスカムが発生したりしない塗工液を提供することである。
【解決手段】
新聞用紙を生産するために用いられる塗工液であって、顔料(A)、澱粉(B)及びポリオキシアルキレン型消泡剤(C)を必須成分としてなることを特徴とする塗工液を用いる。澱粉(B)の含有量は顔料の重量に基づいて20〜70重量%が好ましい。ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)は、式(1)で示されることが好ましい。

〔-X(-AO)m-Y-R〕n (1)

[式中、AOは炭素数2〜8のオキシアルキレン基、R及びRは水素原子又は炭素数1〜24の有機基、X及びYはエステル結合又はエーテル結合、mは1〜75の整数、nは1〜8の整数を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞原紙に塗工して新聞用紙を得るための塗工液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞原紙に塗布する塗工液は、バインダー{たとえば、澱粉、ポリビニルアルコール}を主成分とし、必要に応じてサイズ剤、消泡剤、防腐剤等の助剤を添加されている。
【0003】
一方、高い不透明度、優れたカラー印刷適性及び優れた印刷作業性等を得るために、顔料とバインダーとからなる塗工液が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平11−217797号公報
【特許文献2】特開2006−169706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記塗工液を循環使用すると、塗工液が発泡するという問題がある。この問題を解決するために、種々の消泡剤を添加検討されているが、消泡力が不足したり、消泡剤と新聞原紙又は塗工液に含まれる顔料が凝集したり、機械安定性不良によりスカムが発生するという問題がある。そこで、本発明の目的は、優れた消泡力を有し、消泡剤と顔料が凝集したり、スカムが発生したりしない塗工液、及びこの塗工液に好適な消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の塗工液の特徴は、新聞原紙に塗工して新聞用紙を得るための塗工液であって、
顔料(A)、澱粉(B)及びポリオキシアルキレン型消泡剤(C)を必須成分としてなる点を要旨とする。
【0006】
本発明の新聞用紙の製造方法の特徴は、上記の塗工液を新聞原紙に塗布する工程を含む点を要旨とする。
【0007】
本発明の消泡剤の特徴は、上記の塗工液に用いられるポリオキシアルキレン型消泡剤(C)であって、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を含む点を要旨とする。
【0008】

〔-X(-AO)m-Y-R〕n (1)

[式中、AOは炭素数2〜8のオキシアルキレン基、R及びRは水素原子又は炭素数1〜24の有機基、X及びYはエステル結合又はエーテル結合、mは1〜75の整数、nは1〜8の整数を示す。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗工液は、優れた消泡力を有し、消泡剤と顔料が凝集したりスカムが発生したりしない。したがって、本発明の塗工液を用いると、高い不透明度、優れたカラー印刷適性及び優れた印刷作業性等を有する新聞用紙を容易に得ることができる。
【0010】
本発明の新聞用紙の製造方法は、上記の塗工液を用いるので、高い不透明度、優れたカラー印刷適性及び優れた印刷作業性等を有する新聞用紙を容易に得ることができる。
【0011】
本発明の消泡剤は、上記の塗工液に適用すると、優れた消泡力を発揮し、消泡剤と顔料が凝集したりスカムが発生したりしない。したがって、本発明の消泡剤を用いると、高い不透明度、優れたカラー印刷適性及び優れた印刷作業性等を有する新聞用紙を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
顔料(A)としては、紙塗工用に一般に使用されている公知{たとえば、紙パルプ製造技術シリーズ▲8▼ コーティング、紙パルプ技術協会編、1993年発行}の無機顔料及び有機顔料が含まれる。
【0013】
無機顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、デラミネーテッドクレー、カオリン、タルク、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、クロライト、含水ケイ酸、無水ケイ酸及びケイ酸塩等が挙げられる。
【0014】
有機顔料としては、プラスチックピグメント(ポリスチレン及びスチレン/ブタジエン共重合体等)が挙げられる。
【0015】
これらの顔料のうち、無機顔料が好ましく、さらに好ましくは重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク及び酸化チタンである。これらの顔料は1種又は2種以上を併用して使用できる。
【0016】
顔料(A)の大きさや形状は、紙塗工用に一般に使用されている範囲であれば特に制限はない。
【0017】
澱粉(B)としては、紙塗工用に一般に使用されている公知{たとえば、紙パルプ製造技術シリーズ▲8▼ コーティング、紙パルプ技術協会編、1993年発行}の生澱粉、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉及び酵素変性澱粉等が含まれる。
【0018】
これらの澱粉のうち、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉及びヒドロキシエチルエーテル化澱粉が好ましい。
【0019】
澱粉(B)の形態は、特に限定されず、水溶液、粒状又は粉状等のいずれも使用できる。
【0020】
澱粉(B)の含有量(重量%)は、顔料(A)の重量に基づいて、20〜70が好ましく、さらに好ましくは30〜50である。この範囲であると、印刷適性及び顔料の原子に対する接着性がさらに良好となる。
【0021】
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)は、オキシアルキレン基を複数有するタイプの消泡剤であり、ポリエーテル型消泡剤ともいわれているものである。
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)は、ポリオキシアルキレン鎖(オキシアルキレン基を複数有する鎖)を分子内に持っていれば化学構造に制限はないが、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を含むことが好ましい。
【0022】
オキシアルキレン基(AO)の炭素数は、2〜8であり、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3である。この範囲であると、塗工液に対する消泡性能がさらに良好となる。
【0023】
(-AO)m-は、m個のオキシアルキレン基(AO)を含むが、複数種類のオキシアルキレン基を含んでいてもよい。複数種類のオキシアルキレン基を含んでいる場合、ランダム状であってもよいし、ブロック状でもよく、ランダム状及びブロック状を組み合わせてあってもよい。塗工液に対する消泡性能の観点から、ブロック状を含むことが好ましい。
【0024】
及びRのうち、炭素数1〜24の有機基としては、アルコールから水酸基を除いた残基、カルボン酸からカルボキシ基を除いた残基、酸無水物からカルボキシ基を除いた反応残基、酸ハロゲン化物からハロゲンを除いた残基、カルボン酸エステルからカルボキシ基を除いた反応残基、アルキルハロゲン化物からハロゲンを除いた残基及びエポキシ化合物から酸素原子を除いた反応残基が含まれる。
【0025】
<n=1の場合>
アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オクタデセノール、イソオクタデカノール、オクチルドデカノール、フェノール、ベンジルアルコール、ノニルフェノール及びジノニルフェノール等が挙げられる。
【0026】
カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、イソオクタデカン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ナフテン酸及びトール油脂肪酸等が挙げられる。
【0027】
酸無水物としては、無水酢酸及び無水プロピオン酸等が挙げられる。
【0028】
酸ハロゲン化物としては、プロピオン酸クロリド、ベンゾイルクロリド及びステアリン酸ブロミド等が挙げられる。
【0029】
カルボン酸エステルとしては、プロピオン酸エチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、大豆油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油及び牛脂等が挙げられる。
【0030】
アルキルハロゲン化物としては、メチルクロリド、プロピルブロミド、ブチルクロリド、オクチルブロミド、ラウリルクロリド、ミリスチルブロミド、セチルブロミド及びステアリルブロミド等が挙げられる。
【0031】
エポキシ化合物としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デカニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、エポキシヘキサン、エポキシヘプタン、エポキシトリデカン、エポキシペンタデカン及びエポキシオクタデカン等が挙げられる。
【0032】
<n=2の場合>
アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチルプロパンジオール、カテコール、ビスフェノール、ヒドロキシオクタデシルアルコール及びヒドロキシオクタデセニルアルコール等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸としては、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸、乳酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸及びサリチル酸等が挙げられる。
【0034】
カルボン酸エステルとしては、イタコン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、ドデカンジカルボン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジイソプロピル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、ダイマー酸ジメチル及び乳酸ジメチル等が挙げられる。
【0035】
酸無水物としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
【0036】
アルキレンハロゲン化物としては、メチレンジクロリド及びエチレンジブロミド等が挙げられる。
【0037】
エポキシ化合物としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
<n=3の場合>
アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールオクタン及びヘキサントリオール等が挙げられる。
【0039】
カルボン酸としては、リンゴ酸及びジメチロールブタン酸等が挙げられる。
【0040】
エポキシ化合物としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0041】
<n=4の場合>
アルコールとしては、ジグリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタン等が挙げられる。
【0042】
カルボン酸としては、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸及び酒石酸等が挙げられる。
【0043】
エポキシ化合物としては、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル及びソルビタンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0044】
<n=6の場合>
アルコールとしては、ソルビトール、テトラグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0045】
カルボン酸としては、グルコン酸等が挙げられる。
【0046】
エポキシ化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0047】
<n=8の場合>
アルコールとしては、ヘキサグリセリン及びショ糖等が挙げられる。
【0048】
及びRのうち、消泡性能等の観点から、少なくとも一方が炭素数1〜24の有機基であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも一方がn=1の場合に例示した化合物(アルコール、カルボン酸、酸無水物、酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、アルキルハロゲン化物及びエポキシ化合物、特に好ましくはn=1の場合に例示したアルコール、カルボン酸、酸無水物、酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル及びアルキルハロゲン化物)であることである。
【0049】
mは、1〜75の整数であり、好ましくは10〜60の整数、さらに好ましくは15〜50の整数、特に好ましくは20〜40の整数である。この範囲であると、消泡性能がさらに良好となる。
【0050】
nは、1〜8の整数であり、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3、最も好ましくは1である。この範囲であると、取扱性(粘度等)及び消泡性能がさらに良好となる。
【0051】
X及びYは、エステル結合又はエーテル結合のいずれかを示す。なお、R又はRが水素原子の場合、R又はRと、X又はYと共に水酸基を示す。
X及びYのうち、消泡性能等の観点から、エステル結合が好ましい。
【0052】
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)の製造方法としては、公知のエステル化反応、エーテル化反応、エポキシ化反応、ウイリアムソン合成反応及びアルキレンオキシド付加反応等で製造することができる。
【0053】
エーテル結合は、(1)必要に応じて酸触媒又はアルカリ触媒を用いて、アルコールとアルキレンオキシドとを付加反応させる方法、(2)ポリオキシアルキレン化合物を金属ナトリウムでアルコラートにしてからハロゲン化合物を反応させるか、アルカリ触媒下でハロゲン化合物を反応させる方法(ウイリアムソン合成反応)、(3)酸触媒又はアルカリ触媒を用いてポリオキシアルキレン化合物とエポキシ化合物とを反応させる方法、又は(4)酸触媒又はアルカリ触媒を用いてポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルとアルコールとを反応させる方法等により形成することができる。これらの他に、アルキル硫酸(ジメチル硫酸及びジエチル硫酸等)をポリオキシアルキレン化合物に反応させて、エーテル結合を形成することもできる。
【0054】
エステル結合は、(1)酸触媒又はアルカリ触媒を用いて、カルボン酸とアルキレンオキシドとを反応させる方法、(2)必要に応じて酸触媒又はアルカリ触媒を用いてポリオキシアルキレン化合物と酸無水物又は酸ハロゲン化物を反応させる方法、又は(3)酸触媒又はアルカリ触媒を用いてカルボン酸エステルとポリオキシアルキレン化合物とのエステル交換反応させる方法により形成することができる。これらの他に、ジケテンをポリオキシアルキレン化合物に反応させて、エステル結合を形成することもできる。
【0055】
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)には、溶媒を含有することができる。
溶媒としては、水、アルキレングリコール(オキシアルキレン基の数1〜3;エチレングリコール及びプロピレングリコール等)、動植物油(菜種油及び鯨油等)及び鉱物油(流動パラフィン及び潤滑油等)等が含まれる。
【0056】
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)の含有量(重量%)は、顔料(A)の重量に基づいて、0.005〜2が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1である。この範囲であると、消泡性能及び印刷適性がさらに良好となる。
【0057】
本発明の塗工液は、必要に応じて、バインダー{たとえば、合成ラテックス(スチレンブタジエンラテックス、カルボキシル変性スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス及びエチレン酢ビ系ラテックス等)、ポリビニルアルコール、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等}及び/又は助剤(サイズ剤及び防腐剤等)を含有してもよい。
【0058】
本発明の塗工液は、顔料(A)を水に分散した顔料水分散液と、澱粉(B)と水に溶解した澱粉水溶液と、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)とを、公知の方法で均一混合することにより容易に得られる。
【0059】
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C)は、塗工液の製造の際にだけ混合してもよいが、塗工液を新聞原紙に塗工する際にも塗工液に添加混合してもよい。
塗工液を新聞原紙に塗工する際に添加混合する場合、ポリオキシアルキレン型消泡剤の添加方法としては、一括添加、連続添加又は断続添加のいずれでもよく、1ケ所添加又は多点添加のいずれでもよい。
【0060】
新聞原紙とは、印刷により新聞を製造するための新聞用紙の原紙を意味する。したがって、新聞原紙には、機械パルプ、化学パルプ及び/又は古紙パルプ等を含む原紙である。
【0061】
新聞原紙には、さらに必要に応じて、填料(タルク、炭酸カルシウム、クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム及びシリカ等)及び/又は抄紙用薬品(たとえば、紙パルプ製造技術シリーズ▲5▼ 紙料の調成、紙パルプ技術協会編、1992年発行に記載された抄紙用薬品)を配合することができる。
【0062】
新聞原紙は、坪量35〜52g/m程度に抄造されたものであり、抄紙方法(たとえば、酸性抄紙、中性抄紙)については特に限定されるものではない。
【0063】
本発明の塗工液を新聞原紙に塗工する方法としては、ロールコーター(ゲートロールコータ、シムサイザ及びブレードメタリングサイズプレス等)、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、エアナイフコーター及びカーテンコーター等が用いられる。
【0064】
塗工液の塗工量としては、片面当たり0.5〜5.0g/m程度である。
【0065】
本発明の塗工液を塗布して得られた新聞用紙は、マシンカレンダー、スーパーカレンダー又は高温ソフトニップカレンダー等で平滑化処理を行ってもよい。
【実施例】
【0066】
以下に実施例及び比較例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部及び%は特に断りのない限り、それぞれ重量部及び重量%を意味する。
【0067】
<製造例1>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、オクタデカノール271部(1モル)及び水酸化カリウム2部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、プロピレンオキシド1162部(20モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにして付加反応を行った。次いで、エチレンオキシド132部(3モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)を得た。
【0068】
<製造例2>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、ポリオキシプロピレングリコール(プロピレンオキシド30モル付加物)1744部(1モル)及び水酸化カリウム2部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、エチレンオキシド220部(5モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C2)を得た。
【0069】
<製造例3>
窒素雰囲気減圧下、120〜150℃で、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(エチレンオキシド5モル、プロピレンオキシド30モル、エチレンオキシド5モルのブロック共重合物)2185部(1モル)、オクタデセン酸565部(2モル)及びp−トルエンスルホン酸15部を仕込み、エステル化反応し、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C3)を得た。
【0070】
<製造例4>
窒素雰囲気減圧下、120〜150℃で、ポリオキシアルキレン化合物(C2)1965部(1モル)、テトラデカン酸457部(2モル)及びp−トルエンスルホン酸7部を仕込み、エステル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C4)を得た。
【0071】
<製造例5>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、2−エチルヘキサノール130部(1モル)及び水酸化カリウム2部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、プロピレンオキシド581部(10モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにして付加反応を行った。次いで、エチレンオキシド220部(5モル)及びブテンオキシド216(3モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行った。次いで、80℃で、水酸化カリウム56部及び塩化メチル50部(1モル)を用いてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C5)を得た。
【0072】
<製造例6>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、グリセンリン92部(1モル)及び水酸化カリウム2部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、プロピレンオキシド871部(15モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにして付加反応を行った。次いで、エチレンオキシド176部(4モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C6)を得た。
【0073】
<製造例7>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、テトラデカン酸228部(1モル)及び水酸化カリウム3部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、プロピレンオキシド1742部(30モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行った。次いで、エチレンオキシド661部(15モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C7)を得た。
【0074】
<製造例8>
窒素雰囲気減圧下、120〜150℃で、ポリオキシエチレングリコール(エチレンオキシド14モル付加物)617部(1モル)、オクタデセン酸565部(2モル)及びp−トルエンスルホン酸5部を仕込み、エステル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C8)を得た。
【0075】
<製造例9>
窒素雰囲気減圧下、120℃で、ポリオキシプロピレングリコール(プロピレンオキシド55モル付加物)3194部(1モル)及び水酸化カリウム3.4部を仕込み、1時間脱水した後、130℃で、エチレンオキシド793部(18モル)を、ゲージ圧が98〜294kPaとなるようにしてエーテル化反応を行ってポリオキシアルキレン型消泡剤(C9)を得た。
【0076】
<製造方法10>
ポリオキシプロピレングリコール(プロピレンオキシド50モル付加物)65部、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C8)25部、水5部、ジプロピレングリコール5部を均一混合してポリオキシアルキレン型消泡剤(C10)を得た。
【0077】
<製造方法11>
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C3)70部、ポリオキシプロピレングリコール(プロピレンオキシド50モル付加物)25部、水5部を均一混合してポリオキシアルキレン型消泡剤(C11)を得た。
【0078】
<製造方法12>
ポリオキシアルキレン型消泡剤(C4)70部、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C9)15部、ジプロピレングリコール10部、水5部を均一混合してポリオキシアルキレン型消泡剤(C12)を得た。
【0079】
<実施例1>
顔料(A1)(重質炭酸カルシウム、FMT−95;株式会社ファイマテック製)80部、顔料(A2)(カオリン、MIRAFILM 300 ;菱三商事株式会社)15部、顔料(A3)(タルク、タルクNTP2;日本タルク株式会社製)5部及び分散剤(SNディスパーサント5040;サンノプコ株式会社製)0.1部を、High−Flex Disperser HG−92(株式会社エス・エム・テー製)を用いて、水39部に分散して、濃度72%の顔料分散液に調製した。この分散液に、澱粉(B1)(酸化澱粉、MS3800;日本食品加工株式会社製)45部、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部及びサイズ剤(ポリマロンNS−25;荒川化学工業株式会社製、「ポリマロン」は同社の登録商標である。)5部を配合した後、水を加えて濃度40%に調整して、本発明の塗工液(1)を得た。
【0080】
<実施例2>
澱粉(B1)の量を「45部」から「20部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C2)2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(2)を得た。
【0081】
<実施例3>
澱粉(B1)の量を「45部」から「50部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C3)0.05部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(3)を得た。
【0082】
<実施例4>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C4)0.005部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(4)を得た。
【0083】
<実施例5>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C5)0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(5)を得た。
【0084】
<実施例6>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C6)0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(6)を得た。
【0085】
<実施例7>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C7)0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(7)を得た。
【0086】
<実施例8>
澱粉(B1)の量を「45部」から「25部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C10)2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(8)を得た。
【0087】
<実施例9>
澱粉(B1)の量を「45部」から「70部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C11)1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(9)を得た。
【0088】
<実施例10>
澱粉(B1)の量を「45部」から「60部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C12)1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(10)を得た。
【0089】
<実施例11>
澱粉(B1)の量を「45部」から「50部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C3)2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(11)を得た。
【0090】
<実施例12>
澱粉(B1)の量を「45部」から「30部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C4)0.25部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(12)を得た。
【0091】
<実施例13>
澱粉(B1)の量を「45部」から「20部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C4)0.25部」に変更したこと、澱粉(B1)と共にバインダー(スチレンブタジエンラテックス、2635G;JSR株式会社製)5部を配合したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の塗工液(13)を得た。
【0092】
<比較例1>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「水0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗工液(H1)を得た。
【0093】
<比較例2>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「動植物鉱物油消泡剤(HC1)(ノプコ DF−122−NS;サンノプコ株式会社製、「ノプコ」はコグニス・ドイッチュランド・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフトの登録商標である。)2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗工液(H2)を得た。
【0094】
<比較例3>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「ワックスエマルション消泡剤(HC2)(ノプコ 1407−K;サンノプコ株式会社製、「ノプコ」はコグニス・ドイッチュランド・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフトの登録商標である。)1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗工液(H3)を得た。
【0095】
<比較例4>
「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「シリコーン消泡剤(HC3)(SN デフォーマー 327;サンノプコ株式会社製)1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗工液(H4)を得た。
【0096】
<比較例5>
澱粉(B1)の量を「45部」から「0部」に変更したこと、及び「ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部」を「「動植物鉱物油消泡剤(HC1)2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の塗工液(H5)を得た。
【0097】
実施例1〜13及び比較例1〜5で得た塗工液について、消泡力及び凝集物発生性を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0098】
<評価方法>
(1)消泡力
塗工液160gを200mlのガラスビンに入れ、40℃に温度調節した後、High−Flex Disperser HG−92(株式会社エス・エム・テー、攪拌羽根;ディスパー型)を用いて、3500rpmの回転数で5分間攪拌した。そして、塗工液を100mlの金属製比重瓶(JIS K5600−2−4:1999)に入れ、塗工液の比重を測定した。そして、この比重を消泡力とした。なお、比重が大きいほど消泡力が高いといえる。なお、攪拌していない塗工液の比重を同様に測定しブランクとした。
【0099】
(2)塗工液の凝集物発生性
塗工液をステンレス製金網(JIS Z8801−1:2006、公称目開き45μm)でろ過して調製した測定試料160gを200mlのガラスビンに入れ、40℃に温度調節した後、High−Flex Disperser HG−92(株式会社エス・エム・テー社製)を用いて、4000rpmの回転数で10分間攪拌した後、再び、新たなステンレス製金網でろ過し、残った残渣を105℃×1時間乾燥して、重量(w1)を測定し、次式により残渣率を求め、この残渣率を凝集物発生性とした。なお、残渣率が少ないほど凝集物発生性が低いといえる。なお、(c1)は、105℃×1時間の乾燥条件で求めた濃度である。
【0100】

残渣率(重量%)=(w1)×100/160×(c1)
【0101】
【表1】




【0102】
本発明の塗工液(実施例1〜13)は、比較用の塗工液(比較例1〜5)に比較して、著しく比重が高く、残渣率が少なかった。すなわち、本発明の塗工液は、消泡力に優れ、消泡剤と顔料とが凝集したり、スカムが発生しにくかった。また比較例4の塗工液において比重が高かったが、残渣率が著しく高く、スカム及びピッチトラブルが発生すると考えられる。
【0103】
<実施例14>
実施例1で得た塗工液(1)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙(酸性新聞原紙;秤量43g/m)に両面塗工し、新聞用紙(1)を得た。
【0104】
<実施例15>
実施例3で得た塗工液(3)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(2)を得た。
【0105】
<実施例16>
実施例9で得た塗工液(9)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(3)を得た。
【0106】
<実施例17>
実施例12で得た塗工液(12)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(4)を得た。
【0107】
<実施例18>
実施例13で得た塗工液(13)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(5)を得た。
【0108】
<比較例6>
比較例1で得た塗工液(H1)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(H1)を得た。
【0109】
<比較例7>
比較例2で得た塗工液(H5)を水で20%に希釈した後、塗工量が片面当たり1g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(H2)を得た。
【0110】
<比較例8>
澱粉(B1)(酸化澱粉、MS3800;日本食品加工株式会社製)100部、ポリオキシアルキレン型消泡剤(C1)0.5部及びサイズ剤(ポリマロンNS−25;荒川化学工業株式会社製)5部を水に溶解して、濃度10%の塗工液(H6)を調製した後、これを塗工量が片面当たり0.5g/m になるように新聞原紙に両面塗工し、新聞用紙(H3)を得た。
【0111】
実施例14〜18及び比較例6〜8で得た新聞用紙について、不透明度、印刷適性及び印刷作業性を評価し、これらの評価結果を表2に示した。
【0112】
<評価方法>
(3)不透明度
JAPAN TAPPI No.45に準拠して測定した。
【0113】
(4)印刷適性
印刷適性試験機{石川島産業機械株式会社、RI−1型}を用いてインキセットを測定し、このインキセットをカラー印刷適性とした。なお、次の基準で評価した。
【0114】
○:インキ濃度が薄い。
△:インキ濃度がやや濃い。
×:インキ濃度が濃い。
【0115】
(5)印刷作業性
印刷適性試験機{石川島産業機械株式会社、RI−1型}を用いてピック強度を測定し、このピック強度を印刷作業性とした。なお、次の基準で評価した。
【0116】
○:紙面にムケはほとんど認められない。
△:紙面にかすかなムケが認められる。
×:紙面にムケが多く認められる。
【0117】
【表2】



【0118】
本発明の塗工液を用いて製造した新聞用紙(実施例14〜18)は、比較例6〜8で製造した新聞用紙に比較して、不透明度が高く、インクセット性が優れており、ピック強度が高かった。また、比較例6の塗工液において不透明度が高く良好であったが、インクセット性が著しく悪く、印刷適性が不良の新聞用紙しか得られないと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新聞原紙に塗工して新聞用紙を得るための塗工液であって、
顔料(A)、澱粉(B)及びポリオキシアルキレン型消泡剤(C)を必須成分としてなることを特徴とする塗工液。
【請求項2】
澱粉(B)の含有量が顔料の重量に基づいて20〜70重量%である請求項1に記載の塗工液。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗工液を新聞原紙に塗布する工程を含むことを特徴とする新聞用紙の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の塗工液に用いられるポリオキシアルキレン型消泡剤(C)であって、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を含むことを特徴とする消泡剤。

〔-X(-AO)m-Y-R〕n (1)

[式中、AOは炭素数2〜8のオキシアルキレン基、R及びRは水素原子又は炭素数1〜24の有機基、X及びYはエステル結合又はエーテル結合、mは1〜75の整数、nは1〜8の整数を示す。]
【請求項5】
式(1)において、AOがオキシエチレン基とオキシプロピレン基との混合、R及びRが水素原子又は炭素原子数8〜18の有機基、X及びYがエステル結合又はエーテル結合、mが1〜75の整数、nが1である請求項4に記載の消泡剤。

【公開番号】特開2009−209492(P2009−209492A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55591(P2008−55591)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】