説明

塗料濾過用ストレーナー

【課題】混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、色成分の一部がストレーナー内に滞留して調色時の色とは異なる色となることを防ぐことができるとともに、濾過速度に優れている塗料濾過用ストレーナーを提供すること。
【解決手段】逆円錐台形状をなす筒状体からなる紙製の本体と、前記本体の下方開口部を覆うように取り付けられた網体とからなり、前記網体は、周縁部が前記本体の外周面又は内周面に取り付けられており、前記本体の下端部は前記網体の濾過面より下方に突出しており、前記突出部の最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする塗料濾過用ストレーナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料濾過用ストレーナーに関し、より詳しくは混合、調色した複数の色成分をもつ塗料をその成分比を変えることなく濾過することができる塗料濾過用ストレーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の補修作業等においてスプレーガンを使用して塗装する作業現場では、塗料かすやゴミ等によるスプレーガンの目詰まりや塗装面の仕上がり低下を防ぐために、通常、塗料をスプレーガンに入れる際にストレーナーを用いて塗料を濾過している。
従来、塗料濾過用のストレーナーは、図13に示されるように、円錐筒形状に形成され、側面の一部及び先端部が濾過用ネット(N)とされているのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、このような従来の塗料濾過用ストレーナーでは、塗料が濾過される部分は主に大きな面積をもった側面のネットであって、先端部のネットでは実際には殆ど濾過できない。
従って、先端部に濾過しきれない塗料が滞留してしまい、特にパール、メタリック等の鉱物や金属の粉粒や、一部の塗料(特に比重の重い塗料成分)が多く滞留してしまう。
そのため、混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過すると、色成分の一部がストレーナーに残留し、濾過後の塗料は調色時の色成分の比率を維持していないものとなり、これをスプレーガンに移して塗装を行うと、色が合わない(調色した色と異なる色になる)という現象が起こる。
【0004】
一方、本願出願人は下記特許文献1に開示されたストレーナーを考案している。
特許文献1に開示されたストレーナーは、円錐台形状をなす筒状体からなる紙製の本体と、該本体の下方開口部を覆うように取り付けられた網体からなり、前記本体の下方開口部の周縁部には内方に向けて延出する延出部が形成され、該延出部に前記下方開口部の全面を覆うように前記網体が固着されてなる構造を有している。
【0005】
つまり、特許文献1に開示されたストレーナーは、上述した従来技術の先端部を無くすことにより塗料の滞留という問題を解決しようとするものである。
しかしながら、特許文献1に開示されたストレーナーでは、下方開口部の周縁部から内方に向けて延出する延出部が塗料の流れを阻害するため、塗料を入れると中央部から先に流れていき、最終的に延出部近くに塗料が滞留してしまう。
そのため、上記従来技術と同様に、濾過後の塗料は調色時の色成分の比率を維持していないものとなり、塗装を行うと色が合わないという現象が起こる。
加えて、延出部が塗料の流れを阻害するため、濾過に長時間を要するという問題もあり、この問題は特に高粘度の塗料、例えば一部のメタリック塗料や、下地塗装に使用するサフェーサと呼ばれる塗料において顕著に現れる。
【0006】
また、下記特許文献2には、上述した先端部が無い別の構造の塗料濾過用のストレーナー(濾過器)が開示されている。
この特許文献2に開示された濾過器は、円錐形の胴部、胴部の下端に連接した円筒形の袴、袴の下端から内向きに張り出した鍔、鍔の内周を放射状に連結する連結片、胴部の外周に円周方向に間隔を保って縦方向に設けられたリブを一体に備えたプラスチック製の盃形外筒と、円筒形の袴の内周に嵌まる円筒リングと、円筒リングの外周と盃形外筒の袴の内周との間に挟まれて固定される濾布とからなるものである。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示された濾過器は、袴の下端から内向きに張り出した鍔、鍔の内周を放射状に連結する連結片、円筒形の袴の内周に嵌まる円筒リングにより、塗料の流れが阻害される。また、円筒形の袴の内側壁面と円筒リング上部の境界部に直角の空間ができてしまうため、この部分に塗料が滞留してしまう。この問題は、特に円筒リング上部が、円錐形の胴部の下端部と円筒形の袴との連接部と一致した場合に顕著に現れる。
従って、特許文献2に開示された濾過器も、上記した従来技術と同様に、濾過後の塗料は調色時の色成分の比率を維持していないものとなり、塗装を行うと色が合わないという現象が起こる。
【0008】
更に、下記特許文献3には上述した先端部が無い構造をもつ油濾しが開示されている。
この特許文献3の開示技術は、塗料濾過用ストレーナーではなく本発明とは技術分野が全く相違しているが、漏斗型本体の内部に濾過部材を貼り付けた構造を有している。
しかしながら、特許文献3に開示された油濾しは、漏斗型本体の下方開口端から濾過部材までの部分の長さが非常に長いため、仮に塗料の濾過に使用した場合、当該部分の内面に濾過部材を通過した塗料が多く付着してしまう。そのため、上述した色が合わないという現象が生じることは避けられない。
【0009】
上述した従来技術で生じる色が合わないという現象は、車両の補修塗装において非常に大きな問題となる。
車両(自動車)の補修塗装においては、全塗装を行うことは稀であって部分塗装を行うことが殆どである。これは、仮に全塗装が必要とされるような事故が生じたとした場合、車両自体が全損状態となって補修塗装では対応できないことが多いためである。つまり、補修塗装が行われるのは、車体の一部を擦った場合のように部分塗装で対応できる場合が殆どである。
部分塗装を行う場合、塗装を施す部分の色をその周囲の色と合わせなければならない。そのため、作業者は周囲の色と合うように部分塗装用の塗料を厳密に配合して調色するのであるが、上述した従来技術では調色時の色成分と濾過された塗料の色成分が異なることになるため、濾過された塗料を用いて部分塗装を行うと周囲の色と合わないことになる。そのため、塗装した部分を再度研磨して塗り直す作業が必要となり、また塗り直しのための塗料を配合を微妙に変えて調色して準備する必要があり、補修作業の効率が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−224709号公報
【特許文献2】特開2003−126614号公報
【特許文献3】実開昭62−155744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、色成分の一部がストレーナー内に滞留して調色時の色とは異なる色となることを防ぐことができるとともに、濾過速度に優れている塗料濾過用ストレーナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、逆円錐台形状をなす筒状体からなる紙製の本体と、前記本体の下方開口部を覆うように取り付けられた網体とからなり、前記網体は、周縁部が前記本体の外周面又は内周面に取り付けられており、前記本体の下端部は前記網体の濾過面より下方に突出しており、前記突出部の最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記本体の下端部が前記網体の濾過面と平行な直線状に形成されており、前記突出部の最長部分の長さが0.1mm以上7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記本体の下端部が前記網体の濾過面に対して傾斜した直線状に形成されており、前記突出部の最長部分の長さが0.1mm以上8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0019】
請求項8に係る発明は、前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0020】
請求項9に係る発明は、前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0021】
請求項10に係る発明は、前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0022】
請求項11に係る発明は、前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0023】
請求項12に係る発明は、前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0024】
請求項13に係る発明は、前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0025】
請求項14に係る発明は、前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0026】
請求項15に係る発明は、前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0027】
請求項16に係る発明は、前記本体が、塗料が供給される主部材と、該主部材の下端に取り付けられた下端部材とから構成されており、前記網体は、前記主部材の下方開口部を外側から覆うように且つその周縁部が前記主部材の外周面に沿うように折り曲げられており、前記下端部材は、前記網体の折り曲げられた部分を覆うように且つその下端部が前記網体の濾過面より下方に突出するように、前記主部材の外周面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0028】
請求項17に係る発明は、前記網体は、前記本体の下方開口部を内側から覆うように且つその周縁部が前記本体の内周面に沿うように折り曲げられて取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0029】
請求項18に係る発明は、前記折り曲げられた部分を覆うように前記本体の内周面に押さえ部材が取り付けられていることを特徴とする請求項17記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0030】
請求項19に係る発明は、前記本体の側面に開口部が形成されており、前記開口部を覆うように網体が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至18いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【0031】
請求項20に係る発明は、前記網体が二重糸から形成されていることを特徴とする請求項1乃至19いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナーに関する。
【発明の効果】
【0032】
請求項1に係る発明によれば、逆円錐台形状をなす筒状体からなる紙製の本体と、前記本体の下方開口部を覆うように取り付けられた網体とからなり、前記網体は周縁部が前記本体の外周面又は内周面に取り付けられていることから、網体の全面を濾過面とすることができ、塗料が網体を通過する際に塗料の流れが阻害されることがなく、塗料のストレーナー内への滞留を防ぐことができる。
また、前記本体の下端部は前記網体より下方に突出しており、突出部の最長部分の長さが10mm以下であることから、網体を通過した後に表面張力により留まろうとする塗料を突出部により下方に導いて落下させることができて塗料の切れが良くなるとともに、突出部に塗料が表面張力によって滞留することを防ぐことができる。
従って、塗料のストレーナー内への滞留を防ぐことができるため、混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、色成分の一部がストレーナー内に滞留して調色時の色とは異なる色となることを防ぐことが可能となる。加えて、塗料の流れが阻害されることがなく、塗料の切れが良くなるため、濾過速度が速くなり、濾過に要する時間を短縮することが可能となる。
【0033】
請求項2に係る発明によれば、本体の下端部が網体の濾過面と平行に形成されており、突出部の最長部分の長さが0.1mm以上7mm以下であることから、網体を通過した後に表面張力により留まろうとする塗料を突出部により確実に下方に導いて落下させることができるとともに、突出部に塗料が表面張力によって滞留することも確実に防ぐことができる。
【0034】
請求項3に係る発明によれば、本体の下端部が網体の濾過面に対して傾斜して形成されていることから、本体の下端部が網体より下方に突出する突出長さが、下端部の位置(周方向位置)によって異なるようになる。そのため、網体を通過した後に表面張力により留まろうとする塗料を突出部により下方に導いて落下させる時に、塗料が突出長さが短い部分から長い部分へと移動して大きな液滴を形成して落下するようになり、塗料の切れをより高めることができ、塗料の滞留を生じにくくすることができる。また、突出部の最長部分の長さが0.1mm以上8mm以下であることから、網体を通過した後に表面張力により留まろうとする塗料を突出部により確実に下方に導いて落下させることができるとともに、突出部に塗料が表面張力によって滞留することも確実に防ぐことができる。
【0035】
請求項4乃至15に係る発明によれば、本体の下端部が波形に形成されていることから、突出部に最長部分と最短部分が連続して形成されることとなり、最短長さが0になっても表面張力の影響を受けにくくなり、最大長さを延ばすことができる。また、網体を通過した後に表面張力により留まろうとする塗料を突出部により確実に下方に導いて落下させることができるとともに、突出部に塗料が表面張力によって滞留することも確実に防ぐことができる。
【0036】
請求項16に係る発明によれば、本体が、塗料が供給される主部材と、該主部材の下端に取り付けられた下端部材とから構成されており、前記網体は、前記主部材の下方開口部を外側から覆うように且つその周縁部が前記主部材の外周面に沿うように折り曲げられており、前記下端部材は、前記網体の折り曲げられた周縁部を覆うように且つその下端部が前記網体より下方に突出するように、前記主部材の外周面に取り付けられていることから、網体を下方開口部の全面に亘ってピンと張った状態に取り付けることが可能であり、網体の弛みにより生じる塗料の滞留を防ぐことができる。これにより、濾過後の塗料が調色時の色とは異なる色となることを確実に防ぐことが可能となる。また、網体を本体に対してしっかりと取り付けることができる。
【0037】
請求項17に係る発明によれば、前記網体は、前記本体の下方開口部を内側から覆うように且つその周縁部が前記本体の内周面に沿うように折り曲げられて取り付けられていることから、本体を単一部材として別部材を必要とせずに、本体の下端部を網体より下方に突出させるように、網体を本体に対して取り付けることができる。
【0038】
請求項18に係る発明によれば、前記折り曲げられた周縁部を覆うように前記本体の内周面に押さえ部材が取り付けられているため、押さえ部材により網体の折り曲げられた周縁部が押さえられて網体をピンと張った状態に取り付けることが可能であり、網体の弛みにより生じる塗料の滞留を防ぐことができる。これにより、濾過後の塗料が調色時の色とは異なる色となることを確実に防ぐことが可能となる。また、網体を本体に対してしっかりと取り付けることができる。
【0039】
請求項19に係る発明によれば、前記本体の側面に開口部が形成されており、前記開口部を覆うように網体が取り付けられていることから、塗料を本体の側面に形成された開口部に取り付けられた網体によっても濾過することができ、濾過速度を速くすることが可能となる。
【0040】
請求項20に係る発明によれば、前記網体が二重糸から形成されていることから、単位面積当たりの開口面積を糸の密度を上げることなく狭くすることが可能となる。そのため普通の糸(一重糸)を使用した場合に比べて少ない本数の糸により高い濾過能力を得ることができ、製造コストを低減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの第一実施形態を示す外観斜視図であって、(a)は上下を正しく示す図、(b)は上下を逆にして示す図である。
【図2】(a)は本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの第一実施形態を示す分解斜視図、(b)はその縦断面図である。
【図3】(a)は塗料が表面張力により網体と本体との境界部分に残留している様子を示す図、(b)は塗料が突出部の内面に表面張力により付着して残留している様子を示す図である。
【図4】突出部の下端部(本体の下端部)の形状の変更例を示す概略断面図である。
【図5】網体が弛んでいる状態を示す断面図である。
【図6】(a)は本発明の第二実施形態のストレーナーの分解斜視図、(b)はその縦断面図である。
【図7】(a)は本発明の第三実施形態のストレーナーの斜視図、(b)はその縦断面図である。
【図8】第一実施形態の変更例に係るストレーナーを示す外観斜視図であって、(a)は上下を正しく示す図、(b)は上下を逆にして示す図である。
【図9】実施例のサンプル4の本体の展開図である。
【図10】(a)は実施例の色目視試験で用いた塗装吹き付け用台を示す図、(b)は色目視試験における視線の方向を示す図である。
【図11】分光試験の測定結果を示すグラフである。
【図12】分光試験の測定結果を示すグラフである。
【図13】従来の塗料濾過用ストレーナーの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る塗料濾過用ストレーナー(以下、単にストレーナーという場合がある)の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの第一実施形態を示す外観斜視図であって、(a)は上下を正しく示す図、(b)は上下を逆にして示す図である。
図2(a)は本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの第一実施形態を示す分解斜視図、図2(b)はその縦断面図である。
【0043】
先ず、本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの全ての実施形態に共通する構成について説明する。
本発明に係る塗料濾過用ストレーナーは、上方から下方に向けて縮径する逆円錐台形状をなす筒状体からなる本体(1)と、この本体(1)の下方開口部を覆うように取り付けられた網体(2)とから構成されている。
網体(2)は、濾過に供される面(濾過面)が本体(1)の中心軸に対して直角をなす(使用時に水平となる)ように、本体(1)に取り付けられている。
【0044】
本体(1)は、全体が紙から形成されている。
紙の種類としては、比較的強度があり、透水性が低く、折り曲げが容易なものであれば特に限定されないが、例えば、上級紙や中級紙等の非塗工紙や、アート紙やコート紙等の塗工紙などの印刷用紙、画用紙やケント紙等の筆記用紙、クラフト紙やロール紙等の包装用紙、撥水紙、耐水紙、湿潤強度紙等を好適な例として挙げることができる。
【0045】
網体(2)は適度な大きさのメッシュを有するネットからなり、例えばポリエステル、ナイロン、ポリエチレン等の合成樹脂製の糸から形成されている。
ネットの目の大きさは、40メッシュ、60メッシュ、80メッシュ、100メッシュ、120メッシュ、135メッシュ、150メッシュ、200メッシュ、250メッシュ、300メッシュなど、使用される塗料の種類等に応じて適当な大きさのものを適宜選択して使用することができ、特に限定されないが、通常は80〜200メッシュ程度のものが好適に用いられる。
【0046】
網体(2)を形成する糸は、普通の一重糸であってもよいが、二重糸であることが好ましい。
二重糸とは、二本の糸が同方向に延びるように平行に隣接して一本の糸を形成しているものである。
本発明では、網体(2)が経糸及び緯糸の両方が二重糸であるメッシュからなることが好ましい。
二重糸は、一重糸に比べて糸1本当たりの幅が広い(約2倍)ため、同一のメッシュであっても通過面積当たりの濾過能力が高く(約2倍)なるというメリットがある。
【0047】
本発明に係るストレーナーの容量(ストレーナー内に1回で供給可能な塗料の量)は、100〜300ccに設定される。
これは、上述したように、車両の補修塗装作業時においては部分塗装を行うことが一般的であり、部分塗装に必要とされる塗料の量は100〜300cc程度であることに基づく。
【0048】
本発明に係るストレーナーは、網体(2)の水平部分(濾過面)に、濾過される塗料の通過を妨げる阻害物(例えば、特許文献1記載の内方に向けて延出する延出部、特許文献2記載の連結片や円筒リングのようなもの)が全く存在しない。つまり、本発明に係るストレーナーでは、網体(2)の水平部分の全面が塗料の濾過に供される濾過面となる。
そのため、本体(1)内に供給された塗料は、阻害物により通過を妨げられてストレーナー内部に滞留することがない。これにより、混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した場合でも、色成分の一部がストレーナーに残留することがなく、濾過後の塗料は調色時の色成分の比率をそのまま維持したものとなり、これをスプレーガンに移して塗装を行ったときに色が合わない(調色した色と異なる色になる)という現象が起こらない。
また、塗料の流れが阻害されないため、濾過速度が速く、濾過を短時間で行うことができる。特に高粘度の塗料(例えば一部のメタリック塗料や、下地塗装に使用するサフェーサと呼ばれる塗料)の場合には、濾過時間の短縮効果が大きい。
【0049】
網体(2)の濾過に供される部分(濾過面)の直径は10〜50mmに設定される。
これは、ストレーナーの容量を100〜300ccに設定したときに、直径が10mm未満であると容量に対する濾過面積が小さすぎて濾過速度が非常に遅くなり、50mmを超えると下方開口部が大きくなって濾過後の塗料をスプレーガン容器へと移すことが困難となり、いずれの場合も好ましくないためである。
網体(2)の濾過面の直径は、第一実施形態の場合、後述する主部材(1a)の下端部の直径(D2)と等しくなる。第二実施形態の場合、主部材(1a)の下端部の直径(D2)より大きく且つ押さえ部材(1c)の下端部の直径(d2)と等しくなる。第三実施形態の場合、本体(1)の下端部の直径より大きくなる。
【0050】
本体(1)は、その下端部が網体(2)の濾過面より下方に突出した突出部(3)を有している。
この突出部(3)は、濾過時における塗料のきれを良くしてストレーナー内への塗料の滞留を防ぐ(残留量を少なくする)機能を発揮する。
塗料を本体(1)内に供給すると、塗料は網体(2)を通過することにより濾過され、本体(1)の下端部からストレーナー外部(例えばスプレーガン容器内)へと落下する。ここで、突出部が無いストレーナーの場合、本体(1)内にある塗料が少なくなると、塗料(P)が表面張力により網体(2)と本体(1)との境界部分に残留し(図3(a)参照)、落下速度が極端に低下する。つまり、塗料のきれが悪くなり、ストレーナー内への塗料の残留量が多くなる。その結果、濾過前後で塗料の色成分の割合に変化が生じてしまう。
一方、突出部(3)を有する場合、表面張力により残留しようとした塗料が突出部(3)に沿って下方へと導かれて落下するため、最後まで塗料の落下速度が殆ど低下しない。つまり、塗料のきれが非常に良くなる。これにより、ストレーナー内への塗料の残留が殆ど無くなることから、色成分の割合の変化が濾過前後で生じることが防止できる。また、濾過に要する時間を大幅に短縮できる。
【0051】
突出部(3)の最長部分の長さ(以下、最大長さという)は10mm以下に設定される。
尚、本発明における突出部(3)の長さとは、網体(2)の濾過面と突出部(3)の下端部との垂直方向の距離を意味する。(図4(L)参照)
突出部(3)の最大長さを10mm以下に設定する理由は、突出部(3)が10mmを超えて長くなると、塗料が突出部(3)の内面に表面張力により付着することとなり(図3(b)参照)、塗料の残留量が多くなって、濾過前後で塗料の色成分比率の変化が生じるためである。
本発明では、突出部(3)の下端部(本体(1)の下端部)の形状を変化させることができ、形状に応じて具体的な突出部の長さが設定される。
具体的には以下の通りに設定される。
【0052】
1.本体の下端部が水平直線状(網体の濾過面と平行な直線状)の場合(図4(a)参照)
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離(L)は一定であるため、距離(L)が突出部の最大長さとなる。
最大長さ(L)は、0.1mm以上7mm以下に設定することが好ましい。
最大長さ(L)が0.1mm未満であると塗料が表面張力により網体(2)と本体(1)との境界部分に残留する現象が生じ(図3(a)参照)、7mmを超えると塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じ(図3(b)参照)、いずれの場合も好ましくない。
【0053】
2.本体の下端部が傾斜直線状(網体の濾過面に対して傾斜した直線状)の場合(図4(b)参照)
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は傾斜の下端部において最大距離(L)となるため、この距離(L)が突出部の最大長さとなる。
最大長さ(L)は、0.1mm以上8mm以下に設定することが好ましい。
最大長さ(L)が8mmを超えると塗料が突出部(3)の内面に表面張力により付着する現象が生じる。0.1mm未満であると、本体の下端部が水平直線状に近くなり、塗料が表面張力により網体(2)と本体(1)との境界部分に残留する現象が生じる。
本体の下端部が傾斜直線状の場合、塗料の液滴を傾斜に沿わせて流下させることが可能となるため、水平直線状である場合に比べて突出部の最大長さをより長くすることができる。
【0054】
3.本体の下端部が曲線状波形の場合(図4(c)(d)参照)
図4(c)は正弦曲線状の波形の場合、図4(d)は半円形が連続している波形の場合である。
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は曲線状波形の下端部において最大距離(L)となるため、この距離(L)が突出部の最大長さとなる。また、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は曲線状波形の上端部において最短距離となり、この距離が突出部の最短部分の長さ(以下、最小長さという)となる。図4(c)(d)では最小長さが0となっている。
最大長さ(L)は、10mm以下に設定することが好ましい。
より具体的には、最小長さが0mm以上2mm以下の場合は最大長さを10mm以下とし、最小長さが2mm超の場合は最大長さを7mm以下とすることが好ましい。
本体の下端部が曲線状波形である場合、最小長さ部分と最大長さ部分が連続して形成されているため、最小長さが2mm以下(0mmも含む)になっても表面張力の影響を受けにくくなり、最大長さを10mmまで延ばすことができる。しかし、最大長さが10mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため10mm以下に設定する。一方、最小長さが2mm超の場合、最大長さが7mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため7mm以下に設定する。
【0055】
4.本体の下端部が三角形状波形の場合(図4(e)(f)参照)
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は三角形状波形の下端部において最大距離(L)となるため、この距離(L)が突出部の最大長さとなる。また、三角形状波形の上端部において最短距離(L1)となり、この距離(L1)が突出部の最小長さとなる。
最大長さ(L)は、10mm以下に設定することが好ましい。
より具体的には、最小長さが0mm以上2mm以下の場合は最大長さを10mm以下とし、最小長さが2mm超の場合は最大長さを7mm以下とすることが好ましい。
本体の下端部が三角形状波形である場合、最小長さ部分と最大長さ部分が連続して形成されているため、最小長さが2mm以下(0mmも含む)になっても表面張力の影響を受けにくくなり、最大長さを10mmまで延ばすことができる。しかし、最大長さが10mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため10mm以下に設定する。一方、最小長さが2mm超の場合、最大長さが7mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため7mm以下に設定する。
【0056】
5.本体の下端部が矩形状波形の場合(図4(g)参照)
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は矩形状波形の下端部において最大距離(L)となるため、この距離(L)が突出部の最大長さとなる。また、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は矩形状波形の上端部において最短距離となり、この距離が突出部の最小長さとなる。図4(g)では最小長さが0となっている。
最大長さ(L)は、8mm以下に設定することが好ましい。
より具体的には、最小長さが0mm以上2mm以下の場合は最大長さを8mm以下とし、最小長さが2mm超の場合は最大長さを7mm以下とすることが好ましい。
本体の下端部が矩形状波形である場合、最小長さ部分と最大長さ部分が連続して形成されているため、最小長さが2mm以下(0mmも含む)になっても表面張力の影響を受けにくくなり、最大長さを8mmまで延ばすことができる。しかし、最大長さが8mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため8mm以下に設定する。一方、最小長さが2mm超の場合、最大長さが7mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため7mm以下に設定する。
【0057】
6.本体の下端部が台形状波形の場合(図4(h)参照)
この場合、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は台形状波形の下端部において最大距離(L)となるため、この距離(L)が突出部の最大長さとなる。また、本体(1)の下端部と網体(2)の距離は台形状波形の上端部において最短距離となり、この距離が突出部の最小長さとなる。図4(h)では最小長さが0となっている。
最大長さ(L)は、8mm以下に設定することが好ましい。
より具体的には、最小長さが0mm以上2mm以下の場合は最大長さを8mm以下とし、最小長さが2mm超の場合は最大長さを7mm以下とすることが好ましい。
本体の下端部が台形状波形である場合、最小長さ部分と最大長さ部分が連続して形成されているため、最小長さが2mm以下(0mmも含む)になっても表面張力の影響を受けにくくなり、最大長さを8mmまで延ばすことができる。しかし、最大長さが8mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため8mm以下に設定する。一方、最小長さが2mm超の場合、最大長さが7mmを超えると、塗料が表面張力により突出部(3)の内面に付着する現象が生じるため7mm以下に設定する。
【0058】
上記した突出部(3)の長さ設定の理由は、後述する実施例により裏付けられている。
本発明に係るストレーナーの先端角(下端部を延長して円錐形としたときの円錐の先端角)は60〜70°とすることが好ましい。
先端角が小さすぎると、網体(2)を通過した後の塗料が突出部(3)の内面と網体(2)との間に表面張力により滞留し易くなり、大きすぎると濾過速度が低下するため、いずれの場合も好ましくない。
【0059】
本発明に係るストレーナーにより濾過される塗料の種類は特に限定されないが、例えば、複数の色成分をもつメタリック塗料、下地塗装に使用するサフェーサ等を例示することができる。本発明に係るストレーナーは、特に表面張力が高い高粘度(例えば粘度10mPas以上)の塗料を使用した場合に有効性が高い。
【0060】
次に、本発明の第一実施形態に係る塗料濾過用ストレーナーの構成について説明する。
図1〜図3に示すように、第一実施形態のストレーナーは、本体(1)が、塗料が供給される主部材(1a)と、この主部材(1a)の下端に取り付けられた下端部材(1b)の2つの部材から形成されている。
主部材(1a)と下端部材(1b)は側面(周面)が同じテーパ傾きを有する逆円錐台形状であるが、主部材(1a)の高さは下端部材(1b)の高さに比べて充分に高い(例えば5〜6倍)。また、主部材(1a)の上端部の直径を(D1)、下端部の直径を(D2)とし、下端部材(1b)の上端部の直径を(d1)、下端部の直径を(d2)としたとき、D1>d1>D2>d2の関係が成立する。
【0061】
網体(2)は主部材(1a)の下端部を外側から覆うように取り付けられる。
網体(2)の全体の直径は主部材(1a)の下端部の直径よりも一回り大きく設定されている。これにより、網体(2)の周縁部は主部材(1a)の下端部の直径からはみ出すので、このはみ出した周縁部を下端部材(1b)により押さえて主部材(1a)の側面(外周面)に接着剤や熱プレス等の固定手段により固定する。
このように、下端部材(1b)により網体(2)の周縁部を押さえて固定することによって、網体(2)がピンと張った状態(中心から周縁部の方向に張力が作用した状態)で主部材(1a)の下端部を外側から覆うように固定される。
そのため、網体(2)が弛む(主部材(1a)の外面に沿うように網体(2)の周縁部が折れ曲がる角(α)が丸くなる)(図5参照)ことが防止される。網体(2)が弛むと、丸くなった角に塗料が滞留するために、塗料がストレーナー内に多く残量することとなり、濾過前後で塗料の色成分の比率の変化が生じやすくなり、濾過速度も大幅に低下する。
網体(2)の撓みを無くすることにより、塗料の残量を減らすことができ、濾過前後の塗料の色成分の比率の変化をより確実に防止できるとともに、濾過速度を向上させることができる。
また、下端部材(1b)を主部材(1a)の下端部に固定することにより、主部材(1a)の下端部の強度が補強されて変形しにくくなる。
【0062】
主部材(1a)の下端部に下端部材(1b)を取り付けた状態(図1,2(b)参照)においては、主部材(1a)の下端部の直径(D2)より下端部材(1b)の下端部の直径(d2)の方が小さいため、下端部材(1b)の下端部は主部材(1a)の下端部より下方に突出する。ここで、網体(2)の濾過面は主部材(1a)の下端部と同じ高さにあるため、網体(2)の濾過面より下端部材(1b)の下端部が突出し、上述した突出部(3)が形成される。
下端部材(1b)の下端部の形状を変化させることにより、突出部(3)の下端部の形状を変化させることができる(例えば図4参照)。
【0063】
次に、本発明の第二実施形態に係る塗料濾過用ストレーナーの構成について説明する。
図6(a)は第二実施形態のストレーナーの分解斜視図、図6(b)はその縦断面図である。
第二実施形態のストレーナーは、本体(1)が、塗料が供給される主部材(1a)と、この主部材(1a)の本体の内周面に取り付けられた押さえ部材(1c)の2つの部材から形成されている。
主部材(1a)と押さえ部材(1c)は側面(周面)が同じテーパ傾きを有する逆円錐台形状であるが、主部材(1a)の高さは押さえ部材(1c)の高さに比べて充分に高い(例えば5〜6倍)。また、主部材(1a)の上端部の直径を(D1)、下端部の直径を(D2)とし、押さえ部材(1c)の上端部の直径を(d1)、下端部の直径を(d2)としたとき、D1>d1>d2>D2の関係が成立する。
【0064】
網体(2)は主部材(1a)の下端部を内側から覆うように、当該下端部より若干上方に取り付けられる。
網体(2)の全体の直径は主部材(1a)の下端部の直径よりも一回り大きく設定されている。これにより、網体(2)の周縁部は主部材(1a)の内周面に沿うように折り曲げられるので、この折り曲げられた周縁部を押さえ部材(1c)により押さえて主部材(1a)の側面(内周面)に接着剤や熱プレス等の固定手段により固定する。
このように、押さえ部材(1c)により網体(2)の周縁部を押さえて固定することによって、網体(2)がピンと張った状態(中心から周縁部の方向に張力が作用した状態)で主部材(1a)の下端部を内側から覆うように固定される。
そのため、網体(2)が弛む(主部材(1a)の内面に沿うように網体(2)の周縁部が折れ曲がる角(α)が丸くなる)(図7(b)参照)ことが防止される。網体(2)が弛むと、丸くなった角に塗料が滞留するために、塗料がストレーナー内に多く残量することとなり、濾過前後で塗料の色成分の比率の変化が生じやすくなり、濾過速度も大幅に低下する。
網体(2)の撓みを無くすることにより、塗料の残量を減らすことができ、濾過前後の塗料の色成分の比率の変化をより確実に防止できるとともに、濾過速度を向上させることができる。
また、押さえ部材(1c)を主部材(1a)の内面に固定することにより、主部材(1a)の強度が内側から補強されて変形しにくくなる。
【0065】
主部材(1a)の内面に押さえ部材(1c)を取り付けた状態(図6(b)参照)においては、主部材(1a)の下端部の直径(D2)より押さえ部材(1c)の下端部の直径(d2)の方が大きいため、主部材(1a)の下端部は押さえ部材(1c)の下端部より下方に突出する。ここで、網体(2)の濾過面は押さえ部材(1c)の下端部と同じ高さにあるため、網体(2)の濾過面より主部材(1a)の下端部が突出し、上述した突出部(3)が形成される。
主部材(1a)の下端部の形状を変化させることにより、突出部(3)の下端部の形状を変化させることができる(例えば図4参照)。
【0066】
次に、本発明の第三実施形態に係る塗料濾過用ストレーナーの構成について説明する。
図7(a)は第三実施形態のストレーナーの斜視図、図7(b)はその縦断面図である。
第三実施形態のストレーナーは、本体(1)が1つの部材から形成されている。
網体(2)は本体(1)の下端部を内側から覆うように、当該下端部より若干上方に取り付けられる。
網体(2)の全体の直径は本体(1)の下端部の直径よりも一回り大きく設定されている。これにより、網体(2)の周縁部は本体(1)の内周面に沿うように折り曲げられるので、この折り曲げられた周縁部を本体(1)の側面(内周面)に接着剤や熱プレス等の固定手段により固定する。
【0067】
本体(1)の内面に網体(2)を取り付けた状態(図7参照)においては、網体(2)の濾過面より本体(1)の下端部が突出し、上述した突出部(3)が形成される。
本体(1)の下端部の形状を変化させることにより、突出部(3)の下端部の形状を変化させることができる(例えば図4参照)。
【0068】
上記第一乃至第三実施形態のストレーナーにおいて、本体(1)の側面に開口部を設け、この開口部を網体で覆うように構成することが好ましい。
図8は、第一実施形態の変更例に係るストレーナーであって、第一実施形態のストレーナーにおいて、本体(1)の主部材(1a)の側面に開口部(4)を設け、この開口部(4)を網体(5)で覆うように構成した例を示している。
図示例では、開口部(4)は、下端部材(1b)の上方位置に、ストレーナーの中心軸を挟んで対向する2箇所に下端部材(1b)に沿うように周方向に延びて設けられている。但し、開口部(4)の数、形状、位置はこれに限定されない。
網体(5)は、通常、網体(2)と同じ素材、同じメッシュのものが使用される。
また、図示しないが、第二及び第三実施形態のストレーナーについても同様に、本体(1)の側面に開口部(4)及び網体(5)を設けることができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明に係る塗料濾過用ストレーナーの実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例には限定されない。
<1.色目視試験>
1−1.ストレーナーサンプルの作成
表1に示す4種類のストレーナーをサンプルとして作成した。サンプル1,2は従来例、サンプル3,4は本発明の実施例である。
サンプル4の本体の展開図を図9に示す(図中の数値単位はmm)。上方に示す主部材(1a)は、円錐の展開角200°、水平から+10°傾斜した中心線を挟んだ上下5mmずつ、計10mmが貼付代となる。円錐台の大きさは大径部(上端部)φ111.11mm、小径部(下端部)φ33.33mm、高さ58.20mm、円錐の先端角67.50°である。下方に示す下端部材(1b)は、円錐の展開角200°、右側水平から25°の傾斜線から10°マイナスした15°の面積分が貼付代となる。網体からの突出長さは1.66mm(傾斜に沿った長さは2mm)とした。尚、半径(R28)を変化させることで突出部の長さを変化させることができる。
サンプル3はサンプル4と同寸法で側面開口部が無いもの、サンプル2はサンプル4に内方延出部(延出長さ8mm)を設けたもの、サンプル1はサンプル4に円錐状の先端部を設けたものである。
【0070】
【表1】

【0071】
1−2.塗料の調製
実際の塗装対象車の車体色に合うように、表2に示す配合に基づいて200gの塗料を配合した。
【0072】
【表2】

【0073】
1−3.塗装
透明シート(大きさ160×110mm、材質PET)からなるテストピース(A)を4枚用意し、夫々を図10に示すような塗装吹き付け用台(B)にクリップ(C)により固定した。図中、(D)は透明シートの背景として用いる着色シート、(E)は塗装ミストガード、(F)は把手である。
表2に示す塗料をサンプル1〜4のストレーナーを使用して50gずつ濾過し、濾過後の塗料をスプレーガンにより4枚のテストピースに夫々吹き付けて塗装した。
各テストピースには、使用したストレーナーのサンプル番号に合わせて1〜4の番号を付けた。例えば、サンプル1のストレーナーを使用したものはテストピース1とした。
【0074】
1−4.目視試験
塗装された4枚のテストピースを、自動車のフロントガラスの右上に置いて、4名の試験者が夫々目視して隣接するルーフの色と比較した。
比較時には、太陽光源ライトを用いて間接照明的にテストピースの近傍を照らした。これは、太陽光源ライトを直接テストピースに照射すると反射が大きくメタリック粒と色のバランス等が判別不能になるためである。
テストピースを見る角度(テストピース表面に対する視線の角度)は、正面を90°として、90°、45°、15°の三方向とした(図10(b)参照)。
【0075】
1−5.試験結果
目視試験の結果、90°及び45°の方向から見た場合は4枚のテストピースの色はいずれも車体の色と合っているように見えた。しかし、15°の方向から見た場合、テストピース1,2は白っぽく反射して車体の色と異なって見えたのに対し、テストピース3,4は白っぽい反射が抑えられて車体の色と合っているように見えた。4名の試験者の全員が同じ意見であった。
【0076】
1−6.考察
テストピース1,2の色が車体の色と合わなかった(白っぽく反射して見えた)原因は、テストピース1,2はメタリックの白っぽさを抑えるために配合しているF.バイオレットの赤みが不足しているためと考えられる。つまり、サンプル1,2のストレーナーを使用した場合、F.バイオレットの配合率が濾過前より濾過後で減少したと考えられる。また、F.バイオレットは、配合率が2.90%と少量であるため、配合率減少の影響が色の変化に顕著に現れたと考えられる。
一方、テストピース3,4の色が車体の色と合ったのは、サンプル3,4のストレーナーを使用した場合、各色の成分の配合率が濾過前後で変化しなかったためと考えられる。
従って、本発明に係るストレーナー(サンプル3,4)は、従来のストレーナー(サンプル1,2)の問題点(混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、調色時の色とは異なる色となること)を解消できることが確認された。
【0077】
<2.色分光試験(1)>
2−1.ストレーナーサンプルの作成
表1のサンプル1〜3に示す3種類のストレーナーをサンプルとして作成した。
2−2.塗料の調製
実際の塗装対象車の車体色に合うように、表3に示す配合に基づいて1000gの塗料を配合した。
【0078】
【表3】

【0079】
2−3.塗装
鉄板(大きさ100×60mm、厚さ1.0mm)からなるテストピースを3枚用意した。
表3に示す塗料をサンプル1〜3のストレーナーを使用して50gずつ濾過し、濾過後の塗料をスプレーガンにより3枚のテストピースに夫々吹き付けて塗装した。また比較基準として、ストレーナーで濾過していない塗料をスプレーガンにより1枚のテストピースに吹き付けて塗装した。
塗装は、同じスプレーガンを使用し、空気圧・塗料の吐出量を一定にした。また、塗膜を均一にするために、溶接ロボット(商品名PanaRobo、パナソニック社製)にスプレーガンを取り付け、上下方向を不動として前後左右方向に一定速度で移動させることにより塗装を行った。
各テストピースには、使用したストレーナーのサンプル番号に合わせて1〜3の番号を付けた。また、ストレーナーで濾過していない塗料を使用したもの(比較基準)はテストピース4とした。
【0080】
2−4.分光試験
塗装した4枚のテストピースについて、分光測色計(商品名CM-2600d、ミノルタ株式会社製)を使用し、可視光域(380〜780nm)に対する反射率(%)を夫々測定した。
【0081】
2−5.試験結果
測定結果を図11に示す。
図11において、横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)であり、実線はテストピース4(比較基準:濾過紙なし)、二点鎖線はテストピース3(本発明:新型)、長破線はテストピース2(従来品:フラット型)、短破線はテストピース1(従来品:円錐型)の測定結果を示している。
図11に示すように、実線(テストピース4)を基準として比較すると、二点鎖線(テストピース3)は実線と殆ど一致しているのに対して、長破線(テストピース2)と短破線(テストピース1)は実線に対して明らかにずれていることが分かる。
【0082】
2−6.考察
濾過していない塗料を塗布した基準のテストピース4のグラフと比較して、テストピース1,2のグラフがずれたという結果は、サンプル1,2のストレーナーを使用した場合は濾過前後で各色の成分の配合率が濾過前後で変化したことを示している。
一方、基準のテストピース4のグラフと比較して、テストピース3のグラフがほぼ一致したという結果は、サンプル3のストレーナーを使用した場合、各色の成分の配合率が濾過前後で変化しなかったことを示している。
従って、本発明に係るストレーナー(サンプル3)は、従来のストレーナー(サンプル1,2)の問題点(混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、調色時の色とは異なる色となること)を解消できることが、分光試験によっても確認された。
【0083】
<3.色分光試験(2)>
3−1.ストレーナーサンプルの作成
表1のサンプル3に示すストレーナー(本体の下端部が水平直線状のもの)において、突出部の長さを0.5mm、7mm、8mmに変化させた3種類のサンプルを作成した。突出量の短い方から順にサンプル5,6,7とした。
3−2.塗料の調製
実際の塗装対象車の車体色に合うように、表3に示す配合に基づいて1000gの塗料を配合した。
【0084】
3−3.塗装
色分光試験(1)と同様のテストピースを3枚用意し、表3に示す塗料をサンプル5〜7のストレーナーを使用して50gずつ濾過し、濾過後の塗料を色分光試験(1)と同様の方法でスプレーガンにより3枚のテストピースに夫々吹き付けて塗装した。また比較基準として、ストレーナーで濾過していない塗料をスプレーガンにより1枚のテストピースに吹き付けて塗装した。
各テストピースには、使用したストレーナーのサンプル番号に合わせて5〜7の番号を付けた。また、ストレーナーで濾過していない塗料を使用したもの(比較基準)はテストピース8とした。
【0085】
3−4.分光試験
塗装した4枚のテストピースについて、分光測色計(商品名CM-2600d、ミノルタ株式会社製)を使用し、可視光域(380〜780nm)に対する反射率(%)を夫々測定した。
【0086】
3−5.試験結果
測定結果を図12に示す。
図12において、横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)であり、実線はテストピース8(比較基準:濾過紙なし)、破線はテストピース5(0.5mm)、一点鎖線はテストピース6(7mm)、二点鎖線はテストピース7(8mm)の測定結果を示している。
図12に示すように、実線(テストピース8)を基準として比較すると、破線(テストピース5)と一点鎖線(テストピース6)は実線と殆ど一致しているのに対して、二点鎖線(テストピース7)は実線に対して大きくずれていることが分かる。
【0087】
3−6.考察
濾過していない塗料を塗布した基準のテストピース8のグラフと比較して、テストピース7のグラフがずれたという結果は、サンプル7のストレーナーを使用した場合は濾過前後で各色の成分の配合率が濾過前後で変化したことを示している。
一方、基準のテストピース8のグラフと比較して、テストピース5,6のグラフがほぼ一致したという結果は、サンプル5,6のストレーナーを使用した場合、各色の成分の配合率が濾過前後で殆ど変化しなかったことを示している。
従って、突出部の長さが7mm以下のストレーナー(サンプル5,6)は、突出長さが8mm以上のストレーナー(サンプル7)に比べて、濾過前後の塗料の色成分の比率の変化を大幅に抑制できることが確認された。
【0088】
<4.残量測定試験>
4−1.ストレーナーサンプルの作成
表1のサンプル4について、本体下端部の形状を図4(a)〜(c)、(e)〜(h)に示すように変化させたサンプルを作成し、各サンプルをサンプルa〜c、e〜hとし、各サンプルについて突出部の長さを変化させた。サンプルcについては、最小長さが0mmのものをサンプルc−1、最小長さが0mm超のものをサンプルc−2とした。
4−2.濾過
塗料(PPG社製クリアー)を20%のウレタンシンナーで希釈し、これを50gずつ各サンプルのストレーナーに供給して濾過した。ストレーナーからの塗料の滴りが無くなった時点で濾過終了と判断し、濾過前と濾過後のストレーナーの重量を測定し、重量差(濾過後重量−濾過前重量)を塗料の残量として算出した。残量が2g未満(4%未満)のものを○、2g以上(4%以上)のものを×と評価した。
【0089】
4−3.試験結果
試験結果を表4〜表11に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
4−4.考察
上記試験結果より、以下のことが確認された。
(1)本体の下端部の形状に関わらず、突出部の最大長さが10mmを超えた場合、表面張力の影響を受けて塗料が落下しにくくなり残量が多くなる。
(2)本体の下端部が網体の濾過面と平行である場合、突出部の長さを0.1mm以上7mm以下とすると、表面張力の影響を受けにくくなり、残量が少なくなる。
(3)本体の下端部が網体の濾過面に対して傾斜している場合、突出部の最大長さを8mm以下とすると、表面張力の影響を受けにくくなり、残量が少なくなる。
(4)本体の下端部が波形である場合、突出部の最小長さを0mmとしても表面張力の影響を受けにくい。
(5)本体の下端部が波形である場合、突出部の最小長さを0mmとすると最大長さを長くしても表面張力の影響を受けにくい。(曲線状波形の場合:10mm以下、三角形状波形の場合:10mm以下、矩形状波形の場合:8mm以下、台形状波形の場合:8mm以下)
(6)本体の下端部が波形である場合、突出部の最小長さが2mm超になると、表面張力の影響を受け易くなるために最大長さはより短く制限される。(曲線状波形の場合:7mm以下、三角形状波形の場合:7mm以下、矩形状波形の場合:7mm以下、台形状波形の場合:7mm以下)
(7)本体の下端部が波形である場合、突出部の最小長さが2mm以下であると、表面張力の影響を受けにくいために最大長さを長くすることができる。(曲線状波形の場合:10mm以下、三角形状波形の場合:10mm以下、矩形状波形の場合:8mm以下、台形状波形の場合:8mm以下)
【0099】
また、色分光試験(2)と残量測定試験のサンプル(a)の結果より、ストレーナー内の塗料の残量が供給量の4%(2g)以下であると濾過前と濾過後の塗料の色成分の比率は殆ど変化しないが、4%を超えると濾過前と濾過後の塗料の色成分の比率に顕著な変化が生じていることが分かる。残量が多くなるということはストレーナー内に残る色成分が多くなるということを意味するから、他のサンプルでも同様の現象が生じることが類推できる。
従って、濾過前後における塗料の色成分の比率の顕著な変化を防止するためには、ストレーナー内の塗料の残量が供給量の4%を超えないようにすることが重要であると言える。
残量測定試験の結果から明らかなように、塗料の残量は突出部の長さにより変化することから、突出部の長さを適当な範囲の長さに設定することにより、濾過前後における塗料の色成分の比率の変化を防止することが可能となる。
【0100】
上記した3種類の試験(色目視試験、色分光試験、残量測定試験)により、本発明に係る塗料濾過用ストレーナーによれば、本体の下端部に網体の濾過面より下方に突出する突出部が設けられ、突出部の最長部分の長さが適当な範囲(10mm以下)に設定されていることによって、混合、調色した複数の色成分をもつ塗料を濾過した際に、色成分の一部がストレーナー内に滞留することによって調色時の色とは異なる色となるという現象が起こることを防止できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係る塗料濾過用ストレーナーは、特に自動車の車体の補修塗装作業時においてスプレーガンに供給するための塗料を濾過するために好適に利用されるとともに、携帯電話など多種多様な色合わせを必要とする工業製品の塗装等に利用される。
【符号の説明】
【0102】
1 本体
1a 主部材
1b 下端部材
1c 押さえ部材
2 網体
3 突出部
4 開口部
5 網体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆円錐台形状をなす筒状体からなる紙製の本体と、
前記本体の下方開口部を覆うように取り付けられた網体とからなり、
前記網体は、周縁部が前記本体の外周面又は内周面に取り付けられており、
前記本体の下端部は前記網体の濾過面より下方に突出しており、
前記突出部の最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする塗料濾過用ストレーナー。
【請求項2】
前記本体の下端部が前記網体の濾過面と平行に形成されており、
前記突出部の最長部分の長さが0.1mm以上7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項3】
前記本体の下端部が前記網体の濾過面に対して傾斜して形成されており、
前記突出部の最長部分の長さが0.1mm以上8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項4】
前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項5】
前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項6】
前記本体の下端部が曲線状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項7】
前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項8】
前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項9】
前記本体の下端部が三角形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項10】
前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項11】
前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項12】
前記本体の下端部が矩形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項13】
前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mmであり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項14】
前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが0mm超2mm以下であり且つ最長部分の長さが8mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項15】
前記本体の下端部が台形状波形に形成されており、
前記突出部の最短部分の長さが2mm超であり且つ最長部分の長さが7mm以下であることを特徴とする請求項1記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項16】
前記本体が、塗料が供給される主部材と、該主部材の下端に取り付けられた下端部材とから構成されており、
前記網体は、前記主部材の下方開口部を外側から覆うように且つその周縁部が前記主部材の外周面に沿うように折り曲げられており、
前記下端部材は、前記網体の折り曲げられた周縁部を覆うように且つその下端部が前記網体の濾過面より下方に突出するように、前記主部材の外周面に固定されていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項17】
前記網体は、前記本体の下方開口部を内側から覆うように且つその周縁部が前記本体の内周面に沿うように折り曲げられて取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項18】
前記折り曲げられた周縁部を覆うように前記本体の内周面に押さえ部材が固定されていることを特徴とする請求項17記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項19】
前記本体の側面に開口部が形成されており、
前記開口部を覆うように網体が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至18いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナー。
【請求項20】
前記網体が二重糸から形成されていることを特徴とする請求項1乃至19いずれかに記載の塗料濾過用ストレーナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−167650(P2011−167650A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35415(P2010−35415)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【特許番号】特許第4603094号(P4603094)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591128305)株式会社ビック・ツール (13)
【Fターム(参考)】