説明

塩素ガス低減剤

【課題】 塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤を混合した際に発生する人体に有害な塩素ガスに対して、塩素ガスの発生を迅速に抑制するとともに、発生した塩素ガスを消滅させる、取扱性に優れた塩素ガス低減剤を提供する。
【解決手段】 塩素ガスの発生を抑制し、塩素ガスを消滅させる化合物がペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤であることを特徴とする塩素ガス低減剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素ガス低減剤に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸や塩素化イソシアヌル酸などを含有する塩素系洗浄剤は、酸性洗浄剤と混合すると人体に有害な塩素ガスが瞬時に発生することから、危険性を防止するためこれら洗浄剤に対して、家庭用品品質表示法では、品質表示規定に定める「塩素ガス発生試験(酸性タイプ)で規定する試験またはこれと同等以上の精度を有する試験で測定した結果、10ppm以上塩素ガスを発生するもの」に対しては「まぜるな 危険」の注意表示が義務付けられている。
【0003】
有害な塩素ガスの発生事故が起こった場合の対処方法としては、既に各種のマニュアルがあり、例えば非特許文献1と2には、概略次のように記載されている。
次亜塩素酸ソーダを誤って酸と混合した時は、直ちに水酸化ナトリウム(通称:苛性ソーダ)、水酸化カルシウム(通称:消石灰)等のアルカリ剤で中和すること、さらには、発生した塩素ガスが多量で、周辺に拡散する恐れがある時は、被害を他に及ぼさないよう消防署、警察署など必要な個所に通報するとともに、風上に避難、誘導などの措置を講じること。
【0004】
また一般家庭で使用される家庭用の次亜塩素酸系洗浄剤の場合、取扱表示には、誤って混合した際は、塩素ガス発生現場から退避して塩素ガス発生が沈静化し、空間中の塩素ガス濃度が安全濃度領域以下に減少するまで待つか、防毒マスクなどの防御安全対策をした後に塩素ガスが発生する混合液のpHをアルカリなどで7以上に中和して、ガス発生の抑制に努めることなどが記載されている。
【0005】
しかし、人工透析装置の洗浄が日常的に行われているメディカル分野では、多くの医療施設で次亜塩素酸を含有する塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤が繰り返し使用されており、これら洗浄剤が誤って混合され、有害な塩素ガスが短時間に高濃度発生するトラブルは未だに後を絶たない。
このようなトラブルがひとたびおこれば、塩素ガスの発生が沈静化し、発生した部屋や隣接する部屋の安全性が担保されるまでには、少なくとも半日以上は待たねばならない。
【0006】
この間は、人の立ち入りが禁止されるか、あるいは大きく制限され、病院内作業従事者はもちろんのこと、透析患者の透析治療スケジュールへの悪影響は無視できないものとなり、場合によっては透析治療の遅延から透析患者の生命が一時的にせよ、危険にさらされることは容易に予想される。
さらに医療行為を再開するには、安全性を担保するために空間中の塩素ガス濃度を測定する作業が必要となり、事後処理のための医療施設の経済的負担は多大なものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H19年度厚生労働省受託「水道用薬品等基準に関する調査」−水道用次亜塩素酸Naの取扱い等の手引き(Q&A)、社団法人日本水道協会発行、平成20年3月
【非特許文献2】「安全な次亜塩素酸ソーダの取扱い」、日本ソーダ工業会発行、平成18年11月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
有害な塩素ガス発生事故が生じた場合の発生する塩素ガス量を低減させる方法としては前述のごとく、例えば、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムあるいは水酸化カルシウムなどのアルカリ剤を添加して混合液のpHを中性ないしはアルカリ性にし、塩素ガスの発生を抑制する方法、あるいはチオ硫酸ソーダ(別名:ハイポ)を添加する方法などがある。
【0009】
これらの中で、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは、毒物及び劇物取締法で劇物指定されているので厳重に保存管理されねばならなく、塩素ガスが発生した緊急時に、これらアルカリ剤を直接使用して該塩素ガスの発生を迅速に抑制する措置を講ずることは一般的には難しい。その間に有毒な塩素ガスは室内に放出され続けることになる。
【0010】
さらに、これら水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが固体形状の場合は、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液にそれらを添加するだけでは容易に溶解しないため、強制的な攪拌溶解機能が付与されていないところでは、混合液は早期に中和されず、迅速な塩素ガスの発生抑制効果はほとんど期待できないという問題を有している。
実際に、人工透析装置の日常的な洗浄に必要な洗浄剤を調製する場所においては、強制的な攪拌機能を有する設備は備わっていないのが一般的である。
【0011】
上記アルカリ剤が液体の場合は、上述の溶解遅延による問題は解消されるが、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に一度に多量添加されると、混合溶解熱が急激に発生して溶液温度は急上昇し、それによって塩素ガスの発生や放出が助長され、非常に危険な状態となる。
【0012】
水酸化カルシウムについても上記アルカリ剤と基本的に同じ問題を有し、塩素ガスの発生を抑制する緊急時の対応処置には実質的に適さない。
【0013】
一方、チオ硫酸ソーダは塩素ガス発生源の次亜塩素酸に作用して分解・無害化することから、しばしば水道水に含まれる次亜塩素酸の除去剤として使用されている。
しかし、チオ硫酸ソーダそのものは、酸と反応して硫黄と有毒な二酸化硫黄を発生するため、酸との混合あるいは接触は避けねばならない。塩素ガスが発生する混合液中には、しばしば酸性物質が残存しているので、このような混合液へのチオ硫酸ソーダ添加は、新たな有毒ガスを発生させることになり、大変危険で実使用上、問題である。
【0014】
本発明は塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤が誤って混合されたときに発生する塩素ガスの量を迅速に低減させ、早期に塩素ガスの発生反応を停止させ得る塩素ガス低減剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、このような問題点を解決するために鋭意検討の結果、ペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤を塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に添加すると、該酸化還元剤は溶解しながら塩素系化合物に作用することにより早期に塩素ガス発生反応を停止させ、しかも発生した塩素ガスを消滅させることを見いだした。さらに、特にペルオキソ酸塩や一部ペルオキソ酸(過炭酸、過ホウ酸等)の場合、混合液のpHを上げる機能をも有することにより、発生する塩素ガスの量を迅速に抑制することにより、上記問題点が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明の第一は、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤とを混合した際に、塩素ガスの発生量を抑制するとともに、発生した塩素ガスを消滅させる化合物として、水溶液中における25℃での標準酸化還元電位が+1.5V未満のペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤であることを特徴とする塩素ガス低減剤であり、本発明の第二は、前記酸化還元剤ないしは該酸化還元剤を構成する成分の一部が、ペルオキソ酸塩であることを特徴とするものであり、本発明の第三は、前記化合物が過炭酸ないしはその塩であることを特徴とする塩素ガス低減剤であり、本発明の第四は、前記酸化還元剤ないしは該酸化還元剤を構成する成分の一部が過ホウ酸ないしはその塩であることを特徴とする酸化還元剤である。
【0017】
本発明における塩素系洗浄剤とは、次亜塩素酸及びその塩、ジクロロイソシアヌル酸やトリクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸およびそれら塩などが含まれ、塩としては、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子を含有する塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属原子を含有する塩などが挙げられる。さらに上述の塩素系洗浄剤には、例えば、他に金属封鎖剤、無機系あるいは有機系のビルダー、あるいは界面活性剤など他の成分が単独ないしは2種以上含有されていてもよい。
【0018】
金属封鎖剤とは、金属イオンを封鎖(キレート)する作用を行う成分を意味し、有機ホスホン酸塩、例えば、アミノトリ(メチレンホスホン酸)塩、ジエチレントリアミノペンタ(メチレンホスホン酸)塩、エチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)塩など、アミノカルボン酸、例えばエチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ニトリロ三酢酸など、ヒドロキシカルボン酸系化合物、例えば、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩などが挙げられる。
【0019】
ビルダーの具体例としては、無機系の場合、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムやメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩、ケイ酸ナトリウムに代表されるケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩、ゼオライトなどの水不溶性化合物などが挙げられる。また有機系ビルダーとしては、カルボキシメチルセルロース、クエン酸三ナトリウム、2−オキサ−1,1,3−プロパントリカルボン酸三ナトリウム、3−オキサ−1,2,4−ブタントリカルボン酸三ナトリウム、3−オキサペンタン二酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、蓚酸、酒石酸、グルコン酸、あるいはポリアクリル酸に代表されるポリカルボン酸ポリマーなどが挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、通常液体洗浄剤に使用される非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0021】
この場合の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド等、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
またアニオン界面活性剤としては、例えばアルキルまたアルケニル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルケニル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸等、カチオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩酸塩や第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0022】
本発明の酸性洗浄剤とは、該洗浄剤の溶液pHが酸性を示すものであればいずれでもよく、その様な例としては、例えば、塩酸、硫酸あるいは硝酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸あるいはマレイン酸などの有機酸等、酸性物質を単独ないしは2種類以上組み合わせた水溶液が挙げられる。これら水溶液は酸性物質が完全なる溶解状態であるか、あるいは一部が溶解した懸濁状態のいずれでもよい。該水溶液は、これら酸性物質の外に塩素系洗浄剤の場合と同様に、金属封鎖剤、無機系あるいは有機系のビルダー、あるいは界面活性剤など他の成分を単独ないしは2種以上含有していてもよい。
これら金属封鎖剤、ビルダーおよび界面活性剤としては、例えば塩素系洗浄剤で列記した各種の化合物が挙げられる。
【0023】
本発明は、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤を混合した際に、塩素ガスの発生を迅速に抑制するとともに、発生した塩素ガスを消滅させる塩素ガス低減剤に関するものであり、該塩素ガス低減剤がペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明にいう酸化還元剤とは、化合物及びその構成成分の一部、並びにそれらから塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液中で派生する派生物が、酸化還元反応によって塩素ガスの発生を抑制すると共に、発生した塩素ガスを酸化還元反応によって還元除去するものである。この場合の酸化還元反応とは、電子の授受を伴う反応によって化合物の酸化還元が行われる反応のことである。
ペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤は、その成分(構成成分の一部又は派生物)である過酸化水素により、次式のように発生した塩素ガスを直接還元して塩素ガスを消滅させることができる。
【0025】
【化1】

【0026】
また次式のように塩素ガスの発生源化合物である次亜塩素酸や塩素化イソシアヌル酸などの塩素系化合物に直接作用して分解し、塩素ガスの発生量を抑制するとともに、塩素ガスの発生反応を早期に停止することができる。
【0027】
【化2】

【0028】
本発明のペルオキソ酸としては、有機系ペルオキソ酸や無機系ペルオキソ酸が挙げられる。有機系ペルオキソ酸としては、例えば過酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ジペルオキシコハク酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、シクロヘキサンペルオキシカルボン酸などがあり、無機系ペルオキソ酸としては、モノ過硫酸、過硫酸、モノ過リン酸、過ホウ酸(ペルオキソホウ酸)、過炭酸(ペルオキソ炭酸)およびペルオキソポリ酸などが挙げられる。
【0029】
これらペルオキソ酸はいずれも使用可能であるが、入手の容易さや取扱性、溶解度や溶解速度などの溶解性、保存安定性、さらには価格などの覡点からは無機系ペルオキソ酸が好ましい。
【0030】
本発明のペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤は、塩素ガスの発生抑制効果を迅速に発揮するために、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤の混合液に対して優れた溶解性を有し、しかも強制的な攪拌設備がなくても該混合液との均一化が容易であるものがよく、さらには、混合液との均一化過程で高い溶解熱を伴わないものが好ましい。
【0031】
このような酸化還元剤は、該酸化還元剤ないしは該酸化還元剤を構成する成分の一部について、その水溶液中における25℃での標準酸化還元電位が+1.5V未満のものである。
次亜塩素酸は、酸性条件下での半反応式および標準酸化還元電位(E)は次式のように示されている。
【0032】
【化3】

【0033】
このために、該酸化還元剤の標準酸化還元電位が+1.5V未満であれば、酸性条件において塩素ガスの発生源である次亜塩素酸を還元除去することができ、また発生した塩素ガスに対しても還元除去することができる。なお、標準酸化還元電位は、次亜塩素酸をより迅速に還元除去するためには、+1.0V以下がより好ましい。
【0034】
なお、酸化還元電位が1.5V未満の物質中、ペルオキソ酸ないしその塩は、混合液への添加後の溶解速度、化合物としての安定性、入手の容易さ、コスト面で優れている。
【0035】
このような標準酸化還元電位が+1.0V以下の性状を有する無機系ペルオキソ酸の中で、入手の容易さや取扱性、保存安定性などの観点からは、具体的には、過ホウ酸や過炭酸及びそれらの塩が好ましく、過炭酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩ないしはバリウム塩などの過炭酸塩がより好ましい。
【0036】
さらに、これら過炭酸塩は、塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤の混合液に溶解する際、炭酸ガスを発生しながら溶解する性状を有するため、これらガス気泡が混合液の攪拌効果を発揮し、該酸化還元剤の溶解性が一層促進されるとともに、混合液中の塩素ガスの発生源成分に対して分解反応をより迅速効果的に行うことができる。さらに過炭酸塩は、混合液のpHを上げる性状を有し、それによって塩素ガスの発生を抑制する効果も併せ持つ。
【0037】
本発明の塩素ガス低減剤である酸化還元剤は、混合液に添加後に、強制的な攪拌操作がなくても短時間に溶解して混合液との均一化が図られ、塩素ガスの発生を迅速に抑制することが可能な形態のものであれば特に限定はされず、液体あるいは粉末、顆粒体、錠剤などの固体形態など各種の形態を有するものから適宜選択すればよい。
液体としては、化合物そのものや溶液の状態で、霧吹き等で噴霧することにより使用できる。
【0038】
中でも、保存時の安定性や管理のし易さ、あるいは緊急時の取扱性、さらには迅速な効果の発揮などの観点からは、固体形態が好ましく、特に粉末あるいは顆粒体の形態が好ましく、顆粒体がより好ましい。
【0039】
これら固体形態の酸化還元剤において、その大きさは、1μm〜10,000μm、好ましくは20μm〜2,000μm、さらには50μm〜1,000μmの範囲のものが好ましい。10,000μmより大きいと、単位重量当たりの混合液との接液面積が低下して溶解速度が遅くなり、迅速な塩素ガスの発生抑制効果が得られない。また1μmよりも小さいと、単位重量当たりの接液面積は高いものの、製造時の作業性、あるいは取扱性が低下する。
【0040】
固体形態が顆粒体の場合、その嵩比重は0.2〜0.9g/cmの範囲のものが迅速な溶解性を示し、さらには0.3〜0.8g/cmが好ましく、0.4〜0.8g/cmの範囲のものがより好ましい。
嵩比重が0.2g/cm未満であれば、顆粒体の強度が弱くて潰れやすいため取扱いにくく、0.9g/cmよりも高い場合は溶解速度が極端に遅くなり、緊急時での迅速な塩素ガスの発生抑制効果発揮に支障をきたすことになる。
【0041】
顆粒体が上述の嵩比重範囲のものであれば、混合液中で浮遊しながら溶解するために、迅速な溶解が可能なだけでなく、塩素ガスの発生源成分を効率よく還元分解することができる。さらには、混合液の内部で発生した塩素ガスが、表面に移動する過程で効果的に接触して分解されるため、非常に有効である。
【0042】
本発明の塩素ガス低減剤である酸化還元剤は、塩素ガスが発生している混合液に可及的速やかに添加して該塩素ガスの発生を抑制するものであるが、酸化還元剤の添加は、1回に限られず、小分けにして複数回行われるものでもよい。この場合の添加量は、混合液に含まれている塩素系洗浄剤量や混合液のpHに左右されるが、通常は一般に使用されている塩素系洗浄剤中の次亜塩素酸や塩素化イソシアヌル酸の濃度を勘案して、混合液量1Lあたり1g〜1kgの範囲で適宜選択すればよい。
【0043】
これら酸化還元剤は、混合液に添加後、混合溶解熱の発生に伴う急激な温度上昇や、急激な過剰量の気泡発生による混合液の噴出など、一時的にせよ塩素ガスの発生を助長したり、周囲環境への塩素ガス放出を促すような危険な現象の発生は避けねばならない。
このような観点から、本発明の塩素ガス低減剤は、酸化還元剤が多孔性基材とで複合化されたものが好ましい。
【0044】
本発明において多孔性基材とは、多数の空洞(孔)が存在している基材をいう。そして、溶液に沈めた際、該溶液が基材に設けられた空洞(孔)を通過して、基材の片面から反対面に移動することができる基材が好ましい。この空洞(孔)は、基材の片面から反対面に貫通されたものが好ましく、空洞(孔)の形状や大きさは特に限定されない。
この多孔性基材は、酸化還元剤との複合化が容易であり、保存中は化合物による影響を受けることもなく、酸化還元剤を安定に保持できるものであればよく、さらには、塩素ガス低減剤が混合液に添加された際、混合液が複合体内部に浸透して化合物の溶解がスムーズに行われるものであれば特に限定されない。
【0045】
そのような多孔性基材としては、無機系基材や有機系基材あるいはそれらを複合化した複合基材などいずれの基材から作製、使用することもできる。
【0046】
無機系基材としては通常シリカ成分を主体とする基材が用いられる。
【0047】
有機系基材としては、天然高分子、合成高分子あるいは半合成高分子などからなる基材が挙げられる。天然高分子としては、例えば、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、カラギーナン等の多糖類高分子、合成高分子としては、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系高分子、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレートあるいはポリ乳酸などのポリエステル系高分子、ポリイミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミド(ナイロン6)などのポリアミド系高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレンなどのフッ素系高分子、ポリビニールアセテートなど各種のものが挙げられる。さらに半合成高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミノ酸等が挙げられる。
【0048】
そして繊維状の有機系基材は、多孔性基材に成形することが比較的容易で取扱い性もよく、生産性の面でも優れている。有機系基材を繊維状に加工する方法としては、高分子を熱溶融した後に紡糸する溶融紡糸法あるいは溶剤に溶かした後に紡糸する湿式紡糸法があり、使用する高分子の物性に応じて選択すればよい。
【0049】
得られた繊維の繊維径は、多孔性基材形成に支障がない範囲であれば特に制限はないが、取扱い性や化合物との複合形成性の観点から、繊維径が10μm以上700μm未満のものが好ましく、30μm以上500μm未満のものがより好ましい。
また該繊維の断面形状は真円や楕円などの円形、星形などの異形等いずれの形状でもよく、また円形においても、芯鞘構造やサイドバイサイド構造など複合型構造を有する形状であってもよい。中でも低融点高分子と高融点高分子からなる複合型構造を有する繊維は、熱処理でもって容易に多孔性基材を成形することが可能であり、化合物との複合体形成に好適である。
【0050】
このような繊維を用い、加工して得られた多孔性基材としては、不織布形状が好ましく、不織布は、メルトブロー法やスパンボンド法、ニードルパンチ法などの方法で製造することができる。
この場合の不織布は、目付量(g/m)が単位面積当たり20g以上200g未満の範囲のものであればよく、25g以上100g未満の範囲が好ましく、30g以上70g未満のものがより好ましい。20g未満であれば、固体状の化合物の保持性が悪く、複合体から漏れ出ることがあり、また200g以上であれば固体状の化合物が複合体から漏れでることはないが、次亜塩素酸及び/又はジクロロイソシアヌル酸を含有する塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に添加した際、複合体への混合液の浸透性が悪くなり、これによって化合物の溶解速度が低下して塩素ガスの発生抑制効果が十分に発揮されなくなる。
【0051】
また、本発明において、複合体とは、化合物が基材に固着または収納されたものをいう。化合物は固体(粉体・粒・顆粒等)または液体である。基材の形状としてはスポンジ状、フィルム状、袋形状、ゲル形状等の複合体内の化合物の迅速な溶解に悪影響を及ぼさない形状であればいずれの形状を採用してもよい。基材の材料は、上記のような無機系基材、有機系基材のいずれでもよい。そして、化合物の基材への固着・収納形態は、袋状部分に詰める、基材に練り込む、基材の空洞(孔)の中に入れる、化合物を含浸させる等、基材が化合物を保持できればいかなる方法を採用してもよい。
【0052】
該複合体は、混合液に添加後、混合液の底面に沈んだ状態で塩素ガスの発生を抑制するよりも、混合液中ないしは混合液の上面に浮遊した状態で抑制効果を発揮するような形状が好ましい。すなわち混合液中で発生した塩素ガスは、混合液表面から空気中に放出されるため、塩素ガスの発生を抑制するとともに発生した塩素ガスに効果的に作用して放出される塩素ガス量を抑制するには、該複合体は混合液中ないしは混合液の上面に浮遊する形状が好ましい。
このような形状の場合は、混合液中に浮遊ないしは液表面に浮遊しながら溶解した化合物が多孔性基材から溶液中に拡散していくので、混合液内部で発生した塩素ガスは表面に移動する過程で効果的に分解されるため、環境中に放出される塩素ガス量は低レベルで早期に消失することが大いに期待される。
【0053】
本発明の化合物と多孔性基材との複合重量比は、多孔性基材が化合物を保持できる範囲であり、混合液の表面ないしは該液中に浮遊できる範囲であれば、特に制限はないが、多孔性基材が不織布の場合、1:1から1:500の範囲であればよく、1:2から1:250の範囲が好ましく、さらには1:5から1:200の範囲がより好ましい。この場合、化合物は、多孔性基材に一括して袋詰めされていてもよいが、混合液への溶解速度や塩素ガスの抑制効果発揮など、より迅速化を図るためには、該化合物は、多孔性基材の中で小分けに分割された状態で複合化されているのが好ましい。
【0054】
本発明の塩素ガス低減剤には、化合物や多孔性基材の性能に悪影響を及ぼすことがなく、さらには塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に作用して、塩素ガスなどの人体に有害な物質を発生・促進させる特性を有しないものであれば、いずれのものが添加されていてもよい。そのようなものとして、例えば、粒状や繊維状など各種形状を有する活性炭、シリカゲル等の乾燥剤、pHにより色調変化を示す薬剤、あるいは高分子吸水剤などが挙げられる。
特に活性炭は、塩素ガス除去性を有することから、塩素ガス低減剤に含まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、塩素ガス低減剤を塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤との混合液に投入するだけで、混合液から発生する塩素ガス量が迅速に抑制されると同時に、発生した塩素ガスに作用して塩素ガスを消滅させることから、環境中に放出される塩素ガス量は極めて低レベルにまで抑制される。
【0056】
さらには本発明の塩素ガス低減剤は、塩素ガスを発生する原因物質にも作用して塩素ガス発生反応が生じない化合物に変換し、その結果、塩素ガスの発生を短時間に停止させるため、環境中の塩素ガスは早期に消失することが大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】 図1は、各種複合体の形状を示す図である。複合体A及びCは、ドーナツ状をしておりその中に化合物を詰め込んだものであり、複合体Bは、シート状であるが、これを10分割し、それぞれに化合物(ペルオキソ酸塩)を袋詰めしたものである。
【図2】 図2は、実施例1、実施例2を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【図3】 図3は、実施例3、実施例4を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【図4】 図4は、比較例1、比較例2を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【図5】 図5は、実施例5を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【図6】 図6は、実施例6を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【図7】 図7は、実施例7を混合液に添加した後の経過時間と容器内の塩素ガス量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0058】
以下に本発明をより具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0059】
実施例において、各特性値の測定は次の方法により実施した。
平均繊維径:繊維径は、走査電子顕微鏡(SEM)画像から測定して得られる繊維の短軸断面における直径を意味し、繊維10本の繊維径の平均値を算出した。
塩素ガス発生量:発生する塩素ガス量は、株式会社ガステック製の塩素ガス検知管No.8H(目盛範囲:50〜500ppm)およびNo.8La(目盛範囲:0.5〜8ppm)を用いて測定した。
【0060】
ポリエステル系同心芯鞘型複合繊維からなる不織布(平均繊維径35μm、目付量50g/m)2枚をその一部に開口部ができるようにヒートシール加工して、大円形の直径が8.5cmで小円形の直径が1.5cmからなるドーナツ型袋シート及び20cm×20cmの袋状シートの2種類を作製した。そして該シート内部にペルオキソ炭酸ソーダ(新酸素化学株式会社製、粒子径150〜1000μm、嵩比重0.7〜0.85g/cm 標準酸化還元電位+0.68V(派生物(水との反応により派生した物質)))を、それぞれ5g及び150gを詰めた後、開口部をヒートシール加工により塞ぎ、ペルオキソ炭酸塩と多孔性基材とからなる複合体A及び複合体Bを調製した。なお、複合体Bには、ペルオキソ炭酸ソーダの他に活性炭繊維(ユニチカ製A−10、比表面積1000m/g)2gを同時に混合した。
【0061】
また、複合体Aにおいて、ペルオキソ炭酸ソーダの代わりにペルオキソホウ酸ソーダ(米山化学工業社製、粒子径150〜1000μm)4.5gを詰めたものを複合体Cとした。
複合体A、B及びCは、図1にそれぞれの形状を示したが、複合体AとCはドーナツ型形状である。そして複合体Bは一枚のシート型形状であるが、それを10分割するようにヒートシール加工し、分割された部分がそれぞれ独立した袋状となっている。
【実施例1】
【0062】
密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し混合液を調整した。そして、50秒後にペルオキソ炭酸(液体、標準酸化還元電位+0.7V(派生物))5gを、30秒間隔で5回に分け、前記混合液に添加して発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図2に示した。
添加後から塩素ガス量は減少し、20分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下になった。ペルオキソ炭酸を添加して2時間後の混合液のpHは、初期3.3から4.0に上昇していた。また混合液温度は、添加前後で特に変化はなかった。そして添加後特に異常は見られなかった。
【実施例2】
【0063】
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後にペルオキソ炭酸ソーダ5g(顆粒、酸化還元電位+0.68V(派生物))を、1gずつ30秒間隔で5回に分けて添加した。その後、実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図2に示した。
添加直後から塩素ガスは減少し、ほとんど検知されなくなった。そして、20分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下となった。
ペルオキソ炭酸ソーダを添加して2時間後の混合液のpHは、初期3.3から4.8に上昇していた。また混合液温度は、添加前後で特に変化はなかった。そして添加後特に異常は見られなかった。
【実施例3】
【0064】
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後にペルオキソホウ酸5g(液体、酸化還元電位+0.70V(派生物))を、1gずつ30秒間隔で5回に分けて添加した。その後、実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図3に示した。
添加後から塩素ガスは減少し、約25分で塩素ガス量は検出限界0.3ppm以下となった。
ペルオキソホウ酸を添加して2時間後の混合液のpHは、初期3.3から4.2に上昇していた。また混合液温度は、添加前後で特に変化はなかった。そして添加後特に異常は見られなかった。
【実施例4】
【0065】
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後にペルオキソホウ酸ソーダ5g(顆粒、酸化還元電位+0.69V(派生物))を、1gずつ30秒間隔で5回に分けて添加した。その後、実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図3に示した。
添加直後から塩素ガスは減少し、ほとんど検知されなくなった。そして、20分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下となった。
ペルオキソホウ酸ソーダを添加して2時間後の混合液のpHは、初期3.3から5.0に上昇していた。また混合液温度は、添加前後で特に変化はなかった。そして添加後特に異常は見られなかった。
【0066】
(比較例1)
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後に水酸化ナトリウムの固体5g(粒状)を、1gずつ30秒間隔で5回に分けて添加した。その後実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図4に示した。
添加直後は、235ppmの塩素ガスが生じており、緩やかにではあるが塩素ガスの量が減少していった。塩素ガス量が検出限界0.5ppm以下となるのに60分以上の時間がかかった。
水酸化ナトリウムを添加して2時間経過後の混合液のpHは、初期3.3から4.2に上昇していた。
なお、添加直後に急激な沸騰現象が発生した。また、容器内混合液の下層部は、水酸化ナトリウムの溶解熱発生に伴い、70〜80℃の高温状態であった。また密閉容器の底部には、水酸化ナトリウムの固体の一部が添加2時間後も未溶解の状態で残存していた。
【0067】
(比較例2)
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後にチオ硫酸ソーダの固体3g(粒状、酸化還元電位+0.08V)を、1gずつ30秒間隔で5回に分けて添加した。その後実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図4に示した。
添加直後は、120ppmの塩素ガスが生じており、緩やかにではあるが塩素ガスの量が減少していった。塩素ガス量が検出限界0.5ppm以下となるのに約30分の時間がかかった。
チオ硫酸ソーダを添加して2時間経過後の混合液のpHは、ほとんど変化はなかった。
なお、添加後に二酸化硫黄が発生した。
【実施例5】
【0068】
実施例1と同様に、密閉容器1.5Lに6%次亜塩素酸を含有する次亜塩素酸系洗浄液12.5ml、蒸留水37.5mlおよび90%酢酸溶液5mlを混合し、50秒後に前記複合体Aを添加して発生する塩素ガス量を塩素ガス検知管にて経時的に測定した。その結果を図5に示した。
複合体Aを添加した直後から塩素ガスは減少し、ほとんど検知されなくなった。そして、約20分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下となった。
複合体Aを添加して2時間後の混合液のpHは、初期3.3から4.8に上昇していた。また混合液温度は、添加前後で特に変化はなかった。そして添加後特に異常は見られなかった。
【実施例6】
【0069】
密閉容器1.5Lに酸性洗浄剤「サンフリーL」(アムテック(株)製)の4倍希釈液100mlと6%次亜塩素酸溶液を10ml混合し、50秒後に前記複合体Cを添加した後、実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を測定した。その結果を図6に示した。
複合体Cを添加した直後から塩素ガスは減少し、ほとんど検知されなくなった。そして、約40分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下となった。
複合体Cを添加した2時間後の混合液のpHは、初期1.9から2.9に上昇した。混合液温度は、複合体C添加前後で特に変化はなかった。そして、添加後特に異常は見られなかった。
【実施例7】
【0070】
密閉容器23Lに酸性洗浄剤「サンフリーL」の4倍希釈液5.3Lと6%次亜塩素酸溶液0.6Lを混合し、1分後に実施例1の複合体Bを添加した後、実施例1と同様の方法で発生する塩素ガス量を測定した。その結果を図7に示した。
複合体Bを添加した直後から塩素ガスは減少し、ほとんど検知されなくなった。そして、約60分で塩素ガス量は検出限界0.5ppm以下となった。
複合体Bを添加した2時間後の混合液のpHは、初期1.9から2.9に上昇した。混合液温度は、複合体B添加前後で特に変化はなかった。そして、添加後特に異常は見られなかった。
混合液温度は、複合体B添加前後で特に変化はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素系洗浄剤と酸性洗浄剤とを混合した際に、塩素ガスの発生量を抑制するとともに、発生した塩素ガスを消滅させる化合物が、水溶液中における25℃での標準酸化還元電位が+1.5V未満のペルオキソ酸ないしはその塩からなる酸化還元剤であることを特徴とする塩素ガス低減剤。
【請求項2】
前記酸化還元剤が、ペルオキソ酸塩であることを特徴とする請求項1記載の塩素ガス低減剤。
【請求項3】
前記酸化還元剤が過炭酸ないしはその塩であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の塩素ガス低減剤。
【請求項4】
前記酸化還元剤が過ホウ酸ないしはその塩であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の塩素ガス低減剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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