説明

塵芥収集車

【課題】 エネルギを無駄なく効率的に利用することが可能な塵芥処理車を提供することである。
【解決手段】 螺旋状のブレード10,11を具備し液圧モータ1によって回転駆動されるドラムDと、ドラムDの一端開口部を閉塞しドラムD内に塵芥を案内する螺旋状の不動な案内ブレード15を備えた蓋Cと、塵芥を裁断して塵芥をドラムD内に投入する裁断装置Sとを備え、ドラムD内に投入された塵芥をドラムDの回転により圧縮することが可能な塵芥収集車Jにおいて、裁断装置Sは、外周に複数の刃32が設けられる相対回転可能な一対の軸30,31と、各軸30,31を駆動する裁断用液圧モータ33とを具備してなり、上記液圧モータ1および裁断用液圧モータ33に分流弁50を介して液体を供給する液体供給手段2を設け、液体供給手段2は、ドラムDを回転させるトルクに基づいて液体供給流量を調節することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塵芥収集車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車にあっては、トラックの架台に搭載され内周側に螺旋状のブレードを備えたドラムと、ドラムの開口端を閉塞するとともにドラム内に塵芥を案内する不動の案内ブレードと、ドラムを回転駆動する駆動源とを備えて構成されている。
【0003】
上記のような塵芥収集車では、塵芥投入時には、ドラムの後方から塵芥を投入しつつ、ドラムを回転駆動する。そして、ドラム内に投入された塵芥は、案内ブレードに案内されつつ、ドラム内周のブレードによってドラムの内方奥へと送り込まれ、ドラム内に貯留されることになる(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この塵芥収集車にあっては、ドラム内に塵芥が一杯に満たされた後は、ドラムを回転駆動しつづけるとともに新たに塵芥をドラム内に投入することによって、塵芥を圧縮してドラム内に詰め込むことが可能である。
【0005】
また、ドラムの回転駆動するにあたりトラックのエンジン動力によって駆動力を出力する駆動源を備えており、この駆動源は、具体的には、エンジン動力をPTO(Pawer Take Off)を介して取り出して回転せしめられる油圧ポンプと、油圧ポンプからの油圧の供給を受けて駆動される油圧モータとを備え、油圧モータの出力トルクをドラムに伝達することによって、ドラムを回転駆動している(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭56−92603号公報(第3頁第11行目から第6頁第6行目まで,図1)
【特許文献2】特開2001−48306号公報(段落番号0005参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した塵芥収集車にあっては、塵芥がドラム内に一杯に満たされたのちに、さらに、塵芥を新たに投入して圧縮することによって、より大量の塵芥の収集が可能となるのであるが、ドラムを回転させて塵芥を圧縮するにはより大きなトルクが必要であり、従来のエンジン動力を利用してドラムを回転駆動する塵芥収集車では、ドラムの回転速度を一定に設定しているため、塵芥収集作業中にあっては、常に、塵芥を最大限に圧縮するときにドラムを回転させるうえで要求されるトルクを発生させることができるように、エンジンに仕事をさせていた。
【0007】
すなわち、トラックのエンジンが出力する仕事率(馬力)は、図12に示すように、塵芥がドラム内に一杯に満たされていない状態や、塵芥が最大限に圧縮されていない状態であっても、常に塵芥を最大限に圧縮するときに要求される馬力に固定化されているため、その分、エンジンが出力する仕事が無駄に消費されることになり、このため従来の塵芥収集車は、エネルギを無駄に消費し、非効率であった。
【0008】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、エネルギを無駄なく効率的に利用することが可能な塵芥処理車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明における第1の課題解決手段は、螺旋状のブレードを具備し液圧モータによって回転駆動されるドラムと、ドラムの一端開口部を閉塞しドラム内に塵芥を案内する螺旋状の不動な案内ブレードを備えた蓋と、塵芥を裁断して塵芥をドラム内に投入する裁断装置とを備え、ドラム内に投入された塵芥をドラムの回転により圧縮することが可能な塵芥収集車において、裁断装置は、外周に複数の刃が設けられる相対回転可能な一対の軸と、各軸を駆動する裁断用液圧モータとを具備してなり、上記液圧モータおよび裁断用液圧モータに分流弁を介して液体を供給する液体供給手段を設け、液体供給手段は、ドラムを回転させるトルクに基づいて液体供給流量を調節する。
【0010】
また、本発明における第2の課題解決手段は、螺旋状のブレードを具備し液圧モータによって回転駆動されるドラムと、ドラムの一端開口部を閉塞しドラム内に塵芥を案内する螺旋状の不動な案内ブレードを備えた蓋と、塵芥を裁断して塵芥をドラム内に投入する裁断装置とを備え、ドラム内に投入された塵芥をドラムの回転により圧縮することが可能な塵芥収集車において、裁断装置は、外周に複数の刃が設けられる相対回転可能な一対の軸と、各軸を駆動する裁断用液圧モータとを具備してなり、上記液圧モータおよび裁断用液圧モータに分流弁を介して液体を供給する液体供給手段を設け、液体供給手段は、分流され液圧モータへ供給される液圧に基づいて液体供給流量を調節する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドラムを回転駆動する液体供給手段の駆動源の仕事率を一定として、塵芥が圧縮される以前には、ドラムの回転速度を高く維持しておき、塵芥の圧縮が始まると、ドラムを回転させるトルクあるいは分流され液圧モータへ供給される液圧に応じてドラムの回転を継続して塵芥を圧縮できる程度にまでドラムの回転速度を低下させる。
【0012】
したがって、駆動源の仕事率が従来の塵芥収集車と同じに設定される場合、塵芥収集作業中は、駆動源の仕事量を無駄にせずに従来の塵芥収集車のドラム回転速度より高いドラム回転速度で塵芥収集作業を行うことになる。
【0013】
また、駆動源の仕事を無駄なく塵芥収集作業で消費することができるので、塵芥収集作業における作業時間を短縮することが可能であり、燃費を向上することができ、省エネルギとなる。
【0014】
さらに、煩雑な制御の必要無しに、分流弁によって裁断装置の塵芥投入速度をドラムの塵芥を内方へ送り込む速度に同期させることができるので、塵芥収集車の信頼性と実用性が向上するとともに、作業者がドラムの回転速度によって裁断装置の塵芥投入速度を手動で切換える手間が省け、塵芥収集作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、第1の実施の形態における塵芥収集車の概略図である。図2は、第1の実施の形態における塵芥収集車のシステム構成の一例を示す図である。図3は、第1の実施の形態における塵芥収集車を後方から見た図である。図4、第1の実施の形態における塵芥収集車の裁断装置の概略図である。図5は、第1の実施の形態における塵芥収集車における液圧モータおよび裁断用液圧モータを駆動するための液圧回路図である。図6は、第1の実施の形態の塵芥収集車における液体供給手段の吐出流量を調節する時の制御手順の一例を示すフローチャートである。図7は、第1の実施の形態の塵芥収集車におけるドラムの回転速度とドラム回転トルクの時間に対する変化を示した図である。図8は、第2の実施の形態における塵芥収集車における液圧モータおよび裁断用液圧モータを駆動するための液圧回路図である。図9は、第2の実施の形態における塵芥収集車のシステム構成の一例を示す図である。図10は、第2の実施の形態の塵芥収集車におけるポンプの吐出流量を調節する時の制御手順の一例を示すフローチャートである。図11は、第2の実施の形態の塵芥収集車におけるドラムの回転速度とドラム回転トルクの時間に対する変化を示した図である。
【0016】
第1の実施の形態における塵芥収集車Jは、図1および図2に示すように、基本的には、車両Vと、車両Vの架台に回転に自在に搭載されるドラムDと、ドラムDの一端開口部を閉塞する蓋Cと、ドラムDを回転駆動する液圧モータ1および液圧モータ1に液体を供給する液体供給手段たるポンプ2と、車両Vに搭載されるとともにポンプ2を駆動する駆動源たる車両走行用のエンジンEと、塵芥を裁断するとともにドラムD内に塵芥を投入する裁断装置Sと、液圧モータ1、ポンプ2および裁断装置Sを制御する制御部3とを備えて構成されている。
【0017】
以下、詳細に説明すると、ドラムDは、円筒状であって、内周に螺旋状のブレード10,11が設けられており、また、ドラムDの他端は、液圧モータ1のシャフト1aに図示しない減速機を介して連結され、ドラムDは、液圧モータ1によって回転駆動されるようになっている。このドラムDを液圧モータ1によって一方側に回転させるとドラムD内に投入される塵芥をこのブレード10,11によってドラムDの内方へと送り込むことができ、ドラムDを他方側に回転させるとドラムD内の塵芥を上記ブレード10,11によってドラムDから排出することができるようになっている。
【0018】
そして、ドラムDの一端開口端は、蓋Cで閉塞されるとともに、この蓋Cには、図3に示すように、塵芥をドラムD内に投入することができるように投入口12が設けられ、また、上記ドラムDの回転によって塵芥を排出することができるように排出口13が設置されている。
【0019】
さらに、図1に戻って、上記蓋CのドラムDの内方を向く側には、中空円錐台状の内筒14が立設され、この内筒14の外周には、上記ブレード10,11とは逆巻の螺旋状とされる不動ブレード15が設けられている。なお、この内筒14の下方基端側には、切欠14aが設けられており、この切欠14aを介して投入口12から投入される塵芥をドラムD内に投入できるようになっている。
【0020】
そして、上記蓋Cは、具体的には、ドラムDの全体を覆うドラムカバーDCの後端に取り付けられることによって車両Vに対して不動とされ、不動ブレード15も、また液圧モータ1によってドラムDとともに回転するブレード10,11に対して不動とされており、この不動ブレード15によって、投入口12から投入されて上記回転するブレード10,11で内筒14の上方に掻き上げられた塵芥をドラムD内方へと速やかに送り込むことができる。
【0021】
さらに、ドラムD内が塵芥で一杯となる状態の後に、塵芥がドラムD内に投入されると、ブレード10,11で塵芥を圧縮しつつドラムDの内方へ送り込むことになるが、不動ブレード15の存在と投入口12に投入された塵芥を掻き上げるブレード10,11とで、ドラムD内における投入口12の直下に新たに塵芥を投入するスペースを作るとともに、塵芥が投入口12へ逆流してしまうことを防止している。
【0022】
したがって、上記ブレード10,11と不動ブレード15および蓋Cによって、ドラムD内に塵芥を圧縮して貯留することが可能となっている。
【0023】
そして、上記したように、ドラムDは、液圧モータ1によって回転駆動されて、塵芥の投入および排出を行うことができるようになっているが、上記シャフト1aには、ドラムDを回転させるトルク(以下、「ドラム回転トルク」という)を検出することができるように、トルクセンサ4が設けられ、このトルクセンサ4で検出するドラム回転トルクを電圧信号として制御部3に出力するようになっている。
【0024】
また、液圧モータ1は、具体的にはたとえば、双方向回転可能であって液体の流量によって回転速度が変化するように設定されている。なお、液圧モータ1は、傾転角の変更により容量が変化し回転速度が変化するように設定されてもよい。
【0025】
さらに、液圧モータ1に液体を供給するポンプ2は、車両VのエンジンEに、図示しないPTO(Power Take Off)を介して接続されており、該エンジンEのクランクシャフトの回転運動が伝達されて回転駆動される。なお、上記PTOとポンプ2との間に減速機を設けるようにしてもよい。
【0026】
また、ポンプ2は、具体的には、斜板カム(図示せず)の傾角を変更することにより吐出流量を可変にするアキシャル形のポンプとして構成されている。
【0027】
そして、上記ポンプ2の斜板カムの変更は、具体的にたとえば、サーボシリンダにより行われ、この液圧ポンプ2の吐出流量は、容量センサ5で検知して制御部3に入力され、制御部3は容量センサ5が検出する容量をフィードバックとしてサーボシリンダを駆動しポンプ2の吐出流量を制御することができるようになっている。
【0028】
また、エンジンEは、制御部3からのエンジン回転速度指令信号をうけてエンジンEのスロットル弁(図示せず)の開度を調節するスロットル調整装置(図示せず)によって回転速度が制御される。
【0029】
このエンジンEの回転速度は、エンジン回転速度センサ6によって検出され、この回転速度センサ6が出力するエンジン回転速度は制御部3に入力される。
【0030】
そして、制御部3は、上記エンジン回転速度をフィードバックとしてエンジン回転速度指令信号をスロットル調整装置に出力してスロットル調整装置を制御して、車両を停車して塵芥収集を行うにあたり、基本的には、エンジンEの回転数を任意の一定値に制御する。なお、上記任意の一定値のエンジン回転数は、ドラムD内に投入される塵芥を最大限に圧縮することができるようなトルクを発揮できる任意の値とされる。
【0031】
したがって、塵芥収集車が停車中であっても、ドラムDの回転駆動が必要な場合には、上記制御部3がスロットル調整装置を制御して、エンジンEの回転速度を上記任意の一定値に維持してエンジンEに一定のトルクを出力させることができるようになっている。
【0032】
なお、エンジンEが電子制御可能なガバナを搭載している場合には、該ガバナに信号を送ることでエンジン回転速度を調節可能であるので、上記スロットル調整装置は不要となる。
【0033】
また、エンジンEの回転数制御を制御部3で行わずに、手動でエンジンEの回転速度を上記任意の一定値に維持可能なようにスロットルを固定することができるようにしておいてもよい。
【0034】
転じて、裁断装置Sは、図1、図3および図4に示すように、ハウジングHと、外周に複数の刃32が設けられる相対回転可能な一対の軸30,31と、各軸30,31を駆動する裁断用液圧モータ33とを備え、一方の軸30の刃32と他方の軸31の刃32が交互に配置されて構成されている。
【0035】
そして、上記裁断用液圧モータ33は、上記した液体供給手段たるポンプ2から供給される液体によって駆動され、これによって、軸30,31を回転駆動することができるようになっている。この裁断用液圧モータ33は、具体的にはたとえば、双方向回転可能であって液体の流量によって回転速度が変化するように設定されている。なお、裁断用液圧モータ33も液圧モータ1と同様に、傾転角の変更により容量が変化し回転速度が変化するように設定されてもよい。
【0036】
また、この裁断装置Sにあっては、ハウジングHの図4中右方となる前面側に回動自在に設けた作業台B1をガイドとして上記各軸30,31の間に塵芥を投入すると、上記交互に配置され図中矢印方向に回転する各刃32で塵芥をせん断して裁断しつつ、軸30,31の回転によって裁断された塵芥を裁断装置Sの図4中左方となる背面側に送ることができ、また、この裁断装置Sは、その背面側に上記蓋Cの投入口12が位置するように、車両Vに取り付けられ、ハウジングHの図中左方となる背面に設けた投入口12に望むガイド板B2で塵芥をドラムD内に案内して投入することができる。
【0037】
さらに、液圧モータ33の出力軸は、図示はしないが、減速機を介して軸30、31に伝達されるようになっており、図4に示すように、塵芥を裁断するために軸30を図中矢印方向となる反時計回りに軸31を図中矢印方向となる時計回りに回転させ、逆に、塵芥が刃32間や軸30,31と刃32との間に詰まった場合に塵芥を排出するために上記した回転方向とは逆に軸30,31を回転できるようになっている。
【0038】
したがって、この裁断装置Sは、軸30,31の回転速度を調節することによって、塵芥の裁断速度を調節することができ、また、軸30,31の回転速度を調節することによって、塵芥をドラムD内に投入する塵芥投入速度をも調節することが可能である。
【0039】
つづいて、上記した液体供給手段である吐出流量可変のポンプ2から液圧モータ1および裁断用液圧モータ33への液体の供給は、具体的には、図5に示すような液圧回路によって行われる。
【0040】
詳しく説明すると、ポンプ2の吐出口は、管路60を介して分流弁50の上流に接続され、ポンプ2から供給される液体は上記分流弁50によって分流され、管路61,63を介して液圧モータ1および裁断用液圧モータ33のそれぞれに配分されて供給されるようになっている。また、ポンプ2の吸入口は、管路66を介してタンクTに接続されて、ポンプ2はタンクTから液体を吸い込み分流弁50へ液体を吐出する。さらに、管路60の途中には、液体をタンクTまで導く管路67が設けられるとともに、この管路67の途中にリリーフ弁53が設けられており、ポンプ2の吐出流量が過大となると、リリーフ弁53が開いて、余剰な液体をタンクTに戻すことができるようになっている。
【0041】
そして、液圧モータ1の流出入口の一方は、上述のように管路61に接続され、また、流出入口の他端は、管路62を介してタンクTに接続されており、他方、裁断用液圧モータ33の流出入口の一方は、上述のように管路63に接続され、また、流出入口の他端は、管路64を介してタンクTに接続されている。
【0042】
さらに、管路61および管路62の途中には、液圧モータ1を正逆回転可能とするために液体の流れの方向を切換える方向切換弁51が設けられており、この方向切換弁51は、管路61,62をタンクTに接続し液圧モータ1をアンロード状態とするポジションと、液圧モータ1に管路61側から液体を供給して液圧モータ1を正転させるポジションと、液圧モータ1に管路62側から液体を供給して液圧モータ1を逆転させるポジションを備えており、両端側からバネ(符示せず)に附勢されて中立位置では液圧モータ1をアンロード状態にするポジションをとるように設定されるとともに、同じく両端側に設けたソレノイド(符示せず)の一方を励磁すると液圧モータ1を正転させるポジションに、ソレノイドの他方を励磁すると液圧モータ1を逆転させるポジションをとるように設定されている。なお、上記液圧モータ1にあっては正転するときには、塵芥をドラム内方へ搬送および圧縮する方向にドラムDを回転させるように設定されている。
【0043】
したがって、上記方向切換弁51のポジションの切換操作によって液圧モータ1を正逆回転および停止させることができ、この方向切換弁51の操作は制御部3によって行われるが手動によっても切換可能とされてもよい。
【0044】
また、裁断用液圧モータ33の正逆回転を制御可能なように、管路63,46の途中にも、方向切換弁51と同様の構成の方向切換弁52が設けられており、この方向切換弁52にあっても、管路63,64をタンクTに接続し裁断用液圧モータ33をアンロード状態とするポジションと、裁断用液圧モータ33に管路63側から液体を供給して裁断用液圧モータ33を正転させるポジションと、裁断用液圧モータ33に管路64側から液体を供給して裁断用液圧モータ33を逆転させるポジションを備えており、この方向切換弁52のポジションの切換操作によって裁断用液圧モータ33を正逆回転および停止させることができ、この方向切換弁52の操作もまた制御部3によって行われるが手動によっても切換可能とされてもよい。なお、上記裁断用液圧モータ33にあっては正転するときには、塵芥をドラム内方へ投入するように軸30,31を回転させるように設定されている。
【0045】
そして、分流弁50は、液圧モータ1と裁断用液圧モータ33のそれぞれに液体を分配するが、その比率は、液圧モータ1でドラムDを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度と裁断用液圧モータ33が軸30,31を回転させて塵芥をドラム内に投入する速度とを同期させるように設定されており、詳しくは、裁断装置Sによって連続して投入される塵芥が投入口12から逆流することが無いように、分流弁50の分流比率による液圧モータ1の回転速度は、投入口12の直下に投入される塵芥をブレード10,11でドラムD内に搬送して、投入口12の直下に裁断用液圧モータ33の回転速度に依存する塵芥投入量と同等のスペースを確保できる速度とされており、このように設定することによって、塵芥が投入口12から逆流することが防止されることになり、ポンプ2の動力を無駄無く消費でき、効率的な塵芥収集作業を行うことができる。
【0046】
なお、分流弁50による分流比率は、少なくとも液圧モータ1でドラムDを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度が裁断用液圧モータ33を回転させることで塵芥をドラム内に投入する速度以上となるように設定されればよく、詳しくは、裁断装置Sによって連続して投入される塵芥が投入口12から逆流することが無いように、分流弁50の分流比率による液圧モータ1の回転速度は、投入口12の直下に投入される塵芥をブレード10,11でドラムD内に搬送して、投入口12の直下に裁断用液圧モータ33の回転速度に依存する塵芥投入量以上のスペースを確保できる速度以上に設定されればよい。分流弁50の分流比率をこのように設定することで、塵芥が投入口12から逆流することが防止される。
【0047】
また、管路63における裁断用液圧モータ33と方向切換弁52との間と管路60は、管路65によって接続され、管路65の途中にはリリーフ弁54が設けられ、裁断用液圧モータ33が正転するとき、すなわち、塵芥を裁断してドラムD内に塵芥を投入する方向に軸30,31を回転駆動する方向に回転するときに出力するトルクが過大となった場合には、上記リリーフ弁54が開いて液体を管路60に導くことができ、これにより、塵芥裁断中に刃32に過大な負荷がかかって刃32が損傷してしまう事態が防止される。
【0048】
さらに、管路65のリリーフ弁54より上流には、圧力スイッチ55が設けられており、この圧力スイッチ55は、所定の圧力でオン動作し、オン動作すると方向切換弁52を裁断用液圧モータ33を逆転させるポジションに切換えるように設定され、塵芥を裁断してドラムD内に塵芥を投入する方向に軸30,31を回転駆動する方向に回転するときに出力するトルクが過大となった場合には、裁断用液圧モータ33を逆転させるようになっている。
【0049】
すなわち、刃32,32間に塵芥が詰まって軸30,31が動かなくなってしまうような事態が発生しても、自動的に塵芥を排出する方向に軸30,31を駆動することができ、作業者の負担が軽減され、すみやかに、塵芥の排出が行われるので塵芥裁断作業における効率が向上することになる。なお、管路65内の圧力が上記塵芥の排出によって低下して上記圧力スイッチ55のオフとなっても、排出作業には時間がかかる場合もあるので、その作業を見越して一定時間の間は軸30,31の排出回転を継続するようにしてもよい。
【0050】
つづいて、制御部3は、トルクセンサ4、容量センサ5およびエンジン回転速度センサ6が出力する信号を受け取り、ポンプ2の吐出流量、方向切換弁51,52およびエンジンEの回転速度を制御するために必要な制御信号としての電流もしくは電圧を出力することができるものであればよく、たとえば、ハードウェアとしては図示しないが、各信号および制御信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)等の演算装置と、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置とから構成され、ポンプ2およびエンジンEの制御に必要な演算処理手順と制御信号出力手順は、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納させておくとする周知なコンピュータシステムとして構成されている。
【0051】
具体的には、制御部3は、図示しないポンプ2の斜板カムの傾角を調節するサーボシリンダに、液圧の供給を可能とする電磁弁のソレノイドに対し制御電圧もしくは制御電流を出力し、ポンプ2を駆動制御するとともに、本実施の形態においては、エンジンEの回転速度を制御することになる。
【0052】
また、本実施の形態においては、図2に示すように、上記構成とは別に、告知手段を備えており、告知手段は、LED(Light Emitting Diode)40と、スピーカ41とを具備しており、LED40およびスピーカ41の作動を制御するための制御手順は、上記記制御部3の記憶装置内に記憶されている。
【0053】
上記告知手段のうち、LED40は、塵芥収集作業の終了時に点灯することによって作業者に作業終了の表示して作業終了告知することが可能であり、スピーカ41は、音声あるいは任意の音によってLED40と同様に作業終了告知を行うことができるようになっている。
【0054】
なお、LED40に代えて、文字や絵等を表示して上記作業終了告知を行えるような表示装置を設けてもよく、この場合、表示装置は、ディスプレイおよびディスプレイを制御するグラフィックコントローラとで構成されればよく、ディスプレイとして、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)、エレクトロルミネッセンス、CRT(Cathode Ray Tube)等を使用すればよい。
【0055】
そして、上記のように構成された制御部3は、図6に示す制御手順に従ってポンプ2を制御し、エンジンEの回転速度については任意で一定な回転速度を維持するよう制御する。また、この制御手順は、上述のように、予め制御部3の記憶装置に格納されている。
【0056】
なお、基本的には方向切換弁51,52およびポンプ2は制御部3により制御されるが、塵芥収集車のオペレータは、図示しない操作装置によって直接ドラムDおよび裁断装置Sの回転方向および回転速度を操作できるようにもなっている。
【0057】
以下、この制御部3における制御手順について説明すると、まず、作業者が塵芥収集作業を開始する、具体的には、塵芥を投入する方向にドラムDを回転させるとともに、塵芥を裁断する方向に裁断装置Sにおける軸30,31を回転させると、図6に示す制御手順を実行する。
【0058】
上記制御手順の実行中、制御部3は、エンジンEの回転速度を、任意の一定の値に維持して一定のトルクをポンプ2に伝達できるように制御し、方向切換弁51,52をそれぞれ液圧モータ1および裁断用液圧モータ33を正転させるポジションに維持し、また、塵芥収集作業を開始してドラムD内に塵芥が一杯となるまでは、一定の回転数という条件下で出力される該エンジンEのトルクで、ドラムDを可能な限り高速で回転させる。具体的には、塵芥収集作業を開始してドラムD内に塵芥が一杯となるまでのドラムDの回転速度は、上記エンジンEが出力する一定のトルクによって、実現されうる最大の速度よりある程度遅い回転速度に設定されている。
【0059】
なお、エンジンEが出力するトルクは、ドラムD内の塵芥が最大限に圧縮される時にエンジンEが出力するべきトルク以上となるように設定されている。
【0060】
ここで、分流弁50によって裁断装置Sの塵芥投入速度はドラムDの塵芥をドラムD内へ送り込む速度に同期されており、裁断装置Sの塵芥裁断速度は、塵芥がドラムDの投入口12からあふれて逆流し得ない様に維持されることから、この点につき何ら制御をする必要がなく、塵芥収集作業の制御が煩雑とならず、また、センサ類に異常があっても、分流弁50の分流比率によって上記同期が維持されるので、塵芥収集車の実用性および信頼性が向上する。
【0061】
そして、ステップF1では、制御部3は、ドラム回転トルク、つまり、トルクセンサ4で検出するトルクが所定の値以上であるか否かを判断する。
【0062】
上記判断の基準となるトルクの所定値は、塵芥が圧縮されている状況であることを充分認識可能となるトルクの値に設定される。すなわち、ドラムD内に塵芥が一杯に投入されたのち、さらに、ドラムD内に塵芥が投入されてドラムD内に投入された塵芥がドラムDの回転数を維持した状態で圧縮されると、体積比(圧縮後の塵芥の体積/圧縮前の塵芥の体積)の減少、すなわち、塵芥の間隙率の減少に応じてトルクが上昇していくので、上記判断によってドラムD内において塵芥の圧縮が始まっているか否かを判断することができる。
【0063】
なお、ドラムD内に投入される塵芥の重量や重心によって、ドラム回転トルクも変動するので、上記トルクの所定値をこのようなトルク変動の範囲を超える値に設定しておくことによって、塵芥の圧縮が行われているか否かの判断を正確に行うことができる。
【0064】
また、塵芥収集作業を開始してドラムD内に塵芥が一杯となるまでのドラムDの回転速度は、上記エンジンEが出力する一定のトルクによって実現されうる最大の速度より遅い回転速度に設定されており、エンジンEの出力トルクに余裕を持たせてあるので、塵芥が圧縮されてドラム回転トルクが上昇しても、ドラムDの回転が停止して、作業の継続ができないような事態の招来が回避されている。
【0065】
つづいて、ステップF1でドラム回転トルクが所定の値以上となっていない場合には、まだ塵芥が圧縮されていない状態であるので、制御部3は、ドラムDの回転速度を維持するとともに、裁断装置Sの軸30,31の回転速度を維持しつづけ、繰り返し、ステップF1の判断を行う。
【0066】
他方、ステップF1でドラム回転トルクが所定の値以上となる場合には、ステップF2に移行し、ステップF2では、制御部3は、トルクセンサ4で検知したドラム回転トルクに応じてポンプ2の吐出流量すなわち液体供給量を少なくする制御を行う。すなわち、ポンプ2の吐出流量を少なくして液圧モータ1の回転速度を低下させドラムDの回転速度を低下させるように制御する。
【0067】
このようにポンプ2の吐出流量を変更しても、上記した分流弁50によって、裁断装置Sの塵芥投入速度とドラムDの塵芥をドラムD内へ送り込む速度との同期は、維持されることになる。
【0068】
したがって、煩雑な制御の必要無しに、分流弁50によって裁断装置Sの塵芥投入速度がドラムDの塵芥を内方へ送り込む速度に同期されるので、塵芥収集車Jの信頼性と実用性が向上するとともに、作業者がドラムDの回転速度によって裁断装置Sの塵芥投入速度を手動で切換える手間が省け、塵芥収集作業が容易となる。
【0069】
また、上述のように分流弁50を用いることで、液圧モータ1と裁断用液圧モータ33に適切な配分で液体供給量を分配することができ、液体供給源が1つであっても液圧モータ1と裁断用液圧モータ33を特別な制御を要せずに駆動することができる。
【0070】
なお、ドラムDの回転速度は、塵芥圧縮前に比較すると低下されるが、塵芥圧縮に必要とされるドラム回転トルクを出力することが可能である範囲内でできる限り高速に設定される。
【0071】
上記ポンプ2の吐出流量の設定に際しては、制御部3は、まず、トルクセンサ4で検知するドラム回転トルクからドラムDを回転させつづけるうえで充分なトルク値を演算する。なお、上記演算されるトルク値は、ドラムDの回転継続によってドラム回転トルクが上昇することから、ドラムDの回転が停止してしまうことがないように余裕を持たせて、上記トルクより大きくなるように演算される。
【0072】
そして、上記演算されるトルク値と、この液圧モータ1および裁断用液圧モータ33の規格、分流弁50の液圧モータ1と裁断用液圧モータ33への液体の分流比率、液圧モータ1とドラムDとの間、裁断装置Sの軸30,31と液圧モータ33との間にそれぞれ介装される減速機の減速比からポンプ2の吐出流量が演算され、制御部3は、この演算された吐出流量を実現するべくポンプ2のサーボシリンダに制御信号を送り、ポンプ2の吐出流量を制御する。具体的には、制御部3は、ポンプ2の吐出流量の制御に当たり、容量センサ5で検知する吐出流量をフィードバックとしてフィードバック制御を行う。なお、PTOとポンプ2との間に減速機が介装される場合には、上記ポンプ2の吐出流量の演算にあたり、該減速機の減速比が考慮されるのは当然である。
【0073】
さらに、ステップF3に移行して、制御部3は、ドラム回転トルクが、予め設定される告知基準値以上となるかを判断する。ここで、ドラム回転トルクは、塵芥の圧縮が進むにつれて大きくなり、このドラム回転トルクは、ドラムD内圧に比例するので、告知基準値は、ドラムDが許容可能な圧力を超えないようなドラム回転トルクの値に設定される。
【0074】
このステップF3の判断で、ドラム回転トルクが告知基準値を超えていないと判断される場合には、ステップF2の制御手順を繰り返し、ポンプ2の吐出流量をその時点でトルクセンサ4が出力するドラム回転トルクに基づいてポンプ2の吐出流量を制御する。
【0075】
他方、ステップF3の判断で、ドラム回転トルクが告知基準値を超える場合には、ステップF4に移行して、告知手段であるLED40に塵芥収集作業の終了を表示させるべくLED40を点灯し、また、スピーカ41に塵芥収集作業の終了を告知するべく、スピーカ41に警告音等を発生させる。
【0076】
したがって、作業者は、告知手段の作業終了告知によって、ドラムD内にこれ以上塵芥を投入することができないことを知ることができ、作業者が塵芥収集作業中にドラムD内を覗き込んで塵芥の投入量を確認する手間が省けるとともに、また、作業者の経験と勘で投入量がまちまちになってしまって効率的に塵芥収集を行えないといった事態をも防止することが可能である。
【0077】
なお、上述の圧力スイッチ55のオン動作にて裁断用液圧モータ33を逆転させるよう制御については、上記圧力スイッチ55のオン動作をトリガとして、割り込み処理等で実行されるようにしておけばよい。
【0078】
すなわち、この塵芥収集車Jによれば、エンジンEの回転数とトルクを一定としエンジンEが出力する仕事率(馬力)を一定として、塵芥が圧縮される以前には、ドラムDの回転速度を高く維持しておき、塵芥の圧縮が始まると、ドラム回転トルクに応じてポンプ2の吐出流量を低下させることで、ドラムDの回転を継続して塵芥を圧縮できる程度までドラムDの回転速度をリニアに低下させる。
【0079】
そして、本実施の形態においては、エンジンEの仕事率(馬力)が従来の塵芥収集車と同じに設定される場合、図7に示すように、塵芥収集作業中、エンジンEの仕事量を無駄にせずに図7中破線で示す従来の塵芥収集車のドラム回転速度より高いドラム回転速度(図7中実線)で塵芥収集作業を行うことになる。
【0080】
したがって、ドラムD内に投入される塵芥の量をトルクで把握してポンプ2の吐出流量を制御するので、エンジンEがする仕事量を効率的に、ドラムDへの塵芥投入作業に割り当て、ドラム駆動源であるエンジンEに無駄な仕事をさせることがない。
【0081】
また、ドラム駆動源であるエンジンEの仕事を無駄なく塵芥収集作業で消費することができるので、塵芥収集作業における作業時間を短縮することが可能である。すなわち、ドラムDの塵芥を内方へ搬送する速度に塵芥のドラムD内へ投入される速度が同期される場合、ドラムD内に投入される塵芥が最大限圧縮されるのに必要なドラムDの回転数量は決まっており、上記制御によって塵芥収集作業中ドラムDの回転速度は従来の塵芥収集車のそれより速くなり、ドラムの回転数は、塵芥を最大限に圧縮するのに要する回転数に従来塵芥収集車より時間的に速く達するのである。
【0082】
さらに、塵芥収集作業における作業時間を短縮することが可能であるので、燃費を向上することができ、省エネルギとなる。
【0083】
なお、上記したところでは、ドラム回転トルクをトルクセンサ4で検知し、このドラム回転トルクに基づいてポンプ2の吐出流量を調節するように制御しているが、ドラム回転トルクは正転中の液圧モータ1に供給される液体の圧力にも依存するので、正転中の液圧モータ1に供給される液体の圧力に基づいてポンプ2の吐出流量を調節するように制御してもよい。
【0084】
この場合、正転時に液圧モータ1に供給される液体の圧力を検出するには、図5中の破線で示したように、管路61の途中に圧力センサ56を設けておき、この圧力センサ56で上記した正転中の液圧モータ1に供給される液体の圧力を検知し、制御部3においては、ステップF1で正転中の液圧モータ1に供給される液体の圧力が所定以上となる場合には、ステップF2に移行して、正転中の液圧モータ1に供給される液体の圧力に基づいてポンプ2の吐出流量を調節してドラムDの回転速度を制御すればよい。
【0085】
なお、ステップF2において、吐出流量の演算を行う上で、都度、ドラム回転トルクや正転時に液圧モータ1に供給される液体の圧力から演算を行うのではなく、ドラム回転トルクや正転時に液圧モータ1に供給される液体の圧力をパラメータとして、吐出流量が一義的に求められるようにマップを予め実験等によって作成しておき、ステップF2での演算を上記マップを利用して行うようにしておけば、制御部3における演算装置の演算処理の負担を軽減することが可能であり、安価な演算装置の利用が可能となって塵芥収集車Jを安価に製造することができる。
【0086】
つづいて、第2の実施の形態における塵芥収集車について説明する。第2の実施の形態における塵芥収集車Jは、基本的には、第1の実施の形態と同様に、車両Vと、車両Vの架台に回転に自在に搭載されるドラムDと、ドラムDの一端開口部を閉塞する蓋Cと、ドラムDを回転駆動する液圧モータ1と、車両Vに搭載されるとともにポンプ2を駆動する駆動源たる車両走行用のエンジンEと、塵芥を裁断するとともにドラムD内に塵芥を投入する裁断装置Sと、液圧モータ1、ポンプ2および裁断装置Sを制御する制御部90とを備えて構成されており、第1の実施の形態と異なるところは、液体供給手段、液圧回路およびドラムDの回転制御である。
【0087】
したがって、本実施の形態の説明に際し、同様の構成部材については同じ符号を付するものとして、その詳細な説明を省略することとする。
【0088】
以下、異なる点について詳細に説明すると、第2の実施の形態における液体供給手段は、図8に示したように、液体を供給する2つポンプ21,22と、それぞれのポンプ21,22における液体の供給の可不可を切換える2つの切換弁23,24とを備えて構成されている。
【0089】
具体的には、ポンプ21は吐出流量が回転数に依存するギアポンプとされ、他方のポンプ22も同じく吐出流量が回転数に依存するギアポンプであって、ともに駆動軸を同一にしたタンデム型のギアポンプとされている。
【0090】
そして、ポンプ21とポンプ22は吐出流量を異にし、ポンプ21の吐出流量はポンプ22の吐出流量より大きいものとされている。
【0091】
また、切換弁23は、ポンプ21と第1の実施の形態と同様の分流弁80の上流とを接続する管路71との間に設けられており、この切換弁23は、バネ(符示せず)の附勢力でポンプ21の分流弁80への液体供給を遮断する常閉型に設定されるとともに、ソレノイド(符示せず)を励磁することにより、ポンプ21の分流弁80への液体供給を可能とする電磁式の切換弁とされている。
【0092】
そして、切換弁23が液体供給を遮断するポジションにあっては、ポンプ21から吐出される液体は管路72および管路62を介してタンクTへ戻されるようになっている。
【0093】
他方、切換弁24も、切換弁23と同様の構成とされて、ポンプ22と分流弁80の上流とを接続する管路73との間に設けられており、この切換弁24は、バネ(符示せず)の附勢力でポンプ22の分流弁80への液体供給を遮断する常閉型に設定されるとともに、ソレノイド(符示せず)を励磁することにより、ポンプ22の分流弁80への液体供給を可能とする電磁式の切換弁とされている。
【0094】
したがって、上記切換弁23,24の各2つのポジションの組み合わせによって、分流弁80への液体供給を遮断する他に、液体供給量を大、中、小の3段階に切換えることが可能となっている。
【0095】
そして、切換弁24が液体供給を遮断するポジションにあっては、ポンプ21から吐出される液体は管路74および管路62を介してタンクTへ戻されるようになっている。
【0096】
なお、上記切換弁23,24はソレノイドが励磁されない状態で遮断ポジションを採る常閉型に設定されているので、何らかの理由で制御部3や切換弁23,24等に電力供給が途絶えてしまうような事態となる場合には、液圧モータ1および裁断用液圧モータ33に液体を供給することがなく、確実にフェールセーフモードに移行することができる。
【0097】
また、ポンプ21,22の吸入口は、管路75を介してタンクTに接続されて、ポンプ21,22はタンクTから液体を吸い込み分流弁80へ液体を吐出する。さらに、管路71,73の途中には、液体をタンクTまで導く管路76,77がそれぞれ設けられるとともに、管路76,77の途中にはリリーフ弁81,82が設けられており、ポンプ21,22の吐出流量が過大となると、それぞれ対応するリリーフ弁81,82が開いて、余剰な液体をタンクTに戻すことができるようになっている。
【0098】
また、分流弁80は、液圧モータ1と裁断用液圧モータ33のそれぞれに液体を分配するが、その比率は、第1の実施の形態における分流弁50と同様に、液圧モータ1でドラムDを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度と裁断用液圧モータ33が軸30,31を回転させて塵芥をドラム内に投入する速度とを同期させるように設定されている。
【0099】
なお、分流弁80による分流比率は、少なくとも液圧モータ1でドラムDを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度が裁断用液圧モータ33を回転させることで塵芥をドラム内に投入する速度以上となるように設定されればよいことは第1の実施の形態と同様である。
【0100】
そして、分流弁80から下流である液圧モータ1および裁断用液圧モータ33側の液圧回路の構成は、略第1の実施の形態における液圧回路と同様である。
【0101】
したがって、方向切換弁51,52の切換操作によって、液圧モータ1および裁断用液圧モータ33をそれぞれ正逆回転および停止させることが可能なようになっている。
【0102】
ただし、この第2の実施の形態では液体を供給するポンプが二つとなるので、管路65は、ポンプ21,22をそれぞれ分流弁80にまで導く管路71,73に接続されている。
【0103】
なお、管路65の途中にはやはりリリーフ弁54が設けられて、裁断用液圧モータ33が正転するとき出力するトルクが過大となった場合には、上記リリーフ弁54が開いて液体を管路71,73に導くことができ、これにより、塵芥裁断中に刃32に過大な負荷がかかって刃32が損傷してしまう事態が防止される。
【0104】
また、管路65のリリーフ弁54より上流には、第1の実施の形態における液圧回路と同様に、圧力スイッチ55が設けられており、この圧力スイッチ55は、所定の圧力でオン動作し、オン動作すると方向切換弁52を裁断用液圧モータ33を逆転させるポジションに切換えるように設定され、塵芥を裁断してドラムD内に塵芥を投入する方向に軸30,31を回転駆動する方向に回転するときに出力するトルクが過大となった場合には、裁断用液圧モータ33を逆転させるようになっている。
【0105】
さらに、この第2の実施の形態における液圧回路では、分流弁80によって分流され液圧モータ1に液体を供給する管路61内の圧力が第1閾値以上となるとオフ動作する第1圧力スイッチ26と、分流弁80によって分流され液圧モータ1に液体を供給する管路61内の圧力が第2閾値以上となるとオフ動作する第2圧力スイッチ27とが設けられており、第1閾値は第2閾値より小さい値とされている。
【0106】
そして、第1閾値は、具体的には、液圧モータ1の回転によってドラムD内で塵芥が圧縮されている状況であることを充分認識可能となる圧力の値に設定される。また、第2閾値は、塵芥が任意の体積比まで圧縮される時に必要となる圧力の値とされ、第1閾値よりも大きな値とされている。
【0107】
つづいて、制御部90は、図9に示すように、第1圧力スイッチ26、第2圧力スイッチ27およびエンジン回転速度センサ6からの信号を受け取り、切換弁23,24、方向切換弁51,52およびエンジンEの回転速度を制御するために必要な制御信号としての電流もしくは電圧を出力することができるようになっており、その構成は第1の実施の形態のものと同様とすればよい。
【0108】
以下、制御部90における制御手順について説明すると、第2の実施の形態における制御にあっては、図10に示した制御手順に従って実行される。まず、作業者が塵芥収集作業を開始する、具体的には、塵芥を投入する方向にドラムDを回転させるとともに、塵芥を裁断する方向に裁断装置Sにおける軸30,31を回転させると、図10に示す制御手順を実行する。
【0109】
なお、上記制御手順の実行中、第1の実施の形態と同様に、制御部90は、エンジンEの回転速度を、任意の一定の値に維持して一定のトルクをポンプ21,22に伝達できるように制御し、方向切換弁51,52をそれぞれ液圧モータ1および裁断用液圧モータ33を正転させるポジションに維持し、また、塵芥収集作業を開始してドラムD内に塵芥が一杯となるまでは、一定の回転数という条件下で出力される該エンジンEのトルクで、ドラムDを可能な限り高速で回転させる。具体的には、制御部90は、切換弁23,24を分流弁80へ液体を供給するポジションにして、ポンプ21,22の吐出する流量の全てが分流弁80に供給されるようにする。そして、上記ポンプ21,22の両方の吐出流量によって液圧モータ1を回転駆動するときのドラムDの回転速度は、上記エンジンEが出力する一定のトルクによって、実現されうる最大の速度よりある程度遅い回転速度に設定されている。なお、エンジンEが出力するトルクは、ドラムD内の塵芥が最大限に圧縮される時にエンジンEが出力するべきトルク以上となるように設定されている。
【0110】
そして、ステップF11では、制御部90は、分流弁80によって分流され液圧モータ1に液体を供給する管路61内の圧力が第1閾値以上であるか否かを判断する。具体的には、第1圧力スイッチ26からの信号が途絶えることをもってして判断されることになる。
【0111】
上記判断の基準となる第1閾値は、上述のように、塵芥が圧縮されている状況であることを充分認識可能となる圧力の値に設定されている。したがって、ドラムD内に塵芥が一杯に投入されたのち、さらに、ドラムD内に塵芥が投入されてドラムD内に投入された塵芥がドラムDの回転数を維持した状態で圧縮されると、体積比の減少に応じて管路61内の圧力が上昇していくので、上記判断によってドラムD内において塵芥の圧縮が始まっているか否かを判断することができる。
【0112】
なお、ドラムD内に投入される塵芥の重量によって、管路61内の圧力も変動するので、上記第1閾値をこのような圧力変動の範囲を超える値に設定しておくことによって、塵芥の圧縮が行われているか否かの判断を正確に行うことができる。
【0113】
また、塵芥収集作業を開始してドラムD内に塵芥が一杯となるまでのドラムDの回転速度は、上記したようにエンジンEが出力する一定のトルクによって実現されうる最大の速度より遅い回転速度に設定されており、エンジンEの出力トルクに余裕を持たせてあるので、塵芥が圧縮されて管路61内の圧力が上昇、すなわち、液圧モータ1の回転に要するトルクが上昇しても、ドラムDの回転が停止して、作業の継続ができないような事態の招来が回避されている。
【0114】
つづいて、ステップF11で管路61内の圧力が第1閾値となっていない場合には、まだ塵芥が圧縮されていない状態であるので、制御部90は、切換弁23,24を分流弁80へ液体を供給するポジションのままにして、ポンプ21,22の吐出する流量の全てが分流弁80に供給されるようにしドラムDの回転速度を維持し、繰り返し、ステップF11の判断を行う。なお、分流弁80によって、裁断装置Sの塵芥投入速度はドラムDの塵芥をドラムD内へ送り込む速度に同期されており、この実施の形態にあっても、裁断装置Sの塵芥裁断速度は、塵芥がドラムDの投入口12からあふれて逆流し得ない様に維持される。
【0115】
他方、ステップF11で管路61内の圧力が第1閾値以上となる場合には、ステップF12に移行し、ステップF12では、制御部90は、切換弁23をそのままのポジションに維持してポンプ21と分流弁80の連通を保ったまま、切換弁24を遮断ポジションに切換えて、吐出流量の少ないポンプ22からの分流弁80への液体の供給を遮断する。
【0116】
すなわち、ポンプ22の吐出流量を遮断することによって液体供給手段からの液体供給量を少なくして液圧モータ1の回転速度を低下させドラムDの回転速度を低下させるように制御する。
【0117】
具体的には、エンジンEの出力トルクで液圧モータ1を駆動してドラムDの回転を継続し塵芥を任意の体積比まで圧縮することが可能なようにドラムDの回転速度を低下させることになるが、このときのドラムDの回転速度は、上記ポンプ21の吐出流量に依存したものとなるので、この任意の体積比はポンプ21の吐出流量で決せられることになる。
【0118】
つまり、ポンプ21の吐出流量については、エンジンEの出力トルクから逆算して塵芥が任意の体積比まで圧縮される時に要する吐出流量で決定するようにしておけばよい。
【0119】
したがって、ステップF12では、液体供給量は、ポンプ21の吐出流量まで減少することになって、ドラムDの回転速度が低下することになる。なお、このように分流弁80に供給される液体供給量が変更されても、上記した分流弁80によって、裁断装置Sの塵芥投入速度とドラムDの塵芥をドラムD内へ送り込む速度との同期は、維持されることになる。したがって、裁断装置Sの塵芥投入速度がドラムDの塵芥を内方へ送り込む速度に同期されるので、作業者がドラムDの回転速度によって裁断装置Sの塵芥投入速度を手動で切換える手間が省け、塵芥収集作業が容易となる。
【0120】
さらに、ステップF13では、管路61内の圧力が上記した第2閾値に達したか否かを判断する。つまり、ドラムD内の塵芥が任意の体積比まで圧縮されたか否かを判断する。
【0121】
そして、管路61内の圧力が第2閾値に達していない場合には、制御部90は、切換弁23をそのままのポジションに維持してポンプ21と分流弁80の連通を保ったまま、切換弁24を遮断ポジションに切換えて、吐出流量の少ないポンプ22からの分流弁80への液体の供給を遮断する状態を維持して、ポンプ21のみから液圧モータ1へ液体を供給する制御をしつづけるとともに、繰り返し、このステップF13の判断を繰り返す。具体的には、制御部90は、第1圧力スイッチ26および第2圧力スイッチ27からの信号が途絶えたことをもってして、上記判断を行う。
【0122】
他方、管路61内の圧力が第2閾値に達した場合には、ステップF14に移行する。このステップF14では、制御部90は、切換弁23を遮断ポジションに切換えて、吐出流量の多いポンプ21からの分流弁80への液体の供給を遮断し、逆に、切換弁24については、ポンプ22と分流弁80とを連通させてポンプ22から分流弁80へ液体を供給するように制御する。すなわち、吐出流量よりさらに少なくしてポンプ22の吐出流量のみによって液圧モータ1を回転駆動するようにして、液圧モータ1の回転速度を一層低下させドラムDの回転速度を一層低下させるように制御する。
【0123】
このステップF14では、塵芥が最大限に圧縮される時に要する吐出圧力を出力することが可能となるまで液体供給手段の吐出流量を減少させて、ドラムDの回転速度を低下させることとなる。
【0124】
具体的には、エンジンEの出力トルクで液圧モータ1を駆動してドラムDの回転を継続し塵芥を最大限まで圧縮することが可能なようにドラムDの回転速度を低下させることになるが、このときのドラムDの回転速度は、上記ポンプ22の吐出流量に依存したものとなる。
【0125】
つまり、ポンプ22の吐出流量については、エンジンEの出力トルクから逆算して塵芥が最大限に圧縮される時に要する吐出流量で決定するようにしておけばよい。
【0126】
したがって、第2の実施の形態においては、ポンプ21およびポンプ22からの液体供給量を切換弁23,24にて切換えて変化させることによって、ドラムDの回転速度を高速、中速、低速に切換える制御が行われることになり、エンジンEが出力する仕事は、裁断装置Sの駆動以外には、無駄なくドラムDの回転に費やされることになる。
【0127】
さらに、上記ドラムDの回転速度の切換にあたり、制御部90は複雑な演算等をすることを要しないので、制御が非常に簡単となる。
【0128】
また、煩雑な制御の必要無しに、分流弁80によって裁断装置Sの塵芥投入速度がドラムDの塵芥を内方へ送り込む速度に同期されるので、塵芥収集車Jの信頼性と実用性が向上するとともに、作業者がドラムDの回転速度によって裁断装置Sの塵芥投入速度を手動で切換える手間が省け、塵芥収集作業が容易となる。
【0129】
そして、上述のように分流弁80を用いることで、液圧モータ1と裁断用液圧モータ33に適切な配分で液体供給量を分配することができ、この第2の実施の形態のように2つのポンプで液体供給量を変化させるような液体供給源であっても液圧モータ1と裁断用液圧モータ33を特別な制御を要せずに駆動することができる。
【0130】
また、この第2の実施の形態にあっては、安価なタンデム型の2つのギアポンプを使用して、特別な制御を必要とせずに液体供給量を変化させることができるので、塵芥収集車Jを安価に製造することができる。
【0131】
さらに、上記制御にあたり第1圧力スイッチ26および第2圧力スイッチ27を用いていることから、圧力センサやトルクセンサを用いるより安価であり、さらには、制御部90で行う上記判断を上記したように演算処理装置で行うのではなく、制御部90を廃して同様の判断を電気回路で実現するように構成しておいてもよく、その場合には、塵芥処理車Jを安価にすることができ経済的である。
【0132】
また、制御部90は、第1圧力スイッチ26および第2圧力スイッチ27のオフによって、ドラムD内の塵芥の圧縮の程度を判断して切換弁23,24を切換制御するようにしているので、第1圧力スイッチ26および第2圧力スイッチ27のオン信号が何らかの理由で制御部90に入力されない事態となるとポンプ24のみで液体供給を行うことになり、塵芥を最大限に圧縮することが可能なトルクでドラムDを回転させるようにするので、上記のような事態にあっても、塵芥収集作業を行えないといった事態やドラムDおよび裁断装置Sが塵芥収集作業中に停止してしまうといった事態が招来される危惧が無い。
【0133】
なお、圧力センサやトルクセンサを用いて上記制御処理を行うには、制御部90内の記憶装置に予め第1閾値と第2閾値とを格納して参照することができるようにし、圧力センサで検知する圧力値もしくはトルクセンサで検知するトルク値とを比較するようにしておけばよい。
【0134】
すなわち、この塵芥収集車Jによれば、エンジンEの回転数とトルクを一定としエンジンEが出力する仕事率(馬力)を一定として、塵芥が圧縮される以前には、ドラムDの回転速度を高速に維持しておき、塵芥の圧縮が始まると、液圧モータ1の回転速度、すなわち、ドラムDの回転速度を段階的に中速、低速に切換えて低下させることで、ドラムDの回転を継続して塵芥を円滑に圧縮できる。
【0135】
なお、この第2の実施の形態における塵芥収集車においては、上述したように、塵芥の圧縮が進むにつれて、ドラムDの回転速度が高速から中速へ、中速から低速へ順次切換わり、塵芥の圧縮の程度が進んだ状態ではドラムDが低速に切換わることから、このドラムDの回転速度の低速への切換わりをもってして、作業者はドラムD内に塵芥が目一杯に投入された状態であることを認識することができるので、この実施の形態の場合、告知手段を省略することができ、該告知手段を省略するとしても、作業者が塵芥収集作業中にドラムD内を覗き込んで塵芥の投入量を確認する手間が省けるとともに、また、作業者の経験と勘で投入量がまちまちになってしまって効率的に塵芥収集を行えないといった事態をも防止することが可能である。なお、圧力センサやトルクセンサを用いて制御する場合には、第1の実施の形態と同様に、告知手段を設けるようにしても差し支えない。
【0136】
そして、第2の実施の形態においても、エンジンEの仕事率(馬力)が従来の塵芥収集車と同じに設定される場合、図11に示すように、塵芥収集作業中は、エンジンEの仕事量を無駄にせずに図11中破線で示す従来の塵芥収集車のドラム回転速度より高いドラム回転速度(図11中実線)で塵芥収集作業を行うことになる。
【0137】
したがって、この実施の形態においても、エンジンEがする仕事量を効率的に、ドラムDへの塵芥投入作業に割り当て、ドラム駆動源であるエンジンEに無駄な仕事をさせることがない。
【0138】
また、ドラム駆動源であるエンジンEの仕事を無駄なく塵芥収集作業で消費することができるので、塵芥収集作業における作業時間を短縮することが可能である。
【0139】
さらに、塵芥収集作業における作業時間を短縮することが可能であるので、燃費を向上することができ、省エネルギとなる。
【0140】
なお、上記した各実施の形態においては、ドラムDおよび裁断装置Sの駆動源として車両Vの走行用のエンジンEを用いているが、車両Vに別途液体供給手段用の駆動源を設けて、この別途の駆動源を用いてドラムDおよび裁断装置Sを駆動する場合においても、本発明の効果は失われない。
【0141】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】第1の実施の形態における塵芥収集車の概略図である。
【図2】第1の実施の形態における塵芥収集車のシステム構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における塵芥収集車を後方から見た図である。
【図4】第1の実施の形態における塵芥収集車の裁断装置の概略図である。
【図5】第1の実施の形態における塵芥収集車における液圧モータおよび裁断用液圧モータを駆動するための液圧回路図である。
【図6】第1の実施の形態の塵芥収集車における液体供給手段の吐出流量を調節する時の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態の塵芥収集車におけるドラムの回転速度とドラム回転トルクの時間に対する変化を示した図である。
【図8】第2の実施の形態における塵芥収集車における液圧モータおよび裁断用液圧モータを駆動するための液圧回路図である。
【図9】第2の実施の形態における塵芥収集車のシステム構成の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の塵芥収集車におけるポンプの吐出流量を調節する時の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態の塵芥収集車におけるドラムの回転速度とドラム回転トルクの時間に対する変化を示した図である。
【図12】従来の塵芥収集車におけるドラムの回転速度とドラム回転トルクの時間に対する変化を示した図である。
【符号の説明】
【0143】
1 液圧モータ
2,21,22 ポンプ
3,90 制御部
4 トルクセンサ
5 容量センサ
6 エンジン回転速度センサ
10,11 ブレード
12 投入口
13 排出口
14 内筒
15 不動ブレード
23,24 切換弁
26 第1圧力スイッチ
27 第2圧力スイッチ
30,31 軸
32 刃
33 裁断用液圧モータ
40 LED
41 スピーカ
50,80 分流弁
51,52 方向切換弁
53,54,81,82 リリーフ弁
55 圧力スイッチ
56 圧力センサ
60,61,62,63,64,65,66,67,71,72,73,74,75,76,77 管路
B1 作業台
B2 ガイド板
C 蓋
D ドラム
DC ドラムカバー
E エンジン
J 塵芥収集車
S 裁断装置
T タンク
V 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状のブレードを具備し液圧モータによって回転駆動されるドラムと、ドラムの一端開口部を閉塞しドラム内に塵芥を案内する螺旋状の不動な案内ブレードを備えた蓋と、塵芥を裁断して塵芥をドラム内に投入する裁断装置とを備え、ドラム内に投入された塵芥をドラムの回転により圧縮することが可能な塵芥収集車において、裁断装置は、外周に複数の刃が設けられる相対回転可能な一対の軸と、各軸を駆動する裁断用液圧モータとを具備してなり、上記液圧モータおよび裁断用液圧モータに分流弁を介して液体を供給する液体供給手段を設け、液体供給手段は、ドラムを回転させるトルクに基づいて液体供給流量を調節することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
螺旋状のブレードを具備し液圧モータによって回転駆動されるドラムと、ドラムの一端開口部を閉塞しドラム内に塵芥を案内する螺旋状の不動な案内ブレードを備えた蓋と、塵芥を裁断して塵芥をドラム内に投入する裁断装置とを備え、ドラム内に投入された塵芥をドラムの回転により圧縮することが可能な塵芥収集車において、裁断装置は、外周に複数の刃が設けられる相対回転可能な一対の軸と、各軸を駆動する裁断用液圧モータとを具備してなり、上記液圧モータおよび裁断用液圧モータに分流弁を介して液体を供給する液体供給手段を設け、液体供給手段は、分流され液圧モータへ供給される液圧に基づいて液体供給流量を調節することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
分流弁は、少なくとも液圧モータでドラムを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度が裁断用液圧モータを回転させることで塵芥をドラム内に投入する速度以上となる比率で液圧モータおよび裁断用液圧モータに供給する液体流量を分流することを特徴とする請求項1または2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
分流弁は、液圧モータでドラムを回転させることで塵芥がドラム内方へ搬送される速度と裁断用液圧モータを回転させることで塵芥をドラム内に投入する速度とを同期させる比率で液圧モータおよび裁断用液圧モータに供給する液体流量を分流することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項5】
液体供給手段は、吐出流量可変のポンプであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項6】
液体供給手段は、分流弁に液体を供給する2つポンプと、それぞれのポンプにおける分流弁への液体の供給の可不可を切換える2つの切換弁とを備えてなり、上記2つの切換弁を切換え操作して液体供給流量を調節することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項7】
2つのポンプの吐出流量が異なることを特徴する請求項6に記載の塵芥収集車。
【請求項8】
分流され液圧モータへ供給される液圧が第1閾値より低い場合、2つのポンプから分流弁へ液体を供給し、分流され液圧モータへ供給される液圧が第1閾値以上であって第2閾値より低いと吐出流量が小さなポンプからの分流弁への液体供給のみを遮断し、分流され液圧モータへ供給される液圧が第2閾値以上となると吐出流量が大きなポンプからの分流弁への液体供給のみを遮断することを特徴とする請求項7に記載の塵芥収集車。
【請求項9】
切換弁は、バネの附勢力でポンプの分流弁への液体供給を遮断する常閉型に設定されるとともに、ソレノイドを励磁することにより、ポンプの弁流弁への液体供給を可能とする電磁弁であって、分流され液圧モータへ供給される液圧が第1閾値以上であることを検知する第1圧力スイッチと、分流され液圧モータへ供給される液圧が第2閾値以上であることを検知する第2圧力スイッチとを備えたことを特徴とする請求項8に記載の塵芥収集車。
【請求項10】
第1圧力スイッチは分流され液圧モータへ供給される液圧が第1閾値以上となるとオフ動作し、第2圧力スイッチ分流され液圧モータへ供給される液圧が第2閾値以上となるとオフ動作することを特徴とする請求項9に記載の塵芥収集車。
【請求項11】
裁断用液圧モータに供給される液体の圧力が所定の圧力以上となると裁断用液圧モータを逆転させることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項12】
液体供給手段の駆動源が走行用エンジンであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項13】
塵芥収集作業の進捗を音および表示の一方または両方で告知する告知手段を備え、告知手段は、ドラムを回転させるトルクが告知基準以上となると、作業終了告知を行うことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の塵芥収集車。
【請求項14】
塵芥収集作業の進捗を音および表示の一方または両方で告知する告知手段を備え、告知手段は、分流され液圧モータへ供給される液圧が告知基準以上となると、作業終了告知を行うことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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