説明

塗膜若しくは接着膜の強化形成方法及び装置

【課題】塗料における被着面と塗膜、若しくは接着における被着面と接着膜との塗着や接着の強化形成を図る被着面と接着膜との塗着や接着の強化形成方法、及び装置の提供。
【解決手段】塗料の塗着面や接着剤の接着面に所要の各種類の周波数範囲の超音波20を照射することにより、気泡の破壊滅失とぬれの促進を図り、被接着面と接着膜が強固に接着を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料における被着面と塗膜若しくは接着剤における被着面と接着膜との塗着若しくは接着を強化させることの可能な塗膜若しくは接着膜の強化形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁やガードレール、屋外遊園具、屋外装置等においては、構築素材の保護はもとより美装のうえからも多様な色彩と性能を保持した塗料を用いて塗装が施され、更には構築建物等においては、その建物空間内の美装に加えて保湿性や消音性等の快適性と且安価な費用による構築等により、モルタルや合板等の下地材の上面に、壁紙や織物、フィルム等の内装材を接着剤を用いて接着使用することが専らなされている。
【0003】
ところで現状の構築物とりわけ屋外構築物に施される塗装の塗膜が短期に亀裂や裂損を発生し、更にはこの亀裂や裂損の増長とともに塗膜の剥落も惹起され、これによる素地の汚損劣化が促進されるばかりか美観も滅失されるため、その都度塗装が強いられるもので、屋外構築物は広面積に亘ることからその塗装費用も莫大なものとなる。
他方構築建物等の建物空間内のとりわけ壁部には、その壁部を形成するモルタルや合板材等からなる下地面に、接着剤を塗布し適宜の壁紙や織物、シート材等を接着させてなるのであるが、かかる壁紙等においても短期にその接着端縁や継ぎ合せ部分が変形剥離し且膨れとともに接着面全体に亘って剥離が拡大化され、或いは随所に膨れが伝播拡大化されて美観が著しく損なわれる。加えて変形剥離部分には細類や黴類の格好の繁殖場所ともなって、臭気の発生ばかりか極めて非衛生的空間となる恐れもある。
【0004】
ところで、塗料における被着体との強固な塗膜形成や、接着における被着体と接着物との強固な接着膜の形成には被着体と塗膜若しくは接着膜相互の接触面間に強力な結合力が働くことが肝要であって、塗料や壁紙等の接着の場合には一対の電子を共有する一次結合(共有結合)やイオン結合、水素結合並びに二次結合(分子間結合)とされているが、少なくとも塗料における被着体と塗膜、若しくは接着における被着体と被着膜との間においては、一対の電子を共有する原子間の結合を意味する一次結合と水素を媒介とする水素結合及びファン・デル・ワースの分子結合の二次結合とが考えられる。
そしてこれら結合が十分に発揮されるためには、被着体と形成される塗膜若しくは接着膜とが相互に密着結合と且大きな接合面積であることが条件となる。
【0005】
然るに現状における塗料や接着剤の成分としては、強固な塗膜や接着膜を形成させるビヒクルと粘度を調整し被着面への密な浸透を図るための溶媒、並びに美装上の顔料、及び使用性能を保持する添加剤等が配合されるものであるが、その使用目的が工作用や家庭用としては特段の性能も要請されず且使用量も僅かであるため、通常においては所要の成分割合で配合されたうえ小型密閉容器内に充填密閉されるものであるため、その内部には不用な気泡の混在もなく塗着や接着に際しても相互の接触面の密着接合と大きな接触面積率で塗着や接着がなしえ、以って強固の塗膜や接着膜の形成がなしえる。加えて工作用や家庭用における塗着や接着に際しては、塗着面積や接着面積も小面積であるから、仮令被着体の表面が平滑性に欠けていても、塗着圧や接着圧を自在に調整して粗雑な凹陥部内に塗済剤や接着剤を埋入浸透せしめて所謂ぬれを高めることも容易になしえる。
【0006】
他方産業上における構築物の塗装や施設建物の建物空間等への壁紙等の接着においては、極めて広大な面積に塗着や接着がなされるものであって、実用使用に供するうえからは使用目的や使用性能を実現させるため、塗料成分や接着剤成分が適宜に配合撹拌がなされるもので、これがためにはビヒクルに溶媒と顔料や添加剤を混合撹拌させて使用するもので、かかる混合撹拌時に多量の気泡が混入し、これにより被着体と形成される塗膜若しくは接着膜との相互の密着接合はもとより大きな塗着面積や接着面積での塗着や接着も不可能となり、従って長期に亘る耐久性に優れた塗装も接着も実現できない。
加えて塗装や接着に係る被着面には多量の凹陥部が顕在した粗面状であって、消泡剤の配合により気泡の滅失が図られるものの、多量の凹陥部内への浸透充填所謂ぬれが阻害され、結果的に相互の密着接合や大きな塗着面積や接着面積での塗着や接着も不能となり、強力な塗着や接着の実現が不能となる。
【0007】
これがため塗料や接着剤における混入気泡の除去手段としては、低粘度の塗料や接着剤の使用や塗料並びに接着剤を10乃至20mmHgの減圧により脱泡させること、或いは塗料や接着剤を略40乃至50℃に加温すること等が技術的解決手段として提案されているものの、実用使用における広大な面積や複雑な形状部位への塗着や接着部分に対処させることが極めて至難であることから、実態上は何等の解決策もなされていない。
【0008】
発明者等はかかる実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、超音波は塗着層や接着層内部にまで容易に浸透し、且その波長次第により混在する気泡の破壊滅失はもとより、塗着層や接着層内の加温や塗剤若しくは接着剤の粘性を低下せしめてぬれが著しく高められ、以って塗膜や接着膜の形成強化がなしえることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は塗料における被着面と塗膜、若しくは接着剤における被着面と接着膜との塗着若しくは接着の形成を強化させ、以って長期に亘って塗装や接着を保持させることの可能な、塗膜若しくは接着膜の強化形成方法及び装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、塗装に係る塗膜層内若しくは接着に係る接着層内に容易に透過しえる超音波を照射せしめて塗膜層内の塗料若しくは接着層内の接着剤内に混在する気泡を、そのキャビテーション作用により破壊滅失させるとともに、更に塗膜層内の塗料や接着層内の接着剤に直進流や循環流を付加させて、被着体に顕在する微細凹陥部内への浸透によるぬれを高めて密着接合と、且塗着面積や接着面積の増大による強固な塗膜や接着膜を形成させ、而も被着体と塗膜若しくは接着膜との媒体界面に境界面摩擦による発熱も創出させ、早期の乾燥塗膜若しくは接着膜形成を図る方法の構成に存する。
【0011】
加えて前記強化形成方法を実現するための装置においては、その実用使用における塗料は施設建物を初め屋外遊具装置等多岐に亘り、更に接着剤では建物区画内の壁紙等の接着や合板材や合紙或いは木工具等にも使用されている。
そして本発明ではこれら実用使用において塗装され接着される塗膜や接着膜に照射せしめて、これら塗膜や接着膜の強化を図るものである。
かかる強化形成方法を実現するための装置においては、その実用使用における広範囲の塗装形状や接着形状に有効に超音波の照射がなしえる形状並びに構造で、且特には塗装における塗膜、接着剤による接着膜を形成する原初の塗料や接着剤は低粘度であるものの時間経過とともに粘度の上昇と硬化が進むものであるから、該塗膜や接着膜内に混在する気泡のキャビテーション破壊滅失には、塗着や接着時の低粘度時には少ない照射強度によって気泡の破壊滅失が容易になしえるものの、且粘度上昇とともに等比級数的に大きな照射強度が要請される。
【0012】
而もキャビテーションによる気泡破壊は低周波数の超音波が有利であることから、少なくとも30乃至60KHzの低周波数域と、120乃至240KHzの中周波数域、及び500乃至1,000KHzの高周波数域で、且これらを適宜時間を以って連続波長若しくはパルス波長で発振しえる超音波発振具と、塗料が塗着される塗着面若しくは接着剤が塗布され接着される接着面と押圧摺動し若しくは回転摺動しえる押圧摺動部や回転摺動部、塗着面若しくは接着面に近接してその全面に亘って均等に超音波が照射しえる扁平状部若しくは所要の寸法形状で且塗着面や接着面を包被しえる形状に形成された包被部、或いは塗着面や接着面から離れた位置より超音波照射のなしえる放射部が配位された構成からなる塗膜若しくは接着膜の強化形成装置に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、被着体に塗料が塗着されて塗膜層が形成され、若しくは被着体に接着剤が塗布されて形成される接着層に接触した状態で、若しくは所要の距離からその周波数が少なくとも30乃至60KHzの低周波数域と、その周波数が120乃至240KHzの中周波数域及びその周波数が500乃至1,000KHzの高周波数域の超音波が連続して若しくはパルス状に照射されるため、使用目的や使用特性に合せて多様の成分を配合撹拌することにより多量の気泡が混在しても、塗着後の塗膜や接着膜の低粘度の状態においては、キャビテーションにより混在気泡も容易に破壊滅失され、且時間経過により高粘度化しても低周波数の超音波照射により強力なキャビテーション作用が働き破壊滅失が確実に図られる。
【0014】
加えて本発明においては塗着や接着直後の塗膜や接着膜は極めて低粘度であり、且照射される超音波も中周波数や高周波数が主となり、緩やかなキャビテーションによる気泡の破壊滅失と、特には微細に連続付加される直進流と循環流との作用により、被着体に顕在する微細凹陥部内に塗料や接着剤が積極的に浸透充填即ちぬれが促進され、密着接合とともに大きな塗着面積若しくは接着面積による塗着若しくは接着がなされるため、塗膜や接着膜の形成が著しく強化される結果となる。
【0015】
加えて本発明装置においてはその周波数が30乃至60KHzの強力なキャビテーション作用を創出する低周波数超音波と、その周波数が120乃至240KHzのキャビテーション作用に加えて直進作用や循環作用によるぬれの促進を創出する中周波数超音波と、且その周波数が500乃至1,000KHzでキャビテーション作用と直進作用及び循環作用によるぬれの促進並びに被着体と塗膜若しくは接着膜との媒体界面に境界摩擦を生じせしめて発熱による乾燥促進を創出させる高周波数超音波を、適宜時間を以って連続波長若しくはパルス波長で発振しえる超音波発振具が、塗料が塗着される塗着面若しくは接着剤が塗布され接着される接着面と押圧摺動し若しくは回転摺動しえる回転摺動部や塗着面若しくは接着面に近接してその全面に亘って均等に超音波を照射しえる扁平状部若しくは所要の寸法形状で且塗着面や接着面を包被しえる形状に形成された包被照射部、或いは塗着面や接着面から離され 位置より照射しえる放射照射部からなる照射基台より、外面に向って超音波が照射されるよう発振具が配位されてなるから、塗装や接着される対象物の面積や構造等に合せて照射基台を適宜に選択することで、極めて能率的に超音波照射がなしえるとともに、塗膜や接着膜内の気泡の破壊滅失と且ぬれの促進により塗膜や接着膜の強化が図られ、而も高周波数の超音波により内部発熱により短時の乾燥も実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
酢酸ビニル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のビヒクルが20乃至40重量%に顔料や安定剤が配合されたエマルジョン接着剤で、合板下地材に壁紙を接着のうえ直径12cm長さ50cmの回転摺動部から、高周波数超音波と中周波数超音波を1.5秒間隔で交互にパルス状に発振照射させる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を強化形成装置の図とともに詳細に説明すれば、図1のAには本発明の主たる使用途とされる塗料1による塗膜1Aが被着体1Bに塗着されてなる説明図であって、更に図1のBには接着剤2の塗布により接着膜2Aが被着体たる躯体2Bの下地材2Cに塗布されたうえ壁紙2Dと接着された状態が示されている。
而してかかる現状の塗料1による塗膜1Aや、接着剤2による接着膜2Aは、見掛上被着体1Bや下地材2C等と塗着や接着がなされているものの、均質且強固な塗着や接着がなされていない。即ち図2には塗装1による塗膜1Aと被着体1Bとの塗着状態の拡大図であって被着体1Bの外表面は平滑なようでも、多量の微細凹陥部10Bが顕在しており、実質的には塗膜1Aが該微細凹陥部10B内に十分浸透した状態所謂ぬれがなされた塗着では無く、従って塗膜1Aと被着体1Bとは実質的に密着接合及び塗着面積も極めて少なく、十分な分子結合力も発揮されていない。
【0018】
加えて塗膜1Aには、その使用目的や使用性能に合せて塗料成分が配合撹拌されたうえ塗着使用されるものであるから、該塗料1により塗着形成された塗膜1A内には多量の気泡10Aが混在するとともに、該気泡10Aが使用経過に伴う温度変化で膨張拡裂し、更には吸湿や吸水或いは細菌や黴の付着繁殖等により、短時に塗膜1Aの亀裂や剥離と且錆の発生原因となっている。
そしてかかる原因は塗膜1A内や塗膜1Aと被着体1Bとの内部境界で発生するものであるから、亀裂や剥離或いは錆の発見が遅れて、応々にして莫大な補修費用が強いられる結果となっている。
【0019】
これがためには、塗膜1Aや或いは接着膜2Aの形成に際しては、該塗膜1Aや接着膜2A内に混在する気泡10Aを滅失せしめて塗膜1Aや接着膜2A自体の強度を向上させることと、該塗膜1Aと被着体1Bの外表面に顕在する微細凹陥部10B内に十分浸透塗着、即ちぬれを高めて密着接合と且塗着面積を増大化させることが肝要となる。
この対処策としては、被着体1Bに塗着形成される塗膜1A等を容易に透過し、塗膜1A内や接着膜2A内に混在する気泡10Aをそのキャビテーション作用により破壊滅失させ更には塗膜1Aが塗着される被着体1B表面に顕在する微細凹陥部10B内に、その直進作用や循環作用或いは境界部における振動発熱作用を以って浸透塗着させる所謂ぬれを高めることの可能な超音波20を照射する手段が用いられる。
【0020】
そしてこの超音波20は一般的にはその周波数が30Hz以下を低周波、30乃至20KHzを可聴周波、及び20KHz以上を超音波と区分しているが、本発明においては超音波の作用たるキャビテーション作用や直進作用及び循環作用、並び境界部の振動発熱作用を活用するうえから、便宜上その周波数が20乃至100KHzの範囲を低周波数超音波、その周波数が100乃至500KHzを中周波数超音波及びその周波数が500KHz以上を高周波数超音波として扱っている。
【0021】
更にこの超音波20の使用におけるキャビテーション作用は、低周波数超音波となる程強力な破壊滅失効果が発揮され、直進作用や循環作用においては中周波数超音波が優れた効果を発揮し且境界部の振動発熱作用は中周波数及び高周波数超音波により良好な振動発熱が発揮されることから、実用使用に際しては塗膜1Aや接着膜2Aの配合成分や粘度、厚さ、混在気泡10A量、及び乾燥見込み等を勘案のうえ照射させる超音波周波数の照射割合や連続波長若しくはパルス波長を決定すべきであって、特にキャビテーション作用による混在気泡10Aの破壊滅失のみには、1.5秒及至3.0秒間隔のパルス波長が望ましい。
【0022】
本発明において使用する超音波発振具3は、その発振素材としては多種多様なものが挙げられるが実用使用のうえからは超音波波長領域の発振特性が良好で且軽量、小型、安価なものが好都合であることから、図3のAに示す如く圧電素子を用いたユニモルフ発振具3Aが提案されるもので、該ユニモルフ発振具3Aは振動板30Aの一側にチタン酸バリウム系やチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電セラミックス層30Bが接合されたうえ、電圧付加のための入力線30Cが接続された構成のもので、該圧電素子を用いたユニモルフ発振具3Aやバイモルフ発振具3Bはピアゾ電気逆効果即ち外部からの電圧付加により形状が歪んで、この歪みに伴い低周波、可聴周波或いは超音波を発振するものであって、図3のBに示す如く振動板30Aの両側面に圧電セラミックス層30B、30Bが接合されたバイモルフ発振具3Bでは、一段と強力なピアゾ電気逆効果により強度の超音波発振がなされる。
【0023】
かかる圧電素子を用いたユニモルフ発振具3A若しくはバイモルフ発振具3Bに代えて有利な超音波発信具3としては図4において示す如く磁歪振動作用を持つフェライト素材を用いたフェライト発振具3Cが挙げられる。そして実用使用に際しては当然に小さな範囲から照射させ若しくは広範囲から照射させる場合もあるが、圧電素子を用いたユニモルフ発振具3Aやバイモルフ発振具3Bは軽量で小型且薄い形状でもあることから、広い面積からの照射に際しては所要の間隔を以って並列配置させて使用することが有利である。
【0024】
かくしてなる超音波発振具3からは、その周波数において30乃至60KHzの低周波超音波領域の適宜周波数と、その周波数が120乃至240KHzの中周波数超音波領域の適宜周波数、及びその周波数が500乃至1,000KHzの高周波数領域の適宜周波数を発振させるための発振回路4が図5に示されてなるもので、該発振回路4は所望の特定周波数をセラミックス発振子4Aとトラジェスター4Bにより発振できる極めて安価な自励発振回路であって、所要の特定周波数の自励発振回路4を適宜数配位のうえ切替えにより、低周波数超音波から高周波数超音波まで簡便に切替えて発振ができる。
当然に該自励発振回路4からの発信出力4Cを、直接超音波発振具3に入力させれば連続発振がなされ、且パルス回路(図示せず)を介在させればパルス発振が可能となる。
【0025】
図6は本発明塗膜若しくは接着膜の強化形成装置5の使用態様図であって、図6のAは建物空間内の壁面等に接着された壁紙2Dの上面より押圧摺させ若しくは回転摺動させて超音波照射をなす装置のうち、回転摺動発振具31が基部5に連結されてなる状態が示されてなり、この回転摺動発振具31の外周面には耐熱性や耐久性、非接着性、絶縁性及び軽量性等が要請されることから、テトラフロロエチレン樹脂やシリコン樹脂、及び軽量性ポリエステル樹脂若しくはポリアミド樹脂からなる外面材31Aが略円筒状に形成されてなるとともに、該外面材31Aの内部には適宜数望ましくは6乃至8等分にその芯部31Bより放射状に放射壁31C、31C、31C…が形成されており、この放射壁31C、31C、31C…の先端縁に超音波発振具3が設けられている。更にこの放射壁31C、31C、31C…を磁歪振動子としてフェライト素材により一体的に形成させて使用することも提案される。
【0026】
図6のBには、扁平な施設面に塗装や接着がなされた塗着面や接着面の上面を押圧摺動させて超音波処理を施し、押圧摺動発振具35の使用態様が示されてなり、基部5の先端には所要の寸法で扁平状の押圧摺動発振具32が連結されてなるとともに、該扁平状の押圧摺動発振具32内には適宜の間隔を以って前記ユニモルフ発信具3A若しくはバイモルフ発振具3Bが、その下面より照射しえるよう配設されている。
更に図6のCには、塗装による塗膜面や接着による接着面に対して、離れた位置から放射照射させて塗膜や接着膜の強化形成を図る放射照射発振具33が示されてなるもので、当然に空中を且離れた距離を照射させるものであるから大出力の照射が要求されるとともに超音波は指向性も高く、従って拡散させることなく確実に照射させるうえから、パラボラ状の基部5の内面に照射方向が集束されるよう間隔と位置を以ってバイモルフ発振具3Bの如き発振具を配設させるものが望まれる。
【0027】
図7は本発明による塗膜若しくは接着膜の強化形成方法が施された場合における塗膜1の内部状態の説明図であって、塗膜1A内に混在していた気泡10Aはキャビテーション作用により破壊滅失されており、且直進作用並びに循環作用と且塗膜1Aと被着体1Bの境界部における振動発熱作用とも相俟って、被着体1B表面に顕在する微細凹陥部10B内にも確実に浸透か促進されて塗膜1Aが強力に塗着形成され、亀裂や剥離も長期に亘って防止される。
【産業状の利用可能性】
【0028】
現状の塗料による塗着面や、接着剤による接着面には即時に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 塗膜及び接着膜の説明図である。
【図2】 塗膜の塗着状態の拡大説明図である。
【図3】 超音波発振具の説明図である。
【図4】 フェライト発振具の説明図である。
【図5】 発振回路の例示図である。
【図6】 強化形成装置の使用態様図である。
【図7】 超音波処理された塗膜の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 塗料
1A 塗膜
1B 被着体
2A 接着膜
2B 駆体
2C 下地材
2D 壁紙
3 超音波発振具
3A ユニモルフ発振具
3B バイモルフ発振具
3C フェライト発振具
4 発振回路
4A セラミックス発振子
4B トランジェスター
4C 発振出力
5 本発明強化形成装置
5A 基部
10A 気泡
10B 微細凹陥部
20 超音波
30 圧電素子による超音波発振具
30A 振動板
30B 圧電セラミックス層
30C 入力線
31 回転摺動発振具
31A 外面材
31B 芯部
31C 放射壁
32 押圧摺動発振具
33 放射照射発振具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料が塗装された塗着面若しくは接着剤が塗布された接着面に、その周波数が30乃至60KHzの範囲並びに120乃至240KHzの範囲及び500乃至1、000KHzの範囲の適宜周波数の超音波を照射し、キャビテーション作用により混在する気泡の破壊滅失と直進作用並びに循環作用及び境界部の振動発熱作用とにより塗料や接着剤のぬれを高めることにより、塗膜や接着膜の強化形成を著しく高めることを特徴とする、塗膜若しくは接着膜の強化形成方法。
【請求項2】
塗着面若しくは接着面に照射する超音波が、1.0乃至3.0秒のパルス間隔からなるパルス照射である、請求項1記載の塗膜若しくは接着膜の強化形成方法。
【請求項3】
周波数が30乃至60KHzの範囲並びに120乃至240kHzの範囲及び500乃至1,000KHzの範囲の適宜周波数を発振しえる発振回路と、この発振出力により超音波を発振する超音波発振具と、塗着面や接着面と押圧摺動する押圧摺動部若しくは回転摺動する回転摺動部、若しくは塗着面や接着面と離れた位置より放射する放射部に該超音波発振具が配設され、且これら押圧摺動部や回転摺動部若しくは放射部が基部と連結された構成からなる、塗膜若しくは接着膜の強化形成装置。
【請求項4】
超音波発振具が圧電素子を用いたユニモルフ若しくはバイモルフからなる、請求項3記載の塗膜若しくは接着膜の強化形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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