説明

塗装前処理方法及び塗装前処理装置

【課題】自動車ボディの電着塗膜の付き廻り性が良好となる塗装前処理方法を提供する。
【解決手段】自動車ボディ4に脱脂処理及び洗浄処理を施し、化成処理液により化成処理を施したのち、純水洗工程において自動車ボディを電着塗装時の電着液と同等の温度に加温する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボディや部品の表面に電着塗装を施す前に行われる前処理方法及び塗装前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディの下塗り塗装として電着塗装が一般的であるが、この電着塗装を施す前に、自動車ボディを洗浄したり化成被膜を形成したりする、いわゆる前処理が行われている。
【0003】
従来の電着塗装の前処理は、自動車ボディに付着した油分、鉄粉、塵埃などを除去する脱脂・洗浄工程と、清浄となったボディの表面にリン酸亜鉛系化成皮膜を形成する表面調整・化成処理工程とで構成されている。このうちの表面調整工程は、被処理物の表面に表面調整剤成分を吸着させることにより、次工程のリン酸亜鉛系化成処理工程における反応起点数を増加させ、また吸着した表面調整剤成分が、リン酸亜鉛皮膜結晶の核となり、皮膜形成反応を加速するという役割を担っている。
【0004】
ところが、リン酸亜鉛系化成処理法では、化成被膜の形成反応を加速させるためには上述したとおり表面調整工程が必要である。また、リン酸亜鉛系化成処理法は化学的反応によって化成被膜を形成するため、化成スラッジが必然的に生じてしまい、そのために化成スラッジを含む排水の処理装置や、ボディを洗浄する洗浄装置及び水切り乾燥炉などの設備が必要となる。
【0005】
ところで、電着塗装は、電着塗料を25℃〜35℃の温度に加温して行われており、このような温度範囲に維持することで電着塗膜の付き廻り性が良好となるが、上述したリン酸亜鉛系化成処理法による前処理方法では、35℃〜40℃の化成処理液にボディを浸漬させるので自動車ボディは一旦加温されるものの、化成処理工程の後の洗浄工程やストレージ工程によってボディが冷却されてしまう。また、リン酸亜鉛系化成処理液で処理された自動車ボディをこの温度範囲に加温して電着塗装を行うと、コンタミ肌(平滑性低下)などの外観不良が生じるといった問題があった。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、自動車ボディの電着塗膜の付き廻り性が良好となる塗装前処理方法及び塗装前処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の塗装前処理方法は、電着塗装前に被処理物である自動車ボディの表面に化成被膜を形成する塗装前処理方法において、前記自動車ボディに脱脂処理及び洗浄処理を施し、化成処理液により化成処理を施したのち、前記自動車ボディを前記電着塗装時の電着液と同等の温度に加温することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の塗装前処理装置は、電着塗装装置の前工程に設置される塗装前処理装置であって、被処理物である自動車ボディに脱脂処理及び洗浄処理を施す脱脂洗浄装置と、当該脱脂洗浄装置の後に設けられ、化成処理液が満たされて前記自動車ボディが浸漬される化成処理液槽と、当該化成処理液槽の後に設けられ、前記自動車ボディを前記電着塗装時の電着液温度と同等の温度に加温する加温手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、表面調整や化成処理後の水切り乾燥工程、ストレージ工程などがなく、脱脂洗浄工程に続いて化成処理工程、当該化成処理工程に続いて加温された洗浄液による洗浄工程、当該洗浄工程に続いて直接電着塗装工程を有し、洗浄工程では自動車ボディを電着液温度まで加温するので、塗装前処理工程を短縮することができるとともに電着塗膜の付き廻り性も向上する。
【発明の実施の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置が適用される塗装工程の一例を示す平面レイアウト図、図2は本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置の一実施形態を示す側面図、図3は本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置に係る化成処理装置の一実施形態を示す装置構成図である。
【0010】
図1及び図2に塗装工程のうち前処理〜電着工程の一例を示し、同図を参照して塗装ラインの前半を概説する。以下の説明では、ホワイトボディに付着した油分、鉄粉、塵埃等を除去する工程及びその装置の総称を脱脂洗浄工程A又は脱脂洗浄装置Aと称し、その後にホワイトボディに化成被膜を形成する工程及びその装置の総称を化成処理工程B又は化成処理装置Bと称し、化成被膜が形成されたボディに未乾燥の電着塗膜を形成する工程及びその装置の総称を電着工程C又は電着塗装装置Cと称し、その後にボディに付着した余分な電着塗料を洗い流す工程及びその装置の総称を電着水洗工程D又は電着水洗装置Dと称し、未乾燥の電着塗膜を焼き付けて乾燥させる工程及びその装置の総称を電着焼付工程E又は電着乾燥炉28と称する。
【0011】
まずプレス部品の組立を終了したホワイトボディは、車体組立ラインのドロップリフタ1により、それまでの台車から塗装ハンガ3に移載され、オーバーヘッドコンベア2により塗装ラインに搬送される。
【0012】
塗装ラインに搬入されたホワイトボディ4には、プレス油や溶接による鉄粉、その他塵埃などが付着しているので、化成処理を施す前に脱脂洗浄工程Aにてこれら油分、鉄粉及び塵埃が除去される。図2に示す例では、この脱脂洗浄工程Aは、主として油分を除去するための予備脱脂工程A1と本脱脂工程A2、及びこれら予備脱脂工程A1及び本脱脂工程A2で使用した脱脂液、ボディ4に付着した鉄粉や塵埃を除去する第1水洗工程A3および第2水洗工程A4から構成されている。
【0013】
図2に示すように予備脱脂工程A1はタンク5に貯留された脱脂液をポンプで汲み上げてノズル6からボディ4に向かって噴霧する、いわゆるシャワー式接液方法であるのに対し、本脱脂工程A2は、脱脂槽7に収容された脱脂液にボディ4を全没させることで接液させる、いわゆるフルディップ式接液方法が採用されている。ただし、本発明に係る塗装前処理方法及び装置は、このような接液方法や段数(本例では予備脱脂と本脱脂の2段。)には何ら限定されず適宜変更可能である。
【0014】
また、第1水洗工程A3はタンク8に貯留された工水をポンプで汲み上げてノズル9からボディ4に向かって噴霧する、いわゆるシャワー式接液方法であるのに対し、第2水洗工程A4は、水洗槽10に収容された工水にボディ4を全没させることで接液させる、いわゆるフルディップ式接液方法が採用されている。ただし、本発明に係る塗装前処理方法及び装置は、このような接液方法や段数(本例では第1水洗と第2水洗の2段。)には何ら限定されず適宜変更可能である。以上説明した脱脂洗浄工程Aを構成する装置が脱脂洗浄装置Aである。
【0015】
脱脂洗浄工程Aにより清浄となったホワイトボディ4の表面に化成被膜を形成するために化成処理工程Bが設けられている。本例の化成処理工程Bは化成被膜形成工程B1と、化成処理液による発錆を防止するとともにボディ4を電着液温度である25℃〜35℃に加温するための純水洗工程B2とから構成され、表面調整工程、化成処理工程の後の水切り乾燥炉、及びボディを一時的に退避させるためのストレージラインは設けられていない。
【0016】
特に本例では、化成処理液として、たとえばジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、並びにフッ素イオンを含有し、実質的にリン酸イオンを含有しない化成処理液が用いられている。
【0017】
リン酸イオンを含有する化成処理は、ボディを構成する鉄、亜鉛、アルミニウムとのイオン交換による析出反応(化学的反応)で化成被膜が形成されるが、たとえばジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、並びにフッ素イオンを含有する化成処理液による化成処理は、化学的反応による被膜形成メカニズムではなく、コーディングのような物理的な作用により化成被膜が形成される。この種の化成処理液を用いると、リン酸亜鉛系化成処理液に比較して、化成スラッジ(反応生成物)が生じない点や、表面調整工程が不要である点などが有利となる。
【0018】
一例を挙げると、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、並びに、フッ素イオンを含有、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンの含有量は、重量基準で20〜500ppmであり、フッ素イオンの含有量は、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンに対して、モル比で6倍以上であり、実質的にリン酸イオンを含有せず、pHが2〜5である化成処理液、若しくはこれにバナジウムイオン、セリウムイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、コバルトイオンなどの防錆金属を添加した化成処理液、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、フッ素イオン、並びに、可溶性エポキシ樹脂を含有し、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンの含有量は、質量基準で20〜500ppmであり、フッ素イオンの含有量は、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオンに対して、モル比で6倍以上であり、可溶性エポキシ樹脂は、樹脂100g当たり−NH及び/又は−NHを少なくとも0.1モル有し、実質的にリン酸イオンを含有せず、pHが2.5〜4.5である化成処理液、6価クロムイオン2g/リットル以上、硫酸イオン20〜2000ppm、フッ素を400ppm未満、及びジルコニウムイオン及びチタニウムイオンから選ばれる1種又は2種のイオンを20〜1000ppm含有するpHが0.5〜2.0の化成処理液、若しくはこれにコロイダルシリカ、乾式シリカ、珪酸アルカリ金属塩の、1種又は2種以上のシリカゾルをその固形分濃度で1〜5g/リットルを含有する化成処理液などである。ただし、この化成処理液にのみ限定される趣旨ではなく、化学的反応に依らない物理的作用による化成皮膜が形成される化成処理液であればよい。
【0019】
図3に示す化成処理装置Bは、塗装ハンガ3に搭載されたボディ4が通過する処理槽11を有し、オーバーヘッドコンベア2のアップダウンに伴いボディ4もアップダウンするので、処理槽11に満たされた化成処理液にボディ4を浸漬することができる。これが図2に示す化成皮膜形成工程B1に相当する。なお、同図にはいわゆるフルディップ式処理槽11を示したが、ボディ4の下部のみを浸漬し、ボディ4の上部をシャワーするハーフディップ式や、ボディ4の全体をシャワー方式による化成処理を採用することも可能である。
【0020】
上述したジルコニウムイオンを含む化成処理液を用いた化成皮膜形成工程B1では、いわゆる化成スラッジが生じないので、処理槽11には特別なスラッジ除去装置を設ける必要がない。本例では、処理槽11内の化成処理液に含まれる塵埃を除去するとともに化成処理液の撹拌を目的として、フィルタ12,ポンプ13及び吐出ノズル14を有する循環配管15が設けられている。
【0021】
処理槽11にて消費される化成処理液は、図外の補給用化成処理液を貯留するタンクから所定のタイミングで補給される。
【0022】
図2に戻り、化成被膜形成工程B1に続いて純水洗工程B2が設けられているが、この純水洗工程B2は、同図に示すように水洗槽16に収容された純水(又は脱イオン水)にボディ4を全没させることで洗浄する、いわゆるフルディップ式水洗方法である。この純水洗工程B2は、上述したとおり化成処理液のpHが2〜5と酸性であるときはこれにより電着工程までの間にボディに錆が発生するのを防止するためと、電着付き廻り性を向上させるべく自動車ボディを加温するためである。
【0023】
後者の目的を達成するために、水洗槽16の純水は熱交換器17により所定の温度に維持される。すなわち、図3に示すように電着工程の塗装乾燥炉28の排気は200℃前後にまで達しているので、この排気を熱交換器17に導く一方で、水洗槽16に収容された純水をポンプ18により熱交換器17に導く。これにより、水洗槽16の純水は加温される。ここで本例では、自動車ボディ4の温度を所望の温度に加温するために、熱交換器17へ導かれる純水の流量及び/又は熱交換器17へ導かれる塗装乾燥炉28からの排気の流量を、水洗槽16の実際の温度に応じて制御できるように構成することもできる。具体的には水洗槽16と熱交換器17との間の配管19に流量調節弁を設けたり、塗装乾燥炉28の排気口と熱交換器17との間の配管20に流量調節弁を設けたりするとともに、水洗槽16に温度センサを設けて、これをフィードバック制御する。
【0024】
図4は水洗槽16の温度に対する電着膜厚の付き廻り性を確認した実験結果であり、上述したジルコニウムイオンを含む化成処理液を用いた化成処理後にボディを加温した例である。この結果によれば、16℃の常温の純水を水洗槽16に収容した場合には、規格値である15μmの電着膜厚を得るためには105Vの印加電圧が必要であったところ、26℃〜27℃の純水を水洗槽16に収容した場合には、同じ15μmの電着膜厚を得るためには100Vの印加電圧で足り、30℃〜33℃の純水を水洗槽20に収容した場合には90Vの印加電圧で足りることが確認された。このとき、純水の温度を26℃〜33℃まで高くしても電着塗膜の外観品質には何ら問題はなかった。
【0025】
これに対して図5は、従来のリン酸亜鉛系化成処理液を用いた化成処理後にボディを加温した例である。この結果によれば、16℃〜20℃の常温の純水を水洗槽16に収容した場合には、規格値である15μmの電着塗膜を得るためには110Vの印加電圧が必要であり、また純水の温度を27℃に高めても15μmの電着膜厚を得るためには同じ110Vの電圧を印加する必要があった。またこのとき、電着塗膜に外観不良が発生した。
【0026】
以上説明した化成処理工程Bを構成する装置が化成処理装置である。
【0027】
図1及び図2に戻り、純水洗B2の後には、電着工程C及び電着水洗工程Dが設けられている。特に本例の前処理塗装ラインでは、化成処理工程Bと電着工程Cとの間にボディ4のストレージ工程を省略して、昼休みや終業時であってもそのまま電着工程Cにボディを流すこととしている。これによっても、上述した純水洗工程B2に加えて、ボディ4の発錆が防止される。また、純水洗工程B2にて加温したボディ4の温度を維持するために、処理槽11の出口から電着槽22の入口まで、又は水洗槽20の出口から電着槽22の入口までの間は、側壁及び天井を覆うブース又はシェルタ(図2に点線21で示す。)とされている。
【0028】
電着工程Cは、電着液の電気泳動作用によりボディ4の表面に電着塗膜を形成する工程であり、電着液が満たされた舟形の電着槽22を有し、塗装ハンガ3に搭載された状態でボディ4が電着液に浸漬され、電着槽22内の側壁及び底壁に設けられた複数の電極板(図示は省略する。)に高電圧を印加するとともにボディ4側をアースすることで電着塗装が施される。またこのとき、ボディ4の袋構造体の内部にも電着液が浸入するので袋構造体の内面にも電着塗膜が形成されることになる。なお、電着液としては上述したカチオン型電着塗料を用いることが防錆上好ましいが、電着液側をアースするとともにボディ4側に高電圧を印加するアニオン型電着塗料を用いても何ら差し支えない。
【0029】
電着工程Cに続いて、ボディ4に付着した余分な電着液を洗い流し、場合によってはこれを回収する電着水洗工程Dが設けられている。本例の電着水洗工程Dは工水を用いて水洗する前段の工程と、純水にて水洗する後段の工程とから構成され、図2には前段の工水洗浄工程のみを示す。この工水による水洗工程は、さらにフルディップ式水洗とシャワー式水洗とで構成され、工水が満たされた水洗槽23、工水が貯留されたタンク24、当該タンク24に貯留された工水をポンプで汲み上げてボディ4に向かって噴霧するノズル25を有している。また、このシャワー式工水水洗工程の直後には、図示は省略するが当該シャワー式工水水洗工程と同様に、純水を貯留するタンクと、当該タンクに貯留された純水をポンプで汲み上げてボディ4に向かってミスト状に噴霧するノズルを有する、純水洗工程が設けられている。
【0030】
電着水洗工程Dの後には、図1に示すように塗装ハンガ3に搭載されたボディ4を塗装台車に移載するためのドロップリフタ27が設けられ、ここで塗装台車に移載されたボディ4はフロアコンベア27により塗装乾燥炉28に搬入され、ここでたとえば170℃で20分間加熱されることにより、ボディ4に塗装された電着塗膜が硬化する。この塗装乾燥炉28が電着焼付工程Eに該当する。
【0031】
電着焼付工程Eの後には、昼休みや終業時のボディ4を一時的に溜めておくためのストレージ工程Fが設けられている。昼休みや終業時にあっては、ドロップリフタ1の前のボディ組立工程および電着焼付工程Eの後のシーリング工程Gは作業を中断する。これに対して、脱脂洗浄工程A〜電着焼付工程Eまでは処理を中断すると品質に影響することが多いので、ボディ組立工程やシーリング工程Gが作業中断してもそのまま処理を続行する。このストレージ工程Fは、その間に処理されたボディ4を一時的に溜めておき、作業が再開されたときにシーリング工程Gにボディ4を供給するためのラインである。そのため、通常は脱脂洗浄工程A〜電着焼付工程Eまでに在席するボディ数のストレージ能力とすることが好ましい。
【0032】
以上のとおり、本実施形態では、純水洗工程B2の処理槽16にて、自動車ボディ4を、電着液温度と同等の温度に加温された純水に全没させることで自動車ボディ4を電着液温度に加温し、この状態で電着塗装を行うので、電着付き廻り性が向上し、塗膜品質を向上させることができる。また、過剰な電着膜厚の部位は電着電圧を低く設定することができるので、電着工程のランニングコストを低減することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン、並びにフッ素イオンを含有し、実質的にリン酸イオンを含有しない化成処理液を用いることで、化成処理工程Bの前に表面調整工程が不要となり、また化成処理工程Bの後に工業用水による水洗工程も不要となって、化成処理工程を簡略化することができる。
【0034】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置が適用される塗装工程の一例を示す平面レイアウト図である。
【図2】本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置の一実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明の塗装前処理方法及び塗装前処理装置に係る化成処理装置の一実施形態を示す装置構成図である。
【図4】リン酸亜鉛系化成処理液を用いて処理した場合の純水洗温度と電着膜厚との関係を示すグラフである。
【図5】ジルコニウムイオン含有化成処理液を用いて処理した場合の純水洗温度と電着膜厚との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
A…脱脂洗浄工程
B…化成皮膜形成工程
B1…化成皮膜形成工程
B2…純水洗工程
C…電着工程
D…電着水洗工程
E…電着焼付工程
F…ストレージ工程
G…シーリング工程
4…自動車ボディ(被処理物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗装前に被処理物である自動車ボディの表面に化成被膜を形成する塗装前処理方法において、前記自動車ボディに脱脂処理及び洗浄処理を施し、化成処理液により化成処理を施したのち、前記自動車ボディを前記電着塗装時の電着液と同等の温度に加温することを特徴とする塗装前処理方法。
【請求項2】
前記化成処理液はジルコニウムイオンを含むことを特徴とする請求項1記載の塗装前処理方法。
【請求項3】
前記電着塗装前の自動車ボディの加温は、前記電着液温度と同等温度に調整された洗浄液で前記自動車ボディを水洗することにより行う請求項1又は2記載の塗装前処理方法。
【請求項4】
前記電着塗装前の自動車ボディの加温は、前記電着液温度と同等温度に調整された洗浄液に前記自動車ボディを浸漬して洗浄することにより行う請求項3記載の塗装前処理方法。
【請求項5】
前記洗浄液は、電着乾燥炉の廃熱により加温することを特徴とする請求項3又は4記載の塗装前処理方法。
【請求項6】
前記洗浄液の温度は、雰囲気温度に応じて制御可能であることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の塗装前処理方法。
【請求項7】
電着塗装装置の前工程に設置される塗装前処理装置であって、被処理物である自動車ボディに脱脂処理及び洗浄処理を施す脱脂洗浄装置と、当該脱脂洗浄装置の後に設けられ、化成処理液が満たされて前記自動車ボディが浸漬される化成処理液槽と、当該化成処理液槽の後に設けられ、前記自動車ボディを前記電着塗装時の電着液温度と同等の温度に加温する加温手段と、を有することを特徴とする塗装前処理装置。
【請求項8】
前記化成処理液はジルコニウムイオンを含むことを特徴とする請求項7記載の塗装前処理装置。
【請求項9】
前記加温手段は、前記電着液温度と同等温度に調整された洗浄液で前記自動車ボディを水洗する洗浄手段であることを特徴とする請求項7又は8記載の塗装前処理方法。
【請求項10】
前記加温手段は、洗浄液が満たされて前記自動車ボディが浸漬される洗浄槽と、前記洗浄液を前記電着液温度と同等温度に調整する洗浄液温度調整手段とを有することを特徴とする請求項9記載の塗装前処理方法。
【請求項11】
前記洗浄液温度調整手段は、洗浄液と電着乾燥炉の廃熱との熱交換により前記洗浄液の温度を調節することを特徴とする請求項9又は10記載の塗装前処理方法。
【請求項12】
前記洗浄液温度調節手段は、前記洗浄液の温度を雰囲気温度に応じて制御することを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の塗装前処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−183128(P2006−183128A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381415(P2004−381415)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】