説明

塗布剤の端末部構造

【課題】下層の柔軟剤層と上層の硬化剤層の塗布先端部と終端部において、上層の硬化剤層の硬化時の収縮により発生する被塗布部位の変曲点をぼかすことが可能な塗布剤の端末部構造を提供すること。
【解決手段】被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層61と、該柔軟剤層61の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層63とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズル40から吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633の塗布形状を平面視で塗布ノズル40の進行方向に対して傾斜させることにより、全体の塗布形状を平行四辺形形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の被塗布部位に塗布された接着剤あるいは補強材、制振材等の塗布剤の端末構造に関し、特に、塗布剤の硬化により被塗布部位に発生する歪みを目立たなくする塗布剤の端末部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアは、板金工程で外板と内板を組み合わせて、その周囲をヘミング加工することにより最中状に組み立てられる。外板の単体時に、該外板の内側に、該外板を補強するための補強材や、ドア閉鎖時の振動を防止する制振材等が貼り付けられる。そして、この板金工程でのドアの組み立ては殆どロボットにより自動化されつつある。
【0003】
しかしながら、外板の内側に貼り付けられる補強材や制振材は、従来は合成樹脂やガラス繊維製の平板状のシート材が用いられているため、ロボットによる貼り付け作業の自動化は困難であり、人手作業を強いられていた。
したがって、ドア組み付けの自動化ラインに人手作業が混在するため、効率的なライン編成が困難であった。
【0004】
そこで、本願発明者らは、制振材や補強材としてゴム系の接着剤やエポキシ系の補強材などの塗布剤を用いて塗布する方法を検討した。その先行技術として、特許文献1に記載されているような塗布剤を塗布する塗布装置ならびに制振材施工方法の技術があり、また、特許文献2に記載されているような塗布型補強材で補強した自動車ボデー構造の技術がある。
【特許文献1】特開2003−112092号公報
【特許文献2】特開2003−127897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の制振材付車体パネル及び制振材塗布装置並びに制振材施工方法は、性状の異なる下層材料と上層材料とからなる粘性状の制振材を、下層材料が塗布された直後に上層材料が下層材料に重ねて塗布されるものであり、その図5からも明らかなように、上層材料が下層材料を覆うように塗布されるため、上層材料が直接車体パネルに塗布されるものである。
【0006】
本願発明者らは、本願の図12乃至図13示すような制振材としてのゴム系の接着剤の上に補強材としてのエポキシ系補強拘束剤などの塗布剤を塗布する方法を検討するなかで、自動車ボデーの焼付工程で熱硬化するエポキシ系補強拘束剤が外板に直接塗布されると、硬化するときに外板に歪みを発生させるという問題を発見した。
【0007】
すなわち、図11に示すように、塗布ノズル40を塗布方向(矢印で示す)と直角に向けて移動させながら外板71に直接塗布される下層の柔軟剤層61の上面に硬化剤層63を各々一定の厚さで塗布すると、図12乃至図14に示すように、硬化剤層63の端部を柔軟剤層61の端部よりはみ出さないようにしても、硬化剤層63が硬化するときに該硬化剤層63の塗布先端部631mと終端部633mで収縮して、図12に示す塗布先端部631mと終端部631mの線上で、図14に示すように、外板71に変曲点pmが発生し、凹部dmの底部smに向かう連続線qが急角度となるため、これが外板71の歪みhとなって目視されることとなる。
【0008】
前述の特許文献1に記載の制振材塗布装置並びに制振材施工方法では、下層の制振材の動きを拘束する効果のある剛性(剪断弾性率G)の大きな上層の拘束材が直接車体パネルに塗布される部位で、上記のように、この部位で板厚の薄い鋼板に歪みが発生するという問題がある。
【0009】
従って、上層の拘束材が下層の制振材よりはみ出さないように塗布する必要があるが、特許文献2に記載の塗布型鋼板補強材で補強した自動車ボデー構造には、常温硬化型樹脂を旋回型ノズルによって2回塗布し、2回目に塗布する補強材の縁を中央より薄くして(1回目の塗布より小さくして)段差を小さくし、補強材の硬化収縮による鋼板の変形を防止する技術が開示されているが、2回目の塗布を全周にわたって小さくする制御が難しく、また、常温硬化型樹脂を用いるため、1回目の補強材が硬化する前に2回目を塗布すると縁がだれたり、1回目の硬化を待って2回目を塗布すると塗布時間が長くなり、ラインの可動率が低下する等の問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、下層の柔軟剤層と上層の硬化剤層の塗布先端部と終端部において、上層の硬化剤層の硬化時の収縮により発生する被塗布部位の変曲点をぼかすことが可能な塗布剤の端末部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る請求項1に記載の塗布剤の端末部構造は、被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズルから吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、前記柔軟剤層の塗布先端部と終端部において、該柔軟剤層の上面に塗布される前記硬化剤層の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を平行四辺形形状に形成したことを特徴とする。
【0012】
よって、上層の硬化剤層の硬化時の収縮により発生する被塗布部位の変曲点を形成する硬化剤層の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を平行四辺形形状に形成し、変曲点を傾斜させたので、歪みをぼかすことができ、被塗布部位に発生する歪みを目立たなくすることができる。
【0013】
また、本発明に係る請求項2に記載の塗布剤の端末部構造は、請求項1に記載の塗布剤の端末部構造において、前記柔軟剤層と硬化剤層の両者の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を平行四辺形形状に形成したことを特徴とする。
よって、柔軟剤層と硬化剤層の両者の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を略同一の平行四辺形形状に形成するので、塗布剤の無駄な部分が解消され、コストダウンを図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る請求項3に記載の塗布剤の端末部構造は、請求項1または請求項2に記載の塗布剤の端末部構造において、塗布される塗布剤を複数の列に塗布し、その塗布先端部と終端部を鋸刃状に形成したことを特徴とする。
よって、塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を多数の平行四辺形形状で形成するので、変曲点が傾斜して且つ前後方向で互い違いに多数並ぶため、一層歪みをぼかすことができ、被塗布部位に発生する歪みを目立たなくすることができる。
【0015】
また、本発明に係る請求項4に記載の塗布剤の端末部構造は、被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズルから吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、
前記柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される硬化剤層とからなる塗布剤を複数の列に塗布し、その塗布先端部と終端部を平面視で凹凸状に形成したことを特徴とする。
【0016】
よって、上層の硬化剤層の硬化時の収縮により発生する被塗布部位の変曲点を形成する硬化剤層の塗布先端部と終端部を平面視で凹凸状に形成したので、変曲点の位置が前後方向で互い違いに多数並ぶため、一層歪みをぼかすことができ、被塗布部位に発生する歪みを目立たなくすることができ、かつ、塗布ノズルをその移動方向に対して傾斜させる必要がないので、塗布装置の制御が簡素化できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による塗布剤の端末部構造によれば、柔軟剤層の上面に塗布される硬化剤層の塗布先端部と終端部を、平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより塗布形状を平行四辺形形状に形成し、あるいは、塗布剤を複数の列に塗布し、その塗布先端部と終端部を凹凸状あるいは鋸刃状に形成したので、変曲点を傾斜させ、あるいは変曲点を分散させることができ、被塗布部位に発生する歪みを目立たなくして補強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る塗布剤の端末部構造の一の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態の塗布剤の端末構造は、自動車用ドアの外板に設けられたものである。
ここで、図1は、自動車用ドアを車両室内側から見た概念図であり、図2は、塗布装置の全体斜視図である。
【実施例1】
【0019】
本発明の塗布剤の端末部構造を形成する塗布装置の構成について説明する。自動車用ドア70は、図1に示すように、外板71と内板73とから最中状に形成されるが、この最中状に形成される前に外板71の内面に、外板71の剛性を高めることによりドア70を閉じたときに外板71が振動するのを防止する制振材と、外板に外力が加えられたときにベコつくのを防止する補強材として塗布剤60が塗布される。
【0020】
塗布装置1は、図2に示すように、ロボット10と、該ロボット10のアーム部11に把持される定流量ガン25等を含む塗布剤供給源20と、塗布剤供給源20からの塗布剤60の供給を断接するバルブ30と、バルブ30を介して塗布剤供給源20に接続される塗布ノズル40とを備えている。
【0021】
塗布剤供給源20は、ロボット10の近傍に設置され塗布剤60を収容したタンク211を有するポンプ21と、ポンプ21に接続されたホース23に連結され、ロボット10のアーム部11に把持された定流量ガン25と、該定流量ガン25に接続され、定流量ガン25から塗布剤60に圧力をかけて一定量を塗布ノズル40に送り出すサーボモータ27とを備えている。
【0022】
塗布ノズル40は、図3に示すように、バルブ30を介して塗布剤供給源20に接続され、該塗布剤供給源20から塗布剤60が供給される供給部41と、該供給部41と連通し、該供給部41から流入した塗布剤60が貯留される平板状の空隙の塗布剤貯留部43と、該塗布剤貯留部43の、供給部41と反対側の先端に設けられ、スリット状の吐出口451を有する塗布剤吐出部45とを備える。この塗布ノズル40の外壁は、肉厚のステンレス鋼材で形成されている。
なお、図3では、供給部41、塗布剤貯留部43や塗布剤吐出部45を実線で示し、外壁の外形を点線で示してある。
【0023】
以上のように構成された塗布装置1を用いて、まず塗布ノズル40を外板71の内面に沿わせるようにロボット10を移動させて、図4(A)に示すように、ゴム系接着剤からなる柔軟剤層61を外板71の内面に塗布する。
つぎに、上記と同様にして、図4(B)に示すように、塗布されている柔軟剤層61の上面に、同じロボット10に把持させた別の塗布ノズル40からエポキシ系補強拘束剤からなる硬化剤層63を塗布する。
【0024】
塗布された塗布剤60は、図5の断面図に示すように、外板71の内板73に対向する面(内面)に厚さtが約1mmで直接塗布される柔軟剤層61と、該柔軟剤層61の上(内板73に対向する面)に厚さTが約2mmで塗布される硬化剤層63との2層から構成される。塗布範囲は、本実施の形態では幅(図1のドア70の高さ方向)100mm、長さ(図1のドア70の前後方向)400mmである。
【0025】
硬化剤層63は、外板71を補強して張り剛性(外板のベコ付き防止)を上げるために、熱硬化性樹脂を組成とするため、自動車ボデーの塗装工程の熱風炉で硬化する。この硬化剤層63を直接外板71に塗布すると外板71が歪みを起こすため、中間剤として制振材を兼ねて熱風炉で硬化しても比較的軟らかい柔軟剤層61を塗布して、この上に硬化剤層63を塗布する。
【0026】
外板71の歪みhを目立たなくするために、確実に上層の硬化剤層63を下層の柔軟剤層61からはみ出させないようにすることが要求され、特に、外板71の歪みhは、縦方向の断面ではデザイン上の曲線があるため目立たないが、水平方向の断面が略直線状のため歪みが目立つので、塗布剤の塗布先端部と終端部における上層の硬化剤層63の硬化時の収縮を吸収することが望ましい。
【0027】
このため、本第1の実施の形態では、柔軟剤層61および硬化剤層63を吐出する各塗布ノズル40を、図6に示すように、該塗布ノズル40の進行方向(矢印で示す)に対して平面視で45°の角度に傾斜させて移動させる。
【0028】
すると、本第1の実施の形態では、柔軟剤層61および硬化剤層63の各塗布ノズル40を、その進行方向に対して平面視で45°の角度に傾斜させて移動させるので、図7に示すように、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633の塗布形状が平面視で傾斜した、全体が平行四辺形の塗布形状となる。
【0029】
その結果、図8の実線で示すように、被塗布面である外板71の凹部dの変曲点pが前後方向に斜めに配置されるため、ドアが車両に取り付けられたときに、変曲点pが縦方向で前後方向に傾斜するので、変曲点pからの連続線rが緩やかなものとなり、外板71の歪みhをぼかすことができる。
【0030】
すなわち、図8は塗布剤60の塗布により発生する凹部dの断面形状を誇大に強調して描いたもので、塗布先端部611と終端部613との間の長さが400mm、凹部dの深さが約2/100mmのものであるが、塗布先端部611と終端部613の変曲点pから底部sに向かう連続線rの傾斜角度が、点線で示す従来の塗布形状による連続線qと比較すると大きく緩やかになり、歪みとして目立ちにくくなっているのが判る。
【実施例2】
【0031】
つぎに、本発明の第2の実施の形態の塗布剤の端末構造は、図9に示すように、塗布ノズル40を第1の実施の形態の塗布ノズル40より小さな幅のものを使用して塗布幅を小さくし、かつ塗布ノズル40の進行方向(矢印で示す)に対して平面視で45°の角度に傾斜させて移動させながら塗布剤60を複数の列に塗布したものである。
したがって、柔軟剤層61と硬化剤層63の塗布形状が複数の平行四辺形形状となる。そのため、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633の形状が鋸刃状に形成される。
【0032】
その結果、第1の実施の形態と同様に図8の実線で示すように、被塗布面である外板71の凹部dの変曲点pが、ドアが車両に取り付けられたときに、縦方向で複数に分散し、且つ前後方向に斜めに配置されるため、変曲点pからの連続線rが緩やかなものとなり、外板71の歪みhをさらにぼかすことができる。
【0033】
以上のように本第2の実施の形態では、柔軟剤層61と硬化剤層63の塗布形状を複数の平行四辺形形状として、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633の形状を平面視で鋸刃状に形成したため、変曲点pが車両の上下方向で複数に分散し、且つ前後方向に斜めに配置されるため、外板71の歪みhをさらにぼかすことができる。
【実施例3】
【0034】
つぎに、本発明の第3の実施の形態の塗布剤の端末構造は、図10に示すように、塗布ノズル40を第2の実施の形態の塗布ノズル40と同様に小さな幅のものを使用して塗布幅を小さくし、かつ、図11に示す従来と同様に、塗布ノズル40をその移動方向に対して直角にして塗布剤60を複数の列に塗布し、さらに塗布先端部611、631と終端部613、633が平面視で凹凸状になるように塗布位置をずらしたものである。
したがって、柔軟剤層61と硬化剤層63の塗布形状が平面視で互い違いにずれた状態となる。そのため、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633が平面視で凹凸状に形成される。
【0035】
その結果、第1の実施の形態と同様に図8の実線で示すように、被塗布面である外板71の凹部dの変曲点pが、ドアが車両に取り付けられたときに、縦方向で複数に分散され、かつ前後方向で互い違いになるため、変曲点pからの連続線rが緩やかなものとなり、外板71の歪みhをさらにぼかすことができる。
【0036】
以上のように本第3の実施の形態では、柔軟剤層61と硬化剤層63の塗布形状を複数の列として、柔軟剤層61の塗布先端部611と終端部613および硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633の形状を平面視で凹凸状に形成したため、変曲点pが車両の上下方向で複数に分散し、かつ前後方向で互い違いに配置されるため、外板71の歪みhをさらにぼかすことができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、柔軟剤層61と硬化剤層63の塗布先端部611、631と終端部613、633を傾斜形状にしたもので説明したが、これに限られず、硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633のみを傾斜形状にしたものでも可能である。
また、柔軟剤層61の上面に塗布される硬化剤層63の塗布先端部631と終端部633を、柔軟剤層61より短く塗布するようにしたが、これに限られず、略同一の長さでも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズルから吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、前記柔軟剤層の塗布先端部と終端部において、該柔軟剤層の上面に塗布される前記硬化剤層の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、全体の塗布形状を平行四辺形形状に形成したので、変曲点が前後方向に斜めに配置されるため、変曲点からの連続線が緩やかなものとなり、外板の歪みをぼかすことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る塗布剤の端末部構造を適用した自動車用ドアを車両室内側から見た概念図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る塗布装置の全体斜視図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る塗布剤を塗布する塗布ノズルを示す斜視図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る塗布方法による塗布状況の断面図であり、(A)は柔軟剤層、(B)は硬化剤層の塗布状況を示す。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る塗布剤の端末部構造の断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る塗布ノズルを傾斜させて塗布剤を塗布する状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る塗布剤の塗布形状を示す平面図である。
【図8】本発明の一の実施の形態に係るドア外板の歪み状況を誇大に示した断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る塗布剤の塗布形状を示す平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る塗布剤の塗布形状を示す平面図である。
【図11】従来の塗布ノズルを塗布方向に直角に向けて塗布剤を塗布する状態を示す平面図である。
【図12】従来の塗布剤の端末部構造の断面図である。
【図13】従来の塗布剤の端末部構造の、外板側から見た平面図である。
【図14】従来のドア外板の歪み状況を誇大に示した断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 塗布装置
10 ロボット
20 塗布剤供給源
30 バルブ
40 塗布ノズル
41 供給部
43 塗布剤貯留部
45 塗布剤吐出部
451 吐出口
60 塗布剤
61 柔軟剤層
611 塗布先端部
613 終端部
63 硬化剤層
631 塗布先端部
633 終端部
70 自動車用ドア
71 外板
73 内板
d、dm 凹部
h 歪み
p、pm 変曲点
q、r 連続線
s 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズルから吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、
前記柔軟剤層の塗布先端部と終端部において、該柔軟剤層の上面に塗布される前記硬化剤層の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を平行四辺形形状に形成したことを特徴とする塗布剤の端末部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布剤の端末部構造において、
前記柔軟剤層と硬化剤層の両者の塗布先端部と終端部を平面視で塗布ノズルの進行方向に対して傾斜させることにより、塗布形状を平行四辺形形状に形成したことを特徴とする塗布剤の端末部構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の塗布剤の端末部構造において、
塗布される塗布剤を複数の列に塗布し、その塗布先端部と終端部を平面視で鋸刃状に形成したことを特徴とする塗布剤の端末部構造。
【請求項4】
被塗布面に直接塗布される熱硬化型で硬化後も比較的軟らかい塗布剤からなる柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される熱硬化性の塗布剤からなる硬化剤層とが、それぞれの塗布剤をスリット状の吐出口を有する塗布ノズルから吐出させつつ、該塗布ノズルを移動させて被塗布面に塗布剤を塗布することにより形成される塗布剤の端末部構造であって、
前記柔軟剤層と、該柔軟剤層の上面に塗布される硬化剤層とからなる塗布剤を複数の列に塗布し、その塗布先端部と終端部を平面視で凹凸状に形成したことを特徴とする塗布剤の端末部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−326076(P2007−326076A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160915(P2006−160915)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】