説明

増大した総水分摂取のための流体組成物

肝臓消化物を含み、コンパニオン動物における増大した総水分摂取及び尿の生成並びに低下した尿の比重をもたらす、経口消費のための非常においしい流体組成物を提供する。コンパニオン動物における増大した総水分摂取を提供するための、こうした組成物を使用する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2003年11月7日に出願した米国仮出願第60/518,555号の非暫定であり、全ての目的で、その内容は、本明細書において参考のためにその全体を引用される。
【0002】
本発明は、増大した総水分摂取をもたらすおいしい流体組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
犬及び猫は、下部尿路の多数の障害に苦しんでいる。こうしたものの中には、特発性尿路疾患、結晶尿、細菌性膀胱炎、尿路結石症、特発性閉塞症、尿道栓(urethral plug)、及びその他同様なものがある。特定の障害は、猫に一般的な下部尿路疾患(LUTD)である。尿路結石症、すなわち、尿路における結石形成は、犬及び猫の両方によく見られる状態である。こうした障害の病因は完全に明らかになっているわけではないが、こうした障害に関連する要因の少なくとも幾つかは、濃縮された尿、すなわち、高い比重を有する尿または尿の高いミネラル過飽和であるようである。水消費を増大させることで尿の生成を増大させることによって尿中のミネラル濃度を低下させることは、尿結晶(urinary crystal)または結石形成の危険を低減することができ、特定のタイプの形成された尿路結石を溶解させることを助けることができ、猫LUTDの発生を低減することができる。猫は特に渇きに耐性があり(thirst tolerant)、しばしば非常に濃縮された尿を生成し、尿路結石症に特にかかりやすくなる。加えて、増大した尿体積はより頻繁な排尿を引き起こし、これはさらに、尿路感染症、結晶尿及び尿路結石症の危険を低減する。
【0004】
増大した総水分摂取は有利に、コンパニオン動物からの尿の生成の改良された割合をもたらす。増大した総水分摂取を引き起こすかまたは促進する流体を使用して、例えば、結晶尿、尿路結石症、膀胱炎、特発性閉塞症、尿道栓、及び猫LUTDを含む1種または複数種の下部尿路障害を予防する及び/または治療してよい。加えて、増大した総水分摂取は水分補給を改良し、一般に、糖尿病、腎疾患、妊娠、授乳、及びその他同様なものを含む状態を有する動物に利益を与える。
【0005】
増大した総水分摂取を必要とするコンパニオン動物を治療するために使用してよいと本願発明者らが認識しており、自発的な水分摂取を引き起こす市販の製品が存在しないという点で問題が存在する。
【0006】
従って、特にコンパニオン動物が犬または猫である場合、非常においしく、また増大した流体摂取をもたらす流体組成物を提供することは当分野に対するかなりの寄与であると思われる。
【発明の開示】
【0007】
本組成物は、コンパニオン動物による摂取のための香味増強剤(flavor enhancer)の例えば肝臓消化物を含む流体組成物を提供する。本組成物は非常においしく、増大した水分摂取をもたらす。
【0008】
本組成物を、増大した流体摂取を必要とするコンパニオン動物に供給する方法に従って使用してよい。
【0009】
本組成物を、犬または猫の栄養上の必要性を満たすバランスのとれた食餌全体(balanced overall diet)を提供する追加の材料と共に提供してよい。
【0010】
なおさらに提供するのは、犬または猫における結晶尿、尿路結石症、膀胱炎、LUTD、特発性閉塞症、尿道栓、及びその他同様なものを含む1種または複数種の下部尿路障害を予防することを少なくとも助ける目的で、猫または犬に流体を与える方法である。
【0011】
また提供するのは、下部尿路障害を有する犬または猫の治療方法であって、このような障害を有する犬または猫に本発明の流体を与えることを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
特に尿路疾患を有するコンパニオン動物または尿路疾患にかかる危険にさらされている動物の場合、コンパニオン動物における流体摂取の管理はかなりの問題となり得る。
【0013】
本組成物は、特に犬または猫において使用するために、コンパニオン動物における流体摂取を増大させる際に有用な香味増強剤の例えば肝臓消化物を含む。下記に説明するように肝臓消化物は水と混合され、1例はSAWA流体と呼ぶ流体組成物である。
【0014】
特に断らない限り、本明細書及び請求の範囲の全体にわたって用いる“重量%”という用語は、水性または液相中のw/wベースで計算した総組成物の重量%を指す。この定義は、例えば、混合物に導入された固形物は全て水性相中に溶解するわけではないかもしれないということと、水性相はゲルを含むかもしれないということと、水性相は、タンパク質消化物の懸濁液、エマルション、または溶液を含むかもしれないということとを認識している。
【0015】
肝臓消化物中の肝臓は任意の源から得てよい。容易に入手可能であり、製造するのが容易な肝臓源は特に好ましい。組成物中の肝臓を、化学的にまたは酵素的に処理または消化してよい。肝臓消化物も市販されている。このような肝臓源の例は、豚肉、牛肉、鶏肉、及びこれらの混合物を含む。本発明の実施のために好ましいのは、豚または鶏の肝臓である。
【0016】
本組成物において提供される肝臓消化物濃度は、適切には約1〜約20重量%である。適切な典型的な最小肝臓消化物濃度は、例えば、1、5、10、及び15重量%を含む。適切な典型的な最大肝臓消化物濃度は、10及び20重量%を含む。本発明のために好ましいのは、肝臓消化物濃度約3〜約10重量%である。本発明の実施のために特に好ましいのは、肝臓消化物濃度約3〜約7重量%である。本発明の実施のために特に好ましいのは、肝臓消化物濃度約5重量%を含むフード組成物である。1態様においては、肝臓消化物の濃度は、改良されたおいしさを実現する最小濃度としてよく、このことは、コンパニオン動物が淡水よりも本組成物を選択することを自発的に好む証拠を観察することによって示される。
【0017】
“フード”という用語を使用する場合、これは、典型的に、コンパニオン動物のための栄養素価を全てというわけではないが大部分は提供するフード製品を指してよいのみならず、スナック、トリート、栄養補助剤、及びその他同様なもののような品目も指してよい。
【0018】
本組成物を、増大した流体摂取を必要とする任意の哺乳類、特にコンパニオン動物の例えば犬または猫に提供してよい。例えば、動物、特に犬または猫は、健康であるように見えるか、または現在下部尿路疾患(LUTD)を有するもののように見えるか、またはLUTDにかかる傾向を有するもののように見えるとしてよい。一時的に、動物に対する外傷、例えば疾病、損傷、または手術、及びその他同様なものの結果として、動物は増大した流体摂取を必要とすることがある。
【0019】
増大した排泄を伴う流体源として本流体組成物を提供した時に、本流体組成物によって提供される所望の効果が、犬または猫において全流体消費の増大として観察された。こうした観察を、既に脱水した動物において行ってよく、ここで、流体組成物の供給は、この問題を軽減または低減することを意図している。
【0020】
流体組成物の使用は、流体組成物を用いない場合と比較して、犬及び猫の場合にはるかに高い総水分摂取、より高い尿量、それに対応したより低い尿の比重をもたらす。加えて、これは、非常に低いエネルギー含有量を有する流体トリートをペット所有者に提供する。これは、過体重に関連するか若しくは肥満症の問題、または他の状態の例えば関節炎、糖尿病、高血圧、及び心血管疾患を有する猫及び犬のようなペットにとって特に有用である。非常においしい流体トリートはまた、高タンパクの食餌を有する及び/または糖尿病、授乳、運動及び成長中のように水分摂取の必要性を増大させる状態を有する動物において水分平衡を改良する。
【0021】
猫または犬にとってのおいしさのさらなる増強のために、追加のおいしさ増強剤またはフラボラントを、肝臓消化物に加えて用いてよい。入手可能な多数のこのような材料が存在し、こうしたものとしては、動物性消化物、動物性加水分解物、動物の内臓及びこれらの消化物、例えば肺及び心臓;肉、例えば牛肉、子羊肉、豚肉、鶏肉、及び七面鳥;シーフード、例えば魚、カニ、及びシュリンプ;乳製品、例えば乳、チーズ、またはホエー濃縮物;酵母;ペプチド;アミノ酸;ヌクレオチド;脂肪;油;人造肉及び/またはシーフードフレーバー;メイラード反応物;糖;植物抽出物;並びに猫または犬を引き付ける天然及び/または人工材料を含む芳香族材料が挙げられる。
【0022】
追加のおいしさ増強剤の量は、おいしさの増強をもたらすのに十分なものであり、これは、コンパニオン動物がこうした材料を含む本組成物を水よりも好む際に自発的に選択することを観察することによって示されることができる。これは一般に約0.1〜10重量%、望ましくは最小重量%として約0.3または1.0重量%である。
【0023】
他の成分を含むことができ、例えば、食物栄養補助剤として使用されるビタミン及びミネラルのような栄養素;保存剤;1種または複数種の着色剤;活性剤の例として1種または複数種の抗菌剤、1種または複数種の抗炎症剤、及び1種または複数種の駆虫薬;1種または複数種の酸化防止剤;ハーブ及び/または植物抽出物;増粘剤及びその他同様なものが全て有効な量で提供される。追加の成分の量は、所望の効果をもたらすのに十分である。これは一般に流体の約0.01〜5.0重量%、望ましくは最小重量%として約0.1または1.0重量%である。
【0024】
1態様においては、他の成分は、食物栄養補助剤の例えば予め定められた量のアミノ酸、タンパク質、ビタミン、またはミネラルをさらに含んでよく、これは一般に、良好な動物の健康のための栄養上の支持を提供するとして当分野において認識されている。さらに他の態様においては、栄養補助剤は、より高齢の猫における疾患または状態の例えば糖尿病または肥満症を生じる増大した危険にさらされている動物の予防的維持のための栄養上の支持を提供するとして獣医によって認識されている特定の配合物を含んでよい。他の態様においては、栄養補助剤は、経口で消費してよく、純粋な形態ではコンパニオン動物にとっておいしくない抗生物質または他の薬剤を含んでよい。
【0025】
従って、流体は、栄養補助剤並びに活性成分のための送達システムとして機能することができる。
【0026】
本組成物は標準法によって容易に製造され、混合される。例えば、流体を、成分の全てを容器中に入れて混合し、適切な場合にはいつでも従来の温度または高温下で撹拌することによって製造してよい。成分を混合する前または後に、固形物をろ過または遠心分離によって除去してよい。
【0027】
全体的に見て、栄養必要量を満たす食餌と共に本発明の流体を利用した場合に、犬及び猫は、総水分摂取及び尿の生成の有意な増大並びに尿の比重の有意な低下を経験することができる。犬及び猫の水分摂取は主に、こうしたコンパニオン動物の大部分が生息している環境中の水によって補われる。ドライまたは缶入りフード食を、本流体組成物を用いて補う場合、犬または猫は、少なくとも約20%の総水分摂取の増大を経験することができ、これは重量で前のレベルの70%または80%まで増大するかもしれない。尿の生成は少なくとも約20%増大することがあり、改良は前のレベルの約90を超えるかまたは100重量%が得られるかもしれない。尿の比重は、前のレベルと比較して少なくとも約20、30または望ましくは少なくとも約40重量%低下し得る。
【実施例】
【0028】
上記に説明したSAWA流体組成物によって提供される猫及び犬に及ぼす影響を、下記の非限定例によって評価した。
実施例1
SAWA流体の製造
【0029】
凍結豚の肝臓を、1/8インチプレートを通して挽いた。200lb部分の挽いた豚の肝臓を、300lbの容量を有するケトル中に入れた。20lbの量の水をケトルに加えた。パドルで混合しながら、混合物を145°Fに加熱した。エンザイム・デベロップメントCo.(Enzyme Development Co.)によって販売されている市販の真菌プロテアーゼである181.6gの量のエンゼコAS−L(ENZECO AS-L)を混合物に加えた。混合物を次に145°Fで1時間保持し、続いて160°Fに加熱した。ヴァレー・リサーチ、Inc.(Valley Research, Inc.)によって販売されている市販の植物プロテアーゼである181.6gの量のパパイン6000(Papain 6000)を加えた。混合物を195°Fに加熱し、この温度で15分間保持した。混合物を次に100°Fに冷却し、#20ふるい(USメッシュ)を通してろ過した。ふるいを通過した部分を“おいしさ増強剤”画分として使用するために集めた。おいしさ増強剤を次に脱イオン水に加え、5重量%のおいしさ増強剤を含む水性混合物を形成した。脱イオン水及びおいしさ増強剤をAPV混合容器中で合わせ、30分間混合した。混合物を一晩重力分離させ、その間、APV容器のジャケットを通して低温の水道水を流した。上澄みをAPVから傾瀉し、複数の14オンス缶に充填するために使用した。缶を密封し、252°Fで45分間レトルト殺菌した。缶を室温に冷却し、SAWAであると確認した。
実施例2
猫の研究
【0030】
実施例1において製造したSAWAを、市販のドライ維持キャットフードを供給される8匹の成猫において試験した。総水分摂取、総尿量、及び尿の比重等を各研究群につき測定した。交差研究法(crossover study design)を使用した。猫を無作為に2つの群に分割し、各群に猫は4匹だった。1つの群は、2つのプラスチック瓶中に提供された飲料水のみを与えられ、この各々は約500グラムの飲料水を含んだ(対照群)。他の群は、2つのプラスチック瓶中に提供された飲料水及びSAWAを与えられ、1つは約500グラムの飲料水を含み、他のものは約500グラムのSAWAを含んだ(SAWA群)。2週間後、対照及びSAWA群に交差法を行い(crossed over)、適切にさらに2週間処理した。水分摂取及び尿量測定を、研究の2週及び4週の間中毎日実行した。総水分摂取を、対照群の場合飲料水及びフード中に含まれる水からの水分摂取の和、並びにSAWA群の場合飲料水及びSAWA及びフード中の水からの水分摂取の和として測定した。総尿量を、猫を収容したステンレス鋼パンにプラスチック管を用いて接続したキャップをしたプラスチック瓶を使用して、研究群における個々の猫からの尿放出を捕捉することによって測定し、尿を集める前及び後にプラスチック瓶の重量の差によって測定した。尿の比重を、屈折計を用いて測定した。結果を研究群の平均として示す。尿及び尿pH中の主要なミネラルも測定した。尿のミネラル濃度を発光分析計(オプティマ4300DV、パーキン・エルマー・インスツルメンツ、ノーウォーク、CT、USA(Optima 4300 DV, PerkinElmer Instruments, Norwalk, CT, USA))を使用して測定し、尿pHをpH計を用いて測定した。相対的なおいしさを評価するために、研究の最中にSAWAに加えて飲料水を利用可能にし、消費のそれぞれの重量を記録した。猫はほぼSAWAのみを飲んだ。
【0031】
表1は、SAWAは総水分摂取及び尿の生成を有意に増大させ、尿の比重を低下させたことを示す。リン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びカリウムの尿ミネラル濃度は有意に低下した。尿pHはSAWAによって影響されなかった。悪影響は研究の最中に観察されなかった。こうした結果は、SAWAは、尿体積を増大させ、尿のミネラル濃度を希釈することによって猫における尿路結石症の予防、治療及び管理において有用であることを証明した。
【表1】

実施例3
比較製品を使用した猫の研究
【0032】
この研究は、実施例1からのSAWAの効果を、ペット用飲料として配合され販売されている市販の製品と比較した。SAWAを、ウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTM(Waltham(登録商標) Feline/Canine Veterinary DietTM Rehydration SupportTM)、及び水分平衡にある水中の缶入りスターキスト(登録商標)チャンクライトツナ(StarKist(登録商標) chunk light tuna)からのツナ汁を含む市販の材料と比較した。希釈したツナ汁中の窒素濃度がSAWA中のものと同様になるように、ツナ汁を、水を用いて希釈した。
【0033】
実施例2におけるものと同様の交差研究法を使用した。実施例2における2つの群の代わりに、4つの群を試験した。これらは、対照(飲料水)、SAWA、ウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTM、及び希釈したツナ汁だった。8匹の猫に、維持ドライキャットフードを供給した。試験手法は実施例2の手法に従い、実施例2のSAWAを各々の製品で置き換えた。研究結果を表2に提出する。
【0034】
SAWAは、実施例2において観察されたように、総水分摂取及び尿体積を有意に増大させ、尿の比重を低下させた。リン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びカリウムの尿のミネラル濃度も有意に低下した。
【0035】
ウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTMは、急性下痢、嘔吐、及び獣医学的外科手術後の再水分補給を促進するために、電解質を用いて配合されている獣医学的製品である。製品は、獣医によって、許容可能であり、水及び電解質損失を補う際に有効であり、脱水した犬及び猫における酸塩基平衡を回復するために有効であるとみなされる比及び濃度で、麦芽デキストリン、ナトリウム、カリウム、シトレート及びグリシンを含む。この試験群は、増大した総水分摂取を経験せず(乾物摂取を用いて補正した場合に)、尿の生成も増大せず、製品は、対照群における猫と比較した場合に、猫における水分平衡にほとんどまたは全く影響が無かったが、尿中のナトリウム排泄を有意に増大させ、これは慢性腎不全を有する猫において有害となり得る。
【0036】
水中に充填したスターキスト(登録商標)ブランドライトツナから傾瀉され、希釈したツナ汁中の窒素濃度がSAWA中のものと同様になるように水道水を使用して10倍に希釈された汁を、希釈したツナ汁は含んだ。
【表2】

【表3】

【0037】
加えて、猫は、たとえ水が利用可能でも、ほぼSAWA流体瓶からのみ飲んだ。さらに、測定した他のパラメータ、すなわち、体重、フード摂取、尿pH、及び大便の質は、SAWA流体によって影響されなかった。
実施例4
犬の研究
【0038】
実施例1に従って製造したSAWAを、ドライの市販の維持フードを供給される8匹の成犬において試験した。試験手法は実施例2において使用した手法と同じだったが、ただし試験母集団は8匹の成犬であるビーグル犬からなり、プラスチックの水の瓶をプラスチックボールで置き換えた。表4に研究結果を提出する。
【0039】
SAWAは、総水分摂取及び尿の生成を有意に増大させ、尿の比重を低下させた。尿ミネラル濃度は低下した。こうした結果は、SAWAは、尿体積を増大させ、尿の比重を低下させることによって、犬における尿路結石症の予防及び管理において有用となり得ることを証明した。
【表4】

実施例5
比較製品を使用した犬の研究
【0040】
ラテン方格研究法を使用して、比較研究を9匹の成犬であるビーグル犬において行った。市販のペット用飲料であるウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTM及びK9クエンチャーエレクトロライトアイスクリームTM(K9 Quencher Electrolyte Ice CreamTM)を飲料水に対して試験した。研究結果を表5に提出する。
【0041】
ウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTMは、犬における総水分摂取及び尿の生成を増大させず、脱イオン水と比較した場合に不満足なおいしさを有した。ウォルサム(登録商標)フィーライン/ケーナインベテリナリーダイエットTMリハイドレーションサポートTMの平均摂取は212.6g/日であり、脱イオン水の平均摂取は393.7g/日だった。
【0042】
K9クエンチャーアイスクリームTMは、水分摂取及び尿体積を有意に増大させ、尿希釈を引き起こした。しかしながら、SAWAは、犬における総水分摂取及び尿の生成を増大させる際により有効であると思われる。SAWAを与えられた犬における平均一日総水分摂取及び尿の生成は、K9クエンチャーアイスクリームTMを与えられた場合の762.2g/日及び395.4g/日と比較して、それぞれ930g/日及び528g/日だった。
【表5】

【0043】
SAWAは市販のペット用水分補給製品と比較して改良された結果を提供したが、おいしさを増強するための補充の糖を使用せずにこのようになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と混合されて水溶液または懸濁液を形成する肝臓消化物を含み、該肝臓消化物は自発的な消費を促進するために有効な量で存在する、増大した総水分摂取及び尿の生成並びに低下した尿の比重を促進するためのコンパニオン動物による経口消費のための組成物。
【請求項2】
前記肝臓消化物は豚の肝臓消化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、増大した水分摂取を必要とするコンパニオン動物の食餌の要件に対処するように配合された追加の成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、増大した水分摂取を必要とし、下部尿路疾患を有するコンパニオン動物の食餌の要件を満たすように配合された追加の成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、前記コンパニオン動物としての犬または猫の食餌の要件を補うように配合された追加の成分を含むように配合される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
肝臓消化物濃度は、前記組成物の約1重量%〜約20重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記肝臓消化物濃度は、約3重量%〜約10重量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記肝臓消化物は、約3重量%〜約7重量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記肝臓消化物は、約5重量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
コンパニオン動物に請求項1に記載の組成物を提供する方法において、前記コンパニオン動物は増大した水分摂取を必要とする、方法。
【請求項11】
犬または猫の前記食餌を補うために、追加の成分を用いて前記組成物を配合する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
下部尿路障害を診断することによって前記犬または猫を予め選択する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記コンパニオン動物における下部尿路障害を予防するために、
予防措置としてある時間にわたって連続的に実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
水と混合されて水溶液または懸濁液を形成する肝臓消化物を含む、コンパニオン動物による経口消費のための組成物。

【公表番号】特表2007−514412(P2007−514412A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539605(P2006−539605)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036481
【国際公開番号】WO2005/048714
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】