説明

塗装方法

【課題】
本発明は、目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材の化粧凸部に対し、特定の繊維質ローラーを用いることによって、簡便に塗装することができる塗装方法を提供する。
【解決手段】
目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装する塗装方法であって、繊維質ローラーの乾燥時の繊維質層の厚さが2mm以上15mm以下、繊維の太さが5μm以上150μm以下であり、該繊維質層表面に、着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下で含ませ、建築基材表面の化粧凸部に塗装することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維質ローラーを用いた塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の内外壁面には、レンガ調、自然石調の意匠を採用する場合が多くなってきている。これらレンガ調、自然石調の意匠としては、化粧模様を有する凸部とそれを仕切る目地凹部からなるものが多く、化粧凸部と目地凹部との色彩の違い、また凹凸高低差により、陰影感、立体感をも有する高度な意匠を表現することできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−35689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような化粧凸部と目地凹部の塗装については、種々検討されており、例えば、目地材を貼着する方法等が採用されている。
目地材を貼着する方法としては、予め目地凹部に目地材を貼着し、化粧凸部に塗装した後、目地材を剥がす手法であるが、貼着する工程が必要となり簡便な方法とはいえず、目地が直線ではなく、また、目地幅がランダムである場合には、採用が難しい方法である。
【0005】
このような問題に対し、例えば、特許文献1では、凹凸模様を有するデザイン基材に対し、凸部を、液状着色塗料を含浸した柔らかい素材で叩くことによって仕上げる塗装方法が記載されている。
このような方法では、工程が簡便であり、様々な凹凸模様に対して採用でき、現場でも塗装できる利点がある。
しかしながら、該手法は、職人の技能にたよるところが大きく、まだらな意匠となりやすい傾向がある。さらに、大面積を塗装するには不向きな手法であり、けして塗装効率が良いとはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題点を鋭意検討した結果、目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、特定の特定の繊維質ローラーを用いて、着色塗料を特定の繊維質ローラーに特定量含ませて塗装することにより、職人の技能にたよらず、簡便に、化粧凸部に効率よく塗装することができることを見出し、本願発明の完成に至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装する塗装方法であって、
繊維質ローラーの乾燥時の繊維質層の厚さが2mm以上15mm以下、繊維の太さが5μm以上150μm以下であり、該繊維質層表面に、着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下で含ませ、建築基材表面の化粧凸部に塗装することを特徴とする塗装方法。
2.目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成し、該ベース塗膜の上に、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装する塗装方法であって、
繊維質ローラーの乾燥時の繊維質層の厚さが2mm以上15mm以下、繊維の太さが5μm以上150μm以下であり、該繊維質層表面に、着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下で含ませ、建築基材表面の化粧凸部に塗装することを特徴とする塗装方法。
3.着色塗料の建築基材への塗付け量が、0.001kg/m以上0.5kg/m以下であることを特徴とする1.または2.に記載の塗装方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塗装方法によれば、特定の繊維質ローラーを用いることによって、職人の技能にたよらず、簡便に、目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材の化粧凸部に、効率よく塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明で用いる繊維質ローラーの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本願発明は、目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装することを特徴とするものである。
【0012】
<基材>
本発明で用いる建築基材は、目地凹部及び化粧凸部を有するものであれば特に限定されない。
このような建築基材は、例えば、建築基材自体が目地凹部及び化粧凸部となるように施されたもの、また、建築基材表面を意匠性塗材で塗装することによって目地凹部及び化粧凸部を施したもの、あるいは、レンガやタイルを貼り合わせたもの等、特に限定されない。
建築基材の材料としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、レンガ、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。
また建築基材表面には、何らかの表面処理材(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよい。
【0013】
<繊維質ローラー>
本発明で用いる繊維質ローラーは、例えば図1に示すようなものであり、筒状の芯材の外表面に繊維質層が備わったものであり、筒状の芯材は、軸を備えたハンドルを装着できるように空洞となっており、該空洞に、ハンドルを装着して使用することができるものである。
筒状の芯材としては、特に限定されないが、プラスチック製、木製、金属製等の芯材を用いることができ、また、ハンドルの軸と芯材との密着性を高めるために、ハンドルの軸と芯材の間に、プラスチック製、ゴム製、ガラス製、金属製、繊維製等の補強材を用いることもできる。
【0014】
本発明では、繊維質ローラーの塗料を含んでいない乾燥時の繊維質層の厚さは、2mm以上15mm以下(好ましくは3mm以上10mm以下)、繊維の太さは5μm以上150μm以下(好ましくは8μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下)であることを特徴とするものである。
このような繊維質層の厚さ及び繊維の太さとすることにより、特定量の着色塗料を含ませて塗付する際に、ある程度の塗付圧に耐えることができ、また芯材からの距離もある程度保っているため、熟練した技能がなくても、化粧凸部に簡便に、効率よく塗装することができる。
【0015】
乾燥時の繊維質層の厚さが2mmより小さい場合、繊維質層に十分な着色塗料を含むことができず、大きな塗付圧でも満足に塗装することができない。また、目地凹部及び化粧凸部を転動させて塗装する際に、凹凸の高低差による衝撃により、着色塗料が飛散することもある。
また、乾燥時の繊維質層の厚さが15mmより大きい場合、小さい塗付圧でも、繊維質層が変形しやすく、目地凹部にまで塗装されてしまう。
【0016】
繊維の太さが5μmより小さい場合、塗装時の塗付圧に繊維が耐え切れずに変形してしまう場合がある。また、繊維の太さが150μmより大きい場合、繊維自体が硬くなり、塗装ローラーとしての機能が損なわれる恐れがある。
なお、本発明の繊維の太さとは、繊維の集合体である繊維束の断面直径のことであり、電子顕微鏡により測定した値である。
【0017】
また、繊維の長さは、2.5mm以上30mm以下(好ましくは3mm以上25mm以下)程度であり、乾燥時の繊維質層の厚さよりも長いもの(好ましくは乾燥時の繊維質層の厚さの1.2倍以上15倍以下、さらに好ましくは1.5倍以上10倍以下)を使用することが好ましい。
本発明では、このような繊維を、編み込んだり、2点以上で固定化したり、あるいは、網状袋等によって繊維を固定化する等、なんらかの方法で繊維の自由度を抑えることによって、実際の繊維の長さよりも短い厚さの繊維質層を得ることが好ましい。このような繊維質層は、着色塗料の吸収をある程度抑制でき、過剰量の着色塗料の吸収を防ぐことができる。よって、塗装時は、ある程度の塗付圧に対して、繊維質層が大きく変形することなく塗装することができる。
【0018】
このような繊維質層の材質としては、特に限定されないが、豚毛、馬毛、山羊毛、羊毛、狸毛、人毛や、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維等が挙げられる。
【0019】
本発明塗装方法は、このような繊維質ローラーを用いることを特徴とするものであり、マスチックローラー等の多孔質ローラーでは、着色塗料の含み量の調節が難しく、また、小さい塗付圧でも多量に塗装されてしまい、目地凹部にまで塗装されてしまう。
【0020】
<着色塗料>
本発明で用いる着色塗料は、特に限定されないが、粘度が1Pa・s以上50Pa・s以下(好ましくは2Pa・s以上20Pa・s以下)であるものを使用する。
このような粘度であれば、繊維質層への付着がスムーズであるとともに、建築基材への塗装がしやすい。
なお、着色塗料の粘度は、温度23℃、相対湿度50%RH下においてBH型粘度計で回転数を20rpmとして測定したときの値である。
【0021】
本発明で用いる着色塗料としては、例えば、結合剤、着色材料等を含有するものである。
【0022】
結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
また、結合剤の形態としては、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、水可溶型樹脂、水分散型樹脂等が挙げられる。このうち本発明では、水可溶型樹脂及び/または水分散型樹脂が好適である。これら結合剤は1液型でもよいし、使用時に2液以上を混合する多液型であってもよい。
【0023】
着色材料としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、カオリン、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン.コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の着色顔料等が挙げられる。
【0024】
また、上記成分の他に、水、溶剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、分散剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、骨材等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0025】
<塗装方法>
本発明の塗装方法は、繊維質層に、塗装する着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下(好ましくは、0.005g/cm以上0.3g/cm以下)の付着量で含ませた繊維質ローラーを用いて塗装することを特徴とするものである。
本発明では、特定の繊維質ローラーを用いて、上記付着量で塗装することにより、建築基材の化粧凸部に塗装が可能となったものであり、化粧凸部に連続した着色塗料塗膜の形成が可能である。
付着量が、0.5g/cmよりも多い場合は、目地凹部にまで塗装されてしまう。また、0.001g/cmよりも少ない場合は、着色塗料が視認できにくく、連続した着色塗料塗膜の形成が困難である。
なお、単位面積あたりの付着量とは、(実際に繊維質ローラーに含ませた着色塗料の量(g))/(繊維質層最表面の表面積(cm))で求められる値であり、ここでいう着色塗料の付着量とは、固形分と揮発成分を含めた着色塗料全量のことであり、また、塗装直前に希釈剤にて希釈する場合、該希釈剤の量も包含される量のことである。
また、繊維質層最表面の表面積(cm)とは、ローラー外径(cm)×3.14×ローラー長さ(cm)で求められる値である(図1参照)。
【0026】
また、基材への塗付け量は、0.001kg/m以上0.5kg/m以下(好ましくは0.01kg/m以上0.4kg/m以下、さらに好ましくは0.05kg/m以上0.3kg/m以下)程度である。
【0027】
具体的に塗装する方法としては、基材にそのまま、上記繊維質ローラーを用いて着色塗料を塗装することもできるし、基材の上になんらかの処理剤やベース塗料等を施した上に、上記繊維質ローラーを用いて着色塗料を塗装することもできる。
【0028】
また、繊維質ローラーの繊維質層に塗料を付着させる方法としては、着色塗料や溶媒、希釈剤等が付着していない乾燥状態の繊維質ローラーを用い、所定量の着色塗料をパレット等に流し込み、該パレット上で繊維質ローラーを転がすことにより、該繊維質ローラーの繊維質層表面に着色塗料を付着させることができる。
【0029】
本発明では、上記に示すように、着色塗料を特定量含ませた特定の繊維質ローラーを用いて塗装することにより、熟練者でなくとも、簡便に塗装することができ、現場塗装など塗り替えにも有効である。
【0030】
本発明ではさらに、建築基材として、目地凹部の幅が20mm以下(さらには15mm以下)、目地凹部と化粧凸部との高低差が1mm以上(1.5mm以上)であるものを使用し、繊維質ローラーとして、ローラー外径(繊維質層含む)が30mm以上(さらには40mm以上)であり、ローラー長さが80mm以上(さらには100mm以上)(図1参照。)であるものを使用することが好ましい。
このような条件では、特に、塗装効率に優れ、熟練者でなくとも、簡便に、また、大面積の塗装でも効率よく塗装することができる。
【0031】
また、建築基材としては、目地凹部及び化粧凸部を有するものであるが、化粧凸部にはさらに微視的な凹凸が存在する基材でもよい。本発明では、特定の繊維質層の厚さ及び繊維の太さの繊維質ローラーを用いることにより、目地凹部には塗装されず、化粧凸部の微視的な凹凸に対しては、効率よく塗装することができることを特徴とするものである。
このような微視的な凹凸の高低差としては、目地凹部と化粧凸部との高低差の50%以下、さらには30%以下であることが好ましい。このような範囲であれば、簡便に、効率よく塗装することができる。
【0032】
さらに、本発明では、予め、建築基材の上にベース塗料を全面に塗付することが好ましい。ベース塗料を塗付することにより、耐久性等の諸物性の向上だけでなく、適宜色相を選定することで、着色塗料との色相とあいまって、より優れた意匠を得ることができる。
【0033】
ベース塗料としては、特に限定されないが、上記に示すような、結合剤、着色材料等、また、水、溶剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、分散剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、骨材等の公知の添加剤等が含まれるものである。
また、ベース塗料を塗付する場合は、特に限定されないが、その塗付け量が、0.03kg/m以上0.5kg/m以下であればよい。
【0034】
またベース塗料を施した基材の上に、着色塗料を塗付する場合は、ベース塗料が未乾燥状態でも、乾燥状態でも、特に限定されないが、本発明では、ベース塗料が乾燥した後、着色塗料を塗付することが好ましい。
未乾燥状態のまま着色塗料を塗付した場合、逆にベース塗料が繊維質層の吸収される場合があり、特殊な塗装仕上げとしては有効であるが、本発明では、あまり好ましいものではない。
【0035】
さらに、本発明では、着色塗料を塗装した後、トップコートを塗装することもできる。トップコートとしては、本発明の効果を損なわない程度に透明性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、親水性付与、撥水性付与することで、汚染防止性が付与できる。
トップコートの塗装は、着色塗料が未乾燥状態でも、乾燥状態でも、特に限定されない。また、化粧凸部にのみ塗装してもよいし、目地凹部を含む建築基材全面に塗装してもよい。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
化粧凸部と目地凹部を有するサイディングボードA(目地凹部の幅:平均8mm、化粧凸部と目地凹部の凹凸高低差:平均3mm、化粧凸部の微視的凹凸高低差:平均0.8mm)の上に、ベース塗料(アクリル樹脂エマルション(Tg10℃、固形分50重量%)、カーボンブラック、添加剤の混合物、色相:黒)を、塗付け量0.3kg/mでスプレーにて塗付し、温度23℃、相対湿度50%で、24時間養生し、ベース塗膜を得た。
次にベース塗膜が乾燥した後、着色塗料(アクリル樹脂エマルション(Tg12℃、固形分50重量%)、酸化チタン、添加剤の混合物、粘度5Pa・s)を、単位面積あたり0.05g/cmで含ませたウールローラーA(繊維質層:繊維質層の厚さ:6mm、繊維の太さ10μm〜30μm、繊維の長さ10mm〜15mm、ローラー外径52mm(繊維質層含む)、ローラー長さ180mm)を用いて、化粧凸部に塗装した(塗付け量0.1kg/m)。
ウールローラーAを用いた場合、塗装が簡便であり、着色塗料が化粧凸部にのみ施されており、化粧凸部の色彩(着色塗料)と目地凹部の色彩(ベース塗膜)からなる、優れた意匠性を示していた。
【0037】
(実施例2)
化粧凸部と目地凹部を有するサイディングボードAの代わりに化粧凸部と目地凹部を有するサイディングボード(目地凹部の幅:平均7mm、化粧凸部と目地凹部の凹凸高低差:平均2mm、化粧凸部の微視的凹凸高低差:平均0.6mm)、ウールローラーAの代わりに、ウールローラーB(繊維質層:繊維質層の厚さ:4mm、繊維の太さ10μm〜30μm、繊維の長さ10mm〜15mm、ローラー外径48mm(繊維質層含む)、ローラー長さ180mm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で仕上げた。
ウールローラーBを用いた場合、塗装が簡便であり、着色塗料が化粧凸部にのみ施されており、化粧凸部の色彩(着色塗料)と目地凹部の色彩(ベース塗膜)からなる、優れた意匠性を示していた。
【0038】
(実施例3)
ウールローラーAの代わりに、ウールローラーC(繊維質層:繊維質層の厚さ:12mm、繊維の太さ10μm〜30μm、繊維の長さ15mm〜20mm、ローラー外径64mm(繊維質層含む)、ローラー長さ180mm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で仕上げた。
ウールローラーCを用いた場合、塗装が簡便であり、着色塗料が化粧凸部にのみ施されており、化粧凸部の色彩(着色塗料)と目地凹部の色彩(ベース塗膜)からなる、良好な意匠性を示していた。
【0039】
(比較例1)
ウールローラーAの代わりに、ウールローラーD(繊維質層:繊維質層の厚さ:18mm、繊維の太さ10μm〜30μm、繊維の長さ20mm〜30mm、ローラー外径76mm(繊維質層含む)、ローラー長さ180mm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で仕上げた。
ウールローラーDを用いた場合、着色塗料が目地凹部にまで塗装されてしまった。
【0040】
(比較例2)
ウールローラーAの代わりに、マスチックローラーA(多孔質ローラー:多孔質層の厚さ:6mm、ローラー外径52mm(多孔質層含む)、ローラー長さ180mm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で仕上げた。
マスチックローラーAを用いた場合、実施例1と同量の着色塗料を含ませたマスチックローラーAでは着色塗料が化粧凸部に塗装されにくく、また、塗付圧を大きくすると着色塗料が多量に塗着され、目地凹部にまで塗装されてしまった。また着色塗料の量を増やすと、目地凹部にまで塗装されてしまい、調節が困難であった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装する塗装方法であって、
繊維質ローラーの乾燥時の繊維質層の厚さが2mm以上15mm以下、繊維の太さが5μm以上150μm以下であり、該繊維質層表面に、着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下で含ませ、建築基材表面の化粧凸部に塗装することを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
目地凹部及び化粧凸部を有する建築基材に対し、ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成し、該ベース塗膜の上に、着色塗料を繊維質ローラーを用いて塗装する塗装方法であって、
繊維質ローラーの乾燥時の繊維質層の厚さが2mm以上15mm以下、繊維の太さが5μm以上150μm以下であり、該繊維質層表面に、着色塗料を、単位面積あたり0.001g/cm以上0.5g/cm以下で含ませ、建築基材表面の化粧凸部に塗装することを特徴とする塗装方法。
【請求項3】
着色塗料の建築基材への塗付け量が、0.001kg/m以上0.5kg/m以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗装方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−125672(P2012−125672A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277651(P2010−277651)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】