壁貫通スリーブ
【課題】 長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる壁貫通スリーブを提供する。
【解決手段】 壁貫通スリーブ4は、外筒6とその外筒6に挿入された内筒5とからなる。この壁貫通スリーブ4は、外筒6と内筒5に、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段K1が設けられる。さらに、外筒6と内筒5に、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段K2が設けられる。そして、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合とが切り換わる。
【解決手段】 壁貫通スリーブ4は、外筒6とその外筒6に挿入された内筒5とからなる。この壁貫通スリーブ4は、外筒6と内筒5に、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段K1が設けられる。さらに、外筒6と内筒5に、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段K2が設けられる。そして、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合とが切り換わる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気用とか配線・配管材用等の壁貫通スリーブであって、長さ調整可能な壁貫通スリーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建物外壁を貫通して取り付けられる壁貫通スリーブがあった(例えば、特許文献1参照)。この壁貫通スリーブは、外壁に換気口を形成するためのスリーブであって、パイプによって形成されていた。
【0003】
この壁貫通スリーブの施工にあたっては、予め長さの異なる複数種類の壁貫通スリーブを用意しておき、その中から施工現場での壁厚に対応する壁貫通スリーブを選択して用いていた。また、施工現場における様々な壁厚に対応するために、長めの壁貫通スリーブを用意し、施工現場では、その壁貫通スリーブを壁厚に合わせて切断して用いることもあった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−177299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の壁貫通スリーブにあっては、施工現場での様々な壁厚に対応するために、予め長さの異なる複数種類の壁貫通スリーブを用意したり、長めの壁貫通スリーブを施工現場で壁厚に合わせて切断する必要があり、非常に面倒であった。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる壁貫通スリーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る壁貫通スリーブは、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、外筒とその外筒の内側に挿入された内筒とからなる。この壁貫通スリーブは、前記外筒と前記内筒に、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、軸方向を向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段が設けられ、かつ、前記外筒と前記内筒に、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段が設けられる。前記第1および第2の係合手段は、各々、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた弾性片に備わる係合凸部と、もう一方に設けられて前記係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなる。そして、前記第1および第2の係合手段において、前記被係合凹部は、前記軸方向に沿って複数設けられて、前記係合凸部と前記被係合凹部とが、前記軸方向に段階的に係合する。ここにおいて、前記外筒に対して前記内筒を、周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合とが切り換わる。
【0008】
この壁貫通スリーブによると、外筒と内筒との間では、係合凸部が係合する被係合凹部は、軸方向に沿って複数設けられて、それら係合凸部と被係合凹部とが、軸方向に段階的に係合する。このため、外筒に対して内筒が段階的に相対移動するとともに、外筒に対する内筒の突出量が段階的に調整可能となる。そして、この突出量を調整することで、壁貫通スリーブの長さが調整される。また、弾性片に備わる係合凸部と被係合凹部とからなる各係合手段においては、外筒に対する内筒の、軸方向の相対移動を許容する方向と、制止する方向とが、逆転しており、それら係合手段による係合が、外筒に対して内筒を周方向に回動させることで切り換わる。このため、各係合手段による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブを状況に適した状態で使用することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記被係合凹部は、一側もしくは他側に、その被係合凹部からの前記係合凸部の離脱を案内する傾斜面を備える。そして、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、他側もしくは一側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記係合凸部は、一側もしくは他側に、その係合凸部が前記被係合凹部から離脱するための傾斜面を備える。そして、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記係合凸部は、他側もしくは一側に、前記被係合凹部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段が設けられる。そして、前記外筒に対して前記内筒を、前記周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合と前記第3の係合手段による係合とが切り換わる。こうして、第1および第2の係合手段に加えて第3の係合手段を設けて、それら係合手段による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブを一層状況に適した状態で使用することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項4に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第3の係合手段は、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた係合凸部と、もう一方に設けられてその係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなる。そして、この第3の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、両側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0013】
また、請求項6に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、その壁貫通スリーブは、前記外筒と前記内筒との前記周方向への相対的回動位置において、前記各係合手段による係合が外れて、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向を向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有する。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記各係合手段は、壁貫通スリーブの軸心を挟むように対向して一対または複数対設けられる。これにより、それぞれの係合手段において係合のバランスがよく、外筒と内筒との関係が安定する。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項2に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段における前記係合凸部は、共通の係合凸部からなる。そして、前記第1および第2の係合手段における前記被係合凹部は、互いに前記周方向にずれるとともに、その周方向に延びる連続した溝を構成するように形成される。これにより、外筒に対して内筒を相対的に回動して、第1の係合手段による係合と第2の係合手段による係合とを切り替える際に、係合凸部が両被係合凹部間をスムーズに移動する。
【0016】
また、請求項9に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記外筒と前記内筒には、前記係合手段のうちのいずれかによる係合の状態にて、それら外筒と内筒との間において互いに離脱可能に係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記周方向の相対移動を規制する、回動規制手段が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る壁貫通スリーブによれば、軸方向に段階的に係合する係合凸部と被係合凹部とを設けて、外筒に対する内筒の突出量を段階的に調整することで、壁貫通スリーブの長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明に係る壁貫通スリーブを実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図19は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁である。2は、換気パイプである。3は、換気扇であって、いわゆるパイプファンからなる。4は、壁1を貫通するようにして配置される壁貫通スリーブである。
【0020】
壁貫通スリーブ4は、外筒6と、その外筒6の内側に挿入された内筒5とからなる。ここにおいて、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段K1が設けられる。また、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段K2が設けられている。そして、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合とが切り換わる。
【0021】
第1および第2の係合手段K1、K2は、各々、外筒6と内筒5との一方(図示実施の形態においては、外筒6)に設けられた弾性片8に備わる係合凸部8aと、もう一方(図示実施の形態においては、内筒5)に設けられて係合凸部8aが入り込んで係合する被係合凹部9とからなる。そして、第1および第2の係合手段K1、K2において、被係合凹部9は、前記軸方向Pに沿って複数設けられて、係合凸部8aと被係合凹部9とが、前記軸方向Pに段階的に係合する。
【0022】
また、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段K3が設けられる。この第3の係合手段K3は、外筒6と内筒5との一方(図示実施の形態においては、外筒6)に設けられた係合凸部8aと、もう一方(図示実施のけいたいにおいては、内筒5)に設けられてその係合凸部8aが入り込んで係合する被係合凹部9とからなる。そして、第3の係合手段K3において、被係合凹部9は、前記軸方向Pに沿って複数設けられて、係合凸部8aと被係合凹部9とが、前記軸方向Pに段階的に係合する。
【0023】
そこで、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合と第3の係合手段K3による係合とが切り換わる。そして、各係合手段K1、K2、K3は、壁貫通スリーブ4の軸心を挟むように対向して一対または複数対(図示実施の形態においては一対)設けられる。
【0024】
また、第1および第2の係合手段K1、K2(加えて第3の係合手段K3)における前記係合凸部8aは、共通の係合凸部8aからなる。そして、第1および第2の係合手段K1、K2(加えて第3の係合手段K3)におけ前記被係合凹部9は、互いに周方向Qにずれるとともに、その周方向Qに延びる連続した溝を構成するように形成されている。すなわち、係合凸部8aが一種類であるのに対し、被係合凹部9は、周方向Qにずれて、第1の被係合凹部901(第1の係合手段K1)と、第2の被係合凹部902(第2の係合手段K2)と、第3の被係合凹部903(第3の係合手段K3)との三種類設けられる。
【0025】
ところで、内筒5には、一端側に、換気パイプ2を外側に嵌めるようにして接続可能な換気パイプ接続口5aが設けられ、他端側に、換気扇3を挿入するようにして取付可能な換気扇取付口5bが設けられる。そこで、内筒5と外筒6とは、係合手段K1、K2、K3により、外筒6の一端側に対して、内筒5を反転することでその内筒5の一端側または他端側が選択的に突出した状態で連結される。そして、係合凸部8aと被係合凹部9(第1、第2、第3の被係合凹部901、902、903)とが、軸方向Pに段階的に係合することで、外筒6の一端側に対する内筒5の突出量が段階的に調整可能となっている。
【0026】
詳細には、図12に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との組合せ(つまり第1の係合手段K1)において、それら係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、段階的に相対移動可能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第1の係合手段K1は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を許容し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を制止する。
【0027】
そして、図13に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との組合せ(つまり第2の係合手段K2)において、それら係合凸部8aと第2の被係合凹部902とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、相対移動不能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、段階的に相対移動可能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第2の係合手段K2は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を制止し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を許容する。
【0028】
さらに、図14に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との組合せ(つまり第3の係合手段K3)において、それら係合凸部8aと第3の被係合凹部903とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第3の係合手段K3は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向および後退させる方向への相対移動を制止する。
【0029】
また、図15に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との組合せ(つまり第1の係合手段K1)において、それら係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、相対移動不能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、段階的に相対移動可能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第1の係合手段K1は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を制止し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を許容する。
【0030】
そして、図16に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との組合せ(つまり第2の係合手段K2)において、それら係合凸部8aと第2の被係合凹部902とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、段階的に相対移動可能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第2の係合手段K2は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を許容し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を制止する。
【0031】
さらに、図17に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との組合せ(つまり第3の係合手段K3)において、それら係合凸部8aと第3の被係合凹部903とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第3の係合手段K3は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向および後退させる方向への相対移動を制止する。
【0032】
具体的には、壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられる壁貫通スリーブである。この壁貫通スリーブ4を構成する内筒5は、両端が開口した円筒形状であって、その一端側の換気パイプ接続口5aに比して、他端側の換気扇取付口5bが、若干径大となるように形成されている。ここで、換気パイプ接続口5aは、その基端部分に、換気扇取付口5b側ほど径大となったテーパー部5cを有している。換気扇取付口5bの内径は、前記換気パイプ2に挿入されて取付可能な換気扇3を、挿入するようにして取付可能な大きさとなっている。すなわち、換気扇取付口5bの内径は、換気パイプ接続口5aの外径と、略一致しており、図示実施の形態においては、換気パイプ接続口5aにおけるテーパー部5cの中間位置の外径と一致している。
【0033】
また、換気扇取付口5bは、この内筒5の大部分を占めており、この換気扇取付口5bの外周面に、前記被係合凹部9(詳細には、第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903)が形成されている。これら第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903は、互いに内筒5の周方向Qにずれ、かつ、内筒5の軸方向Pに沿って複数設けられている。図示実施の形態においては、第1の被係合凹部901と第2の被係合凹部902とが第3の被係合凹部903を挟むように配置されている。そして、これら第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903は、それぞれ、内筒5の軸心R(つまり、壁貫通スリーブ4の軸心)を挟むように対向して一対設けられる(図3参照)。
【0034】
そして、一対設けられた、第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903の組みからなる被係合凹部群の間は、平坦に形成されて、係合凸部8aの、軸方向Pを向く各側への相対移動を許容する許容部10となる。すなわち、この許容部10によって、壁貫通スリーブ4は、外筒6と内筒5との周方向Qへの相対的回動位置において、各係合手段K1、K2、K3による係合が外れて、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有することとなる。
【0035】
また、内筒5には、第3の被係合凹部903に、外筒6における後述の窪み16と係合する突起11が設けられている。
【0036】
また、前記第1および第2の係合手段K1、K2において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容すべく、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)は、軸方向Pの一側もしくは他側に、その被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)からの係合凸部8aの離脱を案内する傾斜面9aを備える。そして、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)は、軸方向Pの他側もしくは一側に、係合凸部8aの相対移動を制止する規制面9bを備える。図示実施の形態においては、傾斜面9aは、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)を形成する溝の、底壁面からアール状に立ち上がる側壁面からなり、また、規制面9bは、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)を形成する溝の、底壁面から垂直に立ち上がる側壁面からなる。
【0037】
また、第3の被係合凹部903において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、被係合凹部9(第3の被係合凹部903)は、軸方向Pの両側に、係合凸部8aの相対移動を制止する規制面9bを備える。図示実施の形態においては、この規制面9bは、第3の被係合凹部903を形成する溝の、底壁面から垂直に立ち上がる側壁面からなる。
【0038】
そして、内筒5には、図2に示すように、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との係合によって、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pでの移動が許容される方向を示す印としての矢印12が、第1の被係合凹部901と並んで表示されている。同様に、内筒5には、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との係合によって、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pでの移動が許容される方向を示す印としての矢印13が、第2の被係合凹部902と並んで表示されている。また、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との係合によって、外筒6に対して内筒5は、その軸方向Pを向く両方の方向への移動が制止されており、このため、内筒5には、制止の意味を示す印としての「固定」の文字14が、第3の被係合凹部903と並んで表示されている。
【0039】
外筒6は、両端が開口した円筒形状をしており、その一端側に、前記弾性片8が、被係合凹部9に対応するように一対設けられている。この弾性片8は、外筒6の周壁において、コ字状に穿たれた切込み15によって区切られた、前記一端に向かって凸となった内側部分からなり、その先端部に、爪からなる前記係合凸部8aが設けられている。この係合凸部8aは、外筒6の筒内に向かって突設されており、この外筒6の軸方向Pの一側および他側の面8b、8bが、内周面8cに対して垂直となるように形成されている。
【0040】
また、外筒6には、係合凸部8aの中央部分に、その係合凸部8aを軸方向Pに横切る窪み16が設けられており(図11参照)、係合凸部8aと内筒5の第3の被係合凹部903とが係合したとき、この窪み16と内筒5に設けられた突起11とが離脱可能に係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制する。すなわち、外筒6と内筒5には、第3の係合手段K3による係合の状態にて、それら外筒6と内筒5との間において互いに離脱可能に係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制する、回動規制手段(窪み16および突起11)が設けられている。
【0041】
また、外筒6は、その他端側に、取付のためのフランジ6aを有している。このフランジ6aは、方形形状をしており、外筒6は、このフランジ6aを含めて一体に形成されている。そして、このフランジ6aの適宜位置(図示実施の形態においては、四隅部分)には、ビスとか釘をねじ込んだり打ち込んだりする際の案内となる凹み6b、6bが設けられている。
【0042】
図18は、この壁貫通スリーブ4に換気パイプ2を接続する場合の施工例を示す。また、図19は、壁貫通スリーブ4に換気扇3を取り付ける場合の施工例を示す。ここにおいて、壁1は、外壁1a、内壁1b、および当木1c等からなる。ただし、図18では、壁1は、内壁1bを備えていない。また、外筒6の他端側には、フード17が取り付けられるが、図19では、このフード17は、省略されている。
【0043】
ここで、壁貫通スリーブ4の施工に当たっては、外筒6を建物(詳細には、壁1の構成部である当木1c)に固定し、その固定された外筒6に対して、内筒5を連結するように固定する。また、建物に壁貫通スリーブ4を固定した後に、内壁1bを張る際には、内壁1bに内筒5が通る孔を予め明けておき、その孔の明いた内壁1bを張ればよいが、その他に、以下のようにしても構わない。すなわち、建物に固定された壁貫通スリーブ4において、内筒5が内壁1bと干渉しないように、外筒6に内筒5を収納したり、外筒6からの内筒5の突出量を小さくしておく。そこで、内壁1bを張る。その後、内壁1bの内筒5と対向する位置に孔を明け、その孔を通して、内筒5を引き出す。なお、この内筒5の引出しに当たっては、適宜内筒5を周方向に回動させることで、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に移動可能な状態にしておく。
【0044】
次に、以上の構成からなる壁貫通スリーブ4の作用効果について説明する。この壁貫通スリーブ4によると、外筒6と内筒5との間では、係合凸部8aが係合する被係合凹部9は、軸方向Pに沿って複数設けられて、それら係合凸部8aと被係合凹部9とが、軸方向Pに段階的に係合する。このため、外筒6に対して内筒5が段階的に相対移動するとともに、外筒6に対する内筒5の突出量が段階的に調整可能となり、この突出量を調整することで、壁貫通スリーブ4の長さが調整される。すなわち、この壁貫通スリーブ4によれば、軸方向Pに段階的に係合する係合凸部8aと被係合凹部9とを設けて、外筒6に対する内筒5の突出量を段階的に調整することで、壁貫通スリーブ4の長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる。
【0045】
また、弾性片8に備わる係合凸部8aと被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)とからなる各係合手段(第1、第2の係合手段K1、K2)においては、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容する方向と、制止する方向とが、逆転しており、それら係合手段K1、K2による係合が、外筒6に対して内筒5を周方向Qに回動させることで切り換わる。このため、各係合手段K1、K2による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブ4を状況に適した状態で使用することができる。しかも、第1および第2の係合手段K1、K2に加えて、軸方向Pを向く一方および他方の方向への相対移動を制止する第3の係合手段K3を設けて、それら係合手段K1、K2、K3による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブ4を一層状況に適した状態で使用することができる。
【0046】
また、第1の係合手段K1による係合とか第2の係合手段K2による係合の場合や、係合凸部8が、許容部10に位置する場合(つまり、外筒6と内筒5との相対的回動位置が前述の許容位置にある場合)には、外筒6の一端側に対する内筒5の突出量を調整可能である。したがって、その突出量を無くすあるいは小さくすることで、壁貫通スリーブ4の長さを短くして運搬の際の嵩を減らし、この壁貫通スリーブ4の運搬コストを低減することができる。そして、施工の際には、前記突出量を調整することで、壁貫通スリーブ4を必要な長さで使用することができる。しかも、前記突出量を調整した後には、外筒6に対して内筒5を周方向Qに回動させて、係合凸部8aと第3の被係合凹部903とを係合させることで、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く両方向への相対移動が制止される。このとき、窪み16と突起11とが係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qへの相対移動が規制される。これにより、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との係合が保持されて、外筒6に対して内筒5が不用意に軸方向Pに移動することがない。
【0047】
また、第1および第2の被係合凹部901、902(加えて第3の被係合凹部903)は、互いに周方向Qにずれるとともに、その周方向Qに延びる連続した溝を構成するように形成されている。したがって、外筒6に対して内筒5を相対的に回動して、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合(加えて第3の係合手段K3による係合)とを切り替える際に、係合凸部8aが被係合凹部901、902(加えて903)間をスムーズに移動する。
【0048】
また、第1、第2、第3の係合手段K1、K2、K3は、壁貫通スリーブ4の軸心を挟むように対向して一対または複数対(図示実施の形態においては一対)設けられている。したがって、それぞれの係合手段K1、K2、K3において係合のバランスがよく、外筒6と内筒5との関係が安定する。
【0049】
また、この壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられ、この壁貫通スリーブ4に、換気パイプ2を接続する場合には、外筒6の一端側に対して、内筒5をその一端側の換気パイプ接続口5aが突出した状態で連結しておく(図12〜図14参照)。そして、その換気パイプ接続口5aに換気パイプ2を接続する。また、換気扇3を取り付ける場合には、外筒6の一端側に対して、内筒5をその他端側の換気扇取付口5bが突出した状態で連結しておく(図15〜図17参照)。そして、その換気扇取付口5bに換気扇3を取り付ける。このように、内筒5の一端側に換気パイプ接続口5aを設け、他端側に換気扇取付口5bを設けて、使用にあたって、その内筒5を外筒6に対してそのままあるいは反転して連結することで、換気パイプ2の接続にも換気扇3の取付にも容易に対応することができる。もっとも、この壁貫通スリーブ4に、換気パイプ2を接続したり換気扇3を取り付けるにあたって、外筒6に対して内筒5を連結する前に、内筒5に換気パイプ2を接続したり換気扇3を取り付けたりし、その後に、外筒6に対して内筒5を連結しても構わない。
【0050】
また、壁貫通スリーブ4に換気パイプ2を接続する場合に、換気パイプ2を内筒5の換気パイプ接続口5aに接続し、係合凸部8aに第1の被係合凹部901を合わせて、内筒5を、外筒6側に押し進めることで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とが段階的に係合し、換気パイプ2に段階的にテンションをかけることができる。したがって、この換気パイプ2のたるみを低減することができる。そして、この壁貫通スリーブ4に、換気扇3を接続する場合には、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とが係合することで、所要の長さに調整された壁貫通スリーブ4に対して、内筒5の換気扇取付口5bに換気扇3を挿入していったとき、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、内筒5を外筒6側に押し進める方向には相対移動不能に係合している。このため、内筒5が換気扇3に押されて外筒6側に動くことがなく、内筒5の不用意な移動を防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、内筒5に、換気パイプ接続口5aと換気扇取付口5bとが設けられているが、外筒6に、換気パイプ接続口とか換気扇取付口が設けられてもよい。
【0052】
また、壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられるものでなくとも、配線材用スリーブとか配管材用スリーブ(配線・配管材用スリーブ)、その他のスリーブとして用いられるものであってもよい。
【0053】
また、係合凸部8aを備えた弾性片8は、外筒6に設けられ、被係合凹部9は、内筒5に設けられているが、反対に、弾性片8が内筒5に設けられ、被係合凹部9が外筒6に設けられてもよい。
【0054】
また、回動規制手段として、内筒5の第3の被係合凹部903には、突起11が、外筒6の係合凸部8aには、窪み16が設けられているが、それら突起11と窪み16は、別の位置に設けられても、また、内筒5に窪みが設けられ、外筒6に突起が設けられてもよい。また、この回動規制手段は、第3の係合手段K3による係合の状態にて、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制するものでなくとも、第1あるいは第2の係合手段K1、K2による係合の状態にて、周方向Qの相対移動を規制するものであってもよい。
【0055】
また、係合凸部8aが一種類であるのに対し、被係合凹部9は、周方向Qにずれて、複数種類設けられているが、被係合凹部9が一種類設けられるのに対し、係合凸部8aが、周方向Qにずれて複数種類設けられてもよい。すなわち、図20に示すように、第1および第2の係合手段K1、K2において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容すべく、係合凸部8aは、一側もしくは他側に、その係合凸部8aが被係合凹部9から離脱するための傾斜面8xを備え、また、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、係合凸部8aは、他側もしくは一側に、被係合凹部9の相対移動を制止する規制面8yを備える。そして、第3の係合手段K3において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、係合凸部8aは、両側に、被係合凹部9の相対移動を制止する規制面8yを備える。
【0056】
ここで、図20(a)は、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向には、弾性片8としての第1の弾性片801に備わる、係合凸部8aとしての第1の係合凸部811と、被係合凹部9とが、段階的に相対移動可能に係合して、その押し進める方向への相対移動を許容し、また、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、第1の係合凸部811と被係合凹部9とが相対移動不能に係合して、その後退させる方向への相対移動を制止する場合を示す。図20(b)は、反対に、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向には、弾性片8としての第2の弾性片802に備わる、係合凸部8aとしての第2の係合凸部812と、被係合凹部9とが、相対移動不能に係合して、その押し進める方向への相対移動を制止し、また、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、第2の係合凸部812と被係合凹部9とが段階的に相対移動可能に係合して、その後退させる方向への相対移動を許容する場合を示す。そして、図20(c)は、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に対して、弾性片8としての第3の弾性片803に備わる、係合凸部8aとしての第3の係合凸部813と、被係合凹部9とが、相対移動不能に係合して、その押し進める方向および後退させる方向への相対移動を許容する場合である。
【0057】
また、壁貫通スリーブ4には、第1および第2の係合手段K1、K2の他に、第3の係合手段K3が設けられているが、この第3の係合手段K3は、無くともよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の一実施の形態の、内筒の斜視図である。
【図2】同じく、内筒の正面図である。
【図3】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図4】同じく、図3におけるB−B線による拡大断面図である。
【図5】同じく、図3におけるC−C線による拡大断面図である。
【図6】同じく、図3におけるD−D線による拡大断面図である。
【図7】同じく、外筒の斜視図である。
【図8】同じく、外筒の正面図である。
【図9】同じく、図8におけるE−E線による断面図である。
【図10】同じく、図9における要部拡大図である。
【図11】同じく、図10におけるF−F線による断面図である。
【図12】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第1の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図13】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第2の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図14】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第3の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図15】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第1の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図16】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第2の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図17】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第3の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図18】壁貫通スリーブに換気パイプを接続する場合の施工例を示す一部断面図である。
【図19】壁貫通スリーブに換気扇を取り付ける場合の施工例を示す断面図である。
【図20】この発明の他の実施の形態の、内筒と外筒との関係を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
4 壁貫通スリーブ
5 内筒
6 外筒
8 弾性片
8a 係合凸部
8x 傾斜面
8y 規制面
9 被係合凹部
9a 傾斜面
9b 規制面
K1 第1の係合手段
K2 第2の係合手段
K3 第3の係合手段
P 軸方向
Q 周方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気用とか配線・配管材用等の壁貫通スリーブであって、長さ調整可能な壁貫通スリーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建物外壁を貫通して取り付けられる壁貫通スリーブがあった(例えば、特許文献1参照)。この壁貫通スリーブは、外壁に換気口を形成するためのスリーブであって、パイプによって形成されていた。
【0003】
この壁貫通スリーブの施工にあたっては、予め長さの異なる複数種類の壁貫通スリーブを用意しておき、その中から施工現場での壁厚に対応する壁貫通スリーブを選択して用いていた。また、施工現場における様々な壁厚に対応するために、長めの壁貫通スリーブを用意し、施工現場では、その壁貫通スリーブを壁厚に合わせて切断して用いることもあった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−177299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の壁貫通スリーブにあっては、施工現場での様々な壁厚に対応するために、予め長さの異なる複数種類の壁貫通スリーブを用意したり、長めの壁貫通スリーブを施工現場で壁厚に合わせて切断する必要があり、非常に面倒であった。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる壁貫通スリーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る壁貫通スリーブは、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、外筒とその外筒の内側に挿入された内筒とからなる。この壁貫通スリーブは、前記外筒と前記内筒に、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、軸方向を向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段が設けられ、かつ、前記外筒と前記内筒に、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段が設けられる。前記第1および第2の係合手段は、各々、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた弾性片に備わる係合凸部と、もう一方に設けられて前記係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなる。そして、前記第1および第2の係合手段において、前記被係合凹部は、前記軸方向に沿って複数設けられて、前記係合凸部と前記被係合凹部とが、前記軸方向に段階的に係合する。ここにおいて、前記外筒に対して前記内筒を、周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合とが切り換わる。
【0008】
この壁貫通スリーブによると、外筒と内筒との間では、係合凸部が係合する被係合凹部は、軸方向に沿って複数設けられて、それら係合凸部と被係合凹部とが、軸方向に段階的に係合する。このため、外筒に対して内筒が段階的に相対移動するとともに、外筒に対する内筒の突出量が段階的に調整可能となる。そして、この突出量を調整することで、壁貫通スリーブの長さが調整される。また、弾性片に備わる係合凸部と被係合凹部とからなる各係合手段においては、外筒に対する内筒の、軸方向の相対移動を許容する方向と、制止する方向とが、逆転しており、それら係合手段による係合が、外筒に対して内筒を周方向に回動させることで切り換わる。このため、各係合手段による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブを状況に適した状態で使用することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記被係合凹部は、一側もしくは他側に、その被係合凹部からの前記係合凸部の離脱を案内する傾斜面を備える。そして、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、他側もしくは一側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記係合凸部は、一側もしくは他側に、その係合凸部が前記被係合凹部から離脱するための傾斜面を備える。そして、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記係合凸部は、他側もしくは一側に、前記被係合凹部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段が設けられる。そして、前記外筒に対して前記内筒を、前記周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合と前記第3の係合手段による係合とが切り換わる。こうして、第1および第2の係合手段に加えて第3の係合手段を設けて、それら係合手段による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブを一層状況に適した状態で使用することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項4に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第3の係合手段は、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた係合凸部と、もう一方に設けられてその係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなる。そして、この第3の係合手段では、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、両側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備える。
【0013】
また、請求項6に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、その壁貫通スリーブは、前記外筒と前記内筒との前記周方向への相対的回動位置において、前記各係合手段による係合が外れて、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向を向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有する。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記各係合手段は、壁貫通スリーブの軸心を挟むように対向して一対または複数対設けられる。これにより、それぞれの係合手段において係合のバランスがよく、外筒と内筒との関係が安定する。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項2に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記第1および第2の係合手段における前記係合凸部は、共通の係合凸部からなる。そして、前記第1および第2の係合手段における前記被係合凹部は、互いに前記周方向にずれるとともに、その周方向に延びる連続した溝を構成するように形成される。これにより、外筒に対して内筒を相対的に回動して、第1の係合手段による係合と第2の係合手段による係合とを切り替える際に、係合凸部が両被係合凹部間をスムーズに移動する。
【0016】
また、請求項9に記載の発明に係る壁貫通スリーブは、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブにおいて、前記外筒と前記内筒には、前記係合手段のうちのいずれかによる係合の状態にて、それら外筒と内筒との間において互いに離脱可能に係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記周方向の相対移動を規制する、回動規制手段が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る壁貫通スリーブによれば、軸方向に段階的に係合する係合凸部と被係合凹部とを設けて、外筒に対する内筒の突出量を段階的に調整することで、壁貫通スリーブの長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明に係る壁貫通スリーブを実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図19は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁である。2は、換気パイプである。3は、換気扇であって、いわゆるパイプファンからなる。4は、壁1を貫通するようにして配置される壁貫通スリーブである。
【0020】
壁貫通スリーブ4は、外筒6と、その外筒6の内側に挿入された内筒5とからなる。ここにおいて、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段K1が設けられる。また、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段K2が設けられている。そして、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合とが切り換わる。
【0021】
第1および第2の係合手段K1、K2は、各々、外筒6と内筒5との一方(図示実施の形態においては、外筒6)に設けられた弾性片8に備わる係合凸部8aと、もう一方(図示実施の形態においては、内筒5)に設けられて係合凸部8aが入り込んで係合する被係合凹部9とからなる。そして、第1および第2の係合手段K1、K2において、被係合凹部9は、前記軸方向Pに沿って複数設けられて、係合凸部8aと被係合凹部9とが、前記軸方向Pに段階的に係合する。
【0022】
また、外筒6と内筒5には、それら外筒6と内筒5との間において互いに係合して、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段K3が設けられる。この第3の係合手段K3は、外筒6と内筒5との一方(図示実施の形態においては、外筒6)に設けられた係合凸部8aと、もう一方(図示実施のけいたいにおいては、内筒5)に設けられてその係合凸部8aが入り込んで係合する被係合凹部9とからなる。そして、第3の係合手段K3において、被係合凹部9は、前記軸方向Pに沿って複数設けられて、係合凸部8aと被係合凹部9とが、前記軸方向Pに段階的に係合する。
【0023】
そこで、外筒6に対して内筒5を、周方向Qに相対的に回動させることで、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合と第3の係合手段K3による係合とが切り換わる。そして、各係合手段K1、K2、K3は、壁貫通スリーブ4の軸心を挟むように対向して一対または複数対(図示実施の形態においては一対)設けられる。
【0024】
また、第1および第2の係合手段K1、K2(加えて第3の係合手段K3)における前記係合凸部8aは、共通の係合凸部8aからなる。そして、第1および第2の係合手段K1、K2(加えて第3の係合手段K3)におけ前記被係合凹部9は、互いに周方向Qにずれるとともに、その周方向Qに延びる連続した溝を構成するように形成されている。すなわち、係合凸部8aが一種類であるのに対し、被係合凹部9は、周方向Qにずれて、第1の被係合凹部901(第1の係合手段K1)と、第2の被係合凹部902(第2の係合手段K2)と、第3の被係合凹部903(第3の係合手段K3)との三種類設けられる。
【0025】
ところで、内筒5には、一端側に、換気パイプ2を外側に嵌めるようにして接続可能な換気パイプ接続口5aが設けられ、他端側に、換気扇3を挿入するようにして取付可能な換気扇取付口5bが設けられる。そこで、内筒5と外筒6とは、係合手段K1、K2、K3により、外筒6の一端側に対して、内筒5を反転することでその内筒5の一端側または他端側が選択的に突出した状態で連結される。そして、係合凸部8aと被係合凹部9(第1、第2、第3の被係合凹部901、902、903)とが、軸方向Pに段階的に係合することで、外筒6の一端側に対する内筒5の突出量が段階的に調整可能となっている。
【0026】
詳細には、図12に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との組合せ(つまり第1の係合手段K1)において、それら係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、段階的に相対移動可能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第1の係合手段K1は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を許容し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を制止する。
【0027】
そして、図13に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との組合せ(つまり第2の係合手段K2)において、それら係合凸部8aと第2の被係合凹部902とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、相対移動不能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、段階的に相対移動可能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第2の係合手段K2は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を制止し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を許容する。
【0028】
さらに、図14に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との組合せ(つまり第3の係合手段K3)において、それら係合凸部8aと第3の被係合凹部903とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気パイプ接続口5aを突出させる向きで、第3の係合手段K3は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向および後退させる方向への相対移動を制止する。
【0029】
また、図15に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との組合せ(つまり第1の係合手段K1)において、それら係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、相対移動不能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、段階的に相対移動可能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第1の係合手段K1は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を制止し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を許容する。
【0030】
そして、図16に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との組合せ(つまり第2の係合手段K2)において、それら係合凸部8aと第2の被係合凹部902とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向には、段階的に相対移動可能に係合し、その内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第2の係合手段K2は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向への相対移動を許容し、外筒6に対して内筒5を後退させる方向への相対移動を制止する。
【0031】
さらに、図17に示すように、外筒6の一端側に対して、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との組合せ(つまり第3の係合手段K3)において、それら係合凸部8aと第3の被係合凹部903とは、その内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に、相対移動不能に係合する。すなわち、内筒5が換気扇取付口5bを突出させる向きで、第3の係合手段K3は、外筒6に対して内筒5を押し進める方向および後退させる方向への相対移動を制止する。
【0032】
具体的には、壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられる壁貫通スリーブである。この壁貫通スリーブ4を構成する内筒5は、両端が開口した円筒形状であって、その一端側の換気パイプ接続口5aに比して、他端側の換気扇取付口5bが、若干径大となるように形成されている。ここで、換気パイプ接続口5aは、その基端部分に、換気扇取付口5b側ほど径大となったテーパー部5cを有している。換気扇取付口5bの内径は、前記換気パイプ2に挿入されて取付可能な換気扇3を、挿入するようにして取付可能な大きさとなっている。すなわち、換気扇取付口5bの内径は、換気パイプ接続口5aの外径と、略一致しており、図示実施の形態においては、換気パイプ接続口5aにおけるテーパー部5cの中間位置の外径と一致している。
【0033】
また、換気扇取付口5bは、この内筒5の大部分を占めており、この換気扇取付口5bの外周面に、前記被係合凹部9(詳細には、第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903)が形成されている。これら第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903は、互いに内筒5の周方向Qにずれ、かつ、内筒5の軸方向Pに沿って複数設けられている。図示実施の形態においては、第1の被係合凹部901と第2の被係合凹部902とが第3の被係合凹部903を挟むように配置されている。そして、これら第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903は、それぞれ、内筒5の軸心R(つまり、壁貫通スリーブ4の軸心)を挟むように対向して一対設けられる(図3参照)。
【0034】
そして、一対設けられた、第1、第2および第3の被係合凹部901、902、903の組みからなる被係合凹部群の間は、平坦に形成されて、係合凸部8aの、軸方向Pを向く各側への相対移動を許容する許容部10となる。すなわち、この許容部10によって、壁貫通スリーブ4は、外筒6と内筒5との周方向Qへの相対的回動位置において、各係合手段K1、K2、K3による係合が外れて、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有することとなる。
【0035】
また、内筒5には、第3の被係合凹部903に、外筒6における後述の窪み16と係合する突起11が設けられている。
【0036】
また、前記第1および第2の係合手段K1、K2において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容すべく、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)は、軸方向Pの一側もしくは他側に、その被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)からの係合凸部8aの離脱を案内する傾斜面9aを備える。そして、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)は、軸方向Pの他側もしくは一側に、係合凸部8aの相対移動を制止する規制面9bを備える。図示実施の形態においては、傾斜面9aは、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)を形成する溝の、底壁面からアール状に立ち上がる側壁面からなり、また、規制面9bは、被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)を形成する溝の、底壁面から垂直に立ち上がる側壁面からなる。
【0037】
また、第3の被係合凹部903において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、被係合凹部9(第3の被係合凹部903)は、軸方向Pの両側に、係合凸部8aの相対移動を制止する規制面9bを備える。図示実施の形態においては、この規制面9bは、第3の被係合凹部903を形成する溝の、底壁面から垂直に立ち上がる側壁面からなる。
【0038】
そして、内筒5には、図2に示すように、係合凸部8aと第1の被係合凹部901との係合によって、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pでの移動が許容される方向を示す印としての矢印12が、第1の被係合凹部901と並んで表示されている。同様に、内筒5には、係合凸部8aと第2の被係合凹部902との係合によって、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pでの移動が許容される方向を示す印としての矢印13が、第2の被係合凹部902と並んで表示されている。また、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との係合によって、外筒6に対して内筒5は、その軸方向Pを向く両方の方向への移動が制止されており、このため、内筒5には、制止の意味を示す印としての「固定」の文字14が、第3の被係合凹部903と並んで表示されている。
【0039】
外筒6は、両端が開口した円筒形状をしており、その一端側に、前記弾性片8が、被係合凹部9に対応するように一対設けられている。この弾性片8は、外筒6の周壁において、コ字状に穿たれた切込み15によって区切られた、前記一端に向かって凸となった内側部分からなり、その先端部に、爪からなる前記係合凸部8aが設けられている。この係合凸部8aは、外筒6の筒内に向かって突設されており、この外筒6の軸方向Pの一側および他側の面8b、8bが、内周面8cに対して垂直となるように形成されている。
【0040】
また、外筒6には、係合凸部8aの中央部分に、その係合凸部8aを軸方向Pに横切る窪み16が設けられており(図11参照)、係合凸部8aと内筒5の第3の被係合凹部903とが係合したとき、この窪み16と内筒5に設けられた突起11とが離脱可能に係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制する。すなわち、外筒6と内筒5には、第3の係合手段K3による係合の状態にて、それら外筒6と内筒5との間において互いに離脱可能に係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制する、回動規制手段(窪み16および突起11)が設けられている。
【0041】
また、外筒6は、その他端側に、取付のためのフランジ6aを有している。このフランジ6aは、方形形状をしており、外筒6は、このフランジ6aを含めて一体に形成されている。そして、このフランジ6aの適宜位置(図示実施の形態においては、四隅部分)には、ビスとか釘をねじ込んだり打ち込んだりする際の案内となる凹み6b、6bが設けられている。
【0042】
図18は、この壁貫通スリーブ4に換気パイプ2を接続する場合の施工例を示す。また、図19は、壁貫通スリーブ4に換気扇3を取り付ける場合の施工例を示す。ここにおいて、壁1は、外壁1a、内壁1b、および当木1c等からなる。ただし、図18では、壁1は、内壁1bを備えていない。また、外筒6の他端側には、フード17が取り付けられるが、図19では、このフード17は、省略されている。
【0043】
ここで、壁貫通スリーブ4の施工に当たっては、外筒6を建物(詳細には、壁1の構成部である当木1c)に固定し、その固定された外筒6に対して、内筒5を連結するように固定する。また、建物に壁貫通スリーブ4を固定した後に、内壁1bを張る際には、内壁1bに内筒5が通る孔を予め明けておき、その孔の明いた内壁1bを張ればよいが、その他に、以下のようにしても構わない。すなわち、建物に固定された壁貫通スリーブ4において、内筒5が内壁1bと干渉しないように、外筒6に内筒5を収納したり、外筒6からの内筒5の突出量を小さくしておく。そこで、内壁1bを張る。その後、内壁1bの内筒5と対向する位置に孔を明け、その孔を通して、内筒5を引き出す。なお、この内筒5の引出しに当たっては、適宜内筒5を周方向に回動させることで、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に移動可能な状態にしておく。
【0044】
次に、以上の構成からなる壁貫通スリーブ4の作用効果について説明する。この壁貫通スリーブ4によると、外筒6と内筒5との間では、係合凸部8aが係合する被係合凹部9は、軸方向Pに沿って複数設けられて、それら係合凸部8aと被係合凹部9とが、軸方向Pに段階的に係合する。このため、外筒6に対して内筒5が段階的に相対移動するとともに、外筒6に対する内筒5の突出量が段階的に調整可能となり、この突出量を調整することで、壁貫通スリーブ4の長さが調整される。すなわち、この壁貫通スリーブ4によれば、軸方向Pに段階的に係合する係合凸部8aと被係合凹部9とを設けて、外筒6に対する内筒5の突出量を段階的に調整することで、壁貫通スリーブ4の長さを施工現場に合わせて簡単に調整することができる。
【0045】
また、弾性片8に備わる係合凸部8aと被係合凹部9(第1、第2の被係合凹部901、902)とからなる各係合手段(第1、第2の係合手段K1、K2)においては、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容する方向と、制止する方向とが、逆転しており、それら係合手段K1、K2による係合が、外筒6に対して内筒5を周方向Qに回動させることで切り換わる。このため、各係合手段K1、K2による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブ4を状況に適した状態で使用することができる。しかも、第1および第2の係合手段K1、K2に加えて、軸方向Pを向く一方および他方の方向への相対移動を制止する第3の係合手段K3を設けて、それら係合手段K1、K2、K3による係合を切り替えることで、壁貫通スリーブ4を一層状況に適した状態で使用することができる。
【0046】
また、第1の係合手段K1による係合とか第2の係合手段K2による係合の場合や、係合凸部8が、許容部10に位置する場合(つまり、外筒6と内筒5との相対的回動位置が前述の許容位置にある場合)には、外筒6の一端側に対する内筒5の突出量を調整可能である。したがって、その突出量を無くすあるいは小さくすることで、壁貫通スリーブ4の長さを短くして運搬の際の嵩を減らし、この壁貫通スリーブ4の運搬コストを低減することができる。そして、施工の際には、前記突出量を調整することで、壁貫通スリーブ4を必要な長さで使用することができる。しかも、前記突出量を調整した後には、外筒6に対して内筒5を周方向Qに回動させて、係合凸部8aと第3の被係合凹部903とを係合させることで、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pを向く両方向への相対移動が制止される。このとき、窪み16と突起11とが係合して、外筒6に対する内筒5の、周方向Qへの相対移動が規制される。これにより、係合凸部8aと第3の被係合凹部903との係合が保持されて、外筒6に対して内筒5が不用意に軸方向Pに移動することがない。
【0047】
また、第1および第2の被係合凹部901、902(加えて第3の被係合凹部903)は、互いに周方向Qにずれるとともに、その周方向Qに延びる連続した溝を構成するように形成されている。したがって、外筒6に対して内筒5を相対的に回動して、第1の係合手段K1による係合と第2の係合手段K2による係合(加えて第3の係合手段K3による係合)とを切り替える際に、係合凸部8aが被係合凹部901、902(加えて903)間をスムーズに移動する。
【0048】
また、第1、第2、第3の係合手段K1、K2、K3は、壁貫通スリーブ4の軸心を挟むように対向して一対または複数対(図示実施の形態においては一対)設けられている。したがって、それぞれの係合手段K1、K2、K3において係合のバランスがよく、外筒6と内筒5との関係が安定する。
【0049】
また、この壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられ、この壁貫通スリーブ4に、換気パイプ2を接続する場合には、外筒6の一端側に対して、内筒5をその一端側の換気パイプ接続口5aが突出した状態で連結しておく(図12〜図14参照)。そして、その換気パイプ接続口5aに換気パイプ2を接続する。また、換気扇3を取り付ける場合には、外筒6の一端側に対して、内筒5をその他端側の換気扇取付口5bが突出した状態で連結しておく(図15〜図17参照)。そして、その換気扇取付口5bに換気扇3を取り付ける。このように、内筒5の一端側に換気パイプ接続口5aを設け、他端側に換気扇取付口5bを設けて、使用にあたって、その内筒5を外筒6に対してそのままあるいは反転して連結することで、換気パイプ2の接続にも換気扇3の取付にも容易に対応することができる。もっとも、この壁貫通スリーブ4に、換気パイプ2を接続したり換気扇3を取り付けるにあたって、外筒6に対して内筒5を連結する前に、内筒5に換気パイプ2を接続したり換気扇3を取り付けたりし、その後に、外筒6に対して内筒5を連結しても構わない。
【0050】
また、壁貫通スリーブ4に換気パイプ2を接続する場合に、換気パイプ2を内筒5の換気パイプ接続口5aに接続し、係合凸部8aに第1の被係合凹部901を合わせて、内筒5を、外筒6側に押し進めることで、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とが段階的に係合し、換気パイプ2に段階的にテンションをかけることができる。したがって、この換気パイプ2のたるみを低減することができる。そして、この壁貫通スリーブ4に、換気扇3を接続する場合には、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とが係合することで、所要の長さに調整された壁貫通スリーブ4に対して、内筒5の換気扇取付口5bに換気扇3を挿入していったとき、係合凸部8aと第1の被係合凹部901とは、内筒5を外筒6側に押し進める方向には相対移動不能に係合している。このため、内筒5が換気扇3に押されて外筒6側に動くことがなく、内筒5の不用意な移動を防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、内筒5に、換気パイプ接続口5aと換気扇取付口5bとが設けられているが、外筒6に、換気パイプ接続口とか換気扇取付口が設けられてもよい。
【0052】
また、壁貫通スリーブ4は、換気用スリーブとして用いられるものでなくとも、配線材用スリーブとか配管材用スリーブ(配線・配管材用スリーブ)、その他のスリーブとして用いられるものであってもよい。
【0053】
また、係合凸部8aを備えた弾性片8は、外筒6に設けられ、被係合凹部9は、内筒5に設けられているが、反対に、弾性片8が内筒5に設けられ、被係合凹部9が外筒6に設けられてもよい。
【0054】
また、回動規制手段として、内筒5の第3の被係合凹部903には、突起11が、外筒6の係合凸部8aには、窪み16が設けられているが、それら突起11と窪み16は、別の位置に設けられても、また、内筒5に窪みが設けられ、外筒6に突起が設けられてもよい。また、この回動規制手段は、第3の係合手段K3による係合の状態にて、外筒6に対する内筒5の、周方向Qの相対移動を規制するものでなくとも、第1あるいは第2の係合手段K1、K2による係合の状態にて、周方向Qの相対移動を規制するものであってもよい。
【0055】
また、係合凸部8aが一種類であるのに対し、被係合凹部9は、周方向Qにずれて、複数種類設けられているが、被係合凹部9が一種類設けられるのに対し、係合凸部8aが、周方向Qにずれて複数種類設けられてもよい。すなわち、図20に示すように、第1および第2の係合手段K1、K2において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を許容すべく、係合凸部8aは、一側もしくは他側に、その係合凸部8aが被係合凹部9から離脱するための傾斜面8xを備え、また、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、係合凸部8aは、他側もしくは一側に、被係合凹部9の相対移動を制止する規制面8yを備える。そして、第3の係合手段K3において、外筒6に対する内筒5の、軸方向Pの相対移動を制止すべく、係合凸部8aは、両側に、被係合凹部9の相対移動を制止する規制面8yを備える。
【0056】
ここで、図20(a)は、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向には、弾性片8としての第1の弾性片801に備わる、係合凸部8aとしての第1の係合凸部811と、被係合凹部9とが、段階的に相対移動可能に係合して、その押し進める方向への相対移動を許容し、また、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、第1の係合凸部811と被係合凹部9とが相対移動不能に係合して、その後退させる方向への相対移動を制止する場合を示す。図20(b)は、反対に、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向には、弾性片8としての第2の弾性片802に備わる、係合凸部8aとしての第2の係合凸部812と、被係合凹部9とが、相対移動不能に係合して、その押し進める方向への相対移動を制止し、また、内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向には、第2の係合凸部812と被係合凹部9とが段階的に相対移動可能に係合して、その後退させる方向への相対移動を許容する場合を示す。そして、図20(c)は、外筒6の一端側に対し、内筒5を外筒6側に押し進める方向、および内筒5を外筒6から離れる側に後退させる方向に対して、弾性片8としての第3の弾性片803に備わる、係合凸部8aとしての第3の係合凸部813と、被係合凹部9とが、相対移動不能に係合して、その押し進める方向および後退させる方向への相対移動を許容する場合である。
【0057】
また、壁貫通スリーブ4には、第1および第2の係合手段K1、K2の他に、第3の係合手段K3が設けられているが、この第3の係合手段K3は、無くともよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の一実施の形態の、内筒の斜視図である。
【図2】同じく、内筒の正面図である。
【図3】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図4】同じく、図3におけるB−B線による拡大断面図である。
【図5】同じく、図3におけるC−C線による拡大断面図である。
【図6】同じく、図3におけるD−D線による拡大断面図である。
【図7】同じく、外筒の斜視図である。
【図8】同じく、外筒の正面図である。
【図9】同じく、図8におけるE−E線による断面図である。
【図10】同じく、図9における要部拡大図である。
【図11】同じく、図10におけるF−F線による断面図である。
【図12】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第1の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図13】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第2の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図14】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気パイプ接続口を突出させる向きでの、第3の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図15】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第1の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図16】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第2の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図17】同じく、外筒の一端側に対して、内筒が換気扇取付口を突出させる向きでの、第3の係合手段による係合の状態を示す断面図である。
【図18】壁貫通スリーブに換気パイプを接続する場合の施工例を示す一部断面図である。
【図19】壁貫通スリーブに換気扇を取り付ける場合の施工例を示す断面図である。
【図20】この発明の他の実施の形態の、内筒と外筒との関係を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0059】
4 壁貫通スリーブ
5 内筒
6 外筒
8 弾性片
8a 係合凸部
8x 傾斜面
8y 規制面
9 被係合凹部
9a 傾斜面
9b 規制面
K1 第1の係合手段
K2 第2の係合手段
K3 第3の係合手段
P 軸方向
Q 周方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒とその外筒の内側に挿入された内筒とからなる壁貫通スリーブであって、
前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、軸方向を向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段が設けられ、かつ、前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段が設けられ、
前記第1および第2の係合手段は、各々、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた弾性片に備わる係合凸部と、もう一方に設けられて前記係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなり、
前記第1および第2の係合手段において、前記被係合凹部は、前記軸方向に沿って複数設けられて、前記係合凸部と前記被係合凹部とが、前記軸方向に段階的に係合し、
前記外筒に対して前記内筒を、周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合とが切り換わることを特徴とする、壁貫通スリーブ。
【請求項2】
前記第1および第2の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記被係合凹部は、一側もしくは他側に、その被係合凹部からの前記係合凸部の離脱を案内する傾斜面を備え、また、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、他側もしくは一側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項3】
前記第1および第2の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記係合凸部は、一側もしくは他側に、その係合凸部が前記被係合凹部から離脱するための傾斜面を備え、また、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記係合凸部は、他側もしくは一側に、前記被係合凹部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項4】
前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段が設けられ、
前記外筒に対して前記内筒を、前記周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合と前記第3の係合手段による係合とが切り換わることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項5】
前記第3の係合手段は、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた係合凸部と、もう一方に設けられてその係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなり、
前記第3の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、両側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項4に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項6】
前記外筒と前記内筒との前記周方向への相対的回動位置において、前記各係合手段による係合が外れて、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向を向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項7】
前記各係合手段は、壁貫通スリーブの軸心を挟むように対向して一対または複数対設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項8】
前記第1および第2の係合手段における前記係合凸部は、共通の係合凸部からなり、また、
前記第1および第2の係合手段における前記被係合凹部は、互いに前記周方向にずれるとともに、その周方向に延びる連続した溝を構成するように形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項9】
前記外筒と前記内筒には、前記係合手段のうちのいずれかによる係合の状態にて、それら外筒と内筒との間において互いに離脱可能に係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記周方向の相対移動を規制する、回動規制手段が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項1】
外筒とその外筒の内側に挿入された内筒とからなる壁貫通スリーブであって、
前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、軸方向を向く一方の方向への相対移動を許容し、他方の方向への相対移動を制止する、第1の係合手段が設けられ、かつ、前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方の方向への相対移動を制止し、前記他方の方向への相対移動を許容する、第2の係合手段が設けられ、
前記第1および第2の係合手段は、各々、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた弾性片に備わる係合凸部と、もう一方に設けられて前記係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなり、
前記第1および第2の係合手段において、前記被係合凹部は、前記軸方向に沿って複数設けられて、前記係合凸部と前記被係合凹部とが、前記軸方向に段階的に係合し、
前記外筒に対して前記内筒を、周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合とが切り換わることを特徴とする、壁貫通スリーブ。
【請求項2】
前記第1および第2の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記被係合凹部は、一側もしくは他側に、その被係合凹部からの前記係合凸部の離脱を案内する傾斜面を備え、また、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、他側もしくは一側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項3】
前記第1および第2の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を許容すべく、前記係合凸部は、一側もしくは他側に、その係合凸部が前記被係合凹部から離脱するための傾斜面を備え、また、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記係合凸部は、他側もしくは一側に、前記被係合凹部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項4】
前記外筒と前記内筒には、それら外筒と内筒との間において互いに係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記一方および他方の方向への相対移動を制止する、第3の係合手段が設けられ、
前記外筒に対して前記内筒を、前記周方向に相対的に回動させることで、前記第1の係合手段による係合と前記第2の係合手段による係合と前記第3の係合手段による係合とが切り換わることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項5】
前記第3の係合手段は、前記外筒と前記内筒との一方に設けられた係合凸部と、もう一方に設けられてその係合凸部が入り込んで係合する被係合凹部とからなり、
前記第3の係合手段において、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向の相対移動を制止すべく、前記被係合凹部は、両側に、前記係合凸部の相対移動を制止する規制面を備えることを特徴とする、請求項4に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項6】
前記外筒と前記内筒との前記周方向への相対的回動位置において、前記各係合手段による係合が外れて、前記外筒に対する前記内筒の、前記軸方向を向く一方および他方の方向への相対移動を許容する、許容位置を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項7】
前記各係合手段は、壁貫通スリーブの軸心を挟むように対向して一対または複数対設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項8】
前記第1および第2の係合手段における前記係合凸部は、共通の係合凸部からなり、また、
前記第1および第2の係合手段における前記被係合凹部は、互いに前記周方向にずれるとともに、その周方向に延びる連続した溝を構成するように形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の壁貫通スリーブ。
【請求項9】
前記外筒と前記内筒には、前記係合手段のうちのいずれかによる係合の状態にて、それら外筒と内筒との間において互いに離脱可能に係合して、前記外筒に対する前記内筒の、前記周方向の相対移動を規制する、回動規制手段が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の壁貫通スリーブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−127321(P2010−127321A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300071(P2008−300071)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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