説明

壁装飾具

【課題】 斬新で飽きが生じにくく、湿気等の水分で汚れやカビがつき難く、破損し難いと共に、汚れの拭取り清掃が容易で、長期間に亘って使用することができる壁装飾具を提供する。
【解決手段】 一方面部において、細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材と、上記シート部材の他方面部に配設されると共に、気体を透過しうる紙部材とを備え、上記シート部材には、厚さ方向に貫通する複数の孔部が形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方面部において、細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材を用いた壁装飾具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に室内の壁面に装着される壁装飾具としては、所定の模様等が印字された紙製若しくは合成樹脂のシートから形成され、壁面上に貼付して使用する、所謂壁紙が広く用いられている。
【0003】
上記壁紙は、壁自体を塗り直すよりも、低コストで室内の模様替えができるという利点を有しているが、壁紙が紙製の場合は、水濡れや空気中の湿気等によって、破れ若しくはカビ等の発生による汚れが生じやすいという不具合を有していた。
【0004】
また、合成樹脂製の壁紙は、水濡れ等には強く、汚れのふき取りが容易である等の利点を有している一方、合成樹脂シートが気体を透過しないため、壁紙の裏面の水分が発散せず、カビ等の容易となりうるという不具合を有していた。
更に、紙製、合成樹脂製の何れの壁紙であっても、表面の模様等は最初に印刷された状態のまま変化しないことから、短期間で飽きてしまうという共通の不具合を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決する課題は、斬新な外観を備え、飽きが生じにくく、湿気等の水分で汚れやカビがつき難く、破損し難いと共に、汚れの拭取り清掃が容易で、長期間に亘って使用することができる壁装飾具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明に係る壁装飾具は一方面部に細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材と、上記シート部材の他方面部に配設されると共に、気体を透過しうる紙部材とを有し、上記シート部材には、厚さ方向に貫通する複数の孔部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
従って、室内の空気が、上記孔部を介して、シート部材の一方面部から裏面側及び、紙部材の内部を流通するため、シート部材の裏面に湿気がこもり難い。
【0008】
また、請求項2に記載した発明に係る壁装飾具は、上記孔部は径寸法0.05mm以下に形成されていることを特徴とする。
【0009】
従って、上記孔部を介して水蒸気等の気体は流通が可能である一方、液体の水は表面張力を有するため、上記孔部に浸入することはない。
【0010】
また、請求項3に記載した発明に係る壁装飾具は、上記紙部材は和紙から形成されていることを特徴とする。
【0011】
和紙とは、手漉き若しくは機械漉きで製造され、コウゾ・ミツマタ等の靭皮繊維を原料とし、パルプ繊維を原料とする所謂洋紙と比較して、目が粗く、気体を透過し易い厚手の紙である。
従って、紙部材中に進入した空気は、紙繊維の間隙を介して、速やかに上記シート部材の他方面部全体に行き亘る。
【0012】
また、請求項4に記載した発明に係る壁装飾具は、上記紙部材の反シート部材側面部は、合成樹脂製のコーティング材によって被覆されていることを特徴とする。
従って、上記壁装飾具を壁面に装着した場合、上記コーティング材と壁面に密着して固定される。
【0013】
また、請求項5に記載した発明に係る壁装飾具は、上記シート部材はポリエチレンテレフタレートから形成されると共に、難燃性材料が含有されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載した発明に係る壁装飾具は、上記難燃性材料はフッ素系樹脂であることを特徴とする。
従って、火災等高温化にさらされても、壁装飾具が燃え難い。
【0014】
また、請求項7に記載した発明に係る壁装飾具は、両面テープを介して壁面に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明にあっては、一方面部に細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材と、上記シート部材の他方面部に配設されると共に、気体を透過しうる紙部材とを有し、上記シート部材には、厚さ方向に貫通する複数の孔部が設けられていることから、シート部材の他方面部側に所定の模様若しくは写真等を配置することによって、上記凸レンズの光の屈折作用により、視認角度が移動に伴って視認できる図絵の内容が切り替わる、所謂チェンジング作用、及び左右の目の視角差を利用して、左右の目に別の図絵を視認させることにより、図絵が立体的に突出して視認される所謂3D作用等を奏する。
従って、例えば上記チェンジング作用を利用することによって、任意の景色を切り替えて表示させる、若しくは、3D作用を利用することによって、立体模様を浮き出させて視認させる等の演出が可能となる。
上記によって、斬新な外観を備え、飽きが生じにくく、湿気等の水分で汚れやカビがつき難く、破損し難いと共に、汚れの拭取り清掃が容易で、長期間に亘って使用することができる壁装飾具を提供することができる。
【0016】
また、請求項2の発明にあっては、上記孔部は径寸法0.05mm以下に形成されていることから、液体の水は透過せず、空気と水蒸気のみを透過するため、請求項1の効果に加え、シート部材の他方面部側が湿気ることがなく、カビ等の発生をより効果的に防止できる。
【0017】
また、請求項3の発明にあっては、上記紙部材は和紙から形成されている。
和紙は、目が粗く、気体を透過し易いことから、更にシート部材が湿気難いため、更にカビの発生が防止できる。
【0018】
また、請求項4の発明にあっては、上記紙部材の反シート部材側面部は、合成樹脂製のコーティング材によって被覆されていることから、壁面から剥離する際に、紙部材が破れて壁面に残ってしまうことが無い。
【0019】
また、請求項5及び請求項6に記載した発明にあっては、上記シート部材に難燃性材料が含有されているため、火災の際に、壁紙から延焼が拡大し難い。
【0020】
また請求項7に記載した発明にあっては、両面テープを介して壁面に固定されることから、壁面への着脱作業が極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、実施例の形態における壁装飾具の(a)は厚さ方向一部断面図、(b)は(a)の点線丸囲み部の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、添付図面を用いて以下説明する。
図1に示すように、本実施例に係る壁装飾具10は、一方面部11に細長半円柱形の凸レンズ12が径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズ13が貼設されたシート部材14と、上記シート部材14の他方面部15に配設されると共に、和紙から形成され、気体を透過しうる紙部材16とを備えている。
また、図1(b)に示すように、上記シート部材14には、厚さ方向に貫通し、径寸法が0.05mm以下に形成された、複数の孔部17が設けられている。
【0023】
また、図1(b)に示すように、上記紙部材16の反シート部材14側面部は、合成樹脂製から形成されたコーティング材18によって被覆されている。
【0024】
また、上記シート部材はポリエチレンテレフタレートから形成されると共に、フッ素系樹脂からなる難燃性材(図示せず)が含有されている。
【実施例1】
【0025】
本実施例の構成について添付図面を用いて以下説明する。
図1(a)、b)に示すように上記シート部材14とレンチキュラーレンズ13との間には、上記レンチキュラーレンズ13を介して視認される装飾用の図絵(図示せず)が配置されている。
上記図絵は、上記シート部材14の一方面部11に直接印字する若しくは、別途図絵を印字した薄い合成樹脂シート(図示せず)を上記シート部材14と上記レンチキュラーレンズ13との間に配置してもよい。
また、レンチキュラーレンズ13による図絵の視認効果としては、複数の絵を切り替える所謂チェンジング、立体視が可能な3D効果を適宜選択することができる。
従って、視認角度によって図柄が変化するため、飽き難く、外観品質が高い壁装飾具10を提供することができる。
【0026】
また、図1(b)に示すように、上記シート部材14の裏面に配置される和紙からなる紙部材16は、上記壁装着具10を壁面19に貼付した場合に、壁面19とシート部材14との隙間を確保し、シート部材14の他方面部15側における、空気及び水蒸気の流通をスムーズにする目的で配置されている。
和紙の種類を特に限定する必要はないが、空気等の流通を促すため、本実施例においては、目の粗い手漉き和紙を使用する。
【0027】
また、上記シート部材14に含有されるフッ素樹脂からなる難燃性材としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等があるが、その他の材料であっても、建築基準法における内装制限(第35条の2)に規定する所定の耐熱性、耐火性を確保可能であれば適宜選択することもできる。
【0028】
本実施例に係る壁装飾具10を壁面19に貼付する場合には、両面テープ20の片面を壁面19に貼付してから、上記壁装飾具10を壁面19に押し付けることによって固定する。
本実施例にあっては、シート部材14は合成樹脂であるため、紙製の壁紙のように皴、破れが生じ難く、貼設作業もきわめて容易である。
【0029】
また、図1(b)に示すように、上記シート部材14の孔部17から常に空気が他方面部15側に供給され、更に和紙からなる紙部材16の繊維の隙間から、上記シート部材14の他方面部15全域に空気が循環するため、湿気がこもり難く、カビ等の発生が防止される。
【0030】
また、図1(b)に示すように、レンチキュラーレンズ13に汚れがついた場合でも、合成樹脂から形成されていることから、水吹きによって簡単にふき取り可能であり、またその際に、上孔部17が液体の透過しないため、上記シート部材14の他方面部15側が濡れることがない。
【0031】
更に、上記シート部材14に難燃性のフッ素樹脂が含有されているため、火災等の場合でも延焼の危険が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、一方面部において、細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材を用いた壁装飾具に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 壁装飾具
11 シート部材の一方面部
12 凸レンズ
13 レンチキュラーレンズ
14 シート部材
15 シート部材の他方面部
16 紙部材
17 孔部
18 コーティング材
19 壁面
20 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面部に細長半円柱形の凸レンズが径方向に並列して配設されたレンチキュラーレンズが貼設されたシート部材と、上記シート部材の他方面部に配設されると共に、気体を透過しうる紙部材とを有し、
上記シート部材には、厚さ方向に貫通する複数の孔部が設けられていることを特徴とする壁装飾具。
【請求項2】
上記孔部は径寸法0.05mm以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載の壁装飾具。
【請求項3】
上記紙部材は和紙から形成されていることを特徴とする請求項1記載の壁装飾具。
【請求項4】
上記紙部材の反シート部材側面部は、合成樹脂製のコーティング材によって被覆されていることを特徴とする請求項1記載から請求項3いずれか1項に記載の壁装飾具。
【請求項5】
上記シート部材はポリエチレンテレフタレートから形成されると共に、難燃性材料が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか1項に記載の壁装飾具。
【請求項6】
上記難燃性材料はフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項5記載の壁装飾具
【請求項7】
上記壁装飾具は、両面テープを介して壁面に固定されることを特徴とする請求項1から請求項6いずれか1項に記載の壁装飾具。

【図1】
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【公開番号】特開2012−47015(P2012−47015A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192378(P2010−192378)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(509232382)株式会社ビーエイチビジュアル (3)
【Fターム(参考)】