説明

変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製方法、それにより得ることができる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、およびその使用

本発明は変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製方法に関し、該方法は、a)液相、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂および遊離ホルムアルデヒドが一緒にされて混合物が形成され、該アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が、0.5と3の間にあるホルムアルデヒド対(NH2)2のモル比(F/(NH2)2比)を有すると共に、500と50,000の間にある重量平均分子量を有し、該混合物中の全体のF/(NH2)2モル比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH2)2モル比よりも高く、2と6の間にある混合ステップと、b)遊離ホルムアルデヒドの少なくとも一部がアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応してホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に混合物が置かれ、該ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH2)2比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH2)2比よりも少なくとも1は高いF−結合ステップと、c)アルコールおよび6未満のpKaを有する酸が混合物に添加され、そしてアルコールの少なくとも一部がホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応して変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に混合物が置かれるアルキル化ステップとを含み、ステップa)およびb)は、連続的または同時的のいずれかで実行され得る。本発明はさらに、該方法によって得ることができる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂と、特にコーティング組成物中での前記樹脂の使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製方法に関する。さらに、本発明は、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂に関する。またさらに、本発明は、コーティング中、特に粉末コーティング中の架橋剤としての変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の使用に関する。
【0002】
ヘキサ(メトキシメチル)メラミン(HMMM)またはヘキサ(ブトキシメチル)メラミン(HBMM)などのヘキサ(アルコキシメチル)メラミンを調製すること、そしてポリエステル粉末コーティングなどのコーティング中の架橋剤としてHMMMまたはHBMMもしくはこれらの混合物を使用することはよく知られている。しかしながら、HMMMおよび/またはHBMMの使用に関連する欠点は、これらが、約−60℃という低いガラス転移温度(T)を有することである。HMMMおよび/またはHBMMが有効量(通常は、コーティング組成物の10〜20重量%)で使用される場合、HMMMまたはHBMM含有の粉末コーティング組成物のTは、望ましくないほど低い値まで低下され、室温よりも低いことも多い。
【0003】
本発明の目的は上記の欠点を低減することであり、あるいはなくすことでもある。
【0004】
この目的は、
a)液相、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂および遊離ホルムアルデヒドが一緒にされて混合物が形成され、該アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が、0.5と3の間にあるホルムアルデヒド対(NHのモル比(F/(NH比)を有すると共に、500と50,000の間にある重量平均分子量を有し、該混合物中の全体のF/(NHモル比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比よりも高く、2と6の間にある混合ステップと、
b)遊離ホルムアルデヒドの少なくとも一部がアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応してホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に混合物が置かれ、該ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH比よりも少なくとも1は高いF−結合ステップと、
c)アルコールおよび6未満のpKaを有する酸が混合物に添加され、そしてアルコールの少なくとも一部がホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応して変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に混合物が置かれるアルキル化ステップと、
を含み、ステップa)およびb)が連続的または同時的のいずれかで実行され得る変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製方法により得ることができる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂によって達成される。
【0005】
本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の利点は、HMMMまたはHBMMよりも高いか、あるいは実質的に高いTを有し得ることである。Tに依存して、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、室温でまだ液体であることもあるし、あるいは固体であることもある。本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、コーティング組成物、特に粉末コーティング組成物の架橋剤として適切である。
【0006】
米国特許第3,488,350号明細書は、酸性カチオン交換樹脂の存在下でポリメチロールメラミンと、1〜4個の炭素原子を有する多量の一価脂肪族アルコールとを反応させることと、そこからメラミン誘導体を単離することとを含む、ポリメチロールメラミン化合物の高純度のポリアルキルエーテルの調製方法を開示しており、メラミン出発化合物中のメチロール基の数は少なくとも3個であり、前記ポリメチロール化合物と実際に反応されるアルコールのモル数は少なくとも3である。出発化合物は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含まない。
【0007】
米国特許第2,998,411号明細書は、含水量を全仕込み量の少なくとも60重量%に調整しながら溶液が透明になるまで絶えず攪拌して、7と11の間のpHおよびそれに応じて約75℃と35℃の間の温度において、ホルムアルデヒド対メラミンのそれぞれのモル比が少なくとも6.5:1で、実質的に非アルコール性のホルムアルデヒド水溶液中にメラミンを溶解させることと、反応混合物を攪拌しながら温度を75℃と35℃の間に保持し、そうでなければかき混ぜられない分散液中の反応媒体全体を動かして反応を継続されることと、反応生成物が溶液から実質的に完全に沈殿するまで温度の低下を阻止するために発熱が静まったらpHを8と11の間の値に上昇させることと、固体を上澄み液から分離し、この後にアルキル化が行われることとを含む方法を開示している。出発化合物は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含まない。
【0008】
DE1595432号明細書には、粉末形態の無溶媒エーテル化メチロールメラミン縮合物の調製のための方法が開示されており、65体積%のエタノール水溶液中で数滴の反応混合物が混濁を生じるまで、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合物の存在下、還流温度において弱酸性媒体中で1モルのメラミンが3〜6モルのホルムアルデヒドと縮合され、次に中和された反応混合物が水中に注がれ、そのようにして得られた沈澱物は通常のやり方で分離され、50℃よりも低い温度で乾燥される。出発化合物は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含まない。
【0009】
CH206611号明細書には、樹脂の調製のための方法が開示されており、メラミン、ホルムアルデヒドおよびイソプロパノールは、樹脂の形成が行われるまで互いに反応させられる。出発化合物は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含まない。
【0010】
本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は方法によって得ることができる。前記方法は、液相、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂および遊離ホルムアルデヒドが一緒にされて混合物が形成される混合ステップa)を含む。
【0011】
液相としては、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂および遊離ホルムアルデヒドを溶解させることが可能であり、そしてステップb)およびc)が実行される条件下で液体であることが可能であれば、どんな液体化合物または液体化合物の混合物も適切である。液相の蒸発を防止するために上昇された圧力下で本発明に従う方法を実行することは、有益または必要であり得る。適切な液相の例は、水、様々なアルコール、もしくは水と1つまたは複数のアルコールとの混合物である。好ましくは、液相は、水、イソプロパノール、ブタノールまたはこれらの混合物を含むか、あるいは水、イソプロパノール、ブタノールまたはこれらの混合物から本質的になる。
【0012】
本発明に従う方法では、液相はアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と一緒にされ、該アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、0.5と3の間にあるホルムアルデヒド対(NHのモル比(F/(NH比)を有する。このような樹脂は、例えば、Kunststoff Handbuch、第10巻、デュロプラスト(Duroplaste)(ベッカー(Becker)、ブラウン(Braun)、カール・ハンサー出版(Carl Hanser Verlag)1988年)から本質的に知られており、第1.2.3章にはメラミン樹脂の調製が開示されている。広く用いられているアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の例は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0013】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比は、適切な樹脂形成を可能にするために少なくとも0.5でなければならない。F/(NHモル比は、好ましくは少なくとも、本質的にすべてのアミノ化合物が少なくとも1つの他のアミノ化合物に架橋されるように高いのが好ましい。さらに好ましくは、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比は、少なくとも0.7または0.9であり、最も好ましくは少なくとも1.0である。一方で、本発明に従う方法において著しいHMMMの形成が回避されるように、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比は3よりも低くなければならず、好ましくは、F/(NHモル比は2.8または2.6よりも低く、より好ましくは2.4または2.2よりも低く、最も好ましくは2.0または1.8よりも低い。アミノ化合物は、本明細書中では、電子求引性原子または基に結合されるか、もしくは電子求引性原子または基にそれ自体が結合された炭素原子に結合された、少なくとも1つの−NHRまたは−NH基を有する化合物と定義される。電子求引性原子の例は、酸素、窒素、および硫黄である。Rは原則としてどの有機基でもよい。適切なアミノ化合物の例は、尿素、グアニジン、メラミンなどのトリアジン、またはこれらのアミノ化合物の混合物である。
【0014】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量は、好ましくは少なくとも、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を調製するための出発材料中に含まれる少なくとも2分子のアミノ化合物が反応した後に形成される樹脂分子の分子量に等しいような値である。さらに好ましくは、分子量は、少なくとも、出発材料中に含まれる3分子またはさらに4分子のアミノ化合物の反応した形態を含む樹脂分子の分子量と等しい。理論に委ねることなく、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の分子量の増大は、本発明に従って最終的に得られる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のTの上昇をもたらし得ると考えられる。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の分子量は、樹脂分子が、平均して最大でも100、より好ましくは最大でも50または40の、出発材料中に含まれるアミノ化合物を含むような値であるのが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、500または1,000と50,000との間にある重量平均分子量(Mw)を有し、より好ましくは、Mwは2,000、3,000または5,000と45,000との間にある。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド(MF)またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド(MUF)樹脂であり、ステップa)において接触させられ得る液相が水であれば、樹脂は、少なくとも、0℃の曇り点が達成されるような分子量まで反応されていることが好ましい。知られているように、温度TにおけるMFまたはMUF樹脂の曇り点は、その調製中、T℃の多量の水に添加された1滴の樹脂がもはや溶解せずに混濁を示すときに達成される。一方で、樹脂は、混合物の沸点において曇り点(すなわち、混合物中の固体樹脂粒子の分散液が形成されるとき)を超えて反応されていないことが好ましい。この沸点は、大気圧で動作される場合には100℃からかけ離れていないであろう。あるいは、本発明に従う方法が高圧で実行される場合には、それよりも著しく高いこともある。
【0015】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド(MF)またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド(MUF)樹脂であり、ステップa)において接触させられ得る液相が水でなければ、異なるタイプの曇り点測定が実施され、1滴の樹脂を水に添加する代わりに、1滴の樹脂がホワイトスピリット(CAS番号8052−41−3)に添加される。同様の評価基準が適用され、Tにおけるホワイトスピリットの曇り点は、T℃の多量のホワイトスピリットに添加された1滴の樹脂がもはや溶解せずに混濁を示すときに達成される。樹脂は、少なくとも、Tc=0℃におけるホワイトスピリットの曇り点が達成されているが、通常の圧力において、Tc=ホワイトスピリットの沸点において曇り点を超えていないような分子量まで反応されていることが好ましい。ホワイトスピリットの沸点は、(既知であるように)大気圧において130℃と230℃の間にある。
【0016】
樹脂は、液相と接触させられるときに、本質的に乾燥した材料であってもよいし、あるいは例えば水相中の溶液または分散液であってもよい。
【0017】
本発明に従う方法では、液相およびアミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、互いにそして遊離ホルムアルデヒドと接触させられて、混合物を形成する。遊離ホルムアルデヒドは、本明細書中では、ホルムアルデヒド自体か、あるいはステップa)またはステップb)において用いられる条件でホルムアルデヒドを放出可能な、例えばパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンなどの化合物のいずれかを意味する。遊離ホルムアルデヒドは、そのままの状態または溶液の形態で混合物中に取り込むことができる。実際には、ホルムアルデヒド水溶液が非常に一般的に使用され、本発明に従う方法における使用に適している。遊離ホルムアルデヒドの添加の結果、混合物の全体のF/(NHモル比は増大するはずである。本発明に従う好ましい実施形態において、本発明に従う方法のこのステップまたはその後のステップではアミノ化合物は添加されない。したがって、混合物のF/(NHモル比は、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比よりも高いであろう。本発明によると、混合物の全体のF/(NHモル比が2と6の間になるような量の遊離ホルムアルデヒドが添加されるべきである。好ましくは、混合ステップにおいて、混合物の全体のF/(NHモル比は、少なくとも2.3、2.6、2.9、3.2、または3.5まで増大される。好ましくは、混合ステップにおいて、混合物の全体のF/(NHモル比は、最大でも5.5、5.0、4.5、4.0、または3.8まで増大される。好ましい実施形態では、混合物に添加される遊離ホルムアルデヒドの量は、混合物の全体のF/(NHモル比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比よりも少なくとも0.2または0.4高いような値である。より好ましくは、前記比は少なくとも0.8または1.0だけ増大され、最も好ましくは、前記比は、少なくとも1.5、0、2.5または3、あるいはさらに少なくとも3.5、4.0、4.5または5.0だけ増大される。混合物の全体のF/(NHモル比のより大きい増大は、特に架橋剤としてのその効率に関して、最終生成物(すなわち、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂)のさらに改善された特性をもたらすことが分かった。遊離ホルムアルデヒドの量は、好ましくは、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂中に存在する−NHRまたは−NH基における少なくとも40モル%、より好ましくは少なくとも50、60、70、80、90モル%、または本質的に全ての−NH官能性が、後述されるF−結合ステップb)で−N−CH−OH基に転化され得るような値である。
【0018】
本発明に従う方法のF−結合ステップb)では、混合物は、遊離ホルムアルデヒドの少なくとも一部がアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応してホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に置かれる。前記反応は、多くの場合、自然発生的に生じ得ることが分かった。これは通常、少なくとも、混合物が液相として水を含み、温度が室温と混合物の沸点との間にあれば事実である。このような場合そして本発明に従う方法の好ましい実施形態を表す場合、本発明に従うステップa)およびb)は同時にまたはほとんど同時に生じるであろう。F−結合ステップb)が自然発生的に生じなければ、当業者は、温度、pH、および圧力を変えることによって、このステップを実施するために適切な条件を見出すことができ、より高い温度(場合により、沸騰を防止するために上昇された圧力下で)は、中性からのpHの(さらなる)移動と同様に、F−結合ステップの速度を高め得る。本発明に従うF−結合ステップは、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比が、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比よりも少なくとも0.5は増大するようにして実行されるべきであり、好ましくは、F/(NHモル比の前記増大は、少なくとも1.0、1.5、2、2.5またはさらに3である。好ましい実施形態では、F−結合ステップは、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比が3.5と6.0の間にあり、より好ましくは4.0と6.0の間にあり、最も好ましくは4.5または5.0と5.9または6.0との間にあるようにして実行される。
【0019】
本発明に従う方法のアルキル化ステップc)では、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を含む混合物は、アルコールおよび6未満のpKaを有する酸と接触させられ、次に混合物は、アルコールの少なくとも一部がホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応する条件下に置かれる。この反応では、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が形成される。
【0020】
混合物はアルコールと接触させられる。好ましくは、アルコールまたはその混合物は、液相と少なくとも部分的に混和性であるように選択される。さらに好ましくは、アルコールまたはアルコールの混合物は、全ての比率において液相と混和性であるように選択される。本発明に従う方法の好ましい実施形態では、水が液相であり、イソプロパノールがアルコールである。別の実施形態では、液相は、アルキル化ステップc)において必要とされるアルコールを既に含み、この場合、このステップにおいてアルコールを添加することはもはや必要でないであろう。好ましくは、この実施形態においては、液相は水/イソプロパノール混合物であり、混合物にアルコールは添加されない。ステップc)で添加すべきおよび/または液相内に含まれる他の適切なアルコールの例は、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、2−ブタノール、およびエタノールである。
【0021】
本発明に従う方法のアルキル化ステップc)では、6未満のpKaを有する酸が混合物に添加される。ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂からの変性アミノ−アルデヒド樹脂の形成を可能にするために、酸性環境が必要とされることが多いことが分かった。好ましくは、添加される酸は最大でも5または4のpKaを有し、より好ましくは、添加される酸は、最大でも3または2のpKaを有する。塩酸(HCl)は、適切な酸の一例である。酸を添加する際、0と7の間、好ましくは1と6の間、または1.5と5.5の間のpHが達成されるような量で酸を添加することが好ましい。一般に、アルキル化ステップc)の速度は、pHがより低い場合に増大し得る。
【0022】
本発明に従う方法のアルキル化ステップc)では、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−アルデヒド樹脂、アルコールおよび酸を含む混合物は、アルコールの少なくとも一部がアルキル化反応においてホルムアルデヒドの豊富なアミノ−アルデヒド樹脂と反応する条件下に置かれる。このような条件の典型的な例は、既に定められたpH表示に加えて、50℃と110℃の間にある温度、および0.01MPaと2MPaの間にある圧力である。これらのパラメータをステップc)で変更する必要がないように前のステップa)およびb)における温度および圧力を選択することは有益であり得る。好ましくは、ステップc)は、全てのアミノ−ホルムアルデヒド結合の少なくとも25%がアルキル化を受けている時間の間継続される。より好ましくは、少なくとも35、50、65、またはさらに少なくとも80%または本質的に全てのアミノ−ホルムアルデヒド結合がアルキル化を受けている。
【0023】
本発明に従う方法の好ましい実施形態では、アルキル化ステップc)の後に、pH補正ステップd)が行われ、混合物のpHは7と14の間まで上昇される。pH補正ステップd)を実行する利点は、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の自己縮合が生じる機会が低減されるか、あるいはなくされることさえあることである。大まかに言えば、自己縮合の危険性は、混合物が到達されるpHが上昇されると共に(さらに)低減される。好ましくは、混合物のpHは、8または9と13との間にされる。
【0024】
アルキル化ステップc)は、任意で、pH補正ステップd)を実行した後であり、好ましくは、その後に単離ステップe)が行われ、混合物が十分な量の水と合わせられて変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が沈澱された後、固体の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が単離される。好ましくは、水は、0℃と23℃の間、より好ましくは5℃と樹脂のT(すなわち、樹脂のTが5℃よりも上にあれば)との間の温度を有する。
【0025】
本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は通常水にほとんど可溶性でないので、ステップc)またはd)の後に混合物を水へ供給すると、その沈澱がもたらされ得る。前記沈澱を達成するために、特定の量の水が存在しなければならない。通常、この量は、少なくとも、ステップa)および/またはc)で混合物に添加されたアルコールの総量と同程度であり得る。好ましくは、この量は、ステップa)および/またはc)で混合物に添加されたアルコールの量の5倍と50倍の間である。
【0026】
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の沈澱は、混合物からのその分離を可能にする。前記分離は、適切な手段、例えばフィルタまたは遠心分離機を用いることによって実行することができる。本発明に従う好ましい実施形態では、単離ステップe)は混合物からの前記分離を含むだけでなく、(分離の後の)1回、2回、またはそれ以上の洗浄ステップも含む。このような洗浄ステップでは、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、洗浄液と接触させられる。適切な洗浄液は、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が溶解しない液体であり、先行するステップのうちのいずれか1つにおいて使用されるアルコールではない。好ましくは、洗浄液は、前のステップにおいて使用されるアルコールと全ての比率で混和性であり、それにより前記アルコールの完全な除去が可能になる。好ましい実施形態では、前のプロセスステップc)で使用されるアルコールはイソプロパノールであり、洗浄液は水である。変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂と洗浄液との接触の後、洗浄液からのその分離が行われる。好ましくは、洗浄ステップの回数は、5回、より好ましくは4回に限定される。洗浄ステップの利点は、ステップa)および/またはc)で使用されるアルコールが変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂から本質的に除去され、それにより望ましくない物理的および/または化学的な副作用が防止されることである。このような望ましくない副作用の一例はTの抑制効果であり、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を粉末として得ることが阻止され得る。
【0027】
また、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂において1回または複数の沈澱ステップを実行することも有用であり得る。沈澱ステップでは、樹脂はまず、例えばアセトンなどの適切な溶媒に溶解された後、好ましくは水中に沈殿される。沈澱ステップの利点は、不純物の量を減少できることである。沈澱を実行することが可能であるためには、樹脂は非ゲル化形態であることが望ましく(本発明に従う全ての変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂にとっては一般的でもある)、これは、樹脂が適切な溶媒または樹脂に溶解され得ることを意味する。
【0028】
分離ステップならびに洗浄および/または沈澱ステップの後、例えば真空下、そして好ましくは例えば約30℃などのそのTよりも低い温度で、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を乾燥させることは有益であり得る。
【0029】
以前に示したように、本発明は、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を調製するための上記の方法と、前記方法によって得ることができる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂自体とに関する。これと相互に密接に関係して、本発明は、式(I):
【化1】


で表される化合物または化合物の混合物を含む変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂にも関し、式中、
Aは、アミノ化合物A−(−NHのコアであり、
xは少なくとも2であり、
Bは、H、CHOR、式(III)で表される基、または式(IV)で表される基であり、
ここでRは、H、または式(II):
【化2】


(式中、R、R、RおよびRは、HまたはC〜Cアルキルである)で表される基であり、式(III)は、
【化3】


であり、式(IV)は、
【化4】


であり、
全てのB基のうちの少なくとも30%または40%、好ましくは50%、60%、もしくはさらに70%または80%は、CHOR(Rは式(II)で表される基である)であり、
樹脂は、全体として、「A」部分につき最大でも1.5または1.3、好ましくは最大でも1.0、0.8、0.7、あるいはさらに最大でも0.6、0.5または0.4の−NH基を含み、
樹脂の重量平均分子量は500と10,000の間にあり、好ましくは、樹脂の前記重量平均分子量は750と9,500の間、より好ましくは1,000と9,000の間にある。
【0030】
上記の式(I)において、Aは、アミノ化合物A−(−NHのコアを示す。従って、Aは、全ての−NHRおよび−NH基が除去されたときに残存するアミノ化合物の化学式の部分である。適切なアミノ化合物A−(−NHの例は、メラミン、尿素、メラム、およびメレムであり、好ましくはアミノ化合物は、メラミン、尿素、またはその混合物である。分子のレベルではxは整数であり、樹脂の形成を可能にするために少なくとも2でなければならない。しかしながら、xは、全体としての樹脂の観点から見ることもできる。そして、xは樹脂中に存在する全てのアミノ化合物に対して平均された値であり、整数である必要はない。本発明に従うこの変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の好ましい実施形態では、A−(−NHはメラミンであり、xは3であり、そしてR、R、R、およびRは全てHである。
【0031】
式(I)で表される化合物または化合物の混合物を含む変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を得るために、上記で開示された本発明に従う方法を有利に使用することができる。全体として樹脂が「A」部分につき最大でも1.5個のNH基を含むことを保証するために注意が払われなければならず、これは、例えば、F−結合ステップb)が十分に長い時間、あるいは最適化された温度またはpH条件下で実行されることを保証することによって、および/または混合物のF/(NHモル比が十分に高いことを保証することによって達成することができる。全てのB基のうちの少なくとも30%がCHOR(Rは、式(II)で表される基である)であることを保証するために注意が払われなければならず、これは、例えば、アルキル化ステップc)が十分に長い時間、あるいは最適化された温度またはpH条件下で実行されることを保証することによって達成することができる。さらに、樹脂の重量平均分子量が500と10,000の間にあることを保証するために注意が払われなければならず、これは、例えば、ステップa)で使用されるアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の適切な重量平均分子量を選択することによって達成することができる。
【0032】
また本発明はさらに、コーティング組成物、特に粉末コーティング組成物の架橋剤としての、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の使用にも関する。従って、本発明は、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を含むコーティング組成物、好ましくは粉末コーティング組成物にも関し、さらに本発明は、本発明に従うコーティング組成物の硬化によって得ることができるコーティングにも関する。
【0033】
既知であるように、コーティング組成物は通常、コーティング樹脂と、架橋剤と、任意で、顔料、触媒、安定剤、流動化剤および他の化合物などの他の化合物とを含む。そしてコーティング組成物は、次に、コーティングが得られるように硬化される。本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は単独の架橋剤として使用されてもよく、コーティング組成物中で使用される通常の量は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。これは、特に粉末コーティング組成物において利点があり、HMMMおよびHBMMの場合のようにTに関する問題によって、使用される量はほとんど限定されない、あるいは全く限定されないことさえあり、所望の(高い)架橋結果が得られるように選択することができる。また、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、限られた量の上記のHMMMやHBMMなどのもう1つの架橋剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0034】
本発明の様々な態様は、以下の実施例よって、それに限定されることなく説明され得る。
【0035】
実施例I
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の調製
反応器を50℃に加熱し、99グラムの50.5重量%ホルムアルデヒド(F)水溶液を反応器に入れた。pHを水酸化ナトリウムで9.3に調整した。次に、100グラムのメラミンおよび74グラムの水を添加した。全体のF/(NH比は、1.4であった。反応器の内容物を50℃にした後、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を形成するための反応が開始されるように、さらに95℃まで加熱した。20℃において曇り点が到達されるまで、樹脂形成反応を継続させた。次に、樹脂を70℃に冷却した。
【0036】
ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製
70℃に冷却した樹脂に、pH9.3を有する185グラムの50.5重量%ホルムアルデヒド水溶液をゆっくり添加した。ホルムアルデヒドの添加によって、全体のF/(NHモル比は4になった。記載した状況下で、ホルムアルデヒドはほとんどすぐに樹脂と反応し、それにより、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂が形成された。続いて、反応器の内容物を50℃に冷却し、次に内容物を反応器から取り出し、さらに冷却させることによって、固形物が形成された。冷却したホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を一晩放置した後、粉砕して粉末にした。
【0037】
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製
粉砕したホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂をメタノールで2回洗浄した後、樹脂を乾燥させるために、真空下、45℃で2時間の乾燥ステップを実施した。この乾燥ステップは本発明によれば必須ではなく、取り扱いを容易にする目的で行った。50グラムのイソプロパノール、20グラムの水、および20グラムの粉砕したホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を攪拌しながら反応器に満たした。反応器を95℃のオイルバッチ(oil batch)に入れることにより、内容物を加熱し、HClでpHを5.5にした。82.3℃において、イソプロパノール/水蒸気混合物は沸騰し始めた。知られているように、水およびイソプロパノールは共沸混合物を形成する。沸騰した流体の量を純粋なイソプロパノールで補充した。これを必要な限り行い、蒸気混合物中の水の量がわずか1重量%まで減少されることを確実にした。これには10時間かかった。この間に、沸騰した蒸気の量よりも全部で84.9グラム多いイソプロパノールを添加した。「乾燥」KOH(この場合、メタノール中のKOH)により、反応器の内容物を11.5のpHにした。変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂およびイソプロパノールの104グラムの混合物が得られ、この混合物をまずろ過して、塩などの沈殿した不純物を除去し、次に、回転フィルムエバポレータで濃縮して48グラムにした。48グラムを250mlの水中に入れ、沈澱が生じた。ろ紙を用いて固体生成物をろ過してから、100mlのアセトン中に溶解させた。次に、透明な溶液を約250mlの水中に入れ、沈澱が生じた。次に、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂をろ過により捕集した。
【0038】
評価
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂において示差走査熱量測定(DSC)試験を行った。Tは42.3℃(中間点DSC)であると決定した。また、DSC測定により、自己縮合温度を151.5℃(開始)/186℃(ピーク)において決定することもできた。これらの値により、本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂がHMMMよりもはるかに高いTを有していたことが証明されると共に、比較的高い温度まで安定であることも証明される。これは、架橋剤がコーティング、特に粉末コーティングにおいて使用される通常の条件下での使用を可能にする。例えば粉末コーティングでは、約120℃の温度におけるコーティングの硬化の前に、全ての成分を混合することが一般的である。
【0039】
実施例II
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の調製
反応器を50℃に加熱した。441グラムの29.7重量%ホルムアルデヒド(F)水溶液を反応器に入れた。pHを水酸化ナトリウムで9.3に調整した。次に、262.5グラムのメラミンおよび12グラムの水を添加した。全体のF/(NH比は1.4であった(従って、F/Mモル比は2.1であった)。反応器の内容物を50℃にした後、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を形成するための反応が開始されるように、さらに95℃まで加熱した。反応器の内容物が青みがかっていくらか濁りを帯びる(非常に小さい粒子の形成の開始を示す)まで、樹脂形成反応を2.5時間継続させた。次に、樹脂を70℃に冷却した。
【0040】
ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製
70℃に冷却した樹脂に、pH9.3を有する441グラムの50重量%ホルムアルデヒド水溶液をゆっくり添加した。ホルムアルデヒドの添加によって、全体のF/(NHモル比は4になった(F/Mモル比は6であった)。記載した状況下で、ホルムアルデヒドはほとんどすぐに樹脂と反応し、それにより、ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂が形成された。続いて、反応器の内容物を50℃に冷却し、次に内容物を反応器から取り出し、さらに冷却させることによって、固形物が形成された。これは、存在する水がホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂に吸収されたことを示す。次に、冷却したホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を粉砕して粉末にした。
【0041】
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の調製
反応器に160グラムのイソプロパノールを満たしてから75℃に加熱した。100グラムの粉砕したホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を攪拌しながら添加した。次に、3.5mlの37重量%HClを添加した。透明な溶液が得られるまで、混合物全体を75℃で反応させた。これは、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が調製されていることを示した。次に、透明な溶液を室温まで冷却し、攪拌しながら一晩放置させた。続いて、水酸化ナトリウムによりpHをpH8まで上昇させた。溶液は透明なままであった。次に溶液を攪拌下で約1リットルの水中に入れた。変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が沈殿し、次にこれをろ紙を用いてろ過した。続いて、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を水で4回洗浄し、毎回、ろ過による単離を行った。最後に、変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を30℃の真空オーブン内で乾燥させ、白色粉末として得た。
【0042】
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の架橋剤としての使用
上記で調製した20部の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂と、80部のウララク(Uralac)(商標)P6504粉末(OH−官能性飽和カルボキシル化ポリエステルコーティング樹脂、供給元:DSMレジンズ(DSM Resins))と、1部のパラトルエンスルホン酸および3部のAEPD(2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール)からなる0.5部の触媒化合物と、0.75部の消泡剤としてのベンゾインと、50部のチタンホワイト(クロノス(Kronos)(商標)2160)と、1.5部の流動化剤としてのレジフロー(Resiflow)(商標)PV5(供給元:ウォーリー−ケミー(Worlee−Chemie))とを、2軸押出機に供給して100℃で押出した。押出物を粉砕し、続いてふるいにかけて、90μmよりも大きい粒子を持たない粉末コーティング組成物を得た。
【0043】
室温よりも高いTを有する粉末コーティング組成物の層を、アルミニウムシート上に静電的にスプレーした。層は、約35μmの厚さを有した。コーティングの硬化が達成され得る温度において研究するために(本発明に従う変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂によって達成される架橋を含む)、粉末で被覆されたアルミニウムシートを勾配型オーブン(gradient oven)内に10分間入れた。オーブンは100℃から200℃までの勾配を有した。
【0044】
勾配型オーブンから取り出したアルミニウムシートを、アセトンのダブル摩擦(double rub)試験にかけた。この試験では、布がアセトンに浸漬される。次に布でコーティング上を前後に擦る。一回の前後の動きを1回のダブル摩擦と数える。試験の実行においては、コーティングが溶解されるまでコーティング上を布で何回拭い取ることができるかが数えられ、それにより、コーティングが少なくとも100回のダブル摩擦に耐えれば、満足できる性能の必要条件が達成される。この必要条件は140℃以上の硬化温度において満たされた。これにより、これらの温度において粉末コーティング組成物の十分な硬化が実際に達成されたことが証明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を調製する方法であって、
a)液相、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂および遊離ホルムアルデヒドが一緒にされて混合物が形成され、前記アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が0.5と3の間にあるホルムアルデヒド対(NHのモル比(F/(NH比)を有すると共に、500と50,000の間にある重量平均分子量を有し、前記混合物中の全体のF/(NHモル比が、前記アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NHモル比よりも高く、2と6の間にある混合ステップと、
b)前記遊離ホルムアルデヒドの少なくとも一部が前記アミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応してホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に前記混合物が置かれ、前記ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH比が、前記アミノ−ホルムアルデヒド樹脂のF/(NH比よりも少なくとも1は高いF−結合ステップと、
c)アルコールおよび6未満のpKaを有する酸が前記混合物に添加され、そして前記アルコールの少なくとも一部が前記ホルムアルデヒドの豊富なアミノ−ホルムアルデヒド樹脂と反応して変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を形成するような条件下に前記混合物が置かれるアルキル化ステップと、
を含み、前記ステップa)およびb)が連続的または同時的のいずれかで実行され得る方法。
【請求項2】
前記ステップc)の後に、
a)前記混合物のpHが7と14の間の値に上昇されるpH補正ステップと、
b)前記混合物が十分な量の水と混ぜ合わされて、前記変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が沈澱させられた後、前記変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が単離される単離ステップと、
が行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単離ステップe)が、沈澱した前記変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂が前記混合物から分離される分離ステップと、本質的に全てのアルコールが前記変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂から除去される洗浄ステップとを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液相がアルコールを含み、前記アルキル化ステップc)では、前記混合物にアルコールが添加されない請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)および/またはステップc)において使用される前記アルコールが、イソプロパノールを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂。
【請求項7】
式(I):
【化1】


(式中、Aは、アミノ化合物A−(−NHのコアであり、
xは少なくとも2であり、
Bは、H、CHOR、式(III)で表される基、または式(IV)で表される基であり、
ここでRは、H、または式(II):
【化2】


(式中、R、R、RおよびRは、HまたはC〜Cアルキルである)で表される基であり、
式(III)は、
【化3】


であり、式(IV)は、
【化4】


である)
で表される化合物または化合物の混合物を含む変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂であって、
全てのB基のうちの少なくとも50%がCHOR(Rは式(II)で表される基である)であり、
前記樹脂が、全体として、「A」部分につき最大でも1つの−NH基を含み、
前記樹脂の重量平均分子量が500と50,000の間にある変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂。
【請求項8】
xが3であり、A−(−NHがメラミンであり、そしてR、R、RおよびRが全てHである請求項7に記載の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂。
【請求項9】
コーティング中の架橋剤としての、請求項6〜8のいずれか一項に記載の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の使用。
【請求項10】
粉末コーティング中の架橋剤としての、請求項6〜8のいずれか一項に記載の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂の使用。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の変性アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を含むコーティング組成物、特に粉末コーティング組成物。
【請求項12】
請求項11に記載のコーティング組成物を硬化させることによって得ることができるコーティング。

【公表番号】特表2008−524371(P2008−524371A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546583(P2007−546583)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000866
【国際公開番号】WO2006/065123
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】