説明

塩基配列関連情報を用いた情報処理システム

【課題】個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して各個体にとって有益な意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を提供する。
【解決手段】物品及び/又はサービスの要求情報を受け取るステップaと、塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を取得するステップbと、前記ステップbで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得するステップcとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば通信回線網を介して情報を提供する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ヒトを始めとする各種生物のゲノム塩基配列が急速に決定されており、様々なデータベースにゲノム塩基配列情報が蓄積されている。例えば、インターネット等の情報通信網を介して、各種研究機関や研究者がデータベースに蓄積されたゲノム塩基配列情報を利用できるようなシステムの構築がなされつつある。
【0003】
同時に、このようなゲノム塩基配列情報に含まれる塩基配列を用いて、ゲノム創薬の研究や遺伝情報の解析等が盛んに行われており、一塩基多型に代表されるような個体間における塩基配列の相違が注目されている。一般に、個体間における塩基配列の相違とは、所定の塩基の相違が個体種中1%以上の頻度で存在すると定義される多型と、所定の塩基の相違が個体種中1%未満であるバリエーションとを意味している。特に、多型には、個体間における1個の塩基の相違である一塩基多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)、1から数十塩基(数千塩基の場合もある)が欠失又は挿入している挿入/欠失多型、2から数十塩基を1単位とする配列の繰り返し回数が相違するVNTR(Variable Number of Tandem Repeat)やマイクロサテライト多型(繰り返し配列が2〜4塩基程度のもの)が知られている。
【0004】
このような多型は、個体間におけるタンパク質のアミノ酸配列の相違や、個体間における所定の遺伝子に関する発現効率の相違等に影響を及ぼすことがある。
【0005】
このような影響により、例えば、所定の疾病に対する罹患可能性が個体間で異なったり、所定の薬剤に対する感受性が個体間で異なることが知られている。
【0006】
ところが、多型等の個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して、各個体にとって有益な意味情報を提供するようなシステムは構築されていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような現状に鑑み、個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して各個体にとって有益な意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を提供できる情報処理システムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成した本発明は以下を包含する。
(1) 物品及び/又はサービスの要求情報を受け取るステップaと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を取得するステップbと、
位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記ステップbで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得するステップcと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0009】
(2) 前記ステップcで取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記ステップaで要求情報を出した情報処理手段、及び/又は、当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側に対して送出することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0010】
(3) 少なくとも、前記ステップbで取得した位置情報を送出するステップdを更に有し、
前記ステップcでは、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記ステップdで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を受け取った後、受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0011】
(4) 前記ステップdでは、前記ステップbで取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、前記ステップbで取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、
前記ステップcでは、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取った後、前記二次位置情報を介して位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(3)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0012】
(5) 複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記ステップdで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記ステップcで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(3)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0013】
(6) 前記ステップcでは、前記ステップbで取得した位置情報に対応する複数の塩基配列関連情報を取得するとともに、当該複数の塩基配列関連情報のそれぞれを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0014】
(7) 少なくとも、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を受け取るステップdを更に有し、
前記ステップcでは、前記ステップdで受け取った塩基配列関連情報を用いて、前記ステップbで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0015】
(8) 複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記ステップdで受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記ステップcで取得した塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(7)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0016】
(9) 前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを判別することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0017】
(10) 前記ステップbでは要求情報に応じて複数の位置情報を取得し、前記ステップcでは位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記ステップbで取得した複数の位置情報のそれぞれに対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0018】
(11) 前記要求情報を出す側に対して塩基配列関連情報の提供に対する同意を求めるステップ、及び/又は、前記要求情報を出す側に対して意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の内容についての同意を求めるステップを更に有することを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0019】
(12) 前記意味情報が、健康診断検査項目に関する情報、疾病に対する罹患可能性に関する情報、物品の製造に関する情報、物品の種別選定に関する情報及び他の個体に関する適合性に関わる情報からなる群から選ばれる少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0020】
(13) 前記要求情報を出す側に関する付加的な情報を取得して、前記ステップcで取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報に対して前記付加的な情報を関連付けることを特徴とする(1)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0021】
(14) 物品及び/又はサービスの要求情報を受け取るステップaと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を取得するステップbと、
少なくとも、前記ステップbで取得した位置情報を送出するステップcと、
前記ステップcで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を受け取るステップdと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0022】
(15) 前記要求情報を出す側に対して塩基配列関連情報の提供に対する同意を求めるステップ、及び/又は、前記要求情報を出す側に対して、前記ステップdで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の内容についての同意を求めるステップを更に有することを特徴とする(14)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0023】
(16) 前記ステップcでは、前記ステップbで取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、前記ステップbで取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、
前記ステップdでは、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取ることを特徴とする(14)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0024】
(17) 物品及び/又はサービスの要求情報に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を受け取るステップaと、
前記ステップaで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得するステップbと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0025】
(18) 前記ステップbでは、複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記ステップaで受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(17)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0026】
(19) 前記ステップbで取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記ステップaで塩基配列関連情報を出した情報処理手段、前記要求情報を出した情報処理手段、及び当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側から選ばれる少なくとも1つに対して送出することを特徴とする(17)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0027】
(20) 前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを判別することを特徴とする(17)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0028】
(21) 前記ステップaでは要求情報に応じた複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた塩基配列関連情報を受け取り、前記ステップbでは当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(17)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0029】
(22) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける、所定の個体に関する意味情報を取得するステップaと、
他の個体に関する塩基配列関連情報を意味づける意味情報が記憶されている記憶手段より前記他の個体に関する意味情報を検索し、前記所定の個体に関する意味情報と前記他の個体に関する意味情報との間の適合性を判定するステップbと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0030】
(23) 前記ステップbで得られた判定に関する情報を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該判定に関する情報を利用する側に対して送出することを特徴とする(22)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0031】
(24) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報であって、所定の個体に関する情報と他の個体に関する情報とを関係づけた意味情報を取得するステップaと、
前記ステップaで取得した意味情報に含まれる他の個体に関する情報と一致性があると認識された所定の個体に関する情報を含む意味情報に関連付けられた、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を抽出するステップbと、
個体を識別する情報と位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを関連付けて記憶している記憶手段から、前記ステップbで抽出した塩基配列関連情報に関連付けられた個体を識別する情報を抽出するステップcと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0032】
(25) 前記ステップcで得られた抽出結果を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該抽出結果を利用する側に対して送出することを特徴とする(24)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0033】
(26) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報を受け取るステップaと、
前記ステップaで受け取った位置情報に対応する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を取得するステップbと、
前記ステップbで取得した塩基配列関連情報を送出するステップcと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0034】
(27) 前記ステップbでは、塩基配列関連情報を記録媒体より取得することを特徴とする(26)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0035】
(28) 前記ステップcでは、塩基配列関連情報を、前記位置情報を提供した情報処理手段に送出することを特徴とする(26)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0036】
(29) 前記ステップaでは、前記位置情報とともに、当該位置情報に対応して設定された二次位置情報を受け取り、
前記ステップcでは、前記ステップbで取得した塩基配列関連情報を前記二次位置情報に関連付けて送出することを特徴とする(26)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0037】
(30) 前記ステップaの前に、前記物品及び/又はサービスの要求情報を送出するステップdと、
前記ステップcの後に、前記ステップcで送出した塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を受け取るステップeと
を更に有することを特徴とする(26)記載の塩基配列に関する情報処理方法。
【0038】
(31) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報と、前記位置情報に関連付けられた複数の塩基配列関連情報と、前記複数の塩基配列関連情報のそれぞれに関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とを受け取るステップaと、
前記ステップaで受け取った位置情報と塩基配列関連情報とを組み合わせた複数の組合せのなかから、要求した側が有する位置情報と塩基配列関連情報との組合せと対応する組合せを選定し、選定した組合せに含まれる塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を抽出するステップbと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0039】
(32) 塩基配列における位置を意味する位置情報と前記位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを送出するステップaと、
物品及び/又はサービスの要求情報を送出するステップbと、
前記要求情報に応じた位置情報に対応する塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を受け取るステップcと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0040】
(33) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0041】
(34) 前記手順cで取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記手順aで要求情報を出した情報処理手段、及び/又は、当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側に対して送受信手段により送出することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0042】
(35) 少なくとも、前記手順bで取得した位置情報を送受信手段により送出する手順dを更に有し、
前記手順cでは、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記手順dで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を受け取った後、受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0043】
(36) 前記手順dでは、前記手順bで取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、前記手順bで取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、
前記手順cでは、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取った後、前記二次位置情報を介して位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(35)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0044】
(37) 複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記手順dで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記手順cで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(35)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0045】
(38) 前記手順cでは、前記手順bで取得した位置情報に対応する複数の塩基配列関連情報を取得するとともに、当該複数の塩基配列関連情報のそれぞれを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0046】
(39) 少なくとも、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を送受信手段により受け取る手順dを更に有し、
前記手順cでは、前記手順dで受け取った塩基配列関連情報を用いて、前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0047】
(40) 複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記手順dで受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記手順cで取得した塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(39)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0048】
(41) 前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを制御手段により判別することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0049】
(42) 前記手順bでは要求情報に応じて複数の位置情報を取得し、前記手順cでは位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記手順bで取得した複数の位置情報のそれぞれに対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(33)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0050】
(43) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
少なくとも、前記手順bで取得した位置情報を送受信手段により送出する手順cと、
前記手順cで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を送受信手段により受け取る手順dと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0051】
(44) 前記手順cでは、前記手順bで取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、前記手順bで取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、
前記手順dでは、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取ることを特徴とする(43)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0052】
(45) 物品及び/又はサービスの要求情報に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当
該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順bと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0053】
(46) 前記手順bでは、複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記手順aで受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(45)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0054】
(47) 前記手順bで取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記手順aで塩基配列関連情報を出した情報処理手段、前記要求情報を出した情報処理手段、及び当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側から選ばれる少なくとも1つに対して送受信手段により送出することを特徴とする(45)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0055】
(48) 前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを制御手段により判別することを特徴とする(45)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0056】
(49) 前記手順aでは要求情報に応じた複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた塩基配列関連情報を受け取り、前記手順bでは当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(45)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0057】
(50) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける、所定の個体に関する意味情報を制御手段により取得する手順aと、
他の個体に関する塩基配列関連情報を意味づける意味情報が記憶されている記憶手段より前記他の個体に関する意味情報を検索し、前記所定の個体に関する意味情報と前記他の個体に関する意味情報との間の適合性を制御手段により判定する手順bと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0058】
(51) 前記手順bで得られた判定に関する情報を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該判定に関する情報を利用する側に対して送受信手段により送出することを特徴とする(50)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0059】
(52) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報であって、所定の個体に関する情報と他の個体に関する情報とを関係づけた意味情報を制御手段により取得する手順aと、
前記手順aで取得した意味情報に含まれる他の個体に関する情報と一致性があると認識された所定の個体に関する情報を含む意味情報に関連付けられた、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を制御手段により抽出する手順bと、
個体を識別する情報と位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを関連付けて記憶している記憶手段から、前記手順bで抽出した塩基配列関連情報に関連付けられた個体を識別する情報を制御手段により抽出する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0060】
(53) 前記手順cで得られた抽出結果を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該抽出結果を利用する側に対して送受信手段により送出することを特徴とする(52)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0061】
(54) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報を送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った位置情報に対応する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を制御手段により取得する手順bと、
前記手順bで取得した塩基配列関連情報を送受信手段により送出する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0062】
(55) 前記手順bでは、塩基配列関連情報を記録媒体より取得することを特徴とする(54)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0063】
(56) 前記手順cでは、塩基配列関連情報を、前記位置情報を提供した情報処理手段に送出することを特徴とする(54)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0064】
(57) 前記手順aでは、前記位置情報とともに、当該位置情報に対応して設定された二次位置情報を受け取り、
前記手順cでは、前記手順bで取得した塩基配列関連情報を前記二次位置情報に関連付けて送出することを特徴とする(54)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0065】
(58) 前記手順aの前に、前記物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により送出する手順dと、
前記手順cの後に、前記手順cで送出した塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を送受信手段により受け取る手順eと
を更に有することを特徴とする(54)記載の塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0066】
(59) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報と、前記位置情報に関連付けられた複数の塩基配列関連情報と、前記複数の塩基配列関連情報のそれぞれに関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とを送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った位置情報と塩基配列関連情報とを組み合わせた複数の組合せのなかから、要求した側が有する位置情報と塩基配列関連情報との組合せと対応する組合せを選定し、選定した組合せに含まれる塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により抽出する手順bと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0067】
(60) 塩基配列における位置を意味する位置情報と前記位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを送受信手段により送出する手順aと、
物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により送出する手順bと、
前記要求情報に応じた位置情報に対応する塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を送受信手段により受け取る手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0068】
(61) 物品及び/又はサービスの要求情報を受け取る送受信手段と、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から前記要求情報に応じた位置情報を取得するとともに、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得する制御手段と
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0069】
(62) 前記送受信手段は、前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記要求情報を出した情報処理手段、及び/又は、当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側に対して送出することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0070】
(63) 前記送受信手段は、少なくとも、前記取得した位置情報を送出し、
前記制御手段は、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を受け取った後、受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0071】
(64) 前記制御手段は、前記取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、
前記送受信手段は、前記取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、
前記制御手段は、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取った後、前記二次位置情報を介して位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(63)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0072】
(65) 前記制御手段は、複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記送受信手段で送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(63)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0073】
(66) 前記制御手段は、前記取得した位置情報に対応する複数の塩基配列関連情報を取得するとともに、当該複数の塩基配列関連情報のそれぞれを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0074】
(67) 前記送受信手段は、少なくとも、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を受け取り、
前記制御手段は、前記受け取った塩基配列関連情報を用いて、前記取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0075】
(68) 前記制御手段は、複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記送受信手段で受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、前記取得した塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(67)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0076】
(69) 前記制御手段は、前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを判別することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0077】
(70) 前記制御手段は、前記要求情報に応じて複数の位置情報を取得し、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記取得した複数の位置情報のそれぞれに対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(61)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0078】
(71) 塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、物品及び/又はサービスの要求情報に応じた位置情報を取得する制御手段と、
前記要求情報を受け取り、少なくとも、前記制御手段で取得した位置情報を送出し、送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を受け取る送受信手段と
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0079】
(72) 前記制御手段は、前記取得した位置情報に対応させた二次位置情報を設定し、
前記送受信手段は、前記取得した位置情報を当該二次位置情報に関連付けて送出し、前記塩基配列関連情報を前記二次位置情報と関連付けた状態で受け取ることを特徴とする(71)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0080】
(73) 物品及び/又はサービスの要求情報に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を受け取る送受信手段と、
前記送受信手段で受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得する制御手段と
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0081】
(74) 前記制御手段は、複数の位置情報、当該複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた複数の塩基配列関連情報及び当該複数の塩基配列関連情報それぞれを意味づける意味情報が記憶された記憶手段から、前記送受信手段で受け取った塩基配列関連情報に対応した塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報を抽出することによって、塩基配列関連情報を意味づける意味情報を取得することを特徴とする(73)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0082】
(75) 前記送受信手段は、前記制御手段で取得した意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を、前記塩基配列関連情報を出した情報処理手段、前記要求情報を出した情報処理手段、及び当該意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を利用する側から選ばれる少なくとも1つに対して送出することを特徴とする(73)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0083】
(76) 前記制御手段は、前記意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の送出が許容されているか否かを判別することを特徴とする(73)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0084】
(77) 前記送受信手段は、要求情報に応じた複数の位置情報のそれぞれに関連付けられた塩基配列関連情報を受け取り、
前記制御手段は、当該塩基配列関連情報の組合わせを意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする(73)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0085】
(78) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける、所定の個体に関する意味情報を取得するとともに、他の個体に関する塩基配列関連情報を意味づける意味情報が記憶されている記憶手段より前記他の個体に関する意味情報を検索し、前記所定の個体に関する意味情報と前記他の個体に関する意味情報との間の適合性を判定する制御手段
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0086】
(79) 前記制御手段で得られた判定に関する情報を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該判定に関する情報を利用する側に対して送出する送受信手段を更に備えることを特徴とする(78)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0087】
(80) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報であって、所定の個体に関する情報と他の個体に関する情報とを関係づけた意味情報を取得するとともに、前記取得した意味情報に含まれる他の個体に関する情報と一致性があると認識された所定の個体に関する情報を含む意味情報に関連付けられた、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を抽出し、個体を識別する情報と位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを関連付けて記憶している記憶手段から、前記抽出した塩基配列関連情報に関連付けられた個体を識別する情報を抽出する制御手段
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0088】
(81) 前記制御手段で得られた抽出結果を、前記物品及び/又はサービスを要求した側、及び/又は、当該抽出結果を利用する側に対して送出する送受信手段を更に備えることを特徴とする(80)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0089】
(82) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報の受け取り、前記受け取った位置情報に対応する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報の取得、前記取得した塩基配列関連情報の送出を制御する制御手段
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0090】
(83) 前記制御手段は、塩基配列関連情報を記録媒体より取得することを特徴とする(82)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0091】
(84) 前記塩基配列関連情報を送出する送受信手段を更に備えることを特徴とする(82)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0092】
(85) 前記制御手段は、前記位置情報とともに当該位置情報に対応して設定された二次位置情報の受け取り、前記取得した塩基配列関連情報と前記二次位置情報とを関連付けた送出を制御することを特徴とする(82)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0093】
(86) 前記制御手段は、前記物品及び/又はサービスの要求情報の送出、前記送出した塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報の受け取りを制御することを特徴とする(82)記載の塩基配列に関する情報処理装置。
【0094】
(87) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報と、前記位置情報に関連付けられた複数の塩基配列関連情報と、前記複数の塩基配列関連情報のそれぞれに関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とを受け取る送受信手段と、
前記送受信手段で受け取った位置情報と塩基配列関連情報とを組み合わせた複数の組合せのなかから、要求した側が有する位置情報と塩基配列関連情報との組合せと対応する組合せを選定し、選定した組合せに含まれる塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を抽出する制御手段と
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0095】
(88) 塩基配列における位置を意味する位置情報と前記位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを送出し、物品及び/又はサービスの要求情報を送出し、前記要求情報に応じた位置情報に対応する塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を受け取る送受信手段
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0096】
(89) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0097】
(90) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
少なくとも、前記手順bで取得した位置情報を送受信手段により送出する手順cと、
前記手順cで送出した位置情報に対応する塩基配列関連情報を送受信手段により受け取る手順dと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0098】
(91) 物品及び/又はサービスの要求情報に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順bと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0099】
(92) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報を送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った位置情報に対応する位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を制御手段により取得する手順bと、
前記手順bで取得した塩基配列関連情報を送受信手段により送出する手順cと をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0100】
(93) 前記手順aの前に、前記物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により送出する手順dと、
前記手順cの後に、前記手順cで送出した塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を送受信手段により受け取る手順eと
を更に有することを特徴とする(92)記載の塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0101】
(94) 物品及び/又はサービスの要求に応じた、塩基配列における位置を意味する位置情報と、前記位置情報に関連付けられた複数の塩基配列関連情報と、前記複数の塩基配列関連情報のそれぞれに関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とを送受信手段により受け取る手順aと、
前記手順aで受け取った位置情報と塩基配列関連情報とを組み合わせた複数の組合せのなかから、要求した側が有する位置情報と塩基配列関連情報との組合せと対応する組合せを選定し、選定した組合せに含まれる塩基配列関連情報に関連付けられた意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により抽出する手順bと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0102】
(95) 塩基配列における位置を意味する位置情報と前記位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを送受信手段により送出する手順aと、
物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により送出する手順bと、
前記要求情報に応じた位置情報に対応する塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を送受信手段により受け取る手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0103】
(96) 物品及び/又はサービスの要求情報を送出する側であって、塩基配列関連情報を取得できる要求側情報処理手段と、
塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を提供する側であって、塩基配列における位置を意味する位置情報と当該位置情報に対応する塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報とを取得できる提供側情報処理手段とを備え、
前記要求側情報処理手段からの要求情報に応じた位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得することを特徴とする塩基配列に関する情報処理システム。
【0104】
(97) 物品及び/又はサービスの要求情報を受け取るステップaと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を取得するステップbと、
前記ステップbで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得するステップcと
を有する塩基配列に関する情報処理方法。
【0105】
(98) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。
【0106】
(99) 物品及び/又はサービスの要求情報を受け取る送受信手段と、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から前記要求情報に応じた位置情報を取得するとともに、前記取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を取得する制御手段と
を備える塩基配列に関する情報処理装置。
【0107】
(100) 物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラムが記録された記録媒体。
【0108】
なお、上記の各発明において、塩基配列関連情報は、暗号化されていても暗号化されていなくても差し支えない。
【0109】
例えば、位置情報に関連付けられた暗号化された塩基配列関連情報のなかから暗号化された塩基配列関連情報を取得しても良いし、暗号化された塩基配列関連情報のなかから復号化されたうえで塩基配列関連情報を取得しても良いし、暗号化されていない塩基配列関連情報のなかから暗号化されたうえで塩基配列関連情報を取得しても良い。
【0110】
また例えば、暗号化された塩基配列関連情報を取得し暗号化された状態で塩基配列関連情報を送出しても良いし、暗号化された塩基配列関連情報を取得し復号化したうえで塩基配列関連情報を送出しても良いし、暗号化されていない塩基配列関連情報を取得し、暗号化したうえで塩基配列関連情報を送出しても良い。
【発明の効果】
【0111】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して各個体にとって有益な意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を提供できる情報処理システムを構築することができる。特に、本発明によれば、意味情報の更新や訂正等に応じて、最新の意味情報を利用することができる。したがって、本発明によれば、要求情報にかかる物品及び/又はサービスの提供を、高品質に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明を適用した情報処理システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
【図2】共用コンピュータの構成を概略的に示す概略構成図である。
【図3】メインDBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図4】個人用コンピュータの構成を概略的に示す概略構成図である。
【図5】ゲノム関連情報記録媒体に記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図6】所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の続きであり、所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図8】所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの他の処理を示すフローチャートである。
【図9】所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの更に他の処理を示すフローチャートである。
【図10】体質に応じた薬剤を提供するためのシステムにおいて用いられるメインDBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図11】体質に応じた薬剤を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の続きであり、体質に応じた薬剤を提供するためのシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図13】テーラーメイド大衆医薬品ポータル画面の一例として示す画面イメージである。
【図14】薬種メニュー画面の一例として示す画面イメージである。
【図15】個別IC確認入力画面の一例として示す画面イメージである。
【図16】確認画面の一例として示す画面イメージである。
【図17】体質に応じた薬剤を提供するためのシステムにおいて、メモリー部Aに保存されたデータを示す構成図である。
【図18】体質に応じた薬剤を提供するためのシステムにおいて、メモリー部Bに保存されたデータを示す構成図である。
【図19】体質に応じた薬剤を提供するためのシステムにおいて、薬剤を提供する側に送信する情報を示す構成図である。
【図20】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて用いられるメインDBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図21】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて用いられるリンク用DBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図22】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて用いられるゲノム関連情報記録媒体に記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図23】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図24】図23の続きであり、体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図25】健診ポータル画面の一例として示す画像イメージである。
【図26】健診コースメニュー画面の一例として示す画像イメージである。
【図27】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて用いられる健診テーブルに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図28】個別IC確認入力画面の一例として示す画面イメージである。
【図29】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて、メモリー部Bに保存されたデータを示す構成図である。
【図30】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて、メモリー部Aに保存されたデータを示す構成図である。
【図31】体質に応じた健康診断検査項目を提供するためのシステムにおいて、出力フォーマットの一例を示す画面イメージである。
【図32】要求者の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供するシステムにおいて用いられるメインDBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図33】要求者の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供するシステムにおいて用いられるゲノム関連情報記録媒体に記録されたデータの一例を示す構成図である。
【図34】自分の多型パターンを登録するドナー登録システムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図35】自分の多型パターンを登録するドナー登録システムにおいて構築されたドナーDBを示す構成図である。
【図36】要求者の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【図37】図36の続きであり、要求者の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
1.第1の実施の形態
先ず、本発明を適用した第1の実施の形態として、利用者に対して所定の疾病の罹患可能性を提供する情報処理システムを説明する。なお、本実施の形態は、要求者の要求情報に応じて罹患可能性を提供するシステムを説明するためのものである。したがって、説明の都合上、単純なモデルとして説明する。
【0114】
情報処理システムは、図1に示すように、インターネット等の通信回線網1と、通信回線網1に接続された共用コンピュータ2と、通信回線網1に接続された複数の個人用コンピュータ3とを備え、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と個人用コンピュータ3との間のデータ通信を可能としている。
【0115】
共用コンピュータ2は、図2に示すように、当該共用コンピュータ2の動作を全て制御するCPU4と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力手段5と、ディスプレイ装置等の表示手段6と、一時的な情報及び書き換え不可能な情報等が記録されるメモリー7と、各種データを格納しているデータベース8と、これらメモリー7及びデータベース8に対して所定の情報を書き込む記録手段9と、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3との間で情報の送受信を行う送受信手段17とから構成されている。
【0116】
共用コンピュータ2におけるメモリー7は、それぞれ異なる種類の情報を記録するメモリー部A10及びメモリー部B11と、例えば個人用コンピュータ3や表示手段6に表示させる画像データを記録した画面メモリー12と、本システムを動作させるための処理プログラム13とから構成されている。なお、共用コンピュータ2においては、画面メモー12及び処理プログラム13等を内部のメモリー7に有さず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と接続された外部記録装置(図示せず)に有するものであってもよい。
【0117】
共用コンピュータ2におけるデータベース8(記憶手段)は、多型番地、多型パターン及び意味情報が記録されたメインDB14と、メモリー部A10に記録された情報を保存する保管用DB-A15と、メモリー部B11に記録された情報を保存する保管用DB-B16とから構成されている。
【0118】
メインDB14は、図3に示すように、多型番地と、当該多型番地で取りうる複数の多型パターンと、当該複数の多型パターンそれぞれを意味づける意味情報とが関連付けられて記録されている。また、メインDB14には、複数の多型番地における多型パターンの組み合わせ(例えば、ハプロタイプ)を意味づける意味情報が記録されていても良い。
【0119】
ここで、「多型番地(位置情報)」とは、少なくとも、塩基配列における多型が存在する位置を意味する。なお、一般的に多型とは、例えば、いわゆるSNP(single nucleotide polymorphism)、RFLP(restriction fragment length of polymorphism)、VNTR(variable number of tandem repeat)、マイクロサテライト等を含んでいる。しかし、本明細書において使用する「多型」は、これらに限定されず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化(バリエーション)も含む意味とする。したがって、「多型番地」は、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化を示す、塩基配列における位置も含む意味である。すなわち、「多型番地」とは、数値、文字及び記号等を組み合わせて、多型等を示す位置を表すものである。多型番地は、特に限定されないが、例えば、染色体番号と多型が存在する遺伝子を表す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせにより表記することもできるし、多型が存在する遺伝子を示す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせであってもよい。
【0120】
また、多型番地は、多型毎に付与される多型固有の表記であっても良い。多型番地として多型固有の表記を使用する場合、多型番地は塩基配列中の位置を直接的には示さないが、多型固有の表記に基づいて間接的に位置を知ることができる。したがって、「多型番地」は、多型固有の表記も含む意味である。
【0121】
「多型パターン(塩基配列関連情報)」とは、個体間において相違する塩基配列の情報であり、少なくとも、多型における塩基又は塩基配列のパターンを含む意味である。さらに「多型パターン」は、多型に限らず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列のパターンも含む意味である。例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「A」及び「G」のいずれかで表される。
【0122】
また、「多型パターン」は、相同染色体におけるヘテロ接合体又はホモ接合体を示すものであってもよい。この場合、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる。
【0123】
さらに、「多型パターン」は、所定の多型番地で取りうるパターンを直接的に表記するものではなく、間接的に表記するものであっても良い。すなわち、「多型パターン」は、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において「A」を取る場合に「アレル1」とし、「G」を取る場合に「アレル2」と表記してもよい。また、「多型パターン」が上述したように「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる場合、「AA」で表現できるときに「α」、「GG」で表現できるときに「β」、「AG」で表現できるときに「γ」と表記してもよい。
【0124】
その他「多型パターン」の表記例としては、多型がマイクロサテライトの場合には「繰り返し数」を表す数値で、多型が挿入、欠失型の場合には「有/無」を表す記号で表記してもよい。
【0125】
ここで、「意味情報」とは、「多型パターン」に関連づけられた情報であり、例えば、薬剤に対する応答性、薬剤に対する副作用、疾患及び障害に対するリスク、体質・性質、体質・性質等に基づく生活習慣アドバイス、タンパク質相互作用など、「多型パターン」の相違に起因する様々な情報を意味する。「意味情報」は、ゲノム・遺伝子に関する研究が進むことにより種類が増加するとともに訂正が行われる種類の情報であり、常にバージョンアップすることが好ましい。すなわち、「意味情報」は、ゲノム・遺伝子の研究成果を用いてデータベースを更新することによって、蓄積量が増加・減少してより精度の高いものとなる。
【0126】
なお、直接「多型パターン」には関連づけられていないが「意味情報」から更に導き出される情報は、「意味情報に関連する情報」である。「意味情報」が「疾患に対するリスク」である場合、当該リスクがある一定の水準を超えたときに、例えば特定の「健康診断検査項目」が導き出される。この特定の「健康診断検査項目」が「意味情報に関連する情報」である。
【0127】
本実施の形態において意味情報は、図3に示すように、少なくとも、所定の「多型番地」及び「多型パターン」に関連づけられた「多型パターンに対する注釈情報」としてメインDB14に記録されている。また、意味情報には、所定の「多型番地」に対応する「多型分類」及び「分類(疾患名)」等が関連づけられている。すなわち、所定の「多型番地」が所定の「多型パターン」である場合、疾患名の種類と当該疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。したがって、例えば、意味情報は、複数の多型番地に対応するそれぞれの多型パターンの組み合わせ(例えば、ハプロタイプ)に対して関連付けることもできる。すなわち、複数の多型番地における多型パターンの組み合わせ毎に、所定の疾患に対する異なる罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を関連付けることができる。この場合、複数の多型番地が所定の多型パターンの組み合わせである場合、所定の疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。
【0128】
また、意味情報には、所定の基準で決定した「公開レベル」を関連づけることもできる。例えば、「公開レベル」を決定する際の基準としては、意味情報、すなわちここでは「分類(疾患名)」の罹患可能性を公開することによる個人に対する不測の不利益等を考慮して定めることができる。詳細には、共用コンピュータ2において、法律、規則又は自らの行動基準若しくは利用者との契約等に鑑みて、公開することが相応しくない意味情報については、公開しないような「公開レベル」を決定することができる。この場合、本システムでは、公開不可を意味する「公開レベル」に関連付けられた罹患可能性を示す注釈情報については、利用者に対して開示することはない。これにより、利用者に対して不測の不利益となりうる意味情報を与えることや、契約者以外に意味情報が開示されることを防止できる。
【0129】
なお、利用者がインフォームドコンセント等により、所定の「公開レベル」を関連づけた意味情報の開示を容認することにより、利用者に対して、所定の「公開レベル」が関連づけられた意味情報を公開するようなシステムであってもよい。
【0130】
また、「公開レベル」は、例えば「1,2,3、…」又は「a,b,c,…」といった3以上の複数の段階として設定することができる。この場合、共用コンピュータ2側では、利用者の年齢、資格及び利用者との契約の有無等、利用者の種類に応じてレベルを設定することができる。なお、インフォームドコンセント等によって、所定の公開レベル以上(又は未満)の公開レベルに関連付けられた罹患可能性を示す注釈情報のみが利用者側に対して提供されるように、当該利用者側が公開レベルを選択することもできる。
【0131】
なお、データベース8において、保管用DB-B16には、例えば、本システムを利用する要求者個人の遺伝情報である塩基配列関連情報といったデータを記録することができる。また、保管用DB-A15には、例えば、本システムを利用する要求者を特定する情報といったデータを記録することができる。このように、保管用DB-A15及び保管用DB-B16に、個人の遺伝情報と個人を特定する情報とを分けて記録することによって、要求者の遺伝情報と、要求者を特定するデータとを関連付け難くなる。
【0132】
なお、共用コンピュータ2は、データベース8を内部に有するものに限定されず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベース(図示せず)を有するものであってもよい。また、共用コンピュータ2は、内部に複数のデータベース8を有するものであってもよいし、内部のデータベース8と通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベースとを有するものであっても良い。
【0133】
個人用コンピュータ3は、図4に示すように、当該個人用コンピュータ3の動作を全て制御するCPU20と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力手段21と、ディスプレイ装置等の表示手段22と、一時的な情報及び書き換え可能な情報等が記録されるメモリー23と、ゲノム関連情報記録媒体24からデータを読み取る読取り装置25と、通信回線網1を介して共用コンピュータ2との間で情報の送受信を行う送受信手段29とから構成されている。なお、個人用コンピュータ3は、通常のコンピュータに限定されず、例えば、携帯電話、個人携帯端末及びその他の移動体通信機器等、いかなる形態であってもよい。
【0134】
個人用コンピュータ3におけるメモリー23は、ゲノム関連情報記録媒体24からの情報等を記録するメモリー部26を有し、本情報処理システムを動作させる処理プログラム27が記録されている。
【0135】
ゲノム関連情報記録媒体24には、個人のゲノム関連情報28が記録されている。ゲノム関連情報記録媒体24としては、例えば、磁気ディスクや磁気カード等の磁気記録媒体、光磁気記録方式や相変化記録方式等を適用した光学式記録媒体、半導体メモリー等を挙げることができる。また、このゲノム関連情報記録媒体24は、カード状、ディスク状、スティック状、テープ状又はドラム状等いかなる形態であってもよい。さらに、このゲノム関連情報記録媒体24は、単一の個人(個体)のゲノム関連情報28を記録したものであってもよいが、複数の個人(個体)に関する複数のゲノム関連情報28を記録したものであってもよい。
【0136】
ゲノム関連情報記録媒体24に含まれるゲノム関連情報28とは、少なくとも、「多型番地」及び個人(個体)の塩基配列を解析した結果として得られる所定の多型番地における「多型パターン」を意味する。また、ゲノム関連情報28には、既往症、特徴、カルテ情報、健康診断結果といった各種情報を含んでいてもよい。
【0137】
ゲノム関連情報記録媒体24には、ゲノム関連情報28として、例えば、図5に示すように、データIとしてゲノム関連情報28に固有の個別番号「Gno.」(ジーナンバー)及び生年月日等の個人情報を記録し、データIIとして多型番地及び多型パターンを記録し、データIIIとして既往症を記録し、データIVとして特徴を記録し、データVとしてカルテ情報等を記録する。すなわち、ゲノム関連情報28は、データI、データII、データIII、データIV及びデータVから構成されている。データI及びデータIIには必須の情報が含まれており、データIII、データIV及びデータVには付加的な情報から構成されている。
【0138】
ゲノム関連情報28においては、塩基配列上の位置に対応する「多型番地」と、当該多型番地における「多型パターン」とをリンクさせて記録している。また、データIIには、所定の多型番地における付加的な情報を「コメント」として、「多型番地」にリンクさせて記録していてもよい。なお、データIIには、所定の個体に関する全塩基配列を記録しても良い。データIIに全塩基配列を記録した場合であっても、データII内に「多型番地」及び「多型パターン」が含まれることとなる。
【0139】
なお、本発明において、個人用コンピュータ3及びゲノム関連情報記録媒体24は、それぞれ図4及び図5に示したような構成に限定されず、例えば、ゲノム関連情報記録媒体が処理プログラムを有するメモリー部を備え、個人用コンピュータが当該ゲノム関連情報記録媒体を装着して処理プログラムを動作させるような構成であってもよい。この場合、個人用コンピュータは、ゲノム関連情報記録媒体のメモリー部に記録された処理プログラムに従って動作できる。
【0140】
以上のように構成された情報処理システムにおいては、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13及び個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が例えば、図6及び図7に示すようなフローチャートに従って情報処理動作する。なお、図6及び図7に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0141】
本情報処理システムは、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する各個人が個人用コンピュータ3を用いて通信回線網1を介して共用コンピュータ2にアクセスし、共用コンピュータ2のメインDB14に記録されている意味情報を利用するシステムである。なお、本情報処理システムは、複数人のゲノム関連情報28がそれぞれ記録されたゲノム関連情報記録媒体24を用い、各個人がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスするようなシステムであってもよい。
【0142】
この場合、先ず、ステップA1(SA1)で、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
【0143】
次に、ステップA2(SA2)では、処理プログラム27によって表示手段22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸ガンの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸ガンの罹患可能性」及び「Gno.」を送信する。或いは、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に対して、「大腸ガンの罹患可能性」及び「Gno.」を書き込む。
【0144】
次に、ステップA3(SA3)では、共用コンピュータ2が「大腸ガンの罹患可能性」及び「Gno.」を受信する。受信した「大腸ガンの罹患可能性」及び「Gno.」は、メモリー部A10に要求情報として格納する。
【0145】
次に、ステップA4(SA4)では、要求情報を受信すると、メモリー7に記録されている処理プログラム13を起動してメインDB14にアクセスする。なお、この処理プログラム13は、共用コンピュータ2における処理を行うものである。
【0146】
次に、ステップA5(SA5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸ガンの罹患可能性」(大腸ガン)と一致するものを抽出する。
【0147】
ステップA6(SA6)では、メインDB14に記録されているデータのなかから「大腸ガンの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」(大腸ガン)に関連づけられた「多型番地」を読み出す。読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に要求情報に関連づけた位置情報として格納する。すなわち、メモリー部A10には、所定の「Gno.」に対して「大腸ガンの罹患可能性」及び「多型番地」が記録されることとなる。
【0148】
次に、ステップA7(SA7)では、メモリー部A10に記録されている「Gno.」及び「多型番地」を個人用コンピュータ3に送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」を提出する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、要求情報の種類によっては、必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
【0149】
次に、ステップA8(SA8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」、「多型番地」及び命令情報を受信する。受信した「Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。
【0150】
次に、ステップA9(SA9)では、受信した命令情報に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。ステップA10(SA10)では、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIを検索し、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、ステップA8で受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップA10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。
【0151】
次に、ステップA11(SA11)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップA12(SA12)では、多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。
【0152】
また、本例では、ステップA7において、共用コンピュータ2が「多型パターン」の提出を命令する命令情報を送出し、ステップA10において、個人用コンピュータ3は命令情報に従って多型パターンをゲノム関連情報記録媒体24から読み出している。しかしながら、本システムは、ステップA7において当該命令情報を送出しないシステムであってもよい。この場合、ステップA10において、個人用コンピュータ3は、処理プログラム27に従って、ステップA8で受信した多型番地に基づいてデータIIを検索し、受信した多型番地の多型パターンを読み出す。そして、個人用コンピュータ3は、ステップA11で多型パターン等を共用コンピュータ2に対して出力する。この場合でも、共用コンピュータ2は、ステップA12において、「大腸ガンの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」に関連づけられた「多型番地」の多型パターンを得ることができる。
【0153】
次に、ステップA13(SA13)では、メインDB14にアクセスし、受信した多型番地及び多型パターンと一致するものを検索する。具体的には、メインDB14において、一つの多型番地に対して複数の多型パターンが記録されており、受信した多型番地及びその多型パターンがメインDB14においてどの多型パターンに一致しているのかを検索する。
【0154】
次に、ステップA14(SA14)では、処理プログラム13に従って、受信した多型パターンが一致した多型パターンに関連づけられている大腸ガンに対する罹患可能性を読み出す。すなわち、ステップA14では、要求者が提出した多型番地及び多型パターンに従って、要求者の大腸ガンに対する罹患可能性を読み出すことができる。読み出した罹患可能性は、要求者の「Gno.」と関連づけてメモリー部A10に格納する。このとき、大腸ガンに対する罹患可能性を、付加的な情報により補正したかたちで格納してもよいし、付加的な情報から得られるその他の情報を要求者の「Gno.」に関連づけて格納しても良い。
【0155】
次に、ステップA15(SA15)では、メモリー部A10に格納した要求者の「Gno.」及び罹患可能性を意味情報として、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。ステップA16(SA16)では、個人用コンピュータ3が要求者の「Gno.」及び罹患可能性(意味情報)を受信する。受信した意味情報は、メモリー部26に記録される。
【0156】
次に、ステップA17(SA17)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された意味情報から大腸ガンに対する罹患可能性を表示手段22に表示する。なお、ステップA15からステップA17の代わりに共用コンピュータ2が処理プログラム13に従って意味情報を表示する画面を読み出し(作成し)、通信回線網1を経由して個人用コンピュータ3の表示手段22に表示させることもできる。この場合においても、共用コンピュータ2から個人用コンピュータ3に対して意味情報が送信されたものとする。これにより、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて大腸ガンに対する罹患可能性を得ることができる。
【0157】
以上のように、本システムにおいては、個人の多型パターンを多型番地と関連づけて記録したゲノム関連情報記録媒体24を用いることによって、メインDB14に記録された意味情報を多型番地を介在させて個人が利用することができる。言い換えれば、本システムを利用する個人は、意味情報をゲノム関連情報記録媒体に記録しておく必要はなく、多型番地と多型パターンとを関連づけたゲノム関連情報28を所有するだけで、様々な意味情報を得ることができる。
【0158】
特に、意味情報は、上述したように、その種類が増加するとともに訂正が行われるため、メインDB14を更新することによってより精度が高く、且つ、幅広い情報を含むものとなる。本システムによれば、このような意味情報の増加及び訂正等に追従してメインDB14を更新することによって、個人が最新の意味情報を利用することができる。
【0159】
さらに、ゲノム関連情報28を記録したゲノム関連情報記録媒体24を用いることによって、利用者は本システムを利用するたび毎にゲノム関連情報を得るための検査をする必要がない。すなわち、利用者は、一旦、ゲノム関連情報記録媒体24を作製すれば、以降は本システムを利用して最新の意味情報を得ることができる。
【0160】
ゲノム関連情報28を記録したゲノム関連情報記録媒体24を利用者自身が保有する場合、本人のゲノム関連情報28を外部の機関に委託して保管させる際の不安や当該機関に対する不正アクセスによりゲノム関連情報28が流出するといった危険性を回避することができる。一方、ゲノム関連情報記録媒体24に複数の個人に関する複数のゲノム関連情報28を記録して外部の機関に委託して保管させる場合、個々人がゲノム関連情報記録媒体24を保有する場合と比較して、ゲノム関連情報記録媒体24の取り扱いの不手際やゲノム関連情報記録媒体24の損失といった事態を防止することができる。
【0161】
特に、この図6及び図7に示したフローチャートに従えば、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28の全てを通信回線網1を介して出力する必要がなく、提出命令を受けた一部のゲノム関連情報28のみを出力すればよい。したがって、本システムによれば、機密性の高い個人特有の多型番地及び多型パターンの漏洩を防止することができる。
【0162】
また、この図6及び図7に示したフローチャートに従えば、共用コンピュータ2において要求者に提供する意味情報を得ているため、個人用コンピュータ3においてメインDB14に記録されている情報を取り扱う必要がない。したがって、この図6及び図7に示したフローチャートに従えば、個人用コンピュータ3の情報処理能力が比較的低くても、十分に所望の意味情報を得ることができる。さらに、個人用コンピュータ3においてメインDB14に記録されている情報を取り扱う必要がないため、個人用コンピュータ3の処理プログラム27を、ゲノム関連情報記録媒体24を装着するカードドライブ等に併せて規格化しやすくなる。
【0163】
ところで、本情報処理システムにおいては、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13及び個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が例えば、図8に示すようなフローチャートに従って情報処理動作するものであってもよい。なお、図8に示すフローチャートにおいても、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0164】
ここでは、先ず、ステップB1(SB1)では、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
【0165】
次に、ステップB2(SB2)では、処理プログラム27によって表示手段22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸ガンの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸ガンの罹患可能性」及び「Gno.」を送信するとともに、メインDB14の「分類(疾患名)」が大腸ガンである「多型番地」と当該「多型番地」に関連付けられた全ての「多型パターン」と当該全ての「多型パターン」それぞれを意味づける「罹患可能性」との提出を要求する。すなわち、要求者は、ステップB2において、メインDB14の「分類(疾患名)」が大腸ガンである「多型番地」と当該「多型番地」に関連付けられた全ての「多型パターン」と当該全ての「多型パターン」それぞれを意味づける「罹患可能性」とからなる情報を要求する。
【0166】
次に、ステップB3(SB3)では、共用コンピュータ2が上記要求情報を受信する。共用コンピュータ2は、要求情報を受信すると処理プログラム13を起動する。そして、ステップB4(SB4)で、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。
【0167】
次に、ステップB5(SB5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸ガンの罹患可能性」(大腸ガン)と一致するものを抽出する。ステップB6(SB6)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスし、「大腸ガンの罹患可能性」と一致する「分類(疾患名)」(大腸ガン)に関連づけられた「多型番地」、当該多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」及び全ての多型パターンにおける「罹患可能性」を読み出す。読み出した「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部A10に要求情報に関連づけて格納する。すなわち、メモリー部A10には、所定の「Gno.」に対して「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」が記録されることとなる。
【0168】
次に、ステップB7(SB7)では、メモリー部A10に記録されている「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」を、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。ステップB8(SB8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」を受信する。受信した「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部26に記録される。
【0169】
次にステップB9(SB9)では、処理プログラム27に従い、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。このとき、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIにもアクセスし、受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。
【0170】
次に、ステップB10(SB10)では、処理プログラム27に従って、ゲノム関連情報28から、受信した「多型番地」と一致する多型番地における多型パターンを抽出する。そして、ステップB10(SB10)では、受信した多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」のうちで、抽出した多型パターンと一致するものを検索する。
【0171】
ステップB11(SB11)では、受信した多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」のうちで一致した多型パターンに関連づけられた「罹患可能性」を抽出するとともに、抽出した「罹患可能性」を出力する。これにより、要求者は、大腸ガンに対する罹患可能性(意味情報)を得ることができる。このとき、ステップB11では、データIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、大腸ガンに対する罹患可能性を、付加的な情報により補正したかたちで出力してもよい。
【0172】
特に、図8に示したフローチャートに従えば、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を個人用コンピュータ3以外の外部に対して全く出力することがない。すなわち、ゲノム関連情報28は、ゲノム関連情報記録媒体24と個人用コンピュータ3との間でのみ、やり取りされる。したがって、本システムによれば、機密性の高い個人特有のゲノム関連情報28の漏洩をより確実に防止することができる。
【0173】
ところで、本情報処理システムにおいては、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13及び個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が例えば、図9に示すようなフローチャートに従って情報処理動作するものであってもよい。なお、図9に示すフローチャートにおいても、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0174】
ここでは、先ず、ステップC1(SC1)で、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」、データIIとして記録されている全ての「多型番地」及び「多型パターン」を読み出す。読み出した「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」は、メモリー部26に格納する。
【0175】
次に、ステップC2(SC2)では、処理プログラム27によって表示手段22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸ガンの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸ガンの罹患可能性」と、メモリー部26に記録されている「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」とを送信する。
【0176】
次に、ステップC3(SC3)では、共用コンピュータ2が「大腸ガンの罹患可能性」、「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を受信する。受信した「大腸ガンの罹患可能性」は要求情報としてメモリー部A10に記録され、「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」も、メモリー部A10に格納される。共用コンピュータ2は、要求情報を受信すると処理プログラム13を起動する。そして、ステップC4(SC4)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスする。
【0177】
次に、ステップC5(SC5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸ガンの罹患可能性」(大腸ガン)と一致するものを抽出する。
【0178】
ステップC6(SC6)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスし、メインDB14から「大腸ガン」に分類された「多型番地」、当該多型番地に対する全ての「多型パターン」、及び当該多型パターンに対する「罹患可能性」を読み出す。読み出した「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部A10に格納される。
【0179】
次に、ステップC7(SC7)では、ステップC3で受信した「多型番地」及び「多型パターン」に基づいて、ステップC6でメモリー部A10に格納したデータを検索し、受信した「多型パターン」と一致した多型パターンに関連付けられた罹患可能性をメモリー部A10から抽出する。
【0180】
ステップC8(SC8)では、ステップC7の結果、すなわち、ステップC3で受信した情報に含まれる多型パターンがメインDB14のいずれの多型パターンと一致するかに基づいて抽出した罹患可能性を、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。このとき、共用コンピュータ2は、抽出した罹患可能性を要求者の「Gno.」とともに送信する。
【0181】
次に、ステップC9(SC9)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及び「罹患可能性」(意味情報)を受信する。受信した「Gno.」及び「罹患可能性」は、メモリー部26に記録される。このとき、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIにアクセスし、受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することができる。
【0182】
次に、ステップC10(SC10)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された意味情報から大腸ガンに対する罹患可能性を表示手段22に表示する。なお、ステップC8からステップC10の代わりに、共用コンピュータ2が処理プログラム13に従って意味情報を表示する画面を読み出し(作成し)、通信回線網1を経由して個人用コンピュータ3の表示手段22に表示させることもできる。この場合においても、共用コンピュータ2から個人用コンピュータ3に対して意味情報が送信されたものとする。これにより、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて大腸ガンに対する罹患可能性を得ることができる。
【0183】
特に、図9に示したフローチャートに従えば、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を全て共用コンピュータ2に対して出力し、共用コンピュータ2において要求者に提供する意味情報を得ている。このため、図9に示したフローチャートに従えば、個人用コンピュータ3と共用コンピュータ2との間での情報の授受が比較的少ない回数で、要求者が意味情報を得ることができる。したがって、この図9に示したフローチャートに従えば、個人用コンピュータ3の情報処理能力が比較的低くても、十分に所望の意味情報を得ることができるとともに、要求者にとっては非常に簡便に意味情報を得ることができる。
【0184】
以上、説明したように本システムによれば、ゲノム関連情報記録媒体24及びメインDB14において、「多型番地」及びその「多型パターン」のみを規格化しておけば、それ以外の特別なデータの規格化を必要としないので、広範囲な産業に利用することができる。すなわち、物品或いはサービスを提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を用いた情報提供に際して、多型パターンに対応する意味情報の規格化や、データ授受処理方法等の統一した規格を必要とせず、様々な方式で情報提供することができる。
【0185】
さらにまた、本システムによれば、メインDB14をチェックすることで、第三者或いは第三者機関は共用コンピュータ2に対する監視及び管理を容易に行うことができる。したがって、本システムは、意味情報を提供する側に対する例えば行政的な管理を行うことができるため、意味情報を提供する側の健全性及び倫理管理を行うことができる。
【0186】
一方、本情報処理システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いたもの、すなわちデータI及び付加的にデータIII〜Vのみを有する記憶媒体を用いても良い。この場合、データIIに含まれる情報は、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続された外部のデータベース(ゲノム関連情報記録媒体)に記録しておく。このようなシステムの場合、例えば、上述したステップA10において、通信回線網1を介して外部のデータベースにアクセスし、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録することができる。したがって、このようなシステムであっても、図6及び図7に示したフローチャート、図8に示したフローチャート及び図9に示したフローチャートと同様に、要求者は意味情報を得ることができる。
【0187】
さらに、本情報処理システムにおいては、要求者がゲノム関連情報記録媒体24及び前記ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いた記録媒体のいずれも有さず、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続したゲノム関連情報記録媒体24を備えるものであっても良い。このようなシステムの場合、要求者は、通信回線網1を介してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24に記録された「多型番地」及び「多型パターン」等の情報を個人用コンピュータ3にダウンロードできる。なお、この場合、ゲノム関連情報記録媒体24は、複数の個人に関するゲノム関連情報を個人毎(「Gno.」毎)に記録したものであっても良い。
【0188】
さらにまた、本発明は、上述したような共用コンピュータ2がメインDB14を有するような構成に限定されず、例えば、共用コンピュータ2と通信回線網1を介して接続されたメインDB14を備える情報処理システムにも適用される。この場合、共用コンピュータ2は、図6及び図7に示したフローチャート、図8に示したフローチャート或いは図9に示したフローチャートにおいて、メインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスする。この場合でも、本情報処理システムによれば、図6及び図7に示したフローチャート、図8に示したフローチャート或いは図9に示したフローチャートに従って要求者が所望の意味情報を得ることができる。
【0189】
特に、この場合、共用コンピュータ2は、異なる機関又は団体が有する複数のメインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスし、これら複数のメインDB14に含まれる意味情報を使用して、要求者に対する情報提供を行うことが可能となる。すなわち、本情報処理システムにおいては、図6及び図7に示したフローチャートにおけるステップA5で、図8に示したフローチャートにおけるステップB5で、或いは図9に示したフローチャートにおけるステップC5で、共用コンピュータ2が大腸がんの罹患可能性に関する情報を意味情報として有する様々なメインDB14にアクセスする。これにより、本情報処理システムによれば、要求者は、様々なメインDB14に含まれる情報に基づいて、大腸がんの罹患可能性に関する情報を得ることができる。
【0190】
また、本システムは、図6及び図7に示したフローチャート、図8に示したフローチャート、或いは図9に示したフローチャートにおいて、共用コンピュータ2が、いわゆるエージェントに対して、少なくとも個人用コンピュータ3から受け取った要求情報を送信し、意味情報(本例においては、「大腸がんに関する罹患可能性」)を、当該エージェントを介して得るものであってもよい。
【0191】
2.第2の実施の形態
次に、本発明を適用した第2の実施の形態として、薬品に対する応答性、物質に対する免疫性等の体質に応じた薬剤を提供するための情報処理システムを説明する。本実施の形態として説明する情報処理システムは、上述した第1の実施の形態における情報処理システムと同様な構成及び用語については同じ名称、符号及び定義を使用することによって、その構成、動作及び用語の説明を省略する。
【0192】
なお、本実施の形態は、要求者の要求情報に応じて物品(薬剤)を提供するシステムを説明するためのものである。したがって、説明の都合上、単純なモデルとして説明する。本実施の形態では、特に、メインDB14に図10に示すような意味情報(薬品タイプ)等が記録されている。薬剤を提供するための情報処理システムは、例えば、図11及び図12に示すようなフローチャートに従って利用者に対して最適な薬剤を提供することができる。なお、図11及び図12に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0193】
先ず、ステップII-1(SII-1)では、要求者が個人用コンピュータ3から通信回線網1を介して、例えば製薬会社の共用コンピュータ2にアクセスする。製薬会社の共用コンピュータ2としては、例えば、専用のコンピュータであっても良いし、薬剤の注文、発注及び発送情報を管理するコンピュータであっても良いし、製薬プラントを制御して所望の薬剤に関する製造を管理するコンピュータであっても良い。なお、共用コンピュータ2としては、製薬会社に属するものに限らず、製薬会社等の薬剤を提供する側に対して、提供すべき薬剤の薬品タイプや薬剤の個数等の情報を提供する業者或いは団体に属するものであっても良い。
【0194】
また、本例において要求者としては、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人や、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する医療機関、或いは、個人が保有するゲノム関連情報記録媒体24を利用する医療機関等を例示することができる。
【0195】
次に、ステップII-2(SII-2)では、共用コンピュータ2において、要求者のアクセスに応じて処理プログラム13を起動させ、画面メモリー12から「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」としては、例えば、図13に示すような画面イメージを例示することができる。
【0196】
次に、ステップII-3(SII-3)では、要求者が「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」の指示に従ってゲノム関連情報記録媒体24を読取り装置25に装着し、個人用コンピュータ3を用いてゲノム関連情報記録媒体24にアクセスできるようにする。このとき、要求者がゲノム関連情報記録媒体24の正規の利用者であることの認証を行うことが好ましい。その後、ステップII-4(SII-4)において、要求者は、「テーラーメード大衆医薬品ポータル画面」に表示されている「OK」ボタンをクリックすることによって、本システムを利用する意志を共用コンピュータ2に対して送信する。
【0197】
次に、ステップII-5(SII-5)では、共用コンピュータ2において処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「薬種メニュー」画面を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「薬種メニュー」画面としては、例えば、図14に示すような画面イメージを例示することができる。
【0198】
次に、ステップII-6(SII-6)では、要求者が個人用コンピュータ3でアクセスした「薬種メニュー」画面に従って、所望の薬種(薬剤)を選択する。
【0199】
次に、ステップII-7(SII-7)では、個人用コンピュータ3の読取り装置25がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、データIから「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-8(SII-8)では、ステップII-7で読み出した「Gno.」と、ステップII-6で選択した「薬種」(要求情報)とを、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して送信する。
【0200】
次に、ステップII-9(SII-9)では、共用コンピュータ2で「Gno.」及び「薬種」を受信するとともに、「Gno.」及び「薬種」をメモリー部A10に保存する。ところで、本例では、メインDB14に記録されている意味情報に「公開レベル」が関連付けられている。本例における「公開レベル」は、意味情報及び当該意味情報に関連する情報を、それらを利用する側に開示すべきか否かを示している。具体的には、要求者が認証を受けたものである場合に限り公開しても良いレベルを表す「公開レベルA」と、要求者が認証を受けているか否かに拘わらず、いかなる要求者に対しても公開して良いレベルを表す「公開レベルB」と、いかなる要求者に対しても公開してはならないレベルを表す「公開禁止」とが、意味情報に関連付けられて記録されている。
【0201】
また、共用コンピュータ2は、例えばデータベース8の中に、「認証を有する要求者に関する情報(例えば「要求者No.」)」を予め記録したデータベース(図示せず。以下、「要求者情報データベース」)を有している。
【0202】
要求者は、共用コンピュータ2に対して、「Gno.」及び要求情報とともに、「要求者No.」を送信する。要求者に対して、「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供しようとする場合には、共用コンピュータ2は、前記「要求者情報データベース」にアクセスし、受信した「要求者No.」に基づいて、要求者が、認証を有するか否かを判定する。
【0203】
判定の結果、要求者が認証を有する場合には、個人用コンピュータ3より受信した「Gno.」に「公開レベルA」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルA」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。一方、判定の結果、要求者が認証を有さない場合には、直ちにステップを中止するか、もしくは受信した「Gno.」に「公開レベルB」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルB」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルB」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。以上のように、「公開レベル」を使用することにより、意味情報及び当該意味情報に関連する情報の開示が許容されているか否かを判別することができる。
【0204】
なお本例は、大衆薬を提供するシステムであり、要求者が予め認証を受ける必要のない不特定多数の者であるため、本システムにおいては要求者が認証を有するか否かの判定を行う必要がない。そのため、ステップII-9では、要求情報(薬種)を受信するとともに、「公開レベルB」が自動的に選択され、「Gno.」に関連付けられてメモリー7に登録される。
【0205】
次に、ステップII-10(SII-10)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップII-11(SII-11)において、処理プログラム13は、メインDB14に含まれる多型番地のうち、受信した「薬種」と一致し、且つ「公開レベル」により公開が許容されているもの、すなわち「公開レベルB」が設定されているものを選択する。このとき、メインDB14には、図10に示したように、所定の多型番地に対して、「大分類」、「中分類」及び「小分類」が関連づけられて記録されている。特に、これらのうち中分類では薬種を分類している。このため、受信した「薬種」に基づいて「中分類」を検索することによって、受信した「薬種」と一致する多型番地を選択することができる。ところで、ステップII-5における「薬種メニュー」の中に例えば、大衆薬に加えて「公開レベルA」の認証を受けた者のみに提供される処方薬も選択肢としてある場合、もし仮に、「公開レベルA」の認証を受けていない要求者が大衆薬と処方薬の両方について要求した場合には、メインDB14の公開レベルに基づき、処方薬の要求は拒絶され、ステップII-11において、大衆薬に関わる多型番地のみ選択される。
【0206】
次に、ステップII-12(SII-12)では、選択した「多型番地」、「薬種」及び
「Gno.」をメモリー部B11に記録する。このとき、本システムでは、ステップII-13(SII-13)において、メモリー部B11に記録された「多型番地」(位置情報)に対して、所定の規則等に従って「匿名多型番地」(二次位置情報)を設定し、メモリー部B11中の「多型番地」にリンクさせて「匿名多型番地」をメモリー部B11に記録する。この「匿名多型番地」とは、「多型番地」が塩基配列における多型パターンの位置を直接表しているのに対して、ステップII-11で選択した「多型番地」のみにリンクされており、塩基配列における多型パターンの位置を直接表すものではない。言い換えると、「匿名多型番地」は、ステップII-11で選択された「多型番地」に対して、例えば、通し番号やアルファベット記号、乱数等を割り振ることによって設定されるものである。
【0207】
次に、ステップII-14(SII-14)では、処理プログラム13に従って、要求者に対して多型パターンの提出に関する同意の確認(インフォームド・コンセント、以下「IC」と略称する)を要求する。具体的にステップII-14(SII-14)では、処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「個別IC確認入力画面」を読み出し、受信した「薬種」に関する情報を組み込んで個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「個別IC確認入力画面」としては、例えば、図15に示すような画面イメージを例示することができる。
【0208】
次に、ステップII-15(SII-15)では、要求者が個人用コンピュータ3の表示手段22に表示した「個別IC確認入力画面」に従って、多型パターンの提出に関する同意を入力する。これにより、要求者は、多型パターンの提出について同意したこととなる。
【0209】
次に、ステップII-16(SII-16)では、ゲノム関連情報記録媒体24のデータIにアクセスして「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-17(SII-17)では、読み出した「Gno.」及びステップII-15で入力した「個別IC確認」を共用コンピュータ2に対して送信する。
【0210】
次に、ステップII-18(SII-18)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「個別IC確認」を共用コンピュータ2で受信するとともに、受信した「個別IC確認」をメモリー部A10に保存する。「個別IC確認」を保存する際には、メモリー部A10に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」と一致する「Gno.」に「個別IC確認」を関連づける。
【0211】
次に、ステップII-19(SII-19)では、ステップII-12及びII-13で保存した「多型番地」及び「匿名多型番地」をメモリー部B11から読み出す。そして、ステップII-20(SII-20)では、読み出した「多型番地」と「匿名多型番地」とを関連付けて個人用コンピュータ3に対して送信するとともに、当該「多型番地」に対応する多型パターン及び当該多型パターンに関連付けた「匿名多型番地」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に対して出力する。
【0212】
次に、ステップII-21(SII-21)では、共用コンピュータ2から送信された「多型番地」及び「匿名多型番地」並びに命令情報を受信するとともに、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。そして、ステップII-22(SII-22)では、処理プログラム27がゲノム関連情報28のデータIIの中から、命令情報で要求している多型番地及び当該多型番地に対応する多型パターンを抽出して読み出すとともに、データIから「Gno.」を読み出す。
【0213】
次に、ステップII-23(SII-23)では、読み出した多型パターンと、当該多型パターンの多型番地に対して設定された匿名多型番地とを関連付け、「Gno.」とともに個人用コンピュータ3から共用コンピュータ2に対して送信する。すなわち、ステップII-23では、個人用コンピュータ3から、匿名多型番地と多型パターンとGno.とを共用コンピュータ2に対して通信回線網1を介して送信する。このとき、個人用コンピュータ3からは、多型番地と多型パターンとを関連づけて送信していない。また、匿名多型番地は、多型パターンの塩基配列における位置を直接表していない。したがって、ステップII-23で送信した内容が不測の事態で外部に漏洩したとしても、多型パターンの塩基配列における位置を判別することができない。
【0214】
次に、ステップII-24(SII-24)では、個人用コンピュータ3から送信された匿名多型番地及び当該匿名多型番地と関連づけられた多型パターン並びに「Gno.」を受信し、受信した多型パターンをメモリー部B11に保存する。「多型パターン」を保存する際には、メモリー部B11に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」及び「匿名多型番地」と一致する「Gno.」及び「匿名多型番地」に「多型パターン」を関連づける。ステップII-24により、メモリー部B11には、「Gno.」、「多型番地」、多型番地毎に設定された「匿名多型番地」及び「多型パターン」が関連付けられた状態で記録されることとなる。
【0215】
次に、ステップII-25(SII-25)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップII-26(SII-26)では、メモリー部B11に保存された「中分類(薬種)」、「多型番地」及びその「多型パターン」に基づいてメインDB14を検索し、一致した多型パターンに関連づけられた「薬品タイプ」(図10参照)を読み出す。ここで「薬品タイプ」とは、図10に示したように「中分類」で分類された薬種において、所定の多型パターンを有する個人にとって好適な成分や用量等の情報を意味する意味情報である。なお、一つの多型パターンに対して複数の意味情報が関連づけられている場合、それぞれの意味情報を読み出す。
【0216】
次に、ステップII-27(SII-27)では、処理プログラム13に従って、得られた「薬品タイプ」をメモリー部B11に保存する。次に、ステップII-28(SII-28)では、処理プログラム13に従って、メモリー部B11から「薬種」及び「薬品タイプ」を読み出す。そして、ステップII-29(SII-29)では、処理プログラム13に従って、読み出した「薬種」及び「薬品タイプ」に対応した「確認画面」を画面メモリー12より読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「確認画面」としては、例えば、図16に示すような画面イメージを例示することができる。
【0217】
次に、ステップII-30(SII-30)では、要求者が「確認画面」における「薬名」及び「薬品タイプ」等を確認した上で個人用コンピュータ3の「確認画面」における「注文画面」ボタンをクリックすることによって、画面メモリー12より「注文画面」(図示せず)を読み出し注文情報を入力する。ここで、注文情報としては、要求者個人を特定する情報や、注文画面に表示された薬品タイプの薬名についての数量、受取方法及び支払い方法等が含まれる。
【0218】
次に、ステップII-31(SII-31)では、処理プログラム27に従って、ゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報28のデータIから「Gno.」を読み出す。そして、ステップII-32(SII-32)では、処理プログラム27に従って、読み出した「Gno.」及びステップII-30で入力した注文情報を共用コンピュータ2に対して送信する。
【0219】
次に、ステップII-33(SII-33)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「注文情報」を共用コンピュータ2で受信し、当該注文情報をメモリー部A10に保存する。注文情報を保存する際には、メモリー部A10に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」と一致する「Gno.」に「注文情報」を関連づける。
【0220】
次に、ステップII-34(SII-34)では、処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「注文請け確認画面」(図示せず)を読み出し、「注文請け確認画面」を個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。その後、ステップII-35(SII-35)では、要求者が「注文請け確認画面」の指示に従って注文内容を確認する。以上の工程によって、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の注文を完了する。
【0221】
一方、ステップII-36(SII-36)では、メモリー部A10に保存された注文情報から「薬名(意味情報に関連する情報)」、「薬品タイプ(意味情報)」及び「数量」等の必須の情報を抽出し、製薬プラントや物流センター等の薬剤を提供する側(意味情報及び当該意味情報に関連する情報を利用する側)に送信する。必須の情報とは、要求者が要求した薬剤を製造又は配送するに際して必要な情報である。また、薬剤を提供する側とは、「薬名」及び「薬品タイプ」から薬品成分及び成分比等を調節して要求者に適した薬剤を製造するもの、或いは、様々な薬品成分及び成分比等で予め製造された複数種類の薬剤から「薬名」及び「薬品タイプ」に基づいて選択して提供するものを含む意味である。以上の工程によって、薬剤を提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の製造又は配送を行う。
【0222】
なお、共用コンピュータ2においては、最終的にステップII-37(SII-37)に進む。ステップII-37では、メモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容をそれぞれ保管用DB−A15及び保管用DB−B16に保管した後、これらメモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容を消去する。なお、このとき、メモリー部B11に保存された内容のうち「匿名多型番地」を削除しておくことが好ましい。
【0223】
また、ステップII-34及びステップII-35は、要求者の注文を最終的に確認する工程であるため、本システムにおいて必須な工程ではない。すなわち、本システムは、ステップII-33の後にステップII-36に進むようなフローであっても良い。この場合、要求者は、ステップII-32にてゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に好適な薬剤の注文を完了する。
【0224】
以上、図11及び図12に示したようなフローチャートに従えば、個人の多型パターンを多型番地と関連づけて記録したゲノム関連情報28を用いることによって、メインDB14に記録された意味情報すなわち「薬品タイプ」に関する情報を利用することができる。これにより、本システムによれば、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人における薬品に対する応答性や物質に対する免疫性等の体質に応じて、当該個人にとって好適な薬剤を得ることができる。
【0225】
特に、意味情報は、上述したように、その種類が増加するとともに訂正が行われるため、メインDB14を更新することによってより精度が高く、且つ、幅広い情報を含むものとなる。本システムによれば、このような意味情報の増加及び訂正等に追従してメインDB14を更新することによって、個人が最新の意味情報を利用することができる。
【0226】
また、図11及び図12に示したようなフローチャートに従えば、メインDB14に予め記録された公開レベルを用いて、意味情報及び当該意味情報に関連する情報のうちで開示できる範囲を要求者に応じて限定することができる。これにより、本システムによれば、機密性の高い意味情報及び当該意味情報に関連する情報を、それらの利用が許容されていない要求者の要求に対して開示することを防止することができる。したがって、公開レベルを用いることによって、法律、規則又は自らの行動基準等を遵守することができる。
【0227】
さらに、図11及び図12に示したようなフローチャートでは、ステップII-23において、個人用コンピュータ3から通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して、匿名多型番地及び多型パターンを送信している。このため、本システムでは、ステップII-23において送信した情報が不測の事態で外部に漏洩した場合でも当該情報に含まれる多型パターンの塩基配列における位置を判別できない。換言すると、本システムで匿名多型番地を用いることによって、高度な暗号化技術を利用することなく個人情報の漏洩を防止することができる。したがって、本システムにおいては、ステップII-23で送信した情報を他人が利用できず、個人情報の隠匿性が向上している。さらに、ステップII-23で情報を送信するに際して、当該情報を通常行われている方式で暗号化した場合には、より隠匿性を向上させることができる。
【0228】
さらにまた、図11及び図12に示したようなフローチャートに従えば、メモリー部A10には、図17に示すように、「Gno.」、「要求薬種」、「IC確認」及び「注文情報」が保存され、メモリー部B11には、図18に示すように、「Gno.」、「要求薬種」、「多型番地」、「匿名多型番地」、「多型パターン」及び「薬品タイプ」が保存されることになる。このように、要求者個人を特定する情報を含んだ「注文情報」を保存するメモリー部A10と、要求者個人の遺伝情報である「多型パターン」を保存するメモリー部B11とを分割することによって、要求者個人を特定する情報と要求者個人の遺伝情報とをリンクさせ難くなる。これにより、特定の「多型パターン」と「注文情報」に記載された個人を特定する情報との関係を隠匿化することができる。なお、これら特定の「多型パターン」と「注文情報」とは、「Gno.」を介してリンクしており、必要に応じて関連づけることができる。
【0229】
本システムにおいては、更にこれらメモリー部A10に保存された情報とメモリー部B11に保存された情報とを、それぞれ保管用DB−A15及び保管用DB−B16に分けて保管する。このため、本システムによれば、要求者の「注文情報」と「多型番地」及び「多型パターン」とを長期にわたって保管する場合にも、「注文情報」に記載された個人を特定する情報と「多型番地」及び「多型パターン」との関係を隠匿化することができる。したがって、この場合には、情報漏洩に対する安全性をより高めることができる。
【0230】
さらにまた、本システムでは、ステップII-36において、製薬プラントや物流センター等の薬剤を提供する側に情報を送信する場合、当該情報に「Gno.」を含ませず、図19に示すような「注文No」、「薬名」、「薬品タイプ」、「錠数」及び「箱数」等の情報とすることが好ましい。この場合、薬剤を提供する側に送信した情報に「Gno.」が含まれていないため、当該情報から「Gno.」を特定することができず、当該「Gno.」に対応するゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人を特定することができない。したがって、この場合には、個人の「多型パターン」と「注文情報」とを確実に隠匿化することができ、情報漏洩に対する安全性をより高めることができる。
【0231】
なお、上述した例では、ゲノム関連情報28に含まれる多型番地及び多型パターンを用いて個人に好適な薬剤を提供するための情報処理システムを説明したが、本システムは薬剤に限定されず、食品や化粧品、或いは生体関連物質等の物品の提供にも応用することができる。この場合、多型パターンを意味づける意味情報及び意味情報に関連する情報として、物質に対する免疫性や薬品応答性等を指標として食品や化粧品、或いは生体関連物質等の物品に含まれる物質のタイプ等を選択する。そして、選択された物質のタイプ等に従って物品を製造或いは選択することにより個人に好適な物品を提供することができる。
【0232】
特に、本システムは、ゲノム関連情報記録媒体24及びメインDB14において、「多型番地」及びその「多型パターン」のみを規格化しておけば、それ以外の特別なデータの規格化を必要としないので、広範囲な産業に利用することができる。すなわち、物品或いはサービスを提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を用いた情報提供に際して、多型パターンに対応する意味情報の規格化や、データ授受処理方法等の統一した規格を必要とせず、様々な方式で情報提供することができる。
【0233】
さらにまた、本システムによれば、メインDB14をチェックすることで、第三者或いは第三者機関が共用コンピュータ2に対する監視及び管理を容易に行うことができる。したがって、本システムは、意味情報を提供する側に対する例えば行政的な管理を行うことができるため、意味情報を提供する側の健全性及び倫理管理を行うことができる。
【0234】
3.第3の実施の形態
次に、本発明を適用した第3の実施の形態として、所定の疾患に対する罹患可能性に応じて、個人に好適な健康診断検査項目を提供する情報処理システムを説明する。本実施の形態として説明する情報処理システムは、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態における情報処理システムと同様な構成及び用語については同じ名称、符号及び定義を使用することによって、その構成、動作及び用語の説明を省略する。なお、本実施の形態は、要求者の要求情報に応じて健康診断検査項目を提供するシステムを説明するためのものである。したがって、説明の都合上、単純なモデルとして説明する。
【0235】
本実施の形態では、特に、メインDB14に図20に示すような意味情報等が記録されている。本実施の形態におけるメインDB14には、多型パターンを意味づける意味情報が「多型パターンに対する注釈情報」として、所定の多型番地の多型パターンに関連づけられている。この「多型パターンに対する注釈情報」には、「小分類」に分類された疾患に対する罹患可能性が高い「5」から当該罹患可能性が低い「1」までの5段階の値が設定されている。また、所定の多型番地の多型パターンを他の多型番地の多型パターンと組み合わせることによって所定の疾患に対する罹患可能性を示す場合、「多型パターンに対する注釈情報」には、当該所定の多型番地に「Z」値が設定され、当該他の多型番地に「Y」値が設定される。
【0236】
また、本例では、「多型パターンに対する注釈情報」に「Z」値が設定された多型番地と、当該多型番地と組み合わされる「Y」値が設定された多型番地との対応関係を示す、図21に示すようなリンク用DB30を利用する。リンク用DB30においては、「Z」値が設定された多型番地(図21において、「Z多型番地」と記載する)が取りうる多型パターン(図21において、「Zパターン」と記載する)と、その「Z多型番地」と組み合わされる「Y」値が設定された多型番地(図21において、「Y多型番地」と記載する)が取りうる多型パターン(図21において、「Yパターン」と記載する)とが関連づけられている。また、リンク用DB30では、「Zパターン」と「Yパターン」との組み合わせに対して罹患可能性を関連づけている。なお、リンク用DB30は、共用コンピュータ2のデータベース8内に格納されていてもよいし、或いは、共用コンピュータ2の外部にあっても良い。
【0237】
なお、本例で示したメインDB14は、例えば、公的な機関或いは団体が管理しているものであってもよく、この場合には例えば大分類で「薬剤応答性」や「薬剤副作用」に分類された、健康診断検査項目を選定する際に直接必要でない情報も含まれている。
【0238】
一方、本例では、図22に示すような多型番地及び多型パターンが記録されているゲノム関連情報記録媒体24を例示して説明する。図22においては、図20のメインDB14にて例示している多型番地に対応した多型番地及びその多型パターンが例示されている。
【0239】
健康診断検査項目を提供する情報処理システムは、例えば、図23及び図24に示すようなフローチャートに従って利用者に対して最適な健康診断検査を提供することができる。なお、図23及び図24に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0240】
先ず、ステップIII-1(SIII-1)では、要求者が個人用コンピュータ3から通信回線網1を介して、例えば、健康診断センター(以下「健診センター」)の共用コンピュータ2にアクセスする。このとき、要求者としては、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人や、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する医療機関、或いは、個人が保有するゲノム関連情報記録媒体24を利用する医療機関等を例示することができる。
【0241】
なお、個人がゲノム関連情報記録媒体24を保有する場合、ゲノム関連情報記録媒体24としては例えばカード式のものを例示することができ、当該個人又は当該個人のゲノム関連情報記録媒体24を利用する医療機関等が要求者となって本システムを利用する。一方、医療機関がゲノム関連情報記録媒体24を保有する場合、ゲノム関連情報記録媒体24としては例えば複数の個人に関する複数のゲノム関連情報28が記録されているデータベース式のものを例示することができ、当該医療機関が要求者となって本システムを利用する。
【0242】
本例は、個人がゲノム関連情報記録媒体24を保有し、当該個人が健康診断の受診者となり、当該受診者に対して健康診断を実施する医療機関が要求者となる例である。したがって、以下の説明において、個人用コンピュータ3は医療機関に属するものである。
【0243】
なお、共用コンピュータ2は、健診センターが有するコンピュータに限らず、健康診断検査項目情報を要求する側に対して、所望の健康診断検査項目情報及びそれに関連する情報を提供する業者或いは団体が有するコンピュータであっても良い。
【0244】
次に、ステップIII-2(SIII-2)では、共用コンピュータ2において、要求者のアクセスに応じて処理プログラム13を起動させ、画面メモリー12から「健診ポータル画面」を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「健診ポータル画面」としては、例えば、図25に示すような画面イメージを例示することができる。
【0245】
次に、ステップIII-3(SIII-3)では、要求者が「健診ポータル画面」の指示に従ってゲノム関連情報記録媒体24を読取り装置25に装着し、個人用コンピュータ3を用いてゲノム関連情報記録媒体24にアクセスできるようにする。このとき、要求者がゲノム関連情報記録媒体24の正規の利用者であることの認証を行うことが好ましい。その後、ステップIII-4(SIII-4)において、要求者は、「健診ポータル画面」に表示されている「OK」ボタンをクリックすることによって、本システムを利用する意志を共用コンピュータ2に対して送信する。
【0246】
次に、ステップIII-5(SIII-5)では、共用コンピュータ2において処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「健診コースメニュー」画面を読み出し、個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「健診コースメニュー」画面としては、例えば、図26に示すような画面イメージを例示することができる。
【0247】
次に、ステップIII-6(SIII-6)では、要求者が受診者の意向に基づき個人用コンピュータ3でアクセスした「健診コースメニュー」画面に従って、受診者の所望の健診コースを選択する。本例では、健診コースのなかで「おまかせ健診コース」を選択した場合について説明する。「おまかせ健診コース」とは、各コースに共通した検査項目と、受診者の体質等に応じて選択した固有の検査項目、すなわち受診者の所定の疾患に対する羅患可能性が高い場合に選択される検査項目とを組み合わせて健康診断を行うコースである。
【0248】
なお、共用コンピュータ2では、予め健康診断で使われる一通りの検査項目をデータベースとして蓄積した「健診テーブル」を有している。この「健診テーブル」は、例えば、図27に示すように、「大分類」、「中分類」及び「小分類」と、検査方法及び検査を受ける者の事前準備等に関する情報とが関連づけられている。「大分類」では、罹患可能性の高低に拘わらず全ての健診コースに共通した検査項目を「基本」として分類し、罹患可能性が高い場合に選択される検査項目を「罹患可能性」として分類している。但し、「基本」の検査項目であっても、健康診断前に予め罹患可能性を判定しておくことが健康診断後の生活改善指導の上で望ましい場合には、「罹患可能性」の分類にも記載されている。なお、健診テーブルの「大分類」における「罹患可能性」は、メインDB14の「大分類」における「罹患可能性」に対応している。また、健診テーブルの「中分類」及び「小分類」は、メインDB14の「中分類」及び「小分類」に対応している。
【0249】
次に、ステップIII-7(SIII-7)では、個人用コンピュータ3の読取り装置25がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、データIから「Gno.」を読み出す。そして、ステップIII-8(SIII-8)では、ステップIII-7で読み出した「Gno.」と、ステップIII-6で選択した「健診コース(おまかせ健診コース)」(要求情報)とを、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して送信する。
【0250】
次に、ステップIII-9(SIII-9)では、共用コンピュータ2で「Gno.」及び「健診コース」を受信するとともに、「Gno.」及び「健診コース」をメモリー部A10に保存する。ところで、本例では、メインDB14に記録されている意味情報に「公開レベル」が関連付けられている。本例における「公開レベル」は、意味情報及び当該意味情報に関連する情報を、それらを利用する側に開示すべきか否かを示している。具体的には、要求者が認証を受けたものである場合に限り公開しても良いレベルを表す「公開レベルA」と、要求者が認証を受けていか否かに拘わらず、いかなる要求者に対しても公開して良いレベルを表す「公開レベルB」と、いかなる要求者に対しても公開してはならないレベルを表す「公開禁止」(図20には表示せず)とが、意味情報に関連付けられて記録されている。
【0251】
また、共用コンピュータ2は、例えばデータベース8の中に、「認証を有する要求者に関する情報(例えば「要求者No.」)」を予め記録したデータベース(図示せず。以下、「要求者情報データベース」)を有している。
【0252】
要求者は、共用コンピュータ2に対して、「Gno.」及び要求情報とともに、「要求者No.」を送信する。要求者に対して、「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供しようとする場合には、共用コンピュータ2は、前記「要求者情報データベース」にアクセスし、受信した「要求者No.」に基づいて、要求者が、認証を有するか否かを判定する。
【0253】
判定の結果、要求者が認証を有する場合には、個人用コンピュータ3より受信した「Gno.」に「公開レベルA」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルA」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルA」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。一方、判定の結果、要求者が認証を有さない場合には、直ちにステップを中止するか、もしくは受信した「Gno.」に「公開レベルB」を関連付けてメモリー7に登録し、その後のステップで、登録した「公開レベルB」に基づいてメインDB14の「公開レベル」を検索することによって、要求者に「公開レベルB」が関連付けられた意味情報及び当該意味情報に関連する情報を用いたサービスを提供する。以上のように、「公開レベル」を使用することにより、意味情報及び当該意味情報に関連する情報の開示が許容されているか否かを判別することができる。
【0254】
なお本例は、受診者が不特定多数の人である健康診断検査項目を提供するシステムであり、要求者が予め認証を受ける必要がないため、本システムにおいては要求者が認証を有するか否かの判定を行う必要がない。そのため、ステップIII-9では、要求情報(健診コース)を受信するとともに、「公開レベルB」が自動的に選択され、「Gno.」に関連付けられてメモリー7に登録される。
【0255】
なお、「公開レベルA」が選択される場合としては、例えば、要求者が認証を受けた医療機関等であり、患者の治療において必要な全ての情報(罹患可能性、薬剤応答性等)を得たい場合を挙げることができる。
【0256】
次に、ステップIII-10(SIII-10)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップIII-11(SIII-11)において、処理プログラム13は、メインDB14から、「大分類」で「罹患可能性」として分類され、且つ、「公開レベルB」が設定されているものを選択し、その「多型番地」、「中分類」及び「小分類」を読み出す。すなわち、ステップIII-9で要求情報として「おまかせ健診コース」を受信したので、受診者の所定の疾患に対する罹患可能性の高低を予め判定した上で健康診断検査項目を選定する必要があり、その要求情報に応えるために、メインDB14の大分類で「罹患可能性」と分類されたもの(意味情報に「罹患可能性」を有するもの)を選択し、それに対応する「多型番地」を読み出している。つまり要求情報に応じた「多型番地」を読み出している。
【0257】
次に、ステップIII-12(SIII-12)では、要求情報に応じて読み出した「多型番地」、「中分類」、「小分類」及び「Gno.」をメモリー部B11に記録する。このとき、本システムでは、ステップIII-13(SIII-13)において、メモリー部B11に記録された「多型番地」に対して「匿名多型番地」を設定し、メモリー部B11中の「多型番地」にリンクさせて「匿名多型番地」をメモリー部B11に記録する。この「匿名多型番地」は、第2の実施の形態において説明した「匿名多型番地」と同様の概念である。
【0258】
次に、ステップIII-14(SIII-14)では、処理プログラム13に従って、要求者に対してゲノム関連情報28の提出と意味情報及び当該意味情報に関連する情報の内容に関する同意の確認(インフォームド・コンセント、以下「IC」と略称する)を要求する。具体的にステップIII-14では、処理プログラム13に従って、画面メモリー12から「個別IC確認入力画面」を読み出し、受信した「健診コース」に関する情報を組み込んで個人用コンピュータ3の表示手段22に表示する。「個別IC確認入力画面」としては、例えば、図28に示すような画面イメージを例示することができる。
【0259】
次に、ステップIII-15(SIII-15)では、要求者が個人用コンピュータ3の表示手段22に表示された「個別IC確認入力画面」に従って、受診者に対して多型パターンの提出と意味情報及び当該意味情報に関連する情報の内容に関する同意を得て、受診者が同意した旨を入力する。これにより、受診者は、多型パターンの提出と意味情報及び当該意味情報に関連する情報の内容について同意したこととなる。なお、ステップIII-15で行った受診者に対する多型パターンの提出と意味情報及び当該意味情報に関連する情報の内容に関する同意は、ステップIII-2における「健診ポータル」画面又はステップIII-5における「健診コースメニュー」画面を用いて行っても良い。
【0260】
次に、ステップIII-16(SIII-16)では、要求者がゲノム関連情報記録媒体24のデータIにアクセスして「Gno.」を読み出す。そして、ステップIII-17(SIII-17)では、読み出した「Gno.」及びステップIII-15で入力した「個別IC確認」を共用コンピュータ2に対して送信する。
【0261】
次に、ステップIII-18(SIII-18)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「個別IC確認」を共用コンピュータ2で受信するとともに、受信した「個別IC確認」をメモリー部A10に保存する。「個別IC確認」を保存する際には、メモリー部A10に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」と一致する「Gno.」に「個別IC確認」を関連づける。
【0262】
次に、ステップIII-19(SIII-19)では、ステップIII-12及びIII-13で保存した「多型番地」及び「匿名多型番地」をメモリー部B11から読み出す。そして、ステップIII-20(SIII-20)では、読み出した「多型番地」と「匿名多型番地」とを関連付けて個人用コンピュータ3に対して送信するとともに、当該「多型番地」に対応する多型パターン及び当該多型パターンに関連付けた「匿名多型番地」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に対して出力する。
【0263】
次に、ステップIII-21(SIII-21)では、共用コンピュータ2から送信された「多型番地」及び「匿名多型番地」並びに命令情報を受信するとともに、当該命令情報に従ってゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。このとき、受信した「多型番地」及び「匿名多型番地」をメモリー部26に保存する。そして、ステップIII-22(SIII-22)では、命令情報に従って処理プログラム27がゲノム関連情報28のデータIIの中から要求された多型番地及び当該多型番地に対応する多型パターンを抽出して読み出すとともに、データIから「Gno.」を読み出す。
【0264】
次に、ステップIII-23(SIII-23)では、ステップIII-22で読み出した多型パターンと当該多型パターンに対応する多型番地に対応する匿名多型番地とを関連付けて「Gno.」とともに、個人用コンピュータ3から共用コンピュータ2に対して送信する。このとき、個人用コンピュータ3からは、多型パターン及び当該多型パターンに関連づけた匿名多型番地を送信しており、多型パターンに関連づけた多型番地を送信していない。匿名多型番地が多型パターンの塩基配列における位置を直接表していないため、ステップIII-23で送信した内容が不測の事態で外部に漏洩したとしても、多型パターンの塩基配列における位置を判別することができない。
【0265】
次に、ステップIII-24(SIII-24)では、個人用コンピュータ3から送信された匿名多型番地及び当該匿名多型番地と関連づけられた多型パターン並びに「Gno.」を受信し、受信した多型パターンをメモリー部B11に保存する。「多型パターン」を保存する際には、メモリー部B11に保存されたデータのなかで、受信した「Gno.」及び「匿名多型番地」と一致する「Gno.」及び「匿名多型番地」に「多型パターン」を関連づける。
【0266】
次に、ステップIII-25(SIII-25)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップIII-26(SIII-26)では、メモリー部B11に保存された「中分類」、「小分類」、「多型番地」及びその「多型パターン」に基づいてメインDB14を検索し、一致した多型パターンに関連づけられた「多型パターンに対する注釈情報」(図20参照)を読み出す。ここで「多型パターンに対する注釈情報」とは、図20に示したように「中分類」及び「小分類」で分類された疾患に対する罹患可能性を意味する意味情報である。なお、一つの多型パターンに対して複数の意味情報が関連づけられている場合、それぞれの意味情報を読み出す。
【0267】
本実施の形態における「多型パターンに対する注釈情報」には、罹患可能性を示す5段階の値と、所定の多型番地の多型パターンを他の多型番地の多型パターンと組み合わせることによって所定の疾患に対する罹患可能性を示す「Z」値と、当該他の多型番地を意味する「Y」値とが含まれる。
【0268】
そして、ステップIII-26において、読み出した「多型パターンに対する注釈情報」が「Z」値である場合には、処理プログラム13は、図21に示したリンク用DB30にアクセスする。処理プログラム13は、先ず、「Z」値と関連づけられた「多型番地」及び「多型パターン」に基づいてリンク用DB30を検索し、当該「多型番地」と組み合わされる他の多型番地(Y多型番地)を選択する。次に、選択したY多型番地に基づいて、メモリー部B11から当該Y多型番地の多型パターン(Yパターン)を読み出す。次に、読み出したY多型番地のYパターンに基づいてリンク用DB30を検索し、上記Z多型番地のZパターンと当該Y多型番地のYパターンとが一致する組み合わせを選択する。そして、リンク用DB30から、選択した組み合わせに関連づけられた罹患可能性を読み出す。
【0269】
次に、ステップIII-27(SIII-27)では、処理プログラム13に従って、得られた「多型パターンに対する注釈情報」、すなわち罹患可能性を「多型パターン」に関連づけてメモリー部B11に保存する。これにより、メモリー部B11は、図29に示すように、「中分類」及び「小分類」に対して「多型パターンに対する注釈情報」が関連づけられることになる。すなわち、例えば、「中分類」及び「小分類」で示される疾患に対する罹患可能性が関連づけられることになる。なお、メモリー部A10は、図30に示すように、「Gno.」、「健診コース名」及び「IC確認」が関連づけられて保存されている。
【0270】
次に、ステップIII-28(SIII-28)では、処理プログラム13に従って、メモリー部B11に保存された「中分類」、「小分類」及び「多型パターンに対する注釈情報」のうち罹患可能性がある一定水準を越えたものを読み出す。例えば、「多型パターンに対する注釈情報」の罹患可能性が5段階の「4」以上である「中分類」、「小分類」を読み出す。
【0271】
次に、ステップIII-29(SIII-29)では、読み出した「中分類」及び「小分類」に基づいて、健診テーブル(図27)を検索し、読み出した「中分類」及び「小分類」と一致するものを選択する。
【0272】
そして、ステップIII-30(SIII-30)では、健診テーブルから必要事項を抽出する。具体的には、ステップIII-29で選択した「中分類」及び「小分類」の検査方法、検査項目、受診者事前準備及び問診項目等を読み出す。また、健診テーブルにおける「大分類」が「基本」に分類される項目の検査方法、検査項目、受診者事前準備及び問診項目等も読み出す。
【0273】
次に、ステップIII-31(SIII-31)では、ステップIII-30で抽出した検査方法、検査項目、受診者事前準備及び問診項目等に従って、例えば図31に示すような、出力フォーマットを作成し、個人用コンピュータ3に対して出力フォーマットデータを送信する。ここで、出力フォーマットには、全ての健診コースに共通した検査項目(健診テーブルにおいて大分類で「基本」に分類)と、罹患可能性が一定水準を超えた疾患に関する固有の検査項目(健診テーブルにおいて大分類で「罹患可能性」に分類)とが含まれている。なお、罹患可能性が一定水準を超えた疾患に関する検査項目は、意味情報(罹患可能性)から導き出された、「意味情報に関連する情報」である。
【0274】
なお、この出力フォーマットは、受診者に対して健康診断を実施する医療機関が用いるためのものである。一方、健診を受ける受診者に対して、検査区分及び受診者事前準備が表示された受診者用の出力フォーマットを出力しても良い。この場合、受信者に対しては、自分自身の罹患可能性が分かるような検査方法・目的等の情報が開示されない。したがって、この場合には、受信者に対して不安を与えることを防止することができる。また、この場合には、健康診断を実施する医療機関側で、例えば、検査対象の疾患を受診者に悟られないように配慮して当該疾患についての検査方法を適宜選択することもできる。
【0275】
また、ステップIII-31では、健康診断を実施する医療機関に対して出力フォーマットを送信せず、受信者に対して出力フォーマットを直接送信しても良い。この場合、受信者に対して送信する出力フォーマットには、所定の疾患に対する罹患可能性等の受信者に対して不安を与えるような情報を含ませないことが好ましい。なお、ICに基づけば、受信者に対して不安を与えるような情報であっても開示することができる。
【0276】
次に、ステップIII-32(SIII-32)では、共用コンピュータ2で出力された出力フォーマットデータを個人用コンピュータ3で受信し、メモリー部26に保存する。そして、ステップIII-33(SIII-33)で出力フォーマットを出力することによって、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人の体質に応じた固有の検査項目を含む健康診断項目情報を得ることができる。
【0277】
なお、共用コンピュータ2においては、ステップIII-31に続いてステップIII-34(SIII-34)で、メモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容をそれぞれ保管用DB−A15及び保管用DB−B16に分けて保管した後、これらメモリー部A10及びメモリー部B11に保存された内容を消去してもよい。なお、このとき、メモリー部B11に保存された内容のうち「匿名多型番地」を削除しておくことが好ましい。
【0278】
以上、本システムにおいて、図23及び図24に示したフローチャートに従うことによって、要求者は、個人(受診者)の体質等に応じた健康診断項目情報を得ることができる。図31に示したような出力フォーマットにおける「区分」の欄には、所定の健診コースに共通する検査項目を意味する「基本」と、ステップIII-29で得られた罹患可能性の高い疾患についての検査項目を意味する「固有」とが記入されている。本システムを利用することにより、個人に応じた「固有」の検査項目を含む健康診断サービスを提供することができる。
【0279】
また、本システムにおいては、複数の多型番地における多型パターンの組み合わせに対して意味情報が関連づけられているような場合でも、リンク用DB30を用いることによってゲノム関連情報記録媒体24を保有する個人に特有の意味情報を得ることができる。
【0280】
なお、本システムにおいては、過去の健康診断結果などの受診者に関する付加的な情報を履歴として蓄積したデータベースを構築し、このデータベースから受診者の過去の健康診断結果履歴を読み出し、「多型パターンに対する注釈情報」やそれに関連する情報に当該履歴を関連づけて、出力フォーマットを作成しても良い。なお、このデータベースは、共用コンピュータ2が備えるものであっても良いし、個人用コンピュータ3やゲノム関連情報記録媒体24が備えるものであっても良い。この場合、本システムによれば、出力フォーマットに受診者の健康診断結果履歴が表示されているため、その後、健康診断の結果に対照させることで、より充実した健康診断サービスを提供することができる。健康診断の結果としては、通常の健康診断結果に加えて、例えば遺伝子検査による遺伝子酸化損傷や遺伝子発現の有無等が含まれる。また、本システムにおいては、ステップIII-9において、所望の「健診コース」の他に要求情報として、例えば「受診者の罹患可能性が高い疾患を予防する機能性食品」の要求を受信し、受診者の体質に応じた健康診断検査項目情報とともに要求された機能性食品を提供することも可能である。
【0281】
なお、本例は、要求者がメインDB14を有する健診センターを利用して、受診者に応じた「固有」の検査項目を含む健康診断サービスを提供するシステムを説明したが、本システムはこれに限定されない。本システムは、ゲノム関連情報28を扱う受診者に帰属する個人用コンピュータ3と、要求情報に対応可能な方式で多型番地を記録したデータベースを有する健診センターと、メインDB14を有する健診センター以外の他の機関或いは団体とを備え、受診者が要求者となる情報処理システムであっても良い。この場合、受診者は健診センターにアクセスして健康診断サービスを要求し、健診センターは、他の機関等のメインDB14にアクセスし、受診者(要求者)に応じた「固有」の検査項目を含む健康診断サービスを提供する。この場合には、特に、メインDB14を有する他の機関は、ゲノム関連情報28を扱うことなく意味情報及び意味情報に関連する情報を提供し、健診センターはメインDB14を有することなくゲノム関連情報28を扱っている。したがって、この場合には、上記他の機関のメインDB14を複数の健診センターで利用することができる。さらにこの場合、上記他の機関がメインDB14の管理及び更新等を行い、健診センターが要求者のゲノム関連情報28を取り扱うことによって、要求者は健診センターを介して健康診断サービスを受けることができる。なお、この場合は、受診者に応じた「固有」の検査項目を含む健康診断検査項目は、健診センターを経由して受診者に送信されるが、それに限らず上記他の機関から受診者に対して直接送信されても良く、更にまた上記他の機関から実際に健康診断を行う第3の機関に送信されても良い。
【0282】
また、本システムは、ゲノム関連情報記録媒体24及びメインDB14において、「多型番地」及びその「多型パターン」のみを規格化しておけば、それ以外の特別なデータの規格化を必要としないので、広範囲な産業に利用することができる。すなわち、物品或いはサービスを提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を用いた情報提供に際して、多型パターンに対応する意味情報の規格化や、データ授受処理方法等の統一した規格を必要とせず、様々な方式で情報提供することができる。
【0283】
さらにまた、本システムによれば、メインDB14をチェックすることで、第三者或いは第三者機関が共用コンピュータ2に対する監視及び管理を容易に行うことができる。したがって、本システムは、意味を提供する側に対する例えば行政的な管理を行うことができるため、意味情報を提供する側の健全性及び倫理管理を行うことができる。
【0284】
4.第4の実施の形態
次に、本発明を適用した第4の実施の形態として、所定の目的のための募集に応じて自分の多型パターンを登録するドナー登録システム及び、所定の目的に関して要求者の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供する情報処理システムを説明する。説明の都合上、単純なモデルとして説明する。本実施の形態として説明する情報処理システムは、上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態における情報処理システムと同様な構成及び用語については同じ名称、符号及び定義を使用することによって、その構成、動作及び用語の説明を省略する。
【0285】
本実施の形態では、特に、メインDB14に図32に示すような意味情報(自己性質タイプ、適合タイプ)等が記録されている。メインDB14には、所定の性質を分類する「分類」に対して、「多型番地」及びその多型番地における「多型パターン」が関連づけて記録されている。また、メインDB14には、所定の「多型パターン」を意味づける「自己性質タイプ」(所定の個体に関する情報)と、その「自己性質タイプ」に適合するタイプを示す「適合タイプ」(他の個体に関する情報)とが意味情報として記録されている。さらに、メインDB14には、所定の多型番地についての「自己性質タイプ」及び「適合タイプ」に関する情報の公開可否を示す「公開レベル」が関連づけて記録されてもよい。
【0286】
具体的に、「ある性質」について多型番地「1000」及び「2000」が関連づけられており、これらの多型番地における多型パターンが取りうる組み合わせを意味づける自己性質タイプが「a」及び「b」として記録されている。また、これら自己性質タイプ「a」及び「b」の適合タイプは、それぞれ「b」及び「a」として記録されている。すなわち、図32では、例えば、多型番地「1000」及び「2000」における多型パターンがそれぞれ「A」及び「C」である場合、「ある性質」に関して自己性質タイプが「a」であり、自己性質タイプ「a」に適合する適合タイプが「b」であることを示している。
【0287】
また、本例では、図33に示すような多型番地及び多型パターンが記録されているゲノム関連情報記録媒体24を例示して説明する。図33においては、図32のメインDB14にて例示している多型番地(「1000」及び「2000」)に対応した多型番地及びその多型パターンを含んだゲノム関連情報記録媒体24を例示している。
【0288】
先ず、所定の目的のための募集に応じて自分の多型パターンを登録するドナー登録システムについて説明する。本ドナー登録システムでは、例えば、図34に示したフローチャートに従って、図35に示すような所定の目的のためのドナーデータベース(以下ドナーDB)を構築することができる。なお、図34に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0289】
本システムでは、先ず、ステップD-1(SD-1)では、ドナー募集に応じて、個人用コンピュータ3のメモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。ステップD-1では、処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
【0290】
次に、ステップD-2(SD-2)では、読み出した「Gno.」を登録要求情報である「ある性質」とともに、ドナー募集側の共用コンピュータ2に対して通信回線網1を介して送信する。これにより、本システムを利用して「ある性質」についてのドナー登録を行う旨の意思表示(換言するとサービスの要求)を行うことができる。なお、このとき、ドナー登録目的とその内容並びにその利用方法と利用範囲に関するインフォームド・コンセント(以下、「IC」と略称する)を厳格に行うことが望ましい。
【0291】
次に、ステップD-3(SD-3)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」「ある性質」を共用コンピュータ2で受信する。共用コンピュータ2では、「Gno.」「ある性質」を受信することによって処理プログラム13を起動する。受信した「Gno.」「ある性質」は、メモリー部A10に保存される。
【0292】
次に、ステップD-4(SD-4)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップD-5(SD-5)では、処理プログラム13に従って要求情報である「ある性質」に基づいてメインDB14を検索し、当該「ある性質」と一致する分類を抽出する。
【0293】
次に、ステップD-6(SD-6)では、処理プログラム13に従って、抽出した「ある性質」に関連づけられた「多型番地」をメインDB14から読み出す。また、読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に保存する。
【0294】
次に、ステップD-7(SD-7)では、処理プログラム13に従ってメモリー部A10に保存した「Gno.」及び「多型番地」を読み出し、個人用コンピュータ3に対して「Gno.」及び「多型番地」を送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、ICにて規定された範囲内で必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
【0295】
次に、ステップD-8(SD-8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及び「多型番地」を受信する。受信した「Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。そして、ステップD-9(SD-9)では、受信した命令情報(「Gno.」及び「多型番地」)に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。
【0296】
ステップD-10(SD-10)では、ゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、命令された多型番地を抽出する。ステップD-11(SD-11)では、抽出した多型番地に基づいてゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、対応する多型パターンを読み出す。読み出した多型パターンは、多型番地と関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、命令情報に含まれる「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップD-10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。
【0297】
次に、ステップD-12(SD-12)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップD-13(SD-13)では、多型番地に関連付けられた多型パターン、Gno.及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。
【0298】
次に、ステップD-14(SD-14)では、メモリー部A10に記録した多型パターン及びGno並びに付加的な情報を「ある性質」に関連づけ、その後、図35に示すようなドナーDBに登録する。このドナーDBには、ある性質に関連づけられた多型番地及びその多型番地の多型パターンが「Gno.」毎に記録されている。
【0299】
なお、ドナーDBは、例えば共用コンピュータ2のデータベース8(記憶手段)に備えられるが、それに限らず、共用コンピュータ2の外部にある記憶手段に備えられる場合等も考えられる。
【0300】
以上のようにして、本システムによれば、所定の目的のための募集に際して何らかの検査、調査及びテスト等を行う必要がなく、ドナー登録を非常に容易に行うことができる。特に、本システムにおいて、図34に示したフローチャートに従えばドナー登録を行う際に、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28の全てを通信回線網1を介して出力する必要がなく、提出命令を受けた一部のゲノム関連情報28のみを出力すればよい。したがって、本システムによれば、機密性の高い個人特有の多型番地及び多型パターンの漏洩を防止しながら、ドナー登録を行うことができる。なお、本システムにおいても、「匿名多型番地」を用いることによって、更に多型番地及び多型パターンの漏洩を防止することができる。
【0301】
一方、本システムにおいて、ドナーDBには、「ある性質」に関連づけられた多型番地及び多型パターン以外に、その多型パターンを意味づける意味情報を記録してもよい。すなわち、ドナーDBには、メインDB14に記録されている「自己性質タイプ」及び「適合タイプ」を、「Gno.」や多型パターンに関連づけて記録しても良い。
【0302】
続いて、所定の目的に関して要求者(本例において「レシピエント」と称す)の「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を提供する情報処理システムを説明する。本情報処理システムでは、図32に示したメインDB14と図35に示したドナーDBを利用し、例えば、図36及び図37に示したフローチャートに従って他の個体に関する情報を提供することができる。なお、図36及び図37に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
【0303】
本システムでは、先ず、ステップR-1(SR-1)では、レシピエントの「ある性質」において適合する他の個体に関する情報を得る目的でレシピエントが個人用コンピュータ3のメモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。ステップR-1では、処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
【0304】
次に、ステップR-2(SR-2)では、読み出した「Gno.」及び要求情報である「ある性質」を、情報提供側の共用コンピュータ2に対して通信回線網1を介して送信する。これにより、本システムを利用して、「ある性質」において適合する他の個体に関する情報提供を求める旨の意思表示を行うことができる。なお、このとき、多型パターン及び適合する他の個体に関する情報利用規定に関するICを厳格に行うことが望ましい。
【0305】
次に、ステップR-3(SR-3)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」及び「ある性質」を共用コンピュータ2で受信する。共用コンピュータ2では、「Gno.」及び「ある性質」を受信することによって処理プログラム13を起動する。受信した「Gno.」及び「ある性質」は、メモリー部A10に保存される。
【0306】
次に、ステップR-4(SR-4)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップR-5(SR-5)では、処理プログラム13に従って「ある性質」に基づいてメインDB14を検索し、当該「ある性質」と一致する分類を抽出する。
【0307】
次に、ステップR-6(SR-6)では、処理プログラム13に従って、抽出した分類「ある性質」に関連づけられた「多型番地」をメインDB14から読み出す。また、読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に保存する。具体的に、図32に示したメインDB14の場合、「ある性質」に関連づけられた多型番地として「1000」及び「2000」を抽出して保存する。
【0308】
次に、ステップR-7(SR-7)では、処理プログラム13に従ってメモリー部A10に保存した「Gno.」及び「多型番地」を読み出し、個人用コンピュータ3に対して「Gno.」及び「多型番地」を送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」の提出を命令する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、ICにて規定された範囲内で必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
【0309】
次に、ステップR-8(SR-8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及び「多型番地」を個人用コンピュータ3で受信する。受信した「Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。そして、ステップR-9(SR-9)では、受信した命令情報(「Gno.」及び「多型番地」)に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。
【0310】
ステップR-10(SR-10)では、ゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、命令された多型番地を抽出する。ステップR-11(SR-11)では、抽出した多型番地に基づいてゲノム関連情報記録媒体24のデータIIを検索し、対応する多型パターンを読み出す。読み出した多型パターンは、多型番地と関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、命令情報に含まれる「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップR-10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。具体的に、図33に示したゲノム関連情報記録媒体24の場合、命令された多型番地に対応して多型パターン「A(多型番地1000)」及び「C(多型番地2000)」を読み出す。
【0311】
次に、ステップR-12(SR-12)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップR-13(SR-13)では、多型番地に関連付けられた多型パターン、Gno.及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。具体的に、多型番地「1000」に対して多型パターン「A」を、多型番地「2000」に対して多型パターン「C」をメモリー部A10に記録する。
【0312】
次に、ステップR-14(SR-14)では、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。そして、ステップR-15(SR-15)では、受信した多型番地とその多型パターンとに基づいてメインDB14を検索し、一致した多型パターンに関連づけられた「自己性質タイプ」(所定の個体に関する情報)を抽出する。具体的に、図32の場合、多型番地「1000」及び「2000」の多型パターンがそれぞれ「A」及び「C」である組み合わせに対して、自己性質タイプ「a」を抽出する。
【0313】
次に、ステップR-16(SR-16)では、ステップR-15で抽出した「自己性質タイプ」に基づいてメインDB14を検索し、この「自己性質タイプ」に適合する「適合タイプ」(他の個体に関する情報)を抽出する。具体的に、図32の場合、自己性質タイプが「a」であるため、自己性質タイプ「a」に適合する適合タイプとして「b」を抽出する。
【0314】
次に、ステップR-17(SR-17)では、抽出した適合タイプに基づいてメインDB14を検索し、その適合タイプが自己性質タイプとなっているものを検索する。そして検索した自己性質タイプに関連づけられた多型パターン及びその多型番地を読み出す。具体的に、図32の場合、抽出した適合タイプが「b」であるため自己性質タイプが「b」の多型パターン及びその多型番地を読み出す。すなわち、図32の場合、多型番地「1000」の多型パターンが「G」であり且つ多型番地「2000」の多型パターンが「C」である組み合わせ、及び、多型番地「1000」の多型パターンが「A」であり且つ多型番地「2000」の多型パターンが「T」である組み合わせを読み出す。
【0315】
次に、ステップR-18(SR-18)では、処理プログラム13に従ってドナーDBにアクセスする。ここで、ドナーDB(例えば図35に示す)は、先に説明したように構築されたものであり、複数の個体に関して、「ある性質」に関わる多型番地及びその多型パターンが記録されている。
【0316】
次に、ステップR-19(SR-19)では、処理プログラム13に従って、ステップR-17で読み出した多型番地及びその多型パターンに基づいてドナーDBを検索し、ステップR-17で読み出した多型番地及びその多型パターンの組み合わせと一致する多型番地及び多型パターンの組み合わせを有する「Gno.」(個体を識別する情報)を抽出する。具体的に、図35の場合、「1000」が「G」であり且つ「2000」が「C」であるもの、及び、「1000」が「A」であり且つ「2000」が「T」であるものを検索すると、「Gno.」0003と「Gno.」0004を抽出することができる。なお、抽出した「Gno.」は、意味情報から導き出された、意味情報に関連する情報である。
【0317】
次に、ステップR-20(SR-20)では、抽出した「Gno.」を個人用コンピュータ3に対して送信する。このとき、ドナー登録者側のICにて規定された範囲内で「Gno.」とともにその他の情報を個人用コンピュータ3に対して送信してもよい。その他の情報としては、図35に示したドナーDBを構築する際に記録した情報、例えば、ゲノム関連情報記録媒体24におけるデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報を例示することができる。具体的に、図35の場合、個人用コンピュータ3に対して「Gno.」0003と「Gno.」0004を送信する。
【0318】
次に、ステップR-21(SR-21)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及びその他の情報を個人用コンピュータ3で受信する。そして、ステップR-22(SR-22)で、受信した「Gno.」及びその他の情報を出力することによって、「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を得ることができる。すなわち、レピシエントは、「ある性質」において適合する他の個体に関する情報を得ることができる。特に、図35の場合、レピシエントは、「ある性質」において適合する他の個体が「Gno.」0003と「Gno.」0004であるという、意味情報に関連する情報を得ることができる。なお、ステップR-20では、同時に、抽出結果を利用して要求者に商品又はサービスを提供する別の機関に対して、抽出結果を送信しても良い。
【0319】
以上のように、本システムによれば、図36及び図37に示したフローチャートに従えば、所定の目的に関してレピシエントの「ある性質」に適合した性質を有する他の個体に関する情報を得ることができる。特に、この場合、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28の全てを通信回線網1を介して出力する必要がなく、提出命令を受けた一部のゲノム関連情報28のみを出力すればよい。したがって、本システムによれば、機密性の高い個人特有の多型番地及び多型パターンの漏洩を防止することができる。なお、本システムにおいても、「匿名多型番地」を用いることによって、更に多型番地及び多型パターンの漏洩を防止することができる。
【0320】
さらに、本システムにおいて、「ある性質」等の分類や自己性質タイプに適合する「適合タイプ」が、その種類が増加するとともに訂正が行われるため、メインDB14を更新することによってより精度が高く、且つ、幅広い情報を含むものとなる。加えて、図34のフローチャートに従って多くの個体がドナー登録を行うと、ドナーDBに多くのドナー情報が蓄積されることになる。本システムによれば、このような情報の増加及び訂正等に追従したメインDB14の更新及びドナーDBにおける情報量の増大によって、レピシエントが最新の情報を利用することができる。
【0321】
さらにまた、本システムによれば、メインDB14及びドナーDBをチェックすることで、第三者或いは第三者機関が共用コンピュータ2に対する監視及び管理を容易に行うことができる。したがって、本システムは、他の個体に関する情報を提供する側に対する例えば行政的な管理を行うことができるため、他の個体に関する情報を提供する側の健全性及び倫理管理を行うことができる。
【0322】
一方、本システムにおいて、ドナーDBに多型パターンを意味づける意味情報を記録している場合には、共用コンピュータ2は、ステップR-13(SR-13)で受信した多型パターン及びGno.等に基づいてメインDB14を検索し、レシピエントの「自己性質タイプ」及び「適合タイプ」を抽出する(ステップR-15)。そして、共用コンピュータ2は、ステップR-16からステップR-19を行わず、レシピエントの「自己性質タイプ」及び「適合タイプ」に基づいて、ドナーDBに記録された他の個体の「自己性質タイプ」を検索し、レシピエントの「適合タイプ」と一致した「自己性質タイプ」を有する他の個体を抽出する。次に、ステップR-20からステップR-22を行うことによって、レシピエントは「ある性質」について自分に適合した他の個体に関する情報を得ることができる。なお、この場合もステップR-20では、同時に、抽出結果を利用して要求者に商品又はサービスを提供する別の機関に対して、抽出結果を送信しても良い。
【0323】
さらに、本システムにおいては、上述したドナー登録システムを利用するドナー登録者がレシピエントとなって、他の個体に関する情報を得ることもできる。この場合、図34に示したステップD-1からステップD-14に従ってドナー登録を行った後、ステップR-14に進み、以下同様にして「ある性質」についての他の個体に関する情報を得ることができる。この場合には、利用者は、「ある性質」についてドナー登録を行うとともに「ある性質」についての他の個体に関する情報を得ることができる。なお、一旦、ドナー登録を行った個体が後にレシピエントとなる場合、ステップR-1、R-2の後に、共用コンピュータ2がドナーDBにアクセスし、当該レシピエント自身の「Gno.」と一致する「多型番地」及びその「多型パターン」を読み出した上で、ステップR-14に進み、以下同様にして「ある性質」についての他の個体に関する情報を得ることができる。この場合にも、利用者は、「ある性質」についてドナー登録を行うとともに「ある性質」についての他の個体に関する情報を得ることができる。
【0324】
また、本システムは、ゲノム関連情報記録媒体24及びメインDB14において、「多型番地」及びその「多型パターン」のみを規格化しておけば、それ以外の特別なデータの規格化を必要としないので、広範囲な産業に利用することができる。すなわち、物品或いはサービスを提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を用いた情報提供に際して、多型パターンに対応する意味情報の規格化や、データ授受処理方法等の統一した規格を必要とせず、様々な方式で情報提供することができる。
【0325】
なお、上述した第4の実施の形態においては、「自己性質タイプ」に適合する「適合タイプ」を「自己性質タイプ」として有する他の個体に関する情報を得るための情報処理システムについて説明したが、本情報処理システムは、このような例に限定されず例えば、「自己性質タイプ」に不適合な「適合タイプ」を「自己性質タイプ」として有する他の個体に関する情報を得るためのものであっても良い。この場合、メインDB14には、所定の「多型パターン」を意味づける「自己性質タイプ」(所定の個体に関する情報)と、その「自己性質タイプ」に不適合なタイプを示す「不適合タイプ」(他の個体に関する情報)とが意味情報として記録されることとなる。
【符号の説明】
【0326】
1…通信回線網、2…共用コンピュータ、3…個人用コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品及び/又はサービスの要求情報を送受信手段により受け取る手順aと、
塩基配列における位置を意味する位置情報が記憶されている記憶手段から、前記要求情報に応じた位置情報を制御手段により取得する手順bと、
位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報のなかから前記手順bで取得した位置情報に対応する塩基配列関連情報を取得するとともに、当該塩基配列関連情報を意味づける意味情報及び/又は当該意味情報に関連する情報を制御手段により取得する手順cと
をコンピュータに実行させる塩基配列に関する情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−234558(P2012−234558A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153577(P2012−153577)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2009−293630(P2009−293630)の分割
【原出願日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】