説明

壁掛け装置およびその取付け方法

【課題】壁掛け取り付け時に壁掛け装置以外の用具を用いることなく、壁掛け装置を壁面に対して水平・垂直に設置可能な壁掛け装置を提供する。
【解決手段】鉛直方向に立設された壁面に取付けられる壁掛け装置10は、複数のネジ用穴が穿設された裏板を持つ奥側筐体20と、この奥側筐体に嵌合される前側筐体30とを備える。前側筐体は、水平方向に延在すべき上面を持つ筐体本体部32と、この筐体本体部に対して着脱自在に取り付け可能な小扉34とを有する。小扉は、筐体本体部から取り外された状態において、重量バランス的に中央に位置する箇所に支点機能を果たす引っ掛け凸部を具備する。筐体本体部は、その前面に、上面から所定距離離間した位置で、上面と平行に延びる水平基準線325a−1を持つ。筐体本体部から取り外されたとき、小扉は、引っ掛け凸部を上面上に係合させて、水平基準線と協働して、水準器として働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛直方向に立設した壁面に取り付けられる壁掛け装置およびその取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁掛け装置の筐体における壁掛け取り付け工事は、次のように行われている。まず、予め指定された取り付け寸法に従って、壁面に壁掛け装置の筐体を取り付け、複数本のネジにて締結取り付けする。その際、ネジ取り付け位置に対する作業精度のばらつきは不可避である。その結果、それによる壁掛け装置の筐体の斜め取り付け(ズレ)が頻繁に発生してしまう。
【0003】
この斜め取り付け(ズレ)を補正するために、壁掛け装置の設置作業現場では、水準器を用いて水平・垂直度を測定し、壁掛け装置の取付けを調整している。
【0004】
例えば、特開平2−61441号公報(特許文献1)は、水平確認を容易にした「空気調和器の据付装置」を開示している。この特許文献1に開示された据付装置は、据付板の中心線の任意の位置に水準器(逆やじろべえ)を吊り下げるための開口部と係止穴を有する係止片とを設ける。また、据付板には、係止片から一定の位置に水平確認用の水平目印を設けている。据付板に穿設されている多数のねじ穴の任意の1ヵ所をねじで仮止めし、係止片の開口部に水準器を係合させることにより、水準器は摺動して常に左右のアームがバランスして水平を保持する。アームを据付板の水平目印に合致させることにより、据付板の水平を確認できる。
【0005】
また、特開2002−171076号公報(特許文献2)は、火災受信盤を壁面に取付けるための「盤の取付調整機構」を開示している。この特許文献2に開示された盤の取付調整機構では、火災受信盤の筐体の内部に、火災受信盤の水平度を示す水平器を備えている。特許文献2では、水平器として、下げ振り器、気泡式水平器、および角度調整器の少なくとも1つを備えている。目視で水平器を確認しながら、火災受信盤の固定角度を容易に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−61441号公報
【特許文献2】特開2002−171076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述して特許文献1,2には、次に述べるような問題点がある。
【0008】
特許文献1では、壁掛け装置の設置工事担当者は水準器の携行が必須であり、水準器を忘れた場合には工事品質に悪影響を及ぼしてしまう。
【0009】
また、特許文献2でも、壁掛け装置の筐体とは別に、水平器を備える必要がある。
【0010】
本発明の目的は、壁掛け装置の筐体の設置方法において、壁掛け取り付け時に壁掛け装置以外の用具を用いることなく、壁掛け装置を壁面に対して水平・垂直に設置可能にした、壁掛け装置およびその取付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による壁掛け装置は、鉛直方向に立設された壁面に取付けられる壁掛け装置であって、壁面に複数のネジでそれぞれ取付けられる複数のネジ用穴が穿設された裏板を持つ奥側筐体と、この奥側筐体に嵌合される前側筐体であって、少なくとも水平方向に延在すべき上面を持つ筐体本体部と、この筐体本体部に対して着脱自在に取り付け可能な小扉とを有する、上記前側筐体と備える。小扉は、筐体本体部から取り外された状態において、重量バランス的に中央に位置する箇所に支点機能を果たす引っ掛け凸部と、この引っ掛け凸部を中心にして左右両側に水平方向に延在する水平部材とを具備する。筐体本体部は、その前面に、上面から所定距離離間した位置で、上面と平行に延びる水平基準線を持つ。筐体本体部から取り外されたとき、上記小扉は、引っ掛け凸部を上面上に係合させて、水平基準線と協働して、水準器として働くことを特徴とする。
【0012】
本発明による壁掛け装置の取付け方法は、上記壁掛け装置を、壁面に取り付ける方法であって、複数のネジをそれぞれ裏側筐体の複数のネジ穴を介して壁面に仮螺合して、奥側筐体を壁面に仮固定する工程と、前側筐体を奥側筐体へ仮嵌合する工程と、取り外した小扉の引っ掛け凸部を、上面上に係合させて、小扉を水準器としてバランスさせる工程と、小扉の水平部材と水平基準線とが互いに平行となるように、壁掛け装置の取付け角度を調整する工程と、上面上における取り外した小扉の係合を解除する工程と、前側筐体を奥側筐体から取り外す工程と、複数のネジをそれぞれ複数のネジ穴を介して壁面に本螺合して、奥側筐体を壁面に本締めする工程と、前側筐体を奥側筐体へ本嵌合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果は、壁掛け装置の取り付け工事の際の位置決め精度において、余分な用具・部材を用いないで対応可能な合理的調整方法を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る壁掛け装置を、右斜め前方上方から観た外観斜視図である。
【図2】図1に示した壁掛け装置の筐体本体部の小扉取付け部から小扉を取り外して、その取り外した小扉を、筐体本体部の上面上に係合した状態を、右斜め後方上方から観た外観斜視図である。
【図3】図2に示した壁掛け装置の正面図である。
【図4】図1に示した壁掛け装置の筐体本体部から取り外された状態の小扉を示す背面図である。
【図5】図4に示した小扉の引っ掛け凸部の、筐体本体部の上面上の係合(係着)状態を示す、壁掛け装置の主要部の背面断面図である。
【図6】図1に示した壁掛け装置を壁面に取り付ける壁掛け設置工事の動作(手順)の仮固定工程を示す斜視図である。
【図7】図1に示した壁掛け装置を壁面に取り付ける壁掛け設置工事の動作(手順)のバランス工程を示す斜視図である。
【図8】図1に示した壁掛け装置を壁面に取り付ける壁掛け設置工事の動作(手順)の本締め工程を示す斜視図である。
【図9】図1に示した壁掛け装置を壁面に取り付ける壁掛け設置工事の動作(手順)の本嵌合工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1乃至図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る壁掛け装置10について説明する。図1は壁掛け装置10を右斜め前方上方から観た外観斜視図である。図2は壁掛け装置10を右斜め後方上方から観た外観斜視図である。図3は壁掛け装置10の正面図である。
【0017】
ここでは、図1乃至図3に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。図1乃至図3に示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向、横方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向、鉛直方向)である。
【0018】
図示の壁掛け装置10は、上下方向Zに延在する中心軸を通り、かつ前後方向Xおよび上下方向Zによって規定される(延在する)平面に対して面対称の構造を有する。
【0019】
図示の壁掛け装置10は、例えば、セキュリティ監視通報装置等から成り、鉛直方向Zに立設された壁面(図示せず)に取付けられる壁掛け装置である。
【0020】
壁掛け装置10は、前後方向Xの奥側に設けられる奥側筐体20と、前後方向Xの前側に設けられる前側筐体30とから構成されている。
【0021】
奥側筐体20は、前面が開口した箱型形状をしている。すなわち、奥側筐体20は、上板(天板)21と、右側板22と、左側板23と、下板(底板)24と、裏板25とを有する。
【0022】
図2に示されるように、この裏板25には、当該奥側筐体20を壁面に4本のネジ(後述する)でそれぞれ取付けるための4つのネジ用穴25aが穿設されている。ここで、各ネジ用穴25aの径は、ネジのネジ部の径より大きく、ネジ頭の径よりも小さい。
【0023】
前側筐体30は、奥側筐体20に嵌合される。前側筐体30は、筐体本体部32と、小扉34とを有する。筐体本体部32は、実質的に直方体状の箱型形状をしている。すなわち、筐体本体部32は、上面(天面)321と、右側面322と、左側面323と、下面(底面)324と、前面325とを有する。また、筐体本体部32は、当該前面筐体30を奥側筐体20に嵌合させるために、これら上面(天面)321、右側面322、左側面323、および下面(底面)324から内側へ絞り込んだ状態で、前後方向Xの奥側へ突出した嵌合壁326を有する。この嵌合壁326は、上記奥側筐体20の上板(天板)21、右側板22、左側板23、および下板(底板)24の内壁面と摺接することによって、前側筐体30を奥側筐体20に嵌合可能とするものである。
【0024】
したがって、前側筐体30が嵌合壁326によって奥側筐体20に嵌合されたとき、図1および図2に示されるように、奥側筐体20の上板(天板)21、右側板22、左側板23、および下板(底板)24の外壁面は、それぞれ、前側筐体30の筐体本体部32の上面(天面)321、右側面322、左側面323、および下面(底面)324と同一面上に延在することになる。
【0025】
尚、筐体本体部32の上面(天面)321は、当該壁掛け装置10が壁面に取付けられたとき、前後方向Xおよび左右方向Yによって規定される水平面内の水平方向に延在すべきものである。
【0026】
小扉34は、筐体本体部32に対して着脱自在に取り付け可能である。図示の例では、小扉34は、筐体本体部32の下部に設けられている。換言すれば、図3に示されるように、筐体本体部32は、その下部に、小扉34が取り付けられる小扉取付け部327を有する。小扉34は、図1に示されるように、筐体本体部32の小扉取付け部327に回転軸34a(図3)にて取り付けられる。
【0027】
図2および図3は、筐体本体部32の小扉取付け部327から小扉34を取り外して、その取り外した小扉34を、後述するように、筐体本体部32の上面(天面)321上に係合した状態を示している。
【0028】
図1に加えて図4をも参照して、小扉34の構成について説明する。図4は、筐体本体部32から取り外された状態の小扉34を示す背面図である。
【0029】
小扉34は、筐体本体部32の小扉取付け部327に取り付けられたときにその小扉取付け部327の前面を覆う矩形形状の前扉部341と、この前扉部341の右端から後方へ延在する右壁板342と、前扉部341の左端から後方へ延在する左壁板343と、前扉部341の下端から後方へ延在する底壁板344と、前扉部341の上端の中央部から後方へ長めに延在する上端延出部345とを有する。
【0030】
図4に示されるように、上端延出部345の先端には、下方へ突出する引っ掛け凸部346が設けられている。この引っ掛け凸部346は、小扉34が筐体本体部32の小扉取付け部327から取り外されたとき、重量バランス的に小扉34の中央に位置する箇所で支点機能を果たすものである。
【0031】
図4から明らかなように、底壁板344は、引っ掛け凸部346を中心Cにして左右両側に水平方向に延在している。したがって、底壁板344は、水平部材とも呼ばれる。
【0032】
図1および図2に加えて図5を参照して、取り外された小扉34の引っ掛け凸部346の、筐体本体部32の上面(天面)321上の係合(係着)状態について説明する。図5は、その係着状態を示す、壁掛け装置10の主要部の背面断面図である。
【0033】
図1および図2に示されるように、筐体本体部32は、その上面(天面)321に設けられた複数の放熱穴321aを備えている。図5に示されるように、これら複数の放熱穴321aの一つ321a−1に、取り外された小扉34の引っ掛け凸部446が係着される。したがって、当該放熱穴321aの一つ321a−1は、取り外された小扉34の引っ掛け凸部446と係着される係着部として働く。
【0034】
尚、本実施の形態では、放熱穴321aの一つ321a−1を、取り外された小扉34の引っ掛け凸部446と係着される係着部として使用しているが、係着部はこれに限定されないのは勿論である。とにかく、筐体本体部32の上面(天面)321に、取り外された小扉34の引っ掛け凸部446を係着可能な形状があれば、その形状を係着部として代用可能である。例えば、係着部は、筐体本体部32の上面(天面)321に形成された凹部であっても良い。
【0035】
図1に示されるように、筐体本体部32は、その前面325に矩形形状の表示部325aを備える。この表示部325aは、例えば、LCD(liquid crystal display)から構成される。表示部325aは、例えば、カレンダ、時計情報、セキュリティ監視状態情報等を表示する。
【0036】
表示部325aの上辺(上枠)325a−1は、筐体本体部32の上面321から所定距離離間した位置で、上面321と平行に延びている。したがって、本実施形態では、この表示部325aの上辺(上枠)325a−1は、水平基準線として使用される。
【0037】
本実施の形態では、表示部325aの上辺(上枠)325a−1を水平基準線として使用しているが、表示部325aがない場合には、独立に筐体本端部32の前面325に水平基準線を設けてもよいのは勿論である。
【0038】
このような構成の壁掛け装置10によれば、筐体本体部32から取り外されたとき、小扉34は、その引っ掛け凸部346を筐体本体部32の上面321上に係合させて、水平基準線325a−1と協働して、水準器として働く。
【0039】
次に、本発明の実施形態の特徴について説明する。
【0040】
本発明の実施形態は、壁掛け装置10の筐体の設置方法において、壁掛け取り付け時に壁掛け装置10以外の用具を用いることなく、壁掛け装置10を壁面に対して水平・垂直に設定可能にしたことを特徴としている。
【0041】
天面321に放熱穴321aを設けられた筐体本体部32は、小扉取り付け部327と水平基準線325a−1とを有すると共に、筐体本体部32に回転軸43aにて取り付けられた小扉34とから構成される。
【0042】
小扉34は、重量バランス的に中央に位置する箇所に支点機能を果たす引っ掛け凸部346を具備した形状からなる。
【0043】
本発明の実施の形態による壁掛け装置10の設置工事の際は、小扉34を筐体本体部32から取り外し、筐体本体部32の天面321に具備した放熱穴321aの一つ(係着部)321a−1に、小扉34の中央部に具備した引っ掛け凸部346を係着させる。
【0044】
前述したように、引っ掛け凸部346は、小扉34の重量バランス的中心位置に配されているので、小扉34は引っ掛け凸部346を支点とした『やじろべぇ』となって左右重量バランスが取れて、小扉34の水平部材344は壁掛け装置10設置状態の理想である水平の姿勢を保った形で静止する。
【0045】
そして、筐体本体部32に具備した水平基準線325a−1と小扉32の水平部材344とを調整合致させることで、壁掛け装置10の筐体を壁面に対して水平・垂直に設置可能となる。
【0046】
次に、図6乃至図9を参照して、壁掛け装置10を壁面に取り付ける壁掛け設置工事の動作(手順)について説明する。
【0047】
図6に示されるように、ネジ回し(図示せず)を使用して、4本のネジ40をそれぞれ裏側筐体20の4つのネジ用穴25aを介して壁面に仮螺合して、奥側筐体20を壁面に仮固定する(仮固定工程)。ここで、本明細書中において「仮固定」とは、裏側筐体20が壁面に対して、摺動可能な状態で固定される状態のことを意味する。したがって、この仮固定状態では、裏側筐体20を壁面に対して摺動させた後では、その裏面筐体20はその状態(姿勢)を保持(維持)していることに注意されたい。
【0048】
引き続いて、図7に示されるように、前側筐体30を奥側筐体20へ仮嵌合する(仮嵌合工程)。ここで、本明細書中において「仮嵌合」とは、前側筐体30を奥側筐体20に対して取り外し可能な状態で、前側筐体30を奥側筐体20に装着する状態のことを意味する。次に、小扉34を筐体本体部32の小扉取付け部327から取り外す。すなわち、回転軸34a(図3)の回りに小扉34を回動させて(図1参照)、小扉34を筐体本体部32の小扉取付け部327から取り外す。
【0049】
そして、その取り外した小扉34の引っ掛け凸部346(図4)を、筐体本体部32の上面321上に係合させて、小扉34を水準器としてバランスさせる(バランス工程)。詳述すると、筐体本体部32の天面321にある複数の放熱穴321aの一つ(係着部)321a−1に、小扉34の引っ掛け凸部346を係着させる(図5参照)。引っ掛け凸部346は、小扉34の重量バランス的中心位置C(図4)に配されているので、小扉34は引っ掛け凸部346を支点とした『やじろべぇ』となって左右重量バランスが取れて、その水平部材344は、壁掛け装置10設置状態の理想である水平の姿勢を保った形で静止する。
【0050】
小扉34の水平部材344と水平基準線325a−1とが互いに平行となるように、壁掛け装置10の取付け角度を調整する(調整工程)。すなわち、図7に示されるように、小扉34の水平部材344と水平基準線325a−1との間に角度のズレがあるとき、矢印Aに示されるように、作業者が前側筐体30(筐体本体部32)を回動させ、奥側筐体20を壁面に対して摺動させて、上記ズレを補正する。
【0051】
尚、上記実施の形態では、仮嵌合工程とバランス工程との間で、小扉34を筐体本体部32から取り外しているが、仮固定工程と仮嵌合工程との間で、小扉34を筐体本体部32から取り外してもよい。
【0052】
その後、筐体本体部32の上面321上における、上記取り外した小扉34の係合を解除する(解除工程)。そして、前側筐体30を奥側筐体20から取り外す(取外し工程)。
【0053】
次に、図8に示されるように、ネジ回し50を使用して、4本のネジ40をそれぞれ4つのネジ用穴25a(図6)を介して壁面に本螺合して、奥側筐体20を壁面に本締めする(本締め工程)。
【0054】
そして、図9に示されるように、前側筐体30を奥側筐体20へ本嵌合する(本嵌合工程)。その後、小扉34を筐体本体部32に取り付ける。
【0055】
このようにして、壁掛け装置10を壁面に取り付けることにより、筐体本体部32の上面321を水平に設置できる。
【0056】
ここで、本実施の形態では、前側筐体30と奥側筐体20との嵌まり具合(本嵌合)については何ら規制されず、種々の嵌合を使用してよい。例えば、すきま嵌め、とまり嵌め、しまり嵌めのいずれも、本発明を実施するに当たっては無関係に対応可能である。
【0057】
尚、上記実施の形態では、本嵌合工程の後に、小扉34を筐体本体部32に取り付けているが、この小扉の取付け工程は、この順番(時期)に限定されない。例えば、本締工程と本嵌合工程との間で、小扉34を筐体本体部32に取り付けてもよい。或いは、解除工程と取外し工程との間で、小扉34を筐体本体部32に取り付けてもよい。その代わりに、取外し工程と本締め工程との間で、小扉34を筐体本体部32に取り付けてもよい。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0059】
本実施の形態による壁掛け装置の取り付け方法は、壁掛け取り付け工事の際の位置決め精度において、余分な用具・部材を用いないで対応可能な合理的調整方法を提供していることである。
【0060】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、上記実施の形態による壁掛け装置10では、4本のネジ40を使用し、4つのネジ用穴25aを介して裏側筐体20を壁面に取り付けているが、ネジの本数やネジ用穴は4に限定されず、複数であってよい。また、上記実施の形態では、小扉34は、筐体本体部32の下部に設けられた小扉取付け部327に対して着脱自在に取り付けられているが、小扉34の設置場所(取付け場所)は、筐体本体部32の下部に限定されないのは勿論である。
【0061】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0062】
(付記1)鉛直方向に立設された壁面に取付けられる壁掛け装置であって、
前記壁面に複数のネジでそれぞれ取付けられる複数のネジ用穴が穿設された裏板を持つ奥側筐体と、
該奥側筐体に嵌合される前側筐体であって、少なくとも水平方向に延在すべき上面を持つ筐体本体部と、該筐体本体部に対して着脱自在に取り付け可能な小扉とを有する、前記前側筐体と備え、
前記小扉は、前記筐体本体部から取り外された状態において、重量バランス的に中央に位置する箇所に支点機能を果たす引っ掛け凸部と、該引っ掛け凸部を中心にして左右両側に水平方向に延在する水平部材とを具備し、
前記筐体本体部は、その前面に、前記上面から所定距離離間した位置で、前記上面と平行に延びる水平基準線を持ち、
前記筐体本体部から取り外されたとき、前記小扉は、前記引っ掛け凸部を前記上面上に係合させて、前記水平基準線と協働して、水準器として働くことを特徴とする、壁掛け装置。
【0063】
(付記2)前記筐体本体部は、前記上面に、前記取り外された小扉の前記引っ掛け凸部と係着される係着部を備える、付記1に記載の壁掛け装置。
【0064】
(付記3)前記筐体本体部は、前記上面に設けられた複数の放熱穴を備え、前記複数の放熱穴の一つが、前記係着部として働くことを特徴とする、付記2に記載の壁掛け装置。
【0065】
(付記4)前記筐体本体部は、前記前面に矩形形状の表示部を備え、該表示部の上辺が前記水平基準線として働くことを特徴とする、付記1乃至3のいずれか1項に記載の壁掛け装置。
【0066】
(付記5)前記筐体本体部は、前記小扉が取り付けられる小扉取付け部を有する、付記1乃至4のいずれか1項に記載の壁掛け装置。
【0067】
(付記6)付記1に記載の壁掛け装置を、前記壁面に取り付ける方法であって、
前記複数のネジをそれぞれ前記裏側筐体の前記複数のネジ穴を介して前記壁面に仮螺合して、前記奥側筐体を前記壁面に仮固定する工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体へ仮嵌合する工程と、
前記取り外した小扉の前記引っ掛け凸部を、前記上面上に係合させて、前記小扉を前記水準器としてバランスさせる工程と、
前記小扉の前記水平部材と前記水平基準線とが互いに平行となるように、前記壁掛け装置の取付け角度を調整する工程と、
前記上面上における前記取り外した小扉の係合を解除する工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体から取り外す工程と、
前記複数のネジをそれぞれ前記複数のネジ穴を介して前記壁面に本螺合して、前記奥側筐体を前記壁面に本締めする工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体へ本嵌合する工程と、
を含む壁掛け装置の取付け方法。
【0068】
(付記7)前記仮嵌合する工程と前記バランスさせる工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部から取り外す工程を有する、付記6に記載の壁掛け装置の取付け方法。
【0069】
(付記8)前記仮固定する工程と前記仮嵌合する工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部から取り外す工程を有する、付記6に記載の壁掛け装置の取付け方法。
【0070】
(付記9)前記本嵌合する工程の後に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、付記6乃至8のいずれか1つに記載の壁掛け装置の取付け方法。
【0071】
(付記10)前記本締めする工程と前記本嵌合する工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、付記6乃至8のいずれか1つに記載の壁掛け装置の取付け方法。
【0072】
(付記11)前記解除する工程と前記取り外す工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、付記6乃至8のいずれか1つに記載の壁掛け装置の取付け方法。
【0073】
(付記12)前記取り外す工程と前記本締めする工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、付記6乃至8のいずれか1つに記載の壁掛け装置の取付け方法。
【符号の説明】
【0074】
10 壁掛け装置
20 奥側筐体
21 上板(天板)
22 右側板
23 左側板
24 下板(底板)
25 裏板
25a ネジ用穴
30 前側筐体
32 筐体本体部
321 上面(天面)
321a 放熱穴
321a−1 係着部(放熱穴の一つ)
322 右側面
323 左側面
324 下面(底板)
325 前面
325a 表示部(LCD)
325a−1 水平基準線(表示部の上辺(上枠))
326 嵌合壁
327 小扉取付け部
34 小扉
34a 回転軸
341 前扉部
342 右壁板
343 左壁板
344 底壁板(水平部材)
345 上端延出部
346 引っ掛け凸部
40 ネジ
50 ネジ回し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に立設された壁面に取付けられる壁掛け装置であって、
前記壁面に複数のネジでそれぞれ取付けられる複数のネジ用穴が穿設された裏板を持つ奥側筐体と、
該奥側筐体に嵌合される前側筐体であって、少なくとも水平方向に延在すべき上面を持つ筐体本体部と、該筐体本体部に対して着脱自在に取り付け可能な小扉とを有する、前記前側筐体と備え、
前記小扉は、前記筐体本体部から取り外された状態において、重量バランス的に中央に位置する箇所に支点機能を果たす引っ掛け凸部と、該引っ掛け凸部を中心にして左右両側に水平方向に延在する水平部材とを具備し、
前記筐体本体部は、その前面に、前記上面から所定距離離間した位置で、前記上面と平行に延びる水平基準線を持ち、
前記筐体本体部から取り外されたとき、前記小扉は、前記引っ掛け凸部を前記上面上に係合させて、前記水平基準線と協働して、水準器として働くことを特徴とする、壁掛け装置。
【請求項2】
前記筐体本体部は、前記上面に、前記取り外された小扉の前記引っ掛け凸部と係着される係着部を備える、請求項1に記載の壁掛け装置。
【請求項3】
前記筐体本体部は、前記上面に設けられた複数の放熱穴を備え、前記複数の放熱穴の一つが、前記係着部として働くことを特徴とする、請求項2に記載の壁掛け装置。
【請求項4】
前記筐体本体部は、前記前面に矩形形状の表示部を備え、該表示部の上辺が前記水平基準線として働くことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の壁掛け装置。
【請求項5】
前記筐体本体部は、前記小扉が取り付けられる小扉取付け部を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の壁掛け装置。
【請求項6】
請求項1に記載の壁掛け装置を、前記壁面に取り付ける方法であって、
前記複数のネジをそれぞれ前記裏側筐体の前記複数のネジ穴を介して前記壁面に仮螺合して、前記奥側筐体を前記壁面に仮固定する工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体へ仮嵌合する工程と、
前記取り外した小扉の前記引っ掛け凸部を、前記上面上に係合させて、前記小扉を前記水準器としてバランスさせる工程と、
前記小扉の前記水平部材と前記水平基準線とが互いに平行となるように、前記壁掛け装置の取付け角度を調整する工程と、
前記上面上における前記取り外した小扉の係合を解除する工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体から取り外す工程と、
前記複数のネジをそれぞれ前記複数のネジ穴を介して前記壁面に本螺合して、前記奥側筐体を前記壁面に本締めする工程と、
前記前側筐体を前記奥側筐体へ本嵌合する工程と、
を含む壁掛け装置の取付け方法。
【請求項7】
前記仮嵌合する工程と前記バランスさせる工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部から取り外す工程を有する、請求項6に記載の壁掛け装置の取付け方法。
【請求項8】
前記仮固定する工程と前記仮嵌合する工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部から取り外す工程を有する、請求項6に記載の壁掛け装置の取付け方法。
【請求項9】
前記本嵌合する工程の後に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の壁掛け装置の取付け方法。
【請求項10】
前記本締めする工程と前記本嵌合する工程との間に、前記小扉を前記筐体本体部に取り付ける工程を有する、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の壁掛け装置の取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−210914(P2011−210914A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76607(P2010−76607)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】