説明

塗布容器

【課題】簡便に容器内の圧力を外気圧と同等にでき、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを防ぐことができる塗布容器を提供する。
【解決手段】容器2と、容器2の口部に装着され内部が容器内に連通する流通筒3と、流通筒3の径方向内側にその軸O方向に沿って容器2の外側に向けて付勢された状態で配設され先端部41を流通筒3から容器2の外側に突出させた塗布栓4と、口部に着脱自在に装着されて流通筒3及び先端部41を覆うオーバーキャップ5とを備え、塗布栓4の流通筒3内に位置する部分に、流通筒3内に形成された被シール面34に軸O方向に沿って容器2の内側から当接するシール面44が形成された塗布容器1であって、塗布栓4の先端部41の外周面には第1突起41bが設けられ、オーバーキャップ5内にはオーバーキャップ5を口部から取り外す際に、第1突起41bに当接する第2突起52dが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤等の内容物を適量塗布するのに好適な塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容した液剤等の内容物を適量塗布するための塗布容器として、例えば特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の塗布容器は、容器の口部に装着された中栓(流通筒)と、中栓の径方向内側にその軸方向に沿って容器の外側に向けて付勢された状態で配設されるとともに先端部を中栓から前記容器の外側に突出させた突起(塗布栓)とを備えている。また、前記容器の外側に付勢された突起の外周面のシール面と、中栓の内周面の被シール面とが密接することで、容器の内部と外部とが気密にシールされている。
そして、内容物を塗布する際には、突起の先端部が下方に向くように容器を傾け、先端部を被塗布面に押し当てて突起を中栓に対し容器の内側へ押し込みシールを解除して、流れ出た内容物を被塗布面に塗布するようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第2553493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1記載の塗布容器においては、例えば揮発性の比較的高い液剤等の内容物を容器に収容したり、容器が高い外気温に晒されたりすることがあり、容器内部の圧力が容器外部の圧力に対し高められた状態となることがある。このように容器の内圧が外気圧に対し高められた状態で前述の塗布を行った場合、シールが解除されたときに、容器内外の圧力差によって内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうことがあった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡便に容器内の圧力を外気圧と同等にでき、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを防ぐことができる塗布容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、内容物が収容される容器と、前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒と、前記流通筒の径方向内側にその軸方向に沿って前記容器の外側に向けて付勢された状態で配設されるとともに先端部を該流通筒から前記容器の外側に突出させた塗布栓と、前記容器の口部に着脱自在に装着されて、前記流通筒及び前記塗布栓の先端部を覆うオーバーキャップと、を備え、前記塗布栓において前記流通筒内に位置する部分に、前記流通筒内に形成された被シール面に前記軸方向に沿って前記容器の内側から当接するシール面が形成された塗布容器であって、前記塗布栓の先端部における外周面には第1突起が設けられ、前記オーバーキャップ内には、当該オーバーキャップを前記口部から取り外す際に、前記第1突起に当接する第2突起が設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップ内に、当該オーバーキャップを容器の口部から取り外す際に、塗布栓の先端部の第1突起に当接(圧接)する第2突起が設けられているので、オーバーキャップを開ける際、オーバーキャップが流通筒に対し前記容器の外側に移動して第1突起と第2突起とが摺接しつつ第2突起が第1突起を乗り越えるときに、第2突起が第1突起を前記容器の内側に向けて弾き、塗布栓が流通筒に対し前記容器の内側へ押し下げられるようになっている。このように塗布栓が押し下げられることで、塗布栓のシール面と流通筒の被シール面とが軸方向に互いに離間してシールが解除されるので、容器の内部の圧力が高まっていた場合に、その圧力を容器の外部に開放することができる。
【0007】
すなわち、オーバーキャップを取り外すだけで容器内の圧力が外気圧と同等になるので、塗布栓の先端部が下方に向くように容器を傾け、塗布栓の先端部を被塗布面に押し当て流通筒に対し押し込んでシールを解除したときに、外気圧と容器の内圧との差によって内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうことが防止されている。
【0008】
また、本発明に係る塗布容器において、前記第1突起及び前記第2突起が、曲面状に形成されていることとしてもよい。
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップを容器から取り外す過程で、第2突起の頂部が第1突起の頂部を乗り越えたときに、第2突起が第1突起を前記容器の内側に向けて確実に弾くことが可能になり、前述の作用効果が確実に奏される。また、第2突起が第1突起をスムースに乗り越えることから、オーバーキャップを容器の口部に着脱する際の抵抗が低減される。
【0009】
また、本発明に係る塗布容器において、前記塗布栓内には、該塗布栓の先端部の前記容器の内側へ向けた移動を規制する押し込み規制部材が配設されていることとしてもよい。
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップを容器の口部に装着する際、塗布栓の先端部の流通筒に対する前記容器の内側へ向けた移動が規制されるので、第2突起が第1突起を確実に乗り越える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップを取り外すだけで簡便に容器内の圧力を外気圧と同等にでき、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る塗布容器においてオーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略側断面図、図2及び図3は図1のオーバーキャップを容器の口部から取り外す過程を説明する概略側断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の塗布容器1は、有底筒状の容器2と、流通筒3と、棒状の塗布栓4と、オーバーキャップ5と、棒状の押し込み規制部材6とを備え、夫々の中心軸が共通軸上に位置させられて配設されている。以下、この共通軸を単に軸Oと言い、軸O方向に沿ってオーバーキャップ5側を上側、容器2側を下側と言う。そして、塗布容器1は、液剤等の内容物が収容される容器2と、容器2の口部に装着され、内部が容器2内に連通する流通筒3と、流通筒3の径方向内側に上方に向けて付勢された状態で配設されるとともに後述する先端部41を流通筒3から上方に突出させた塗布栓4と、容器2の口部に着脱自在に装着されて、流通筒3及び塗布栓4の先端部41を覆うオーバーキャップ5と、塗布栓4内に配設され、塗布栓4の先端部41の下方へ向けた移動を規制する押し込み規制部材6とを備えている。
【0013】
容器2の口部の外周面には、雄ねじ2aが形成されている。
流通筒3の外周面における軸O方向の中央部分には、周方向に沿った環状をなし径方向外側に突出するフランジ部31が形成されている。フランジ部31は、その外径が容器2の口部の外径と同等とされている。また、流通筒3においてフランジ部31よりも下側に位置する部分は、その外径が容器2の口部の内径と同等か、若干大きく設定されていて、口部に嵌合されている。また、流通筒3の内周面の下端部分には、周方向に沿った環状をなし径方向内側に突出する第1係合部32が形成されている。また、フランジ部31の下面は、容器2の口部の上端面に密接されている。
【0014】
また、流通筒3においてフランジ部31よりも上側に位置する上側部分は、下側から上側に向かうに連れ漸次縮径している。また、前記上側部分の上端部における外周面にはテーパ面33が形成されており、上側部分の外周面のうち、上端部は、他の部分よりも軸O方向に沿った単位長さあたりの径方向の変形量が大きくされて形成されている。また、流通筒3の上端部における内周面には、下側から上側へ向かうに連れ漸次縮径する被シール面34が形成されている。
【0015】
また、塗布栓4は、略多段円柱状をなし、上側の小径部分と下側の大径部分とからなる。また、小径部分の先端部41が流通筒3の上端面から上側に突出している。また、先端部41の外周面には、軸O方向に沿って延びる溝41aが周方向に間隔を開け複数形成されている。また、先端部41の外周面の上端において周方向に隣り合う溝41a同士の間に位置する部分には、径方向外側に向け突出する曲面状の第1突起41bが形成されている。また、第1突起41bにおける径方向外縁の頂部と軸Oとの径方向における距離は、オーバーキャップ5の後述する壁部52aの内半径と略等しくなっている。前記頂部が壁部52aの内周面に当接する場合には、当該頂部に作用する摩擦抵抗力が塗布栓4を上方へ向けて付勢する後述の弾性部材42の付勢力よりも小さく設定されることが好ましいが、当接させない構成とすることも可能である。
【0016】
また、塗布栓4の大径部分は、略有頂筒状をなし流通筒3内に配設されている。大径部分において小径部分と接続する天壁部41cの外周縁部には、軸O方向の上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径するとともに、流通筒3内に形成された被シール面34に下側から当接するシール面44が形成されている。
【0017】
本実施形態では、塗布栓4の下側に、塗布栓4を上側へ向けて付勢する弾性部材42と、流通筒3の下端開口部内に嵌合された筒部43と、が上側から下側に向けてこの順に配設されている。尚、これらの弾性部材42及び筒部43は塗布栓4と一体に形成されている。
また、弾性部材42は、軸O周りに螺旋状に形成された樹脂バネからなり、その上端が塗布栓4の下端縁部に接続され、下端が筒部43の上端縁部に接続されている。
【0018】
また、筒部43の外周面には、周方向に沿って延びる環状をなし径方向内側に窪むとともに流通筒3の第1係合部32に係合する第2係合部43aが形成されている。このように第1係合部32が第2係合部43aに係合されることで、筒部43の流通筒3に対する軸O方向の移動が規制されているとともに、この筒部43に接続された弾性部材42が塗布栓4を上側へ向け確実に付勢するようにしている。
【0019】
また、オーバーキャップ5は有頂筒状をなしており、多段筒状の本体部51と本体部51の上側を塞ぐ天壁部52とからなる。本体部51の内周面の軸O方向の中央部分には、下側を向き流通筒3のフランジ部31の上面に密接する環状の押さえ面51aが形成されている。また、本体部51の内周面において押さえ面51aよりも下側に位置する部分には、容器2の雄ねじ2aに螺合する雌ねじ51bが形成されている。
【0020】
そして、オーバーキャップ5を軸O周りに回すことで、雄ねじ2aと雌ねじ51bとの螺合が締め付けられたり緩められたりして、オーバーキャップ5が軸O方向に沿って移動するとともに、容器2の口部に着脱自在とされている。また、本体部51の押さえ面51aよりも上側に位置する部分は、本体部51の押さえ面51aの下側に位置する部分よりも縮径して形成されている。
【0021】
また、天壁部52には、塗布栓4の先端部41を径方向外側から覆う筒状の壁部52aが垂設されている。壁部52aの内径は、流通筒3の上端の内径と同等とされている。また、壁部52aの軸O方向の中央部分には、下側を向き流通筒3の上端開口縁に当接する環状の段部52bが形成されている。また、壁部52aの内周面において段部52bの下側に位置する部分には、この段部52bの径方向外縁部に連なり、上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径するとともに流通筒3のテーパ面33に密接するテーパ面52cが形成されている。
【0022】
また、壁部52aの内周面において段部52bの上側に位置する部分には、この段部52bの径方向内縁部に連なり、周方向に沿って環状をなすとともに塗布栓4の先端部41の外周面に向けて突出する曲面状の第2突起52dが形成されている。また、第2突起52dにおける径方向内縁の頂部と軸Oとの径方向における距離は、塗布栓4の先端部41の外半径と略等しくなっている。前記頂部が先端部41の外周面に当接する場合には、当該頂部に作用する摩擦抵抗力が塗布栓4を上方へ向けて付勢する弾性部材42の付勢力よりも小さく設定されることが好ましいが、当接させない構成とすることも可能である。また、図1に示すように、オーバーキャップ5が容器2の口部に装着された状態で、第2突起52dは塗布栓4の第1突起41bに下側から対向している。
【0023】
また、押し込み規制部材6は、塗布栓4の大径部分及び弾性部材42夫々の径方向内側に配設される棒体61と、棒体61の下側に繋がり筒部43の径方向内側に配設される筒体62とを有している。棒体61の外径は、塗布栓4の大径部分の内径よりも小さく設定されており、棒体61の上端面は、前記大径部分の天壁部41cの下面に軸O方向の間隔を開けて対向配置されている。
【0024】
また、筒体62の上端部分には、周方向に間隔を開け複数の孔部62aが形成されており、これらの孔部62aが棒体61の径方向外側と筒体62内とを連通している。また、筒体62の軸O方向における中間部分の外径は、筒部43の内径と同等とされており、これら筒体62と筒部43とが嵌め合わされている。
【0025】
また、筒体62の前記中間部分における外周面には、軸O方向に沿って延びる溝62bが、周方向に間隔を開け複数形成されている。また、筒体62の前記中間部分における外周面において周方向に隣り合う溝62b同士の間に位置する部分には、径方向外側へ向け突出する脚部62cが夫々形成されており、これらの脚部62cの上面と筒部43の下端面とが当接している。
また、前述の構成により、容器2内、筒体62内、孔部62a、溝62b、棒体61の径方向外側、弾性部材42の径方向内側、及び弾性部材42の径方向外側が連通している。
【0026】
次に、このように構成された塗布容器1を利用した内容物の塗布について説明する。
まず、図1に示すように、オーバーキャップ5が容器2の口部に装着された状態で、このオーバーキャップ5を軸O周りに回し口部から取り外していく過程で、オーバーキャップ5が流通筒3に対し上側へ移動する。そして、図2に示すように、オーバーキャップ5の押さえ面51aとフランジ部31の上面、テーパ面52cとテーパ面33、及び段部52bの下面と流通筒3の上端開口縁が、夫々軸O方向に離間することで、壁部52aの径方向内側と容器2の外部とが連通する。
【0027】
また、オーバーキャップ5の第2突起52dは、オーバーキャップ5が流通筒3に対し上側へ移動していくに連れ漸次先端部41の第1突起41bに接近して当接した後、第2突起52dと第1突起41bとが摺接しつつ、第2突起52dが第1突起41bに乗り上げる。
【0028】
そして、図3に示すように、第2突起52dが第1突起41bを乗り越えるときに、第2突起52dが第1突起41bを下側に向けて弾き、塗布栓4が流通筒3に対し下側へ押し下げられる。このように塗布栓4が押し下げられることで、塗布栓4のシール面44と流通筒3の被シール面34とが軸O方向に互いに離間してシールが解除される。
この状態で、容器2内、流通筒3内、オーバーキャップ5内、及び容器2の外部が連通され、容器2内の圧力が容器2の外部の圧力(外気圧)に対して高められていた場合には、その圧力が容器2の外部に開放される。
【0029】
その直後、塗布栓4が弾性部材42の上側に向けた付勢により流通筒3に対し上側へ移動し、シール面44と被シール面34とが再びシールされる。
次いで、オーバーキャップ5を容器2の口部から取り外した後に、塗布栓4の先端部41が下方に向くように容器2を傾け、先端部41を被塗布面に押し当て流通筒3に対し押し込み、シールを解除して内容物を塗布栓4の溝41aから流出させ塗布する。尚、このとき、容器2の内容物は主として筒体62の溝62bを通って塗布栓4の溝41aへと送られ、流通筒3内のエアは主として筒体62の孔部62aを通って容器2内へ送られる。
【0030】
また、塗布が終わった後、オーバーキャップ5を容器2の口部に装着していく過程では、オーバーキャップ5の第2突起52dが塗布栓4の第1突起41bに上側から当接し、この状態でさらにオーバーキャップ5が下側へ移動していくことで、塗布栓4が流通筒3に対し下側へと押し込まれる。塗布栓4が流通筒3に対し下側へ移動していくと、塗布栓4の天壁部41cの下面が棒体61の上端面に当接し、塗布栓4の前記下側への移動が規制される。
【0031】
次いで、オーバーキャップ5を装着していく過程で、第2突起52dが第1突起41bに対し下側へ移動していき、前述の作用とは逆向きに、第2突起52dが第1突起41bを乗り越える。その後、塗布栓4は、弾性部材42の上側への付勢により流通筒3に対し上側へ移動して、シール面44と被シール面34とがシールされる。
【0032】
オーバーキャップ5を容器2の口部に装着すると、図1に示すように、オーバーキャップ5の押さえ面51aとフランジ部31の上面、テーパ面52cとテーパ面33、及び段部52bの下面と流通筒3の上端開口縁が、夫々密接することで、壁部52aの径方向内側と容器2の外部とが遮断される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、オーバーキャップ5内には、塗布栓4の先端部41の第1突起41bに下側から対向する第2突起52dが設けられているので、オーバーキャップ5を開ける際、オーバーキャップ5が流通筒3に対し上側に移動して第1突起41bと第2突起52dとが摺接しつつ第2突起52dが第1突起41bを乗り越えるときに、第2突起52dが第1突起41bを下側に向けて弾き、塗布栓4が流通筒3に対し下側へ押し下げられるようになっている。このように塗布栓4が押し下げられることで、塗布栓4のシール面44と流通筒3の被シール面34とが軸O方向に互いに離間してシールが解除されるので、容器2の内部の圧力が高まっていた場合に、その圧力を容器2の外部に開放することができる。
【0034】
すなわち、オーバーキャップ5を取り外すだけで容器2内の圧力が外気圧と同等になるので、塗布栓4の先端部41が下方に向くように容器2を傾け、塗布栓4の先端部41を被塗布面に押し当て流通筒3に対し押し込みシールを解除したときに、外気圧と容器2の内圧との差によって内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうことが防止されている。従って、使用初期から精度よく塗布が行える。
【0035】
また、第1突起41b及び第2突起52dが、曲面状に形成されているので、オーバーキャップ5を容器2から取り外す過程で、第2突起52dの頂部が第1突起41bの頂部を乗り越えたときに、第2突起52dが第1突起41bを下側に向けて確実に弾くことが可能になり、前述の作用効果が確実に奏される。また、第2突起52dが第1突起41bをスムースに乗り越えることから、オーバーキャップ5を容器2の口部に着脱する際の抵抗が低減される。
【0036】
また、塗布栓4内に、先端部41の下側へ向けた移動を規制する押し込み規制部材6が配設されているので、オーバーキャップ5を容器2の口部に装着する際、塗布栓4の先端部41の流通筒3に対する下側へ向けた移動が規制され、第2突起52dが第1突起41bを確実に乗り越えられる。
【0037】
また、押し込み規制部材6の筒体62内及び筒体62の外周面の溝62bに、内容物及びエアを通すように構成されているので、塗布栓4の先端部41を被塗布面に押し当てシールを解除して内容物を塗布する際に、内容物が先端部41からよりスムースに注出される。
【0038】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、第1突起41b及び第2突起52dが曲面状に形成されていることとして説明したが、これに限定されるものではない。また、第1突起41b及び第2突起52dの少なくとも一方を弾性変形可能としてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、オーバーキャップ5が容器2の口部に装着された状態で、第2突起52dが第1突起41bに下側から対向していることとして説明したが、第2突起52dが第1突起41bに下側から当接していることとしても構わない。
【0040】
また、本実施形態では、塗布栓4の小径部分の外周面に軸O方向に沿って延びる溝41aが周方向に間隔を開け複数形成されていることとして説明したが、溝41aは前記小径部分の外周面において下側から上側へと内容物を通すように形成されていればよく、本実施形態の形状に限定されるものではない。すなわち、例えば先端部41の外周面に螺旋状の溝を形成したり、周方向に沿って延びる環状の複数の溝を軸O方向に繋いで形成したりしても構わない。また、先端部41を筒状に形成し、その外径を流通筒3先端部の開口部内径よりも小さく設定した塗布栓4を使用することも可能である。
【0041】
また、本実施形態では、押し込み規制部材6を配設したが、これに限定されるものではなく、押し込み規制部材6が設けられていなくとも構わない。ただし本実施形態のように押し込み規制部材6が設けられることで、オーバーキャップ5を容器2の口部に装着する際に、第2突起52dが第1突起41bを確実に乗り越えることとなるのでより好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、流通筒3のテーパ面33に密接するテーパ面52cを有する壁部52aに第2突起52dを形成したが、テーパ面52cを有する壁部52aとは別の壁部を天壁部52の下面に設けて、この壁部に第2突起52dを設けてもよい。
【0043】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布容器においてオーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略側断面図である。
【図2】図1のオーバーキャップを容器の口部から取り外す過程を説明する概略側断面図である。
【図3】図1のオーバーキャップを容器の口部から取り外す過程を説明する概略側断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 塗布容器
2 容器
3 流通筒
4 塗布栓
5 オーバーキャップ
6 押し込み規制部材
34 被シール面
41 先端部
41b 第1突起
44 シール面
52d 第2突起
O 流通筒の軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器と、
前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒と、
前記流通筒の径方向内側にその軸方向に沿って前記容器の外側に向けて付勢された状態で配設されるとともに先端部を該流通筒から前記容器の外側に突出させた塗布栓と、
前記容器の口部に着脱自在に装着されて、前記流通筒及び前記塗布栓の先端部を覆うオーバーキャップと、を備え、
前記塗布栓において前記流通筒内に位置する部分に、前記流通筒内に形成された被シール面に前記軸方向に沿って前記容器の内側から当接するシール面が形成された塗布容器であって、
前記塗布栓の先端部における外周面には第1突起が設けられ、
前記オーバーキャップ内には、当該オーバーキャップを前記口部から取り外す際に、前記第1突起に当接する第2突起が設けられていることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布容器であって、
前記第1突起及び前記第2突起が、曲面状に形成されていることを特徴とする塗布容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗布容器であって、
前記塗布栓内には、該塗布栓の先端部の前記容器の内側へ向けた移動を規制する押し込み規制部材が配設されていることを特徴とする塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−36910(P2010−36910A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198594(P2008−198594)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】