説明

塵芥収集車

【課題】簡単な構成により塵芥収容箱及び投入口の地上高の増加を最小限度に抑えることで、計量装置の搭載を可能にすることができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収容箱2と、この塵芥収容箱2に連設して設けられ、塵芥を投入するための投入口3を後面に有する塵芥投入箱4と、前記投入口3より投入された塵芥を前記塵芥収容箱2に積み込む動作を行う積込装置5と、を備えた塵芥収集車1。その後端が前記塵芥収集車1の車体6後部に軸支されており、その上部に前記塵芥収容箱2が載置されるダンプフレーム7を有しており、このダンプフレーム7の前方下方に切欠部12が形成されており、この切欠部12下方の車体にロードセル13が固設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塵芥収集車に関する。さらに詳しくは、塵芥収容箱に収容した塵芥を当該塵芥収容箱をダンプすることで車外に排出するダンプ式の塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収容箱に収容した塵芥を清掃工場等で車外に排出するのに、一般に、前記塵芥収容箱後部に連設されている塵芥投入箱を上方に回動させた後に当該塵芥収容箱内部に配設した排出板を後方に移動させることで塵芥を排出する方式と、前記塵芥収容箱後部を開放可能にした状態で当該塵芥収容箱をダンプすることで塵芥を排出する方式とが知られている。
【0003】
また、塵芥収集車において、塵芥処理が有料となる塵芥の重量を計測して相応の課金をしたり、総積載重量のチェックをしたりする場合に、前記塵芥収容箱の下方に計量装置を配設することが考えられ、排出板を用いて塵芥を排出する方式の塵芥収集車では、車体の前後左右の複数箇所にロードセルを配設することが提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【0004】
【特許文献1】実公平6−49524号公報
【特許文献2】特開2004−299847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダンプ式の塵芥収集車では、塵芥収容箱と車体との間に、当該塵芥収容箱を降ろしたときに塵芥収容箱を載置するためのダンプ用のサブフレームが必要になることから、前記サブフレームの下方にロードセルを配設すると塵芥収容箱の地上高が高くなり過ぎて走行時の安定性に欠け、さらには塵芥を投入する投入口の位置が高くなり作業性が悪くなるため、従来よりダンプ式の塵芥収集車では、塵芥を計量する計量装置を車体に搭載することができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により塵芥収容箱及び投入口の地上高の増加を最小限度に抑えることで、計量装置の搭載を可能にした塵芥収集車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の塵芥収集車は、塵芥収容箱と、この塵芥収容箱に連設して設けられ、塵芥を投入するための投入口を後面に有する塵芥投入箱と、前記投入口より投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、を備えた塵芥収集車であって、
その後端が前記塵芥収集車の車体後部に軸支されており、その上部に前記塵芥収容箱が載置されるダンプフレームを有しており、
このダンプフレームの前方下方に切欠部が形成されており、
この切欠部下方の車体にロードセルが固設されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の塵芥収集車では、ダンプ用のサブフレームであるダンプフレームの前方下方に切欠部が形成されており、この切欠部下方の車体にロードセルを固設するという簡単な構成によって、ダンプフレーム下方にロードセルを配設したことに伴う塵芥収容箱の地上高の増加を最小限度に抑えることができる。その結果、走行時の安定性を低下させることなく、ダンプ式の塵芥収集車において塵芥の重量を測定することが可能になる。また、塵芥投入箱の投入口の地上高の増加も最小限度に抑えることができるので、塵芥投入時の作業性を損なうことがない。
【0009】
前記ダンプフレームが、前方よりも後方が低くなるように前記車体に対し傾斜して配設されているのが好ましい。この場合、前記投入口の位置をさらに低くすることができ、塵芥投入時の作業性を向上させることができる。
【0010】
前記ロードセルが、車体に固設されるロードセル本体と、前記ダンプフレームに連結される連結部とで構成されており、前記ロードセル本体が連結部よりも前方に配置されているのが好ましい。この構成によれば、ロードセルを配設するための切欠部の前後長さが、当該ロードセルの連結部を配設するスペース分の長さだけでよいので、切欠部の前後長さを短くしてダンプフレームの強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵芥収集車によれば、簡単な構成により塵芥収容箱及び投入口の地上高の増加を最小限度に抑えることで、計量装置の搭載を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の塵芥収集車の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る塵芥収集車の要部の側面説明図である。この塵芥収集車1は、収集した塵芥を収容するための塵芥収容箱2と、この塵芥収容箱2に連設して設けられ、塵芥を投入するための投入口3を後面に有する塵芥投入箱4と、前記投入口3より投入された塵芥を前記塵芥収容箱1に積み込む動作を行う積込装置5とを備えている。前記塵芥収集車1は、塵芥収容箱2内に収集した塵芥を当該塵芥収容箱2をダンプすることで外部に排出するダンプ式の塵芥収集車であり、車体(シャーシ)6と前記塵芥収容箱2との間には、ダンプ後に塵芥収容箱2を降ろしたときに当該塵芥収容箱2を載置するためのダンプ用サブフレームであるダンプフレーム7が配設されている。このダンプフレーム7は、その後端が前記車体の後部に軸支されており、その上部に前記塵芥収容箱2が載置される枠体である。本実施の形態において、前記ダンプフレーム7は、前方よりも後方が低くなるように前記車体7に対し傾斜(水平面に対して1.5度程度の傾斜)して配設されており、これにより前記投入口3の位置を低くして、塵芥投入時の作業性を向上させることができる。
【0013】
塵芥投入箱3の後面に設けられた投入口3から投入された塵芥は、前記積込装置5を構成する、時計回り方向に回転する回転板8と、往復回動する押込板9との連携動作により、塵芥収容箱2内に押し込まれる。塵芥収集車1においては、集積所で塵芥を投入する毎に、投入された塵芥の総重量が後述する計量装置により計測され、運転席に表示されるようになっている。これにより、塵芥処理が有料となる塵芥の重量を計測して、相応の課金をすることができる。また、総積載重量のチェックを行うこともできる。塵芥収容箱2が満杯になったときは、塵芥収容箱2後部を開放可能な状態にした後、先端が当該塵芥収容箱2下部のデッキフレーム10の連結された、シリンダ11のピストンロッドを伸長させて塵芥収容箱2をダンプさせることにより、塵芥を外部に排出することができる。
【0014】
本発明の特徴は、図2に詳細に示されるように、前記ダンプフレーム7の前方下方に切欠部12が形成されており、この切欠部12下方の車体6に計量装置であるロードセル13が固設されていることである。より詳細には、ダンプフレーム7の、車幅方向両側を構成する縦部材7aは、その前端付近において上面を面一に保ちつつ上下方向の寸法が小さくされて前記切欠部12が形成されている。換言すれば、縦部材7aの前端付近の下面を切り欠くことで切欠部12が形成されている。なお、以下の説明においては、図2〜3に示されるように、車体6の長さ方向又は前後方向をX方向、車幅方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。
【0015】
切欠部12下方の車体6にロードセル13を固設することによって、ダンプフレーム7下方にロードセル13を配設したことに伴う塵芥収容箱2の地上高の増加を最小限度に抑えることができる。その結果、走行時の安定性を低下させることなく、ダンプ式の塵芥収集車において塵芥の重量を測定することが可能になる。また、塵芥投入箱2の投入口3の地上高の増加も最小限度に抑えることができるので、塵芥投入時の作業性を損なうことがない。
【0016】
前記ロードセル13は、前記切欠部12の下方において車体6の長さ方向又は前後方向Xに沿って配設されている。具体的には、車体6の前方側の車幅方向左右端近傍に一対のビーム(梁)型のロードセル(以下、前方ロードセルともいう)13が軸方向を横向き(X方向)にしてボルト14によりロードセル取り付け用のサブフレーム15に固定されている。このサブフレーム15は、Uボルト30により前記車体6上に固定されている。また、車体6の後方側の左右には、一対のビーム型のロードセル16(以下、後方ロードセルともいう)が軸方向を横向き(Y方向)にしてボルト(図示せず)により固定されている。
【0017】
ロードセル13は、前記ボルト14によりサブフレーム15に固定されるロードセル本体13aと、その自由端側を構成し、球面軸受(詳細後述)を介してダンプフレーム7に連結される連結部13bとで構成されている。より詳細には、図2に示されるように、ロードセル本体13aはサブフレーム15に所定の高さの台座部17を介してボルト14により螺着されており、これによりロードセル13は片持ち状態(片持ち梁の状態)で支持される。そして、自由端側の連結部13bにおいて径方向に作用する荷重により微小な曲げ変形を生じ、応荷重信号(荷重に応じた信号)を電気信号としてケーブル18から出力する。この電気信号は他のロードセルからの電気信号とともに図示しない演算装置に入力され、演算結果の塵芥重量が運転室に表示される。
【0018】
本実施の形態では、前記ロードセル本体13aが連結部13bよりも前方に配置されているので、ロードセル13を配設するための切欠部12の前後長さが、当該ロードセル13の連結部13bを配設するのに要するスペース分の長さだけでよいので、切欠部12の前後長さを短くしてダンプフレーム7の強度を確保することができる。
【0019】
自由端側の小径の連結部13bには球面軸受19が装着され、その内輪部材19aは、外輪部材19bに対して球面接触している。一方、ダンプフレーム7の下面に固定されたブラケット20には、フランジ部21aと丸孔を有する支持部21bとを一体に形成した支持部材21が、ボルト22により螺着されている。支持部21bに内嵌された球面軸受19に対しては、一対の止め輪23により軸方向への抜け止めが施されている。また、球面軸受19の内輪部材19aに挿通された連結部13bに対しては、止め輪24により抜け止めが施されている。
【0020】
前記のようにして球面軸受19を介して接続された前方ロードセル13と支持部材21とは、前方ロードセル6の自由端側の微小な径方向(主として上下)への曲げ変形に対して、球面軸受19を介して支持部材21が滑らかに追随することができる。これにより、荷重は常に、中心軸A上にある球面の曲率中心に対して鉛直下方に作用する。
【0021】
また、このような微小な曲げ変形を無視して剛体としての前方ロードセル13を考えるとき、球面軸受19を介して実質的な隙間無く前方ロードセル13と支持部材21とが相互に接続されていることにより、前方ロードセル13に対して支持部材21は中心軸Aの径方向、すなわちY−Z平面に平行な方向には移動規制される。従って、車体6に対して、ダンプフレーム7すなわち塵芥収容箱2はY−Z平面に平行な方向に移動規制される。
【0022】
一方、後方ロードセル16とダンプフレーム7との接続箇所の構造についても同様であり、図2におけるX、Y方向が異なるだけである。図3は、前方ロードセル13(左)及び後方ロードセル16(右)の車体6上での位置関係を示す平面図である。図において、一対の前方ロードセル13は、共に、軸方向がX方向に平行であり、車幅方向(Y方向)において車体6の左右端近傍に配置されている。また、一対の後方ロードセル16は、共に、軸方向がY方向に平行で、かつ、相互に逆向きであり、車体6の後端近傍に配置されている。このようにして前方ロードセル13と後方ロードセル16とを互いに軸方向が交差(この場合は直交)するように配置すると、前方ロードセル13はY−Z平面に平行な方向(上下左右の2次元)への塵芥収容箱2の移動を規制し、後方ロードセル16はX−Z平面に平行な方向(上下前後の2次元)への塵芥収容箱2の移動を規制する。従って、塵芥収容箱2は、上下、左右、前後の3次元方向に移動規制され、実質的に車体6に固定される。
【0023】
このようにして、車体6の前方及び後方において横向きに設けた各ロードセルの軸方向を交差させて配置することにより、塵芥収容箱2を実質的に車体6に固定して計量することができる。また、これにより塵芥収容箱2が走行中に跳ね上がることもなく、また、微小に跳ね上がったとしても衝撃荷重が発生する部分がないので、走行中の塵芥収容箱2の振動により衝撃荷重が発生することを完全に防止することができる。従って、各ロードセルの耐久性も損なわれず、騒音も発生しない。
【0024】
また、図3において、各ロードセルの連結部、すなわち塵芥収容箱2との接続箇所は、塵芥収容箱2の底面形状に対応した位置(ほぼ四隅)に存在する。これにより、塵芥収容箱2を堅固にバランス良く固定し、正確に重量を計測することができる。
【0025】
なお、前述した実施の形態では、積込装置として回転板式のものを採用しているが、プレス式のものを採用することもできる。また、ロードセルとしてビーム式のロードセルを用いているが、圧縮式のロードセルを用いることもできる。さらに、前方ロードセルのロードセル本体を連結部の前方に配置しているが、その逆の配置、すなわちロードセル本体を連結部の後方に配置してもよい。また、前方ロードセルの長手方向を車体の前後方向(X方向)と平行に配置しているが、車体の幅方向(Y方向)と平行に配置してもよいし、またX方向又はY方向と所定の角度をなすように傾けて配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の塵芥収集車の一実施の形態の要部側面説明図である。
【図2】図1に示される塵芥収集車におけるダンプフレーム前方付近の側面説明図である。
【図3】前方ロードセル及び後方ロードセルの車体上での位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 投入口
4 塵芥投入箱
5 積込装置
6 車体
7 ダンプフレーム
12 切欠部
13 ロードセル(前方)
16 ロードセル(後方)
19 球面軸受
21 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、この塵芥収容箱に連設して設けられ、塵芥を投入するための投入口を後面に有する塵芥投入箱と、前記投入口より投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行う積込装置と、を備えた塵芥収集車であって、
その後端が前記塵芥収集車の車体後部に軸支されており、その上部に前記塵芥収容箱が載置されるダンプフレームを有しており、
このダンプフレームの前方下方に切欠部が形成されており、
この切欠部下方の車体にロードセルが固設されていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記ダンプフレームが、前方よりも後方が低くなるように前記車体に対し傾斜して配設されている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記ロードセルが、車体に固設されるロードセル本体と、前記ダンプフレームに連結される連結部とで構成されており、前記ロードセル本体が連結部よりも前方に配置されている請求項1〜2のいずれかに記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−99490(P2007−99490A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294643(P2005−294643)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】