説明

塗布具付き容器および該容器を用いた化粧品、並びに化粧方法

【課題】 簡単な操作により、異なる特性を有する2種類の内容物を使用者の好みに応じて任意の配合で混合し塗布することも、またそれぞれを単独に塗布することも可能とする用時混合型の塗布具付き容器の提供。
【解決手段】第1の内容物を収容する第一収容部を備えた容器本体と、該容器本体の口部に装着自在に形成され、第2の内容物を収容する第二収容部を備えるとともに、その開口部には塗布軸と該塗布軸先端に形成された塗布体からなる塗布具が垂設されたキャップ部とを有する塗布具付き容器であって、前記塗布体には吐出口が形成されるとともに、前記塗布具内には前記第二収納部から該吐出口へと連通する通路部が形成されており、キャップ部内に設けられた吐出手段により、第二収納部内の内容物が前記通路部を通って前記吐出口より吐出されることを特徴とする塗布具付き容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関し、更に詳細には、異なる特性を有する2種類の内容物を収容し、それぞれを単独に塗布することも、また使用者の好みに応じて使用時に任意の配合で混合し、塗布することも可能とする塗布具付き容器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2種類の異なる内容物を別々に収容し、使用時にそれらを混合して塗布することができる、いわゆる用時混合型の塗布具付き容器として、特許文献1には、使用時に各内容物を一定の比率で混合して塗布することが可能な容器が開示されている。
【0003】
しかしながら、このものは各内容物の混合比があらかじめ決まっているため、使用者の好みに応じて各内容物を任意の配合で混合することはできず、配合の比率を変えるにはパッケージの設計そのものを変更して管理する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−226376
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、従来の用時混合型塗布具付き容器のかかる欠点を克服し、簡単な操作により、異なる特性を有する2種類の内容物を使用者の好みに応じて任意の配合で混合し塗布することも、またそれぞれを単独に塗布することも可能とする用時混合型の塗布具付き容器の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、第1の内容物を収容する第一収容部を備えた容器本体と、該容器本体の口部に装着自在に形成され、第2の内容物を収容する第二収容部を備えるとともに、その開口部には塗布軸と該塗布軸先端に形成された塗布体からなる塗布具が垂設されたキャップ部とを有する塗布具付き容器であって、前記塗布体には吐出口が形成されるとともに、前記塗布具内には前記第二収納部から該吐出口へと連通する通路孔が形成されており、キャップ部内に設けられた吐出手段により、第二収納部内の内容物が前記通路部を通って前記吐出口より吐出されることを特徴とする塗布具付き容器である。
【0007】
また、本発明は、前記塗布具付き容器の、前記第一収容部および前記第二収容部にそれぞれ種類の異なる粘性液状の第1の化粧料と第2の化粧料を収容することを特徴とする用時混合型化粧品である。
【0008】
更に、本発明は、前記塗布具付き容器を用いて、その前記第一収容部および前記第二収容部にはそれぞれ種類の異なる粘性液状の第1の化粧料と第2の化粧料を収容し、前記第一収容部内に所望量の前記第二収容部の第2の化粧料を吐出させ、第1の化粧料と第2の化粧料とを任意の配合比にて混合して、被塗布部位に塗布することを特徴とする化粧方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗布具付き容器は、使用者の好みに応じて簡単な操作により第1と第2の内容物を任意の配合で混合し、塗布することができる。また、好みに応じて、いずれかの内容物のみ塗布することも可能である。
【0010】
さらに、本発明の塗布具付き容器は、第1の内容物のみ塗布し、その後、同じ部位に第2の内容物を重ね塗りすることも容易にできる。この場合、重ね塗りする部分とどちらか一方のみを塗布する部分を併存させて、両者を被塗布部に不均一に塗布することにより模様等を描くことも、簡単な操作で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の塗布具付き容器の平面図。 (b)は本発明の塗布具付き容器の正面図。
【図2】本発明の塗布具付き容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の塗布具付き容器の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0013】
図1(a)は、本発明の塗布具付き容器の平面図、図1(b)は同正面図、図2は同断面図である。図中、1は容器本体、2はキャップ部、3はノック式吐出手段、4は塗布具、さらに、11は容器口部、12は第一収容部、13はゴム部材、14はシゴキ部、21はキャップ開口部、22は第二収容部、23は後部開口、31はノック部材、32は筒部、33はネジ棒、34はクラッチ、35は回転部材、36はスプリング、37はジョイント、38はピストン、41は塗布軸、42は塗布体、43は通路孔、44は吐出口、45は植毛部をそれぞれ示す。
【0014】
図に示すように、本発明の塗布具付き容器は、有底筒状の容器本体1および容器本体1の口部11に装着される筒状のキャップ部2からなり、容器本体1とキャップ部2の内部には、それぞれ異なる特性を有する内容物を収容できる第一収容部12と第二収容部22が形成されている。そして、キャップ部2内には吐出手段3が設けられており、その一部であるノック部材31がキャップ部2の後端より露出している。
【0015】
容器本体1の構成は以下の通りである。容器本体1内には第一収容部12が形成されており、第1の内容物を収容するとともに、キャップ部2を容器本体1に装着した際に、塗布具4を収納する。容器本体1の口部11の外周部はキャップ部2が装着できるように形成されており、その内周部には筒状のゴム部材13が嵌着されている。さらに、かかるゴム部材13の内周面のおよそ中間部にはゴム部材13と同一の材質からなるシゴキ部14が鍔状に突設されている。シゴキ部14が形成されている部分の開口径は塗布軸41の外径よりも小さくなるよう形成され、さらに、シゴキ部14は弾性部材で形成されているため、第一収容部12内から塗布具4を引き抜く際、シゴキ部14が塗布軸41に押し付けられ、塗布軸41や塗布体42に付着した余分な化粧料をそぎ落とすことができる。なお、本実施態様では、シゴキ部14はゴム部材13に形成されているが、容器本体1の口部11の内周部に直接シゴキ部14を設けても良い。
【0016】
容器本体1の材質に関して、内容物を保存するに十分な強度・耐性があれば特に限定されないが、第一収容部12内が外部より視認できるよう、その一部あるいは全部を透明の材質を使用してもよい。具体的には、ガラスや、有色透明あるいは無色透明の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)等を好適に使用することができる。PANとしては、バレックス(登録商標)等の市販品の利用が可能である。
【0017】
キャップ部2の構成は以下の通りである。キャップ部2の開口部21の内周部は容器本体1の口部11の外周部に装着可能に形成されており、その中心からは塗布軸41とその先端に設けられた塗布体42からなる塗布具4が垂設されている。そして、塗布軸41と塗布体42の内部には通路孔43が軸方向に貫設されている。かかる通路孔43は、その一方が塗布体42の先端側に形成された吐出口44へ通じ、他方はキャップ部2内の第二収容部22へと通じている。通路孔43の径は第二収容部22に収容される内容物の粘性にもよるが、概ね0.5mm〜3mm、特に1mm〜1.5mmの範囲内にあることが好ましい。
【0018】
塗布体42の素材としては、特に制約はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、ポリアクロルニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルブタジエンゴム、ポリスチレンブタジエンゴム、ポリイソプレン、シリコンゴム等のプラスチックやゴム類、更に、ポリエステル系、ウレタン系、オレフィン系、ポリカーボネート系等のエラストマーを使用することができる。これらの中でも、塗布体42は弾性を有する樹脂により形成されていることが好ましく、特にエラストマーを好適に使用することができる。ポリエステル系のエラストマーとしては、例えば、ハイトレル(登録商標)G3548L、ペルプレン(登録商標)P30B、ペルプレン(登録商標)P40B、ウレタン系のエラストマーとしては、例えば、東洋紡ウレタン(登録商標)E−3090A、東洋紡ウレタン(登録商標)E−3070A、パンデックス(登録商標)T−8190、オレフィン系のエラストマーとしては、例えば、サーリンク(登録商標)3170、ポリカーボネート系のエラストマーとしては、例えば、パンデックス(登録商標)T−9290を利用することができる。
【0019】
また、塗布体42は上記素材により形成された成型物そのものでもよいが、その一部または全部に、短繊維による静電植毛を施してもよい。本実施態様では、塗布体42の表面が静電植毛されており、特に口唇用等の化粧料に対しては弾性を有する塗布体42の素材と相まって使い勝手の良さおよび使用感を高めることができる。かかる短繊維としては、静電植毛用の短繊維として使用可能なものであれば特に限定されないが、例としてはナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリブチレンテフタレート等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の再生繊維、羊毛、絹、綿、麻等の天然繊維等が挙げられる。短繊維の形状としては、長さ0.5〜2mm、太さ0.01〜0.1mmのものが好ましく、長さ0.5〜1.5mm、太さ0.01〜0.06mmのものが特に好ましい。なお、静電植毛の短繊維は、その長さや太さを部分的に変えたり、異なる形状のものを混合して使用しても良く、例えば本実施態様の塗布体42において、先端の傾斜面に施された静電植毛の短繊維の長さを、他の部分の短繊維の長さより長くし、内容物の含みをよくする仕様などとしてもよい。
【0020】
キャップ部2内に設けられたノック式吐出手段3は、ノック部材31の後端部を押すことにより、内部のネジ棒33が回転し、第二収容部22内に摺動可能に設けられたピストン38を先端側へ移動せしめ、第二収容部22内の内容物を外部に吐出させることができる。
【0021】
ノック式吐出手段3について、さらに詳細に説明する。ノック式吐出手段3の構成は以下の通りである。筒部32がキャップ部2の後部開口23より嵌合され、筒部32の先端にはジョイント37が嵌合されている。ジョイント37の中心には開口部が形成されており、その開口部の内壁面にはネジが形成されている。そして、かかる開口部に、外壁面にネジが形成されたネジ棒33が螺合されている。ネジ棒33には、筒状の回転部材35が軸方向へ移動可能に環装されている。回転部材35は筒部32内で回転可能に形成されているが、ネジ棒33に対しては回転方向の動きが規制されており、よって、回転部材35が回転することによりネジ棒33も同調して回転する。ネジ棒33には、さらに回転部材35の後方側にクラッチ34が環装されている。クラッチ34は、ネジ棒33に対して軸方向への移動が可能であり、回転方向の動きも自由である。そして、クラッチ34の後端にはノック部材31が嵌合されている。ジョイント37と回転部材35との間にはスプリング36が設けられており、回転部材35を常に後方へと付勢している。
【0022】
ノック式吐出手段3の動作は以下の通りである。まず、ノック部材31を押し下げることにより、連動してクラッチ34が前方へ移動し、それに伴って回転部材35も前方へ移動する。そして、ノック部材31の押圧を解除すると、スプリング36の働きにより、クラッチ34及び回転部材35は元の位置に復帰するが、このとき、回転部材35の外周壁部に形成された突起部が、筒部32の内周壁部に形成されたガイドリブ(図示せず)に誘導されて、回転部材35自体に1/8周分の回転運動が加えられる。回転部材35が回転した結果、ネジ棒33も連動して回転するが、ジョイント37は筒部32に固設されているため、ネジの螺合によりネジ棒33がその回転分だけ前進することになる。ネジ棒33の先端にはピストン38が第二収容部22内を軸方向に摺動自在に取り付けられており、ネジ棒33が前進することにより、ピストン38も第二収容部22内を前進するため、内容物を塗布具4方向へと押し出す。その結果、内容物は塗布具4内の通路孔43を通って、吐出口44から外部へ吐出される。
【0023】
本実施態様における吐出手段はこのようにノック式の押出し機構を採用しているが、たとえば、ネジ棒33を容器外部から直接回転させることによる回転微動式押出し機構を採用してもよく、その他の吐出手段も適宜利用することが可能であるが、片手で操作でき、一度の操作で微量の内容物を吐出可能な本実施態様のノック式吐出手段が特に好ましい。
【0024】
容器本体1の第一収容部12とキャップ部2の第二収容部22には、それぞれ異なる特性を有する2種類の内容物が収容される。好ましい例として、具体的には、第一収容部12には第1の化粧料、第二収容部22には第2の化粧料というように、それぞれ種類の異なる化粧料が収容される。本発明の塗布具付き容器のメリットを十分に享受し得る2種類の化粧料は、両者とも塗布具により塗布可能で、少なくとも第2の化粧料については吐出口44から吐出可能であることが必要であり、また両者が任意の割合で混合可能であることが好ましい。このため、両者が自重や塗布具4等による外力によって流動性を示すような特性を有することが好ましく、更に、塗布具4による被塗布部位への塗布をし易くするために、両者とも、30℃において、低粘性のところでは粘度が2,000mPa・s程度(ブルックフィールド型粘度計)、粘度が測れないような高粘性のところでは稠度(JIS−K−2220準拠、稠度計、30gアルミニウムコーン使用、落下5秒後の値)が200程度の値を示すような粘性の範囲内、とりわけ5,000mPa・s〜100,000mPa・sの粘度の範囲内にあることが好ましい。更に、第1の化粧料と第2の化粧料を混合して使用する場合、両者の粘性を同じか、または近いものにすれば、混合がよりし易くなる。
【0025】
本発明の塗布具付き容器に収容する第1の化粧料、第2の化粧料としては、前述のような流動特性を有するものであれば、何れの組成物であっても使用可能であるが、両者のうち少なくとも一方、好ましくは両方が、油剤、油ゲル化剤および粉体成分を含有する油性の粘性液状組成物であれば、塗布具を用いて被塗布部位に塗布し易く、しかも安定性も確保できることから、特に好ましい。とりわけ、粉体成分の少なくとも一部に、色素粉体や光輝性粉体等の加飾効果を有するものを用いればメイクアップ用化粧料、特に口唇用のメイクアップ用化粧料として好適であり、色や光沢等の異なる第1の化粧料と第2の化粧料を口唇に各々単独で用いることも、また任意の割合で混合して使用することも、更に両者を重ね塗りすることも簡単にできる。この場合、重ね塗りする部分とどちらか一方のみを塗布する部分を併存させ、両者を口唇に不均一に塗布することで模様を描いたり、輪郭線を描いたり、グラデーションを形成するなど、様々な使用方法を簡単な操作で行うことができ、本発明の塗布具付き容器の特徴を極めて有効に利用できる。これにより、従来になく使い勝手の良い液状口紅やリップグロス、リップライナー、リップ下地等のメイクアップ用化粧料を得ることができる。
【0026】
前記の油性の粘性液状組成物において、油剤としては通常の化粧料に配合される油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の油剤を使用できる。性状としては液体油、揮発性油、また最終的に塗布時の組成物の流動性を妨げない限りにおいて、固形油、半固形油等の使用が可能である。このような油剤としては、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられ、具体的には流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類;オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油等の油脂類;アルニカ、ローズマリー等植物からの油溶性抽出物;ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類;イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリメリト酸トリトリデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエスリトールエステル、モノステアリン酸グリセリル、酢酸DL−α−トコフェロ−ル、アスコルビン酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等のエステル類;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類;パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類;香料等が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用し、用いることができる。油剤の配合量は特に限定されないが、組成物中50〜99.9質量%(以下、「質量%」を「%」と略記する)程度配合することが好ましい。
【0027】
油ゲル化剤としては、化粧料で使用可能な油ゲル化剤であれば特に限定されず、たとえば12−ヒドロキシステアリン酸、金属セッケン、有機性粘土鉱物、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が使用可能であるが、これらの中でも特にミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン・2−エチルヘキサン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステルや、イヌリン脂肪酸エステルが塗布後の口唇に良好なツヤ感を付与でき、また組成物の安定性向上に優れる点で好ましい。油ゲル化剤の配合量は特に限定されないが、組成物中0.01〜20%程度配合することが好ましい。
【0028】
粉体成分としては、化粧品に一般に使用される粉体成分であれば無機粉体、光輝性粉体、有機粉体、色素粉体、金属粉体、複合粉体またはこれらの疎水化処理粉体等、何れも使用可能で、粉体粒子個々の形状も球状、板状、針状をはじめ種々の形状のものが、粒子径も煙霧状、微粒子、顔料級等、種々の粒子径や種々の分布を有するものが、更に粒子の構造も多孔質や無孔質等、種々の構造を有するものが使用可能である。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、紺青、群青、タルク、白雲母、金雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の無機粉体;雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、有機色素処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料や、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート(PET・PMMA)積層フィルム末等のラメ剤に代表される光輝性粉体;ナイロン末、ポリエチレン末、ポリアクリル系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、フッ素系樹脂粉末、セルロース末、シルク粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、スチレン−アクリル共重合樹脂粉末、ポリプロピレン系樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ウレタン樹脂粉末、N−アシルリジン等の有機粉体;赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の色素粉体;アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体;等が挙げられ、これら粉体や、更にこれらを複合化したもの、あるいはシリル化処理等により表面を疎水化したものを、1種または2種以上併用して使用することができる。粉体成分の配合量は特に限定されないが、組成物中0.01〜20%程度配合することが、組成物の流動性確保の点から好ましい。
【0029】
その他、上記成分に加えて、精製水、ローズ水等の水;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、リン脂質等の界面活性剤;単糖類、多糖類、糖アルコール、アミノ酸、ペプチド類、水溶性ビタミン類、水溶性植物抽出物、多価アルコール、一価低級アルコール、グリチルリチン酸塩等の水溶性成分;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、イオウ等の防腐・殺菌剤;オキシベンゾン、パラアミノ安息香酸エステル、メトキシケイ皮酸エステル、メトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤;BHA、BHT、トコフェロール等の酸化防止剤;メントール、カンファー等の清涼剤;等、通常化粧料に配合される他の成分を、組成物の品質を損なわない範囲で配合することができる。
【0030】
本発明にかかる塗布具付き容器の使用例として、たとえば、第一収容部12には色素粉体を含有する下記組成例1の液状口紅を収容し、第二収容部22にはラメ剤やパール顔料等の光輝性粉体を多く含有する下記組成例2のリップグロスを収容する。そして、昼用のメイクとして、第一収容部12の液状口紅のみ塗布し、夜用のメイクとしては、第一収容部12の液状口紅を塗布する際に、吐出手段によって第二収容部22の光輝性粉体入りリップグロスを吐出し、両化粧料を任意の割合で混合して好みのパール・ラメ感を有する口紅としたものを塗布することができる。第二収容部22のリップグロス吐出のタイミングとしては、キャップ部2を容器本体1から取り外す直前か、あるいは塗布具4を第一収容部12内から引き抜いたとき、すなわち、塗布の直前に行うことが好ましいが、このほかに、たとえば、塗布具4を第一収容部12内から引き抜いて、まず、塗布体42に付着する液状口紅のみ塗布し、その後、第二収容部22のリップグロスを吐出して塗布してもよい。かかる使用方法により、液状口紅の上からリップグロスを重ね塗りすることができる。また、重ね塗りを部分的に行い、ラメ剤・パール顔料による模様を描いたり、パール・ラメ効果が高い部分から同効果のない部分へグラデーションを形成するなど、両者を不均一に塗布することで容易に任意のデザインを形成することができる。
【0031】
(組成例1)液状口紅
1.ポリブテン 70%
2.リンゴ酸ジイソステアリル 10%
3.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 11.9%
4.デキストリン脂肪酸エステル 7%
5.黄色4号アルミニウムレーキ、赤色202号の混合物 0.1%
6.無水ケイ酸 1%
【0032】
(組成例2)リップグロス
1.ポリブテン 65%
2.リンゴ酸ジイソステアリル 20%
3.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 10%
4.デキストリン脂肪酸エステル 3%
5.雲母チタン、酸化鉄雲母チタンの混合物 0.5%
6.PET・PMMA積層フィルム末 1.5%
【0033】
本発明にかかる塗布具付き容器のさらに異なる使用例は、併用することが可能な、異なる2種類の香料を第1の液状口紅および第2の液状口紅にそれぞれ配合し、第一収容部12には第1の液状口紅を、第二収容部22には第2の液状口紅を収容する。このものは、塗布具4により第1の液状口紅または第2の液状口紅を各々単独で口唇に塗布し、それぞれの香りを享受できるだけでなく、両者を任意の割合で組み合わせて混合することにより、オリジナルの香りを有する口紅として使用することができる。
【0034】
さらに異なる使用例として、第一収容部12および第二収容部22にそれぞれ色の異なる第1の液状口紅および第2の液状口紅を収容する。このものは、第1の液状口紅または第2の液状口紅を各々単独で口唇に塗布し個々の色の口紅として使用できるだけでなく、両者を任意の割合で組み合わせて混合あるいは重ね塗りし、オリジナルの色彩の口紅として使用することができる。
【0035】
これらの他、第1の化粧料として液状口紅、第2の化粧料としてツヤ効果のあるリップグロスを組み合わせた化粧品とすれば、それぞれを単独でツヤ出しの液状口紅およびツヤ出しのリップグロスとして使用できるほか、液状口紅を口唇に塗布した後で、任意の量のリップグロスを吐出して口紅塗布部分に上塗りしたり、特定部分だけにリップグロスを上塗りして、口唇に好みのツヤ感や、好みの部分へのツヤの付与が可能となる。
【0036】
このように、本発明にかかる塗布具付き容器によれば、容器本体に収容された第1の化粧料のみ、またはキャップ部内に収容された第2の化粧料のみを塗布する通常の使用方法が可能なことはいうまでもなく、両者を任意の配合比で混合し塗布すること、あるいは両者を重ね塗りしたり、重ね塗りを部分的に行い不均一に塗布することで模様を描いたり、グラデーションを形成するなど、簡単に任意のデザインを形成することができる。従って、従来は容易でなかった様々な使用方法をひとつの容器で簡単に行うことができ、より使用者の好みに応じた自由度の高いメイクアップが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 … … 容器本体
2 … … キャップ部
3 … … ノック式吐出手段
4 … … 塗布具
11 … … 容器口部
12 … … 第一収容部
13 … … ゴム部材
14 … … シゴキ部
21 … … キャップ開口部
22 … … 第二収容部
23 … … 後部開口
31 … … ノック部材
32 … … 筒部
33 … … ネジ棒
34 … … クラッチ
35 … … 回転部材
36 … … スプリング
37 … … ジョイント
38 … … ピストン
41 … … 塗布軸
42 … … 塗布体
43 … … 通路孔
44 … … 吐出口
45 … … 植毛部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内容物を収容する第一収容部を備えた容器本体と、該容器本体の口部に装着自在に形成され、第2の内容物を収容する第二収容部を備えるとともに、その開口部には塗布軸と該塗布軸先端に形成された塗布体からなる塗布具が垂設されたキャップ部とを有する塗布具付き容器であって、前記塗布体には吐出口が形成されるとともに、前記塗布具内には前記第二収納部から該吐出口へと連通する通路孔が形成されており、キャップ部内に設けられた吐出手段により、第二収納部内の内容物が前記通路部を通って前記吐出口より吐出されることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
前記容器本体の口部内に、シゴキ部が突設されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
前記塗布体が弾性を有する樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の塗布具付き容器。
【請求項4】
前記塗布体が静電植毛処理されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項5】
前記吐出手段が、ノック式吐出機構であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項6】
前記第1の内容物が化粧料である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項7】
前記第1の内容物および前記第2の内容物が、互いに種類の異なる粘性液状の化粧料である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項8】
前記第2の内容物が、光輝性粉体を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項9】
前記第1の内容物および前記第2の内容物の少なくとも一方が口唇用化粧料であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項10】
前記キャップ部の少なくとも一部が透明の材質で形成され、外部より前記第一収容部内の内容物が視認できることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10に記載の塗布具付き容器の、前記第一収容部および前記第二収容部にそれぞれ種類の異なる粘性液状の第1の化粧料と第2の化粧料を収容することを特徴とする用時混合型化粧品。
【請求項12】
前記第1の化粧料および前記第2の化粧料のうち少なくとも一方が、油剤、油ゲル化剤および粉体成分を含有する油性の粘性液状化粧料であることを特徴とする請求項11に記載の用時混合型化粧品。
【請求項13】
請求項1ないし請求項10に記載の塗布具付き容器を用いて、前記第一収容部および前記第二収容部にはそれぞれ種類の異なる粘性液状の第1の化粧料と第2の化粧料を収容し、前記第一収容部内に所望量の前記第二収容部の第2の化粧料を吐出させ、第1の化粧料と第2の化粧料とを任意の配合比にて混合して、被塗布部位に塗布することを特徴とする化粧方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−213353(P2011−213353A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80284(P2010−80284)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(000252528)和田工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】