説明

塗料を適合させるコンピュータ実行方法および装置

【課題】車両の塗料を適合させるコンピュータ実行方法であって、中央コンピュータで、遠隔端末から、特有の車両に関する車両識別情報を、車両のボディーの一部分から、第1の組の塗料色データを受信する工程を有する方法。
【解決手段】中央コンピュータは、塗料色データおよびその塗料配合に関連する、複数の車両についての車両識別情報を有するデータベースを含む。第1のプロセスは、提出された車両識別情報および提出された塗料データを塗料配合に関連付ける第1の最適な適合塗料配合を決定する。後者は、遠隔端末に送信される。中央コンピュータは、第2の組の塗料色データを、第1の最適な配合で塗装された特定の車両の表面を表す遠隔端末から受信し、第2のプロセスによって、第2の塗料色データを第1の塗料色データと比較して、厳密なデータを確立する。厳密なデータは、第1のプロセスに適用されて、続く塗料配合識別において実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、1999年12月17日に出願された「Computer−Implemented Method and Appratus for Color Matching Paint」という名称の米国仮出願第60/172,473号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、車両上に塗料を適合させるコンピュータ化された方法、およびこの方法を実現するネットワーク化されたコンピュータシステムに関する。
【0003】
修理した車両に元の塗料の色を適合させることは、塗料を適合させようとする人がしばしば塗料を適合させる試行錯誤のプロセスに依存する必要がある不正確なプロセスである。コンピュータ化された色適合の支援が利用可能であるにもかかわらず、車体工場での塗装工は、最終的には塗料を「目でチェックする」手段に頼り、許容される適合を達成する必要がある場合が多い。この結果、通常の車体工場における労賃に著しい影響を与え得る非効率的なプロセスが生じる。
【0004】
複数の方法は、塗料適合のプロセスを自動化するように工夫されている。通常の自動化された方法は、塗装された表面の特定の品質(例えば、一つ以上の波長および異なる角度における反射率)を測定し、塗料配合方式に関連したコンピュータデータベース内で達成された測定値とこの測定値とを自動的に適合させるデバイス(例えば、分光光度計)を用いる。この方法において、コンピュータデータベースは、修理設備に設けられる。次いで、塗料配合方式を用いて塗料を準備し、この塗料は車両上の元の塗料と比較される。塗料が適合する場合、エリアが塗装される。塗料が適合しない場合、適合するまで試行錯誤によって塗料配合方式を手動で調整する。これらのプロセスは、米国特許第5,668,633号および米国特許第5,841,421号に記載される。これらのプロセスの難しさは、新たな配合が局所的な車体工場のデータベース内に入力される確証も、各車体工場における各コンピュータデータベースが更新される確証もないことにある。自動車の車体修理産業において、ほとんどのコンピュータ塗料データベースが最新の状態に保たれていないことを見ることは一般的である。このデータベースは、散発的に更新されるため、車体工場から塗料適合システムの製造会社へのフィードバックが制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の塗料の色の変種が同じ名目色内にあることは、通常、相手先商標製品製造会社(OEM)によって用いられる塗料配合の色の変種がわずかだからである。これらの変種は、一つの製造場所から別の製造場所、または一回の製造から同じ車両モデル上への別の所与の色の製造、または特定の製造回数の過程の間においてさえも生じ得る。これらの差異は別々の車両においては気付かれ得ないが、これらの差異が同じ車両の隣接した車体パネル上に存在する場合、差異が知覚され得る。これらの色の変異により、修理工場において優れた色適合を達成することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、修理した車両に塗料の色を適合させ、多数の修理工場に設けられた遠隔端末が色読み取りおよび関連付けられた個々の車両識別情報を中央コンピュータシステムに伝送するシステムを提供する。上記中央コンピュータシステムは、プロセッサ、ならびに特定の車両と関連付けられた色データのデータベースおよび対応する塗料の色調情報を含むデータ格納デバイスを含む。上記測定された色に最適の既知の色であるように計算された推薦の色調配合を決定した後、上記色調配合は上記遠隔端末に伝送されて、上記修理工場は塗料を配合し、そして修理されるべきエリアにスプレイする。続いて、上記工場は上記修理エリアの色読み取りを行い、この第二の読み取りを上記中央コンピュータシステムに伝送する。次いで、上記第二の読み取りは上記推薦の色調配合式の精度および格納された補正データが以後の色調配合式の推薦において実現されるか否かを判定する工程に進む。この様態で、上記データベースの精度は、上記フィールドから伝送された多数の読み取りによって継続的に更新される。
【0007】
上記個々の車両識別情報は、推薦された色調配合の計算にも用いられ得る。これにより、名目上同じ色の製造回数において変種を考慮することによって、色適合の精度が向上する。個々の車両識別情報と関連付けられたこれらの変種における傾向を追跡することによって、続きの色適合が、同じ製造回数の一部であったとして識別された車両に対して、実質的により精確に行われ得る。
【0008】
本発明の上記システムは、必要に応じて、修理工場に完成した仕事の色読み取りを伝送するように誘導する自動化されたメリットシステムを含み得る。これは、各修理工場のメリットポイントを格納するレジスターを必要とし、そして特定の車両に関して、上記中央コンピュータに伝送される第二の色読み取りを伝送するたびに、自動的にメリットポイントを上記工場のレジスターに加えることを必要とする。次いで、特定のレベルにおける蓄積されたメリットは、基礎として用いられて、金銭的または他の報酬をターゲットレベルに達する修理工場に提供し得る。あるいは、上記システムは、第二の色読み取りを伝送することに失敗したデメリットを登録するように動作し得、所定のデメリットレベルを回避することは、上記色適合システムの認定されたメンバとして継続させるための一条件である。
【0009】
したがって、本発明の少なくともいくつかの局面の一目的は、連続した製造にわたる色の傾向を考慮して車両の塗料の色を色適合させる方法およびシステムを提供することを含むと考えられ得る。本発明の他の局面の一目的は、多数のソースからの大量のフィードバックに基づいて自動的に更新する色適合方法およびシステムを提供することである。これにより、精度の高いシステムが得られる。
【0010】
上記中央コンピュータシステムは、プロセッサ、走査された塗料データおよび個々の車両識別情報を受信する一つ以上の入力ポート、情報を出力デバイスのうちの一つに伝達する出力ポートまたは出力デバイス、遠隔端末および/または第二のコンピュータ、データベース(データベース内に塗料配合が特定の車両の車両識別情報と共に格納される)が格納される格納手段、および上記一つ以上の入力ポートを介して受信された車両識別情報とデータベース内に格納された車両識別情報とを比較し、そして上記比較に基づいて最適の塗料配合を決定するプロセスを実現するソフトウェアを含む。
【0011】
上記システムは、修理した車両の表面から取得された反射率データなどの車両識別データおよび色データを中央コンピュータに伝達する複数の遠隔端末も含む。各遠隔端末は、プロセッサ、色データおよび車両識別データを受信する一つ以上の入力ポート、情報を上記中央コンピュータシステムに伝達するモデムなどの出力ポートまたは出力デバイスを含み得る。上記遠隔端末と関連付けられたデータ格納手段を含むことは排除されないが、各修理工場における色適合データベースを維持する従来技術のシステムに必要であるように、上記遠隔端末は実質的なデータ格納またはデータ処理容量を提供される必要はないことが本発明の一利点である。適切なソフトウェアは、データを読み取り、そしてデータをデジタルに上記中央コンピュータに伝送する上記遠隔端末を含み得る。
【0012】
上記システムはさらなるプロセスを実現するソフトウェアも含み得る。例えば、上記車両の修理表面から測定された物理的測定値を収集および分析し、そして所与の塗料適合が精確であるか否かを判定するプロセスが提供され得る。上記システムは、上記塗料の適合の精度を分析し、そして遠隔の場所において上記塗料の測定値を取得する際のエラーまたは故障および/または上記コンピュータによる上記塗料配合におけるエラーを示す塗料の測定値を識別する統計学的プロセスを含み得る。
【0013】
車両識別情報および修理される車両からの塗料測定値を取得し、そして修理される上記車両の上記車両識別番号に少なくとも部分的に基づいて最適の塗料配合を決定する工程を含む、塗料の適合を行うコンピュータ上で実現される方法も提供される。最良の塗料配合の決定は、中央データベース(塗料配合方式および/または他の修理から取られた物理的測定値と共に格納された車両識別情報を含む)内に格納されたデータと比較して、およびこのデータを参照して行われ得る。上記車両を修理した後、修理からの塗料測定値が取得され、そして最初の塗料測定値と比較され得る。次いで、スキャンから取得された情報は、上記データベース内に格納され得て、上記中央データベース内のデータポイントを増加させることによって、適合される車両の上記車両識別情報に基づいて塗料配合を予測する際に支援し得る。
【0014】
上記データベースの規則的な更新は、各遠隔場所における各ユーザに、他のユーザ用に決定された適合によって得られたデータの利益を提供する。さらなる利点は、色適合データの集中管理が可能になり、これにより、多数の修理工場におけるパーソナルコンピュータ上のデータを周期的に更新する必要性が排除される。この結果、上記データベース内に格納された上記データの統合性およびセキュリティの制御もよりよくなる。
【0015】
本発明の別の一意的な特徴は、非常に多くのフィールド位置からのフィードバックによって継続的に改良された色適合データベースを提供するように構成され得ることである。例えば、所与の塗料の製造ラインまたはブランドに関して、事実上毎回の上記塗料の使用が色の精度についてモニタリングされ得、そして色予測アルゴリズムがこのモニタリングに応答して改良されて、継続的に改良された精度が得られる。国中または世界中に配信される自動車補修塗料の大多数の製造ラインに関して、それぞれが通常日々いくつかの塗装の仕事を処理する何十万もの修理工場からのフィードバックが予期され得る。関連性の強いデータがこのようなシステムから得られ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明で使用される個々の車両識別情報は、任意の特有の識別番号(例えば、シリアル番号など)、または、通常、製造者によって車両に貼られる、特定の自動車と関連する他の表示であり得る。例えば、多くの自動車は、フロントガラスの下端を通して自動車の外側から可視の「車両識別番号」(VIN)を含む。VINシステムは、自動車に関して広範に使用されるため、現在、本発明に使用される好適な識別情報である。本明細書中、VINは、多くの場合、例示的な個々の車両識別情報と呼ばれる。しかし、局部的に使用される、または、将来的にVINシステムに取って代わり得る任意の別の識別システムが、VINシステムの代わりに、または、VINシステムに加えて使用され得ることが理解されるべきである。本発明が、正確な色合わせを所望する塗装される任意の製品に関して実行され得ることも明白であるべきである。自動車に加えて、トラック、オートバイ、ボート、飛行機、および娯楽用車両などの他の車両が、時々、正確な色合わせを必要とする。しかし、塗装される対象が車両に限定される必要はなく、本発明が有用であり得る機会は修理する際だけではない。自動車VINは、典型的には(しかし、排他的でなく)、車両に関する下記の情報を提供する17文字の英数字識別子である。
【0017】
【表1】

【0018】
この情報を本発明に用いて、コーティングにおける配色の傾向のモデリングが監視かつ許可される。結果として、識別された傾向およびモデルを使用して、増加した正確さを有する、車両の修理に使用される色の配合が予測され得る。本発明は、VINと関連して説明されるが、生産過程における車両の位置を識別するために使用され得る任意の車両特有の名称を使用して、本発明によって、最適な色の配合が決定され得る。
【0019】
本発明の方法を実施するシステムの一実施形態は、中央コンピュータおよび多数の遠隔端末を含む。遠隔端末は、配色データ(例えば、反射率に関するデータなどであるが、これに限定されない)を車両の塗装された表面から入手するためのスキャニングデバイスと、車両からVIN番号を入手するためのVIN入力デバイスとを含む。遠隔端末はまた、入手したデータを一時的に格納するための遠隔格納手段と、入手したデータを中央コンピュータに送信するための、モデムなどの通信デバイスとを含む。
【0020】
この実施形態において、中央コンピュータは、同じポート(単数または複数)であり得る1つ以上の入力ポートおよび1つ以上の出力ポートと、プロセッサおよびソフトウェアとを含み、これにより、本発明の方法による塗料の一致が実施される。中央コンピュータと関連して、データベースが格納されている中央格納デバイスが存在する。データベースは、リクエストされた色合わせを決定するために使用されるデータを含む。中央コンピュータに送信されたデータは、中央格納デバイスまたは2次中央格納デバイス上に少なくとも一時的に格納され得る。
【0021】
図1を参照すると、本発明は、その最も基本的な形態において、遠隔端末のネットワークを利用し、この遠隔端末のネットワークは、修理されている特定の車両に対応して、車両特有の情報を供給される。図1は、このような端末によって使用される本発明の方法のフロー図を示す。この車両特有の情報は、自動車の場合は特に、その自動車に関するVIN番号を含み得る。このVIN番号は、ステップ10において、遠隔端末へと手動的に入力またはスキャンされ得る。さらに、塗料の色に関するデータは、ステップ20において、適切な色測定デバイス(例えば、分光光度計)を用いて、一致されるべき塗料のサンプルをスキャンすることにより、遠隔端末へと入力される。遠隔端末は、情報を一時的に格納し得る。ステップ14において、VINおよび塗料の色に関する情報が、中央コンピュータへと送信される。ステップ16において、最適な塗料の配合が、塗料を一致させるプロセスによって決定される。このプロセスは、遠隔端末において実行され得るが、好適には、中央コンピュータにおいて実行される。塗料を一致させるプロセスが、中央コンピュータで実行される場合、車両特有の情報も中央コンピュータへと送信される。中央コンピュータは、最適な塗料の配合を決定し、その最適な塗料の配合を遠隔端末へと転送する。
【0022】
車両特有の情報は、VIN番号から解析された情報を、格納デバイス(例えば、ハードドライブなど)内の、塗料の配合に関する情報、および、他の車両に関するVIN情報と関連して格納されている物理的データと比較することにより一致させられる。格納デバイスは、遠隔端末または中央コンピュータと接続している、または、一体化している。塗料の配合は、このプロセスによって呼び戻され、読み取りデバイスのユーザに伝達される。類似するVIN番号が識別されない場合、塗料の配合は、データベース内に保存されている既知の塗料の配合に関してスキャンされた物理的データに基づいて、内挿または外挿され得る。一致の正当性に関して判断する場合、中央コンピュータは、VIN番号内に提供されるデータとスキャンされたデータとを区別して、正確な一致を提供する。1つ以上の類似するVIN番号がデータベース内に格納されている場合、VIN情報が重要視される。
【0023】
一旦、最適の塗料の配合が、ステップ20において、出力デバイス(例えば、ディスプレイまたはプリンタなど)によって遠隔ユーザに伝達されると、ユーザは特定の塗料の配合を準備し、車両は修理される。車両を修理する際に塗料販売店によって使用される塗料の量は、ステップ22において、スマートスケール(smart scale)を用いて監視され得る。このスマートスケールは、塗料を準備するために使用された成分の重量と、配合の正確さとを確認し、修理工場における塗料成分の在庫を監視する。塗料が硬化または乾燥すると、車両の修理された部分は、ステップ24において色測定デバイスによってスキャンされ、新しく塗装された領域に関する色データは、ステップ26において中央コンピュータに送信され、一致の正確さは、ステップ28において、第1のセットの色データ(元の塗料からのデータ)を、修理された塗料領域からスキャンされた色データと比較することにより決定される。一致が正確な場合(正確さの所定の範囲に含まれる場合)、車両識別情報および対応する塗料の配合は、将来的な一致のためにデータベース内に記録される。一致が正確でない場合、データは、訂正アルゴリズムに適用されて、同じ系統の車両に関する将来的な一致を改善する。データベース内に格納されている、修理されるべき車両のVINから解析された製造整理番号に類似する製造整理番号を有するVINと関連する塗料の配合が、重要視され得る。
【0024】
本発明のステップ、構成要素、および動作について、下記により詳細に説明する。
【0025】
(遠隔端末)
ステップ10および20において用いられる遠隔端末は、例えば、限定されないが、塗料走査デバイス、分光光度計または比色計、車両識別入力デバイス、1つ以上の入力および出力ポート(I/Oポート)ならびに遠隔記憶手段を含む。遠隔端末は、世界中で、地理的に互いに離れた多様な自動車修理店において配置され得、理論的にはその数は制限されない。この数については、実質的に、世界中に存在する多数のボディショップを考えるとよい。すべての読出しデバイスは、中央コンピュータと通信する。各読出しデバイスが中央コンピュータと通信する手段は様々であり得、1つのコンピュータが別のコンピュータと通信することによって利用可能な手段の数によってのみ制限される。通信は、限定されないが、ローカルエリアネットワーク(LAN)または他のダイレクトハードワイヤー通信システムによって直接的に、ワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、標準電話線を介するモデムによって、またはセルラー電話ネットワークを介するワイヤレス通信によって、そうでなければ、これらの多様な組合せ、インターネットとも呼ばれるグローバルコンピュータ通信ネットワークを含む他の公知のコンピュータ通信方法の多様な組合せによって行なわれ得る。暗号化は所有情報の機密性を守るために用いられ得る。
【0026】
(塗料走査デバイス)
ステップ10において用いられる通常の塗料走査デバイスは、可視スペクトル(約300〜700nm)にわたって塗料サンプルの反射率を測定するデバイスを含む手動デバイスである。測定は、角度の数(すなわち、3〜5個の異なった角度)で行なわれ得る。任意に、車両の元の仕上げに関する他の物理的データは、光沢(すなわち、60度で)、画像深度およびオレンジピールの深度等に関して、別個のデバイスによって測定され得る。これらの別個のデバイスは、単一のユニットに組込まれ得る。塗料走査デバイス、車両識別入力デバイス、I/Oポートおよび遠隔記憶デバイスは互いに通信するか、または互いに通信可能である別個のユニットとして提供され得るか、またはこれらのデバイスは、手動ユニット等の1つ以上のユニットに部分的または完全に組込まれ得る。
【0027】
塗料スキャナおよび車両識別入力デバイスによって取得されたこのデータは、集合的に、遠隔端末における「遠隔記憶手段」と称される、メモリ(すなわち、ランダムアクセスメモリ、RAM)または記憶デバイスに記憶される。遠隔記憶手段は、読出し器と一体化され得るか、あるいはパーソナルコンピュータまたは別のスタンドアローン記憶デバイス等の、読出し器とダイレクトローカル通信を行なう別個のデバイスとして提供され得る。塗料スキャナ(すなわち、比色計)および車両識別入力デバイス(すなわち、文字数字キーボードまたはキーパッド)は市販されており、単一手動デバイスに適合するようにカスタムデザインされ得る。塗料スキャナの非限定例は、米国特許第4,771,580号および第4,853,879号において記載される。記憶デバイスは、コンピュータ情報を一時的または持続的に記憶し得るデバイスを含む。このようなデバイスは、限定されないが、ハードデバイス、ディスケット、CD−ROM、DVDROM、磁気テープ、高容量リムーバブルディスク、およびコンピュータデータが一時的または継続的に記録され、後から読出され得る他の磁気または光学記憶デバイスを含む。
【0028】
(車両識別入力デバイス)
ステップ20において、車両識別情報は車両識別入力デバイスによって提供される。車両識別入力デバイスは車両識別情報を画像か、文字数字キーパッドか、文字数字キーボードとして走査するスキャナ、特定の車両識別システムと適合する他の入力デバイスであり得る。キーパッドまたは車両識別スキャナは、読出し器と一体化され得るか、または読出し器から分離され得る。車両識別情報が画像として走査されるべき場合、読出し器と一体化されるか、または別個のデバイスとして単純なスキャナが提供され得る。光学式文字認識(OCR)ソフトウェアまたはファームウェア(集合的に「OCR変換器」)は、各遠隔地において提供され得、走査された車両識別情報の画像をASCIIテキストまたはリッチテキスト等のコンピュータが認識できるテキストに変換する。OCR変換器は、走査された数字または文字の画像を、ASCII Text等のコンピュータによって認識可能なテキストキャラクタに変換する任意のコンピュータ処理であり得る。
【0029】
あるいは、車両識別画像をテキストに変換する工程は、中央コンピュータによって実行され得る。OCR変換器を各遠隔地において提供するのではなく、中央コンピュータがOCR変換器を収容する。本実施形態において、車両識別画像は、中央コンピュータに無処理で転送され、中央コンピュータは車両識別画像をテキストに変換する。本実施形態において、遠隔記憶装置から中央コンピュータへより多くのデータが転送されるが、このオプションは、各読取り器にOCR変換器を提供するよりも費用効果が大きくなり得る。
【0030】
(中央コンピュータ)
車両識別情報および物理的カラーデータが遠隔端末に走査され、車両専用情報が遠隔記憶手段に転送された後、これは中央コンピュータによって取出し可能なデータと比較され、遠隔地におけるユーザに第1の最も適合する塗料調合物が提供される。第1の最も適合する塗料調合物は、遠隔端末においてか、または(好適には)中央コンピュータにおいて局所的に決定され得る。最も適合する調合物の判定が中央コンピュータにおいてなされるべき場合、車両専用情報は中央コンピュータに伝達され、ここで適合が決定され、調合物はユーザによって使用されるように遠隔端末に伝達される。
【0031】
あるいは、最も適合する塗料調合物は遠隔端末において決定され、適合の正確さが判定されると、適合情報は中央コンピュータに伝達される。本実施形態において、各遠隔端末は、車両識別情報と関連して記憶された塗料調合物のデータベースと関連付けられ、遠隔端末におけるデータベースは固定されたインターバルで更新される。更新は自動的に行なわれ得、勤務時間の後に実行され得るので、勤務時間中に遠隔端末が動作することで妨げられることはない。
【0032】
中央コンピュータは、データが遠隔読出しデバイスからおよび/または他のソース、プロセッサ、1つ以上のデータ記憶デバイスからアップロードされる1つ以上の入力ポート、ならびにデータが遠隔読出しデバイスおよび/または他の場所にダウンロードされ得る1つ以上の出力ポートを含む。この中央コンピュータは、満足な速度でデータを処理し、通信する限りにおいて、パーソナルコンピュータであり得、メインフレーム型のコンピュータであり得るか、または任意の型のコンピュータまたはコンピュータネットワークであり得る。従って、中央コンピュータの処理容量および記憶容量は、遠隔読出しデバイスの数およびこれらのデバイスの活動レベルに依存する。
【0033】
入力ポートおよび出力ポート(単数または複数)は、同じかまたは異なったデバイス(単数または複数)であり得、遠隔読出しデバイスまたは他のデバイスまたは上述の多様な方法による場所と通信する。中央コンピュータのデータ記憶デバイス(単数または複数)は、塗料適合データを含むデータベースを含む。塗料適合データは、塗料調合物、車両識別データ、物理的塗料データを含み、物理的塗料データは、1つ以上の反射率データ、光沢データ、画像データ深度およびオレンジピールデータ深度、ならびに遠隔読出しデバイスから受取ったデータを含み得る。塗料の適合を生成するために用いられる処理を可能にするデータまたは定数、および塗料適合プロセスの正確さを評価するために塗料適合システムの管理者によって用いられ得る統計データ等の他のデータが存在し得る。
【0034】
(データベース)
各所与のデータベースがデータを検索し格納する様式だけでなく、データベース構造が異なることを認識する必要がある。本明細書中に開示されているデータは、コンピュータのプロセスが、説明したプロセスを達成し得る限り、別個のテーブルまたは記録に、あるいは、任意の特定の形式で格納される必要はない。本明細書中に記載のプロセスは、標準的なデータベース構造について、限定されない例である。データの間の関係を確立する様式は、関係が確立されたという事実ほど重要ではない。以下の非限定的な説明は、データがテーブルに格納され、テーブル内のデータの間で関係が確立される典型的なリレーショナルデータベース構造を参照しながら説明される。
【0035】
本発明の一実施形態において、塗料配合テーブルは、専用の色が付けられた塗料を作製するために組み合わされた成分のリストを含む。成分は、塗料基材と、塗料の所望の色を与える着色組成物とを含む。塗料の性質に依存して、他の成分が加えられ得る。このような他の成分には、反射顔料(すなわち、メタリックフレーク)、他の特殊効果顔料(すなわち、パール)、および光沢向上剤が含まれるが、これらに限定されない。従って、塗料配合テーブルは、所与の適合された色について配合を含み得る。
【0036】
車両を識別する単数または複数のデータテーブルは、一意的な車両特有の識別データ(例えば、VIN番号)を含む少なくとも1つのテーブルを含む。VIN番号における特定の数字は、他のものより、例えば、組立工場および製造整理番号など(これらに限定されない)、車両の色および色の傾向に対して、より強い関係を有し、これらのデータは、自動的に構文解析され、別個のフィールドのテーブルに格納される。しかし、これらのデータは、本発明の目的を達成するために、関連するデータ用のVIN番号を構文解析することができるプロセスが適用されるので、別個のフィールドに分割される必要はない。
【0037】
塗料配合テーブルは、その塗料配合の塗料製品でコーティングされた(仕上げされた)表面からの実際の物理的な読み取りに基づく物理データテーブルに関連する。車両識別テーブル(単数または複数)は、物理的データテーブルおよび塗料配合テーブルに関連する。これらの関係は、実際の車両から取られた読み取りに基づく。
【0038】
この実施形態において、中央コンピュータは、ソフトウェアで構成され、コンピュータが塗料を照合することを可能にするプロセスを実行する。情報が遠隔端末から情報を受信する場合、中央コンピュータにおいて、1つ以上のテーブルに格納される。1つの車両について受信された全ての情報は、車両識別情報との関係で、格納される。
【0039】
(塗料データ照合プロセス)
遠隔読み取りデバイスからデータが受信された後、車両のメーカー、モデル、年式、ライン、シリーズ、ボディータイプ、および組立工場の一部または全てを記載する車両識別情報は、中央コンピュータに格納された車両識別情報と照合され、適合の第1の組が取り出される。遠隔読み取りデバイスから受信した物理的データ、特に反射率データが用いられて、適合の第1の組を狭めて、適合の第2の組にする。適合の第2の組には、最適には、一般的な塗料の色(製造業者の指定色、例えば、OEMコード番号によって指定された色、以下「OEMカラー」と呼ぶ)が同じ車両のみが含まれる。あるいは、製造順序におけるどの車両が製造業者の指定した色で塗られているかを示すデータは、製造業者から入手され得る。なぜなら、製造業者は、典型的には、バッチで車両を塗装するからである。製造業者データは、好ましくは、工程30において、世界中の車両製造業者および塗料製造業者から、中央コンピュータに送られる。
【0040】
この時点で、コンピュータプロセスは、車両識別情報およびOEMカラーによって限定されたデータの第2の組から塗料適合を判定する。この様な照合動作の一例を以下に説明する。第1に、適合する塗料配合の第2の組におけるVIN製造整理番号が、遠隔読み取り装置からダウンロードされた製造整理番号に充分に「近い」場合、塗料配合適合に関して格納された物理的データが、遠隔位置から入手された物理的データに適合するという前提で、格納された近い製造整理番号に対応する塗料配合が推薦される。「近い」製造整理番号が提供されていない場合、配合は、同じ製造整理の他の製造整理番号の塗料配合から内挿または外挿される。最終的に、塗料配合が、所定の統計学的な信頼度で内挿または外挿されない場合、塗料の物理的なデータが用いられて、照合あるいは外挿または内挿によって、塗料が照合される。
【0041】
第一の工程において、受信されたVINの製造整理番号が、中央コンピュータに格納されたVINの製造整理番号に近い場合、格納されたVINに関連する塗料配合が最適な適合であると考慮される。「近い」製造整理番号は、指定された製造整理番号ユニット内にあるか、または所与の製造順序内の総車両数の割合として表され得る。任意の所与の製造順序における自動車の総数は、製造業者および/またはVIN検索機関から幅広く利用可能である。所与の製造設備での所与の製造シリーズについての色の傾向の度合いは、ほとんど異ならないこともあるし、大きく異なることもあることが理解されるべきである。1つの製造シリーズについて近い製造番号は、他の製造番号シリーズに近いと考慮され得ない。
【0042】
事実上、近い適合とは、車両の所有者にとって許容できると考えられる適合であり、車両の元の塗料と、適合する塗料との間の差を眼で識別することができないことに関する。従って、「近い」VIN番号を有する2つの車両についての適合する塗料の間の測定可能な物理的パラメータの差は、大幅に異ならないはずである。結果として、色の傾向の度合いを考慮する適合させるプロセスが組み込まれる1つのサブプロセスは、製造シリーズの中の色の傾向の度合いを考慮するために、任意の製造順序について「近さ」の値を変動させ得る。例えば、製造シリーズについてデフォルトの設定は、近いVIN番号を、ある特定の数の車両の範囲内の製造整理番号を有するものとして考慮し得る。時間が経っていても、製造順序全体において色の傾向が見られないことが、受信された色データまたは配合データのいずれかによって決定される場合、「近い」車両の範囲は、より多数のユニットまで拡大され得る。他方、製造整理番号がデフォルトより少ない数のユニット分異なり、車両において、識別できる様な色の傾向が見られる場合、「近い」車両についての範囲は、狭められる。
【0043】
「適合」を決定するソフトウェアは、2つのデータセットを適合させ、1つのデータにおける特定の記録が、例えば、所定の範囲内に、かつ、必ずルックアップ機能に含まれるか否かを判定することができる任意のソフトウェアプログラムであり得る。範囲は、オペレータによって、手動で設定されてもよいし、統計学的に決定されてもよい。各パラメータは、異なって重み付けされ、かつ/または異なる順序において適合され得る。例えば、VIN情報を適合させる場合、ライン、シリーズ、ボディータイプ、年式、および組立工場データが適合され得るように、世界製造業者識別子が、厳密に適合され得る。製造整理番号は、同じ車両の製造シリーズで製造されたか、または同じ所定の期間内に製造された車両の総数の割合の範囲内で、所定の範囲内で適合され得る。いずれの場合においても、サブプロセスは、製造整理番号の適合の「近さ」を計算するように、提供され得る。製造整理番号の適合基準が、所定の期間に基づく場合、どの製造整理番号が所与の所定期間内に製造されたのか識別するサブプロセスが利用可能である必要がある。このようなサブプロセスを実行するために必要な製造情報は、製造業者から入手され得る。
【0044】
適合させるプロセスの第2の工程は、その特定のモデルについて、データベースが不十分な「近さ」の個々の車両情報を含む場合に、必要に応じて保留されてもよいし、色を適合させるサイクルごとに行われてもよいし、選択された車両群についてのみ行われてもよい。このプロセスは、既知の適合する配合からの塗料配合の内挿または外挿を含む。典型的には、このような場合において、ほとんどのVIN情報は厳密に適合し得るが、製造整理番号は、許容できる「近い」範囲に含まれない。このような場合、同じ製造順序の中の他の製造整理番号に対応する塗料配合は、配合における各成分について、同じ製造順序の他の配合の成分の量に基づいて、値を内挿および/または外挿することによって、新たな配合を生成するように用いられ得る。必要に応じて、各加熱組成物についての色度値は、最適な適合の色配合を決定するように利用され得る。内挿または外挿された配合は、一般的なスプレッドシートまたはデータベースプログラムにおいて、市販されている内挿または外挿機能を実行することによって入手され得る。内挿は、典型的には、製造整理番号を、所与の配合において用いられる各トナー(顔料)または他の成分、例えば、メタリックフレークの量に関連させる一連の曲線(すなわち、最適な適合ライン)を生成し、適合される車両の製造整理番号について各成分の量を決定することによって入手される。着色組成物の色度値は、このプロセスにおいて考慮され得る。配合の各成分についての最適な適合曲線の生成において、1つ以上の横にある配合が考慮され得る。
【0045】
塗料配合は、外挿もされ得る。外挿は、2つの場合において必要である。第1に、適合される車両の製造整理番号が、製造シリーズのデータベースにおいて表されている全ての配合の製造番号より、大きいか、または小さい場合、配合値は、外挿される必要がある。第2に、適合される車両の製造整理番号が、データベースにおける2つの関連する製造整理番号間に含まれる場合、1つ以上の異なる成分が、配合において用いられた可能性がある。適合される車両の製造整理番号より小さいか、かつ/または大きい製造整理番号の両方について、最適適合曲線を生成することによって、各成分の量が、妥当な精度で外挿され得る。
【0046】
本発明の目的を達成するためには、各成分についての最適適合曲線は、ラインであってもよいし、より複雑な関係であってもよい。曲線の複雑さの限界は、オペレータによってプリセットされ、システムの速度および予測の精度が最適化され得る。
【0047】
ある特定の場合においては、製造順序が塗料配合によって表され得ないこともあるし、または、配合が、内挿または外挿によって、統計学的な有意性の所定の度合いまでは確定できないこともあり得る。このような場合において、プロセスは、適合される車両から入手された物理的なデータを用いて、公知のアプローチに従って、物理的なデータに最適に適合する配合を提供し得る。適合させるサブプロセスは、製造整理番号に基づいて、配合に適合させるプロセスに類似し得るが、適合の決定において、VIN情報に加えて、物理的データを考慮し得る。このプロセスのロジックは、物理的データに基づいて配合を適合させるプロセスと同じであるが、反射率データ、および/または他の物理的パラメータを用いて、横にある配合を決定する。物理的データのみに基づいて、適合を計算するため、他のプロセスおよび装置、例えば、米国特許第4,997,522号に記載のプロセスおよび装置などが利用可能である。
【0048】
物理的パラメータによって適合させることは、VIN情報に基づいて適合を決定するために充分なデータがある場合の適合の決定においてのみ依存されるべきである。適合の決定が、VIN情報に基づいて行われる場合、物理的なパラメータは、検討中の配合を製造業者が指定した色に限定するためにのみ用いられる。しかし、一実施形態において、塗料適合プロセスによって提供される塗料配合は、適合の計算において、測定された物理的なパラメータおよび重み付けされた変数に基づいて、塗料配合と比較され得る。VINデータポイントの数がより多くなり、修理中の車両の製造整理番号に対するVINデータポイントの製造整理番号の近似性がより近くなるにつれ、VIN情報によって計算される塗料配合に与えられる重みはより大きくなる。しかし、VINデータポイントがより少ない場合、物理的データは、塗料配合を決定するため、より大きく依存され得る。統計学的なサブプロセスは、VIN情報に基づいて、塗料配合の潜在的な精度を決定するために採用され得、所定の基準、VIN情報および物理的パラメータのそれぞれの重み付けに依存して、塗料配合が自動的に決定され得る。
【0049】
適合する配合が中央コンピュータによって決定された後、遠隔端末に返される。配合は、読み取りデバイスに接続されているか、または組み込まれている視覚的なディスプレイに表示されるか、あるいは、読み取りデバイスに接続されているか、または組み込まれている印刷デバイスによって印刷される。「〜に接続されている」という句は、「接続された」デバイスが、当該技術において公知の多くの手段のうちの1つによって、「有線」または「無線」に関わらず、互いに通信することであると解される。例えば、ディスプレイおよび/または印刷デバイスは、読み取りデバイスとは別に設けられる場合、読み取りデバイスに、並列または直列通信、イーサネット(登録商標)、ファイヤワイヤ、USB、SCSI、赤外線、あるいは他の通信手段またはインターフェースによって接続されてもよいが、これらに限定されない。
【0050】
この時点で、遠隔ユーザは、提供された配合に従って塗料サンプルを準備し得、塗料サンプルは、車両に塗布され得る。適合する塗料が車両に塗布された後、視覚的な適合があるかないかに関わらず、ユーザは、再度、VIN番号および修理された表面の物理的パラメータを読む。遠隔端末は、塗料のスキャンが行われるごとに、VIN入力を必要とするように設定され得る。その後、このデータは、中央コンピュータに連絡され、工程20において同じ車両から測定された元の物理的パラメータと、比較される。物理的データセットが、プリセットされた相関の度合いと適合する場合、配合、VIN情報、および物理的データは、将来の適合において用いられるようにデータベースに入力され得る。物理的データの間の相関が不完全である場合、または、修理の視覚的な検査において、遠隔ユーザが適合が完全でないことを示す場合、適合配合、製造整理番号を除くVIN情報、その配合の物理的データが、データベースに格納される。これによって、物理的パラメータに基づいて、塗料配合を適合、内挿または外挿する場合有用であるが、製造整理番号に基づく適合には有用でないデータセットが得られる。中央コンピュータにおけるソフトウェアは、OEカラーの最も一般的なバリエーション(元の色からのシフト)に基づいて、適合を提供するように改良され得る。
【0051】
統計学的な信頼度を有する適合が為されない場合において、塗料は、塗装される必要がある車両の表面全体を塗装する前に、適切なテスト表面に、または、テスト車両の小さい部分にのみ、塗布され得る。テスト表面に対する塗料の塗布は、塗料配合が、内挿および/または外挿によって決定される場合、特に、適合において、所定のレベルの統計学的な信頼度が満たされていない場合に、中央コンピュータによって、自動的に推薦され得る。
【0052】
推薦された塗料配合の塗布の後の塗装された表面の物理的パラメータの測定は、自動的なプロセスではない。遠隔ユーザは、読み取りデバイスを用いて、塗装された表面を、物理的に測定する必要がある。このようにして、中央コンピュータは、遠隔ユーザが修理された表面測定する場合の例を記録し、これらの例を一致させ得る。塗料適合サービスのプロバイダは、これらの例について追跡し、遠隔ユーザに、塗料の視覚的な適合を単に受け入れるのではなく、塗装された表面を測定する時間をとらせたことに対して、割り戻しおよび/または商品券を渡すことができる。
【0053】
データポイントおよび各個別の遠隔ユーザによって寄与されたデータを識別するさらなるプロセスが、塗料適合および認証プロセスに組み込まれ得る。遠隔ユーザが、中央コンピュータと通信するたびに、ユーザ識別コードは、連絡され得、各データポイントまたはそのユーザによって寄与された記録は、そのユーザの識別コードに標識付けされ得る。このプロセスによって、中央コンピュータは、ある程度の信頼度までは、他のデータポイントまたはデータ曲線と相関するデータポイントを識別し得る。特定のユーザ(特定の人物または修理設備のいずれか)のデータポイントが非常に大きく、かつ/または、非常に規則正しい場合、塗料適合サービスのプロバイダは、通知され得、フィールド代表値(representative)が、遠隔ユーザの設備に送られて、統計学的偏差が、ユーザの誤りに起因するのか、または設備の故障に起因するのかを決定し得る。その後、機器が修理されるか、ユーザがトレーニングされる。ユーザによる追跡が、技術者および/または設備の認証プログラムを実現する方法として用いられ得る。
【0054】
任意のステップ32におけるさらなるプロセスは、時間が経つ間適合が困難である製造業者の指定した色を識別する塗料適合プロセスに組み込まれ得る。このさらなるプロセスは、このような色を、元の塗料の物理的データと、適合する塗料についての物理的データとの間の相関を測定することによって、識別する。元の塗料と適合する塗料との間の相関が、所定の閾値、すなわち、所定の時間の割合より下である場合(例えば、0.8より下の相関係数)、塗料適合サービスのプロバイダは、通知され得、工程34において、適切な調査が行われて、どのようにその塗料を厳密に測定するか、または、色の配合を再度調整するか否か、且つ/または、工程36において、その色の配合を取り消すか否かが決定される。
【0055】
任意の所与の製造順序における、データポイントの蓄積は、データポイントの数が増える程、主にVIN情報に基づく適合の信頼度が高まるので、システムの将来のユーザに役立つ。従って、システムがまず組み立てられる場合、フィールドにおいて集められるか、または実験室で決定される、既知のデータポイントに基づいて、後にデータベースが「発達」した場合と比較して、さらなる外挿および/または内挿が行われ得る。所与の製造順序について、多くのデータポイントが利用可能である場合、ある特定の統計学的に共通点のないデータポイントは、無視され得、適合の精度は、システムが発達するにつれて、高まる。このようにして、多くの製造ラインについて、「完全」な適合が確実に行われ得る。
【0056】
塗料塗布技術が、塗り直された表面の色の外観に影響し得る。従って、色適合システムの制御を超える変動する要因があるので、本明細書中に記載の「適合」は、絶対的に完全な適合が保証されることを意味するように意図されていない。
【0057】
当業者であれば、上記の記載の概念から逸脱することなく、本発明に対する改良が行われ得ることを容易に理解する。このような改良は、特許請求の範囲に、その言い回しによって、含まれないことが明確に記載されていない限り、特許請求の範囲に含まれると考えられる。従って、本明細書中において詳細に説明した特定の実施形態は、例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲、およびその均等物のいずれか、または全ての完全な大きさに与えられる本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の実施形態の典型的な動作のフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央コンピュータを用いて、車両の塗料を適合させる方法であって、
遠隔端末から、特定の車両に関連する車両識別情報と、該車両のボディーの一部の塗料色を記述する第1の塗料色データとを該中央コンピュータで受信するステップであって、該中央コンピュータが、(i)プロセッサと、(ii)複数の車両についての車両識別情報と、それぞれの車両識別情報に関連する塗料色データと、塗料色データに関連する塗料配合とを含むデータベースが格納されている電子格納手段と、(iii)提出された車両識別情報と提出された塗料色データとを塗料配合に関連付ける第1の最適な塗料配合を決定する第1のプロセスを実行するソフトウェアを含む、ステップと、
該中央コンピュータ内の該ソフトウェアを介して、該第1の最適な塗料配合を識別するステップと、
該第1の最適な塗料配合を該遠隔端末に送信するステップと、
該遠隔端末から、該第1の最適な塗料配合で塗装された該特定の車両の表面を表す第2の塗料色データを該中央コンピュータで受信するステップと
第2のプロセスによって、該第2の塗料色データを該第1の塗料色データと比較することにより、該第2の塗料色データと該第1の塗料色データとの間の色適合の精度を記述する精度データを確立するステップであって、該精度データは、該第2の塗料色データの入力に基づいて連続して更新される、ステップと、
該更新された精度データを続く第1のプロセスに適用するステップであって、塗料配合識別情報に対する続くリクエストに対して該更新された精度データを実行する、ステップと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記第1のプロセスが、前記遠隔端末から受信された前記車両識別情報および前記第1の塗料色データと前記電子格納手段に格納されている該車両識別情報および塗料色データとを、該遠隔端末から受信された該車両識別情報と該電子格納手段に格納されている該車両識別情報との近さと、該車両識別情報と過去の修理塗料データとに基づく色の適合の予想の過去の精度とに基づいて、該車両識別情報および塗料色データを重み付けすることによって、比較する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプロセスが、前記色の適合の近さについての許容レベルを含み、該許容レベルを超える色の適合は、他の適合に基づいて塗料配合を内挿または外挿することによって調節される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のプロセスは、前記第2の塗料色データが前記第1の塗料色データに適合するかどうか決定し、製造系列の中での傾向を該製造系列における色配合の間の差を識別することによって評価し、該製造系列における色配合の間の差に基づいて前記第1のプロセスによって決定された前記最適な塗料配合を変更する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
中央コンピュータを含む、車両の塗料を適合させるシステムであって、
該中央コンピュータが、
(a)プロセッサと、
(b)遠隔端末から、第1の塗料色データと、第2の塗料色データと、車両識別情報とを受信する入力ポートと、
(c)情報を出力デバイスに通信する出力ポートと、
(d)特定の車両の車両識別情報に関連して塗料配合が格納されているデータベースを含む格納手段と、
(e)該入力ポートを介して受信された該第1の塗料色データと車両識別情報とを塗料配合に関連付ける第1の最適な塗料配合を決定する第1のプロセスを実行し、
該第1の最適な塗料配合を識別し、
該第1の最適な塗料配合を該出力ポートに送信し、
該第1の最適な塗料配合で塗装された該特定の車両の表面を表す該入力ポートから該第2の塗料色データを受信し、
第2のプロセスによって、該第2の塗料色データを該第1の塗料色データと比較することにより、該第2の塗料色データと該第1の塗料色データとの間の色適合の精度を記述する精度データを確立し、該精度データは、該第2の塗料色データの入力に基づいて連続して更新される、ソフトフェアであって、
該更新された精度データを続く第1のプロセスに適用することにより、塗料配合識別情報に対する続くリクエストに対して該更新された精度データを実行する、ソフトウェアと
を含む、システム。
【請求項6】
前記プロセスが、前記受信された車両識別情報が得られた前記車両の製造系列における複数の車両の車両識別情報に対応する複数の塗料配合に基づいて塗料配合を内挿または外挿することによって、最適な塗料配合を提供する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記データベースが、車両識別番号を含む車両識別情報と、該車両識別情報に関連して格納されている塗料配合とを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記出力デバイスおよび前記中央コンピュータのうちの1つが、塗装されるべき表面の第1のスキャンから得られる物理的な塗料データと修理された表面の第2のスキャンから得られる物理的な塗料データとを比較するプロセスと、該比較の結果を統計学的に解析し、報告するプロセスとを実行するソフトウェアをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
車両の塗料を適合させるシステムであって、
(a)車両についての塗料情報を記録し、格納する複数の遠隔端末であって、該塗料情報が、車両のボディーの一部の塗料色を記述する該車両の車両識別情報と第1の塗料色データとを含み、該遠隔端末のそれぞれが、(i)データを格納する第1の電子格納手段と、(ii)該塗料情報を該第1の電子格納手段に入力する1つ以上の入力デバイスと、(iii)データを他のコンピュータに送信する出力ポートと、(iv)データを他のコンピュータから受信する入力ポートと、(v)出力デバイスとを含む、複数の遠隔端末と、
(b)(i)プロセッサと、(ii)データベースが格納されている、該プロセッサと通信する第2の電子格納手段であって、該データベースは、車両識別情報と該車両識別情報に関連して格納されている塗料配合とを含む、第2の電子格納手段と、(iii)該複数の遠隔端末からデータを受信する入力ポートと、(iv)該複数の遠隔端末にデータを送信する出力ポートと、(v)該複数の遠隔端末のうちの1つから該第1の塗料色データと車両識別情報とを受信する第1のプロセッサを実行し、
該受信された車両識別情報と第1の塗料色データとを塗料配合に関連付ける第1の最適な塗料配合を決定し、
該第1の最適な塗料配合を識別し、
該第1の最適な塗料配合を該出力ポートを介して1つの遠隔端末に送信し、
該第1の最適な塗料配合で塗装された該特定の車両の表面を表す第2の塗料色データを該入力ポートを介して該1つの遠隔端末から受信し、
第2のプロセスによって、該第2の塗料色データを該第1の塗料色データと比較することにより、該第2の塗料色データと該第1の塗料色データとの間の色適合の精度を記述する精度データを確立し、該精度データは、該第2の塗料色データの入力に基づいて連続して更新される、ソフトウェアであって、
該更新された精度データを続く第1のプロセスに適用することにより、塗料配合識別情報に対する続くリクエストに対して該更新された精度データを実行する、ソフトウェアとを含む、中央コンピュータシステムと
を含む、システム。
【請求項10】
前記塗料情報が遠隔端末の前記第1の電子格納手段に入力され、前記中央コンピュータに転送され、前記プロセスに従って処理される場合には、該中央コンピュータは、該プロセスに従って決定された最適な塗料配合を該遠隔端末に送信し、該最適な塗料配合が該出力デバイスによって表示される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記車両識別情報および第1の塗料色データは、前記最適な塗料配合の決定において、異なる相対的な重みを与えられている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記中央コンピュータが、前記塗料適合の精度を決定するプロセスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記遠隔端末が、前記塗料適合の精度を決定するプロセスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記塗料適合の精度を決定する前記プロセスが、
前記最適な塗料配合に従って用意された塗料で塗装された前記車両の表面の物理的な塗料パラメータを読み取り装置にスキャンすることにより、修理塗料データを取得することと、
該修理塗料データを前記中央コンピュータに転送することと、
該修理塗料データを元の塗料データと比較することと
を包含する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記最適な塗料配合に従って用意された塗料で塗装された前記車両の表面の物理的な塗料パラメータが、他の適合する塗料配合を決定するために前記データベースに格納されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記車両識別情報が、製造整理番号を含み、
前記プロセスが、前記塗装されるべき車両の該車両識別情報における該製造整理番号が、第1の理論上の塗料配合に関連して前記データベースに格納されている製造整理番号から所定の範囲内にあるかどうかを決定し、それにより、該第1の理論上の塗料配合が該塗装されるべき車両に使用され得る、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセスが、製造系列の中の車両識別番号についての他の塗料配合の分析に基づいて、第2の理論上の塗料配合を決定することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセスが、前記塗装されるべき車両の前記物理的な塗料データと同様の物理的な塗料データを有する、該塗装されるべき車両の前記車両識別番号に関連する車両識別番号についての他の塗料配合の分析に基づいて、塗料配合を決定することと、前記第1の理論上の塗料配合と前記第2の理論上の塗料配合とを比較することと、該第1の理論上の塗料配合と該第2の理論上の塗料配合とについて成分の量を平均化することとをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセスが、前記塗装されるべき車両の前記物理的な塗料データと同様の物理的な塗料データを有する、該塗装されるべき車両の前記車両識別番号に関連する車両識別番号についての他の塗料配合の分析に基づいて、塗料配合を決定することと、該塗料配合を前記遠隔端末に通信することとを含む、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−15341(P2006−15341A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188904(P2005−188904)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【分割の表示】特願2001−545811(P2001−545811)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】